JP4666244B2 - 表面検査装置および方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICチップ、液晶表示パネル等の製造工程においてウエハ等の被検物体の表面検査を行うための装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICチップや液晶表示素子パネルは、ウエハ表面に種々の異なる回路パターンを何層にも積み重ねて構成されている。このような回路パターンは、フォトリソグラフィー工程等を用いてウエハ上に一層ずつ積み重ねるようにして形成される。
【0003】
ICチップを例にとると、まず、ウエハ(基板)の表面に形成された酸化膜の上にレジストを薄い層状に塗布し、露光装置によりレチクルの回路パターンをこのレジスト層上に露光する。次に、現像処理を行って露光されたレジストを除去し、レチクルの回路パターンと同一形状(もしくは縮小された相似形状)のレジスト層からなるパターンを形成する。その後、エッチング処理を行って露出する酸化膜を除去した後、残りのレジスト層を除去すると、ウエハの表面には酸化膜層の回路パターンが形成される。この酸化膜層の回路パターンに対してドーピング処理等を行い、ダイオード等の素子を形成する。製造されるICの種類によっても異なるが、通常は上記のような所定の回路パターン層を形成する工程が何度も繰り返され、その結果、ウエハの上に複数の回路パターンが何層にも重ねられる。
【0004】
このようにしてウエハ上に回路パターンを多層に重ねるときに、各層毎に形成された回路パターンに欠陥、異常等が発生していないか否かについての表面検査が行われる。この検査は、例えば、レジスト層による回路パターンが形成された時点で行われる。この検査において欠陥、異常等が発見されたときには、レジストが剥離されて、再びレジスト層の塗布および露光が行われ、この回路パターン層の再生処理が行われる。
【0005】
以上のように、回路パターンをウエハ上に多層に重ねてICチップ等が作られるときに、各回路パターンに欠陥、異常等が発生したのではICチップ等が不良品となってしまう。そのため、このような欠陥、異常等の検査、すなわち、ウエハの表面検査が重要である。
【0006】
また、レジストの現像処理段階で見つかった欠陥については、レジストを除去して再度レジスト塗布工程からやり直して再生処理をすることが可能である。しかしながら、エッチング処理が行われて酸化層等に回路パターンが形成された段階では、欠陥、異常等が発見されてもこの部分は再生処理不可能である。このように、レジストの現像処理段階での表面検査で見つかった表面欠陥についてのみ、レジストパターン層を除去してパターンの再生処理が可能であり、レジストパターン形成段階での表面検査が特に重要である。
【0007】
この表面検査においては、回路パターンの形状不良、レジスト層の膜厚ムラ、傷等といった表面欠陥もしくは異常等が検査される。従来の表面検査として、種々の検査用照明光を様々な角度から被検物(ウエハ)表面に照射し、被検物を回転もしくは揺動させながら被検物からの光を検査員が直接的に目視により観察して行うものがある。
【0008】
このような検査方法は一般的にマクロ検査と称される。このマクロ検査を検査員の目視により行った場合に、検査員の判断の相違、技量の相違等により検査結果にばらつきが出るおそれがある。また、検査員の負担も大きい。そこで、マクロ検査を自動化することが検討されていおり、種々の自動マクロ検査装置が提案されている。例えば、被検物の表面に検査用照明光を照射して、被検物の表面に形成された繰り返しパターンからの回折光を撮像装置により受光して回折画像を取り込み、画像処理を行って表面検査を自動で行うようにした装置がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の表面検査装置では、被検物の表面上の回路パターン(繰り返しパターン)からの回折光に基づいて回折像を撮像する際の装置条件(照明光の入射角、被検物基板のチルト角、照明光の波長等)を最適条件に自動設定することができなかった。最適条件とは、繰り返しパターンから発生する回折光の進行方向と、回折光を受光する受光光学系の光軸方向とがほぼ一致する条件であり、換言すれば、表面検査を行うのに十分な回折像が得られる条件である。
【0010】
従来の表面検査装置では、被検物の回折画像をモニタに表示し、検査員がモニタ上の回折画像を見ながら装置条件を最適条件に設定することが行われているが、最適な装置条件を検査員が判断することは難しく、検査員の能力や熟練を要するという問題があった。
【0011】
本出願人は、先に出願した特願2000-102546号において、被検物上に形成された繰り返しパターンのピッチを検査員が知らなくても、装置条件を最適条件に設定することができる表面検査装置を提案した。この装置は、装置条件を設定または変更する手段を有し、装置条件の変更時に回折画像を取り込み、その画像の画素値に基づいて最適条件を決定するものである。
【0012】
しかしながら、パターンは前述のように多層形成されており、各パターン層の形成後に表面検査を行うことが望ましいのであるが、検査工数や効率の問題から、一般的には、パターン層形成後に全数のウエハの表面検査をするわけではない。このため、ある層のパターン形成工程において欠陥が発生しても、これについて表面検査が行われずに見逃され、その後この層より上層のパターンの形成後の表面検査において上記欠陥が見つかるような場合がある。これは、下の層からの回折光に基づいて検査を行ってしまう場合があるからである。この場合、その欠陥が最上位の層にあると誤った判断をしてしまうと、最上位のレジストパターン層を除去してパターンの再生処理をすることになるが、実際には下層に欠陥があるため、その作業は無駄になる。
【0013】
このように、従来の表面検査では、欠陥を見つけても、その欠陥が最上位の層のものか否かがわからないという問題があった。
