JP4668470B2 - 車間距離警報装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車との車間距離が接近したときドライバに注意を促す警報を行う車間距離警報装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の安全性の向上を図るため、積極的にドライバの運転操作を支援する総合的な運転支援システム(ADA;Active Drive Assist system)が開発されている。このADAシステムは、自車の走行環境情報や走行状態から先行車両との衝突、障害物との接触、車線逸脱等の様々な可能性を推定して、安全を維持できないと予測される場合に、ドライバに対して報知、その他制御等を行うものである。自車の走行環境情報を得るための装置としては、レーザ・レーダ装置などが従来より公知であるが、近年では車両に搭載した複数のカメラにより捉えた車両前方の風景や物体の画像情報を処理して、道路、交通環境を実用上十分な精度と時間で三次元的に認識することが可能となってきている。
【0003】
このような運転支援システムの1つとして、自車と先行車との車間距離が所定距離以下となった際に、警報を行ってドライバに減速を促す車間距離警報装置がある。例えば本出願人による特開2001−093097号公報には、一対のカメラで撮像した画像を処理して算出した自車と先行車との相対速度と自車速度とに基づいて1次警報距離と2次警報距離とを設定し、各警報距離と車間距離とに基づいて1次警報や2次警報を実行する技術が開示されている。また、上記特開2001−093097号公報には、1次警報或いは2次警報を実行した後、先行車との車間距離が所定値以上となるまでの間、或いは、警報後の経過時間が所定値以上となるまでの間は警報の実行を禁止することで、繰り返し実行される警報による違和感や煩わしさを低減する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ドライバは、自車の走行レーンを変更しようとした場合や、先行車の挙動等から当該先行車が自車走行レーンからの車線変更を行おうとしていることを確認した場合等に、自車速度を上昇させて先行車に近づけることがある。しかしながら、このような場合、所定時間後には自車走行レーンと先行車の走行レーンが異なることが予測されているにも関わらず、当該先行車に対して警報が行われ、ドライバに違和感や煩わしさを感じさせることがあった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ドライバに違和感や煩わしさを感じさせることなく、適切な警報を行うことのできる車間距離警報装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明は、自車走行レーン上で自車の進行方向直前に存在する先行車を検出する先行車検出手段と、上記先行車検出手段で検出された先行車に対する警報の実行を判定する警報実行判定手段とを備えた車間距離警報装置において、上記警報実行判定手段は、上記先行車検出手段によって自車走行レーン上に先行車が検出されているとき、自車の走行状態に基づいて設定時間後の自車走行レーンを予測するとともに、上記先行車の走行状態に基づいて設定時間後の先行車走行レーンを予測し、予測した上記設定時間後の先行車走行レーンが予測した上記設定時間後の自車走行レーンと異なるとき警報の実行を禁止することを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明による車間距離警報装置は、上記第1の発明において、上記警報実行判定手段は、自車のウインカーの状態に基づいて、上記設定時間を可変に設定することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図面は本発明の実施の一形態に係わり、図1は車間距離警報装置の概略構成図、図2は自車速度及び相対速度と警報距離との関係を示す図表、図3は先行車速度設定ルーチンを示すフローチャート、図4は1次警報実行判定ルーチンを示すフローチャート、図5は2次警報実行判定ルーチンを示すフローチャート、図6は1次警報カットフラグ設定ルーチンを示すフローチャート、図7は2次警報カットフラグ設定ルーチンを示すフローチャート、図8はこれまでの先行車がレーン変更した際の先行車入れ替えの一例を示す説明図、図9は他の車両が自車走行レーンに割り込んできた際の先行車入れ替えの一例を示す説明図、図10は自車がレーン変更した際の先行車入れ替えの一例を示す説明図である。
【0009】
