JP4663681B2 - 浸透性防水用組成物およびそれを塗布してなる内面モルタルライニングダクタイル鋳鉄管 - Google Patents

浸透性防水用組成物およびそれを塗布してなる内面モルタルライニングダクタイル鋳鉄管 Download PDF

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Description

本発明は、浸透性防水用組成物および該組成物を無機質基材に塗布した防水性構造物に関する。
上水道用、下水道用、農業用水用、工業用水用の管には、一般に鋳鉄管や鋼管などが多く使用されている。こうした管の内面には、防食用のセメントモルタル(以下、単にモルタルと呼ぶ)を施工することによって、通水中の金属腐食に耐性を与える方法が、一般的に採用されている。
しかしながら、かかるモルタル施工後の問題として、モルタル中のアルカリ成分が通水中に溶出して水質を劣化させるとともに、モルタル自体の耐久性も低下するという問題がある。
このようなモルタルからのアルカリ成分の溶出防止のために、モルタル層の表面に高分子材料からなる、いわゆるシールコート剤を塗布して、通水との接触を絶つ方法が考え出され、種々の材料が提案されている。
これらの従来技術のうちでも、材料自体が低分子量であるため浸透性が良好であり、しかも、反応性を備えた形の、いわゆるアルコキシシランと、下記のごとき特定のビニル系重合体とからなる組成物の提案が注目されている。
たとえば、特許文献1には、酸基含有アクリル樹脂と高級脂肪酸金属塩とシランカップリング剤とからなる組成物を溶剤中に溶解させた形の、いわゆるシーリング剤が開示されている。
また、特許文献2には、ガラス転移点(Tg)が50℃以上で、かつ、重量平均分子量が10,000〜150,000の重合体と、アルキル基および加水分解性基を併有する有機ケイ素化合物とからなるメタクリレート系浸透性防水用組成物が開示されている。
さらに、特許文献3には、酸モノマーを2〜20重量%(以下、%という)含むビニル系重合体と、エポキシ基含有オルガノアルコキシシランとオルガノアルコキシシランとの混合物よりなる浸透性防水用組成物が開示されている。
また、特許文献4には、ガラス転移点(Tg)が50℃以上であるビニル系重合体と加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体とアルコキシシランとからなる浸透性防水用組成物が記載されている。
さらに、特許文献5には、ガラス転移点(Tg)が50℃以上である加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体とアルコキシシランとからなる浸透性防水用組成物が記載されている。
前記組成物は、モルタルからのアルカリ成分の溶出防止のために、モルタル層の表面に高分子材料からなる、いわゆるシールコート剤を塗布して、通水との接触を絶つために使用される組成物であるが、これらの組成物とは異なる用途に使用される組成物である下記のごとき組成物も知られている。
すなわち、特許文献6には、プレコート鋼板に表面塗膜層を形成し、化粧金属板を製造するのに使用される組成物であって、熱硬化型樹脂バインダー100重量部(以下、部という)に対し、平均粒径3μm以下のシリカ系艶消し微粒子を0.1〜5部、平均粒径3μm以下のセラミック系微粒子またはアクリル系樹脂微粒子を1〜50部、および平均粒径10〜80μmのポリアミド樹脂粒子およびポリアクリロニトリル樹脂粒子を含む組成物が開示されている。
また、特許文献7には、耐久性および耐汚染性に優れた塗装セメント系基材を得るために、アルコキシ基含有シラン単量体を主成分とする吸水防止剤を塗布したセメント系基材に、直接またはプライマーを介して、含フッ素樹脂、アルコキシシランの加水分解縮合物およびシリカ系艶消し剤を含有する艶消しクリア塗料用組成物を塗布することが開示されている。
特開昭63−297488号公報 特開平3−285935号公報 特開平9−40835号公報 特開平11−92753号公報 特開平11−269427号公報 特開平8−1086号公報 特開2000−159585公報
通常、内面モルタルライニングダクタイル鋳鉄管は、製造後数日から数カ月経過してから出荷されることが多い。従来技術によるシールコート剤は、アルカリシール性や長期通水における耐久性には優れているものの、モルタルが硬化・乾燥・収縮することにより発生するクラックを抑制する効果は充分ではなく、経時でクラックが発生し、外観が損われることがあるという問題がある。
また、ダクタイル鋳鉄管などの埋設管路施工法として、地面を開削して布設する開削工法が一般的であるが、近年は幹線道路のみならず、一般道路においても交通量が増加しているため、開削工法のために交通を遮断することは困難になってきている。このため、発進立抗と到達立抗だけを開削し、発進立抗側から到達立抗側へダクタイル鋳鉄管などを地中に順次推進させて布設する推進工法が広く採用されるようになっている。推進工法において、推進中のダクタイル鋳鉄管の位置を把握することはきわめて重要であり、一般に赤外線による自動計測方法が採用されている。この方法では、従来技術のシールコート剤を塗布したモルタルライニングのように管内表面に光沢がある場合、赤外線の乱反射により正確な位置が計測できないという問題がある。
