JP4001416B2 - 埋込プレーナ光波回路素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、埋込プレーナ光波回路素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、方向性結合器とか光スイッチ等の埋込プレーナ光波回路素子の開発が進められ、その実用化が図られている。埋込プレーナ光波回路素子は光導波路となるコアを平面内に配列して、これらコアの周囲にクラッド層(下部クラッド層および上部クラッド層)を設けた構造となっている。方向性結合器は2本の光導波路を、波長の数倍以内という微細な間隔で配置させた場合に、光導波路間でパワーが移行する、という現象を利用した光波回路素子である。
【0003】
一方、光スイッチは光導波路の伝搬定数を意図的に変えることによって、それら光導波路の結合長を変えて、光波パワーの移行の度合いを変える素子である。結合長が制御されることにより、100%の光の移行が行われたり、50%の光の移行が行われたりする。
【0004】
このような光の結合または分岐を用いた光波回路素子一般に共通する構造上の特色は、複数のコアがごく近接する構造を持つということ、すなわち、2つのコアが微細間隔で離間して設けられた構造を有している点である。
【0005】
この発明の説明に先立ち、文献(NTT R&D Vol.40,No.2,1991,第199〜204項)に開示されている埋込プレーナ型光波回路素子の従来の製造方法について説明する。ここでは図6を参照して、特に2つのコアが微細間隔で離間して設けられている光結合部の構成部分に注目して、説明する。
【0006】
図6は、石英系埋込プレーナ光波回路素子の製造方法を説明するための工程図である。この従来の製造方法によると、光ファイバー製造技術の応用である火炎堆積法(Flame Hydrolysis Deposition:以下FHD法と略称することもある)を用いて光波回路素子を製造している。
【0007】
まず、四塩化シリコンガスなどを、酸水素バーナ30の酸水素炎中で加熱加水分解して得られるガラス微粒子(粒径〜0.1μm)を、下部クラッド層となるガラス微粒子層24およびコア層となるガラス微粒子層22として、シリコンウェハなどの基板26上に降り積もらせる。このとき、下部クラッド層に対しコアの屈折率は高くしておく必要があるため、例えばコア層となるガラス微粒子層22に酸化ゲルマニウムを含ませるようにして降り積もらせるか、あるいは、下部クラッド層となるガラス微粒子層24に屈折率を低くする不純物を含ませるようにして降り積もらせても良い。この工程により、下部クラッド層となるガラス微粒子層24およびコア層となるガラス微粒子層22が形成される(図6(A))。
【0008】
次に降り積もった2層のガラス微粒子層24および22を透明ガラス化する。そのためガラス微粒子層が形成された基板を電気炉などに入れ、高温(約1250℃)で加熱する。この加熱処理でそれぞれの微粒子層は下部クラッド層12とコア層28に変わる(図6(B))。
【0009】
続いて、コア層28を加工するためにフォトリソグラフィによりエッチングマスクを形成した後、反応性イオンエッチング装置などにより、エッチングを行う。このエッチングによって、2つの離間した、リッジ状(突出した線条)のコア48が形成される(図6(C))。
【0010】
再びFHD法を用いて、上部クラッド層となるガラス微粒子層32を、コア48および下部クラッド層12を覆うように降り積もらせる(図6(D))。
【0011】
最後に、上部クラッド層を透明ガラス化するために、上述と同様に電気炉などに入れ高温に加熱する。この工程により、下部クラッド層12と同じ屈折率の上部クラッド層34が形成される(図6(E))。
【0012】
以上の工程により、埋込プレーナ光波回路素子のうち光の結合または分岐を用いる構造のものが形成される。
【0013】
単一モード光導波路の一般的な寸法の目安としては、コアの幅が4〜10μmで、コアの高さが4〜10μmである。またマッハツェンダー干渉計光スイッチの最小となるコアの間隔は、光の結合または分岐をおこなえる程度、すなわち4μm以下として製造される必要がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光波回路素子においては、伝搬定数が重要な意味を持つ。コアを透過する光の波長、コアの屈折率、クラッド層の屈折率などにより決定される伝搬定数を設計に応じた値に作製する必要がある。一方、既に説明したように光波回路素子一般に共通する性質として、複数のコアが微細な間隔で近接するあるいは交差する構造をもつ必要がある。
【0015】
しかし、上述のFHD法によると、この要件を満たし光波回路素子を作製することが困難であった。その理由は、特に段差のある角の部分において、ガラス微粒子は気体ほどの回り込みがないので、ガラス微粒子を溶融してガラス化したとしても、その隅の部分には溶融ガラスが流れ込まずに空孔ができてしまうからである。このような”空き”ができる現象はアスペクト比が約4以上となると特に顕著である。
【0016】
このように、コアの間隙にクラッド層が満たされていないと、設計に応じた伝搬定数が得られない、すなわち設計に応じた結合長の制御ができない。またコアへの光の閉じ込めが悪くなり、伝搬損失をも引き起こす。
【0017】
一方、高温によりガラス微粒子を溶融しガラス化すると、コアの間隙を埋めることもできる。しかし、このような高温(約1250℃)で熱処理を行うと、コアあるいはクラッド層の屈折率調整にドープした不純物が拡散してしまう。このように、コアあるいはクラッド層の不純物が、それぞれ隣接するクラッド層あるいはコアに拡散してしまうと、コア−クラッド層間で急峻な屈折率分布が得られない。それは設計に応じた伝搬定数が得られないということ、すなわち目的とする光波回路素子の特性を得られないということを意味している。また伝搬損失も増大する。
【0018】