図1において、符号1は自動車等の車両を示し、この車両1に搭載される車間距離警報装置300は、先行車検出手段としての機能を有する画像処理部100と、警報実行判定手段としての警報実行判定部200とを有して構成されている。
【0010】
画像処理部100には、CCD等のイメージセンサを内蔵した一対のカメラ10,11が接続されているとともに、車速センサ4が接続されている。カメラ10,11は、車両の車幅方向において所定の間隔で取り付けられており、車両前方の同一風景を異なる視点で撮像する。カメラ10,11で撮像された画像は画像処理部100に入力され、画像処理部100は、入力された一対の画像(ステレオ画像対)に三角測量の原理に基づく処理を行うことで、画像中の同一対象物の3次元の距離分布を算出する。次いで、画像処理部100は、算出された距離分布情報から、道路形状や立体物の3次元位置を高速で検出する。そして、画像処理部100は、検出した道路形状と各立体物の位置を比較して自車走行レーン上の進行方向直前の車両(以下、単に先行車という)を特定し、先行車との車間距離の変化や車速センサ4からの信号等に基づいて先行車速度Vtを設定する。さらに、画像処理部100は、算出された先行車速度Vtに基づいて、自車と先行車との相対速度を算出する。
【0011】
警報実行判定部200には、車速センサ4やウインカースイッチ5、舵角センサ6、ヨーレートセンサ7等が接続されているとともに、警報出力を行うためのスピーカ9が接続されている。警報実行判定部200は、先行車に対して最初の警報を行うべき車間距離である1次警報距離及びこの1次警報距離よりも小さい車間距離である2次警報距離を設定し、これらの警報距離と、自車と先行車との車間距離とに基づいて警報実行判定を行う。そして、警報実行判定部200は、警報が必要であると判定した際に、スピーカ9を通じて、ドライバに対する警報を行う。
【0012】
ここで、警報実行判定部200は、例えば図2に示すように、先行車に対する1次警報距離と2次警報距離を、車速センサ4から入力される自車速度Vと、画像処理部100から入力される相対速度とに基づいて設定する。すなわち、警報実行判定部200では、1次警報距離及び2次警報距離を、自車に対する先行車の相対速度が小さくなる程(自車が先行車の接近する速度が大きくなる程)大きな値に設定し、且つ、自車速度Vが大きくなる程大きな値に設定する。また、警報実行判定部200では、例えば、ワイパースイッチ等からの入力に基づいて、現在、自車が雨天走行時であるか否かを判定し、通常走行時と雨天走行時とで異なる警報距離を設定する。
【0013】
次に、画像処理部100による先行車速度Vtの設定処理について、図3に示す先行車速度設定ルーチンに従って説明する。このルーチンは、例えば50msec毎に実行されるもので、ルーチンがスタートすると、画像処理部100は、先ず、ステップS101において、自車の走行レーンに先行車が存在するか否かを調べる。そして、自車走行レーンに先行車が存在しないと判定されると、画像処理部100は、今回の先行車速度設定ルーチンをそのまま終了する。
【0014】
一方、ステップS101において、自車走行レーンに先行車が存在すると判定されると、画像処理部100は、今回設定された先行車が前回設定された先行車と異なるか否かを調べる(ステップS102)。
【0015】
そして、ステップS102において、今回設定された先行車が前回設定された先行車と同一のものであると判定されると、画像処理部100は、前回の先行車速度Vt0に基づいて今回の先行車速度Vtを算出する(ステップS107)。
【0016】
この場合、画像処理部100は、ステップS107において、例えば以下の処理を行うことにより、先行車速度Vtを算出する。すなわち、画像処理部100は、先ず、先行車との車間距離の変化分と自車の移動距離とに基づき、設定時間t0(例えば、50msec)での先行車の移動距離Dを算出し、この移動距離Dに基づき、
Vt1=D/t0
によって、画像情報に基づく先行車速度Vt1を算出する。次いで、画像処理部100は、画像情報に基づく先行車速度Vt1と、前回の先行車速度Vt0とから、
a1=(Vt1−Vt0)/t0
によって、先行車の加速度a1を算出する。そして、画像処理部100は、加速度a1に基づき、画像上における先行車のばたつき等を考慮した速度修正率Kfを設定し、先行車速度Vtを、
Vt=Vt0・a1・Kf
によって算出する。このような処理により、画像処理部100で算出される先行車速度Vtは、画像上における先行車のばたつき等に大きく影響されることなく、経時とともに徐々に実際の先行車速度(先行車速度の真値)に近づけられる。
