JP4663871B2 - スイッチドリラクタンスモータ及びそのセンサレス駆動回路 - Google Patents

スイッチドリラクタンスモータ及びそのセンサレス駆動回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチドリラクタンスモータと、そのモータに使用するセンサレス駆動回路の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スイッチドリラクタンスモータ(以下「SRモータ」と言う)の駆動回路には、ロータリエンコーダなどのセンサが用いられており、そのセンサによって回転子の磁極位置を検出し、所定のタイミングで転流が行われて、前記SRモータを駆動していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記回転子の磁極位置検出センサをSRモータの駆動回路に用いると、駆動回路自体のコストがアップしてしまうとともに、センサが故障したりすると、SRモータが駆動できなくなるという問題があった。また、センサは、センサから導出されるリード線を含めて、SRモータのハウジング内の空間を占有することになるので、SRモータを小型・軽量化することが難しくなる等の問題があった。
【0004】
一方、SRモータの回転子の磁極位置とインダクタンス値(または、電機子電流値)との関係を予め測定し、そのインダクタンス値に対する最適な通電パターンを算出して、これを記憶しておき、この通電パターンを用いて、SRモータをセンサレスで駆動する技術も開発されているが、かかる方式では、事前に通電パターンを算出して記憶させておかなければならないので、その通電パターンの算出自体が困難になるばかりでなく、通電パターンを記憶するための回路が特別に必要となるため回路コストをアップさせてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、回転子の磁極位置検出用のセンサや予め算出した通電パターンを用いることなく、駆動可能としたスイッチドリラクタンスモータと、回転子の磁極位置検出をセンサレスで行うことを可能とした、前記モータのセンサレス駆動回路を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータは、複数相の固定子巻線を巻回した固定子鉄心と、前記固定子鉄心内で回転可能に収容保持される回転子とを備えたスイッチドリラクタンスモータにおいて、前記固定子鉄心内に収容される回転子は、その回転子磁極を前記固定子巻線を巻装した固定子磁極より多数極備えて構成したので、回転子磁極を固定子磁極より多くすることにより、固定子巻線への励磁時における非励磁相への磁束の漏れが多くなり、この結果、非励磁相の変圧器起電力の検出が良好となって非励磁相への転流が円滑に行えるため、回転子は脈動を少なくして低騒音で、かつ、大きなトルクで円滑・良好に回転させることができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
また、請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータのセンサレス駆動回路は、複数相の固定子巻線を巻回した固定子鉄心と、その固定子鉄心内で回転可能に収容保持される回転子とを具備したスイッチドリラクタンスモータにおいて、前記複数相の固定子巻線を順次励磁するインバータ回路と、前記インバータ回路により励磁が行われていない複数の非励磁相の変圧器起電力の電位差を演算処理してその値が所定値となったとき固定子巻線の励磁相を切替える転流指令を前記インバータ回路に出力するセンサレス制御回路と、インバータ回路から出力される相励磁信号をパルス幅変調して、回転子の回転速度を可変するパルス幅変調回路とを備えて構成したので、これにより、回転子の磁極位置検出用のセンサを用いることなく、スイッチドリラクタンスモータをセンサレスで駆動することが可能となる。しかも、インバータ回路から所要の固定子巻線の励磁相への通電をパルス幅変調させることにより、回転子の回転速度を容易に、かつ、任意に可変することができ、利便である。
【0008】
さらに、請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータのセンサレス駆動回路は、インバータ回路により励磁されていない非励磁相の固定子巻線の変圧器起電力を検出する起電力検出手段と、前記起電力検出手段によって検出された変圧器起電力に応じて転流指令を出力する転流回路と、前記転流指令に基づいてインバータ回路をオン・オフ制御する制御信号を出力する制御信号出力回路とを備えて構成したので、複数の非励磁相における変圧器起電力の検出は、その差電圧を検出すればよいので、例えば、磁束と電流を検出して転流時期を設定する場合に比べ、特別な検出手段等を準備する必要がないので、転流時期の設定が簡易に行うことができ、利便である。
【0009】
しかも、請求項1記載のスイッチドリラクタンスモータのセンサレス駆動回路の起電力検出手段は、インバータ回路により励磁されていない非励磁相の複数の固定子巻線より変圧器起電力を検出してその電圧差を微分処理し、前記微分処理した値が0値となったとき、前記0値をカウントし、そのカウント値が所定のカウント値以上となったとき転流回路に転流指令を出力するように構成したので、この結果、微分処理後の0値は、次の転流指令が出力されるまで複数存在することになるため、目標とする回転速度に相当する0値の出力カウント値を提供することにより、容易に、かつ、任意に回転子の回転速度が選択でき、この種モータの効率的使用が可能となる。
