JP4665640B2 - 皮革様シート - Google Patents

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Description

本発明は耐加水分解性に優れた脂肪族ポリエステル系不織布よりなる皮革様シートに関するものであって、繊維を製造する際の刺激性の不快臭の発生を伴わず、取り扱い性に優れ、かつ色調も良好であり、衣料、インテリア、雑貨、車両内装、産業資材をはじめとする各用途に好適に用いることができる生分解性の皮革様シートに関するものである。
不織布に弾性重合体が付与されてなる皮革様シートは衣料用途、カーテン、ソファー等のインテリア用途、靴、鞄等の雑貨用途、車両内装用途、産業資材用途などへ幅広く展開している。
近年、環境意識の高まりから皮革様シートに対しても環境負荷の低減が求められている。一般的な皮革様シートに用いられるナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類やポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル類は、生分解性を有さないため埋め立て処理により生分解できないが、使用後、焼却処分または埋め立て処分が行われているため、環境負荷が大きかった。
こうした課題に対し、土壌中やコンポスト中で分解するポリ乳酸繊維を含む不織布を用いた皮革様シートが提案されている(特許文献1)。しかしながら土壌やコンポストにおいてわずか1年でひび割れ、亀裂が発生するため、実使用において耐久性に問題があり、実用性に乏しいものであった。
また、ポリ乳酸繊維を用いた不織布は使用環境下によって加水分解が進むため、高い強度保持率が求められる用途に対しては製品寿命が短いという欠点があり、製品寿命の向上が課題となっている。
さらに、ポリ乳酸繊維を染色する場合、濃色に染めることが難しい。そのため、吸尽率を高めるため110℃以上の染色温度が求められる。しかし110℃以上で染色した場合、ポリ乳酸の加水分解が急激に進み、分子量低下が起こり、シートの引裂強力が大幅に低下することが問題となっていた。
そこでこの問題に対し、モノカルボジイミド化合物を添加して耐加水分解性を向上させたポリ乳酸繊維が提案されている(特許文献2)。しかしながら、モノカルボジイミド化合物は高価である上に、ブリードアウトにより高濃度マスター化が困難であるという問題があった。
一方、比較的安価なカルボジイミド化合物として、ポリカルボジイミド化合物を添加して耐加水分解性を向上させた生分解性プラスチック組成物が知られている(特許文献3)。しかしながら、ポリカルボジイミド化合物は生分解性プラスチック組成物への分散性が低いだけでなく、ゲル化物が発生しやすく、繊維や不織布に適用する際の紡糸性が不安定となり、工業的な繊維、不織布の製造には適用は困難であった。
さらに、カルボジイミド化合物に加えベンゾトリアゾール系化合物やトリアジン系化合物などの紫外線吸収剤を併せて添加した生分解性プラスチック組成物が知られている(特許文献4)。しかし、紫外線吸収剤を加えることで耐候性については向上するものの、繊維や不織布に適用した場合には紡糸安定性が不安定であり、また溶融紡糸の際にカルボジイミド化合物に由来した刺激性の分解ガスが発生し作業環境が著しく悪化するなど、繊維、不織布の工業的な生産には適用し難く、加えてカルボジイミド化合物を添加することにより繊維、不織布の色調が悪化するというデメリットがあった。
近年、分子中に複数のカルボジイミド基を有し、その末端がカルボン酸で封鎖されている特定のポリカルボジイミド化合物が混合されてなるポリ乳酸繊維が知られている(特許文献5)。しかしながら、上記化合物が混合されてなるポリ乳酸繊維であっても、溶融紡糸時に発生する刺激性の分解ガスを抑制することができず、繊維や不織布の生産に好適に用いることのできるものではなかった。
特開2001−214380号公報 特開2001−261797号公報 特開平11−80522号公報 特開2004−155993号公報 特開2004−332166号公報
本発明は耐加水分解性に優れた脂肪族ポリエステル系不織布よりなる皮革様シートに関するものであって、繊維を製造する際の刺激性の不快臭の発生を伴わず、取り扱い性に優れ、かつ色調も良好であり、衣料、インテリア、雑貨、車両内装、産業資材をはじめとする各用途に好適に用いることができる生分解性の皮革様シートを提供することを目的とする。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維から構成される不織布と高分子弾性体とからなる皮革様シートであって、脂肪族ポリエステル分子鎖末端のカルボキシル基の一部、またはそのすべてがジアリルモノグリシジルイソシアヌレートによって封鎖されていることを特徴とする皮革様シート。
2)脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度が0〜20当量/tonであることを特徴とする前記(1)に記載の皮革様シート。
(3)ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの含有量が脂肪族ポリエステル樹脂全量に対し0.02〜10wt%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の皮革様シート。
