JP2002267864A - 光導波路デバイスの作製方法及び光導波路デバイス - Google Patents

光導波路デバイスの作製方法及び光導波路デバイス

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JP2002267864A
JP2002267864A JP2001062064A JP2001062064A JP2002267864A JP 2002267864 A JP2002267864 A JP 2002267864A JP 2001062064 A JP2001062064 A JP 2001062064A JP 2001062064 A JP2001062064 A JP 2001062064A JP 2002267864 A JP2002267864 A JP 2002267864A
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optical waveguide
film
substrate
waveguide device
manufacturing
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JP2001062064A
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Kenji Koyama
健二 小山
Shigeru Semura
滋 瀬村
Tetsuya Hattori
哲也 服部
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度制御装置を用いることなく、温度変化に
よる光学的特性の変化を抑制できる光導波路デバイスを
容易に作製する作製方法を提供する。 【解決手段】 本発明による光導波路デバイスの作製方
法によれば、以下の構成の光導波路デバイスが作製され
得る。すなわち、光導波路デバイス10は、石英から成
る基板1と、基板1上に形成されたコア導波路12と、
コア導波路12を覆うように設けられた上部クラッド部
13と、上部クラッド部13の上面に設けられた多孔質
ガラス膜14とを備える。このような構成の光導波路デ
バイス10では、多孔質ガラス膜によって温度変化によ
る光導波路膜の膨張又は収縮が補償され、そのため、温
度変化による光学的特性の変化が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上にクラッド
領域とコア領域とを含む光導波路が形成された光導波路
デバイス、及び光導波路デバイスの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光導波路デバイスは、石英ガラス或いは
シリコン等の基板の上に火炎堆積法(Flame Hydrolysis
Deposition:FHD)法又は化学気相堆積法(Chemical V
apor Deposition:CVD)法により酸化ケイ素を堆積し
て作製される。光導波路デバイスそのものの温度が変化
すると、これらの材料は温度変化量及び線膨張係数に従
って膨張又は収縮する。このような膨張又は収縮が起こ
ると、上記の材料の屈折率が変化することになり、その
結果、光学的特性が変化してしまう。
【0003】このような問題を解決するために、光導波
路デバイスとともに温度調節器を光モジュール内に設
け、この温度調整器により光導波路デバイスの温度を一
定に保つ方法が提案されている(特開平8−11043
1号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、温度調
整器を光モジュール内に組み込む方法では、光モジュー
ル自体が大型化してしまうばかりでなく、温度調整器用
の電源等が必要となりシステム全体も大型化してしまう
といった問題がある。また、温度調整器への電力供給に
伴い、本来は不要であるべき電力消費が生じるなどの不
都合がある。
【0005】そこで、本発明は、上記の事情に鑑みて為
されたものであり、温度制御装置を用いることなく、温
度変化による光学的特性の変化を抑制できる光導波路デ
バイスを容易に作製する作製方法、及びこのような効果
を奏する光導波路デバイスを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る光導波
路デバイスの作製方法は、コア領域とクラッド領域とを
含む光導波路膜を基板上に形成し、光導波路膜の上面及
