JP2009007919A - 開閉体制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サッシュレスドア等でドア開時とドア閉時で摺動抵抗が異なる場合や、外乱が発生した場合でも、学習データの更新を適正に行い挟み込み誤検出を低減する。
【解決手段】ドア10のウインドウガラス11を開閉駆動する駆動手段2と、ウインドウガラス11の速度検出信号を出力する回転検出装置27と、ウインドウガラス11の閉動作時の位置に応じた回転速度差を学習データとして予め記憶し、学習データとウインドウガラス11の閉動作時の速度検出信号とに基づいて異物の挟み込みを検出し、ウインドウガラス11の閉動作時の速度検出信号が所定値を超えると外乱を検出し、回転速度差をもとに学習データを更新可能なコントローラ31と、を備えたパワーウインドウ装置1で、コントローラ31は、ドア開時とドア閉時とで異なる学習更新係数を用いて、さらに外乱が検出された場合には所定範囲内の値に補正した外乱更新値を用いて学習データを算出、更新する。
【選択図】 図8

Description

本発明は開閉体制御装置に係り、特に開閉体による異物の挟み込みを検出可能な開閉体制御装置に関する。
従来、異物の挟み込み防止機能を備えた車両のパワーウインドウ装置において、ウインドウの閉動作中にウインドウに掛かる負荷荷重に対応して検出される検出データ(例えば、ウインドウ駆動モータ回転速度変動等)に対してしきい値を設定し、このしきい値をもとに挟み込み検出するものが知られている。しかし、経年変化等により生じるウインドウの摺動抵抗の変化により発生する、異物挟み込み時に類似した駆動モータの回転速度変動が挟み込み誤検出の原因となっている。
そこで、この問題を解決するため、このしきい値を検出データをもとに更新(学習)していく技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、過去のウインドウ閉動作時の速度変動を記憶(学習)し、記憶した学習データと現在の速度変動の差分を基準にして挟み込みの判定を行うようにしている。このようにしきい値を更新していくことによって、経年変化等による摺動抵抗の変化の影響を排除してより安定した挟み込み検出を行うことができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術のような従来の学習方法では、ドア開時でもドア閉時でも同様の学習を行っているため、サッシュレスドアのようにドアの開閉状態で摺動抵抗が異なるドアでは、学習する速度変動がドアの開閉状態により全く異なるため、挟み込み誤検出を引き起こす虞がある。すなわち、ドア開時におけるウインドウの摺動抵抗はドア閉時の摺動抵抗よりも小さいため、ドア開時に学習した後にドア閉状態でウインドウを作動させると、挟み込みが起きていないにもかかわらずドア開時に記憶したしきい値を越えて挟み込み誤検出してしまうという問題があった。
特に、図13に示すように、サッシュレスドアではドア閉時おけるウェザーストリップ部でのモータ回転速度の変動(減少)が大きく、ドア開時とドア閉時のモータ回転速度はウェザーストリップ部において極端に異なるため、ドア開時とドア閉時で同一の学習を行う従来の学習方法では、ウェザーストリップ部での挟み込み誤検出が発生する可能性が高いという問題があった。
そこで、学習方式によるしきい値更新設定の重み付け量として、ドア開状態とドア閉状態の2種類の値を用意して、しきい値としてのモータ電流の値に重み付け量を加算し、新たなしきい値として更新する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−299568号公報(第8−9頁、図8) 特許第3484923号公報(第3頁)
しかしながら、特許文献2に記載のパワーウインドウ制御装置では、ドア開状態とドア閉状態で異なる重み付け量を用いているものの、マンホール等の路面の凹凸による振動やドア開閉時の振動等の外乱の影響による挟み込みの誤検出に対しては考慮されてないという問題があった。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、サッシュレスドアのようにドア開時とドア閉時で摺動抵抗が異なる場合でも、学習データの更新を適正に行うことにより挟み込みの誤検出を低減するとともに、外乱の影響による挟み込みの誤検出を防止することができる開閉体制御装置を提供することにある。
前記課題は、請求項1の開閉体制御装置によれば、ドアに設けられた開閉体を開閉駆動する駆動手段と、前記開閉体の開閉移動に応じた速度検出信号を出力する移動速度検出手段と、前記開閉体の閉動作時の位置に応じた平均移動速度データを学習データとして予め記憶する移動速度記憶手段と、前記学習データと、前記開閉体の閉動作時に前記移動速度検出手段から受信した速度検出信号とに基づいて前記開閉体の異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段と、前記開閉体の閉動作時の速度検出信号が所定値を超えると外乱を検出する外乱検出手段と、前記開閉体の閉動作時の速度検出信号に基づいて算出された平均移動速度データをもとに前記学習データを更新可能な移動速度更新手段と、を備えた開閉体制御装置であって、前記移動速度更新手段は、ドアの開閉状態に関連して前記学習データの更新の有無を制御し、ドア開時とドア閉時とで異なる更新係数を用いて前記学習データを算出し、さらに前記外乱検出手段により外乱が検出された場合には所定範囲内の値となるように補正した外乱更新値を用いて前記学習データを算出し、更新すること、により解決される。
このように、請求項1の開閉体制御装置では、平均移動速度データから学習データを算出するときにドア開時とドア閉時とで異なる更新係数を使用するようにしたので、摺動抵抗の小さいドア開時と摺動抵抗の大きいドア閉時とで一定の値で学習データを更新でき、ドア開時の学習の影響を最小限にして挟み込み誤検出を低減できる。また、ドア開時とドア閉時でモータ回転速度の変動が大きいウェザーストリップ部においても挟み込み誤検知を防止できるようになり、不感帯(挟み込み検出を行わない領域)を従来よりも狭く設定することができる。
また、外乱が検出された場合には、所定範囲内の値となるように補正した外乱更新値を使用して学習データを算出するようにしたので、開閉体の移動速度に影響を与えるような外乱が発生しても、学習データが通常時にはあり得ないような値となって誤学習してしまうことがなく、常に実情に即した学習データを維持することができる。