このように、FHD法によると、設計に応じた特性を持つ光波回路素子を得ることが困難であった。また、FHD法は高温でのガラス細工のような窯業的な側面を持ち、実施を一層困難なものにしていた。
【0019】
また、これらコアおよびクラッド層の形成に化学気相成長法も検討されたが、この出願に係る発明者の知る限りにおいて、アスペクト比2.5以上の下地に良質なクラッド層の成膜を保証する化学気相成長装置は無かった。
【0020】
そこで、従来より、コア間の微細な間隔(又は間隙)をクラッド層で満たすことのできる光波回路素子の製造方法の出現が望まれていた。
【0021】
また、製造工程中に光波回路素子の特性に悪影響を及ぼすような処理を含まない光波回路素子の製造方法の出現が望まれていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】
このため、この発明によれば、基板上に下部クラッド層を形成する第1工程と、前述の下部クラッド層上にコア層を形成する第2工程と、前述のコア層をエッチングすることにより互いに微細な間隔で近接したコアをリッジ状に形成する第3工程と、前述のコアと下部クラッド層とを覆うように上部クラッド層を形成する第4工程とを含み、その第4工程は、コアと下部クラッド層とを覆う膜を形成する膜形成工程と、その膜をエッチングする膜エッチング工程とを順次に繰り返し行って、得られた積層膜を前述の上部クラッド層として形成することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、コア間の微細な間隙を上部クラッド層によって埋め込む第4工程が、膜形成工程と膜エッチング工程とからなるため、コア間の微細な間隙を、上部クラッド層で満たすことができる。
【0024】
すなわち、1回目の膜形成工程において、コアの壁面からの膜の成長により、コア間の微細な間隙が閉塞されてしまうことがある。閉塞されると予想できたかあるいは閉塞したときに1回目の膜形成を終了させる。次に、膜エッチング工程を行って、成膜の上面側から厚みの方向に部分的にエッチング除去する。このエッチングは基板面に垂直な方向であってコア側から行う異方性エッチングとする。その際、異方性の高いエッチングとすることにより、膜の上面に露出している部分ほどエッチングされやすい。このため、このエッチングにより残存した膜は実質的にコアの壁面に等厚で残存するか、或いは上側ほど膜厚が薄くなるように残存する。従って、コア間の凹部の上部の開口は、凹部の底部分の開口とほぼ同程度か、それ以上にまで広がっている。従って、次の膜形成工程により、コア間の微細な間隙を二層目の膜で満たすことが容易となる。それでもなおコアの微細な間隙を二層目の膜で満たすことができないで空孔ができてしまうおそれがある場合には、それらのエッチングおよび膜形成工程を繰り返し行う。
【0025】
この構成における工程により、最終的に積層された積層膜によってコア間の微細な間隙を隙間なく満たすことができる。そして、この積層膜が上部クラッド層となる。従って、この上部クラッド層はコア間に空孔を有していないので、この上部クラッド層を具えた光波回路素子は、設計に応じた伝搬定数を得ることが出来るため、設計に応じたように結合長の制御が可能となる。
【0026】
これは特に、従来の形成技術では困難であったアスペクト比が3以上のものについて好適である。
【0027】
また、前述の第1工程または第2工程または膜形成工程の少なくとも一つに、プラズマ化学気相成長法を用いると、より好適である。この場合には、堆積ガスがプラズマにより励起されるため、基板の温度を膜が形成される程度の温度という低い温度、すなわち、約300〜500℃の範囲内の温度に設定して成膜が可能となる。すなわち、コアあるいはクラッド層の屈折率調整のためにドープしていた不純物の拡散の低減が見込めるため、コアとクラッド層との間に急峻な屈折率を得ることができる。
【0028】
また、前述の第4工程での膜エッチング工程を、不活性ガス含有ガスを用いたドライエッチング法で行い、前述の膜形成工程および膜エッチング工程の繰り返しの回数に併せて、この不活性ガス含有ガス中における不活性ガスの含有量を減少させていくと良い。この含有量の減少調整は、これらの工程の処理を行うチャンバ内への不活性ガスの流量を減少させることにより、行うことが可能である。不活性ガスの割合を減少させることで、エッチングは、不活性ガスイオンによる物理的(異方的)なものから、中性活性種による化学的(等方的)なものへと変わっていく。すなわち、不活性ガス含有ガス中における不活性ガスの含有量を減少させることによって、エッチングをより等方的とすることができる。
【0029】
また、不活性ガス含有ガスを用いることによって、形成された膜の表面が不活性ガスイオンによって衝撃される。そのため、未結合手の密度が少なく多韻環構造の少ない、密度の大きい膜を形成することができる。
【0030】
また、前述の膜エッチング工程を、ドライエッチング法で行うのが好ましい。このドライエッチングは、広く使用されているエッチングガスを用いて、前述の膜形成工程および膜エッチング工程の繰り返しの回数に併せて、このエッチングガスのチャンバ内での圧力を上昇させていくと良い。圧力を上昇させることにより、より等方的なエッチングが可能となる。
【0031】
また、前述の膜形成工程にプラズマ化学気相成長法を用い、かつ膜エッチング工程にドライエッチング法を用い、このプラズマ化学気相成長法とドライエッチング法とを同一の装置の同一のチャンバで行うと良い。それぞれプラズマを用いた化学気相成長法とドライエッチングとを同一の装置で行うことにより、チャンバ間の移動が省略できるので、製造がより簡略化される。
【0032】
また、好ましくは、前述のコア層およびクラッド層(下部クラッド層および上部クラッド層)のいずれか一方または双方の層を、酸化シリコンを含む層とすると良い。なぜなら、酸化シリコンガラスは、光の伝搬損失が少ない、加工特性に優れる、加工技術の研究が進んでいるなど、物理的および化学的に優れた性質を有するためである。
【0033】
