JP4665127B2 - 工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法 - Google Patents

工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法に関する。さらに詳しくは、この発明は、紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水および洗浄水、ならびに金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、防汚塗料、紙用塗工液、糊剤、澱粉スラリーなどの工業製品、特に澱粉スラリーの防腐・殺菌用として有用である工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法に関する。
この発明における抗菌は、微生物を死滅させる殺菌と微生物の増殖を阻止する静菌とを意味する。
【0002】
【従来の技術】
従来から紙・パルプ工業における抄紙工程水や各種工業用の冷却水には、細菌や真菌によるスライムが発生し、このスライムが生産品の品質低下や生産効率の低下などの障害を引き起こすことが知られている。また、多くの工業製品、例えば金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、防汚塗料、紙用塗工液、糊剤、澱粉スラリーなどでは細菌やかびによる腐敗や汚染が発生し、これらが製品を汚損し、製品価値を低下させることが知られている。
【0003】
これらの工業製品のうち、澱粉を原料とする澱粉スラリーや糊剤(糊液)は、さまざまな用途で用いられ、例えば、製紙工場においては、表面サイズやカラーバインダーおよび内添用として多量に使用されている。原料澱粉となる馬鈴薯澱粉やタピオカ澱粉などの地下茎澱粉や小麦澱粉などには土壌菌が付着していることが多く、そのような土壌菌には耐熱性胞子をもつBacillus属も含まれている。
【0004】
耐熱性胞子をもつ細菌は100℃でも生存しており、澱粉が豊富に存在する澱粉スラリー中で落下菌などとともに繁殖する。微生物の増殖により腐敗が進行すると、腐敗臭の発生やストレーナの目詰まり、粘度低下やpH低下による品質の劣化などの障害が生じる。
【0005】
これらの微生物による障害を防止するため、多くの殺菌剤が使用されてきた。
古くは有機水銀化合物、塩素化フェノール化合物やホルマリンなどが使用されていたが、これらの薬剤は人体や魚介類に対する毒性が強く、環境汚染を引き起こすために使用が規制されるようになり、最近では比較的低毒性の工業用殺菌剤が汎用されている。
【0006】
このような工業用殺菌剤としては、メチレンビスチオシアネート、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンに代表される有機窒素硫黄系化合物、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、ビストリブロモメチルスルホンに代表される有機ブロム系化合物、および4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンに代表される有機硫黄系化合物などが挙げられる。
【0007】
しかしながら、上記の工業用殺菌剤の単独使用では、殺菌対象系中において狭い範囲の微生物にしか有効ではないため、種々の微生物が混在する対象系においては充分な殺菌効力が得られないという問題があった。また、ある微生物に対して有効な工業用殺菌剤であっても、長期間使用することにより耐性菌が出現し、殺菌効力が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、上記の工業用殺菌剤を組み合わせることによって相乗効果を発揮させる種々の工業用殺菌剤が提案されている。例えば、イソチアゾロン化合物とシアノアセトアミド化合物との組み合わせ(特開平7-277911号公報)、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジクロロジフェニルメタンとイソチアゾリン−3−オン系化合物との包接化合物と、ブロム酢酸エステルとの組み合わせ(特許第2953300号公報)などが知られている。
【0009】
しかしながら、相乗効果を目的とした殺菌剤では、細菌やカビに対する殺菌力は向上するものの、その効果の持続性がなく、また酵母に対してはその効力が充分でないという問題がある。特に、殺菌剤を間欠的に添加して長時間の殺菌効力の持続を必要とする対象系、例えば澱粉スラリーなどにおいては、その効果が充分でなく、腐敗臭の発生やストレーナの目詰まりが生じ、製品の品質劣化など微生物による障害を充分に防止することができなかった。
【0010】
この発明において有効成分として用いられる2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよびブロム酢酸エステルについては、それぞれ単独で殺菌作用を有すること、および他の殺菌剤との組み合わせで相乗的な殺菌効果を示すことが知られているが、これら両殺菌剤の組み合わせについては知られていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、細菌、カビ、酵母など広範な種類の微生物に対して有効な抗菌力を有し、かつその効果が持続する工業用抗菌剤を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の発明者らは、種々の工業用殺菌・抗菌剤の組み合わせについて研究した結果、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとブロム酢酸エステルとを組み合わせることにより、広範な種類の微生物に対して顕著な抗菌効果が発揮され、しかもその抗菌効果が長時間持続されるという意外な事実を見出し、この発明に到った。