このとき、前記更新係数は、ドア開時の更新係数がドア閉時の更新係数より大きくなるように設定すると好適である。摺動抵抗の小さいドア開時は移動速度が大きく、摺動抵抗の大きいドア閉時は移動速度が小さいので、このように更新係数を設定することで一定の値で学習データを更新することができる。
さらに、前記外乱更新値は、前記速度検出信号に応じて可変可能にすることができる。このように、外乱更新値を所定の範囲内で可変可能にすることで、より実情に即した学習データとなるように外乱更新値を設定できる。
また前記課題は、請求項4の開閉体制御装置によれば、ドアに設けられた開閉体を開閉駆動する駆動手段と、前記開閉体の開閉移動に応じた速度検出信号を出力する移動速度検出手段と、前記開閉体の閉動作時の位置に応じた平均移動速度データを学習データとして予め記憶する移動速度記憶手段と、前記学習データと、前記開閉体の閉動作時に前記移動速度検出手段から受信した速度検出信号とに基づいて前記開閉体の異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段と、前記開閉体の閉動作時の速度検出信号に基づいて算出された平均移動速度データをもとに前記学習データを更新可能な移動速度更新手段と、を備えた開閉体制御装置であって、前記移動速度更新手段は、ドアの開閉状態に関連して前記学習データの更新の有無を制御し、ドア開時には前記学習データの更新を行わないこと、により解決される。
このように、請求項4の開閉体制御装置では、ドア開時には学習データを更新しないようにしたので、挟み込み検出のためのしきい値が摺動抵抗の小さいドア開時の学習の影響を受けることがなくなり、挟み込み誤検出を低減できる。
また、前記駆動手段はモータを備え、前記移動速度検出手段は前記速度検出信号として前記モータの回転速度信号を出力し、前記平均移動速度データは前記回転速度信号に基づいて算出された前記モータの平均回転速度データであるとよい。平均移動速度データとしてモータの平均回転速度データを用いて学習データを更新することで、値のばらつきを相殺し、その位置において一定の値に基づいて挟み込みを検出できる。したがって走行中の段差等による外乱の影響に起因する挟み込み誤検出を低減することができる。
本発明の開閉体制御装置によれば、サッシュレスドアのようにドア開時とドア閉時で摺動抵抗が異なる場合でも、学習データの更新を適正に行うことにより、摺動抵抗の小さいドア開時の影響を最小限にすることができ、挟み込み誤検出を低減することができる。また、ドア開時とドア閉時でモータ回転速度の変動が大きいウェザーストリップ部においても挟み込み誤検知を防止できるようになり、不感帯(挟み込み検出を行わない領域)を従来よりも狭く設定することができる。
また、平均回転速度を用いて学習データを更新することで、値のばらつきを相殺し、その位置において一定の値に基づいて挟み込みを検出できる。
さらに、走行中の路面の段差による振動やドア開閉時の振動等による外乱の影響に起因する挟み込み誤検出を低減することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する構成、手順等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図10は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はパワーウインドウ装置の説明図、図2は図1のパワーウインドウ装置の電気構成図、図3は差分データを更正差分データへ換算する方法を表す説明図、図4は回転速度差及び学習データの累積値の変動状況を表すグラフ、図5は外乱入力時の回転速度差及び学習データの累積値の変動状況を表すグラフ、図6は挟み込み判定の処理フロー、図7は外乱入力時の挟み込み判定の説明図、図8は学習更新係数設定の処理フロー、図9は学習データ更新の処理フロー、図10は更正差分データ算出の処理フローである。
図11は本発明の他の実施形態に係る学習更新係数設定の処理フロー、図12は本発明の他の実施形態に係る差分データを更正差分データへ換算する方法を表す説明図である。
図13はドア開時及び閉時のウインドウガラス位置におけるモータ回転速度を表すグラフである。
以下に本発明をパワーウインドウの制御装置に適用した一実施形態について説明する。
図1に本例のパワーウインドウ装置1の説明図、図2にその電気構成図を示す。本例のパワーウインドウ装置1は、車両のドア10に配設される開閉体としてのウインドウガラス11をモータ23の回転駆動により昇降(開閉)作動させるものである。パワーウインドウ装置1は、ウインドウガラス11を開閉駆動する駆動手段2と、駆動手段2の作動を制御するための制御手段3と、乗員が作動を指令するための操作スイッチ4と、車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉検出装置7を主要構成要素としている。
本例の駆動手段2は、ドア10のインナパネル10aに配設された上下のブラケット21a,21bと、この上下のブラケット21a,21bを連結するように配設されたガイドレール22と、下方のブラケット21bに取り付けられたモータ23と、モータ23の出力軸に連結されたスプロケットと上方のブラケット21aとに回動可能に掛け渡されている無端状のテープ24と、テープ24に取り付けられガイドレール22に摺動可能に案内されるスライダ25と、ウインドウガラス11を開閉方向に案内する一対のガイドフレーム26a,26bを主要構成要素としている。スライダ25には、ウインドウガラス11の下端部を支持するキャリアプレート11aが取り付けられている。
本例のモータ23は、制御手段3から電力が供給されることにより、正逆回転可能に構成されている。本例の駆動手段2では、モータ23が正逆回転すると、スプロケットを介して回転力がテープ24に伝達され、この回転力によってテープ24が回動することにより、スライダ25がガイドレール22を上下方向に案内される。スライダ25がガイドレール22を上下方向に案内されると、スライダ25はキャリアプレート11aを介してウインドウガラス11をガイドフレーム26a,26bに沿って上下方向に移動させる。このように駆動手段2は、モータ23の作動によってウインドウガラス11を開閉駆動する。