【0017】
一方、ステップS102において、今回設定された先行車が前回設定された先行車と異なるものであると判定されると、画像処理部100は、前回の処理で先行車が存在したか否かを調べる(ステップS103)。
【0018】
そして、ステップS103において、前回の処理で先行車が存在したと判定された場合には、画像処理部100は、前回の先行車との車間距離が今回新たに設定された先行車との車間距離よりも小さいか否かを調べる(ステップS104)。
【0019】
ここで、前回の先行車との車間距離が今回新たに設定された先行車との車間距離よりも大きい場合としては、例えば図9に示すように、自車と前回の先行車(先行車A)との間に他の車両が割り込んだために当該車両が新たな先行車(先行車B)として設定された場合等が考えられる。このような場合、安全性を考慮して、先行車速度Vtの初期値を、予想される先行車速度の真値よりも小さく設定し、必要に応じて積極的に警報を行えるようにすることが望ましい。
【0020】
一方、前回の先行車との車間距離が今回新たに設定された先行車との車間距離よりも小さい場合としては、例えば図8に示すように、前回の先行車(先行車A)がレーン変更を行ったためにその前方に位置する車両が新たな先行車(先行車B)として設定された場合や、例えば図10に示すように、自車がレーン変更を行ったために新たな自車走行レーン上遠方の車両が新たな先行車(先行車B)として設定された場合等が考えられる。このような場合、先行車速度Vtの初期値を小さく設定しすぎると、先行車がはるか遠方に存在するにも関わらず、不要な警報が行われる虞がある。
【0021】
そこで、ステップS103において前回先行車が存在しないと判定された場合、或いは、ステップS104において前回の先行車との車間距離が今回新たに設定された先行車との車間距離よりも大きいと判定された場合には、画像処理部100は、自車速度Vの半値(V/2)を、今回新たに設定された先行車速度Vtの初期値として設定する(ステップS105)
一方、ステップS104において、前回の先行車との車間距離が今回新たに設定された先行車との車間距離よりも小さいと判定されると、画像処理部100は、前回の先行車(他の車両)の先行車速度を、今回新たに設定された先行車速度Vtの初期値として設定する(ステップS106)。
【0022】
次に、警報実行判定部200による1次警報及び2次警報の警報実行判定制御について説明する。
1次警報の実行判定は、例えば図4に示す1次警報実行判定ルーチンに従って行われるものである。このルーチンは、例えば50msec毎に実行されるもので、ルーチンがスタートすると、警報実行判定部200は、先ず、ステップS201において、先行車との車間距離と1次警報距離とを比較することで、現在、自車が1次警報を実行すべき領域内に存在するか否か(すなわち、1次警報状態であるか否か)を調べる。
【0023】
そして、ステップS201において、車間距離が1次警報距離よりも大きいと判定された場合には、警報実行判定部200は、自車が1次警報を実行すべき領域外に存在し、1次警報状態ではないと判定して、今回の1次警報判定ルーチンをそのまま終了する。
【0024】
一方、ステップS201において、車間距離が1次警報距離以下であり、1次警報状態であると判定されると、警報実行判定部200は、1次警報の実行を禁止する1次警報カットフラグF1(後述する)が”1”であるか否かを調べる。
【0025】
そして、ステップS202において、1次警報カットフラグF1が”1”であると判定されると、警報実行判定部200は、今回の1次警報判定ルーチンをそのまま終了する。
【0026】
一方、ステップS202において、1次警報カットフラグF1が”0”であると判定された場合には、警報実行判定部200は、ドライバに減速を促す1次警報を行うべく、スピーカ9に対して例えば1秒間の警報駆動信号を出力する(ステップS203)。
【0027】
2次警報の実行判定は、例えば図5に示す1次警報実行判定ルーチンに従って行われるものである。このルーチンは、例えば50msec毎に実行されるもので、ルーチンがスタートすると、警報実行判定部200は、先ず、ステップS301において、先行車との車間距離と2次警報距離とを比較することで、現在、自車が2次警報を実行すべき領域内に存在するか否か(すなわち、2次警報状態であるか否か)を調べる。
【0028】
そして、ステップS301において、車間距離が2次警報距離よりも大きいと判定された場合には、警報実行判定部200は、自車が2次警報を実行すべき領域外に存在し、2次警報状態ではないと判定して、今回の2次警報判定ルーチンをそのまま終了する。