さらに、本発明者らの検討の結果、前記特開平8−1086号公報や特開2000−159585公報に開示されている平均粒径がミクロンオーダーのシリカ系艶消し微粒子や平均粒径がミクロンオーダーのセラミック系微粒子を含有させた組成物を、前記モルタル層の表面に塗布した場合、モルタル層の表面を艶消しにすることはできるが、モルタルが硬化・乾燥・収縮することにより発生するクラックを抑制する効果は充分ではなく、経時でクラックが発生し、外観が損われることがあるという問題を充分解決するに至っていない。
本発明者らは、前記のごとき従来技術の欠点ないしは不備を克服するために鋭意検討を重ねた結果、特定の平均粒径を有する酸化アルミニウム微粒子を、浸透性のあるアルコキシシランおよびビニル系重合体と組み合わせて使用することによって、艶消しタイプのシールコート剤であって、耐クラック性にも優れるというきわめて実用性の高い浸透性防水用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)成分が、スチレン系芳香族モノマー単位n−ブチルメタクリレート単位、メチルメタクリレート単位およびエチルメタクリレート単位を含むビニル系重合体、
(B)成分が、(B−1)n−ヘキシルトリメトキシシランまたは(B−2)n−ヘキシルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、および
(C)成分が、1次粒子の平均粒径が3nm以上、70nm以下である酸化アルミニウム微粒子からなり、これらの配合割合が、前記(A)成分100重量部に対し、上記(B)成分10重量部以上、1000重量部以下であり、かつ、前記(A)成分および前記(B)成分の合計量100重量部に対し、前記(C)成分1重量部以上、50重量部以下であることを特徴とする内面モルタルライニングダクタイル鋳鉄管のモルタル層の表面に塗装する浸透性防水用組成物、および
上記浸透性防水用組成物をモルタル層の表面に塗布してなる内面モルタルライニングダクタイル鋳鉄管に関する。
本発明の浸透性防水用組成物は、モルタルなどで代表される種々のセメント系硬化物基材上に塗布させることによって、n−ヘキシルトリメトキシシラン(B−1)またはn−ヘキシルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(B−2)が基材に浸透して該基材を強化せしめると同時に、撥水層を形成せしめ、ビニル系重合体(A)が該基材の上層に成膜して、この撥水層を保護する樹脂層を形成する。さらに、シールコート塗膜中に均一に分散された酸化アルミニウム微粒子(C)により、均一な艶消しタイプのシールコート塗膜が得られると同時に、撥水性を有する酸化アルミニウム微粒子が樹脂層およびモルタルと反応することにより優れた付着性、長期通水性能を発揮する。また、酸化アルミニウム微粒子は、非常に粒子径が小さいためモルタルの材令初期に発生するクラックへの充填性に優れており、クラックの発生を抑制することができる。
本発明の浸透性防水用組成物に使用されるビニル系重合体(A)は、該組成物のベース樹脂として使用される成分である。
ビニル系重合体(A)の示差熱走査熱量計(DSC)により測定されるガラス転移温度は、50℃以上、さらには80℃以上であるのが、硬質の塗膜が得られる点から好ましく、110℃以下、さらには105℃以下、とくには100℃以下であるのが、塗膜表面にクラックが発生しにくい点から好ましい。
ビニル系重合体(A)の数平均分子量は、10,000以上、さらには11,000以上であるのが、かなり高分子量で、耐候性、耐アルカリ性、耐水性などが良好である点から好ましく、60,000以下、さらには45,000以下であるのが、スプレー作業性の点から好ましい。
ビニル系重合体(A)を構成する単量体としては、たとえば下記単量体(a)〜(h)などの単量体があげられるが、これらに限定されるものではない。
単量体(a):スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンまたはジビニルベンゼンなどの各種のスチレン系芳香族モノマー(芳香族ビニルモノマー)。
単量体(b):メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜13のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基または芳香族基などを有する(メタ)アクリレートのごとき各種の(メタ)アクリレート。