(4)脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸樹脂であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の皮革様シート。
(5)脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維の単繊維繊度が1dtex以下であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の皮革様シート。
(6)脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維が海島型複合繊維に由来する単繊維繊度1dtex以下の極細繊維であり、脂肪族ポリエステル樹脂の分子量Mw、分子量分布Mw/Mnがそれぞれ以下の範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の皮革様シート。
Mw :8万〜50万
Mw/Mn:1.6〜4.0
(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)
本発明によれば、製造の際に刺激臭等の発生もなく製造環境が良好であり、耐加水分解性に優れ、かつ色調が良好な生分解性の皮革様シートが得られる。本発明の皮革様シートは衣料、インテリア、雑貨、車両内装、産業資材をはじめとする各用途に好適に用いることができる。
以下、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の皮革様シートは、脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維から構成される不織布と高分子弾性体からなる皮革様シートであって、脂肪族ポリエステル分子鎖末端のカルボキシル基の一部、またはそのすべてが一般式[化1]で表される化合物によって封鎖された皮革様シートである。
本発明の皮革様シートは脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維から構成される不織布と高分子弾性体とからなる。不織布を構成する繊維の原料として使用する脂肪族ポリエステル樹脂はポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート樹脂などが好適に用いられ、なかでも力学特性や耐熱性が比較的良好で、製造コストが低いことからポリ乳酸樹脂が好適に用いられる。また、これらの樹脂を複数種類複合して用いても良い。
本発明でいうポリ乳酸樹脂とは−(O−CHCH−CO)−を繰り返し単位とするポリマーであり、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものをいう。乳酸にはD−乳酸とL−乳酸の2種類の光学異性体が存在するため、その重合体もD体のみからなるポリ(D−乳酸)とL体のみからなるポリ(L−乳酸)及び両者からなるポリ乳酸がある。ここで、原料となる乳酸中のD−乳酸、あるいはL−乳酸の光学純度が低くなるとともにポリ乳酸の結晶性が低下し、融点降下が大きくなる。そのため、耐熱性を高めるためには原料となる乳酸の光学純度は90%以上が好ましい。
ただし、上記のように2種類の光学異性体が単純に混合している系とは別に、前記2種類の光学異性体をブレンドして繊維に成型した後、140℃以上の高温熱処理を施しラセミ結晶を形成させたステレオコンプレックスにすると、融点を飛躍的に高めることができるため好ましい。
なお、本発明では、脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維のみならず、他のポリエステルからなる極細繊維を混合して用いることも可能である。この場合、混合した皮革様シートを構成する不織布中の脂肪族ポリエステル以外の成分は、各種ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステルあるいはそれらの共重合体などを用いることができるが、特に限定されるものではない。
本発明において皮革様シートを構成する不織布中の脂肪族ポリエステルあるいはその共重合体の含有率は、風合いの柔軟性、発色性などの観点から、10重量%以上100重量%以下が好ましく、より好ましくは50重量%以上100重量%以下の範囲である。
本発明においては、製造の際に刺激臭等の発生もなく製造環境が良好であり、耐加水分解性に優れ、かつ色調が良好な生分解性の皮革様シートを得るため、耐加水分解安定剤として、上記[化1]で表されるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物を添加し、該化合物により生分解性の皮革様シートを構成する繊維の原料となる脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシルの一部または全部が封鎖されてなることが重要である。
Figure 0004665640