本例のモータ23には、移動速度検出手段としての回転検出装置27が一体に備えられている。回転検出装置27は、モータ23の回転と同期したパルス信号(速度検出信号,回転速度信号)を制御手段3へ出力するものである。本例の回転検出装置27は、モータ23の出力軸と共に回動するマグネットの磁気変化を複数のホール素子で検出するように構成されている。このような構成により、回転検出装置27は、モータ23の回転に同期したパルス信号を出力する。すなわち、パルス信号は、ウインドウガラス11の所定移動量毎もしくはモータ23の所定回転角毎に出力される。これにより、回転検出装置27は、モータ23の回転速度に略比例するウインドウガラス11の移動速度に応じた信号を出力可能である。
なお、本例では、回転検出装置27にホール素子を用いたものを採用しているが、これに限らず、モータ23の回転速度を検出することができれば、エンコーダを採用してもよい。また、本例では、ウインドウガラス11の移動に応じたモータ23の出力軸の回転速度を検出するために、モータ23に回転検出装置27を一体に設けているが、これに限らず、公知の手段によってウインドウガラス11の移動速度を直接的に検出するようにしてもよい。
本例の制御手段3は、コントローラ31と、駆動回路32から構成されている。コントローラ31,駆動回路32には、車両に搭載されるバッテリ5から作動に必要な電力が供給される。
本例のコントローラ31は、CPU、ROM,RAM等の不図示のメモリ、入力回路、出力回路等を備えるマイクロコンピュータで構成されている。CPUは、不図示のメモリ、入力回路及び出力回路は、バスを介して互いに接続されている。なお、これに限らず、コントローラ31をDSPやゲートアレイで構成してもよい。
コントローラ31は、通常時、操作スイッチ4からの操作信号に基づいて駆動回路32を介してモータ23を正逆回転させて、ウインドウガラス11を開閉動作させる。また、コントローラ31は、回転検出装置27からパルス信号を受け取り、このパルス信号に基づいてウインドウガラス11の上端部と窓枠との間における異物の挟み込みの検出が可能となっている。異物の挟み込みが検出された場合には、コントローラ31は、駆動回路32を介してモータ23を開方向へ回転させて、ウインドウガラス11を開駆動する。このように、本例のコントローラ31は、挟み込み検出手段として機能する。
本例の駆動回路32は、FETによって構成されており、コントローラ31からの入力信号に基づいて、モータ23への電力供給の極性を切換えている。すなわち、駆動回路32は、コントローラ31から正回転指令信号を受けたときは、モータ23を正回転方向に回転させるようにモータ23へ電力を供給し、コントローラ31から逆回転指令信号を受けたときは、モータ23を逆回転方向に回転させるようにモータ23へ電力を供給する。なお、駆動回路32は、リレー回路を用いて極性を切換えるように構成してもよい。また、駆動回路32がコントローラ31内に組み込まれた構成であってもよい。
コントローラ31は、入力されるパルス信号からパルス信号の立上がり部,立下り部(パルスエッジ)を検出し、このパルスエッジの間隔(周期)に基づいてモータ23の回転速度(回転周期)を算出すると共に、各パルス信号の位相差に基づいてモータ23の回転方向を検出する。つまり、コントローラ31は、モータ23の回転速度(回転周期)に基づいてウインドウガラス11の移動速度を間接的に算出し、モータ23の回転方向に基づいてウインドウガラス11の移動方向を特定している。また、コントローラ31は、パルスエッジをカウントしている。このパルスカウント値は、ウインドウガラス11の開閉動作に伴って加減算される。コントローラ31は、このパルスカウント値の大きさによってウインドウガラス11の開閉位置を特定する。
また、移動速度記憶手段としてのコントローラ31は、ウインドウガラス11の移動速度データとしてのモータ23の回転速度データ(回転速度差Δω)を予め学習データとしてメモリ内に記憶している。移動速度更新手段としてのコントローラ31は、この学習データを、原則としてウインドウガラス11が閉動作する毎に更新する。
本例では、挟み込みが検出された場合を除き、回転速度データに影響を与える外力がウインドウガラス11に掛かるような高速走行時,ドア開閉動作時,凍結時,悪路走行時等であっても、このような状況(外乱)を反映して学習データの更新を行うように構成されている。なお、外乱検出手段としてのコントローラ31は、入力されるパルス信号から算出した回転速度データ(回転速度差)が所定範囲を超えた場合に外乱と判定する。
本例では、このように種々の外力が掛かる場合でも学習データの更新を行うことによって、学習機会をできるだけ多く確保している。これにより、常に使用状態に適合した学習データを維持していくことが可能となり、挟み込みの誤検出の発生を低減することができる。また、従来のように上記外力が掛からない状況のときのみ学習データを更新する場合は、上記外力がウインドウガラス11に掛かる状況であるか否かをセンサー入力等に基づいて判断処理する必要がある。しかしながら、本例では、上記外力が掛かる場合でも、以後のウインドウガラス11の閉動作時に挟み込みの誤検出を発生させることのないように学習データを更新するので、上記判断処理が不要となる。これにより、全体構成を簡略化することが可能となり、コスト上昇を抑えることができる。
本例の操作スイッチ4は、2段階操作可能な揺動型スイッチ等で構成され、開スイッチ,閉スイッチ及びオートスイッチを有している。この操作スイッチ4を乗員が操作することにより、コントローラ31へウインドウガラス11を開閉動作させるための指令信号が出力される。
具体的には、操作スイッチ4は、一端側へ1段階操作されると開スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常開動作(すなわち操作している間だけ開動作)させるための通常開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、操作スイッチ4は、他端側へ1段階操作されると閉スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常閉動作(すなわち操作している間だけ閉動作)させるための通常閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
