JP4667167B2 - 自動車シートのリクライニング機構における円滑傾倒作動装置 - Google Patents

自動車シートのリクライニング機構における円滑傾倒作動装置 Download PDF

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本発明は、自動車シートのリクライニング装置に係り、詳しくは、一部で噛合された内歯車と、この内歯車より歯数の少ない外歯車が、噛合部位の移動により相対的に揺動回転するいわゆる差動伝動機構によりシートバックの傾倒角度を調節するリクライニング機構における円滑傾倒作動装置に関するものである。
この種のリクライニング機構としては、内歯車と、この内歯車より歯数の少ない外歯車が一部で噛合された状態で、回転軸とこの回転軸に対する偏心軸部により軸支され、偏心軸部は、外歯車の中央軸受輪の内周面と回転軸周りとなる内歯車の軸受筒の外周面との間の偏心空域に、互いの打ち込み方向を反対周方向とする2枚の三日月板状の楔板が軸線方向に重ね合されており、そして、この2枚の楔板のそれぞれを打ち込み方向に付勢するばね杆と、回転軸と共に回転して、楔板による打ち込み状態を解除すると共に、この楔板を伴なって回転する作動片とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−33401号公報
上記文献のリクライニング機構は、シートバックの位置固定時において、外歯車の中央軸受輪の内周面と内歯車の軸受筒の外周面の間の偏心空域に配設された、偏心軸部を構成する2枚の楔板が、ばね杆で互いに反対周方向(すれ違い方向)に打ち込み付勢されていることにより、内歯車と外歯車との偏心量が多くなるように作用され、これにより噛合部位の歯相互が圧接されて位置固定状態となっており、シートバックの傾倒作動は、モータからギヤを介して回転軸を回転動すると、これに伴なって作動片が回転して、回転方向の端面部が2枚のうちの一方の楔板の端面部に当接して、この楔板をばね杆の付勢に抗して押動し、両楔板による打ち込み作用を解除しつつ偏心軸部を回転する。
これにより前記内歯車と外歯車の噛合部位の圧接噛合状態が解除され円滑な噛合伝動状態(適当なバックラッシュがある状態)となり、外歯車と内歯車が相対的に回転動され、シートバックの傾倒動調整がなされる。
しかし、この偏心軸部は、製作上のばらつきから、外歯車の軸心と内歯車の軸心との偏心量、すなわち外歯車の中央軸受輪の内周面と内歯車の軸受筒の外周面の間の偏心空域に広狭が生じる。
これは、前記シートバックの位置固定時において、偏心空域に重ね合せた状態で配設された各楔板の反対周方向の打ち込み量が変化することとなる。
そして偏心量が少なく偏心空域が狭い場合は、互いに反対周方向に付勢された各楔板の打ち込み量が少なくなることから、各楔板の端面部と回転軸の作動片の端面部との間隔が広く空くこととなり、傾倒作動時において、作動片の端面部が楔板の端面部に当接するまでの間の遊びが大きくなる(作動片遊びと称す)。
また、偏心量が多く偏心空域が広い場合は、各楔板の打ち込み量が多くなる(周方向への移動)ことから、各楔板の端面部と作動片の端面部との間があたかも狭くなるような態様とはなるが、シートバックの傾倒作動時において、作動片の端面部が一方の楔板の端面部に当接してから他方の楔板に当接するまで移動してから前記偏心軸部が回転始動する場合があり、タイムラグが生じることとなる(楔板遊びと称す)。
すなわち、偏心量の多少の差は、傾倒作動時における始動時や停止時に円滑性を欠くこととなり、機器精度への不信感や着座者に不快感を与えることとなる。
本発明は、製作上のばらつきによる差動伝動リクライニング機構における偏心軸部の偏心量の多少差を原因とする、傾倒作動時の遅始動による着座者の不快感や機器制度の不信感を解消する円滑傾倒作動装置を提供するものである。