【0029】
一方、ステップS301において、車間距離が2次警報距離以下であり、2次警報状態であると判定されると、警報実行判定部200は、2次警報の実行を禁止する2次警報カットフラグF2(後述する)が”1”であるか否かを調べる。
【0030】
そして、ステップS302において、2次警報カットフラグF2が”1”であると判定されると、警報実行判定部200は、今回の2次警報判定ルーチンをそのまま終了する。
【0031】
一方、ステップS302において、2次警報カットフラグF2が”0”であると判定された場合には、警報実行判定部200は、ドライバに減速を促す2次警報を行うべく、スピーカ9に対して例えば1秒間の警報駆動信号を出力する(ステップS303)。
【0032】
ここで、1次警報カットフラグF1の設定は、例えば、図6に示す1次警報カットフラグ設定ルーチンに従って行われるものである。このルーチンは、例えば50msec毎に実行されるもので、ルーチンがスタートすると、警報実行判定部200は、先ず、ステップS401において、先行車の横方向への変化量に基づき、先行車の横方向への移動速度Vtsを算出する。
【0033】
続くステップS402において、警報実行判定部200は、ウインカースイッチ5からの信号に基づき、現在ウインカーがオンされているか否かを調べる。
【0034】
そして、ステップS402において現在ウインカーがオンされていないと判定されると、警報実行判定部200は、自車の走行状態に基づいて0.5秒後の自車走行レーンを予測する(ステップS403)とともに、先行車の走行状態に基づいて0.5秒後の先行車走行レーンを予測する(ステップS404)。
【0035】
一方、ステップS402において現在ウインカーがオンされていると判定されると、警報実行判定部200は、自車の走行状態に基づいて1.5秒後の自車走行レーンを予測する(ステップS405)とともに、先行車の走行状態に基づいて1.5秒後の先行車走行レーンを予測する(ステップS406)。
【0036】
この場合、警報実行判定部200は、ステップS403或いはステップS405の処理において、例えば、以下の処理により設定時間(0.5秒或いは1.5秒)後の自車位置を予測する。すなわち、警報実行判定部200は、先ず、ヨーレートセンサ7で検出されたヨーレートγと自車速度Vとを用いて、
Cua=γ/V
によって、自車の旋回曲率Cuaを算出する。ここで、ヨーレートセンサ7が有効でない場合には、舵角センサ6で検出された舵角δと、自車速度V、自車のスタビリティファクタA、自車のホイールベースL等を用いて、
Re=(1+A・V2)・(L/δ)
によって、自車の旋回半径Reを算出し、
Cua=1/Re
によって自車の旋回曲率Cuaを算出してもよい。そして、警報実行判定部200は、自車の旋回曲率Cuaと自車速度Vとに基づいて、設定時間後の自車走行レーンを予測する。
【0037】
また、警報実行判定部200は、ステップS404或いはステップS406の処理において、例えば、先行車速度Vtに基づいて、設定時間内での自車進行方向における先行車の移動量を算出するとともに、先行車の横方向速度Vtsに基づいて、設定時間内での自車左右方向における先行車の移動量を算出する。そして、これら自車進行方向における先行車の移動量と自車左右方向における先行車の移動量とに基づいて、設定時間後の先行車走行レーンを予測する。
【0038】
ステップS404或いはステップS406からステップS407に進むと、警報実行判定部200は、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと異なるか否かを調べる。
【0039】
そして、ステップS407において、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと異なると判定された場合には、警報実行判定部200は、ステップS413の処理に進んで1次警報カットフラグF1を”1”に設定した後、今回の1時警報カットフラグ設定ルーチンを終了する。すなわち、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと異なると判定された場合は、1次警報カットフラグF1が”1”に設定されて1次警報の実行が禁止される。
【0040】
一方、ステップS407において、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと同一であると判定された場合には、警報実行判定部200は、ステップS408の処理に進み、レーンチェンジタイマフラグFtが”1”であるか否かを調べる。ここで、レーンチェンジタイマフラグFtは、ドライバがレーンチェンジを行っていると想定された際に、”1”に設定されるものである。