また、この発明の発明者らは、上記の2成分の薬剤に、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドおよび/またはある種のハロゲン化脂肪族ニトロアルコール誘導体を組み合わせて、3成分あるいは4成分とすることにより、さらに優れた抗菌効果とその持続性が発揮されるという意外な事実を見出し、この発明に到った。
【0013】
かくしてこの発明によれば、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンブロム酢酸エステル1:100〜100:1の配合割合でかつ前記2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび前記ブロム酢酸エステルの合計量と2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドとを1:100〜100:1の配合割合で含有することを特徴とする工業用抗菌剤が提供される。
【0014】
また、この発明によれば、抗菌対象系に、上記の工業用抗菌剤を、有効成分の合計濃度として0.1〜1000mg/lとなるように同時または別々に添加することを特徴とする工業的抗菌方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明において有効成分として用いられるブロム酢酸エステルの具体例としては、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパンおよび1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパンなどが挙げられ、中でも抗菌効果の点で1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテンおよび1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタンが特に好ましい。
【0016】
この発明の工業用抗菌剤は、有効成分として、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドを配合することにより、さらに優れた抗菌効果を発揮する。
【0017】
また、この発明の工業用抗菌剤は、有効成分として、一般式(I):
【0018】
【化2】
Figure 0004665127
【0019】
(式中、Xはハロゲン原子、Rはハロゲン原子、低級アルキル基またはヒドロキシ低級アルキル基を示す)
で表されるハロゲン化脂肪族ニトロアルコール誘導体を配合することにより、さらに優れた抗菌効果を発揮する。
【0020】
一般式(I)において、XおよびRで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。また、Rで示される低級アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチルのような炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、ヒドロキシ低級アルキル基としては、一つまたはそれ以上のヒドロキシ基で置換された上記のような低級アルキル基が挙げられる。
【0021】
ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール誘導体の具体例としては、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールおよび2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールなどが挙げられる。
【0022】
この発明において相乗的な抗菌効果が顕著に発揮される工業用抗菌剤の好ましい配合割合は、2成分の場合にはブロム酢酸エステルの種類により、3成分の場合にはハロゲン化脂肪族ニトロアルコールの種類により、また4成分の場合にはブロム酢酸エステルおよびハロゲン化脂肪族ニトロアルコールの種類により異なる。以下にそれぞれの組み合わせにおける好ましい配合割合を重量比で示す。
【0023】
有効成分が2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとブロム酢酸エステルである場合の両殺菌剤の配合割合は、1:100〜100:1、好ましくは1:20〜10:1、より好ましくは、1:10〜5:1である。
【0024】
有効成分が2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとブロム酢酸エステルと、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドである場合の、前者2成分の合計量と後者との配合割合は、1:100〜100:1、好ましくは、1:10〜10:1、より好ましくは、1:5〜5:1である。
【0025】
有効成分が2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとブロム酢酸エステルと、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールである場合の、前者2成分の合計量と後者との配合割合は、1:100〜100:1、好ましくは、20:1〜1:10、より好ましくは、10:1〜1:5である。
【0026】
有効成分が2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンとブロム酢酸エステルと、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールである場合の、前者2成分の合計量と後者との配合割合は、1:100〜100:1、好ましくは、20:1〜1:10、より好ましくは、10:1〜1:5である。
【0027】