【0010】
請求項2記載のスイッチドリラクタンスモータのセンサレス駆動回路は、請求項1記載のセンサレス駆動回路において、前記固定子巻線は、2以上の同相の電機子巻線を有し、かつ、2以上の同相の固定子巻線は、インバータ回路により励磁されたとき同じ極性となるように固定子鉄心に巻回して構成したので、これにより、固定子巻線の励磁時における固定子巻線の非励磁相への磁束の漏洩が多くなり、この結果、非励磁相における変圧器起電力の検出を良好に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図10によって説明する。図1は本発明のスイッチドリラクタンスモータ(以下、単にSRモータという)の概略構成を示す図で、このSRモータ1は回転子軸2に回転子3を固着し、この回転子3を固定子鉄心4に回転可能に取付けることにより構成されている。
【0012】
前記回転子3は、図1に示すように、回転子軸2に固着した円形のボス部3aと、そのボス部3aの周方向に等間隔を有して放射状に突設した例えば、8極の回転子磁極3bが具備されている。また、固定子鉄心4の内周面には、等間隔を保って固定子鉄心4の中心に向って例えば、6極の固定子磁極4aが突設されている。即ち、本発明のスイッチドリラクタンスモータ1は、前記のように、回転子磁極3bを固定子磁極4aより多極化して構成するようにしたものである。
【0013】
そして、前記固定子鉄心4の6極の固定子磁極4aには、A相,B相,C相の3相の固定子巻線4b,4c,4dが、それぞれ対向するステータ極4aに2極ずつ巻回されている。この対向する2極の電機子巻線4b〜4dは、励磁(通電)を行うことにより、その固定子巻線4b〜4dが巻回される固定子磁極4aをN極またはS極の同じ極性に励磁する方向に巻回されている。この結果、励磁時における固定子巻線4b〜4dの非励磁相への漏れ磁束を多くして、前記非励磁相の変圧器起電力の検出が良好に行えるようにしている。
【0014】
図2において、前記非励磁相における漏れ磁束が多くなる点について説明する。図2(a)は、本発明のSRモータ1において、例えば、A相の電機子巻線4bを励磁した場合の磁束の状態を示し、また、図2(b)は、従来のSRモータにおいて、同様にA相の固定子巻線を励磁した場合の磁束の状態を示し、この図2に示す磁束の流れで判るように、本発明のSRモータ1においては、励磁されたA相の固定子磁極4aは、同じ磁性のN極に励磁されている関係上、励磁により生じる磁束5は、A相の固定子巻線4bに対向している回転子磁極3bから入って、隣接する別の回転子磁極3bを通り、非励磁の固定子磁極4dであるB相及びC相の固定子磁極4aへ入って、A相の固定子磁極4aへ戻っている。
【0015】
一方、図2(b)に示すように、従来のSRモータにおいては、励磁されたA相の固定子磁極は、一方がN極に他方がS極に励磁されるため、励磁により生じる磁束5は、N極に励磁されたA相の固定子磁極から対向する回転子磁極へ入り、更に、その回転子磁極からS極に励磁されたA相の固定子磁極へ入って、元のN極に励磁された固定子磁極へ戻っており、非励磁のB相及びC相の回転子磁極への漏れ磁束はほとんど生じない。
【0016】
両者を比較すれば明らかなように、本実施例のSRモータ1においては、所定の固定子巻線4b〜4dの励磁によって固定子磁極4aがN極またはS極の同じ極性に励磁されるように前記固定子巻線4b〜4dが巻回されているので、励磁時における非励磁相への漏れ磁束を多くすることが可能となる。前記漏れ磁束が多くなると、モータの回転効率はある程度低下するものの、その分、非励磁相の変圧器起電力の検出を迅速・確実に行うことができ、SRモータ1のセンサレス駆動を円滑・良好に行うことができる。
【0017】
次に図3は、本発明のセンサレス駆動回路の概略的な構成を示したブロック図である。図3に示すように、センサレス駆動回路10は、主に、速度調整回路11と、インバータ回路12と、センサレス制御回路13とにより構成されている。速度調整回路11は、所定のデューティ比で発振する矩形波を出力するための公知のパルス幅変調回路(PWM(Pulse Width Modulation) を用いており、その回路内に設けられた図示しない可変抵抗の抵抗値を変更することによって、出力される矩形波のデューティ比を変更して、SRモータ1の回転速度を調整するものである。
【0018】
インバータ回路12は、図4に示すように、SRモータ1の3相の固定子巻線4b〜4dと共に図示されており、このインバータ回路12は、3相(A相,B相,C相)の固定子巻線4b〜4dに、24ボルトの直流電源21を順次通電(励磁)切替するための回路である。インバータ回路12の直流電源21のプラス側端子には、上アームトランジスタとしての3つのPNPトランジスタQu1,Qv1,Qw1のエミッタ端子が接続され、直流電源21のグランド側端子には、下アームトランジスタとしての3つのN−MOS電界効果トランジスタQx1,Qy1,Qz1のソース端子が接続されて、これらにより3相の固定子巻線4b〜4dに対応した3つのアームが形成されている。即ち、上アームトランジスタQu1,Qw1のコレクタ端子と、下アームトランジスタQx1〜Qz1のドレイン端子との間に、3相の固定子巻線4b〜4dがそれぞれ接続されている。
【0019】