本発明において耐加水分解安定剤として用いられるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物としては、上記[化1]で表される化合物であれば特に限定されるものではないが、上記[化1]のR1〜3のうち、いずれか1つがグリシジル基、残る2つがアリル基であるジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(以下、DAMGICと略記)や、上記[化1]のR1〜3のうち、いずれか2つがグリシジル基、残る1つがアリル基であるモノアリル基であるモノアリルジグリシジルイソシアヌレートや、上記[化1]のR1〜3の全てがグリシジル基であるトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(以下、TEPICと略記)などが好ましく用いられる。耐加水分解安定剤として用いられる、[化1]で表されるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物は、1種の単独使用であっても複数種の混合物であってもよい。
本発明の皮革様シートにおいて、上記[化1]で表されるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物により末端カルボキシル基を封鎖する方法としては、脂肪族ポリエステルの溶融状態で該化合物を末端封鎖剤として適量反応させることで得ることができるが、脂肪族ポリエステルの高重合度化、残存低分子量物の抑制などの観点から、ポリマーの重合反応終了後に該化合物を添加、反応させることが好ましい。該化合物と脂肪族ポリエステルとの混合、反応としては、例えば、重縮合反応終了直後の溶融状態の脂肪族ポリエステルに該化合物を添加し攪拌・反応させる方法、脂肪族ポリエステルのチップに該化合物を添加、混合した後に反応缶あるいはエクストルーダなどで混練、反応させる方法(以下、溶融混練という)、エクストルーダで脂肪族ポリエステルに液状の該化合物を連続的に添加し、混練、反応させる方法、該化合物を高濃度含有させた脂肪族ポリエステルのマスターチップと脂肪族ポリエステルのホモチップとを混合したブレンドチップをエクストルーダなどで混練、反応させる方法などにより行うことができる。
本発明の皮革様シートにおいて、耐加水分解性に優れた生分解性の皮革様シートを得るため、上記[化1]で表されるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物により、生分解性の皮革様シートを構成する繊維の原料となる脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の一部または全部が封鎖されていることが重要であり、その繊維形態は特に限定されるものではない。繊度も通常、皮革様シートに用いられている範囲で使用することができる。
本発明の皮革様シートを構成する繊維の原料となる脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度は0〜20当量/tonであることが好ましく、より好ましくは0〜15当量/tonであり、0〜10当量/tonであることがさらに好ましい。該末端カルボキシル基濃度が20当量/ton以内とすることで、目的とする耐加水分解性を得ることができる。なお、本発明におけるカルボキシル基の末端濃度は、後述する測定方法で測定した値を言う。
本発明の皮革様シートにおいて、上記[化1]で表されるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物の含有量は、生分解性の皮革様シートを構成する繊維の原料となる脂肪族ポリエステル樹脂全量に対して0.02〜10wt%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜8wt%であり、0.1〜6wt%であることがさらに好ましい。該化合物の含有量の合計が0.02wt%未満であると、目的とする耐加水分解性を得ることができなくなるため好ましくない。一方、該化合物の含有量が10wt%を超えると、脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基の封鎖に寄与しない過剰な該化合物が存在することとなり、生分解性の皮革様シートの生産安定性を低下させ、さらにコストアップにつながるため好ましくない。
本発明の皮革様シートにおいて、生分解性の皮革様シートを構成する繊維の原料となる脂肪族ポリエステル樹脂の分子量は、重量平均分子量Mwが8万〜50万、重量平均分子量を数平均分子量Mnで除した、一般に分子量分布を示すMw/Mnが1.4〜4.0の範囲にあることが好ましく、Mwが10〜45万、Mw/Mnが1.6〜3.6の範囲にあることがより好ましく、Mwが12万〜40万、Mw/Mnが1.8〜3.2の範囲にあることがさらに好ましい。重量平均分子量Mwが8万未満の場合、繊維の強力が低くなり好ましくない。一方重量平均分子量Mwが50万を超える場合、粘度が高いために口金から押し出したポリマーの曳糸性が乏しく、高速延伸ができず未延伸状態となり十分な繊維強度を得ることができないため好ましくない。また、重量平均分子量を数平均分子量で除した、一般に分子量分布を表すMw/Mnが1.4未満の場合、生分解性の皮革様シートを製造する際、紡糸口金直下での繊維群の揺れ発生による糸切れが起こりやすくなるため好ましくない。一方、Mw/Mnが4.0を超える場合には生分解性の皮革様シートを製造する際、紡糸延伸性が悪化し、糸切れの多発に繋がるため好ましくない。なお、本発明でいう重量平均分子量および重量平均分子量とは後述するゲルパーミエーションクロマトグラフ法で求めたポリスチレン換算値をいう。