【0041】
そして、ステップS408において、レーンチェンジタイマフラグFtが”1”であると判定されると、警報実行判定部200の処理は、ステップS411に進む。
【0042】
一方、ステップS408において、レーンチェンジタイマフラグFtが”0”であると判定されると、警報実行判定部200は、今回、ウインカー操作が行われたか否かを調べる(ステップS409)。
【0043】
そして、ステップS409において、今回ウインカー操作が行われたと判定された場合には、警報実行判定部200は、レーンチェンジタイマフラグFtを”1”に設定(ステップS410)した後、ステップS411の処理に進む。
【0044】
ステップS408或いはステップS410の処理からステップS411に進むと、警報実行判定部200は、ウインカーがオフされてから5秒以上が経過したか否かを調べる。すなわち、ウインカーがオンされているとき、及び、ウインカーがオフされてからの所定時間内(例えば、5秒以内)は、ドライバーが自車走行レーンのレーンチェンジ(レーン変更)を行っていることが想定される。そこで、警報実行判定部200は、ステップS411において、一旦オンされたウインカーがオフされてから5秒以上経過したか否かを判定することにより、現在、ドライバが自車走行レーンを変更中であるか否かを調べる。
【0045】
そして、ステップS411において、ウインカーがオフされてから未だ5秒以上経過していないと判定されると、警報実行判定部200は、ステップS413の処理に進んで1次警報カットフラグF1を”1”に設定した後、今回の1時警報カットフラグ設定ルーチンを終了する。すなわち、自車走行レーンを変更する際には、ドライバは自車を先行車に近づけることが常であり、また、レーン変更中はドライバの覚醒度が高いことが予想されるので、1次警報カットフラグF1が”1”に設定されて1次警報の実行が禁止される。
【0046】
一方、ステップS411において、ウインカーがオフされてから5秒以上が経過したと判定されると、警報実行判定部200は、ドライバーのレーン変更操作が終了したと判断してレーンチェンジタイマフラグFtを”0”に設定する(ステップS412)。
【0047】
そして、ステップS409、或いは、ステップS412からステップS414の処理に進むと、警報実行判定部200は、1次警報カットフラグF1を”0”に設定した後、今回の1次警報カットフラグ設定ルーチンを終了する。
【0048】
2次警報カットフラグF2の設定は、例えば、図7に示す2次警報カットフラグ設定ルーチンに従って行われるものである。このルーチンは、例えば50msec毎に実行されるもので、ルーチンがスタートすると、警報実行判定部200は、先ず、ステップS501において、先行車の横方向への変化量に基づき、先行車の横方向への移動速度Vtsを算出する。
【0049】
続くステップS502において、警報実行判定部200は、ウインカースイッチ5からの信号に基づき、現在ウインカーがオンされているか否かを調べる。
【0050】
そして、ステップS502において現在ウインカーがオンされていないと判定されると、警報実行判定部200は、自車の走行状態に基づいて0.5秒後の自車走行レーンを予測する(ステップS503)とともに、先行車の走行状態に基づいて0.5秒後の先行車走行レーンを予測する(ステップS504)。
【0051】
一方、ステップS502において現在ウインカーがオンされていると判定されると、警報実行判定部200は、自車の走行状態に基づいて1.5秒後の自車走行レーンを予測する(ステップS505)とともに、先行車の走行状態に基づいて1.5秒後の先行車走行レーンを予測する(ステップS506)。
【0052】
ステップS504或いはステップS506からステップS507に進むと、警報実行判定部200は、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと異なるか否かを調べる。
【0053】
そして、ステップS507において、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと異なると判定された場合には、警報実行判定部200は、ステップS515の処理に進んで1次警報カットフラグF1を”1”に設定した後、今回の1時警報カットフラグ設定ルーチンを終了する。すなわち、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと異なると判定された場合は、1次警報カットフラグF1が”1”に設定されて1次警報の実行が禁止される。