単量体(c):ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジブチルイタコネートなどのマレイン酸、フマル酸、イタコン酸などによって代表される各種のジカルボン酸と炭素数1〜4の1価のアルコールとのジエステル。
単量体(d):2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレートなどの各種ジカルボン酸の水酸基含有エステル;プラクセルFA、プラクセルFM(以上、ダイセル化学工業(株)製のカプロラクトン付加モノマーの商品名)などで代表される、いわゆるε−カプロラクトン系のモノマーなどの各種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル。
単量体(e):酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ベオバ(商品名、シェル社製、分岐状脂肪族モノカルボン酸のビニルエステル)などの各種ビニルエステル。
単量体(f):グリシジル(メタ)アクリレート、(β−メチル)グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルグリシジルエーテルなどの各種グリシジル基含有ビニルモノマー。
単量体(g):(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸などの各種不飽和カルボン酸;前記不飽和ジカルボン酸と1価アルコールとのモノエステル(ハーフエステル)などの種々のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸。
単量体(h):ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどのビニル基含有アルコキシシラン;γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのメタクリロキシ基含有アルコキシシランなどの加水分解性シリル基含有重合性不飽和単量体;KR−215、X−22−5002(以上、信越化学工業(株)製)などの各種のシリコン系モノマーなどの加水分解性シリル基含有単量体。
前記単量体のうちでは、単量体(h)が、分子内に加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(A)を得ることができ、(アルコキシ)シラン撥水層への付着性向上やフクレ性改善などの点から好ましい。そのなかでも、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが、同時に使用するビニル系モノマーとの共重合性がよい点から好ましい。
また、前記単量体のうちのスチレン、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが、塗膜の硬質化、耐水性(重合性が良好なため、耐水性をわるくするオリゴマーが少ない)の点から好ましく、n−ブチルメタクリレートが塗膜の可塑化、耐水性(重合性が良好なため、耐水性をわるくするオリゴマーが少ない)の点から好ましい。
ビニル系重合体(A)を製造するにあたり、単量体(a)〜(h)はそれぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、使用する全単量体中に単量体(a)を20〜60%、さらには25〜40%、単量体(b)を25〜65%、さらには45〜60%、単量体(d)を0〜10%、さらには0〜7%、単量体(g)を0〜10%、さらには0〜7%、単量体(h)を0〜25%、さらには15〜25%含有するようにするのが、塗膜の硬質化、耐水性、付着性向上の点から好ましい。
前記のごとき単量体から製造されるビニル系重合体(A)の具体例としては、たとえば製造例1で示されるようなスチレン/メチルメタクリレート/エチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体で、DSCによる実測Tgが90℃、数平均分子量が11,000のもの、ビニルトルエン/メチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体で、DSCによる実測Tgが80℃、数平均分子量が15,000のもの、メチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体で、DSCによる実測Tgが70℃、数平均分子量が15,000のもの、スチレン/メチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/ジブチルフマレート/グリシジルメタクリレート/γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合体で、DSCによる実測Tgが60℃、数平均分子量が30,000のものなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかでも製造例1で示されるようなものが、塗膜硬度、塗装作業性の点からとくに好ましい。