有効成分が2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ブロム酢酸エステルおよび2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドと、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールである場合の、前者3成分の合計量と後者との配合割合は、1:100〜100:1、好ましくは、30:1〜1:10、より好ましくは、20:1〜1:5である。
【0028】
また、有効成分が2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ブロム酢酸エステルおよび2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドと、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールである場合の、前者3成分の合計量と後者との配合割合は、1:100〜100:1、好ましくは、30:1〜1:10、より好ましくは20:1〜1:5である。
【0029】
この発明の有効成分は、通常液剤の形態に製剤化して用いるのが好ましいが、これに限定されるものでなく、使用対象によっては粉剤などの形態で用いてもよい。また、製剤の長期貯蔵安定性などの点でそれぞれの有効成分を分離して保管するのが好ましい場合には、有効成分をそれぞれ別々に製剤化し、使用に際してそれらを併用しても差し支えない。
【0030】
抗菌対象系が製紙工程のプロセス水および工業用冷却水などの各種水系、澱粉スラリーおよび合成樹脂エマルションなどの場合には、有効成分の溶解、分散性を考慮して、親水性有機溶剤および分散剤を用いて液剤とするのが好ましい。
【0031】
親水性有機溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、炭素数8までのアルコール類もしくはメチルアセテート、エチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシメチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、プロピレンカーボネート、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチルなどのエステル類、N,N−ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類が挙げられ、中でも安全性および安定性の点で、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンカーボネートおよびグルタル酸ジメチルが特に好ましい。
【0032】
分散剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤または両性界面活性剤がいずれも使用できるが、製剤の安定性の点ではノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0033】
ノニオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物〔エチレンオキサイドは以下、(E.O)と略す〕、アルキルフェノール(E.O)付加物、脂肪酸(E.O)付加物、多価アルコール脂肪酸エステル(E.O)付加物、高級アルキルアミン(E.O)付加物、脂肪酸アミド(E.O)付加物、油脂の(E.O)付加物、プロピレンオキサイド〔以下、(P.O)と略す〕(E.O)共重合体、アルキルアミン(P.O)(E.O)共重合体付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリトリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルキロールアミドなどが挙げられる。
【0034】
また、これらの界面活性剤の代わりに、またはその補助剤として、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの水溶性高分子を用いてもよい。
【0035】
これらの親水性有機溶剤および分散剤を配合した製剤における配合割合は、製剤を100重量部としたとき、有効成分の合計量1〜80重量部、分散剤が有効成分の合計1重量部に対して少なくとも0.01重量部であり、残部を親水性有機溶剤とするのが好ましい。
【0036】
また、抗菌対象系が切削油、油性塗料などの油系の場合には、灯油、重油、スピンドル油などの炭化水素系溶剤を用いた液剤とするのが好ましく、各種界面活性剤を用いてもよい。
さらに、この発明の有効成分を2〜4液に分けて製剤化する場合も、それぞれの有効成分について上記のような溶剤や分散剤を用い、上記のような配合割合で製剤化することができる。
【0037】
この発明の有効成分がそれぞれ直接溶解または分散し得る抗菌対象系に対しては、有効成分自体を直接、または固体希釈剤(例えば、カオリン、クレー、ベントナイト、CMCなど)で希釈された粉剤、顆粒剤または錠剤として用いてもよく、前記の界面活性剤を同時に用いてもよい。また、液剤の場合と同様に、固形剤をそれぞれの有効成分に分けて製剤化してもよい。有効成分の組み合わせによっては、溶剤や界面活性剤なしに有効成分のみを用いてもよい。
この発明の製剤は、さらに他の公知の殺菌・抗菌剤を含有させることもできる。
【0038】
この発明の方法において、上記の有効成分を抗菌対象系に同時に添加する場合には、単一製剤として用いるのが簡便であるが、製剤の長期貯蔵安定性などの点でそれぞれの有効成分を使用時まで分離しておくのが好ましい場合や、抗菌対象系に別々に添加する場合には、個々の有効成分ごとの製剤の形態で用いられる。
【0039】
この発明の工業用抗菌剤は、有効成分が合計濃度として0.1〜1000mg/l、好ましくは0.1〜200mg/lとなるように、抗菌対象系に同時にまたは別々に添加される。有効成分の合計濃度は、有効成分の組み合わせおよび抗菌対象系の種類により異なる。例えば、抗菌対象系が澱粉スラリーの場合には、1〜1000mg/l程度である。