上アームトランジスタQu1〜Qw1のベース・エミッタ間には、保護及びベース電圧のフローティング防止用の4.7kΩの抵抗Ru1〜Rw1が接続されており、また、上アームトランジスタQu1〜Qw1のベース端子には、180Ω(2W)の抵抗Ru2〜Rw2の一端が接続され、その抵抗Ru2〜Rw2の他端には、NPNトランジスタQu2〜Qw2のコレクタ端子が接続されている。トランジスタQu2〜Qw2のエミッタ端子は接地されると共に、そのベース・エミッタ間には10kΩの抵抗Ru3〜Rw3が接続されている。更に、トランジスタQu2〜Qw2のベース端子には、4.7kΩの抵抗Ru4〜Rw4の一端が接続されている。この抵抗Ru4〜Rw4の他端は、インバータ回路12の入力端として、後述するセンサレス制御回路13の出力端a〜cと接続され、センサレス駆動回路13の出力に応じて、上アームトランジスタQu1〜Qw1がオンまたはオフするように構成されている。
【0020】
下アームトランジスタQx1〜Qz1のゲート・ソース間には、保護及びゲート電圧のフローティング防止用の10kΩの抵抗Rx1〜Rz1が接続されている。また、下アームトランジスタQx1〜Qz1のゲート端子は、1kΩの抵抗Rx2〜Rz2を介してセンサレス制御回路13の出力端a〜cと接続されると共に、チョッパドライバとしてのNPNデジタルトランジスタQx2〜Qz2のコレクタ端子と接続されている。このトランジスタQx2〜Qz2は、エミッタ端子が接地され、そのベース・エミッタ間に10kΩの抵抗Rx3〜Rz3が接続された、いわゆるオープンコレクタ形のNPNトランジスタとされている。このトランジスタQx2〜Qz2のベース端子は、10kΩの抵抗Rx4〜Rz4を介して速度調整回路(PWM回路)11の出力端に接続されている。この結果、下アームトランジスタQx1〜Qz1は、センサレス制御回路13の出力と速度調整回路(PWM回路)11の出力とに応じてオンまたはオフされる。具体的には、下アームトランジスタQx1〜Qz1は、センサレス制御回路13から“H”信号が出力され、かつ、速度調整回路11からロウ信号が出力されてトランジスタQx2〜Qz2がオフしている場合に限りオンされる。
【0021】
前記した通り、速度調整回路11からは所定のデューティ比の矩形波が出力されるので、下アームトランジスタQx1〜Qz1は、上アームトランジスタQu1〜Qw1がオンされている間に、速度調整回路11の矩形波のデューティ比でオン・オフを繰り返す。固定子巻線4b〜4dへの通電と非通電とは、この下アームトランジスタQx1〜Qz1のオン・オフに連動して切り替えられる。よって、非励磁相の変圧器起電力を検出するために必要な交流成分を、パルス幅変調回路により構成される速度調整回路11によって生成することができるのである。
【0022】
なお、上アームトランジスタQu1〜Qw1のコレクタ・エミッタ間、および、下アームトランジスタQx1〜Qz1のソース・ドレイン間には、SRモータ1の各固定子巻線4b〜4dを挟んで、アームトランジスタQu1〜Qz1のオンまたはオフ時に固定子巻線4b〜4dに生じる逆起電力作用に起因する電流を還流させるためのフリーホイールダイオードDu〜Dzが、それぞれ逆並列に接続されている。
【0023】
つづいて、センサレス制御回路13について説明する。このセンサレス制御回路13は、図3に示すように、所定の固定子巻線4b〜4dの励磁時における非励磁相に生じる変圧器起電力を検出するための起電力検出手段14と、この起電力検出手段14から出力される転流指令により起動して、相励磁あるいは非相励磁信号(以下、制御信号という)をインバータ回路12に出力する制御信号出力回路16と、この制御信号出力回路16を、起電力検出手段13からの出力信号によって作動する転流回路15とによって構成されている。
【0024】
前記センサレス制御回路13の要部を構成する起電力検出手段14は、図5に示すように、実際には3個具備してセンサレス制御回路13に組込まれており、ここでは、3個とも同じ構成であるため、1個について説明する。
【0025】
ここでいう起電力検出手段14は、例えば、8ビットのマイクロコンピュータ3個(14a〜14c)を用いて構成されており、その機能は図5において、各起電力検出手段14a〜14cの各入力端、即ち、第1入力端IN1 に入力される電圧と、第2の入力端IN2 に入力される電圧とを演算処理して、その値が所定値になったとき、一定時間“L”信号を出力(転流指令)するものである。なお、前記各マイクロコンピュータ(起電力検出手段14a〜14c)の第3入力端IN3は、センサレス制御回路13の所定の出力端a〜cと接続されている。
【0026】
この結果、前記転流指令を出力する前記マイクロコンピュータには、次に示すようなプログラムが事前に格納されている。
(1)第1入力端IN1に入力される電圧と、第2の入力端IN2に入力される電圧との電圧差を演算処理する機能
(2)演算処理した電圧差の値を更に微分処理して微分値が0値を算出処理する機能
(3)微分処理して算出した0値をカウント処理する機能
(4)0値を事前に設定した所定カウント数カウントした時点で、所定時間センサレス制御回路13の所定の出力端a〜cから“L”信号(転流指令)を出力する機能
(5)センサレス制御回路13の所定の出力端a〜cから出力される“L”信号の出力時期を0値のカウント数に応じて任意に変更可能とした機能
(6)起電力検出手段14a〜14cの所定の第3入力端IN3に、センサレス制御回路13の所定の出力端a〜cからの“L”信号が入力されたら、作動を一旦停止させる機能
【0027】
図5は、前記した起電力検出手段14を3組備えたセンサレス駆動回路13の回路図を示すもので、これら、3組の起電力検出手段14は、例えば、C相の固定子巻線4dの励磁中に、A相及びB相の固定子巻線4b,4cの変圧器起電力を比較する第1の起電力検出手段14aと、A相の固定子巻線4bの励磁中に、B相及びC相の固定子巻線4c,4dの変圧器起電力を比較する第2の起電力検出手段14bと、B相の固定子巻線4cの励磁中に、C相及びA相の固定子巻線4d,4bの変圧器電力を比較する第3の起電力検出手段14cの3組が用意されており、これら第1〜第3の起電力検出手段14a〜14cは、すべて前記した8ビットのマイクロコンピュータによって構成されている。