【0014】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、パターンが多層形成されている被検物の表面検査において欠陥等が見つかったときに、この欠陥等が最上層のパターンにあるか否かを判断できる表面検査装置および方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明に係る表面検査装置は、複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の表面を検査する装置であり、被検物体の表面に照明光を照射する照明光学系と、被検物体からの回折光に基づく物体像を撮像する撮像手段と、撮像手段により物体像を撮像する際の装置条件を設定または変更する条件制御手段と、条件制御手段による装置条件の変更時に撮像手段により撮像される物体像の画像を取り込み、その画像に基づいてパターン層を検査するための装置条件の最適条件を求める条件検出手段とを有する。そして、条件検出手段は、最上位のパターン層形成前の画像から装置条件の最適条件を求め、かつ最上位のパターン層形成後の画像からも装置条件の最適条件を求め、このように求められた複数の最適条件から撮像手段で撮像された画像が前記最上位のパターンによるものであるか否かを判断するように構成される。
【0016】
このような構成の表面検査装置を用いれば、任意の被検物体の表面に検査用照明光を照射して得られる回折光に基づいて撮像手段により撮像して得られた被検物体の画像が、条件検出手段により求められた最適測定条件に基づいて最上位のパターン層の画像であるか否かを簡単に判断できる。
【0017】
なお、条件検出手段は、装置条件を変化させながら撮像手段により撮像して得られる複数の画像に基づいて、装置条件の最適条件を求めるようにするのが好ましい。この場合に、条件検出手段は、これら複数の画像におけるそれぞれの輝度を検出し、装置条件の変化に対応するこのように検出された輝度の変化の関係に基づいて最適条件を求めるようにするのが好ましい。また、条件検出手段は、上記複数の画像におけるそれぞれの最大輝度を検出し、装置条件の変化に対応する最大輝度の変化の関係を求め、この変化の関係を装置条件により二次微分して求まる最大輝度のピーク値に対応する装置条件を最適条件としても良い。
【0018】
このように変化させる装置条件の種類としては、照明光学系による被検物体への照明光の入射角度、被検物体の載置角度(チルト角度)、照明光の波長およびおよび結像手段に入射させる被検物体からの出射光の受光位置があり、これらのうちの少なくとも1つが用いられる。
【0019】
本発明の表面検査装置においては、条件検出手段によって最上位パターンによるものであると判断された最適条件の下で撮像手段により撮像された画像に基づいて被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段を備える。
【0020】
本発明の表面検査装置を、条件検出手段によって最上位パターンによるものであると判断された最適条件の下で撮像手段により撮像された画像を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された画像を読み出し、読み出した画像に基づいて被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段とを備えて構成しても良い。
【0021】
本発明の表面検査装置を、条件検出手段によって最上位パターンによるものであると判断された最適条件を記憶する記憶手段を有して構成し、被検物体とは別の被検物体を検査する場合に、条件制御手段は記憶手段から最適条件を読み出し、読み出した最適条件に基づいた装置条件に設定するように構成しても良い。いずれの構成でも、撮像手段により撮像されたパターン像がいずれのパターン層であるか(特に、最上位のパターン層であるか)を簡単に判断することができる。
【0022】
本発明に係る表面検査方法は、複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の表面に照明光を照射し、被検物体からの回折光に基づく物体像を撮像手段により撮像し、撮像手段により得られた画像に基づいて表面検査を行うように構成される。そして、最上位のパターン層形成前に、撮像手段により撮像する際の装置条件を変更しながら撮像手段からの画像を取り込み、その画像に基づいてパターン層を検査するための装置条件の最適条件を求め、さらに、最上位のパターン層形成後に、撮像手段により撮像する際の装置条件を変化させながら撮像手段からの画像を取り込み、その画像に基づいてパターン層を検査するための装置条件の最適条件を求め、このようにして求められた複数の最適条件から撮像手段で撮像された画像が最上位のパターンによるものであるか否かを判断する。これにより、撮像手段により撮像された画像が最上位のパターンのものであるか否かを簡単に判断できる。
【0023】
なお、本発明の表面検査方法において、装置条件を変化させながら、撮像手段により撮像して得られた複数の画像から装置条件の最適条件を求めるのが好ましい。この場合に、複数の画像におけるそれぞれの輝度を検出し、装置条件の変化に対応する輝度の変化の関係に基づいて最適条件を求めるのが好ましい。もしくは、複数の画像におけるそれぞれの最大輝度を検出し、装置条件の変化に対応する最大輝度の変化の関係を求め、この関係を装置条件により二次微分して求まる最大輝度のピーク値に対応する装置条件を最適条件としても良い。なお、上記のように変化させる装置条件の種類としては、照明光学系による被検物体への照明光の入射角度、被検物体の載置角度(チルト角度)、照明光の波長、結像手段に入射させる被検物体からの出射光の受光位置等がある。
【0024】
本発明の表面検査方法においては、最上位パターンによるものであると判断された最適条件時の下で撮像手段により撮像された画像に基づいて被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出する。本発明の表面検査方法において、最上位パターンによるものであると判断された最適条件の下で撮像手段により撮像された画像を記憶し、記憶された画像を読み出し、この読み出し画像に基づいて被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出するようにしても良い。
【0025】
本発明の表面検査方法において、条件検出手段によって最上位パターンによるものであると判断された最適条件を記憶し、被検物体と別の被検物体を検査する場合に、記憶された最適条件を読み出し、このように読み出した最適条件に基づいた装置条件に設定しても良い。