また、操作スイッチ4は、一端側へ2段階操作されると開スイッチ及びオートスイッチが共にオンされ、ウインドウガラス11をオート開動作(すなわち操作を止めても全開位置まで開動作)させるためのオート開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、操作スイッチ4は、他端側へ2段階操作されると閉スイッチ及びオートスイッチが共にオンされ、ウインドウガラス11をオート閉動作(すなわち操作を止めても全閉位置まで閉動作)させるためのオート閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
コントローラ31は、操作スイッチ4から通常開指令信号を受けている間中(操作スイッチ4が操作されている間中)、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を通常開動作させる。一方、コントローラ31は、操作スイッチ4から通常閉指令信号を受けている間中(操作スイッチ4が操作されている間中)、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を通常閉動作させる。
また、コントローラ31は、操作スイッチ4からオート開指令信号を受けると、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を全開位置までオート開動作させる。一方、コントローラ31は、操作スイッチ4からオート閉指令信号を受けると、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を全閉位置までオート閉動作させる。
コントローラ31は、ウインドウガラス11を閉動作(通常閉動作及びオート閉動作)させているとき、ウインドウガラス11による挟み込みの有無を監視している。すなわち、挟み込みが生じると、ウインドウガラス11の移動速度およびこれに関連してモータ23の回転速度が低下する(回転周期が長くなる)。このため本例のコントローラ31は、モータ23の回転速度の変動を常時監視している。
本例のコントローラ31では、この回転速度の変動に基づいて、まず挟み込みの開始を検出し、次いで挟み込みの開始が検出されてから回転速度が所定量変動したことを検出した場合に、挟み込みと判定(確定)する。
そして、挟み込みを確定した場合には、コントローラ31は、ウインドウガラス11にて挟持された異物を解放すべくモータ23を反転させ、ウインドウガラス11を所定量だけ開動作させるように制御する。なお、挟み込みと判定した場合に、モータ23の作動を停止してウインドウガラス11のそれ以上の閉動作を停止させて、ウインドウガラス11にて挟持した異物を解放可能とするように制御してもよい。
本例のドア開閉検出装置7は、車両のドアの開閉状態を検出するものであり、接触型又は非接触型のドアスイッチにより構成されている。ドア開閉検出装置7はドアの開閉状態に応じた開閉信号をコントローラ31に出力し、コントローラ31はこの信号の入力に基づいてドアの開閉状態を判断する。
次に、図3〜図5に基づいて、本例のパワーウインドウ装置1における学習データ更新処理の概要について説明する。
本例では、パワーウインドウ装置1が作動し、ウインドウガラス11が閉動作すると、これに伴い回転検出装置27から受け取るパルス信号に基づいてモータ23の回転速度ωが算出される。この回転速度ωに基づいて、パルスエッジ検出毎に後述するように回転速度差Δωが算出される。この回転速度差Δωは、各パルスカウント値に対応させて記憶されるデータ列である。
一方、コントローラ31内には、学習データ(回転速度差)Δωが記憶されている。この学習データΔωも各パルスカウント値に対応させて記憶されるデータ列である。これにより、ウインドウガラス11の所定移動間隔毎に学習データΔωの特徴を記憶することができるので、各位置に合わせた挟み込み検出が可能となる。学習データΔωは、ウインドウガラス11の閉動作毎に回転速度差Δωを用いて更新される。以下、更新前の学習データを学習データΔωbefore、更新後の学習データを学習データΔωafterという。
本例では、ウインドウガラス11が挟み込みを発生することなく閉動作することによって回転速度差Δωが算出されると、各移動位置(すなわち、パルスカウント値)に対応して式(1)により、回転速度差Δωと現時点での学習データΔωbeforeとの差分データdが算出される。
d=Δω−Δωbefore・・・式(1)
本例では、図3に示すように、差分データdが所定の外乱学習データ判定しきい値−β(−βは負の定数)から外乱学習データ判定しきい値β(βは正の定数)の範囲にあるとき(−β≦d≦β;通常学習データ更新範囲)は、更正差分データDを差分データdとする。
一方、差分データdが外乱学習データ判定しきい値−β未満であるとき(d<−β;外乱学習データ範囲)は、更正差分データDを外乱更新値としての外乱学習データ更新量−γ(−γは負の定数)とし、差分データdが外乱学習データ判定しきい値βを超えているとき(β<d;外乱学習データ範囲)は、更正差分データDを外乱更新値としての外乱学習データ更新量γ(γは正の定数)とする。ここで、γの大きさは、βよりも小さく設定されている。
そして、本例では、学習データΔωafterは、式(2)により、更正差分データDに所定の補正係数である学習更新係数α(0<α<1の定数)を乗じた補正データを学習データΔωbeforeに加算することによって算出される。この補正データ(α・D)は、所定範囲内(−α・β≦α・D≦α・β)の値となる。
Δωafter=Δωbefore+α×D・・・式(2)
さらに、本例では、学習更新係数αを、ドアの開閉状態によって変更するようにしている。具体的には、ドアが閉じている時にはドア閉用学習更新係数α1(0<α1<1の定数)、ドアが開いている時にはドア開用学習更新係数α2(0<α2<1の定数)で、α1はα2より小さい値を設定する。このα1,α2は、上記式(2)で算出されるドア閉時のΔωafterとドア開時のΔωafterとが略同じ値となるような所定の定数であり、予めメモリ内に記憶されている。
このように、本例では、差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β,β)を超えていない場合、すなわち差分データdが通常学習データ更新範囲内にある場合には、差分データd自体に学習更新係数αを乗じた値を更新前の学習データΔωbeforeに加算することによって、現在の摺動抵抗等の状況を更新後の学習データΔωafterに反映させるようにしている。これにより、学習データΔωafterは差分データdの大きさに比例する更新値によって更新される。