また、そのように酸化シリコンを含む層を形成する場合、化学気相成長法を用い、かつトリエトキシシラン(Triethoxysilane 以下TRIESと略称することもある)を含むガスを用いると良い。TRIESを用いると、モノシランなどを用いる場合に比べ、パーティクルが混入しにくいためである。
【0034】
また、好ましくは、前述の下部クラッド層と上部クラッド層とを構成する積層膜とを酸化シリコンを含む膜とするとき、前述の第1工程および膜形成工程を有機フッ化物ガスを用いたプラズマ化学気相成長法で行い、および前述の膜エッチング工程をそれと同一の有機フッ化物ガスを用いたドライエッチング法で行うと好適である。同一のガスを複数の工程に用いることにより、ガス配管や有害ガス等の除害設備などを簡略化することができる。
【0035】
あるいは、前述の下部クラッド層と上部クラッド層とを構成する積層膜とを酸化シリコンを含む膜とするとき、前述の第1工程および膜形成工程を有機フッ化物ガスを用いたプラズマ化学気相成長法で行い、および前述の第3工程をそれと同一の有機フッ化物ガスを用いたドライエッチング法で行うと好適である。同一のガスを複数の工程に用いることにより、ガス配管や有害ガス等の除害設備などを簡略化することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図はこの発明を理解できる程度に、各構成成分の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、この発明を図示例に限定するものではない。
【0037】
図1、図2および図3〜図5は、この出願の各発明の実施の形態の説明に供する図である。図1(A)は、図2のA−A線に沿って切って取った断面の切り口を示す図および図1(B)は図2のB−B線に沿って切って取った断面の切り口を示す図である。図2は、この発明の製造方法による、並設されたコア間の微細な間隙を有する素子であって、光の結合または分岐を用いる光波回路素子の一つの例であるマッハツェンダー干渉計光スイッチの構成例を示す平面図である。図3〜図5は、埋込プレーナ光波回路素子の製造方法の説明に供する製造工程図である。
【0038】
以下の説明では、図2に示すマッハツェンダー干渉計光スイッチ(以下、MZ光スイッチと略記する)38を例に挙げて説明する。このMZ光スイッチ38の構成は、2本の光導波路であるコア48(48a、48b)を具えていて、これら光導波路である第1コア48aおよび第2コア48bの中途に光結合部50が二つ設けられている構成となっている。
【0039】
この二つの光結合部50は、周知の通り光のパワーを等しく分岐するカプラとなっている。例えば光信号入出力端40から光導波路である第1コア48aに光信号が入力されたとする。その光信号は一方の光結合部50によって、第1コア48aおよび第2コア48bに光パワーが等しくなるように分岐する。第1コア48aおよび第2コア48bにおいて光の位相差がない場合、すなわち薄膜ヒーター52による伝搬定数の制御を行わない場合には、光信号が入力された光導波路である第1コア48aから第2コア48bに乗り移り、もう一方の光信号入出力端46から出力される。また、薄膜ヒーター52により二つの光導波路である第1コア48aおよび第2コア48bに位相差πを与えた場合は、光信号が入力された光導波路である第1コア48aから乗り移ることなく、そのまま光信号入出力端44から出力される。また、光信号入出力端42から光導波路である第2コア48bに光信号が入力された場合も同様である。
【0040】
図3〜図5は、MZ光スイッチ38の製造方法として、本発明の特徴部分である、上部クラッド層の形成までの工程を、図2のA−A線に沿って切って取って示した断面の切り口に対応する部分で示した図である。
【0041】
ここで、基板、コアおよびクラッド層を形成する材料は、この発明での目的とする光波回路素子が形成できる材料であれば、特にそれぞれの形成材料は限定されるものではない。ただし、コアと基板との間の下部クラッド層の厚さが、コアと基板との相互作用が無視できる程度に厚ければ良い。ただし、下部クラッド層がそのような厚さとしない場合は、使用する光の波長に対する基板の吸収係数および屈折率に留意して基板の材料を決めれば良い。
【0042】
コアまたはクラッド層を形成する材料として、酸化シリコンを含んでなる石英系ガラス、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略称することもある)、ポリウレタン、エポキシなどを含んでなる有機系ガラス、その他の多成分ガラスまたは結晶化ガラスなどがある。また、コアとクラッド層で材料を同一にしても異ならしめても良い。
【0043】
また、コア層およびクラッド層(下部クラッド層および上部クラッド層)のいずれか一方または双方を、酸化シリコンを含む層として形成するのが好適である。酸化シリコンは加工特性に優れていることから、より微細な加工が可能となり、よって光波回路素子の一般的な特性の向上を望むことができる。
【0044】
また、特に、少なくともコア層を酸化シリコンを含む層として形成すると、更に好適である。光導波を行うコアが酸化シリコンを含んでなる場合、酸化シリコンの光透過性の高さ、および広く用いられている石英系光ファイバーと同様の材料からコアが形成されることにより、より伝搬損失の少ない、より光ファイバーとの整合性に優れた光波回路素子を得ることができる。
【0045】
酸化シリコンを含む層を形成するときは、原料ガスとしてTRIES(トリエトキシシラン)を含有するガスを用いた化学気相成長法を用いると良い。TRIESを含有するガスとは、例えば、O2 、O3 、N2 Oなどを含み、そのほか屈折率の調整用などの不純物ガスを含むガスのことである。TRIESはモノシランなどを用いる場合に比べ、基板などの被形成物の表面付近で反応が進行するため、中間生成物などのパーティクルが、形成される層または膜の中に混入しにくいためである。そのため伝搬損失が低減され、所望とする伝搬定数も得られ易くなる。また、PMMAを主成分とする層を形成するときは、スピンコート法やディップ法などの従来周知の方法をとれば良い。