【0026】
本発明の表面検査方法において、撮像手段により撮像された画像から複数のパターン層における欠陥の有無を判断し、複数のパターン層のうちの最上層のパターン層に欠陥があることが検出されたときには、最上層のパターン層の再生処理を行うのが好ましい。これにより、無駄の無い且つ効率の良いパターン層の形成が可能となる。
【0027】
もう一つの本発明に係る表面検査装置は、複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の表面に光を照射する照明光学系と、被検物体からの回折光を検出してその光量に応じた回折光信号を出力する信号出力手段と、出力手段により回折光を検出する際の装置条件を設定または変更する条件制御手段と、条件制御手段による装置条件の変更時に信号出力手段から出力される回折光信号に基づいてパターン層を検査するための装置条件の最適条件を求める条件検出手段とを有して構成され、条件検出手段は、最上位のパターン層形成前の回折光信号から装置条件の最適条件を求め、かつ最上位のパターン層形成後の回折光信号から装置条件の最適条件を求め、求められた複数の最適条件から信号出力手段からの回折光信号が最上位のパターンによるものであるか否かを判断するように構成される。
【0028】
一方、もう一つの本発明に係る表面検査方法は、複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の表面に光を照射し、回折光検出部により前記被検物体からの回折光を検出し光量に応じた回折光信号を生成し、その回折光信号に基づいて表面検査を行う。そして、この表面検査方法において、最上位のパターン層形成前に、回折光検出部により検出する際の装置条件を変更しながら回折光検出部からの回折光信号を取り込み、その回折光信号に基づいてパターン層を検査するための装置条件の最適条件を求め、最上位のパターン層形成後に、回折光検出部により検出する際の装置条件を変更しながら回折光検出部からの回折光信号を取り込み、その回折光信号に基づいて装置条件の最適条件を求め、このように求められた複数の最適条件から回折光検出部からの回折光信号が最上位のパターンによるものであるか否かを判断する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1に本発明の実施形態に係る表面検査装置の一例を示しており、この装置により半導体ウエハ100の表面欠陥を検査する。この装置は、ウエハ100を載置保持するホルダ5を有し、不図示の搬送装置によって搬送されてくるウエハ100を、ホルダ5の上に載置させるとともに真空吸着によって固定保持する。ホルダ5は、このように固定保持したウエハ100の表面に垂直な軸Ax1を中心として回転(ウエハの表面内での回転)可能で、且つ、ウエハ100の表面を通る軸Ax2を中心としてチルト(傾動)可能に構成されている。
【0030】
この表面検査装置はさらに、ホルダ5に固定保持されたウエハ100の表面に検査用照明光を照射する照明光学系10と、検査用照明光の照射を受けたときのウエハ100からの反射光、回折光等を集光する集光光学系20と、集光光学系20により集光された光を受けてウエハ100の表面の像を検出するCCDカメラ30等(撮像装置)を有する。
【0031】
照明光学系10は、メタルハライドランプ等の放電光源11と、この放電光源11からの照明光束を集光するコレクタレンズ12と、コレクタレンズ12により集光された照明光束を透過させて波長選択を行う波長選択フィルタ13と、調光を行うニュートラルデンシティフィルタ14とを備える。さらに、これらフィルタ13,14を透過した照明光束を集束させるインプットレンズ15を有し、インプットレンズ15により集束された照明光がファイバ16の一端16aに導入される。
【0032】
ここで、波長選択フィルタ13は、切替駆動機構13aを有した円盤(ターレット)13b内に設けられており、いくつかの種類のフィルタを切換えて使用することが可能となっている。例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)等の特定の波長の光だけを透過させる干渉フィルタ、あるいは特定の波長帯域の光を透過させるバンドパスフィルタ、あるいは所定の波長より長い波長の光だけを透過させるシャープカットフィルタ等を必要に応じて選択して用いることができる。ニュートラルデンシティフィルタ14は、回転角に応じて透過光量が順次変化する円盤状のフィルタからなり、回転駆動機構14aにより回転制御されて透過光量を制御できるように構成されている。
【0033】
照明光学系10はさらに、ファイバ16の他端16bから出射される発散光束を受ける照明系凹面鏡17を有しており、この照明系凹面鏡17からほぼその焦点距離だけ離れた位置にファイバ16の他端16bが配設されている。このため、ファイバ16の一端16aに導入されてファイバ16の他端16bから照明系凹面鏡17に発散照射された照明光は、照明系凹面鏡17によって平行光束となってホルダ5に保持されたウエハ100の表面に照射される。このときウエハ100の表面に照射される照明光束は、ウエハ100の表面と垂直な軸Ax1(鉛直軸)に対して角度θiを有して照射され、ウエハ100からの光が角度θrを有して出射される。これら入射角θiと出射角θrとの関係が、軸Ax2を中心としてホルダ5をチルト(傾動)させることにより調整可能である。すなわち、ホルダ5のチルトによりウエハ100の載置角度を変化させて、入射角θiと出射角θrとの関係を調整可能である。
【0034】
ウエハ100の表面からの出射光(ここでは回折光を用いる)は集光光学系20により集光される。この集光光学系20は、鉛直軸Ax1に対して角度θrを有した方向に対向して配設された集光系凹面鏡21と、この集光系凹面鏡21の集光位置に配設された絞り22と、この絞り22の後側に配設された結像レンズ23とから構成される。この結像レンズ23の後側にCCDカメラ30が配設されている。集光系凹面鏡21により集光されるとともに絞り22によって絞られた出射光(n次の回折光)は、レンズ23によってCCDカメラ30のCCD撮像素子(イメージデバイス)31に結像される。この結果、ウエハ100の表面の回折像がCCD撮像素子31に形成される。
【0035】