本発明における極細繊維の単繊維繊度は1dtex以下が好ましく、風合いの観点からより好ましくは0.5dtex以下、さらに好ましくは0.2dtex以下がよい。単繊維繊度が1dtexを超えると風合いが硬くなるので好ましくない。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂は黄味の色調の指標であるb値が5以下であることが好ましい。これにより、衣料用途をはじめとする色調を重視する用途にも使用可能である。本発明において、耐加水分解安定剤に上記[化1]で表されるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物を用いることにより、耐加水分解安定剤を未添加のものと遜色のない良好な色調を得ることができる。
本発明で用いる高分子弾性体は特に限定はないが、例えば、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリウレタン・ポリウレアエラストマー、ポリアクリル酸樹脂、アクリロニトリル・ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマーなどを用いることができるが、中でもポリウレタンエラストマー、ポリウレタン・ポリウレアエラストマーなどのポリウレタン系エラストマーが好ましい。
ポリウレタンは、ポリオール成分にポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系のジオールを用いたものを使用可能であるが、特にポリオール成分の一部にポリエステル基を含むポリエステルジオールとジイソシアネートと鎖伸長剤の各成分を適宜組み合わせて反応させて得られるポリウレタン樹脂を用いることが、ポリウレタンの加水分解性の観点から好ましい。
ポリエステルジオールは、アルカンジオールとジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とを通常のポリエステル生成反応に採用される条件下に反応させることによって得られる。
アルカンジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールなどが挙げられる。
ジカルボン酸の代表例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸など脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸は単独または2種以上の混合物で使用される。中でも脂肪族ジカルボン酸が好適に用いられる。これらジカルボン酸はエステル形成性誘導体の形で用いてもかまわない。その際の代表例としては、上記例示のジカルボン酸のメチル、エチルエステルなどの低級アルキルエステルなどが挙げられる。上記のジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体は単独または2種以上の混合物で使用されてもかまわない。また、ポリラクトンジオールを用いることもでき、ポリ−ε−カプロラクトンジオールやポリ−β−メチル−d−バレロラクトンジオールなどが挙げられる。これらポリラクトンジオールは、アルキレングリコール等を開始剤として用いて、ラクトンを開環重合させることによって製造される。
また、上記ポリエステルジオールに他のポリマージオールを混合して用いることは、柔軟性、耐久性、品位を調整するために好ましい。例えば柔軟性を付与する場合にはポリエーテルジオールを、耐光性、耐加水分解性を付与する場合にはポリカーボネートジオールを任意の割合で混合することにより、所望の特性に調整することができる。これらのポリマージオールの混合比は、好ましくは5重量%以上80重量%以下である。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを繰り返し単位とするものが挙げられるが特に制限されない。
ポリカーボネートジオールは、例えばアルキレングリコールと炭酸エステルとのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオールおよび2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオールなどの分岐アルキレングリコールを用いることができる。また、炭酸エステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートなどが挙げられる。
かかるポリマージオールと組み合わせる有機ジイソシアネートとしては特に制限されることはなく、例えば耐熱性を重視する場合は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートを使用することができるし、NOや光による黄変を抑制したい場合は、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。さらに目的に応じてこれらのジイソシアネートを複数組み合わせて用いることもできる。