【0046】
まず、製造の前処理として、基板26の洗浄を行う(図3(A))。
【0047】
第1工程として、基板26の上に下部クラッド層12の形成を行う(図3(B))。続いて、コア層28の形成を行う(図3(C))。この第1工程および第2工程に用いる形成方法としては、特に限定しない。例えば、蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法(以下、CVD法と略記することもある)、FHD法、ゾル−ゲル法、スピンコート法、ディップ法などである。下部クラッド層12、コア層28、それぞれの材料に応じた形成方法をとることとする。
【0048】
ただし、コア層またはクラッド層に不純物をドープするときは、不本意な不純物の拡散が生じないような形成方法をとることが望ましい。また、形成する際、使用する光に対し吸収をもつ不純物などが混入してしまう場合があるが、そのようなときに、熱処理などを行う場合があっても良い。
【0049】
続いて、フォトリソグラフィなどにより、コア層28を加工するためのレジストパターン36をコア層28の表面に形成する(図3(D))。なお、レジストのみを用いてレジストパターン36を形成しても、レジストの下にアモルファスシリコン、タングステンシリコン、アルミニウムやクロム等の膜とレジストとを用いて多層レジスト構造のレジストパターン36を形成しても良い。
【0050】
次に、第3工程として、レジストパターン36間に露出しているコア層28の領域に対しエッチングを行って、コア48が形成される(図4(A))。この第3工程に用いるエッチング法は、特に限定されない。ウェットエッチングまたはドライエッチングを用いることができる。ただし、コア48の側壁が基板26の上面に垂直またはほぼ垂直となるようにエッチングできる方法であれば良い。好適にはプラズマを利用したドライエッチングであって、異方性エッチングの可能なもの、例えば反応性イオンエッチング法、反応性イオンビームエッチング法などを用いると良い。このエッチング工程により、2本の互いに平行な、ストライプ状のコア48を得る。従って、これら隣接する2つのコア48の互いに対向している側壁も実質的に平行となっている。
【0051】
次に、第4工程の膜形成工程として、上部クラッド層の一部となる膜13の形成を行う(図4(B))。この膜形成工程には、CVD法、スパッタ法または材料に応じたその他の任意好適な方法を用いることができるが、それ以外であっても、外部から膜の原料または膜を構成する材料が供給されることにより、その膜厚がおおむね均一となるように表面から徐々に膜の形成が行われるような形成方法であれば良い。また、この膜形成工程は、コアの壁面からの膜の成長により、コア間の微細な間隙が閉塞されたとき、或いは閉塞されると予測できたとき、膜形成工程を終了させればよい。
【0052】
これらの形成方法によって膜の形成を行うとき、下地の形状によって、または表面の各部位における膜形成の速度の違いによって、ある部位に膜の原料または膜を構成する材料が外部から供給されなくなり、その部位に不本意な空隙が形成されてしまうこととなる。より具体的に説明すると、図4(B)に概略的に示されているように、コア48の向かい合って突出した角の部分からの膜成長が、コア48の平坦な側壁のより基板26に近い下側の部分からの膜成長と比べ、その成長速度が速くなることがある。そのまま膜の形成を継続すると、先ず、角の部分からの基板に平行な方向への膜によりコアの微細な間隙が閉塞されてしまい、それよりも下側にある部位に膜の形成が行われなくなり、2つのコア48の間の間隙に不本意な空隙が形成されることとなる。
【0053】
そのため、第4工程の膜エッチング工程として、上部クラッド層の一部となる膜13をエッチングし、膜14を形成する(図4(C))。膜エッチング工程に用いるエッチングは、特に限定されない。ウェットエッチング或いはドライエッチングを用いることができる。ただし、異方性の高いエッチングをすることが望ましいため、反応性イオンエッチングや反応性イオンビームエッチングを用いることが望ましい。
【0054】
また、エッチングの異方性を制御できることが望ましい。なぜなら、膜形成工程および膜エッチング工程の繰り返しの回数に併せて、エッチングの異方性を低くした、すなわちより等方的なエッチングを行うことができるからである。このようにすると、膜のエッチングの方向が、基板に垂直な方向に優位のエッチングから、より等方的なエッチングとなるため、基板に垂直な向きの余分なエッチングが低減でき、従って、効率の良いエッチングが可能となる。
【0055】
エッチングの異方性を低くしていくためには、膜形成工程および膜エッチング工程の繰り返し毎に、チャンバ内の圧力を上昇させていくと良い。
【0056】
あるいは、エッチングに不活性ガスを用い、エッチングの異方性を低くしていくために、膜形成工程および膜エッチング工程の繰り返し毎に、不活性ガスのチャンバ内への流量を減少させていくと良い。また、不活性ガスとしては、アルゴンガスが経済的であるため好適である。
【0057】
また、下部クラッド層12と上部クラッド層34を構成する積層膜(上部クラッド層の一部となる膜14、16、18…)とを酸化シリコンを含んでなる膜とするとき、上述の第1工程および膜形成工程をプラズマ化学気相成長法で行い、かつそのときの下部クラッド層12および上部クラッド層34の屈折率をコア28の屈折率よりも低くするために添加する不純物添加用ガスとして有機フッ化物ガスを用い、および上述の膜エッチング工程をそれと同一の有機フッ化物ガスを用いたドライエッチング法で行うと好適である。あるいは、下部クラッド層12と上部クラッド層34を構成する積層膜(上部クラッド層の一部となる膜14、16、18…)とを酸化シリコンを含んでなる膜とするとき、上述の第1工程および膜形成工程をプラズマ化学気相成長法で行い、かつそのときの下部クラッド層12および上部クラッド層34の屈折率をコア28の屈折率よりも低くするために添加する不純物添加用ガスとして有機フッ化物ガスを用い、および前述の第3工程をそれと同一の有機フッ化物ガスを用いたドライエッチング法で行うと好適である。