上記目的を達成する自動車シートのリクライニング機構における円滑傾倒作動装置は、内歯車と、このうち歯車よりわずかに歯数の少ない外歯車が一部で噛合された状態で、回転軸と、この回転軸に対する偏心軸部により軸支され、偏心軸部の回転に伴なう一部噛合部位の移動により前記内歯車と外歯車が相対的に揺動回転することにより、シートクッションに対してシートバックの傾倒角度を調節する差動伝動リクライニング機構であって、前記偏心軸部は、前記外歯車の中央孔に相当する軸受輪内周面と回転軸周りとなる前記内歯車の軸受け筒外周面との間に、軸線方向に重ね合された2枚の三日月板状の楔板と、前記2枚の楔板のそれぞれを、互いに反対周方向となる打ち込み方向に付勢して、前記内歯車と外歯車の噛合部位を圧接させてシートバックの位置固定状態とするばね杆と、前記回転軸と共に回動して、前記位置固定時における楔板の打ち込み状態を解除すると共に、この楔板を伴なって回動して、シートバックの傾倒作動状態とする作動片部とを備え、しかもこの偏心軸部の偏心量増状態において、両楔板間に介在させて一方楔板の移動を他方楔板に伝達する介在片部を有するストッパー片と、偏心量減状態において、前記作動片部の各端面部とこれに対向する各楔板の端面部との間に介在させて、この片動片部の回転動を楔板に伝達するスペース片部を有するスペーサとにより、前記シートバックの位置固定状態から、前記作動片部の回転に伴なう前記楔板の打ち込み状態の解除と、この作動片部と2枚の楔板の共回りによる(偏心部位の回転)傾倒作動までのタイムラグを解消することを特徴とするものである。
本発明に係る自動車シートのリクライニング機構における円滑傾倒作動装置は、差動伝動によるリクライニング機構における偏心軸部の製作上のばらつきによる、この偏心軸部の偏心量増状態において、両楔板間に介在させて一方楔板の移動を他方楔板に伝達する介在片部を有するストッパー片と、偏心量減状態において、作動片部の各端面部とこれに対向する各楔板の端面部との間に介在させて、この作動片部の回転を楔板に伝達するスペース片部を有するスペーサとにより、シートバックの位置固定状態から、前記作動片部の回転に伴なう前記楔板の打ち込み状態の解除と、この作動片部と2板の楔板の共回りによる(偏心部位の回転)傾倒作動までのタイムラグを解消することを特徴とするものであるから、製作上のばらつきによる回転軸に対する偏心軸部の偏心量の増減を原因とする傾倒作動時の遅始動を解消し、円滑な作動が期待されるものであるから、着座者の不快感や不信感を払拭することができるものである。
図は本発明に係る自動車シートのリクライニング機構における円滑傾倒作動装置の実施例を示すもので、以下各図に基づき説明する。
本例におけるリクライニング機構は、シートクッション側のブラケットとシートバック側のブラケットとの間に介設された、いわゆる差動伝動機構により、シートクッションに対するシートバックの傾倒角度を調節するもので、この差動伝動機構は、内歯車と、この内歯車よりわずかに歯数の少ない外歯車が、回転軸と、この回転軸に対する偏心軸部により、一部で噛合された状態で回転可能に軸支され、回転軸の回転に伴なう噛合部位の旋回移動により、内歯車と外歯車を相対的に揺動回転させるものである。
そして本例にあっては、シートバック側のブラケットDが固定された内歯円盤Aに内歯車1が形成され、シートクッション側のブラケットCが固定された外歯円盤Bに内歯車1よりわずかに歯数の少ない外歯車2が形成されており、内歯車1を有する内歯円盤Aは、回転軸3周りとなる中央部位の軸受筒1aが回転軸3に回転可能に嵌装され、外歯車2を有する外歯円盤Bは、中央孔2aに嵌合された軸受輪2bが内歯車1の軸受筒1aを包囲する偏心軸部4に回転可能に嵌装された態様で、内歯円盤Aと外歯円盤Bが合され、内歯車1と外歯車2が一部で噛合された回転可能な状態で、互いの周側部がブラケットEにより一体状にリングかしめされている。
そして外歯車2を軸支している偏心軸部4は、内歯車1と外歯車2の歯数差に相当して偏心する内歯車1の軸受筒外周面1bと、外歯車2の軸受輪内周面2cとの間の偏心空域4aにあって、シートバック側のブラケットDの傾倒角度調節操作時(以下傾倒作動時)には内歯車1と外歯車2を、バックラッシを有する適正噛合状態とし、シートバック側ブラケットDの所望傾倒角度位置(以下位置固定時)では噛合部位における歯相互を圧接噛合状態にするための、作動片部3aと、2枚の楔板5,5´及び、欠円状ばね杆6を備えているものである。
これを位置固定状態時を示す図1〜3において説明すると、前記偏心軸部4における作動片部3aは、回転軸3と一体状に形成され、円弧角度が略150°を有する円弧状であって、偏心空域4a(偏心軸部4)における偏心方向とは反対部位に配置されている。