また、上記ポリマージオール、ジイソシアネートと反応させる鎖伸長剤も特に制限されることもなく、有機ジオール、有機ジアミンおよびヒドラジン誘導体などを用いることができる。
有機ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオールや水添キシリレングリコールなどの脂環式ジオール、キシレングリコールなどを挙げることができる。有機ジアミンの例としては、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、キシレンジアミン、フェニルジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを挙げることができる。ヒドラジン誘導体の例としては、ヒドラジン、アジピン酸ヒドラジドおよびイソフタル酸ヒドラジドなどを挙げることができる。
特に、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、鎖伸長剤として炭素数2〜8の脂肪族ジオール、特にエチレングリコールを用いた場合、耐久性、柔軟性に優れたポリウレタンが得られるため好ましい。
また、生分解性を重視する場合にはジイソシアネートとして1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートを用いることが好ましい。高分子弾性体には必要に応じて着色剤、酸化防止剤、制電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
次に、本発明の皮革様シートの製造方法について詳細に記述する。
本発明の皮革様シートは例えば、以下の工程を組み合わせることにより得られる。すなわち、少なくとも1種類以上の脂肪族ポリエステル樹脂を含む極細繊維発生型繊維を複合紡糸し、延伸、捲縮、カットを経て得られる複合繊維原綿を製造する工程、該原綿に絡合処理を施して、不織布を作成する工程、該複合繊維から海成分を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離し、分割し、極細繊維化する前および/または後に、高分子弾性体を、該不織布に付与し、該高分子弾性体を実質的に凝固し、固化させる工程、起毛処理を施し、表面に立毛を形成する工程、分散染料等で染色する工程である。
本発明において、極細繊維を得る方法としては、目的の極細繊維を直接得る方法と、一旦太い繊維を作成し、その後、極細繊維を発現せしめる方法を採用することができるが、細い繊維が得られやすい点や、得られる皮革様シートの柔軟性の点で、一旦太い繊維を作成し、その後、極細繊維を発現せしめる方法が好ましく用いることができる。そのような方法として例えば溶解性の異なる複数のポリマーをあわせて紡糸して、極細繊維発現可能な繊維を得た後、少なくとも1種類のポリマーを除去して極細繊維を形成する方法を用いることができる。
かかる極細繊維発現可能な繊維を紡糸する際の複合形態としてはポリマー同士が張り合わされたような状態のサイドバイサイド型や、ポリマー中に別のポリマーが島状に存在する海島型、ポリマーがアロイ状に混合されているブレンド型を好ましく用いることができる。また除去されるポリマーの種類としては、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィン、ナトリウムイソフタル酸やポリエチレングリコール、等を共重合してアルカリ溶解性を高めた共重合ポリエステル等を用いることができる。
次に極細繊維を発現せしめる方法は除去する成分の種類によって異なるが、ポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンであれば、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒、共重合ポリエステルであれば、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で浸漬・窄液を行う方法を好ましく用いることができる。
次に、上記繊維を用いてシート化する方法について説明する。かかるシート状物は不織布および、不織布と織物、または編物を組み合わせた複合体を目的に応じて適宜選択して用いることができる。
かかる織物としては、通常の平織りや綾織りを、また、編物としては、経て編みや筒編みを用いることができる。また、不織布としては、短繊維不織布、長繊維不織布いずれでもかまわない。
このようにして得られた織物または編物と不織布とを絡合一体化して繊維絡合体とする場合、かかる繊維絡合体を得る方法としては、常法のごとく、カードによるウェブ形成方式や抄紙法を利用しウェブを形成した後、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチもしくはこれらを組み合わせて行うことができるが、より高強力化するために、繊維絡合体に織物もしくは編物を絡合一体化させてもよい。極細繊維を含む不織布と、織物もしくは編物が絡合一体化した構造は、具体的には、上記ウェブを織物もしくは編物に積層し、ニードルパンチもしくはウォータージェットパンチもしくはそれらを組み合わせ、ウェブ中の繊維と織物もしくは編物を絡合一体化させることにより得ることができる。なお、その際、ウェブの両面もしくは片面に織物もしくは編物を積層し、絡合処理する方法や、さらに該繊維絡合体を複数重ねて再度絡合処理し、後工程で半裁し2枚取りする方法など、目的に応じて使用可能である。織物もしくは編物を構成する繊維は、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル類あるいはそれらの共重合体類を用いるのが好ましい。