CCD撮像素子31は、その受像面に形成されたウエハ表面の像を光電変換して画像信号を生成し、画像処理検査装置35に送る。画像処理検査装置35の内部には、制御部37と、ウエハ100の最適チルト角を決定する条件決定部38と、ウエハ100の欠陥を検出する欠陥検出部39と、メモリ(記憶装置)36が設けられている。
【0036】
制御部37は、切替駆動機構13aによる波長選択フィルタ13の切替作動制御、回転駆動機構14aによるニュートラルデンシティフィルタ14の回転制御、鉛直軸Ax1を中心としたホルダ5の回転制御、チルト中心軸Ax2を中心としたホルダ5のチルト制御等を行う。さらに、制御部37は、CCD撮像素子30から得られるウエハ100の画像を所定ビット(例えば8ビット)のディジタル画像に変換する。
【0037】
メモリ(記憶装置)36には、制御部37からのディジタル画像とそのときの装置条件(チルト角)が記憶される。記憶されたディジタル画像は、ウエハ100の最適チルト角の決定時には条件決定部38に、ウエハ100の欠陥検出時には欠陥検出部39に出力される。このように構成された制御部37は、ウエハ100の最適チルト角の決定時には、チルト角を変更させながらウエハ100の画像を取り込み、チルト角が異なるときのディジタル画像を順次メモリ36に記憶する。
【0038】
条件決定部38は、ウエハ100の最適チルト角φsを決定するにあたって、メモリ36に記憶された、ウエハ100のディジタル画像を順次に取り込み、各ディジタル画像ごとに、最大輝度(あるいは平均輝度でもよい)を求め、これに基づいて最適なチルト角を決定する。
【0039】
欠陥検出部39は、ウエハ100の欠陥検出に当たって、メモリ36に記憶された、ウエハ100のディジタル画像を取り込み、画像処理を行う他に、画像の光量をモニタし、画像の明暗に基づいてウエハ100の膜厚むら、パターン形状の異常、きず等の欠陥箇所を特定する。
【0040】
ここで、被検物体であるウエハ100の表面には周期的に繰り返される線配列形状の回路パターンが形成されており、ウエハ100の表面においてはこれら回路パターンを構成する線が周期的に繰り返して配列されている。このため、回路パターンを構成する線の繰り返しピッチがpであり、照明光の波長がλであるときに、ホルダ5をチルトさせてウエハ100の表面のチルト角Tを次式(1)が成立するように設定すれば、ウエハ100から出射されるn次の回折光が集光光学系20を介してCCDカメラ30に集光されるようになる。このようにして、n次の回折光を受光してCCD撮像素子31により得られたウエハ100の表面の像から表面欠陥の有無の検査を行う。
【0041】
【数1】
sin(θi−T) − sin(θr+T) = n・λ/p ・・・(1)
【0042】
式(1)において、θiおよびθrがチルト角Tを変化させる前(チルト角T=0のとき)の入射角および出射角の値、すなわち、初期値である。チルト角Tを変化させた場合に、入射角(θi− T)およびn次の回折光の出射角(θr + T)は、ウエハ100の表面に対しての法線Ax1を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、その反対側に見込む角度方向をマイナスとする。回折次数nは、n=0の0次光(正反射光)を基準として入射側に見込む角度方向をプラス、その反対側に見込む角度方向をマイナスとする。チルト角Tを変えると入射角(θi− T)、出射角(θr + T)が変化するわけであるが、チルト角Tは、たとえば、ホルダ5が水平状態にあるときを0度とし、入射側への角度方向をプラス、出射側への角度方向をマイナスとする。ここでは、チルト角が0度(基準状態)のときでの入射角初期値をθi、出射角初期値をθrとしている。
【0043】
この検査のため、CCD撮像素子31により撮像されたウエハ100の表面の画像信号が画像処理検査装置35に送られる。画像処理検査装置35においては、CCD撮像素子31からの画像信号により得られるウエハ100の表面の画像と、予め記憶されている良品ウエハの表面の画像(検査基準画像)とのパターンマッチングを行ったり、予め学習させておいた検査基準画像の特徴との相違点の有無検査を行う。検査対象となるウエハ100にデフォーカスによる膜厚むら、パターン形状の異常、きず等の欠陥が存在する場合には、その部分にはたとえば検査基準画像との明暗差や特徴の相違が検出されるため、欠陥が存在することが検出される。
【0044】
このように欠陥の有無は検査基準画像との対比等により検出できるが、欠陥が見つかった場合にこの欠陥が、ウエハ100の表面に多層形成されたいずれのパターン層に存在するかを判断することはできない。このようなことから、本実施形態の画像処理検査装置35は、最上位のパターン層に欠陥があるか否かの検出を行うようになっている。これについて、図10〜図12に示すフローチャートを参照しながら、以下に詳しく説明する。
【0045】
まず、被検対象となるウエハ100の表面に形成されたパターン層を図2に模式的に示している。図2は、ウエハ100の表面にフォトリソグラフィー工程により形成された回路パターン5aからなる下層パターン5と、下層パターン5の上に形成された中間層7と、中間層7の上に露光現像されて形成されたレジスト層パターン6aからなる上層パターン6とを示している。
【0046】
下層パターン5は、フォトリソグラフィー工程による回路パターン形成工程が完了し配線用の回路パターンが形成された状態のものである。そして、下層パターン5の上に次の回路パターンを形成するための材料層(例えば酸化層)からなる中間層7が設けられている。中間層7は、フォトリソグラフィー工程により所定の回路パターンが形成される層である。そして、この回路パターン形成のため、中間層7の上に回路パターンに対応するレジスト層パターン6aからなる上層パターン6が形成されている。レジスト層パターン6aは、中間層7の上にレジスト層を設け、これにマスクパターンを露光させて現像して形成されている。よって、この状態では上層パターン6,すなわちレジスト層パターン6aについては、これを除去して再度レジスト層を塗布し、レジスト層パターン6aを再生する処理が可能な状態である。しかし、下層パターン5はこのような再生処理ができない状態になっている。
【0047】