【0040】
【実施例】
この発明を以下の製剤例、比較製剤例および試験例により具体的に説明するが、この発明はこれらの製剤例および試験例により限定されるものではない。
なお、製剤例1〜4およびそれらを用いた試験例は、それぞれ参考製剤例および参考試験例である。
【0041】
製剤例はこの発明の2〜4種の有効成分からなる製剤である。これらの製剤および比較製剤例は各有効成分を各種親水性有機溶剤に混合し、攪拌混合することにより調製し、供試薬剤とした。製剤例および比較製剤例をそれぞれ表1および表2に示す。表中の各化合物の配合割合はすべて重量部である。
製剤の各有効成分および各種親水性有機溶剤の化合物名と略号を以下に示す。
【0042】
OIT:2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
CL−MIT:5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オン
BBAB:1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン
BBAE:1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン
BBAP:1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン
TBAP:1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン
【0043】
DBNPA:2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド
BNPD:2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール
DBNE:2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール
MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
GAD:グルタル酸ジメチル
DEG:ジエチレングリコール
PC:プロピレンカーボネート
【0044】
【表1】
Figure 0004665127
【0045】
【表2】
Figure 0004665127
【0046】
試験例1〔酸性板紙抄紙白水に対する殺菌・殺カビ力試験〕
某製紙工場において採取した下記の菌種を含む酸性板紙抄紙白水(pH:5.5、初期細菌数:2.0×107個/ml、初期カビ数:4.0×104個/ml)を10mlずつL字管に分注した。
Figure 0004665127
【0047】
次いで、L字管に各薬剤を有効成分の合計濃度として5mg/lおよび15mg/lとなるように添加し、30℃で30分間振とう培養し、振とう後の細菌数およびカビ数を測定した。なお、薬剤を添加した直後に白水の吸光度(660nm)を測定し、この時点の吸光度で零点調整しておいた。
さらに30℃で振とう培養を継続し、培養開始から1時間毎に24時間、経時的に白水の吸光度を測定して、その吸光度が0.1absに達した時間を増殖開始時間(X)とした。すなわち、細菌およびカビが増殖し、それらの代謝産物として不溶性の蛋白や多糖類が産生されて白水が濁り始める時間を、吸光度を用いて測定した。
この試験においては、薬剤無添加のブランク試験を同時に行った。
【0048】
ブランク試験における細菌数およびカビ数を基準として、すなわちブランク試験における殺菌率および殺カビ率をそれぞれ0%として、測定した細菌数およびカビ数から殺菌率および殺カビ率を求めた。
また、ブランク試験における増殖開始時間(BL)を基準として、すなわちブランク試験における増殖抑制時間をそれぞれ0時間として、求めた増殖開始時間(X)から抗菌力の指数となる増殖抑制時間(X−BL)を求めた。
殺菌力、殺カビ力および抗菌力を薬剤の添加濃度と共に表3および表4に示す。
【0049】
【表3】
Figure 0004665127
【0050】
【表4】
Figure 0004665127
【0051】
表3および表4の結果から、この発明の工業用抗菌剤は、細菌およびカビに対して有効な殺菌力および殺カビ力を有し、かつその効果が持続することがわかる。
【0052】
試験例2〔中性中質紙抄紙白水に対する抗菌力試験〕
某製紙工場において採取した下記の菌種を含む中性中質紙抄紙白水(pH:7.5、初期細菌数:1.2×106個/ml)を10mlずつL字管に分注した。
Figure 0004665127
【0053】
次いで、L字管に各薬剤を有効成分の合計濃度として3mg/lとなるように添加し、直ちに白水の吸光度(660nm)を測定し、この時点の吸光度で零点調整をした。30℃で振とう培養し、培養開始から1時間毎に24時間、経時的に白水の吸光度を測定して、その吸光度が0.1absに達した時間を増殖開始時間(X)とした。
【0054】
増殖開始時間(BL)を1時間として、求めた増殖開始時間(X)から抗菌力の指数となる増殖抑制時間(X−BL)を求めた。
得られた結果を図1〜8に示す。
【0055】
図1〜8では、OITとブロム酢酸エステルの混合領域において、増殖抑制時間のピークが表れていることから、OITとブロム酢酸エステルが相乗的な殺菌効果を有することがわかる。
【0056】
試験例3〔中性板紙抄紙白水におけるスライム付着防止効果確認試験〕
容量500mlのビーカーの側面内部にプラスチックワイヤー(280mm×100mm)を取り付け、某製紙工場において採取した下記の菌種を含む中性板紙抄紙白水(pH:6.8、初期細菌数:2.7×106個/ml、初期かび数:1.5×104個/ml、SO3 2-濃度:10ppm)400mlを分注した。
Figure 0004665127
【0057】