【0058】
例えば、このような有機フッ化物ガスとしては、CF4 、C2 F6 、C4 F8 、CHF3 を用いることができるが、この中ではC2 F6 が好適である。このように、同一のガスを、不純物添加用のガスとして、またエッチングガスとして、複数の工程に用いることで、ガス配管や有害ガス等の除害設備や漏洩探知機などを簡略化することができる。また、プラズマ化学気相成長法とドライエッチング法を同一の装置で行うと工程の簡略化を図ることができるため、更に好適である。
【0059】
次に、2回目の膜形成工程を行う。1回目の膜形成工程および膜エッチング工程を行って形成された上部クラッド層の一部となる膜14を覆うように、上部クラッド層の一部となる膜15を形成する(図5(A))。2回目の膜形成工程は、上述した1回目の膜形成工程と同様の形成方法をとることができる。
【0060】
2回目の膜形成工程によっても、まだコアの間隙が上部クラッド層で満たされない場合は、2回目の膜エッチング工程を行う。すなわち、上部クラッド層の一部となる膜15をエッチングして、上部クラッド層の一部となる膜16を形成する。その際、上述したように、エッチングの異方性を低くすると良い。2回目の膜エッチング工程は、上述した1回目の膜エッチング工程と同様の、より好適には圧力を上昇させるという条件あるいは不活性ガスの流量を減少させるという条件を付加した、形成方法をとれば良い。
【0061】
また、3回目の膜形成工程によっても、まだコアの間隙が上部クラッド層で満たされない場合は、上述の膜エッチング工程および膜形成工程により、上部クラッド層の一部となる膜の形成を行う。図においては3回目の膜形成工程により、コアの間隙が上部クラッド層34(膜14、膜16および膜18)で満たされており、形成工程は終了している(図5(B))。
【0062】
膜形成工程および膜エッチング工程は、コアの微細な間隙が上部クラッド層で満たされ、かつコアの上面からの上部クラッド層が十分な厚さとなるまで繰り返される。ただし本発明の主旨から明らかなように、膜形成工程により第4工程は終了する。
【0063】
このように、膜形成工程と膜エッチング工程とを繰り返すことで、コア間の微細な間隙を上部クラッド層により隙間無く満たすことができる。
【0064】
先に述べたように、少なくとも膜形成工程および膜エッチング工程を、それぞれプラズマCVD法およびドライエッチング法を用いて行う場合は、それらプラズマCVD法とドライエッチング法を同一装置の同一チャンバ内で行うと、より好適である。なぜならチャンバ間の移動が無くなるため、製造工程をより短くできるためである。例えば、陰極結合型の平行平板型プラズマCVD装置(または陰極結合型の平行平板型プラズマ反応性イオンエッチング装置)、電子サイクロトロン共鳴CVD装置(電子サイクロトロン共鳴を利用した反応性イオンビームエッチング装置)を用いれば良い。なお、陰極結合型とは、基板側にプラズマシースが形成されるように、基板ステージとチャンバが電気的に絶縁され、基板ステージに自己バイアスが印加される構造を指す。
【0065】
図2のMZ光スイッチの光導波部分は以上のように形成される。その後、これにクロムからなる薄膜ヒーターなどの制御用の部品を形成すれば、MZ光スイッチを得ることができる。また、方向性結合器、Y分岐素子、アレイ導波路格子(AWG)なども同様に製造することができることは明らかである。
【0066】
上述のことから理解できるように、光の結合または分岐を行うための並設されたコア間の微細な間隙をクラッド層で覆うことが、より可能となったため、コアへの光の閉じ込めが向上する。すなわち、伝搬損失が低減する。
【0067】
また、光の結合または分岐を行うための並設されたコア間の微細な間隙をクラッド層で満たすことが、より可能となったため、光波回路を構成する光導波路の設計通りの伝搬定数を得られ易くなる。すなわち、結合長の制御など設計に応じた光波回路素子の特性を得られ易くなる。
【0068】
また、これら光の結合または分岐を用いた光波回路素子以外にも、交差するコアの構造を有する埋込光波回路の上部クラッド層の形成に、上述の膜形成工程と膜エッチング工程とを繰り返すことによって、少なくともコアに対するクラッド層のカバレージが向上することは明らかである。それにより、コアへの光の閉じ込めが向上するため、伝搬損失の低減が見込める。
【0069】
また、コア層またはクラッド層をプラズマ化学気相成長法を用いて形成する場合など、すなわち低温での形成が可能な形成方法をとると好適である。なぜなら、屈折率調整用などの不純物が、それぞれクラッド層またはコア層に拡散しないため、コアとクラッド層の間で急峻な屈折率を得ることができるので、設計の通りの伝搬定数を得られ易くなる。
【0070】
【実施例】
以下、実施例として、図1および図2および図3〜図5を参照にして、具体的な製造方法を説明する。
【0071】
ただし、この実施例で述べる使用材料、装置、数値条件などはこの発明の範囲内の一例に過ぎない。したがって、この発明は、以下の使用材料、装置、数値条件などに限定されない。
【0072】
光波回路素子の性質上、低伝搬損失のコアが要求される。そこで以下の実施例では、酸化シリコンを主成分とするコアおよびクラッド層である光波回路素子をプラズマCVD法により形成した。
【0073】
この実施例においては、陰極結合型の平行平板型プラズマCVD装置を用いた。この装置は、TRIES、酸素、C2 F6 およびアルゴンが、チャンバ内に導入可能となっている。また基板を加熱するためのヒーターを具えている。チャンバ内の圧力は、ロータリポンプおよびターボ分子ポンプにより、1×10-5Paまで下げることができる。上部電極の表面には、多数の穴が開けられており、ガスがシャワー状に基板表面に供給されるようになっている。ガスは流量コントローラーにより所望の流量に制御される。チャンバ内の圧力の制御には、チャンバに設置された圧力計およびバタフライバルブにより、所望の一定値に制御することができる。また、基板ステージと上部電極との間に13.56MHzの高周波を印加することにより、チャンバ内にプラズマが発生する。このような装置を用い形成をおこなう。また、シリコンウェハを基板26として用いることとした。