【0028】
前記第1の起電力検出手段14aの第1入力端IN1にはA相の固定子巻線4bのプラス側端uが、第2入力端IN2にはB相の固定子巻線4cのプラス側端vが、また、第3入力端IN3にはC相の固定子巻線4dに対するセンサレス制御回路13の出力端cが、それぞれ接続されている。この第1の起電力検出手段14aの出力端OUTは、転流回路15の2入力オアOR1の一端に入力され、そのオアOR1の出力端は、同回路15の単安定マルチバイブレータMM1のB端子に接続されている。また、出力端OUTは単安定マルチバイブレータMM3のCD端子にも接続されている。
【0029】
同様に、第2の起電力検出手段14bの第1入力端IN1にはB相の固定子巻線4cのプラス側端vが、第2入力端IN2にはC相の固定子巻線4dのプラス側端wが、また、第3入力端IN3にはA相の固定子巻線4bに対するセンサレス制御回路13の出力端aが、それぞれ接続されている。この第2の起電力検出手段14bの出力端OUTは、転流回路15の2入力オアOR2の一端に入力され、そのオアOR2の出力端は、同回路15の単安定マルチバイブレータMM2のB端子に接続されている。また、出力端OUTは単安定マルチバイブレータMM1のCD端子にも接続されている。
【0030】
更に、第3の起電力検出手段14cの第1入力端IN1にはC相の固定子巻線4dのプラス側端wが、第2入力端IN2にはA相の固定子巻線4bのプラス側端uが、また、第3入力端IN3にはB相の固定子巻線4cに対するセンサレス制御回路13の出力端bが、それぞれ接続されている。この第3の起電力検出手段14cの出力端OUTは、転流回路15の2入力オアOR3の一端に入力され、そのオアOR3の出力端は、同回路15の単安定マルチバイブレータMM3のB端子に接続されている。また、出力端OUTは単安定マルチバイブレータMM2のCD端子にも接続されている。
【0031】
そして、前記単安定マルチバイブレータMM1〜MM3は、CD端子に“H”信号が入力されている場合に、B端子の入力信号が立ち下がると、コンデンサC11〜C13の容量と抵抗R21〜R23の抵抗値とのCR定数で定まる所定時間“L”信号を、Qバー端子から出力するものである。各コンデンサC11〜C13の容量はそれぞれ100μFとされており、各抵抗R21〜R23の抵抗値はそれぞれ2.2MΩとされている。
【0032】
また、各2入力オアOR1〜OR3の他方の入力端には、SRモータ1の運転(駆動)と停止とを切り替えるスイッチSWが接続されており、このスイッチSWを電源の5ボルト側に接続すると、SRモータ1は停止し、逆に、0ボルト側に接続すると、SRモータ1は運転(駆動)を開始する。
【0033】
単安定マルチバイブレータMM1のQバー端子は、制御信号出力回路16の3入力オアOR11の入力端に接続されている。このオアOR11の他の2つの入力端には、B相及びC相の固定子巻線4c,4dに対するセンサレス制御回路13の出力端b,cがそれぞれ接続されており、このオアOR11の出力端はインバータIV1の入力端に接続されている。インバータIV1の出力端は、更に、2入力オアOR21の入力端に接続され、そのオアOR21のもう1つの入力端は、前記したスイッチSWと接続されている。このオアOR21の出力端は、A相の固定子巻線4bに対するセンサレス制御回路13の出力端aとされている。
【0034】
また、単安定マルチバイブレータMM2のQバー端子は、制御信号出力回路16の3入力オアOR12の入力端に接続されている。このオアOR12の他の2つの入力端には、A相及びC相の固定子巻線4b,4dに対するセンサレス制御回路13の出力端a,cがそれぞれ接続されており、このオアOR12の出力端はインバータIV2の入力端に接続されている。インバータIV2の出力端は、更に、2入力オアOR22の入力端に接続され、そのオアOR22のもう1つの入力端は、後述する単安定マルチバイブレータMM4のQ端子に接続されている。このオアOR22の出力端は、B相の固定子巻線4cに対するセンサレス制御回路13の出力端bとされている。
【0035】
更に、単安定マルチバイブレータMM3のQバー端子は、3入力オアOR13の入力端に接続されている。このオアOR13の他の2つの入力端には、A相及びB相の固定子巻線4b,4cに対するセンサレス制御回路13の出力端a,bがそれぞれ接続されており、このオアOR13の出力端はインバータIV3の入力端に接続されている。インバータIV3の出力端は、C相の固定子巻線4dに対するセンサレス制御回路13の出力端cとされている。
【0036】
また、前記した単安定マルチバイブレータMM4は、CD端子が電源の+5ボルトに接続されているので、B端子の入力信号が立ち下がると、コンデンサC14の容量と抵抗R24の抵抗値とのCR定数で定まる所定時間“H”信号を、Q端子から出力する。コンデンサC14の容量は47μF、抵抗R24の抵抗値は120kΩとされている。この単安定マルチバイブレータMM4のB端子は、前記したスイッチSWに接続されており、スイッチSWが「停止(5v)」から「運転(0v)」に切り替えられると、B端子に立ち下がり信号が入力される。その結果、Q端子から所定時間“H”信号が出力され、これにより、B相の固定子巻線4cから励磁が開始されてSRモータ1が回転を始める。
【0037】