【0054】
一方、ステップS507において、設定時間後に予測される先行車走行レーンが、設定時間後に予測される自車走行レーンと等しい判定された場合には、警報実行判定部200は、ステップS508の処理に進み、レーンチェンジタイマフラグFtが”1”であるか否かを調べる。
【0055】
そして、ステップS508において、レーンチェンジタイマフラグFtが”1”であると判定されると、警報実行判定部200の処理は、ステップS511に進む。
【0056】
一方、ステップS508において、レーンチェンジタイマフラグFtが”0”であると判定されると、警報実行判定部200は、今回、ウインカー操作が行われたか否かを調べる(ステップS509)。
【0057】
そして、ステップS509において、今回ウインカー操作が行われたと判定された場合には、警報実行判定部200は、レーンチェンジタイマフラグFtを”1”に設定(ステップS510)した後、ステップS511の処理に進む。
【0058】
ステップS508或いはステップS510の処理からステップS511に進むと、警報実行判定部200は、ウインカーがオフされてから5秒以上が経過したか否かを調べる。
【0059】
そして、ステップS511において、ウインカーがオフされてから5秒以上が経過したと判定されると、警報実行判定部200は、ドライバーのレーン変更操作が終了したと判断してレーンチェンジタイマフラグFtを”0”に設定する(ステップS512)。
【0060】
一方、ステップS511において、ウインカーがオフされてから未だ5秒以上経過していないと判定されると、警報実行判定部200の処理はステップS513に進む。ここで、自車の走行レーン変更中にガードレール等が先行車として誤認識されて誤警報が発せられることを防止するため、自車走行レーン変更中には、原則的に、1次警報及び2次警報の実行を禁止することが望ましいが、安全性の観点から、先行車に対して比較的近い位置で実行される2次警報は、必要に応じて実行されることが望ましい。そこで、ステップS513及びステップS514の処理において、同一の先行車が所定時間以上検出されたと判定された場合には(すなわち、設定された先行車がガードレール等ではないと判定された場合には)、自車の走行レーン変更に基づく2次警報の実行禁止は行われない。
【0061】
すなわち、警報実行判定部200は、先ず、ステップS513の処理において、前回設定された先行車が今回設定された先行車と異なるものであるか否かを調べ、前回設定された先行車と今回設定された先行車とが同一であると判定されると、ステップS514において、この先行車の検出時間が所定時間以上であるか否かを調べる。
【0062】
そして、これらのステップS513,S514の処理において、同一の先行車が所定時間以上検出されたと判定されると、警報実行判定部200は、今回設定されている先行車はガードレール等を誤認識したものではないと判断し、ステップS516の処理に進む。
【0063】
ステップS509、ステップS512、或いは、ステップS514からステップS516の処理に進むと、警報実行判定部200は、2次警報カットフラグF2を”0”に設定した後、今回の2次警報カットフラグ設定ルーチンを終了する。
【0064】
一方、ステップS513において前回の先行車と今回の先行車とが異なると判定された場合、或いは、ステップS514において先行車検出時間が所定時間よりも短いと判定された場合には、警報実行判定部200は、ステップS515の処理に進んで2次警報カットフラグF2を”1”に設定した後、今回の2次警報カットフラグ設定ルーチンを終了する。
【0065】
このような実施の形態によれば、画像処理部100は、自車走行レーン上において前回設定された先行車との車間距離よりも遠方に新たな先行車を捉えた場合には、前回の先行車速度を、今回の先行車速度Vtの初期値として設定するので、先行車の入れ替わり直後に算出される先行車速度Vtが実際の先行車速度よりも極端に遅くなることに起因して実行される不要な警報を低減することができる。
【0066】
なお、前回設定された先行車との車間距離よりも近い位置で新たな先行車を捉えた場合にも、前回の先行車速度を、新たな先行車速度Vtの初期値として設定することも可能であるが、前回先行車が存在しなかった場合、或いは、前回設定された先行車との車間距離よりも近い位置で新たな先行車を捉えた場合には、自車速度の半値を、今回の先行車速度Vtの初期値として設定することにより、安全性を考慮した警報制御を実現することができる。