2枚の楔板5,5´は同形状で、その1枚の楔板5は、軸受輪内周面2cの径と同径円弧状であって、この内周面2cに摺接する円弧外側面部5aと、軸受筒外周面1b径より僅かに大径な円弧状であって、この外周面1bに摺接する円弧内側面部5bを有する円弧角略180°の略三日月板状で、その略中央部位には、欠円状ばね杆6の係止孔5cと円弧孔5dが同心円上列設されているもので、この同形の楔板5,5´の2枚が、偏心空域4a(偏心軸部4)における偏心方向部位において、一方の楔板5´を裏返しにした互いに逆向きの態様で、回転軸3の軸線3d方向に重ね合わせて配設されている。
欠円状ばね杆6は、欠円部位の各端から欠円形面に対して略直角に折曲形成された脚杆部6a,6´aを有し、その一方の脚杆部6aが前記重ね合わされた楔板5,5´のうちの手前側の楔板5の係止孔5cに係止されていると共に奥側の楔板5´の円弧孔5´dに挿通され、他方の脚杆部6´aは、手前側の楔板5の円弧孔5dに挿通されていると共に奥側の楔板5´の係止孔5´cに係止された状態で軸受輪2bの前面に沿って配置されている。
これにより2枚の楔板5,5´のそれぞれは、欠円状ばね杆bの拡径弾力により、係止孔5c,5´cに係止された脚杆部6a,6´aを介して互いに反対周方向に付勢されているもので、この図1〜3に示す位置固定状態において、手前側の楔板5が反時計回り方向に、奥側の楔板5´は時計回り方向に付勢されて軸受筒外周面1bと軸受輪内周面2c間における次第に間隔が狭くなる左右両方位のそれぞれに打ち込まれ、各楔板5,5´の円弧外側面部5a,5´a全面が同径である軸受内周面2cに接し、円弧内側面部5b,5´bは、軸受筒外周面1bに接した状態で食込んでおり、各楔板5,5´の付勢方向端面部5e,5´eのそれぞれには、重ね合された楔板5,5´の他方端面部5f,5´f方向に延びる棒状の弾性体からなるダンパー5g,5´gが設けられ、このダンパー5g,5´gと作動片部3aの各端面部3eが、わずかな間隔をもって対向する状態で配装されている。
そしてこの図1〜3に示す位置固定時の状態にあっては、回転軸3周りとなる軸受筒外周面1bと外歯車2の中央孔2aに相当する軸受輪内周面2c間への楔板5,5´の打ち込み作用によって、この両周面1b,2cは、回転軸3の中心3fと偏心軸部4の中心4bが偏心方向線上において互いに離反する方向に押圧されており(偏心量増)、これにより軸受輪2b、中央孔2aを介して外歯車2と内歯車1の噛合部位における歯相互が圧接された状態となり、内歯車1と外歯車2の回転伝動が阻止されている。
前記位置固定時における状態からの傾倒作動は、シートバック(ブラケットD)の所望傾倒方向(前倒、後倒)に応じて回転方向操作されたモータMを介して回転軸3を回転することによる。
例えば図1〜3において、回転軸3が時計回り方向に回転されると、これに伴ない一体状の作動片部3aも同方向に回転して、回転方向の端面部3eが対向する一方の楔板5の端面部5eのダンパー5gに当接して押圧し、この押圧により欠円状ばね杆6によって打ち込み方向に付勢されていた楔板5が、この付勢に抗して周方向(時計回り方向)に押動されて打ち込みが外された状態で押動する。
これにより、前記位置固定時における軸受間隙の圧接と、噛合部位の圧接噛合状態が解除され、重なった楔板5,5´は、軸受筒1bに接する両円弧内側面部5b,5´bを介して両円弧外側面部5a,5´a全面が軸受輪内周面2cに摺接した状態となり、偏心軸部4は、内歯車1と外歯車2の円滑な回転伝動における適正な噛合(バックラッシ)に要する偏心量を維持しつつ、作動片部3a及び欠円状ばね杆6と共に回転軸3を中心としてその回転に伴ない回転する。
そして偏心軸部4に軸支された外歯車2が回転され、これに伴なう内歯車1との噛合部位の旋回移動により内歯車1が形成されたシートバック側のブラケットDは、外歯車2が形成されたシートクッション側ブラケットCに対して傾倒角度調節される。
前記楔板5,5´の各付勢方向端面部5e,5´eに設けられたダンパー5g,5´gは、作動片部3aが両楔板5,5´に当接して回転する際における金属相互の当接時の衝撃や騒音に対する緩衝、防音を担うものである。
