JP4670145B2 - 光導波路デバイスの作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ気相堆積装置を用いてクラッド領域とコア領域とを含む光導波路層を基板上に堆積し、光導波路デバイスを作製する作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光導波路デバイスは、従来から、プラズマ気相堆積(Plasma Chemical Vapor Deposition:PCVD)法を用いた作製方法により作製されている。この作製方法では、TEOS(Tetraethoxysilane)ガス及び酸素(O2)ガス等が原料ガスとして用いられ、まず、酸化ケイ素から成る下部クラッド層及びコア層が基板上に順次形成される。次に、フォトリソグラフィによりコア層がパターニングされた後、エッチングによりコア領域が形成される。その後、上記の原料が再び用いられ、コア領域を有する下部クラッド層の上に上部クラッド層が形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者らの研究の結果、上記のようなPCVD法を用いた作製方法により光導波路デバイスを作製した場合は、偏波依存性損失が十分に低減されないことが分かった。そして、偏波依存性損失が生じる原因について更に研究を重ねたところ、コア領域の周囲において、PCVD法により堆積される酸化ケイ素膜の膜質に差があることが明らかとなった。すなわち、PCVD法により上部クラッド層を堆積する際には、コア領域の上部の角部での堆積速度が速くなる傾向があり、そのため、オーバーハングと呼ばれる張り出し部が形成される。オーバーハングが形成されると、コア領域の側壁部への原料ガス(プラズマにより生成されるイオン等)の供給が阻害されるため、側壁部の酸化ケイ素の密度が低くなってしまうこととなっていた。そのため、コア領域の上部と側壁部とで密度の異なる酸化ケイ素が形成されることとなり、この密度の相違に起因した応力がコア領域に加わっていた。その結果、コア領域に歪みが生じ、この歪みにより偏波依存性損失が発生していた。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、コア領域に歪みが発生するのを抑えることにより偏波依存性損失が低減された光導波路デバイスを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明に係る光導波路デバイスの作製方法は、プラズマ気相堆積装置を用いてクラッド領域とコア領域とを含む光導波路層を基板上に形成し、光導波路デバイスを作製する方法であって、(1)プラズマ気相堆積装置を用いて、所定の高周波電力値にて、下部クラッド層と、コア層と、屈折率が下部クラッド層と等しいキャップ層とを基板上に順次形成した後、(2)キャップ層及びコア層の所定の一部を除去することにより、上部にキャップ層を有しており、光が閉じ込められて伝搬されるコア領域を形成し、(3)上部にキャップ層を有するコア領域を備えた基板上に、プラズマ気相堆積装置を用いて上部クラッド層を形成するに際して形成されるオーバーハングが大きくなるに従って、高周波電力値を上記の所定の高周波電力値と等しい値から漸次増加させる。
【0006】
すなわち、上記の作製方法では、PCVD装置を用いて、下部クラッド層とコア層とが基板上に順次堆積された後に、下部クラッド層と同一の屈折率を有するキャップ層がコア層上に堆積される。ここで、キャップ層の堆積時に供給される高周波電力は、下部クラッド層及びコア層の堆積時と同一である。したがって、コア層及びキャップ層の膜質は略同一であり、この2つの層の間に応力は生じない。
【0007】
この後、所定の部分のキャップ層とコア層とを除去すると、除去されずに残された、上部にキャップ層を有するコア層が光の伝搬するコア領域となる。
【0008】
次に、上部にキャップ層を有するコア領域を備えたクラッド層の上に、PCVD装置により、上部クラッド層が堆積される。このときには、堆積開始直後には、下部クラッド層、コア層、及びキャップ層を堆積した際に供給した高周波電力と等しい電力値にて高周波電力を供給するようにしておき、堆積が進むとともに電力値を徐々に増加させる。