図2においては、下層パターン5における酸化層パターン5aのピッチがp2で、上層パターン6におけるレジスト層パターン6aのピッチがp1であり、両ピッチp1,p2が相違する。このため、図1に示す表面検査装置を用いて、図2に示すパターンが形成された状態のウエハ100の表面検査を行う場合、上記式(1)から以下のことがわかる。
【0048】
ある波長λの照明光を入射角(θi−T)でウエハ100の表面に照射した場合、上層パターン6からの回折光の出射角(θr1+T)、下層パターン5からの回折光の出射角(θr2+T)はそれぞれ下記式(2)および(3)で表される。ここで、p1>p2であるから、下記式(4)の関係となる。したがって、(θr2+T)>(θr1+T)となり、同じ入射角で照明光を入射させても、それぞれのパターン層からの回折光の出射角は異なることがわかる。
【0049】
【数2】
sin(θr1+T)=sin(θi−T)−n・λ/p1 ・・・(2)
sin(θr2+T)=sin(θi−T)−n・λ/p2 ・・・(3)
sin(θr2+T)>sin(θr1+T) ・・・(4)
【0050】
本実施形態では、このことに注目し、ウエハの表面検査に際して、ウエハ表面からの回折光に基づいて得られたウエハ表面の画像が、いずれの層の画像であるかを判断できるようしている。これにより、欠陥が見つかったときにこの欠陥がいずれの層の欠陥であるか(最上位か否か)を判断できる。このため、本実施形態においては、まず、図2に示すようなパターン構成の良品ウエハについて以下のような表面検査を行い、条件決定部38において、各パターン層毎の装置条件の最適条件を求める。
【0051】
まず、図5に示すような下層パターン5が形成された状態の良品ウエハがホルダ5の上に載置され、固定された状態で、且つ照明光学系10から所定波長λの検査用照明光がウエハ100の表面に照射された状態で検査が行われる。この検査内容を図10のフローチャートに示している。制御部37は、ホルダ5の制御を行い、ウエハ100のチルト角Tを変化させながら(ステップS11)、CCDカメラ30によりウエハ表面を撮像してその二次元画像を取り込む(ステップS12)。このとき、チルト角Tの変化毎に対応する複数の撮像画像と、そのときの装置条件(チルト角)をメモリ36に記憶する(ステップS13)。同時に、CCDカメラ30では、ウエハ100の表面全体の画像が撮像される。具体的には、照明光学系10からの検査用照明光の入射角が20°〜75°の角度範囲で画像撮像を行うようにチルト角変動範囲が設定されており、このチルト角範囲の全範囲についての画像取り込みが完了した時点(ステップS14)でウエハ100の表面全体の画像の撮像が完了する。
【0052】
次に、条件決定部38は、図11のフローチャートにおけるステップS21〜S24に示すように、メモリ36に記憶された複数の二次元画像(ウエハ100の全体像)情報から、各チルト角Tに対応する画像毎に最大輝度(もしくは平均輝度でも良い)を求める。具体的には、チルト角Ti(但し、i=1〜N)のそれぞれについて上記のようにして撮像記憶された画像を読み出し、各画像毎に最大輝度を求める。
【0053】
このように求めたチルト角Tに対応する最大輝度変化の関係を図6に示している。図6から分かるように、T=t2の辺りにおいて最大輝度が大きくなる。さらに、最大輝度変化のピーク位置を検出するため、図6の波形を二次微分する処理を行い、最大輝度の変化点を求める(ステップS25)。この二次微分結果を図7に示しており、チルト角t2において最大輝度のピーク値が発生することが分かる。つまり、チルト角度t2において、下層パターン5からの回折光が集光光学系20を介してCCDカメラ30に入射することが分かる。したがって、下層パターン5の検査のための最適な装置条件は、T=t2であると決定できる。条件決定部38は、このときのチルト角度t2という装置条件を下層パターン5に対しての最適な装置条件a2としてメモリ36に記憶する(ステップS26)。さらに、その最適な装置条件a2のときに撮像された画像も同様にメモリ36に記憶する。
【0054】
次に、図2に示すような下層パターン5上に上層パターン6が形成された後の良品ウエハの検査を行う。
【0055】
前述の図5に示す下層パターン5が形成された後のウエハの検査のときと同様に、ホルダ5の上にウエハ100が載置され、固定された状態で、かつ照明光学系10から所定波長λの検査用照明光がウエハ100の表面に照射された状態で検査は行われる。制御部37は、チルト角Tを変化させながらCCDカメラ30によりウエハ表面の全体像を撮像してその二次元画像を取り込み、チルト角Tの変化毎に対応する複数の撮像画像と、そのときの装置条件(チルト角)をメモリ36に記憶する。これについても、図10に示すフローチャートに沿った手順で行われる。
【0056】
次に、条件決定部38は、メモリ36に記憶された複数の二次元画像(ウエハ100の全体像)情報から、各チルト角Tに対応する画像毎に最大輝度(もしくは平均輝度でも良い)を求める。このように求めたチルト角Tに対応する最大輝度変化の関係を図3に示している。図3から分かるように、チルト角T=t1およびT=t2の辺りにおいて最大輝度が大きくなる。これについては、図11に示すフローチャートに沿った手順で行われる。
【0057】
この検査においてはチルト角Tのみを変化させており、照明光学系10および集光光学系20は固定してCCDカメラ30による撮像を行っている。このため、チルト角Tの変化に対応してウエハ100の表面に照射される照明光学系10からの照明光の入射角(θi−T)および出射角(θr−T)の関係が変化する。そして、チルト角度t1において下層パターン5および上層パターン6のいずれか一方からの回折光が集光光学系20を介してCCDカメラ30に入射する。さらに、チルト角度t2において下層パターン5および上層パターン6の他方からの回折光が集光光学系20を介してCCDカメラ30に入射することが分かる。なお、条件決定部38は、さらに、最大輝度変化のピーク位置を検出するため、図3の波形を二次微分する処理を行い、最大輝度の変化点を求める。この二次微分結果を図4に示しており、チルト角t1およびt2において最大輝度のピーク値が発生することが分かる。
【0058】