なお、このセンサレス制御回路13において、前記転流回路15は、オアOR1〜OR3および単安定マルチバイブレータMM1〜MM3により構成され、また、制御信号出力回路16は、オアOR11〜OR13,OR21,OR22、インバータ回路IV1〜IV3および単安定マルチバイブレータMM4により構成される。
【0038】
次に、図6及び図7を参照して、前記のように構成したセンサレス駆動回路10の動作について説明する。図6,7は、固定子巻線4b〜4dへの励磁と、その励磁に伴って回転子2が回転する動作状況を連続して示した図であり、図8は、SRモータ1の駆動時におけるセンサレス駆動回路10のフローチャート図である。
【0039】
まず、スイッチSWが「停止」にある場合には、オアOR21の出力端aから“H”信号が出力される。その結果、オアOR12に“H”信号が入力されてインバータIV2の出力端から“L”信号が出力されるとともに、単安定マルチバイブレータMM4のQ端子から“L”信号が出力されているので、オアOR22の出力bは“L”信号となる。また、オアOR21の出力aが“H”信号となっているので、オアOR13に“H”信号が入力されてインバータIV3の出力cより“L”信号が出力される。従って、スイッチSWが「停止」状態の場合には、A相の固定子巻線4bが励磁され、SRモータ1は図6(a)に示す状態で停止している。
【0040】
次に、スイッチSWを「停止」から「運転」に切り替えると制御信号出力回路16の単安定マルチバイブレータMM4のB端子の入力信号が立ち下がるので、そのQ端子から所定時間“H”信号が出力され、オアOR22の出力端bから“H”信号が出力される。その結果、オアOR11に“H”信号が入力され、インバータIV1の出力端から“L”信号が出力されるとともに、スイッチSWからは“L”信号が出力されているので、オアOR21の出力端aからは“L”信号が出力されることになる。また、一方、オアOR21の出力端aが“L”になると、オアOR22の出力端bから“H”信号が出力され、これにより、オアOR13に“H”信号が入力されてインバータIV3の出力端cから“L”信号が出力される。よって、スイッチSWが「停止」から「運転」に切り替わることにより、B相の固定子巻線4cが励磁される。これにより、SRモータ1のロータ2は、図6において右方向へ回転を始める。
【0041】
B相の固定子巻線4cが励磁されている間は、3組ある起電力検出手段14のうち、第3入力端IN3に“H”信号が入力される第3の起電力検出手段14cのみが有効に作動することになる(図8のステップS1 参照)。この場合、図8に示すように、3組の起動力検出手段14a〜14cは、SRモータ1の起動開始時にスイッチSWを「運転」に切替えることにより、センサレス制御回路13の出力端a,cから“L”信号が出力されていることはいうまでもない。そして、前記第3の起電力検出手段14cにおいては、励磁されていないC相とA相の固定子巻線4d,4bに生じる変圧器起電力による電圧差を検出し、かつ、その値を微分処理して転流指令を出力する。
【0042】
前記図8のステップS1 において、第3入力端IN3に“H”信号が入力されると、ステップS2 においてマイクロコンピュータのフラグyに、y=0を入力する。つづいて、ステップS3 にて、即ち、図5に示す第3の起電力検出手段14cの第1入力端IN1にC相の固定子巻線電圧(以下、C相電圧という)が入力され、また、第2入力端IN2にはA相の固定子巻線電圧(以下A相電圧という)が入力される。そして、前記入力されたA相電圧とC相電圧は(A相電圧−C相電圧)としてその電圧差を第3の起電力検出手段14cのマイクロコンピュータにより演算処理し、その演算処理した差電圧の値を、更に、微分記号(d/dt)を用いて微分処理することによって、前記差電圧の微分値Vxを算出するものである。
【0043】
前記のように、B相の固定子巻線4cが励磁されることにより、(インバータ回路12の固定子巻線4cを通電させる回路をオンさせる)回転子3は図6(a)に示す状態から図6(b)に示すように右方向に回転する。そして、回転子3の回転子磁極3bのαが、図6(b)のように、A相の固定子磁極4aに近い位置にある場合は、前記A相電圧はC相電圧より大きいため、両者の差電圧〔V〕は、図9の波形で示すように、最初は大きいものの回転子3の回転に伴い順次減少する。
【0044】
しかし、回転子3が順次回転し、図6(c)に示す地点に回転子磁極3bのα3 が達すると(α3 がC相とA相との各固定子磁極4aの中間位置からややC相の固定子磁極4a側に近い地点)、A相の固定子磁極4aに回転子磁極3b(α3 )から流れる磁束によってA相の固定子巻線4bに一瞬電流が流れ、これによりA相の固定子磁極4aに磁束を急速に流すための過度現象が生じ、これによりA相電圧が急激に大きくなり、図9にP2で示す横向きの波形で判るように、差電圧が一瞬0.5Vの線を超えて急上昇することになる(A相電圧の上昇)。前記差電圧が上昇に転ずる直前は、図9の波形図で示すように、差電圧〔V〕は0.5Vの下側において降圧状態から横向きの波形P1 に変化している。
【0045】
回転子がその回転により、前記図6(c)に示す地点に達すると、前記A相の固定子巻線4bに過度現象が生じ、これにより、差電圧が図9に波形図で示すように昇圧方向に急上昇し、次に降圧するまでの横向に流れる波形P2 が存在している間に、起電力検出手段14cの出力端OUTから転流回路15に転流指令を出力することになる。即ち、本例においては、前記差電圧〔V〕が図9に示す0.5Vの線上の上,下において1回づつ横向の波形P1 ,P2 が生じたとき(2回目の横向きの波形が生じたときを指し、横向きの波形P1 ,P2 地点が、微分値Vxが0値となったとき)、転流指令を出力する。