【0009】
上部クラッド層の形成開始の直後には、オーバーハングは小さく、上部クラッド層の形成が進むとともに、オーバーハングは急速に大きくなっていく。よって、原料ガス(プラズマにより生成されるイオン等)は、上部クラッド層の形成開始直後にはコア領域の側壁部へと比較的容易に到達できるものの、オーバーハングが形成されると側壁部へ到達し難くなってしまう。
【0010】
上記の作製方法によれば、上部クラッド層の形成開始時には、PCVD装置のチャンバに備えられた電極へと供給する高周波電力を下部クラッド層及びコア層の堆積時と等しくしておき、堆積中に高周波電力を徐々に増加させていく。高周波電力の増加とともに、プラズマにより生成されるイオン等を側壁部へと引き寄せる電圧、いわゆる引き込み電圧を高くできる。そのため、原料ガス(プラズマにより生成されるイオン等)は、オーバーハングの形成後も、この高い引き込み電圧に引き寄せられてコア領域の側壁部へと到達し得る。よって、密度の高い酸化ケイ素膜がコア領域の側壁部に形成され得る。故に、コア領域の側壁部に形成される上部クラッド層の密度を、コア領域の密度と略同一とすることが可能となる。したがって、コア領域の側壁部に形成される上部クラッド層とコア領域との間で生じる応力が十分に低減され得る。その結果、コア領域には歪みが生じず、偏波依存性損失の発生が十分に抑制される。
【0011】
また、キャップ層の上に堆積される上部クラッド層の密度は、高周波電力の増加によりキャップ層の密度に比して高くなるため、密度差に起因した応力が生じ得る。しかし、この応力は、キャップ層があるためにコア領域から離れた部位で発生し、しかもキャップ層で十分に吸収され得るのでコア領域に及ぶ虞はない。そのため、コア領域に歪みが生じることはなく、偏波依存性損失が生じることはない。
【0012】
上記の説明においては、基板上に、下部クラッド層、コア層、及びキャップ層を堆積する構成について述べたが、基板として石英ガラス基板を使用すれば、下部クラッド層の堆積が不要となり、石英ガラス基板上に、コア層及びキャップ層を堆積すれば良いことになる。この場合でも、コア領域に歪みは生じず、偏波依存性損失の発生を十分に抑制することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面と共に本発明による光導波路デバイスの作製方法の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図面においては、石英基板上に成長される各層の層厚の比率を始めとして、寸法比率は、説明のものとは必ずしも一致していない。
【0014】
図1(a)〜(c)は、本実施の形態の作製方法により光導波路デバイスを作製する工程と、各工程終了後の光導波路デバイスの断面を示す模式図である。この作製方法は、大きく分けて光導波層堆積工程、コア領域形成工程、及びオーバークラッド層堆積工程の3つの工程より成り、これらの工程が順次実施される。
(1) 光導波層堆積工程
【0015】
まず、PCVD装置を用いて、石英基板1上に、アンダークラッド層2と、コア層3と、キャップ層4とを順次堆積する。
【0016】
ここで、上記各層2〜4の堆積に用いる原料としては、TEOSガスとO2ガスが好ましい。また、コア層3の堆積時には、コア層3が他の層よりも高い屈折率を持つようにGe等の屈折率増加剤を添加する。Geの原料としては、テトラメチルゲルマニウム(Tetra Methyl Germanium:TMGe)が、その取り扱いが容易である等の理由により好適である。
【0017】
まず、石英基板1をPCVD装置のチャンバ内のサセプタ上に載置し、石英基板1を所定の温度にまで加熱する。その後、アルゴン(Ar)ガス又は水素(H2)ガス等の希釈ガスとともにTEOSガスとO2ガスとをチャンバへ供給し、チャンバ内の圧力を圧力調整器により所定の圧力値に調整する。そして、所定の高周波電力をチャンバに備えられた電極に供給してチャンバ内にプラズマを発生させ、アンダークラッド層2の堆積を開始する。
【0018】