ここで、上層パターン6が形成される前の段階、すなわち、図5に示すように下層パターン5のみが形成された状態での検査結果をメモリ36の内容を読み込んで参照すれば、下層パターン5のみが形成された状態で最適な装置条件は、チルト角T=t2であることがわかる。したがって、上層パターン6が形成された後の検査で検出された2つの最大輝度のピークのうち、チルト角t2におけるピークは、下層パターン5からの回折光によるものと考えられ、チルト角t1におけるピークが上層パターン6からの回折光によるものと判断できる。
【0059】
以上のことから、チルト角度t1において、上層パターン6からの回折光が集光光学系20を介してCCDカメラ30に入射することが分かる。したがって、上層パターン6の検査のための最適な装置条件は、T=t1であると決定できる。条件決定部38は、このときのチルト角度t1という装置条件を上層パターン6に対しての最適な装置条件a1としてメモリ36に記憶する。さらに、その最適な装置条件a1のときに撮像された画像もメモリ36に記憶する。
【0060】
以上のような条件決定部における条件決定手順を図12に示している。これを簡単にまとめれば、まず、ステップS31において、最上位のパターン層(上記実施形態では上層パターン6)が形成された後の検査、すなわち、図2に示すように下層パターン5の上に上層パターン6が形成された状態での検査において記憶されたチルト角(t1,t2)を読み出す。次に、ステップS32において、最上位のパターン層(上記実施形態では上層パターン6)が形成される前の検査、すなわち、図5に示すように下層パターン5のみが形成された状態での検査において記憶されたチルト角(t2)を読み出す。そして、このように読み出されたチルト角を比較して、最上位のパターン層(上記実施形態では上層パターン6)を検査するための最適チルト角(t1)を決定する。
【0061】
また、条件決定部38において、図3に示したチルト角度Tに対する最大輝度の関係、すなわち、下層パターン5および上層パターン6を有したウエハ100表面におけるチルト角度Tに対する最大輝度の関係を示す波形と、図6に示した下層パターン5のみの場合のチルト角度に対する最大輝度の関係を示す波形とをメモリ36に記憶してもよい。この場合、メモリ36から2つの波形を読み出して、両者の相違点を抽出する。この結果を図8に示しており、回折光の最大輝度はチルト角度t1において大きくなる。
【0062】
このことから、チルト角度t1において、上層パターン6からの回折光が集光光学系20を介してCCDカメラ30に入射することが分かる。条件決定部36においてはさらに、図8の最大輝度を示す波形を二次微分処理して波形の変化点を抽出する。この結果を図9に示しており、チルト角度t1において輝度のピーク値を示すことが分かる。そして、条件決定部38は、このときのチルト角度t1を上層パターン6の最適な装置条件a1として、メモリ36に記憶する。
【0063】
以上のようにして、良品ウエハ100について、上層パターン6に対しての最適な装置条件a1と下層パターン5の最適な装置条件a2とがメモリ36に記憶される。その後、図2のパターン構成を有する任意のウエハ100(被検対象となるウエハ)の検査を、図1に示す表面検査装置により行う。
【0064】
図2のパターン構成を有する任意のウエハ100がホルダ5の上に載置され、固定され、照明光学系10から所定波長λの検査用照明光がウエハ100の表面に照射された状態で検査は行われる。制御部37は、メモリ36に記憶されている最適な装置条件a1(この場合、チルト角t1)を読み出す。そして、制御部37は、ホルダ5の制御を行い、チルト角がt1となるように設定する。制御部37は、このときCCDカメラ30で撮像されたウエハの全体像を取り込み、デジタル画像に変換してメモリ36に記憶する。
【0065】
次に、制御部37は、メモリ36に記憶されている最適な装置条件a2(この場合、チルト角t2)を読み出す。そして、制御部37は、ホルダ5の制御を行い、チルト角がt2となるように設定する。制御部37は、このときCCDカメラ30で撮像されたウエハの全体像を取り込み、デジタル画像に変換してメモリ36に記憶する。
【0066】
欠陥検出部39は、メモリ36から、装置条件a1、a2それぞれに対応するデジタル画像を読み込む。そして、それぞれの画像の光量をモニタし、画像の明暗に基づいてウエハ100の欠陥箇所を特定する。
【0067】
欠陥検出部39は、装置条件a1に対応する画像で欠陥が見つかった場合には、上層パターン6にこの欠陥が存在すると判断する。この場合は、上層パターン6を構成するレジスト層パターン6aを除去し、再度レジスト層を塗布して露光現像を行う再生処理を行う。一方、欠陥検出部39は、装置条件a2に対応する画像で欠陥が見つかった場合には、下層パターン5にこの欠陥が存在すると判断する。この場合は、再生不可能であるため、この欠陥を含むICチップを廃却処理するか、ウエハ全体を廃却する。
【0068】
本実施形態では、上層および下層パターンに対応して設定記憶された各最適な装置条件で表面検査を行い、欠陥が見つかったときの最適な装置条件からその欠陥がいずれの層にあるかを判断しているが、装置条件の一つであるウエハのチルト角度を変化させながら表面検査を行い、欠陥が見つかったときに、そのときの装置条件を設定記憶されている装置条件と比較してその欠陥がいずれの層にあるかを判断するようにしても良い。
【0069】
なお、本実施形態では、ウエハの表面に下層パターンおよび上層パターンが形成された場合について説明したが、ウエハの表面の3層以上のパターンが形成された場合についても、条件決定部38により各パターン毎での最適な装置条件を予め求めて記憶しておくことにより、発見された欠陥がいずれの層に存在するかを判断することができる。この場合にも、欠陥が最上層のレジスト層パターンに存在するときには、レジスト層パターンを除去してこのパターンの再生処理が行われる。
【0070】
本実施形態ではまた、条件決定部38は、他の装置条件は固定して一つの装置条件すなわちウエハのチルト角度Tのみを変更することにより、CCDカメラにより撮像された複数の画像信号の輝度から、回折光が最大となるチルト角度を求め、このチルト角度および他の固定条件を最適な装置条件として設定している。しかし、本発明において設定記憶される最適な装置条件はこれに限られるものではない。例えば、照明光の波長のみを可変にし、その他の装置条件は固定でCCDカメラにより撮像される画像信号の輝度が最大となる条件を最適な装置条件と設定しても良い。