【0067】
また、警報実行判定部200は、自車の走行状態に基づいて設定時間後の自車走行レーンを予測するとともに、先行車の走行状態に基づいて設定時間後の先行車走行レーンを予測し、設定時間後に予測される先行車走行レーンが自車走行レーンと異なるとき警報の実行を禁止するので、自車走行レーンを変更しようとした場合や先行車が自車走行レーンからの変更を行おうとしていることを確認した場合等に、ドライバが自車速度を上昇させて先行車に近づくことに起因して、不要な警報が実行されることを防止できる。
【0068】
この場合、特に、ウインカースイッチ5のオン/オフ状態に基づいて設定時間を可変に設定し、ドライバが自車走行レーンの変更を行うべくウインカーをオンした際には、設定時間を長く(0.5秒から1.5秒に)設定するので、自車が先行車を追い抜く際に先行車に接近することに起因して不要な警報が実行されることを効果的に低減できる。
【0069】
また、自車の走行レーン変更中において、警報実行判定部200は、少なくとも1次警報の実行を禁止するので、ドライバーが意図的に先行車に近づいた場合等における不要な警報を低減することができ、ドライバに感じさせる違和感や煩わしさを低減できる。
【0070】
また、自車の走行レーン変更中において、警報実行判定部200は、同一の先行車を所定時間以上検出するまでの間の2次警報の実行を禁止するので、ガードレール等を先行車として誤認識することに起因する誤警報を低減することができる。
【0071】
また、自車が走行レーン変更中であるか否かの判定を、ウインカー操作に基づいて行うことにより、簡単な処理で自車走行レーン変更の判定を行うことができる。
【0072】
なお、1次警報カットフラグF1及び2次警報カットフラグF2の設定は、上述の設定条件に、例えば、1次警報及び2次警報後の経過時間や車間距離等の条件を付加して行ってもよいことは勿論である。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、不要な警報が行われることを防止してドライバに違和感や煩わしさを感じさせることを低減することができるとともに、必要に応じて適切な警報を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車間距離警報装置の概略構成図
【図2】自車速度及び相対速度と警報距離との関係を示す図表
【図3】先行車速度設定ルーチンを示すフローチャート
【図4】1次警報実行判定ルーチンを示すフローチャート
【図5】2次警報実行判定ルーチンを示すフローチャート
【図6】1次警報カットフラグ設定ルーチンを示すフローチャート
【図7】2次警報カットフラグ設定ルーチンを示すフローチャート
【図8】これまでの先行車がレーン変更した際の先行車入れ替えの一例を示す説明図
【図9】他の車両が自車走行レーンに割り込んできた際の先行車入れ替えの一例を示す説明図
【図10】自車がレーン変更した際の先行車入れ替えの一例を示す説明図
【符号の説明】
100 画像処理部(先行車検出手段)
200 警報実行判定部(警報実行判定手段)
300 車間距離警報装置
Claims (4)
- 自車走行レーン上で自車の進行方向直前に存在する先行車を検出する先行車検出手段と、上記先行車検出手段で検出された先行車に対する警報の実行を判定する警報実行判定手段とを備えた車間距離警報装置において、
上記警報実行判定手段は、上記先行車検出手段によって自車走行レーン上に先行車が検出されているとき、自車の走行状態に基づいて設定時間後の自車走行レーンを予測するとともに、上記先行車の走行状態に基づいて設定時間後の先行車走行レーンを予測し、予測した上記設定時間後の先行車走行レーンが予測した上記設定時間後の自車走行レーンと異なるとき警報の実行を禁止することを特徴とする車間距離警報装置。 - 上記警報実行判定手段は、自車のウインカーの状態に基づいて、上記設定時間を可変に設定することを特徴とする請求項1記載の車間距離警報装置。
- 上記ウインカーがオン状態における上記設定時間は、上記ウインカーがオフ状態における上記設定時間より長く設定されていることを特徴とする請求項2記載の車間距離警報装置。
- 上記警報実行判定手段は、同一の先行車が所定時間以上検出され、かつ、ウインカーがオン状態からオフ状態に変化してから所定時間内においては、警報の実行禁止は行わないことを特徴とする請求項1記載の車間距離警報装置。
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