また、本例では、差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β,β)を超えた場合、すなわち差分データdが外乱学習データ範囲内にある場合には、外乱が生じたものと判定し、この外乱による学習データΔωafterへの影響を抑えるために、所定の定数(α・γ,−α・γ)を更新前の学習データΔωbeforeに加算して、更新後の学習データΔωafterを算出している。
さらにまた、サッシュレスドアの場合にはドア開時のウインドウガラス11の摺動抵抗はドア閉時の摺動抵抗に比較して極端に小さいため、本例では、更正差分データDを補正するための学習更新係数αとして、ドア閉用学習更新係数α1とドア開用学習更新係数α2の2つの異なる係数(α1<α2)を使用することにより、ドア閉時とドア開時の学習データΔωafterを一定の値にするようにしている。
図4(A−1)は、異物の挟み込みが発生しておらず、且つ、ドアの閉動作や凍結等による外乱が掛かっていない通常状態で、ウインドウガラス11が全開位置から全閉位置まで閉動作したときにおけるモータ23の回転速度差Δωの累積値ΣΔω(回転速度ωに相当)の変動状況を表している。横軸はパルスカウント数である。このように回転速度差Δωの累積値ΣΔωは、ウインドウガラス11に摺動抵抗が加わるため、細かな摺動変動成分を含むものとなる。
図4(A−2)は、同図(A−1)に示す閉動作に基づいて更新された学習データΔωの累積値ΣΔω(回転速度に相当)の変動状況を表している。
一般に経年変化による摺動抵抗は、回転速度ωに徐々に影響を与えるので、閉動作毎の回転速度ωの変化量は小さい。図4(A−1)のように外乱の影響を受けていない通常状態では、回転速度差Δωの累積値ΣΔωの変動状況は、学習データΔωbeforeの累積値ΣΔωの変動状況と略同じ変動状況を示すものとなる。そして、このとき得られた回転速度差Δωを考慮して更新された学習データΔωafterは更新前の学習データΔωbeforeと殆ど同じ変動状況を示すものとなる。
一方、図4(B−1)は、ウインドウガラス11の閉動作中にドアを強閉した場合の回転速度差Δωの累積値ΣΔωの変動状況を表している。同図では、ドアの強閉によってパルス状の変動分が回転速度差Δωの累積値ΣΔωに重畳しているのが分かる。
一般に、このようなドアの強閉等の環境の急変は、回転速度差Δωに大きな影響を与えるが、この影響が長期間継続することはない。したがって、次回にウインドウガラス11を閉動作するときには、再び図4(A−1)に示すような回転速度差Δωの累積値ΣΔωの変動状況が得られるはずである。
本例では、このような外乱が加わったときにでも、これを考慮して学習データΔωが更新される。すなわち、外乱が生じたとしても、その外乱は次回,次々回の閉動作時には生じないのであるから、外乱時の変動分を加味して学習データを更新して学習データが多少ずれた値になったとしても、このずれは次回,次々回の閉動作時に修正されていく。むしろ、更新機会を多く確保することで、実情に即した学習データに修正されていく。
図4(B−2)は、図4(B−1)で示される閉動作をしたときに更新された学習データΔωの累積値ΣΔωの変動状況を表している。図中、円で囲われた領域Xは、パルス状の外乱が加わることによって多少影響を受けているものの、他の領域と比べて大きくその影響が現れるようなものとはなっていない。このように、本例では、大きな外乱が加わっても、それによって学習データΔωが本来あるべき学習データの変動状況から乖離してしまうことがない。したがって、このような外乱を考慮して学習データΔωを更新しても、挟み込みを誤検出してしまうおそれがないと共に、学習機会を多く確保することができるので、実情に沿った学習データΔωを維持していくことができる。
図5(A)は、上記領域Xに対応した領域において、図4(B−1)に示す外乱が加わったときの回転速度差Δωの累積値ΣΔω(実線a)と、その時点での学習データΔω(Δωbefore)(破線b)とを重ね合わせて表示している。このように、外乱が加わると、回転速度差Δωの累積値ΣΔωは、学習データΔωから大きく正負にずれたものとなる。
図5(B)は、同図(A)と同様に上記領域Xに対応した領域において、図4(B−1)に示す外乱が加わる前の学習データΔω(Δωbefore)(破線b)と外乱が加わった後の学習データΔω(Δωafter)(実線c)とを重ね合わせて表示している。このように、学習データΔωafterは、外乱を考慮して更新されているので、学習データΔωbeforeから正負方向に多少ずれたものとなる。しかしながら、同図から分かるように、外乱は更新データに対してそれほど大きな影響を与えてはおらず、外乱が発生していない領域と比べて、更新後データは更新前データからそれほど大きくずれたものとはならない。
次に、図6に基づいて、本例のコントローラ31の挟み込み判定処理について説明する。
本例のコントローラ31は、まず、回転検出装置27から受け取ったパルス信号に基づいて、モータ23の回転速度データの更新を行う(ステップS1)。具体的には、コントローラ31は、まず回転検出装置27から受け取ったパルス信号を信号処理してパルスエッジを検出する。そして、パルスエッジを検出する毎に、パルスカウント値をインクリメントし、前回検出されたパルスエッジと今回検出されたパルスエッジとのパルス幅(時間間隔)Tを算出してメモリ内に順次格納していく。
本例では、パルス幅Tは、新たなパルスエッジが検出される度に順送りに更新されていき、最新の4つのパルス幅T(0)〜T(3)が記憶される。すなわち、パルスエッジが検出されると、新たにパルス幅T(0)を算出すると共に、前回のパルス幅T(0)〜T(2)を1ずらして、それぞれパルス幅T(1)〜T(3)として記憶し、前回のパルス幅T(3)を消去する。
そして、コントローラ31は、時間的に連続するn個のパルスエッジのパルス幅Tの総和(パルス周期P)の逆数から回転速度ωを算出する。この回転速度ωは実際の回転速度に比例する値である。
本例では、現パルスエッジから4パルスエッジ前までのパルス幅T(0)〜T(3)によって(平均)回転速度ω(0)が算出される。そして、次のパルスエッジを検出すると、新たに算出されたパルス幅T(0)〜T(3)によって回転速度ω(0)が更新される。このとき、前回の回転速度ω(0)は回転速度ω(1)として記憶される。このようにして、コントローラ31内には、パルスエッジを検出する度に(所定移動量毎に又は所定回転角毎に)更新される最新の8つの回転速度ω(0)〜ω(7)が常時記憶される。このように、複数のパルス幅Tによって回転速度ωを算出することにより、受信する各パルス信号出力のセンサーDutyのばらつきを相殺し、誤差変動分が相殺された回転速度を算出することができる。