【0071】
同様に、照明光学系の位置を移動可能とすることにより、凹面鏡17からウエハへの照明光の入射角を可変させても良い。すなわち、この構成によりウエハへの照明光の入射角を変更しながら他の条件を固定した状態で、CCDカメラにより撮像される画像信号の輝度が最大となる条件を最適な装置条件としても良い。さらに、集光光学系20およびCCDカメラ30の位置を移動可能とすることにより、ウエハ面からの出射光のうちの凹面鏡21からCCDカメラ30へ導く光の出射角を可変させても良い。すなわち、この構成によりウエハからの出射光のうちのCCDカメラ30へ導く出射光の出射角を変更しながら他の条件を固定した状態で、CCDカメラにより撮像される画像信号の輝度が最大となる条件を最適な装置条件としても良い。無論、複数の可変要素を組み合わせて最適な装置条件を求めても良い。
【0072】
また、実施形態では、例えば、図3に示すチルト角度に対する最大輝度の関係を二次微分して図4のように最大輝度となるチルト角度を求めているが、二次微分を行う前のもの、すなわち、図3の関係から最大輝度となるチルト角度を求めても良い。但し、チルト角度に対する最大輝度の関係は、実際には図3に示すような滑らかなものとなることは少なく、乱れることが多いため、何らかの画像処理を施した波形を比較して装置条件を求めるのが好ましい。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、任意の被検物体の表面に照明光を照射して得られる回折光から撮像装置により撮像して得られた被検物体の画像が、最上位のパターン層の画像であるか否か判断できる。そして、検出された欠陥が、最上位のパターン層の欠陥であるか否かを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面検査装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明に係る表面検査装置の被検対象物となるウエハ表面のパターン構成を示す断面図である。
【図3】図2のウエハ表面の検査を行ったときでのチルト角度と最大輝度との関係を示すグラフである。
【図4】図3のグラフに示す波形を二次微分した結果を示すグラフである。
【図5】図2のウエハ表面における上層パターンが形成される前の状態におけるパターン構成を示す断面図である。
【図6】図5のウエハ表面の検査を行ったときでのチルト角度と最大輝度との関係を示すグラフである。
【図7】図6のグラフに示す波形を二次微分した結果を示すグラフである。
【図8】図3の関係と図6の関係との相違を示すグラフである。
【図9】図8のグラフに示す波形を二次微分した結果を示すグラフである。
【図10】制御部における画像撮像および取り込み手順を示すフローチャートである。
【図11】画像検査のための最適条件を決定する手順を示すフローチャートである。
【図12】最上位のパターン層を検査するための最適条件を決定する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ウエハ
5 ホルダ
10 照明光学系
16 ファイバ
17 照明系凹面鏡
20 集光光学系
21 集光系凹面鏡
23 結像レンズ
30 CCDカメラ
35 画像処理検査装置
36 メモリ
37 制御部
38 条件決定部
39 欠陥検出部

Claims (19)

  1. 複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の前記表面に照明光を照射する照明光学系と、
    前記被検物体からの回折光に基づく物体像を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により前記物体像を撮像する際の装置条件を設定または変更する条件制御手段と、
    前記条件制御手段による前記装置条件の変更時に前記撮像手段により撮像される前記物体像の画像を取り込み、その画像に基づいて前記パターン層を検査するための前記装置条件の最適条件を求める条件検出手段とを有し、
    前記条件検出手段は、最上位のパターン層形成前の画像から前記装置条件の最適条件を求め、かつ前記最上位のパターン層形成後の画像から前記装置条件の最適条件を求め、求められた複数の最適条件から前記撮像手段で撮像された画像が前記最上位のパターンによるものであるか否かを判断することを特徴とする表面検査装置。
  2. 前記条件検出手段は、装置条件を変化させながら前記撮像手段により撮像して得られる複数の画像に基づいて、前記装置条件の最適条件を求めることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
  3. 前記条件検出手段は、前記複数の画像におけるそれぞれの輝度を検出し、前記装置条件の変化に対応する前記輝度の変化の関係に基づいて前記最適条件を求めることを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
  4. 前記条件検出手段は、前記複数の画像におけるそれぞれの最大輝度を検出し、前記装置条件の変化に対応する前記最大輝度の変化の関係を求め、前記関係を二次微分して求まる前記最大輝度のピーク値に対応する前記装置条件を前記最適条件とすることを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
  5. 前記変化させる装置条件の種類が、前記照明光学系による前記被検物体への前記照明光の入射角度、前記被検物体の載置角度、前記照明光の波長および前記結像手段に入射させる前記被検物体からの出射光の受光位置のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面検査装置。
  6. 前記条件検出手段によって前記最上位パターンによるものであると判断された最適条件の下で前記撮像手段により撮像された画像に基づいて前記被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面検査装置。