【0074】
まず、基板26を、硫酸と過酸化水素を3:1に混合した温度85℃の溶液により5分間洗浄した。続いて純水により洗浄した。次に純水により1%に希釈したフッ化水素溶液により20分間洗浄した。再び純水により洗浄した(図3(A))。
【0075】
次に上述のプラズマCVD装置のチャンバ内に基板26を設置した。基板26は400℃となるまで加熱した。チャンバ内をロータリポンプにより1Paとなるまで排気した後、ターボ分子ポンプにより1×10-5Paまで排気した。TRIESを12sccm、酸素を400sccm、C2 F6 を10sccmなる流量で、上部電極からチャンバ内に導入する。TRIESはあらかじめ、80℃とし気化させておく。C2 F6 はコアに対するクラッド層の屈折率を約0.3%程度、小さくする目的でドープする。チャンバ内の圧力を30Paに保持し、13.56MHzの高周波を上部電極と基板ステージ間に電力密度1.6W/cm2 で印加した。チャンバ内にプラズマが発生し、3時間30分で基板26の上に膜厚約25μm、屈折率1.452の石英膜からなる下部クラッド層12が形成された(図3(B))。
【0076】
引き続いて同一装置内で、チャンバ内の圧力をロータリポンプおよびターボ分子ポンプにより1×10-3Paまで排気した。TRIESを12sccm、酸素を400sccmなる流量でチャンバ内に導入する。基板26は400℃となるまで加熱されている。TRIESはあらかじめ温度を80℃とし気化させておいた。チャンバ内の圧力を30Paに保持して、13.56MHzの高周波を上部電極と基板ステージの間に1.6W/cm2 で印加した。チャンバ内にプラズマが発生し、1時間10分で下部クラッド層12上に膜厚約8μm、屈折率1.456のコア層28が形成された(図3(C))。その後、高周波の放電およびガスの導入を止め、ロータリポンプおよびターボ分子ポンプを順に用いて、チャンバ内の圧力を1×10-3Paまで排気した。排気後、窒素をチャンバ内に導入し大気圧とし、基板26を取り出した。
【0077】
次にコア層28を加工するための、光波回路素子である光の結合または分岐をおこなう部分の光導波路のパターンが形成されているマスクを用い、一般的に広く用いられている露光法により、コア層28上にレジストパターン36を形成する。具体的にはコア層28を覆うようにレジストをスピンコートを用いて厚さ約1μm塗布した。次にレジストを塗布した基板26を約90℃の恒温槽に10分間保持したのち、水銀ランプのi線を用いた縮小投影露光器にマスクと基板26を設置した。次にコア層28の上のレジストにi線を所定の露光量照射した。現像後、温度80℃の恒温槽内に10分間保持することにより、コア層28上に光波回路素子の光導波路のレジストパターン36が形成された(図3(D))。
【0078】
次に、一般的に広く用いられている反応性イオンエッチング装置のチャンバ内に、レジストパターン36を形成した基板26を設置した。ロータリポンプによりチャンバ内の圧力が1Paとなるまで排気したのち、ターボ分子ポンプを用いて1×10-3Paまで排気した。次に、CHF3 をチャンバ内に100sccmの流量で導入した。チャンバ内の圧力を2Paに保持し、周波数13.56MHzの高周波を1W/cm2 の電力密度で印加した。レジストパターン36をマスクとしてコア層28がエッチングされる。40分後に、高周波の放電およびCHF3 の導入を止め、ロータリポンプおよびターボ分子ポンプを用いて、チャンバ内の圧力を1×10-3 Paまで排気した。排気後、窒素を導入しチャンバ内の圧力を大気圧とした後、基板26を含む下地を取り出した。次に一般的に広く使用されている酸素プラズマアッシャー法と、それに続く硫酸と過酸化水素を3:1に混合した温度85℃の溶液による洗浄とにより、レジストパターン36を剥離した。続いて純水により洗浄した。この工程により、コアの線幅が8μm、高さが8μm、コアの最小の距離が1μmである1組のコア48が形成された(図4(A))。
【0079】
次に、プラズマ化学気相成長装置内に、コアを加工した基板26を設置して、膜形成工程をおこなう。基板26の温度が400℃となるまで加熱し、チャンバ内をロータリポンプおよびターボ分子ポンプにより1×10-5 Paまで排気した。TRIESを12sccm、酸素を400sccm、C2 F6 を10sccm、それぞれの流量で上部電極からチャンバ内に導入した。TRIESはあらかじめ温度を80℃として気化させておいた。チャンバ内の圧力を30Paに保持し、13.56MHzの高周波を上部電極と基板ステージ間に電力密度1.6W/cm2 で印加した。チャンバ内にプラズマが発生し、52分でコア48の上面に膜厚約5μm、屈折率1.452の上部クラッド層の一部となる膜13が形成された(図4(B))。形成後、高周波の印加を止めた。
【0080】
次に、形成された上部クラッド層の一部となる膜13を、コア48の側面部に膜を残すように異方性エッチングするため、膜形成工程で用いた装置と同一のチャンバ内において引き続き膜エッチング工程をおこなう。まず、ロータリポンプとターボ分子ポンプとを用いてチャンバ内の圧力が1×10-3 Paとなるまで排気した。次にC2 F6 を50sccm、酸素を100sccm、アルゴンを50sccmの流量で導入した。チャンバ内の圧力を2Paに保持し、周波数13.56MHzの高周波を1.6W/cm2 の電力密度で印加すると、上部クラッド層の一部となる膜13が異方性エッチングされ、上部クラッド層の一部となる膜14が形成された。コア48の上面および下部クラッドの上面にある膜のエッチング速度が、コアの側面にある膜のエッチング速度よりも、3倍以上大きいので、コア側面部以外の膜厚が減少する(図4(C))。10分後に高周波の印加を止め、C2 F6 、酸素、アルゴンの導入を止め、ロータリポンプおよびターボ分子ポンプを用いてチャンバ内の圧力を1×10-3 Paまで排気した。