しかして、前記図1〜3による態様は内歯車1の回転軸心となる回転軸3周りの軸受筒外周面1bと、外歯車2の回転軸心である中央孔2aに相当する軸受輪内周面2cすなわち、回転軸3の中心3fと偏心軸部4の中心4bとの偏心量が好適な状態を示すものであるが、製作上のばらつきからこの偏心量が増減する場合がある。図4(イ)に示す態様が前記好適な状態であるが、図4(ロ)に示すごとく、回転軸3の中心3fと偏心軸部4の中心4bとの偏心量が多い場合には(偏心量増状態)、2枚の楔板5,5´のそれぞれの打ち込み量が多くなる。すなわちそれぞれがばね杆6の付勢により反対周方向に大きく移動され、各楔板5,5´の付勢方向の端面部5e,5´eと回転軸3の作動片部3aの各端面部3e,3´eが接近した態様において、外歯車2と内歯車1の噛合部位における歯相互が圧接されたシートバックの位置固定状態となる。
そしてこの状態におけるシートバックの傾倒作動は、回転軸3の作動片部3aが図において時計回り方向に回転されると、回転方向の端面部3eが、接近状態の一方の楔板5の付勢方向の端面部5eに直ぐに当接してこの楔板5により打ち込み状態を解除することとなるが、作動片部3aが更に回転することにより他方の楔板5´の他方端面部5´fに当接して両楔板5,5´が共回りする場合はタイムラグが存することとなり(楔板遊び)、これは、外歯車2と内歯車1の相対的な回転動によるシートバックの傾倒始動が遅れることとなる。
これに対処するために、ストッパー片10とワッシャー部材11が偏心軸部4に配設される。
ストッパー片10は、回転軸3が挿通される中央孔10aを有する円板状で、その周縁の一部を半径方向に突出させた先端に、軸線方向に折曲形成された介在片部10bを備え、ワッシャー部材11は、回転軸3が挿通される中央孔11aと、周縁部の直径方向対向位置に形成された、ストッパー片10が収容される厚寸法程の円弧状段部11bを備えている。
そして図5,6に示すごとく、ストッパー片10とワッシャー部材11は、ワッシャー部材11の円弧状段部11b内にストッパー片10を重ね合わせるように収容してその両中央孔10a,11aを整合させた状態で、ストッパー片10の介在片部10bを、奥側の楔板5´の係止孔5´cに係止された欠円状ばね杆6の脚杆部6´aと、この脚杆部6´aが挿通された手前側の楔板5の円弧孔5dの付勢方向側との間に嵌め込み、回転軸3を両中央孔10a,11aに挿嵌することにより、作動片部3aの基部位鍔部3gと回転軸3が挿通された軸受筒1aとの間に配設されている。
これにより前記シートバックの傾倒作動時における作動片部3aの回転に伴ない、この作動片部3aの時計回り回転方向の端面部3eが、一方の楔板5の付勢方向の端面部5eに当接して打ち込み作用を解除し、更に回転すると、この楔板5の円弧孔5dとストッパー片10の介在片部10bを経て、他方楔板5´の係止孔5´cに係止された欠円状ばね杆6の脚杆部6´aを押動可能となり、前記のような作動片部3aの付勢方向の端面部3eが、他方楔板5´の他方端面部5´fに当接することなく、両楔板5,5´が即時に共回りしてシートバックの傾倒始動がなされる(作動片部3aの前記とは逆回転においても同様)。
また、前記ストッパー片10の作用によれば、介在片部10bは、両楔板5,5´間における、反対方向となる付勢方向に作用された部材間、例えば、欠円状ばね杆6の対向する両脚杆部6a,6´a間に介在される態様も考えられる。
更に図4(ハ)に示すごとく、回転軸3の中心3fと偏心軸部4の中心4bとの偏心量が少ない場合は(偏心量減状態)、両楔板5,5´のそれぞれの打ち込み量が少なくなることから、各楔板5,5´の付勢方向の端面部5e,5´eと回転軸3の作動片部3aの各端面部3e,3´eが離れた態様において、外歯車2と内歯車1の噛合部位が圧接されたシートバックの位置固定状態となる。
そして傾倒作動にあっては、回転軸3の回転による作動片部3aの端面部3eと楔板5の付勢方向の端面部5eの当接にタイムラグが生じることとなり(作動片部遊び)、シートバックの傾倒始動が遅れることとなる。
これに対処するために、回転軸3に嵌装された軸受筒1aの外周面1b周りに、スペーサー12が配設される。
このスペーサー12は、軸受筒1aの外周面1bに略沿った態様の円弧状板部12aと、この円弧状板部12aの両端から外側に折曲形成されたスペース片部12bを備えている。
そして図7,8に示すごとく、このスペーサー12は、円弧状板部12aが回転軸3の作動片部3bにおける内側円弧面部と軸受筒外周面1b間に介在され、各スペース片部12bが、両楔板5,5´の付勢方向の端面部5e,5´eと作動片部3bの各端面部3e,3´eとの間に位置された態様で配設されている。