こうしたシート状物に高分子弾性体を付与するが、高分子弾性体は、極細繊維発生型繊維を極細化処理する前に付与してもよいし、後に付与してもよい。
高分子弾性体に用いる溶媒としてはN,N’−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を好ましく用いることができる。また、水中にエマルジョンとして分散させた水系高分子弾性体を用いても良い。
本発明において、高分子弾性体の付与量は、製品の柔軟性、表面タッチ、染色均一性などを考慮し、固形分として対極細繊維重量比で5〜75重量%の範囲が好ましい。
高分子弾性体には必要に応じて着色剤、酸化防止剤、制電防止剤、分散剤、柔軟剤、凝固調整剤、難燃剤、抗菌剤、防臭剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明では、かかるシート状物と高分子弾性体からなる構造体の少なくとも極細繊維の絡合層の表面に立毛処理を施し、立毛を形成せしめてもよい。
本発明の皮革様シートは分散染料を用いて染色することができる。耐加水分解安定剤を添加しているため、110℃での染色も可能であり、濃色に染めることもできる。
本発明において皮革様シートの目付、厚さ、強伸度、耐磨耗性などの特性については衣料用途、カーテン、ソファー等のインテリア用途、靴、鞄等の雑貨用途、車両内装用途、産業資材用途などそれぞれの用途に適した特性値であれば何ら限定されるものではないが、耐加水分解性の指標となる強度保持率は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。

以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
(1)脂肪族ポリエステルのMw(重量平均分子量)およびMn(数平均分子量)
試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算でMw、Mnを求めた。測定は各試料につき3点行い、その平均値をそれぞれのMw、Mnとした。
(2)融点(℃)
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を小数点以下第一位まで読み取り、小数点以下第一位を四捨五入した値を融点とした。
(3)単繊維繊度(dtex)
皮革様シートからランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜5000倍の範囲で倍率を調整して写真を撮影し、平均値から繊維径を算出、これをポリマーの密度1.27g/cmで補正し、繊度を算出した。算出値の小数点以下第二位を四捨五入した。
(4)目付(g/m
JIS L 1906(2000年版)の5.2に基づいて、縦方向30cm×横方向30cmの試料を幅方向に3点採取し、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積あたりに換算し、得られた値の小数点以下第一位を四捨五入したものを皮革様シートの目付とした。
(5)強度保持率(%)
皮革様シート1mについて、幅方向等間隔に幅方向5cm×長さ方向30cm(縦方向)、および長さ方向5cm×幅方向30cm(横方向)に各5点のサンプルを採取し、温度70±5℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽(タバイエスペック社製PR−1ST)に1週間吊り下げた状態で放置した。
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、上記恒温槽内に放置したサンプル、および恒温槽内放置前のサンプル(恒温槽内に放置するサンプルを採取する際に同時に採取する)について、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点の引張試験を実施し、得られた強伸度曲線から最大強力をN/1cm単位で小数点以下第2位を四捨五入した値で読み取り、恒温槽内放置サンプルの縦方向5点と横方向5点の総合計値を恒温槽内放置前のサンプルの縦方向5点と横方向5点の総合計値で除した後に100倍し、小数点以下第2位を四捨五入した値を強度保持率とし、60%以上を合格とした。なお、測定に用いた試料はそれぞれ5cm×30cmのサイズで各槽内に投入する前にあらかじめ目付を測定し、上記(4)で測定した同じ試料の目付との差が±2%以内であるもののみを強度保持率の測定に用いた。
(6)末端カルボキシル基濃度(当量/ton)