【0081】
続いて、同一チャンバ内で、2回目の膜形成工程により、上部クラッド層の一部となる膜15の形成を行う。これは1回目の膜形成工程と同様に行った(図5(A))。
【0082】
この2回目の膜形成工程により、コア48の間隙が上部クラッド層により満たされなかったため、1回目の膜エッチング工程と同様に2回目の膜エッチング工程を行い、上部クラッド層の一部となる膜16が形成された。
【0083】
ただし、膜形成工程および膜エッチング工程を重ねるにつれ、エッチングの異方性を緩やかにしていくと好適であるため、この2回目の膜エッチング工程ではアルゴンの流量を30sccmとした。このようにエッチングを異方的なものから等方的なものとすることにより、コア間の埋め込みは更に容易となっている。
【0084】
次に、同一チャンバ内で、3回目の膜形成工程により、上部クラッド層の一部となる膜18の形成をおこなう。この3回目の膜形成工程により、コア48の間隙に上部クラッド層が満たされた(図5(B))。
【0085】
最後にチャンバ内の圧力をロータリポンプおよびターボ分子ポンプを用いて1×10-3 Paまで排気した。排気後チャンバ内に窒素を導入し大気圧とし基板26を取り出した。
【0086】
以上で、埋込プレーナ光波回路素子の、光の結合または分岐をおこなう、並設されたコアの部分が形成された。このようにアスペクト比が8なるコアの間隙もクラッドガラスが満たされることにより、設計に応じた伝搬定数を得ることができるため、結合長の制御を設計通りに行うことが可能となる。またこのように、コアの微細な間隙にクラッドガラスが満たされることにより、伝搬損失も低減する。また、400℃でコア層とクラッド層の形成をおこなっているため、クラッド層にドープした不純物が拡散せず、コア―クラッド層で急峻な屈折率が得られ、設計に応じた伝搬定数が得られることが期待でき、また伝搬損失も低減する。また酸化シリコンを主成分とするコアおよびクラッド層の形成に、TRIESを用いているため、モノシランなどを用いた場合に比べ、被堆積物表面付近の反応が中心となり、堆積膜の中に中間生成物などのパーティクルが混入しにくくなる。そのため、そのパーティクルによる光の吸収などが低減される。
【0087】
このように微細なコアの間隙をクラッドガラスで満たすことが可能となることにより、光波回路素子としての特性が向上する。
【0088】
【発明の効果】
上述した説明から明らかなように、この発明によれば、係合するコアの微細な間隙にクラッドガラスを満たすことができる。
【0089】
また、プラズマ化学気相成長装置を用いる場合、低温でクラッド層またはコア層の形成が可能となる。
【0090】
以上のことにより、設計に応じた特性を有する光波回路素子を得ることができる。また、伝搬損失を低減することができる。
【0091】
また、膜の形成とその膜のエッチングとを同一装置で行うこと、あるいは複数の工程に同一のガスを用いることで、製造工程の簡略化およびコスト低減などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の説明に供する、図2のマッハツェンダー干渉計光スイッチのA−AおよびB−Bにおける断面の切り口を表す図である。
【図2】実施の形態の説明に供する、埋込プレーナ光波回路素子の例であるマッハツェンダー干渉計光スイッチの概略的な図である。
【図3】埋込プレーナ光波回路素子の製造方法のうち、光結合部の製造工程を示す工程断面図である。
【図4】図3に続く埋込プレーナ光波回路素子の製造方法のうち、光結合部の製造工程を示す工程断面図である。
【図5】図4に続く埋込プレーナ光波回路素子の製造方法のうち、光結合部の製造工程を示す工程断面図である。
【図6】従来の製造工程図である。
【符号の説明】
12:下部クラッド層
13:上部クラッド層の一部となる膜(1回目の膜形成工程後)
14:上部クラッド層の一部となる膜(1回目の膜エッチング工程後)
15:上部クラッド層の一部となる膜(2回目の膜形成工程後)
16:上部クラッド層の一部となる膜(2回目の膜エッチング工程後)
18:上部クラッド層の一部となる膜(3回目の膜エッチング工程後)
22:コア層となるガラス微粒子層
24:下部クラッド層となるガラス微粒子層
26:基板
28:コア層
30:酸水素バーナ
32:上部クラッド層となるガラス微粒子層
34:上部クラッド層
36:レジストパターン
38:マッハツェンダー干渉計光スイッチ
40、42、44、46:光信号入出力端
48:コア
48a:第1コア 48b:第2コア
50:光結合部
52:薄膜ヒーター
Claims (19)
- 下部クラッド層と、コアと上部クラッド層とを具える埋込プレーナ光波回路素子を製造するに当たり、
基板上に酸化シリコンを含む下部クラッド層を形成する第1工程と、
該下部クラッド層上に酸化シリコンを含むコア層を形成する第2工程と、
該コア層をエッチングすることにより互いに微細な間隔で近接したコアをリッジ状に形成する第3工程と、
該コアと前記下部クラッド層とを覆うように上部クラッド層を形成する第4工程とを含み、
該第4工程は、前記コアと前記下部クラッド層とを覆う、クラッド層を構成するための酸化シリコンを含む膜を形成する膜形成工程と、該膜形成工程に続いて施される、該膜をエッチングする膜エッチング工程とを順次に繰り返し行って、得られた積層膜を前記上部クラッド層として形成することを特徴とする埋込プレーナ光波回路素子の製造方法。 - 請求項1に記載の埋込プレーナ光波回路素子の製造方法において、
前記膜エッチング工程は、不活性ガス含有ガスを用いたドライエッチング法で行い、前記膜形成工程および膜エッチング工程の繰り返し毎に前記不活性ガス含有ガス中における該不活性ガスの含有量を減少させていくことを特徴とする埋込プレーナ光波回路素子の製造方法。 - 請求項1に記載の埋込プレーナ光波回路素子の製造方法において、