次に、コントローラ31は、この回転速度ωから(平均)回転速度差(回転速度変化率)Δωを算出する(ステップS2)。具体的には、回転速度ω(0)〜ω(3)を現ブロックデータ、回転速度ω(4)〜ω(7)を前ブロックデータとし、それぞれのブロック内データの和を差し引く処理を行っている。すなわち、回転速度差Δωは、回転速度ω(4)〜ω(7)の和から回転速度ω(0)〜ω(3)の和を引くことにより算出され、パルスエッジを検出する度に(所定移動量毎に又は所定回転角毎に)更新されていく。なお、算出された値を加算したデータ数(本例では4)で除してもよい。このように、複数の回転速度ωによって回転速度差Δωを算出することにより、回転速度ω間の位相差を相殺することができる。
この回転速度差Δωはパルスカウント値に対応してメモリに一時記憶される。
そして、本例のコントローラ31は、ウインドウガラス11の所定位置を基準として、算出された回転速度差Δωからこのときのパルスカウント値に対応する学習データΔωを差し引いた補正値を加算していく(ステップS3)。
次に、上記補正値が、外乱判定しきい値Cを正側に超えているか否かが判別される(ステップS4)。本例では、この処理によって、車両が段差に乗り上げたり、ドアが閉められたりすることによる外乱によって挟み込みを誤検出してしまうことを防止している。
図7に示すように、外乱が加わると、回転速度差Δωから学習データΔωを差し引いた補正値は、通常、正負に大きな値をとる。正側に補正値が振れることは、ウインドウガラス11を閉める方向にモータ23の回転が加速されることを意味し、反対に、負側に補正値が振れることは、モータ23の回転が減速されることを意味する。負側に補正値が振れることは、挟み込みを擬似するものとなる。ここで、外乱判定しきい値Cは、正側に設定された値であり、本例のコントローラ31では、補正値がこの外乱判定しきい値Cを正側に超えた場合は、外乱が生じたものと判定する。
外乱が生じたと判定された場合(ステップS4;有)、コントローラ31は、挟み込み判定しきい値Bを負側に増大させた後(ステップS7)、ステップS8へ移行する。これにより、引き続いて、外乱によって負側に補正値が振れて、挟み込みの開始が検出されたとしても、その後の回転速度差Δωの累積値ΣΔωが増大された挟み込み判定しきい値を超えることがないので、挟み込みの誤判定を防止することができる。なお、本例では、外乱判定しきい値Cが変動判定しきい値Aと無関係に設定されているが、例えば、外乱判定しきい値Cを変動判定しきい値Aの正負を反対にした値に設定してもよい。
ステップS4で外乱が生じたと判定されなかった場合(ステップS4;無)、コントローラ31は、挟み込み開始の判定処理を行う(ステップS5)。具体的には、回転速度差Δωからこの回転速度差Δωに対応するパルスカウント値の学習データΔωを差し引いた補正値が、変動判定しきい値Aを負側に超えた場合は挟み込みの開始と判定され、超えていない場合は挟み込みの開始と判定しない。
挟み込みの開始と判定された場合(ステップS5;有)、ステップS8へ移行する。一方、挟み込みの開始と判定されなかった場合(ステップS5;無)、ステップS6で回転速度差Δωから学習データΔωを差し引いた補正値の累積値と、挟み込み判定しきい値Bへの初期値の設定が行われる。具体的には、ステップS3で算出された補正値の累積値が、回転速度ωの初期変化量Sにセットされると共に、挟み込み判定しきい値Bが増大されていない通常値に戻される。このように、外乱期間が終了したと判定されると、挟み込み判定しきい値Bが通常値に戻され、通常の処理が行われる。
そして、ステップS8では、回転速度ωの変化量Sの演算処理が行われる。具体的には、コントローラ31は、挟み込み開始と判定される直前にステップS6でセットされた回転速度ωの初期変化量S(補正値の累積値)からステップS3で算出された補正値の累積値を差し引いて、挟み込み開始以降の回転速度ωの変化量S(補正値の累積値)を算出する。これにより、挟み込みによる回転速度の変化分(すなわち、挟み込み荷重分)を確実に算出することができる。
なお、本例では、基準値からの変化量の差を算出して、挟み込み開始以降の回転速度ωの変化量を算出しているが、これに限らず、挟み込み開始が検出されないときには、補正値の累積値を初期化し、挟み込み開始が検出されたときには、初期化しないようにして、挟み込み開始検出以降の分についてのみ補正値を累積して、これにより回転速度ωの変化量を算出してもよい。
次に、コントローラ31は、ステップS8で算出された回転速度ωの変化量Sが挟み込み判定しきい値Bを超えたか否かを判定する(ステップS9)。
回転速度ωの変化量Sが挟み込み判定しきい値Bを超えたと判断された場合(ステップS9;有)、コントローラ31は、挟み込み解除処理(ステップS10)を行い、処理を終了する。挟み込み解除処理では、具体的には、コントローラ31は上述のように異物を解放すべくモータ23を反転させ、ウインドウガラス11を所定量だけ開動作させる。
一方、回転速度ωの変化量Sが挟み込み判定しきい値Bを超えていないと判断された場合(ステップS9;無)は、処理をそのまま終了する。
次に、図8に基づいて、本例のコントローラ31の学習更新係数設定新処理について説明する。本例では、この処理はウインドウガラス11が閉動作状態となったときに開始され、挟み込みが生じて挟み込み解除処理が行われた場合には強制的に終了されるようになっている。
本例のコントローラ31は、まず、ステップS11でウインドウガラス11が閉動作(上昇)中又は閉動作が完了したか否かを判定する。閉動作中でない且つ閉動作が完了していない場合(ステップS11;NO)は処理を終了する。一方、閉動作中又は閉動作が完了した場合(ステップS11;YES)は、ステップS12でドアの開閉状態を判定する。ドアの開閉状態の判定は、ドア開閉検出装置7からコントローラ31に入力される開閉信号により行う。
ドアが閉状態の場合(ステップS12;YES)は、ステップS13で学習更新係数αにドア閉用学習更新係数α1(0<α1<1)を設定する。一方、ドアが閉状態でない、すなわち開状態の場合(ステップS12;NO)は、ステップS14で学習更新係数αにドア開用学習更新係数α2(0<α2<1)を設定する。この係数α1とα2は、α1<α2となる予めメモリ内に記憶された所定の定数であり、ステップS13及びステップS14ではこれをメモリから読み出して更にメモリ内に学習更新係数αとして記憶する。