精秤したサンプルをo−クレゾール(水分5wt%)10mlに溶解し、この溶液にジクロロメタンを3ml添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めた。このとき、乳酸の環状2量体であるラクチド等のオリゴマーが加水分解し、カルボキシル基末端を生じるため、ポリマーの末端カルボキシル基およびモノマー由来の末端カルボキシル基、オリゴマー由来の末端カルボキシル基の全てを合計した末端カルボキシル基濃度が求まる。
(7)脂肪族ポリエステルの色調
皮革様シートの原綿を、下地の白色板が無視できる程度まで積層し、ミノルタ社製スペクトロフォトメーターCM−3700dを用いてb値を測定した。サンプル5点を測定し、その平均値を小数点以下第2位で四捨五入した値を採用した。このとき、光源としてはD65(色温度6504K)を用い、10°視野で測定を行い、b値が5以下のものを色調良好とした。
(実施例
末端カルボキシル基濃度が22.8当量/ton、融点が168℃であるポリ乳酸樹脂にDAMGIC(四国化成工業株式会社製)を溶融混練により添加し、DAMGIC含有量が5.0wt%のチップを作製した。作製したDAMGIC5.0wt%チップと、末端カルボキシル基濃度が22.8当量/ton、融点が168℃であるポリ乳酸チップを、DAMGIC5.0wt%チップの混合率が60%になるようにチップ混合装置により混合し、皮革様シートを構成するポリ乳酸樹脂からなる繊維の原料とした。得られた原料を島成分、共重合ポリスチレンを海成分とし、島/海比率=80/20重量%、島数16島、複合単繊維繊度4dtex、カット長約51mm、捲縮数14山/2.54cmの海島型複合繊維の原綿を用い、カード、クロスラッパーの工程を経てウェブを作成し、次いで、ニードルパンチを施して目付600g/mのフェルトを作成した。
このフェルトを液温約85℃、濃度約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、島成分に対して固形分で30%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。この後、約30℃のトリクロロエチレンにて海成分を除去し、単繊維繊度約0.20dtexの極細繊維からなる繊維シート状物を得た。
このシート状物をポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で30%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。該シート状物の表面をサンドペーパーにて研削し立毛を形成させた。
得られたシート状物を分散染料にて染色し、目付320g/mの立毛調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、均一な立毛と適度な風合いを有するものであった。
この皮革様シートから原綿のポリ乳酸繊維を取り出し、末端カルボキシル基濃度、Mw、Mw/Mnを測定した。末端カルボキシル基濃度は4.8当量/ton、Mwは161000、Mw/Mnは1.82であった。
この皮革様シートの強度保持率は78%であった。
Figure 0004665640
得られた皮革様シートの特性は表1に示したとおりであるが、実施例の皮革様シートはいずれも強度保持率が60%以上であり、耐加水分解性も優れていた。また、実施例の皮革様シートは製造する際に刺激臭などの発生もなく、製造環境が良好であり、かつ繊維の色調も良好であった。
(比較例1)
末端カルボキシル基濃度が22.8当量/ton、融点が168℃であるポリ乳酸樹脂を島成分、共重合ポリスチレンを海成分とし、島/海比率=55/45重量%、島数36島、複合単繊維繊度3dtex、カット長約51mm、捲縮数14山/2.54cmの海島型複合繊維の原綿を用い、カード、クロスラッパーの工程を経てウェブを作成し、次いで、ニードルパンチを施して目付610g/mのフェルトを作成した。
このフェルトを液温約85℃、濃度約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、島成分に対して固形分で30%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。この後、約30℃のトリクロロエチレンにて海成分を除去し、単繊維繊度約0.04dtexの極細繊維からなる繊維シート状物を得た。
このシート状物をポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で30%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。該シート状物の表面をサンドペーパーにて研削し立毛を形成させた。
得られたシート状物を分散染料にて染色し、目付200g/mの立毛調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、均一な立毛と適度な風合いを有するものであった。
この皮革様シートから原綿のポリ乳酸繊維を取り出し、末端カルボキシル基濃度、Mw、Mw/Mnを測定した。末端カルボキシル基濃度は22.8当量/ton、Mwは152000、Mw/Mnは1.65であった。
この皮革様シートの強度保持率は43%であった。
(比較例2)