ビニル系重合体(A)の製造は、懸濁重合法や塊状重合法などによって製造してもよいが、溶液重合法、なかんずく溶液ラジカル重合法によって製造するのが簡便であり、また、懸濁重合法で多用される界面活性剤のような通常の有機溶剤に溶解し難い不純物の混入する余地がなくなる点からも好ましい。
前記溶液重合法によりビニル系重合体(A)を製造する際に使用される有機溶剤としては、たとえば
(イ)トルエン、キシレンや、ソルベッソ100、ソルベッソ150(以上、エクソン社製)などの各種の炭化水素系溶剤;
(ロ)スワゾール310(丸善石油(株)製)、LAWS(シェル社製)などの各種脂肪族−芳香族炭化水素混合溶剤;
(ハ)酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどの各種エステル系溶剤;
(ニ)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶剤;
(ホ)EEP(イーストマン・コダック社製)、ブチルセロソルブなどの各種エーテル系溶剤;
(ヘ)メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノールなどの各種アルコール系溶剤
などがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記溶液重合法に使用され得るラジカル重合開始剤としては、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキシド(BPO)、t−ブチルパーベンゾエート(TBPB)、t−ブチルハイドロパーオキシド(TBPO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(DTBPO)、クメンハイドロパーオキシド(CHP)などがあげられる。
溶液重合法で得られるビニル系重合体(A)の溶液は、通常、不揮発分が20〜70%、さらには30〜60%、ガードナー粘度がA4〜Z8、さらにはA〜Z6のものが、作業性の点から好ましい。
本発明の浸透性防水用組成物に使用される(B)成分としてのアルコキシシラン(B)は、基材中に浸透して撥水層を形成させるために使用される成分である。
アルコキシシラン(B)は、ケイ素原子に結合するアルコキシ基の数が1〜3個で、残りの3〜1個の結合手にはアルキル基やエポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基などを含有したアルキル基などが結合した化合物であり、低粘度、高浸透性、加水分解による縮合反応性のごとき特性を有するものである。
アルコキシシラン(B)の分子量としては、通常、140〜1000程度、さらには180〜300程度であるのが、下地モルタルへの浸透性、反応性、乾燥性の点から好ましい。
前記のごときアルコキシシラン(B)の具体例としては、下記アルコキシシラン(B(1))および(B(2))に記載のごときものがあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルコキシシラン(B(1)):たとえば一般式(1):
Figure 0004663681
(式中、R1は炭素数5〜18のアルキル基またはフェニル基、R2は炭素数1〜18のアルキル基、R3は炭素数1〜18のアルキル基、nは0または1を表わす)で表わされる化合物などがあげられる。
前記R1の代表例としては、たとえばペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などがあげられる。これらのうちでは、炭素数6〜10のアルキル基が浸透性と乾燥性の点から好ましい。
前記R2の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基、n−ブチル基などがあげられる。これらのうちでは、メチル基およびエチル基が反応性、価格の点から好ましい。
前記R3の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基などがあげられる。
前記nは0であるのが、塗膜性能の点から好ましい。
一般式(1)で表わされる化合物の具体例としては、たとえばn−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどがあげられる。
アルコキシシラン(B(2)):たとえばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどで代表される種々のアミノ基含有アルコキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどで代表される種々のグリシジル基含有アルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどで代表される種々のメルカプト基含有アルコキシシラン;γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどで代表される種々のハロゲン基(たとえばクロロ基)含有アルコキシシラン;γ−メタクリロキシ基含有アルコキシシランなどがあげられる。