アンダークラッド層2の膜厚が所定の膜厚となった時点で、TEOSガスとO2ガスとの供給を継続したままTMGeの供給を開始し、コア層3の堆積を始める。これにより、TMGeの供給によりコア層3中にGeが添加され、コア層3の屈折率はアンダークラッド層2及びキャップ層4の屈折率よりも高くなり、後に形成されるコア領域を好適に提供し得る。
【0019】
さらに続けて、コア層3の膜厚が所定の膜厚となったところで、TMGeの供給だけを停止し、キャップ層4の堆積を開始する。TMGeの供給を行わないため、ここで堆積されるキャップ層4の屈折率は、先のアンダークラッド層2の屈折率と同一となる。キャップ層4が所定の膜厚となった時点で、TEOSガスとO2ガスとの供給を停止して、キャップ層4の堆積を終了させる。その後、石英基板1を冷却した後、各層2〜4が形成された石英基板1をチャンバから取り出す。以上により、図1(a)に示すように、アンダークラッド層2、コア層3、及びキャップ層4が形成された石英基板1が得られる。
(2)コア領域形成工程
【0020】
次に、コア領域を形成する工程について説明する。まず、レジストをキャップ層4の上に塗布してレジスト膜を形成する。次に、所定パターンのマスクを用いたフォトリソグラフィにより、レジスト膜にコア領域パターンを露光・転写し、さらに、この転写パターン以外のレジスト膜を有機溶剤等により除去する。続けて、石英基板1を反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)装置内のサセプタに載置し、エッチングを行ってレジスト膜が形成されていない部分のキャップ層4とコア層3とを除去する(図1(b))。これにより、光が導波されるコア領域が形成される。
(3)オーバークラッド層形成工程
【0021】
上記コア領域形成工程によりコア領域パターンが形成された石英基板1を再びPCVD装置のチャンバ内のサセプタ上に載置する。石英基板1を所定の温度にまで加熱し、温度が安定化した後、アルゴン(Ar)ガス又は水素(H2)ガスを供給するとともにTEOSガスとO2ガスとをチャンバへ供給し、チャンバ内の圧力を所定の圧力値に調整する。その後、(1)光導波層堆積工程においてアンダークラッド層2、コア層3、及びキャップ層4を堆積したときに供給した高周波電力と等しい高周波電力をチャンバに設けられた電極に対して供給し、チャンバ内にプラズマを発生させる。これにより、オーバークラッド層5の堆積が開始されるが、この堆積開始の直後から、所定の割合で高周波電力を増加させていく。その後、所定の膜厚となったところで、高周波電力の供給と、TEOSガス及びO2ガスの供給とを停止して、オーバークラッド層5の堆積を終了させる。これにより、光導波路が形成された石英基板1が得られる。その後、この石英基板1をチャンバから取り出し、ダイシング等の加工を適宜行い、光導波路デバイス10を得る(図1(c))。
【0022】
続いて、本実施形態の光導波路デバイスの作製方法の作用について、図2を参照して説明する。図2は、実施形態の作製方法により、オーバークラッド層5を形成している時の同層5の形状を示す模式図である。
【0023】
図2に示すように、プラズマにより生成されるシリコンイオン及び酸素イオン等は、キャップ層4の上部の角部Cに吸着し易いため、この角部Cでの堆積速度は他の部分に比べて速くなる。そのため、この部分にオーバーハングOが形成される。このようなオーバーハングOが形成されると、イオン等の活性種はコア層3の側壁部へ到達し難くなる。そのため、側壁部での酸化ケイ素膜Sの密度が低下し易くなる。しかしながら、本実施形態の作製方法によれば、オーバーハングOが形成されてイオン等の活性種が側壁部へと到達しにくくなるに従って、PCVD装置のチャンバに供給される高周波電力が高くなっていく。そのため、イオン等がコア層3の側壁部へとより効果的に引き寄せられるようになり、側壁部に形成される酸化ケイ素膜Aの密度の低下を防ぎ得る。このとき、高周波電力の増加の割合を適宜調整すれば、酸化ケイ素膜Sの密度をコア層3との密度を等しくするとともに均一化し得る。こうすれば、酸化ケイ素膜Sとコア層3との間に応力が生じることはなく、コア領域には歪みが生じず、その結果、偏波依存性損失の発生が抑制される。
【0024】