び基板の裏面のいずれか一方の面に多孔質ガラス膜を成
膜することを特徴とする。
【0007】第2の発明に係る光導波路デバイスの作製
方法は、コア領域とクラッド領域とを含む光導波路膜を
基板上に形成し、光導波路膜の上面と基板の裏面との両
方の面に多孔質ガラス膜を成膜することを特徴とする。
【0008】第3の発明に係る光導波路デバイスの作製
方法は、基板のいずれか一方の面に多孔質ガラス膜を成
膜し、多孔質ガラス膜の上面及び基板の他方の面のいず
れか一方の面にコア領域とクラッド領域とを含む光導波
路膜を形成することを特徴とする。
【0009】第4の発明に係る光導波路デバイスの作製
方法は、基板の両面に多孔質ガラス膜を成膜し、多孔質
ガラス膜のいずれかの表面にコア領域とクラッド領域と
を含む光導波路膜を形成することを特徴とする。
【0010】また、本発明に係る光導波路デバイスは、
上記の光導波路デバイスの作製方法により作製されるこ
とを特徴とする。上記の作製方法によれば、コア領域と
クラッド領域とを含む光導波路膜と、多孔質ガラス膜と
を備える光導波路デバイスが作製される。このような構
成の光導波路デバイスでは、光導波路デバイスの温度が
変化した場合であっても、多孔質ガラス膜により光導波
路デバイスの光学的特性の変化が抑制され得る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る光導波路デバ
イスの作製方法の好適な実施形態について図面を参照し
ながら説明する。なお、図面の説明においては、同一の
要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】(第1の実施形態)先ず、本発明に係る光
導波路デバイスの作製方法の第1の実施形態について説
明する。図1(a)〜(f)は、第1の実施形態の作製方法
の工程と、各工程終了時の光導波路デバイスの断面とを
示す図である。
【0013】基板として、石英ガラスから成る基板1を
使用する。また、その上部に熱酸化法又はCVD法等で
予めSiO2膜が形成されたシリコン基板などを使用し
てもよい。基板1上に、プラズマCVD法にて二酸化ゲ
ルマニウム(GeO2)を添加したコアガラス膜2を形成
する(図1(a))。GeO2の添加によりコアガラス膜
2の屈折率はコアガラス膜2下部のガラスに比べ高くな
り、そのため、光導波路デバイスを伝搬する光を後述す
るコア導波路に好適に閉じ込め得る。
【0014】続けて、このコアガラス膜2をフォトリソ
グラフィ及び反応性イオンエッチングによって加工し、
所定のコア導波路12を形成する(図1(b))。
【0015】次いで、コア導波路12が形成された基板
1上にFHD法にてP25及びB23が添加されたSi
2の粒子からなるスート膜3を形成する(図1
(c))。続けて、スート膜3が形成された基板1を焼結
炉内に入れてヘリウムガス雰囲気下で高温加熱し、スー
ト膜3を透明ガラス化し上部クラッド部13を形成する
(図1(d))。
【0016】これに引き続いて、透明化された上部クラ
ッド部13の上に再度FHD法にてスート膜4を堆積す
る(図1(e))。ここでは、P25及びB23の供給を
行なわずにスート膜4を堆積する。このため、スート膜
4は高純度SiO2から構成されることになる。
【0017】次に、このスート膜4が形成された基板1
を焼結炉内に入れ加熱処理を行なう。この加熱処理で
は、上部クラッド部13となるスート膜3の透明化に用
いた加熱処理とは異なり、スート膜4が完全に透明化し
ないように加熱条件の調整が適宜なされる。加熱条件の
調整とは、具体的には、加熱温度を低くする、加熱時間
を短くする、又は、この両方を行なうことなどを含む。
また、このスート膜4にはPもBも添加されていないた
め、スート膜4はP及びB等が添加されたSiO 2より
も軟化し難い。そのため、上部クラッド部13上のスー
ト膜4が透明化されるのを確実に防ぎ得る。よって、ス
ート膜4は、ここでの加熱処理により完全にはガラス化
されず、多孔質ガラス膜14となる(図1(f))。ま
た、多孔質ガラス膜14の基となるスート膜4が火炎堆
積法により上部クラッド部13上に直接形成されるた
め、この多孔質ガラス膜14は上部クラッド部13と強
固に固定され得る。
【0018】以上により光導波路デバイスの作製は終了
する。この光導波路デバイスは、図1(f)に示す通りの
構造となる。すなわち、光導波路デバイス10は、石英
から成る基板1と、基板1上に形成されたコア導波路1
2と、コア導波路12を覆うように設けられた上部クラ