これにより前記シートバックの傾倒作動時における作動片部3aの時計回り方向回転に伴ない、この作動片部3aの回転方向の端面部3eが、スペーサー12のスペース片部12bを介して一方の楔板5の付勢方向の端面部5eに即時に当接して打ち込み状態を解除し、両楔板5,5´が共回りし、シートバックの傾倒始動がなされる(作動片部3aの前記と逆回転においても同様)。
前記実施例による自動車シートのリクライニング機構における円滑傾倒作動装置は、差動伝動によるリクライニング機構における偏心軸部の製作上のばらつきによる、この偏心軸部の偏心量増状態において、両楔板間に介在させて一方楔板の移動を他方楔板に伝達する介在片部を有するストッパー片と、偏心量減状態において、作動片部の各端面部とこれに対向する各楔板の端面部との間に介在させて、この作動片部の回転を楔板に伝達するスペース片部を有するスペーサとにより、シートバックの位置固定状態から、前記作動片部の回転に伴なう前記楔板の打ち込み状態の解除と、この作動片部と2板の楔板の共回りによる(偏心部位の回転)傾倒作動までのタイムラグを解消することを特徴とするものであるから、製作上のばらつきによる回転軸に対する偏心軸部の偏心量の増減を原因とする傾倒作動時の遅始動を解消し、円滑な作動が期待されるものであるから、着座者の不快感や不信感を払拭することができるものである。
リクライニング機構の側面断面図。 図1のI−I断面図。 偏心軸部の拡大正面図。 偏心量が好適な状態図(イ)と、偏心量増状態図(ロ)と偏心量減状態図(ハ)。 偏心軸部における偏心量増状態の拡大正面図。 図5の中央断面図。 他例の一部拡大図。 偏心軸部における偏心量減状態の拡大正面図。 図8の中央縦断面図。 ストッパーの斜視図(イ)と、ワッシャー部材の斜視図(ロ)と、スペーサーの斜視図(ハ)。
符号の説明
A 内歯円盤
B 外歯円盤
C シートクッション側ブラケット
D シートバック側ブラケット
E ブラケット
1 内歯車
1a 軸受筒
1b 軸受筒外周面
2 外歯車
2a 中央孔
2b 軸受輪
2c 軸受輪内周面
3 回転軸
3a 作動片部
3d 軸線
3f 中心
3g 基部位鍔部
4 偏心軸部
4a 偏心空域
4d 中心
5,5´ 楔板
5c,5´c 係止孔
5d,5´d 円弧孔
5g,5´g ダンパー
6 欠円状ばね杆
6a,6´a 脚杆部
10 ストッパー
10a 中央孔
10b 介在片部
11 ワッシャー部材
11a 中央孔
11b 円弧段部
12 スペーサー
12a 円弧状板部
12b スペース片部

Claims (1)

  1. 内歯車と、このうち歯車よりわずかに歯数の少ない外歯車が一部で噛合された状態で、回転軸と、この回転軸に対する偏心軸部により軸支され、偏心軸部の回転に伴なう一部噛合部位の移動により前記内歯車と外歯車が相対的に揺動回転することにより、シートクッションに対してシートバックの傾倒角度を調節する差動伝動リクライニング機構であって、
    前記偏心軸部は、前記外歯車の中央孔に相当する軸受輪内周面と回転軸周りとなる前記内歯車の軸受け筒外周面との間に、軸線方向に重ね合された2枚の三日月板状の楔板と、
    前記2枚の楔板のそれぞれを、互いに反対周方向となる打ち込み方向に付勢して、前記内歯車と外歯車の噛合部位を圧接させてシートバックの位置固定状態とするばね杆と、
    前記回転軸と共に回動して、前記位置固定時における楔板の打ち込み状態を解除すると共に、この楔板を伴なって回動して、シートバックの傾倒作動状態とする作動片部とを備え、
    しかもこの偏心軸部の偏心量増状態において、両楔板間に介在させて一方楔板の移動を他方楔板に伝達する介在片部を有するストッパー片と、
    偏心量減状態において、前記作動片部の各端面部とこれに対向する各楔板の端面部との間に介在させて、この片動片部の回転動を楔板に伝達するスペース片部を有するスペーサとにより、
    前記シートバックの位置固定状態から、前記作動片部の回転に伴なう前記楔板の打ち込み状態の解除と、この作動片部と2枚の楔板の共回りによる傾倒作動までのタイムラグを解消することを特徴とする自動車シートのリクライニング機構における円滑傾倒作動装置。
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