なお、高周波電力を高くしながらオーバークラッド層5を堆積するため、キャップ層4の上に堆積されるオーバークラッド層5の密度も、キャップ層4の密度に比して徐々に高くなる。そのため、キャップ層4とオーバークラッド層5の間に応力が生じることとなる。しかし、この応力はキャップ層4で吸収され得るのでコア層3には及ばない。そのため、コア領域に歪みが生じることはなく、偏波依存性損失が生じる虞はない。
【0025】
上記において、基板として石英ガラス基板を使用すれば、下部クラッドの堆積が不要となり、始めに石英ガラス基板上に、コア層及びキャップ層のみを堆積すれば良い。
【0026】
上記した光導波路デバイスの作製方法について、実施例により更に具体的に説明する。本実施例においては、アレイ導波路型回折格子(Arrayed Waveguide Grading:AWG)デバイスを作製する。このAWGデバイスは、入力導波路16本と、アレイ導波路120本と、出力導波路16本とがスラブ型導波路部を介して順次結合されてなるものである。
【0027】
まず、PCVD装置のチャンバ内のサセプタ上に石英基板1を載置した。この石英基板1は、直径100mm、厚さ1.0mmである。サセプタは、その内部に設けられたヒータにより加熱されており、これにより石英基板1の温度は400℃に保持される。続いて、チャンバ内にArガスとともに、TEOSガスとO2ガスとをチャンバへと供給した。このとき、真空ポンプによりチャンバ内を排気し、チャンバ内の圧力を1.0Paに調整した。続いて、PCVD装置に設けられた電極に対して、出力電力1000Wの高周波電力(周波数13.56MHz)を供給してチャンバ内にプラズマを発生させ、アンダークラッド層2の堆積を開始した。
【0028】
アンダークラッド層2の膜厚を5μmとし、膜厚が5μmとなった時点でアンダークラッド層2の堆積を終了し、続けてコア層3の堆積を開始した。具体的には、予備実験にて求めておいた堆積速度から計算した膜厚5μmのアンダークラッド層2が堆積される時間が経過した時点で、TMGeの供給を開始した。これにより、アンダークラッド層2の堆積が終了されるとともに、コア層3の堆積が開始される。コア層の堆積中は、TEOSガスとO2ガスとの供給量、及びチャンバへ供給する高周波電力は、アンダークラッド層2の堆積時の供給量及び電力と同一である。
【0029】
コア層3の堆積時のTMGe供給量は0.95sccmとした。このTMGe供給により添加されるGeの濃度は23wt%となり、この添加によりコア層3の屈折率は、アンダークラッド層2の屈折率に比べて0.75%高くなる。コア層3の膜厚は6μmとした。すなわち、堆積速度から求めた所望の時間の経過後、TMGeの供給を停止することによってコア層3の堆積を終了するとともに、引き続いてキャップ層4の堆積を行った。キャップ層4の堆積時も、原料ガスの供給量及び高周波電力等の堆積条件は、アンダークラッド層2の堆積時の条件と同一である。キャップ層4の膜厚は5μmであり、堆積速度から求めた堆積時間の経過後、高周波電力の供給を停止するとともに、TEOSガスとO2ガスとの供給を停止してキャップ層4の堆積を終了した。
【0030】
上記PCVD装置のチャンバから各層2〜4が形成された石英基板1を取り出した後、キャップ層4の上にレジストを塗布してレジスト膜を形成した。次にフォトリソグラフィにより所定のパターンをパターンニングした。
【0031】
続けて、コア領域パターン状のレジスト膜が形成された石英基板1をRIE装置内の反応室内のサセプタに載置した後、エッチングガスであるC26ガスと、H2ガスとを、それぞれ50sccm、5sccm流し、RIEエッチング装置の反応室内の圧力を1.0Paに調整した。その後、この反応室に高周波電力(300W、13.56MHz)を供給して、レジスト膜が形成されていない部分のキャップ層4とコア層3とをエッチングし、所定のパターンのコア領域を形成した。
【0032】
エッチング終了後、コア領域パターンが形成された石英基板1をRIE装置の反応室から取り出し、石英基板1上に残存したレジスト膜をアッシングして除去した。次いで、同基板1をPCVD装置のチャンバ内のサセプタ上に載置した。石英基板1を温度400℃にまで加熱し、温度が安定した後、Arガスを供給するとともにTEOSガスとO2ガスとをチャンバへ供給し、チャンバ内の圧力を0.7Paに調整した。その後、出力電力1000(W)の高周波電力をチャンバに設けられた電極に対して供給し、チャンバ内にプラズマを発生させ、オーバークラッド層5の堆積を開始した。堆積直後より高周波電力の出力値を徐々に増加させ、膜厚15μmのオーバークラッド層5の堆積が終了するまでに1200(W)に達するようにした。