ッド部13と、上部クラッド部13の上面に設けられた
多孔質ガラス膜14とを備えて構成される。ここで、上
部クラッド部13と多孔質ガラス膜14との界面におい
ては、上述の説明から明らかなように、接着剤等は介在
されてない。
【0019】(第2の実施形態)本発明に係る光導波路
デバイスの作製方法の第2の実施形態について説明す
る。第2の実施形態の作製方法は、上部クラッド部13
の形成工程までは第1の実施形態の作製方法と同一であ
る。その後、FHD法により、添加物を添加することな
くスート膜を形成する。ここで、このスート膜が形成さ
れるのは、第1の実施形態とは異なり、基板1の裏面
(コア導波路12が形成されていない面)である。スート
膜が形成された基板1を焼結炉内に入れ、所定の条件に
て加熱処理を行なう。この加熱処理では、スート膜は、
形成直後のスート膜に比べれば高密度されるものの、完
全には透明化されずに多孔質ガラスの状態となる。
【0020】図2(a)は、以上のように作製される光導
波路デバイスの断面図である。すなわち、光導波路デバ
イス20は、石英から成る基板1と、基板1の表面に形
成されたコア導波路12と、コア導波路12を覆うよう
に設けられた上部クラッド部13と、基板1の裏面に設
けられた多孔質ガラス膜24とを備えて構成される。
【0021】(第3の実施形態)次に、本発明に係る光
導波路デバイスの作製方法の第3の実施形態について説
明する。第3の実施形態においては、先ず、第1の実施
形態における手順と同一の手順により、上部クラッド部
13までの工程が実施される。その後、上部クラッド部
13の上に、P及びB等の添加のないスート膜をFHD
法により形成する。更に続けて、基板1の裏面にP及び
B等の添加のないスート膜をFHD法により形成する。
そして、この基板1を焼結炉内に入れ、所定の条件にて
加熱処理を行なう。このとき、いずれのスート膜も完全
に透明化されず多孔質ガラスの状態となる。
【0022】図2(b)は、以上のように作製される光導
波路デバイスの断面図である。すなわち、光導波路デバ
イス30は、石英から成る基板1と、基板1上に形成さ
れたコア導波路12と、コア導波路12を覆うように設
けられた上部クラッド部13と、上部クラッド部13の
上面に設けられた多孔質ガラス膜14と、基板1の裏面
に設けられた多孔質ガラス膜24とを備えて構成され
る。
【0023】(第4の実施形態)本発明に係る光導波路
デバイスの作製方法の第4の実施形態について説明す
る。図3(a)〜(e)は、第4の実施形態の作製方法の工
程と、各工程終了時の光導波路デバイスの断面とを示す
図である。本実施形態においては、先ず、石英ガラスか
ら成る基板1上に、P及びB等を添加することなくスー
ト膜5をFHD法により形成する(図3(a))。ここ
で、石英ガラスに替わりシリコン基板を用いても良い。
この後、焼結炉内で加熱処理を行なうことにより、この
スート膜5を多孔質ガラス膜15とする。続いて、この
多孔質ガラス膜15の表面を研磨して鏡面状態とする
(図3(b))。
【0024】この鏡面となった多孔質ガラス膜15の表
面上にプラズマCVD法により、先ず、添加物を添加せ
ずに下部クラッド部6となるガラス膜を堆積する。引き
続いて、TMGe(Tetra Methyl Germanium)の供給を開
始し、Geが添加されたコアガラス膜2を堆積する(図
3(c))。そして、コアガラス膜2をフォトリソグラフ
ィと反応性エッチングとにより加工して、所定のパター
ンを有するコア導波路12を形成する(図3(d))。更
に続けて、コア導波路12が形成された基板1上にプラ
ズマCVD法により、上部クラッド部7となる添加物の
添加のないガラス膜を堆積する(図3(e))。
【0025】以上のように作製される光導波路デバイス
は、図3(e)に示す通りの構造となる。すなわち、光導
波路デバイス30は、石英から成る基板1と、基板1上
に形成された多孔質ガラス膜15と、多孔質ガラス膜1
5上に形成された下部クラッド部6と、下部クラッド部
6上に設けられたコア導波路12と、コア導波路12を
覆うように設けられた上部クラッド部7とを備えて構成
される。
【0026】以上、いくつかの実施形態により本発明の
光導波路デバイスの作製方法について説明したが、ここ
で、比較例及び実施例により更に具体的に説明する。以
下の比較例及び各実施例においては、アレイ導波路型回
折格子(Arrayed Waveguide Grating:AWG)デバイス