前記アルコキシシラン(B)のなかでは、n−ヘキシルトリメトキシシランが撥水性や反応性の点から好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが撥水性やビニル系重合体との付着性の点から好ましい。
本発明の浸透性防水用組成物におけるビニル系重合体(A)とアルコキシシラン(B)との使用割合は、ビニル系重合体(A)100部に対してアルコキシシラン(B)10部以上、さらには40部以上であるのが、基材に対する浸透性が良好で、クロスカットや経時の密着性などの面で所望の効果を得ることができる点から好ましく、1000部以下、さらには500部以下、とくには150部以下であるのが、表面の乾燥不良やフクレの原因となりにくい点から好ましい。
本発明の浸透性防水用組成物には、アルコキシシラン(B)の架橋反応などを促進させるために、縮合触媒を配合してもよい。
前記縮合触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレエート、オクチル酸スズなどで代表される種々の有機スズ化合物;リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェートなどで代表される種々のリン酸あるいはリン酸エステルなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記縮合触媒の配合量としては、アルコキシシラン(B)100部に対して、通常は約5部以下であるのが好ましい。使用することによる明確な効果を得るためには、0.01部以上であることが好ましい。
本発明の浸透性防水用組成物に使用される酸化アルミニウム微粒子(C)は、シールコート剤中に均一に分散し、成膜すると外観が斑のない艶消しのシールコート塗膜が得られるとともに、耐クラック性を向上させるために使用される成分である。
酸化アルミニウム微粒子(C)は、1次粒子の平均粒径が1nm以上、さらには3nm以上であるのが、入手が容易である、所望の艶消し効果が得られる、分散性に優れるなどの点から好ましく、100nm以下、さらには70nm以下、とくには40nm以下であるのが、耐クラック性を向上させる効果が大きい、塗膜の連続性が損われず、通水性能が低下しないなどの点から好ましい。
酸化アルミニウム微粒子(C)の具体例としては、たとえば酸化アルミニウム C(一次粒子の平均粒径約13nm、日本アエロジル(株)製)などがあげられる。また、酸化アルミニウム微粒子(C)は、ナノオーダーと非常に小さいため、モルタルライニングの材令初期に発生するクラック部への充填効果に優れ、かつ、撥水性を高めることにより耐クラック性の向上にも効果的に働く。
本発明の浸透性防水用組成物における酸化アルミニウム微粒子(C)の配合割合は、ビニル系重合体(A)およびアルコキシシラン(B)の合計量100部に対し、酸化アルミニウム微粒子(C)1部以上、さらには3部以上であるのが、所望の艶消し効果が得られ、モルタルライニングの材令初期に発生するクラック部への充分な充填効果が得られ、クラックの発生を抑制する作用が得られる点から好ましく、100部以下、さらには30部以下であるのが、充分な艶消し効果が得られ、かつ、シールコート剤の塗装作業性、浸透性、基材に対する密着性が損われず、通水性能が低下しない点から好ましい。
なお、酸化アルミニウム微粒子(C)のかわりに、ミクロンオーダーの沈降性硫酸バリウムや炭酸カルシウムなどの体質顔料、シリカなどを用いた場合には、粒径が大きく(通常、薄膜美粧用には平均粒径0.3〜1.0μm程度、一般塗装用には平均粒径1〜10μm程度、厚膜塗装用には平均粒径10〜50μm程度)、シールコート塗膜(膜厚5〜15μm程度)中に均一に分散させることが困難なため、シールコート塗膜の連続性が低下し、通水性能が低下しやすくなる。また、粒径が大きいために、クラック部への充分な充填効果が得られず、クラックの発生を抑制することができにくくなる。
本発明の浸透性防水用組成物には、必要に応じて、貯蔵安定剤、ハジキ防止剤、レベリング剤、消泡剤、タレ防止剤、顔料、染料などの公知慣用の種々の添加剤を加えてもよい。
前記貯蔵安定剤の代表例としては、たとえばオルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチルなどのオルトギ酸トリアルキル;メチルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、セロソルブなどのアルキルアルコールなどがあげられる。