【0033】
オーバークラッド層5の堆積時には、TMGeは供給していないため、この層5の屈折率は、アンダークラッド層2及びキャップ層4の屈折率と略同一である。膜厚が15μmとなった時点で、高周波電力の供給を停止するとともに、TEOSガス及びO2ガスの供給を停止して、オーバークラッド層5の堆積を終了させた。以上により、コア領域及びクラッド領域を有する石英基板1が得られ、この後、石英基板1をPCVD装置から取り出し、ダイシングを行ってAWGデバイスを得た。
【0034】
次に、このAWGデバイスの透過光スペクトルの測定を行った。図3は、実施例のAWGデバイスの透過光スペクトルを示すグラフである。同図の結果から、TE(Transverse-electric)偏波及びTM(Transverse-magnetic)偏波ともに、波長約1549(nm)においてその損失が最小となっており、両偏波の損失が最小となる波長の差(PDλ)は、わずか0.005nmであることが分かった。
【0035】
比較のため、従来の作製方法により、実施例と同一の構成を有するAWGデバイスを作製し、同様の測定を行った。従来の作製方法とは、1000(W)の高周波電力にてアンダークラッド層2とコア層3とを石英基板1の上に堆積した後、フォトリソグラフィとRIEとにより、コア領域パターンを形成し、さらに、高周波電力を1000(W)で一定としたままオーバークラッド層5を堆積するものである。すなわち、従来の作製方法は、(a)キャップ層4の形成を行わない、(b)オーバークラッド層5の堆積時には、高周波出力の出力電力値を1000(W)で一定に保っているという点で実施例の作製方法と異なっている。
【0036】
図4は、従来例のAWGデバイスの透過光スペクトルを示す。同図から、TE偏波とTM偏波との中心波長の差は0.021nmであることが分った。このように、従来例のAWGデバイスでは中心波長の差は、上記の実施例によるAWGデバイスでの0.005nmという結果に比べて、大きな値となっている。この結果から、実施例の作製方法の効果が理解される。
【0037】
以上、本発明に係る光導波路デバイスの作製方法の実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらに限られず様々に変形し得る。例えば、上記の実施例においては、オーバークラッド層5を堆積する際に、高周波電力の出力電力値を1000(W)から1200(W)へと増加させたが、アンダークラッド層2、コア層3、及びキャップ層4の堆積時の電力値以上の範囲で適宜調整されてよい。
【0038】
また、上記実施例においては、オーバークラッド層5の堆積開始から終了までの間に1000(W)から1200(W)へと高周波電力の出力値を増加させるようにしたが、例えばコア領域3,3の間が酸化ケイ素で埋められるまでの期間tfの間に高周波電力の出力値を増加させ、その後、一定としても良い。さらには、期間tfの間は出力値を増加させ、その後には、例えば、アンダークラッド層2、コア層3、及びキャップ層4の堆積時と等しい1000(W)にまで徐々に減少させていっても構わない。コア領域及びオーバークラッド層を形成する酸化ケイ素の密度を略同一とし、これにより、コア領域に加わる応力を抑止できるように高周波電力の出力値の増加割合等を適宜調整すべきことは言うまでもない。
【0039】
基板として石英ガラス基板を使用すれば、下部クラッド層の堆積工程が不要となり工程簡略化、製造コストの低減が実現される。
【0040】
また、本発明の光導波路の作製方法に使用されるプラズマCVD装置としては、平行平板型プラズマCVD装置であっても、誘導結合型プラズマCVD装置であっても良い。
【0041】
さらに、使用するエッチング装置もRIEに限られるものではなく、ECRやICP等の方式を適用したプラズマエッチング装置を用いても良い。
【0042】