前記膜エッチング工程は、任意のエッチングガスを用いたドライエッチング法で行い、前記膜形成工程および膜エッチング工程の繰り返し毎に前記エッチングガスの圧力を上昇させていくことを特徴とする埋込プレーナ光波回路素子の製造方法。 - 請求項1に記載の埋込プレーナ光波回路素子の製造方法において、
前記膜形成工程にプラズマ化学気相成長法を用い、かつ前記膜エッチング工程にドライエッチング法を用い、該プラズマ化学気相成長法および該ドライエッチング法を同一のチャンバ内で行うことを特徴とする埋込プレーナ光波回路素子の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の埋込プレーナ光波回路素子の製造方法において、
前記膜エッチング工程におけるエッチングは、前記基板面に垂直な方向であって前記コア側から行う異方性エッチングであることを特徴とする埋込プレーナ光波回路素子の製造方法。 - 光導波路として基板の上に設けられた、酸化シリコンを含んでなる複数のコアをクラッド層で覆う光波回路素子の製造方法において、
前記複数のコアを覆うようにクラッド層を構成するための酸化シリコンを含む膜を形成する工程と、該クラッド層を構成するための酸化シリコンを含む膜を形成する工程に続いて施される、該膜にエッチングを施す工程とを繰り返し行って、得られた積層膜で構成されたクラッド層により前記複数のコアを覆うようにしたことを特徴とする光波回路素子の製造方法。 - 光導波路として基板の上に設けられた、酸化シリコンを含んでなる複数のコアをクラッド層で覆う光波回路素子の製造方法において、
前記複数のコアを覆うように、クラッド層を構成するための酸化シリコンを含む第1の膜を形成する第1の膜形成工程と、該第1の膜形成工程に続いて施される、前記第1の膜にエッチングを施す工程と、エッチングが施された第1の膜上にクラッド層を構成するための酸化シリコンを含む第2の膜を形成する第2の膜形成工程と、を含むことにより、前記複数のコア間をエッチングされた前記第1の膜及び前記第2の膜の積層膜を含んで構成されたクラッド層で埋め込むことを特徴とする光波回路素子の製造方法。 - 前記クラッド層を構成するための酸化シリコンを含む膜を形成する工程と前記エッチングを施す工程とを同一のチャンバ内で行うことを特徴とする請求項6に記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記第1の膜形成工程、第2の膜形成工程、及び前記エッチングを施す工程を同一のチャンバ内で行うことを特徴とする請求項7に記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記クラッド層を構成するための酸化シリコンを含む膜を形成する工程にはプラズマ化学気相成長法を用い、前記エッチングを施す工程にはドライエッチング法を用いることを特徴とする請求項6または請求項8に記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記第1の膜形成工程及び前記第2の膜形成工程にはプラズマ化学気相成長法を用い、前記エッチングを施す工程にはドライエッチング法を用いることを特徴とする請求項7または請求項9に記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記エッチングを施す工程は不活性ガスを含有するガスを用いたドライエッチング法で行い、前記クラッド層を構成するための酸化シリコンを含む膜を形成する工程と前記エッチングを施す工程との繰り返し毎に前記不活性ガスを含有するガス中における該不活性ガスの含有量を減らすことを特徴とする請求項6または請求項8に記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記エッチングを施す工程は、任意のエッチングガスを用いたドライエッチング法で行い、前記クラッド層を構成するための酸化シリコンを含む膜を形成する工程と前記エッチングを施す工程との繰り返し毎に前記エッチングガスの圧力を高くすることを特徴とする請求項6または請求項8に記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記積層膜で構成されたクラッド層は上部クラッド層であり、該上部クラッド層を設ける前に、前記基板と前記複数のコアとの間に下部クラッド層を設ける工程を有することを特徴とする請求項6〜13のいずれか1つに記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記エッチングを施す工程におけるエッチングは、前記基板面に垂直な方向であって前記コア側から行う異方性エッチングであることを特徴とする請求項6〜14のいずれか1つに記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記複数のコア及び前記クラッド層の形成には、トリエトキシシランを含むガスを用いた化学気相成長法を用いることを特徴とする請求項6〜15のいずれか1つに記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記複数のコアはコア層をエッチングによりパターニングすることで形成され、
前記コアの形成及び前記クラッド層の形成には、有機フッ化物ガスを用いることを特徴とする請求項6〜13のいずれか1つに記載の光波回路素子の製造方法。 - 前記下部クラッド層の形成には、前記上部クラッド層の形成に用いる有機フッ化物ガスと同じ有機フッ化物ガスを用いることを特徴とする請求項14に記載の光波回路素子の製造方法。
- 前記複数のコアはコア層をエッチングによりパターニングすることで形成され、
前記コア層のエッチングには、前記上部クラッド層の形成に用いる有機フッ化物ガスと同じ有機フッ化物ガスを用いることを特徴とする請求項18に記載の光波回路素子の製造方法。
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