【0046】
前記の転流指令の状況を更に詳述すると、図8のステップS3 において、前記差電圧を微分処理し、微分値Vxを算出する。そして、ステップS4 において、前記算出した微分値Vxが0値であるか、否かを判定し、0値を算出しない場合は再びステップS3 に戻り、差電圧〔V〕に基づき微分処理を続行する。
【0047】
一方、ステップS4 で算出した微分値Vxが0値であると判別されたときは、ステップS5 に移る。このステップS5 においては、フラグyがy=1であるかを判別している。しかし、本例では微分値Vxが0値であるのを前記図9の波形図で示す如く、2回検出(カウント)した時点で転流指令を出力するように設定されているため、ステップS6 にて改めてもう1回0値が出力されたことを判別する上で、フラグにy+1を入力させる。
【0048】
この結果、図8のステップS6 からステップS3 に戻り、再度ステップS3 ,S4 において2回目の微分値Vxが0値を検出する行為を実施する。これは、図9の波形図で説明したように、差電圧〔V〕が0.5Vを超えた地点で横向きの波形P2 が生じるところを指すもので、これは回転子3が図6(c)で示す地点まで回転したこととなる。そして、前記ステップS4 により微分値Vxが0値であることを検出したら、これをステップS5 で2回目の0値であるか、否かを判別する。
【0049】
図8のステップS5 で微分値Vxの0値が2回目のカウント値であることを認識(判別)したら次のステップS7 に移る。このステップS7 においては、A相−C相の差電圧〔V〕の値を微分処理して微分値Vxが0値であることを2回カウント(ステップS5 )した時点で、第3の起電力検出手段14cの出力端OUTから“L”信号を転流回路15に出力する。この“L”信号が転流指令である。この時点で、回転子3は回転子磁極α1 がB相の固定子磁極4aと対向する位置まで回転する。
【0050】
前記差電圧〔V〕を微分処理してその微分値Vxが0値であることを2回検出するということは、図9に示す波形図から判るように、横向きの波形P1 ,P2 が発生する個所が0値のところである。これは、図10において差電圧〔V〕を微分処理した微分値をグラフで表したことでも判る。即ち、図9において、差電圧〔V〕の波形P1 ,P2 が横向きになる部位が0値を示しており、これは図10においても、微分値Vxの0値を示す線上に、0地点が2ケ所存在し、かつ、図9の横向の波形P1 ,P2 と同一の回転子角度位置〔rad〕で微分値Vxが0値というポイントが2回発生していることからでも判るものである。
【0051】
前記第3の起電力検出手段14cの出力端OUTから転流指令が出力されると、転流回路15の単安定マルチバイブレータMM2のCD端子に“L”信号が入力され、そのQバー端子からはオアOR12に“H”信号が出力されることになる。この結果、インバータIV2の出力端から“L”信号が出力され、オアOR22の出力端から出力されていた“H”信号に代え、“L”信号を出力し、その“L”信号は第3の起電力検出手段14cの第3入力端IN3に入力され、前記検出手段14cを停止させ、その出力端OUTからはB相の固定子巻線4cの励磁を終える(図6(d)参照)。
【0052】
これは、制御信号出力回路16の単安定マルチバイブレータMM4のQ端子から“L”信号が出力されているからに他ならない。また、前記転流信号が出力されると、転流回路15のオアOR3の出力が立下り、単安定マルチバイブレータMM3のQバー端子から“L”信号が一定時間出力される。この際、制御信号出力回路16の出力端a,bは、既に“L”信号が出力されているので、オアOR13の入力はすべて“L”信号となり、インバータIV3に“L”信号を入力し、その出力端からは“H”信号を出力し、図6(d)に示すように、C相の固定子巻線4dを励磁させる(インバータ回路12の固定子巻線4dを通電させる回路をオンさせる)。
【0053】
この場合、インバータIV3の出力端cから出力された“H”信号は、第1の起電力検出手段14aの第3入力端IN3に入力される(図8のステップS10参照)。一方、この第1の起電力検出手段14aの第1入力端IN1にA相の固定子巻線電圧(以下、A相電圧という)が入力され、第2入力端IN2にはB相の固定子巻線電圧(以下、B相電圧という)が入力される。そして、前記入力されたA相電圧とB相電圧は(B相電圧−A相電圧)としてその差電圧を図5に14aで示す第1の起電力検出手段14aによって演算処理し、かつ、その演算処理した差電圧の値を、前記第3の起電力検出手段14cで実施したと同様に微分記号(d/dt)を用いて微分処理して、前記差電圧〔V〕の微分値Vxを算出する。
【0054】
前記第1の起電力検出手段14aにインバータIV3から“H”信号が入力されると、C相の固定子巻線4dが励磁され、回転子3は図6(d),図7(e)に示すように、右方向への回転を続行する。また、前記図8において、前記第1の起電力検出手段14aのIN3にステップS10に示す如く“H”信号が入力されると、第1の起電力検出手段14aはステップS11によりマイクロコンピュータのフラグyに、y=0を入力する。
【0055】
そして、回転子3の回転によりその回転子磁極αは、固定子巻線の通電相の切替(B相→C相)当初は図7(e)に示すように、B相の固定子磁極4aに近いため、B相電圧は当然A相電圧より大きいため、両者の差電圧〔V〕は開くものの回転子3の回転に伴い減少する。そして、前記A相電圧とB相電圧との差電圧〔V〕は、図8のステップS12により演算処理し、その値を更に微分記号(d/dt)を用いて微分値Vxを算出する。
【0056】