また、コア層3にGeを添加してコア層3の屈折率を高くしたが、これに替わり、アンダークラッド層2、キャップ層4、及びオーバークラッド層5に屈折率低下剤を添加し、コア層3の屈折率を相対的に高くするようにしてもよい。屈折率低下剤としては、ホウ素(B)及びフッ素(F)等が好適に使用し得る。また、これらの原料としては、TMB(Trimethylboron)及びTOFS(Triethoxyfluorosilane)などが挙げられる。
【0043】
さらに、Geの原料としてTMGeを用いたが、Geを含む他の有機金属ガス、例えばTMOGe(Tetramethoxygermanium)を使用しても良い。ケイ素の原料としては、TEOSを用いたが、これに替わり、例えばTMOS(Tetramethoxy Silane)を用いても構わない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光導波路デバイスの作製方法によれば、プラズマCVD装置により、高周波電力が同一の下で、基板上に下部クラッド層と、コア層と、屈折率が下部クラッド層に等しいキャップ層とが順次形成される。そして、コア領域が形成された後に、キャップ層を有するコア領域及び下部クラッド層の上に、下部クラッド層等の形成時の高周波電力よりも高い高周波電力で、上部クラッド層が形成される。そのため、コア領域は略同一の密度を有する酸化ケイ素で囲まれることとなり、コア領域に応力が加わることはない。よって、コア領域の歪みの発生が抑えられ、偏波依存性損失が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施の形態の作製方法により光導波路デバイスを作製する工程と、各工程終了後の光導波路デバイスの断面を示す模式図である。
【図2】図2は、実施形態の作製方法により、オーバークラッド層を形成している時の同層の形状を示す模式図である。
【図3】図3は、実施例のAWGデバイスの透過光スペクトルを示すグラフである。
【図4】図4は、従来の作製方法により作成したAWGデバイスの透過光スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1…石英基板、2…アンダークラッド層、3…コア層、4…キャップ層、5…オーバークラッド層、S…酸化ケイ素膜、C…角部、O…オーバーハング。

Claims (2)

  1. プラズマ気相堆積装置を用いてクラッド領域とコア領域とを含む光導波路層を基板上に形成し、光導波路デバイスを作製する作製方法であって、前記プラズマ気相堆積装置を用いて、
    所定の高周波電力値にて、下部クラッド層と、コア層と、屈折率が前記下部クラッド層と等しいキャップ層とを前記基板上に順次形成した後、
    前記キャップ層及び前記コア層の所定の一部を除去することにより、上部に前記キャップ層を有しており、光が閉じ込められて伝搬される前記コア領域を形成し、
    前記上部にキャップ層を有する前記コア領域を備えた前記基板上に、前記プラズマ気相堆積装置を用いて上部クラッド層を形成するに際して形成されるオーバーハングが大きくなるに従って、前記高周波電力値を前記所定の高周波電力値と等しい値から漸次増加させる、
    ことを特徴とする光導波路デバイスの作製方法。
  2. プラズマ気相堆積装置を用いてコア領域と上部クラッド領域とを含む光導波路層を石英ガラス基板上に形成し、光導波路デバイスを作製する作製方法であって、
    前記プラズマ気相堆積装置を用いて、所定の高周波電力値にて、コア層と、屈折率が前記石英ガラス基板と等しいキャップ層とを前記石英ガラス基板上に順次形成した後、
    前記キャップ層及び前記コア層の所定の一部を除去することにより、上部に前記キャップ層を有しており、光が閉じ込められて伝搬される前記コア領域を形成し、
    前記上部にキャップ層を有する前記コア領域を備えた前記石英ガラス基板上に、前記プラズマ気相堆積装置を用いて上部クラッド層を形成するに際して形成されるオーバーハングが大きくなるに従って、前記高周波電力値を前記所定の高周波電力値と等しい値から漸次増加させる、
    ことを特徴とする光導波路デバイスの作製方法。
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