4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート400gに、末端封止剤としてシクロヘキシルアミン36gを加え、カルボジイミド化触媒として3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド2gを加えて窒素気流下190℃で12時間反応させ、重合度8のポリカルボジイミド化合物(以下ポリカルボジイミド化合物A)を得た。
末端カルボキシル基濃度が22.8当量/ton、融点が168℃であるポリ乳酸樹脂に、上記合成方法により得たカルボジイミド化合物Aを溶融混練により添加し、ポリカルボジイミド化合物A含有量が5.0wt%のチップを作製した。作製したポリカルボジイミド化合物A5.0wt%チップと、末端カルボキシル基濃度が22.8当量/ton、融点が168℃であるポリ乳酸チップを、ポリカルボジイミド化合物A5.0wt%チップの混合率が20%になるようにチップ混合装置により混合し、皮革様シートを構成するポリ乳酸樹脂からなる繊維の原料とした。得られた原料を島成分、共重合ポリスチレンを海成分とし、島/海比率=55/45重量%、島数36島、複合単繊維繊度3dtex、カット長約51mm、捲縮数14山/2.54cmの海島型複合繊維の原綿を用い、カード、クロスラッパーの工程を経てウェブを作成し、次いで、ニードルパンチを施して目付610g/mのフェルトを作成した。
このフェルトを液温約85℃、濃度約12%のポリビニルアルコール溶液に含浸させ、ニップロールで窄液し、島成分に対して固形分で30%のポリビニルアルコールを付与した後、乾燥した。この後、約30℃のトリクロロエチレンにて海成分を除去し、単繊維繊度約0.04dtexの極細繊維からなる繊維シート状物を得た。
このシート状物をポリエステル・ポリエーテル系のポリウレタンのDMF溶液に含浸、ニップロールで窄液し、繊維重量に対して固形分で30%のポリウレタンを付与し、液温35℃の30%DMF水溶液でポリウレタンを凝固させ、約85℃の熱水でDMFおよびポリビニルアルコールを除去した。該シート状物の表面をサンドペーパーにて研削し立毛を形成させた。
得られたシート状物を分散染料にて染色し、目付200g/mの立毛調皮革様シートを得た。得られた皮革様シートは、均一な立毛と適度な風合いを有するものであった。
この皮革様シートから原綿のポリ乳酸繊維を取り出し、末端カルボキシル基濃度、Mw、Mw/Mnを測定した。末端カルボキシル基濃度は4.9当量/ton、Mwは163000、Mw/Mnは1.81であった。
この皮革様シートの強度保持率は79%であった。
得られた皮革様シートの特性は表1に示したとおりであるが、比較例1の皮革様シートは強度保持率が60%未満であり、耐加水分解性に劣っていた。また、比較例2の皮革様シートは、強度保持率は60%以上であったものの、製造時に刺激臭が発生したため、実際の生産には適用しがたく、さらに皮革様シートの色調も不良であった。
本発明の皮革様シートは、製造する際に刺激臭等の発生もなく製造環境が良好であり、耐加水分解性に優れ、かつ色調も良好な生分解性の皮革様シートが得られるため、衣料用途、カーテン、ソファー等のインテリア用途、靴、鞄等の雑貨用途、車両内装用途、産業資材用途などに適用でき、有用である。

Claims (6)

  1. 脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維から構成される不織布と高分子弾性体とからなる皮革様シートであって、脂肪族ポリエステル分子鎖末端のカルボキシル基の一部、またはそのすべてがジアリルモノグリシジルイソシアヌレートによって封鎖されていることを特徴とする皮革様シート。
  2. 脂肪族ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度が0〜20当量/tonであることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート。
  3. ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの含有量が脂肪族ポリエステル樹脂全量に対し0.02〜10wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮革様シート。
  4. 脂肪族ポリエステル樹脂がポリ乳酸樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート。
  5. 脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維の単繊維繊度が1dtex以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート。
  6. 脂肪族ポリエステル樹脂からなる繊維が海島型複合繊維に由来する単繊維繊度1dtex以下の極細繊維であり、脂肪族ポリエステル樹脂の分子量Mw、分子量分布Mw/Mnがそれぞれ以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート。
    Mw :8万〜50万
    Mw/Mn:1.6〜4.0
    (Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量)
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