前記ハジキ防止剤やレベリング剤としては、シリコーンオイルが最も一般的であり、また、前記消泡剤としては、シリコーン化合物や特殊アクリル系重合物などが一般的である。
本発明の浸透性防水用組成物は、ビニル系重合体(A)、アルコキシシラン(B)、酸化アルミニウム微粒子(C)および必要により使用されるその他の成分を配合することにより製造される。配合する順序などにはとくに制限はない。
本発明の浸透性防水用組成物は、そのまま直接、モルタル層などの基材表面に塗布してもよいが、有機溶剤で、たとえば有効成分が10〜30%程度となるように希釈した形で使用するのが塗装作業性の点から好ましい。
前記希釈剤の例としては、ビニル系重合体(A)を溶液重合法により製造する際の溶剤としてあげた(イ)〜(へ)の溶剤がそのままあげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の浸透性防水用組成物を各種無機質基材に塗布する方法にはとくに限定はなく、エアスプレー法、エアレススプレー法、ローラー塗装法、刷毛塗装法などの方法で塗布される。塗装効率、塗膜の均一性の点から、エアレススプレー法で塗布するのが好ましい。
本発明の浸透性防水用組成物は、水道管や配水管などに使用するモルタルライニングを施した鋳鉄管または鋼管のモルタルライニング用シールコート剤などとして好適に使用される。その他、モルタルまたはコンクリートあるいは発泡コンクリートなどのセメント系硬化物や、石材、レンガ、陶磁器、ガラス、スレート板、珪カル板などで代表されるような種々の無機質基材の補強用やアルカリシールなどに使用することができる。そして、使用した場合には、ハジキ、クラック、まだら模様などのない艶消しの外観を有する、耐クラック性の良好な防水性構造物が得られる。
前記のようにして得られる本発明の浸透性防水用組成物を塗布した前記無機質基材の塗膜硬度は、通常、鉛筆硬度でHB〜6H、さらには2H〜6Hのものである。
つぎに、本発明を実施例および比較例に基づいてより一層具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
はじめに、実施例および比較例で使用する主要成分を表1に示す。
Figure 0004663681
なお、酸化アルミニウム微粒子は、トルエン/無機系微粒子=90/10(重量比)となるように配合したのち、高速分散機により8000〜10000回転で30分間強制分散させてから、添加、混合してシールコート剤とし、用いた。
また、製造例、実施例および比較例で用いた評価方法を以下にまとめて示す。
(ビニル系重合体のガラス転移点(Tg))
(株)リガク製DSC8230を使用して、充分乾燥単離したビニル系重合体クリア塗膜を、20〜150℃の範囲で10℃/minで昇温して吸熱ピークを観察することによりTgを測定した。
(ビニル系重合体の数平均分子量)
日本分光(株)製液体クロマトグラフLC−08を用い、THF(テトラヒドロフラン)留出液の分子量を測定した。分子量の算出は、数平均分子量が1000以下のオリゴマー成分は除外した。
(不揮発分)
試料約1gを精秤し、トルエン/メタノール=70/30の混合溶剤を5cc添加、混合したのち107.5℃の乾燥器に1時間保持し、得られた重量から算出した。
(酸価)
樹脂溶液約2gを精秤し、トルエン/メタノール=70/30の混合溶剤で希釈後、指示薬であるフェノールフタレイン溶液を添加し、メタノールに溶解した水酸化カリウムで滴定することにより酸価(試料(固形分)1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数)を測定した。
(粘度(ガードナー、25℃))
樹脂溶液を、JIS K5400 4.5.1(ガードナー型泡粘度計法)の測定用粘度管に所定量(約9ml)とり、専用コルク栓をしたのち、25±0.5℃の恒温水槽中に30分間以上静置した。標準粘度管と試料管を同時に180°回転させ、管の底にある泡を上昇させ、泡の上昇が試料に一番近い標準粘度管の記号を調べることにより、粘度を測定した。
(光沢)
得られた試料を軸方向に切断加工し、簡易型光沢計を用いて60°光沢値の測定を行ない、以下の基準で評価した。
艶有り:光沢値70以上
半艶 :光沢値40以上70未満
艶なし:光沢値40未満
(斑)
得られた試料を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:斑なし
×:斑有り
(クラック)
得られた試料を2ヵ月間屋外曝露したのち外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:ヘアクラックなし
×:ヘアクラック有り
(鉛筆硬度)
JIS K5400 8.4鉛筆引っかき試験に準じ、塗膜に傷がついた鉛筆硬度で評価した。
(pH)
日本水道協会 水道用ダクタイル鋳鉄管モルタルライニング(JWWA A113)のpH値の試験方法に準じて、pH計(東亜電波工業(株)製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:8.6未満