を作製した。このAWGデバイスは、入力導波路16本
と、アレイ導波路120本と、出力導波路16本とがス
ラブ型導波路部を介して順次結合されてなるものであ
る。
【0027】(比較例)基板として、プラズマCVD法
によりSiO2膜が予め形成されたシリコン基板を使用
した。シリコン基板の厚さは1.0mm、直径は100
mmである。このSiO2膜上に、プラズマCVD法に
てGeO2を添加したSiO2からなるコアガラス膜を形
成した。コアガラス膜の厚さは6μmとした。また、G
eO2の添加により、このコアガラス膜とシリコン上に
予め形成されたSiO2膜との比屈折率差は0.75%
となった。コアガラス膜をフォトリソグラフィ及び反応
性イオンエッチングにより加工して、AWGの回路から
なるコア導波路を作製した。
【0028】次いで、コア導波路が形成された基板をシ
リコンからなるホルダにて把持し、それをターンテーブ
ルのシリコンで形成された部分の上に載置した。ターン
テーブルの下側に配置したヒータでターンテーブルを6
00℃に加熱し回転させながら、基板上にFHD法にて
25及びB23を添加したSiO2からなるスート膜
を形成した。この後、スート膜が形成された基板を焼結
炉内に入れ、Heガス雰囲気下で1300℃、2時間加
熱した。これにより、スート膜が透明ガラス化されて上
部クラッド部が形成された。以上により、比較例のAW
Gデバイスを得た。
【0029】この比較例のAWGデバイスについて、透
過損失が最小となる波長の温度依存性を測定した。すな
わち、比較例のAWGデバイスをいくつかの異なる温度
に保持し、各温度にて透過スペクトルを測定した。
【0030】図4は、比較例のAWGデバイスの透過ス
ペクトルをAWGデバイスの温度をパラメータとして示
すグラフである。図5は、図4で得られた結果を基にし
て、透過損失が最小となる波長を温度に対してプロット
したグラフである。
【0031】図4及び図5より、比較例のAWGデバイ
スでは、温度が25℃から65℃へと上昇すると、損失
最小波長が1549.0nmから1549.4nmへと
増加してしまうことが分かる。図5のグラフの傾きか
ら、損失最小波長の温度依存性は0.01nm/℃であ
ることが分かった。
【0032】(実施例1)実施例1で作製されるAWG
デバイスは、図1(f)に示す光導波路デバイス10と略
同一の構成を有する。先ず、上記比較例における作製方
法と同一の作製方法によって、実施例1のAWGデバイ
スの基となるAWGデバイスを作製した。次に、このA
WGデバイスの上部クラッド部上面にFHD法によりP
及びB等を添加せずにスート膜を堆積した。このとき、
原料ガスであるSiCl4の供給量は100sccmと
し、膜厚が50μmとなるように堆積時間を調節した。
また、膜厚の均一性を考慮し、FHD装置のターンテー
ブルの回転速度を適宜調整した。
【0033】上記のスート膜が形成された基板に対し
て、焼結炉にてHe雰囲気下で1300℃、1時間、加
熱処理を行なった。この加熱処理の後、スート膜は、厚
さが30μmとなっており、また完全な透明化には至ら
ず白色を呈していた。
【0034】このようにして作製した実施例1のAWG
デバイスについて、比較例のAWGデバイスと同様にし
て、透過損失が最小となる波長の温度依存性を測定し
た。その結果、0.006nm/℃という優れた値が得
られた。
【0035】(実施例2)実施例2のAWGデバイス
は、図2(a)に示す光導波路デバイス20と略同一の構
成を有する。実施例1と同様に、先ず、上記比較例にお
ける作製方法と同一の作製方法により、実施例2のAW
Gデバイスの基となるAWGデバイスを作製した。次
に、この光導波路デバイスのシリコン基板の裏面にFH
D法によりP及びB等を添加せずにスート膜を堆積し
た。このとき、原料ガスであるSiCl4の供給量は1
00sccmとし、膜厚が50μmとなるように堆積時
間を調節した。また、スート膜の堆積に際し、FHD装
置のターンテーブルの回転速度等を適宜調整してスート
膜の膜厚均一化を図った。
【0036】上記のスート膜が形成された基板を焼結炉
内に入れ、He雰囲気下で1300℃、1時間、加熱処
理を行なった。この加熱処理の後、スート膜は、厚さが
30μmとなっており、また完全な透明化には至らず白
色であった。
【0037】このようにして作製した実施例2のAWG
デバイスについて透過損失が最小となる波長の温度依存
性を測定した。その結果、波長変化率は0.007nm
/℃であることが分かった。
【0038】(実施例3)実施例3のAWGデバイス