その後、ステップS15で学習データ更新処理を行う。
次に、図9に基づいて、本例のコントローラ31の学習データ更新処理について説明する。本例のコントローラ31は、まず学習データΔωを更新するために、ステップS21でメモリを初期化して待機する。そして、ステップS22で、ウインドウガラス11が閉動作中又は閉動作を完了したか否かを判別する。コントローラ31は、パルス信号によってウインドウガラス11が閉動作中又は閉動作が完了したか否かを判別しており、閉動作中でない且つ閉動作が完了していない場合(ステップS22;NO)はステップS22の処理を繰り返し、閉動作中又は閉動作が完了した場合(ステップS22;YES)はステップS23へ移行する。
ウインドウガラス11の閉動作が完了すると、ステップS23で、コントローラ31は、所定移動量毎(又は所定回転角毎)に各パルスカウント値に対応付けて記憶されている回転速度差Δωから対応する学習データΔωを差し引いて、パルスカウント値毎に差分データdを算出する。
そして、ステップS24で、差分データdの値に応じて更正差分データDを算出する。
更正差分データDの算出処理フローを図10に示す。この処理では、コントローラ31は、ステップS31でパルスカウントを0にセットし、続いてステップS32でこのパルスカウントに対応する差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β)から外乱学習データ判定しきい値βの範囲内(−β≦d≦β;通常学習データ更新範囲)にあるか否かを判別する。
差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β)から外乱学習データ判定しきい値βの範囲内にある場合(ステップS32;YES)は、ステップS33で更新差分データDを差分データdにセットし、ステップS37へ移行する。
一方、差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β)から外乱学習データ判定しきい値βの範囲内にない場合(ステップS32;NO)は、ステップS34へ移行する。
ステップS34では、差分データdが外乱学習データ判定しきい値βを超えているか否かが判別される。差分データdが外乱学習データ判定しきい値βを超えている場合(ステップS34;YES)は、ステップS35で更正差分データDを所定の外乱学習データ更新量γにセットし、ステップS37へ移行する。
一方、差分データdが外乱学習データ判定しきい値βを超えていない場合(ステップS34;NOすなわち、d<−β)は、ステップS36で更正差分データDを所定の外乱学習データ更新量−γにセットし、ステップS37へ移行する。
ステップS37では、パルスカウント値が全閉位置に対応したものであるか否かが判別される。パルスカウント値が全閉位置に対応したものである場合(ステップS37;YES)は、処理を終了する。一方、パルスカウント値が全閉位置に対応したものでない場合(ステップS37;NO)は、ステップS38でパルスカウント値をインクリメントして、ステップS32へ戻り、ステップS32〜S37の処理を繰り返す。
このようにして、更正差分データDが各パルスカウント値に対して設定される。
更正差分データDが設定されると、ステップS25で、学習データΔωの更新が行われる。この処理では、各パルスカウント値について、現在の学習データΔωbeforeに、更正差分データDに学習更新係数α(0<α<1)を乗じた値が加算される。
なお、この学習更新係数αには、ドアの開閉状態に応じてステップS13又はステップS14で設定したドア閉用学習更新係数α1又はドア開用学習更新係数α2が設定されている。
以上のように、本例のパワーウインドウ装置1では、ドア開時とドア閉時とで異なる更新係数を使用して学習データを更新するようにしたので、サッシュレスドアのようにドア開時とドア閉時で摺動抵抗が異なるドアにおいても、学習データの更新を適正に行うことができ、挟み込み誤検出を低減することができる。また、ドア開時とドア閉時でモータ回転速度の変動が大きいウェザーストリップ部においても挟み込み誤検知を防止できることから、不感帯(挟み込み検出を行わない領域)を従来よりも狭く設定することができる。さらに、外乱が加わった場合には、回転速度差から学習データを差し引いた差分データを適切な値に補正して学習データを算出し、学習データの更新を行うことにより、外乱の影響による挟み込みの誤検出を防止することができる。
なお、上記実施形態では、学習更新係数αに、ドア閉時にはドア閉用学習更新係数α1を設定し、ドア開時にはドア開用学習更新係数α2を設定するようにして、ドアの開閉状態に応じてα1<α2である異なる2つの係数を用いるようにしたが、摺動抵抗の少ないドア開時には学習更新係数の更新を行わないようにしてもよい。図11にこの場合の学習更新係数設定処理の処理フローを示す。なお、上記実施例と同一のステップについては同一符号を付して説明を省略する。図11に示すステップS42において、ドアの開閉状態を判定し、ドアが閉状態の場合(ステップS42;YES)は、上記実施例と同様にステップS13で学習更新係数αにドア閉用学習更新係数α1(0<α1<1)を設定する。一方、ドアが閉状態でない、すなわち開状態の場合(ステップS42;NO)は、以降の処理を行わず処理を終了する。このように構成しても、上記実施形態のパワーウインドウ装置1と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態では、差分データdから更正差分データDへの換算を図3に示すように行っていたが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、図3の例では、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えると、更正差分データDを一定値である外乱学習データ更新量に設定していた。
しかし、これに限らず、図12(A),(B)に示すように、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えた場合に、外乱学習データ判別しきい値(−β,β)の前後で更正差分データDの値が連続するように設定してもよい。同図(A)では、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えると、換算される更正差分データDが外乱学習データ更新量(−γ,γ)に指数関数的又は高次関数的に近づくように設定されている。また、同図(B)では、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えると、換算される更正差分データDが外乱学習データ更新量(−γ,γ)に徐々に近づき、所定の値以上で外乱学習データ更新量(−γ,γ)となるように設定されている。