図8のステップS13〜S15においては、第3の起電力検出手段14cにおいて差電圧〔V〕を微分処理し、その0値を2回算出した場合と同様の処理を行う。このステップS13〜S15については、ステップS4 〜S6 と同様動作を繰返すのでその説明は省略する。また、図8,9において差電圧〔V〕を微分処理し、微分値Vxが0値であることを2回カウントするということについても、段落番号〔0050〕にて詳述したので説明は省略する(図7(e)参照)。
【0057】
図7のステップS14において、差電圧〔V〕の微分値Vxがその0値を2回検出(カウント)すると、ステップS16にて第1の起電力検出手段14aの出力端OUTより“L”信号(転流指令)が転流回路15に出力される。前記転流指令は転流回路15の単安定マルチバイブレータMM3のCD端子に“L”信号として入力され、そのQバー端子からオアOR13に“H”信号を出力する。オアOR13に“H”信号が入力されると、インバータIV3の出力端からは“H”信号に代って“L”信号が出力され、その“L”信号は第1の起電力検出手段14aの第3入力端IN3に入力される(図8のステップS17参照)。このため、第1の起電力検出手段14aはその出力端OUTより“H”信号を出力することにより機能を停止する(図8のステップS18参照)。即ち、C相の固定子巻線4dの励磁を終る(図7(f)参照)。
【0058】
前記転流指令が出力されると、転流回路15のオアOR1の出力が低下し、その単安定マルチバイブレータMM1のQバー端子から“L”信号が一定時間出力される。この場合、制御信号出力回路16の出力端b,cは既に“L”信号が出力されており、この結果オアOR11の入力はすべて“L”信号となり、オア21に“H”信号を入力し、その出力端aからは“H”信号を出力し、図7(f)で示すように、A相の固定子巻線14bを励磁する(図8のステップS10,S19参照。この場合は、インバータ回路12の固定子巻線14bを通電する回路をオンさせる)。
【0059】
前記オアOR21の出力端aから出力された“H”信号は、図8のステップS19に示すように、第2の起電力検出手段14bの第3入力端IN3に入力される。その際、スイッチSWが〔運転〕に切り替えられているか確認する。また、第2起電力検出手段14bの第3入力端IN3に“H”信号が入力されると同時に、第1入力端IN1にB相の固定子巻線電圧(以下、B相電圧という)が、第2入力端IN2にはC相の固定子巻線電圧(以下、C相電圧という)がそれぞれ入力される。
【0060】
前記A相の固定子巻線4bの励磁により、回転子3は図7(f),(g)に示すように右方向への回転を続行し、かつ、第2の起電力検出手段14bの第3入力端IN3に、制御信号出力回路16の出力端aから出力される“H”信号が入力されると、第3,第1の起電力検出手段14c,14aの場合と同様に、第2の起電力検出手段14bが作動し、図8に示すステップS20〜S24の作業を実施する。即ち、前記第3,第1の起電力検出手段14c,14aと同様に、図8のステップS2 〜S6 ,S11〜S15と同じ作業を実行し、B相電圧とC相電圧との差電圧〔V〕を演算処理し、その値を微分処理し、微分値Vxが0値であることを2回検出したら、ステップS25により転流指令を出力し、A相の固定子巻線4bの励磁を終え,ステップS27により第2の起電力検出手段14bから“H”信号が出力された時点で、次の通電相となるB相の固定子巻線4cを励磁させて、回転子3は図7(h),図6(b)に示すように回転を継続させる。
【0061】
本発明は、以上説明したように、回転子3の回転に応じて順次転流が行われ、その転流指令に基づいてインバータ回路12に制御信号出力回路16より所要のオン・オフ指令を出力し、励磁相がA相,B相,C相,A相・・・・の順に切り替わり、図6,7(a)〜(h)の順に、SRモータ1を右方向に回転させるようにしたものである。
【0062】
このように、本発明の駆動回路10においては、非励磁相に生じる変圧器起電力を有効利用し、その差電圧を演算処理し、その値を更に微分処理して微分値Vxが0値であることを所定回数カウントし、前記0値が事前に設定した回数となったとき、転流指令を出力してSRモータ1をセンサレス駆動するようにしたので、これまでのように、回転子3の磁極位置検出用のセンサを用いる必要が全くないので、その分、回路コストが低減でき、かつ、スイッチドリラクタンスモータを容易に小型化することができるという効果がある。また、あらかじめ、通電パターンを算出して記憶させておく必要もないので、通電パターンの算出作業が省け、モータ駆動回路の開発期間を短縮し開発コストを低減できるとともに、その通電パターンの記憶回路を削除して回路設計が行えるので、駆動回路のコストを低減することができるという効果がある。
【0063】
なお、スイッチSWが「運転」から「停止」に切り替えられた場合には、前述したように、オアOR21の出力端aが“H”となり、その結果、オアOR12に“H”信号が入力されてインバータIV2から“L”信号が出力されるとともに、単安定マルチバイブレータMM4から“L”信号が出力されているので、オアOR22の出力端bは“L”となる。また、オアOR21の出力端aが“H”となっているのでオアOR13に“H”信号が入力されてインバータIV3の出力端cが“L”となる。従って、A相の固定子巻線4bが励磁された状態、即ち、図6(a)に示す状態でSRモータ1を停止させることができる。