は、図2(b)の光導波路デバイスと略同一の構成を有す
る。実施例3においても、上記比較例のAWGデバイス
と同一の作製方法により作製したAWGデバイスを用い
た。そして、先ず、このAWGデバイスの上部クラッド
部の上面にFHD法によりP及びBを添加せずにスート
膜を堆積した。さらに、シリコン基板の裏面にFHD法
によりP及びBを添加せずにスート膜を堆積した。いず
れのスート膜の場合にも、堆積中には原料ガスであるS
iCl 4を100sccm供給し、膜厚が50μmとな
るように堆積時間を調節した。また、スート膜の膜厚が
均一となるように、FHD装置のターンテーブルの回転
速度を適宜調整した。
【0039】上部クラッド部の上面とシリコン基板の裏
面とにスート膜が形成されたシリコン基板を、焼結炉内
でHe雰囲気下で1300℃、1時間、加熱した。この
加熱処理の後のスート膜は、厚さが30μmであった。
また、このスート膜は、完全な透明化には至らず白色を
呈しており、多孔質ガラス状であった。
【0040】実施例3のAWGについて透過損失が最小
となる波長の温度依存性を測定した結果、波長変化率は
0.002nm/℃まで低減されることが分かった。こ
の値は、実施例1のAWGデバイスの結果に比べても更
に良好である。この理由は、上部クラッド部の上面及び
シリコン基板の裏面の両方に多孔質ガラス膜が設けられ
ているためと考えられる。
【0041】(実施例4)実施例4では、図3(e)に示
す光導波路デバイス40と略同一の構成を有するAWG
デバイスを作製した。先ず、直径100mm、厚さ1.
0mmのシリコン基板をFHD装置内のターンテーブル
上に載置した。シリコン基板の温度を600℃に保持し
た後、SiCl4を酸水素バーナへと供給し、スート膜
の堆積を開始した。このとき、SiCl4の供給量は1
00sccmとした。また、堆積中にはFHD装置のタ
ーンテーブルを所定の回転数にて回転させスート膜の均
一化を図った。スート膜の膜厚が60μmとなった時点
で原料ガスの供給を停止し、スート膜の堆積を終了させ
た。
【0042】続いて、スート膜が堆積されたシリコン基
板を焼結炉内に入れ、He雰囲気下で1300℃にて1
時間、このシリコン基板を加熱した。加熱後のスート膜
は、膜厚が45μmであった。また、加熱処理後のスー
ト膜の色は白色であった。
【0043】この多孔質ガラスの膜の表面を光学研磨し
て鏡面化した。続いて、この鏡面化された表面上に下部
クラッド層となるガラス膜を堆積した。すなわち、この
シリコン基板をプラズマCVD装置のチャンバ内のサセ
プタ上に載置した。チャンバ内にArガスとともに、T
EOS(Tetraethoxysilane)ガス及び酸素(O2)ガスとを
チャンバへと供給した。このとき、真空ポンプによりチ
ャンバ内を排気し、チャンバ内の圧力を1.0Paに調
整した。続いて、プラズマCVD装置に設けられた電極
に対して、出力電力1000Wの高周波電力(周波数1
3.56MHz)を供給してチャンバ内にプラズマを発
生させ、下部クラッド層となる酸化ケイ素膜の堆積を開
始した。下部クラッド層の膜厚は5μmである。
【0044】堆積された酸化ケイ素膜の膜厚が5μmと
なった時点で下部クラッド層の堆積を終了し、続けてコ
ア層の堆積を開始した。具体的には、予備実験等から求
めておいた堆積速度から、膜厚5μmの酸化ケイ素膜が
堆積されるのに要する時間を予め計算しておき、この時
間が経過する時点でTMGeの供給を開始した。これに
より、下部クラッド層の堆積が終了されるとともに、コ
ア層の堆積が開始される。
【0045】コア層の堆積時のTMGe供給量は0.9
5sccmとした。このTMGe供給により添加される
Geの濃度は23wt%となり、この添加によりコア層
の屈折率は、下部クラッド層の屈折率に比べて0.75
%高くなる。コア層の膜厚は6μmとした。堆積速度か
ら求めた所定の時間の経過後、高周波電力の供給を停止
するとともに、TEOSガス、O2ガス、及びTMGe
の供給を停止してコア層の堆積を終了した。
【0046】上記プラズマCVD装置のチャンバから下
部クラッド層とコア層とが順次形成されたシリコン基板
を取り出した後、コア層の上にレジストを塗布してレジ
スト膜を形成した。その後、フォトリソグラフィによ
り、レジスト膜にAWGの回路のパターンを形成した。
【0047】続けて、レジスト膜がAWGの回路のパタ
ーン状に形成されたシリコン基板を反応性イオンエッチ
ング(Reactive Ion Etching:RIE)装置内の反応室内