次いで、ビーカーに各薬剤を有効成分の合計濃度として3mg/lとなるように添加し、水温槽付ジャーテスターを用いて25℃で培養し、培養開始から10日間、経時的にプラスチックワイヤーを目視観察した。プラスチックワイヤーにスライムが水あか(薄っすらと)のように付着し始めた時点を付着開始とし、培養開始からの日数をスライム付着開始日数とした。
得られた結果を図5〜14に示す。
【0058】
図9および図10では、OITとブロム酢酸エステルの混合領域において、スライム付着の開始日数のピークが表れていることから、OITとブロム酢酸エステルが相乗的な殺菌効果を有することがわかる。
【0059】
試験例4〔工業用水による付着スライム抑制試験〕
工業用水で溶解した35%澱粉スラリーに、下記の菌種を含む0.5%の付着スライム(pH:5.4、初期細菌数:8.6×105個/ml、初期酵母種数:2.4×104個/ml)を添加した。
Figure 0004665127
【0060】
試験例1で用いた各薬剤を有効成分として30mg/lとなるように添加し、30℃で10日間の測定を行った。
その測定結果を表5に示す。
次いで、各薬剤を有効成分の合計濃度として30mg/lとなるように添加し、30℃で10日間振とうし、振とう後の細菌数および酵母数を測定した。
この試験においては、薬剤無添加のブランク試験を同時に行った。
得られた結果を表5に示す。
【0061】
【表5】
Figure 0004665127
【0062】
表5の結果から、この発明の工業用抗菌剤は、細菌および酵母に対して有効な抗菌力を有することがわかる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、細菌、カビ、酵母など広範な種類の微生物に対して有効な抗菌力を有し、かつその効果が持続する工業用抗菌剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の工業用抗菌剤[OITとBBAB]の相乗効果を示す図である。
【図2】この発明の工業用抗菌剤[OITとBBAE]の相乗効果を示す図である。
【図3】この発明の工業用抗菌剤[OITと(BBAB:DBNPA=1:5)]の相乗効果を示す図である。
【図4】この発明の工業用抗菌剤[OITと(BBAB:DBNPA=1:2)]の相乗効果を示す図である。
【図5】この発明の工業用抗菌剤[OITと(BBAB:DBNPA=10:1)]の相乗効果を示す図である。
【図6】この発明の工業用抗菌剤[OITと(BBAE:DBNPA=1:5)]の相乗効果を示す図である。
【図7】この発明の工業用抗菌剤[OITと(BBAE:DBNPA=1:2)]の相乗効果を示す図である。
【図8】この発明の工業用抗菌剤[OITと(BBAE:DBNPA=10:1)]の相乗効果を示す図である。
【図9】この発明の工業用抗菌剤[OITとBBAB]の相乗効果を示す図である。
【図10】この発明の工業用抗菌剤[OITと(BBAB:DBNPA=1:2)]の相乗効果を示す図である。
【図11】この発明の工業用抗菌剤[CL−MITとBBAB]の相乗効果を示す図である。
【図12】この発明の工業用抗菌剤[BBABとDBNPA]の相乗効果を示す図である。
【図13】この発明の工業用抗菌剤[CL−MITと(BBAB:DBNPA=1:2)]の相乗効果を示す図である。
【図14】この発明の工業用抗菌剤[CL−MITと(DBNPA:DBNE=5:1)]の相乗効果を示す図である。

Claims (6)

  1. 2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンブロム酢酸エステル1:100〜100:1の配合割合でかつ前記2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび前記ブロム酢酸エステルの合計量と2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドとを1:100〜100:1の配合割合で含有することを特徴とする工業用抗菌剤。
  2. 前記ブロム酢酸エステルが、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパンまたは1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパンである請求項1に記載の工業用抗菌剤。
  3. さらに、一般式(I):
    Figure 0004665127
    (式中、Xはハロゲン原子、Rはハロゲン原子、低級アルキル基またはヒドロキシ低級アルキル基を示す)
    で表されるハロゲン化脂肪族ニトロアルコール誘導体を含有する請求項1または2に記載の工業用抗菌剤。
  4. 前記ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール誘導体が、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールまたは2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールである請求項に記載の工業用抗菌剤。
  5. 前記2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、前記ブロム酢酸エステルおよび前記2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドの合計量と前記ハロゲン化脂肪族ニトロアルコール誘導体のと配合割合が1:100〜100:1である請求項3または4に記載の工業用抗菌剤。
  6. 抗菌対象系に、請求項1〜5のいずれか1つに記載の工業用抗菌剤を、有効成分の合計濃度として0.1〜1000mg/lとなるように同時または別々に添加することを特徴とする工業的抗菌方法。
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