また、同図(C)に示すように、外乱学習データ判別しきい値(−β,β)の範囲(通常学習データ更新範囲)内で差分データdの大きさに応じて更正差分データDを段階的(階段状)に設定するようにしてもよい。
また、同図(D)に示すように、外乱学習データ更新量(−γ,γ)の値をそれぞれ外乱学習データ判別しきい値(−β,β)と同じ値に設定してもよい。すなわち、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えた場合には、換算される更正差分データDが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)に固定される。これにより、差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β,β)を超えた場合に、外乱学習データ更新量(−γ,γ)を別途設定する必要がなくなるため、データ処理を簡素化することができる。また、同図(A)〜(D)を組合せた態様としてもよい。
また、上記実施形態では、車両のパワーウインドウ装置1に本発明の開閉体制御装置を適用した例を示したが、これに限らず、サンルーフ開閉装置やスライドドア開閉装置等の開閉体を開閉駆動する装置に全般に適用してもよい。
また、上記実施形態では、学習データΔωが各パルスカウント値に対応するデータ列となっていたが、これに限らず、学習データΔωをnパルスカウント値毎(nは2以上の自然数)に記憶されるデータ列とすることにより、パルスカウント値毎に記憶する場合と比べて、コントローラ31内に記憶するメモリ記憶容量を低減することができる。この場合、nパルスカウント値毎に平均した値として記憶させることができる。そして、挟み込み判定においては、対応するパルスカウント値の学習データΔωを読み出すか、もしくは、該当するパルスカウント値の学習データΔωがない場合には、その前後の学習データΔωを読み出してこれらを比例配分した値を学習データとすることができる。
本発明の一実施形態に係るパワーウインドウ装置の説明図である。 図1のパワーウインドウ装置の電気構成図である。 差分データを更正差分データへ換算する方法を表す説明図である。 回転速度差及び学習データの累積値の変動状況を表すグラフである。 外乱入力時の回転速度差及び学習データの累積値の変動状況を表すグラフである。 挟み込み判定の処理フローである。 外乱入力時の挟み込み判定の説明図である。 学習更新係数設定の処理フローである。 学習データ更新の処理フローである。 更正差分データ算出の処理フローである。 本発明の他の実施形態に係る学習更新係数設定の処理フローである。 本発明の他の実施形態に係る差分データを更正差分データへ換算する方法を表す説明図である。 ドア開時及び閉時のウインドウガラス位置におけるモータ回転速度を表すグラフである。
符号の説明
1‥パワーウインドウ装置、2‥駆動手段、3‥制御手段、4‥操作スイッチ、
5‥バッテリ、7‥ドア開閉検出装置、10‥ドア、10a‥インナパネル、
11‥ウインドウガラス、11a‥キャリアプレート、
21a,21b‥ブラケット、22‥ガイドレール、
23‥モータ、24‥テープ、25‥スライダ、26a,26b‥ガイドフレーム、
27‥回転検出装置、31‥コントローラ、32‥駆動回路

Claims (5)

  1. ドアに設けられた開閉体を開閉駆動する駆動手段と、
    前記開閉体の開閉移動に応じた速度検出信号を出力する移動速度検出手段と、
    前記開閉体の閉動作時の位置に応じた平均移動速度データを学習データとして予め記憶する移動速度記憶手段と、
    前記学習データと、前記開閉体の閉動作時に前記移動速度検出手段から受信した速度検出信号とに基づいて前記開閉体の異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段と、
    前記開閉体の閉動作時の速度検出信号が所定値を超えると外乱を検出する外乱検出手段と、
    前記開閉体の閉動作時の速度検出信号に基づいて算出された平均移動速度データをもとに前記学習データを更新可能な移動速度更新手段と、を備えた開閉体制御装置であって、
    前記移動速度更新手段は、ドアの開閉状態に関連して前記学習データの更新の有無を制御し、ドア開時とドア閉時とで異なる更新係数を用いて前記学習データを算出し、さらに前記外乱検出手段により外乱が検出された場合には所定範囲内の値となるように補正した外乱更新値を用いて前記学習データを算出し、更新することを特徴とする開閉体制御装置。
  2. 前記更新係数は、ドア開時の更新係数がドア閉時の更新係数より大きいことを特徴とする請求項1記載の開閉体制御装置。
  3. 前記外乱更新値は、前記速度検出信号に応じて可変可能であることを特徴とする請求項1記載の開閉体制御装置。
  4. ドアに設けられた開閉体を開閉駆動する駆動手段と、
    前記開閉体の開閉移動に応じた速度検出信号を出力する移動速度検出手段と、
    前記開閉体の閉動作時の位置に応じた平均移動速度データを学習データとして予め記憶する移動速度記憶手段と、
    前記学習データと、前記開閉体の閉動作時に前記移動速度検出手段から受信した速度検出信号とに基づいて前記開閉体の異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段と、
    前記開閉体の閉動作時の速度検出信号に基づいて算出された平均移動速度データをもとに前記学習データを更新可能な移動速度更新手段と、を備えた開閉体制御装置であって、
    前記移動速度更新手段は、ドアの開閉状態に関連して前記学習データの更新の有無を制御し、ドア開時には前記学習データの更新を行わないことを特徴とする開閉体制御装置。
  5. 前記駆動手段はモータを備え、前記移動速度検出手段は前記速度検出信号として前記モータの回転速度信号を出力し、前記平均移動速度データは前記回転速度信号に基づいて算出された前記モータの平均回転速度データであることを特徴とする請求項1又は4記載の開閉体制御装置。
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