のサセプタに載置した後、エッチングガスであるC26
ガスと、H2ガスとを、それぞれ50sccm、5sc
cm流した。RIE装置の反応室内の圧力を1.0Pa
に調整した後、この反応室に設けられた電極に高周波電
力(300W、13.56MHz)を供給して、レジスト
膜が形成されていない部分のコア層をエッチングした。
エッチング終了後、シリコン基板をRIE装置の反応室
から取り出し、シリコン基板上に残存したレジスト膜を
アッシングにより除去した。これにより、AWGの回路
を得た。
【0048】続けて、AWGの回路が形成されたシリコ
ン基板をプラズマCVD装置のチャンバ内のサセプタ上
に載置した。シリコン基板を温度400℃にまで加熱
し、温度が安定した後、Arガスを供給するとともにT
EOSガスとO2ガスとをチャンバへ供給し、チャンバ
内の圧力を0.7Paに調整した。その後、チャンバに
設けられた電極に対して出力電力1000(W)の高周波
電力を供給し、チャンバ内にプラズマを発生させ、上部
クラッド層の堆積を開始した。
【0049】上部クラッド層の堆積時には、TMGeは
供給していないため、その屈折率は、下部クラッド層の
屈折率と略同一である。膜厚が15μmとなった時点
で、高周波電力の供給を停止するとともに、TEOSガ
ス及びO2ガスの供給を停止して、上部クラッド層の堆
積を終了させた。以上により、コア領域及びクラッド領
域を有するシリコン基板が得られ、この後、シリコン基
板をプラズマCVD装置から取り出し、ダイシングを行
ってAWGデバイスを得た。
【0050】実施例4のAWGについて透過損失が最小
となる波長の温度依存性を測定した結果、波長変化率は
0.003nm/℃であることが分かった。この値は、
実施例3のAWGデバイスと略同等の良好な結果であ
る。
【0051】以上説明したように、実施例1〜4の光導
波路デバイスでは、比較例の光導波路デバイスに比べ
て、透過損失が最小となる波長が温度によって変化して
しまうのが効果的に低減される。これらの結果から、上
述の各実施形態による光導波路デバイスの作製方法が有
する効果が理解される。
【0052】また、上述の通り、上記の作製方法は、火
炎堆積法、加熱処理、或いはCVD法といった方法によ
っているため、光導波路デバイスは容易に作製され得
る。言い換えると、上述の光導波路デバイスの作製方法
は、このように簡便な方法に基づいているにもかかわら
ず、上記の通り、効果の優れた光導波路デバイスを提供
できるという利点を有する。なお、優れた効果を奏する
理由として本発明者らが推測しているのは、多孔質ガラ
ス膜の線熱膨張係数が負の値を有しており、そのため、
温度変化による光導波路膜の膨張又は収縮が多孔質ガラ
ス膜によって補償され得るということである。
【0053】さらに、多孔質ガラス膜は、火炎堆積法を
用いて形成されるので、基板又は光導波路膜と強固に接
合され得る。よって、光導波路デバイスを長期間使用し
ても、多孔質ガラス膜が剥離してしまうといった問題は
殆ど生じない。すなわち、上述の各実施形態による作製
方法は、信頼性の高い光導波路デバイスを作製できると
いう利点をも有している。
【0054】以上、いくつかの実施形態及び実施例によ
り、本発明に係る光導波路デバイスの作製方法について
説明したが、本発明はこれらに限られるものではなく様
々な変形が可能である。
【0055】例えば、以下のような方法であってもよ
い。先ず、石英基板又はシリコン基板の一方の面に火炎
堆積法を用いてスート膜を形成する。次に、このスート
膜を所定の条件により加熱処理を行なって多孔質ガラス
膜とする。その後、上記の基板の多孔質ガラス膜が形成
されていない面にCVD法によりコア領域とクラッド領
域とを含む光導波路膜を形成する。このような方法によ
り作製される光導波路デバイスは、図2(a)に示す光導
波路デバイスと実質的に同一の構成を有しており、その
ため、実質的に同一の効果を奏する。
【0056】また、次のような方法であっても良い。先
ず、石英ガラス又はシリコンから成る基板の両面の面に
火炎堆積法を用いてスート膜を順次形成する。次に、こ
のスート膜を所定の条件により加熱処理を行なって多孔
質ガラス膜とする。その後、これらの多孔質ガラス膜の
一方の面を研磨して鏡面状態とする。更に続けて、表面
が鏡面状態となった多孔質ガラス膜上にプラズマCVD
法により下部クラッド部とコア層とを形成する。そし
て、コア層をフォトリソグラフィとエッチングとにより
加工してコア導波路を形成した後、上部クラッド部をプ