【0064】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良・変形が可能であることは当然である。更に、固定子巻線の励磁相から非励磁相への転流周期は、非励磁相の差電圧を微分処理したときに生じる0値をその発生回数に対応して早いカウント値で転流させるか、逆に、遅いカウント値で転流させるかは任意に設定することができるので、SRモータの回転制御、回転速度の変更等が容易に行い得、この種モータの使用範囲を良好に拡大することができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、次に示すような効果を有する。
【0066】
請求項1記載の発明は、回転子の回転子磁極を固定子鉄心の固定子磁極より多く形成することにより、固定子巻線への励磁時における非励磁相への磁束の漏れが多くなるため、非励磁相の変圧器起電力の検出が良好に行い得、これにより非励磁相への転流作用が円滑に行うことができるため、回転子は脈動を少なくして低騒音で、しかも、トルクを大きくして円滑・良好に回転させることができ、利便である。
【0067】
また、請求項1記載の発明は、回転子の磁極位置を検出するためのセンサを特別に用いることなく、スイッチドリラクタンスモータをセンサレス駆動させることができ、しかも、インバータ回路から所要の固定子巻線への通電をパルス幅変調させることにより、回転子の回転速度を任意に可変することができ、これにより、この種のモータを効率的に利用することができる。
【0068】
さらに、請求項1記載の発明は、複数の固定子巻線の非励磁相における変圧器起電力の検出は、非励磁相の差電圧を検出し、その検出値を微分処理した微分値のうち、0値の発生回数を有効活用して転流時期を設定することができるため、磁束と電流をその都度検出して転流時期を設定する場合に比べ、転流時期の設定が簡易に、かつ、低コストで行うことができる。
【0069】
しかも、請求項1記載の発明は、転流時期を設定する微分値が0値である回数は、次の転流指令を出力するまでに複数回生じるため、前記0値のカウント数を任意に設定することにより、転流時期が容易に可変でき、これにより、回転子の回転速度が自由に選択することができるので、この種モータを各種機器の回転制御手段として円滑・良好に使用することができる。
【0070】
請求項2記載の発明は、非励磁相への磁束の漏洩を多くすることができるので、非励磁相における変圧器起電力の検出を良好に行うことができ、利便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるスイッチドリラクタンスモータの構成を示した簡略図である。
【図2】(a)は、本実施例のSRモータにおいてA相の固定子巻線を励磁した場合の磁束の状態を示した図であり、(b)は、従来のSRモータにおいてA相の固定子巻線を励磁した場合の磁束の状態を示した図である。
【図3】本発明の一実施例であるセンサレス駆動回路の概略的な構成を示したブロック図である。
【図4】インバータ回路の回路図である。
【図5】センサレス制御回路の回路図である。
【図6】(a)〜(d)は、固定子巻線A〜C相への励磁とその励磁に伴って回転子が回転する様子とを示した図である。
【図7】(e)〜(h)は、固定子巻線C〜B相への励磁とその励磁に伴って回転子が回転する様子とを示した図である。
【図8】起電力検出手段の動作を説明するフローチャート図である。
【図9】回転子の回転角度と差電圧との関係を示す電圧波形図である。
【図10】回転子の回転角度と差電圧の微分値との関係を説明するグラフである。
【符号の説明】
1 スイッチドリラクタンスモータ
3 回転子
3b 回転子磁極
4 固定子鉄心
4a 固定子磁極
4b,4c,4d 固定子巻線
10 センサレス駆動回路
11 速度調整回路
12 インバータ回路
14 起電力検出手段
15 転流回路
16 制御信号出力回路

Claims (2)

  1. 複数相の固定子巻線を巻回した固定子鉄心と、前記固定子鉄心内で回転可能に収容保持される回転子とを備えたスイッチドリラクタンスモータにおいて、前記固定子鉄心内に収容される回転子は、その回転子磁極を前記固定子巻線を巻装した固定子磁極より多数極備え、前記複数相の固定子巻線を順次励磁するインバータ回路と、前記インバータ回路により励磁が行われていない複数の非励磁相の変圧器起電力の電位差を演算処理して、前記演算処理をした値が事前に設定した所定値となったとき固定子巻線の励磁相を切替える転流指令を前記インバータ回路に出力するセンサレス制御回路と、インバータ回路から出力される相励磁信号をパルス幅変調して、回転子の回転速度を可変するパルス幅変調回路とを備え、前記センサレス制御回路は、インバータ回路により励磁されていない非励磁相の固定子巻線の変圧器起電力を検出する起電力検出手段と、前記起電力検出手段によって検出された変圧器起電力に応じて転流指令を出力する転流回路と、前記転流指令に基づいてインバータ回路をオン・オフ制御する制御信号を出力する制御信号出力回路とを備えて構成し、かつ、前記起電力検出手段は、インバータ回路により励磁されていない非励磁相の複数の固定子巻線より変圧器起電力を検出してその電圧差を微分処理し、前記微分処理した値が0値となったとき、前記0値をカウントし、そのカウント値が事前に設定したカウント値以上となったとき転流回路に転流指令を出力するように構成したことを特徴とするスイッチドリラクタンスモータのセンサレス駆動回路。
  2. 前記固定子巻線は、2以上の同相の電機子巻線を有し、かつ、2以上の同相の固定子巻線は、インバータ回路により励磁されたとき同じ磁性となるように固定子鉄心に巻回して構成したことを特徴とする請求項1に記載のスイッチドリラクタンスモータのセンサレス駆動回路。
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