  7. 前記条件検出手段によって前記最上位パターンによるものであると判断された最適条件の下で前記撮像手段により撮像された画像を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記画像を読み出し、前記画像に基づいて前記被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出する欠陥検出手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面検査装置。
  8. 前記条件検出手段によって前記最上位パターンによるものであると判断された最適条件を記憶する記憶手段を有し、
    前記被検物体とは別の被検物体を検査する場合に、前記条件制御手段は前記記憶手段から前記最適条件を読み出し、前記最適条件に基づいた装置条件に設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面検査装置。
  9. 複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の前記表面に照明光を照射し、
    前記被検物体からの回折光に基づく物体像を撮像手段により撮像し、
    前記撮像手段により得られた画像に基づいて表面検査を行う表面検査方法において、
    最上位のパターン層形成前に、前記撮像手段により撮像する際の装置条件を変更しながら前記撮像手段からの画像を取り込み、その画像に基づいて前記パターン層を検査するための前記装置条件の最適条件を求め、
    前記最上位のパターン層形成後に、前記撮像手段により撮像する際の装置条件を変化させながら前記撮像手段からの画像を取り込み、その画像に基づいて前記パターン層を検査するための前記装置条件の最適条件を求め、
    求められた複数の最適条件から前記撮像手段で撮像された画像が前記最上位のパターンによるものであるか否かを判断する
    ことを特徴とする表面検査方法。
  10. 前記装置条件を変化させながら、前記撮像手段により撮像して得られた複数の画像から前記装置条件の最適条件を求めることを特徴とする請求項9に記載の表面検査方法。
  11. 前記複数の画像におけるそれぞれの輝度を検出し、前記装置条件の変化に対応する前記輝度の変化の関係に基づいて前記最適条件を求めることを特徴とする請求項10に記載の表面検査方法。
  12. 前記複数の画像におけるそれぞれの最大輝度を検出し、前記装置条件の変化に対応する前記最大輝度の変化の関係を求め、前記関係を二次微分して求まる前記最大輝度のピーク値に対応する前記装置条件を前記最適条件とすることを特徴とする請求項10に記載の表面検査方法。
  13. 前記変化させる装置条件の種類が、前記照明光学系による前記被検物体への前記照明光の入射角度、前記被検物体の載置角度、前記照明光の波長および前記結像手段に入射させる前記被検物体からの出射光の受光位置のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の表面検査方法。
  14. 前記最上位パターンによるものであると判断された最適条件時の下で前記撮像手段により撮像された画像に基づいて前記被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の表面検査方法。
  15. 前記最上位パターンによるものであると判断された最適条件の下で前記撮像手段により撮像された画像を記憶し、
    記憶された前記画像を読み出し、前記画像に基づいて前記被検物体に形成されたパターンの欠陥を検出することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の表面検査方法。
  16. 前記条件検出手段によって前記最上位パターンによるものであると判断された最適条件を記憶し、
    前記被検物体と別の被検物体を検査する場合に、前記記憶された前記最適条件を読み出し、前記最適条件に基づいた装置条件に設定することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の表面検査方法。
  17. 前記撮像手段により撮像された画像から前記複数のパターン層における欠陥の有無を判断し、
    前記複数のパターン層のうちの最上層のパターン層に欠陥があることが検出されたときに、前記最上層のパターン層の再生処理を行うことを特徴とする請求項9〜16のいずれかに記載の表面検査方法。
  18. 複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の前記表面に光を照射する照明光学系と、
    前記被検物体からの回折光を検出し、光量に応じた回折光信号を出力する信号出力手段と、
    前記出力手段により前記回折光を検出する際の装置条件を設定または変更する条件制御手段と、
    前記条件制御手段による前記装置条件の変更時に前記信号出力手段から出力される回折光信号に基づいて前記パターン層を検査するための前記装置条件の最適条件を求める条件検出手段とを有し、
    前記条件検出手段は、最上位のパターン層形成前の回折光信号から前記装置条件の最適条件を求め、かつ前記最上位のパターン層形成後の回折光信号から前記装置条件の最適条件を求め、求められた複数の最適条件から前記信号出力手段からの回折光信号が前記最上位のパターンによるものであるか否かを判断することを特徴とする表面検査装置。
  19. 複数のパターン層が重ねられて形成された表面を有する被検物体の前記表面に照明光学系により光を照射し、
    回折光検出部により前記被検物体からの回折光を検出して光量に応じた回折光信号を生成し、その回折光信号に基づいて表面検査を行う表面検査方法において、
    最上位のパターン層形成前に、前記回折光検出部により検出する際の装置条件を変更しながら前記回折光検出部からの回折光信号を取り込み、その回折光信号に基づいて前記パターン層を検査するための前記装置条件の最適条件を求め、
    前記最上位のパターン層形成後に、前記回折光検出部により検出する際の装置条件を変更しながら前記回折光検出部からの回折光信号を取り込み、その回折光信号に基づいて前記装置条件の最適条件を求め、
    求められた複数の最適条件から前記回折光検出部からの回折光信号が前記最上位のパターンによるものであるか否かを判断する
    ことを特徴とする表面検査方法。
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