ラズマCVD法により形成する。
【0057】このような方法により作製される光導波路
デバイスは、図6に示す通りの構成を有する。すなわ
ち、同図において、光導波路デバイス60は、基板1
と、基板1上に形成された多孔質ガラス膜15と、多孔
質ガラス膜15上に形成された下部クラッド部6と、下
部クラッド部6上に形成されたコア導波路12と、コア
導波路12を覆うように設けられた上部クラッド部13
と、基板1の裏面に形成された多孔質ガラス膜24とを
備えて構成される。このような構成によっても、透過損
失が最小となる波長が温度により変化してしまうのを好
適に抑制し得ることは、上記の実施形態及び実施例での
説明から容易に理解される。
【0058】さらに、火炎堆積法により堆積したスート
膜を多孔質ガラス膜とするための加熱処理においては、
その条件は適宜設定されて良い。特に、火炎堆積法にお
ける堆積条件によってはスート膜の密度を実用上十分に
高くすることも可能であり、そのような場合には、加熱
処理を行なわなくても構わない。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
光導波路膜と多孔質ガラス膜とを備えるため温度制御装
置を用いることなく温度変化による光学的特性の変化を
抑制できる光導波路デバイス、及びこのような光導波路
デバイスを容易に作製することのできる作製方法が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(f)は、第1の実施形態の作製方法
の工程と、各工程終了時の光導波路デバイスの断面とを
示す図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、第2及び第3の実施形態
の作製方法により作製される光導波路デバイスの断面図
である。
【図3】図3(a)〜(e)は、第4の実施形態の作製方法
の工程と、各工程終了時の光導波路デバイスの断面とを
示す図である。
【図4】図4は、比較例のAWGデバイスの透過スペク
トルをAWGデバイスの温度をパラメータとして示すグ
ラフである。
【図5】図5は、比較例のAWGデバイスの透過損失が
最小となる波長を温度に対してプロットしたグラフであ
る。
【図6】図6は、本発明の光導波路デバイスの作製方法
により作製された光導波路デバイスの一例を示す断面図
である。
【符号の説明】
1…基板、2…コアガラス膜、3,4,5…スート膜、
6…下部クラッド部、7,13…上部クラッド部、12
…コア導波路、14,15,24…多孔質ガラス膜、1
0,20,30,40,50…光導波路デバイス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 哲也 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 2H047 KA04 PA01 QA04 QA07 TA00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア領域とクラッド領域とを含む光導波
    路膜を基板上に形成し、 前記光導波路膜の上面及び前記基板の裏面のいずれか一
    方の面に多孔質ガラス膜を成膜することを特徴とする光
    導波路デバイスの作製方法。
  2. 【請求項2】 コア領域とクラッド領域とを含む光導波
    路膜を基板上に形成し、 前記光導波路膜の上面と前記基板の裏面との両方の面に
    多孔質ガラス膜を成膜することを特徴とする光導波路デ
    バイスの作製方法。
  3. 【請求項3】 基板のいずれか一方の面に多孔質ガラス
    膜を成膜し、 前記多孔質ガラス膜の上面及び前記基板の他方の面のい
    ずれか一方の面にコア領域とクラッド領域とを含む光導
    波路膜を形成することを特徴とする光導波路デバイスの
    作製方法。
  4. 【請求項4】 基板の両面に多孔質ガラス膜を成膜し、 前記多孔質ガラス膜のいずれかの表面にコア領域とクラ
    ッド領域とを含む光導波路膜を形成することを特徴とす
    る光導波路デバイスの作製方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれか一項に記載の
    光導波路デバイスの作製方法により作製されることを特
    徴とする光導波路デバイス。
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