△:8.6以上9.0未満
×:9.0以上
(残留塩素の減量)
日本水道協会 水道用ダクタイル鋳鉄管モルタルライニング(JWWA A113)の浸出性試験方法に準じて測定し、以下の基準で評価した。
○:0.7mg/L未満
△:0.7mg/L以上1.0mg/L未満
×:1.0mg/L以上
(過マンガン酸カリウムの消費量)
日本水道協会 水道用ダクタイル鋳鉄管モルタルライニング(JWWA A113)の浸出性試験方法に準じて測定し、以下の基準で評価した。
○:1.0mg/L未満
△:1.0mg/L以上1.5mg/L未満
×:1.5mg/L以上
(塗膜のフクレ)
通水試験後の試料を目視観察し、フクレの占める面積割合(%)を求め、以下の基準で評価した。
◎:異常なし
○:フクレの占める面積が全体の5%未満
△:フクレの占める面積が全体の5%以上20%未満
×:フクレの占める面積が全体の20%以上
(塗膜の白化)
通水試験後の試料を目視観察し、白化した部分の面積割合(%)を求め、以下の基準で評価した。
◎:異常なし
○:白化した部分の面積が全体の5%未満
△:白化した部分の面積が全体の5%以上20%未満
×:白化した部分の面積が全体の20%以上
(下地モルタル表面の軟化)
通水試験後の試料についてJIS K5400 8.4鉛筆引っかき試験に準じ、下地モルタル表面の軟化の度合を以下の基準で評価した。
○:Hで傷なし
△:HBで傷なし
×:HBで傷つく
(初期密着性)
得られた試料の表面にJIS Z1522に規定するセロハン粘着テープを貼り、剥がしたのちの付着状況を目視観察し、剥離した部分の面積割合(%)を求め、以下の基準で評価した。
◎:剥離の割合が全体の0.5%未満
○:剥離の割合が全体の0.5%以上5%未満
△:剥離の割合が全体の5%以上20%未満
×:剥離の割合が全体の20%以上
(クロスカット部2カ月後の密着性)
得られた試料の表面にJIS K5400 8.5.3に準じてクロスカットを入れ、屋外曝露2カ月後にセロハン粘着テープを用いて密着性を調べ、以下の基準で評価した。
◎:クロスカット沿いの剥離がなく、かつ、評価面積に占める剥離の割合が全体の0.5%未満
○:クロスカット沿いの剥離がなく、かつ、評価面積に占める剥離の割合が全体の0.5%以上5%未満
△:クロスカット沿いの剥離が認められ、かつ、評価面積に占める剥離の割合が全体の5%以上20%未満
×:クロスカット沿いに顕著な剥離が認められ、かつ、評価面積に占める剥離の割合が全体の20%以上
(経時密着性)
得られた試料を5℃で2カ月間保持したのち、試料の表面にJIS Z1522に規定するセロハン粘着テープを貼り、剥がしたのちの付着状況を目視観察し、剥離した部分の面積割合(%)を求め、以下の基準で評価した。
◎:剥離の割合が全体の0.5%未満
○:剥離の割合が全体の0.5%以上5%未満
△:剥離の割合が全体の5%以上20%未満
×:剥離の割合が全体の20%以上
(促進耐候性)
JIS K5400 9.8促進耐候性試験に準じて、サンシャイン・ウエザオメータによる促進耐候試験を700時間行なった結果を、以下の基準で評価した。
◎:異常なし
○:白化した部分の面積が全体の5%未満
△:白化した部分の面積が全体の5%以上20%未満
×:白化した部分の面積が全体の20%以上
(凍結融解試験)
−20℃で8時間保持後、2時間かけて+20℃に昇温し、+20℃で12時間保持後、2時間かけて−20℃に降温するサイクルを100回行なったのち、以下の基準で評価した。
◎:異常なし
○:白化した部分の面積が全体の5%未満
△:白化した部分の面積が全体の5%以上20%未満
×:白化した部分の面積が全体の20%以上
製造例1〜3
窒素で器内の空気を置換した反応容器に、トルエン1000部を仕込んで90℃まで昇温してから、表2に示すスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸、加水分解性シリル基を有するモノマーなどの混合物を3時間にわたって滴下せしめ、滴下終了後も同温度に5時間保持することによって、ビニル系重合体の溶液を得た。得られたビニル系重合体およびその溶液の特性を表2に示す。
Figure 0004663681
実施例1
ビニル系重合体(A−1)(50%品)200部、n−ヘキシルトリメトキシシラン(n−HTMS)50部、表1記載の酸化アルミニウム微粒子(10%トルエン分散液)100部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン340部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が16%のシールコート剤を得た。
前記シールコート剤を、モルタルライニング鋳鉄管(呼び径が100mmであって、長さが約100mmのモルタルライニング鋳鉄管の養生直後に約80℃の温水中に浸漬せしめてから引き上げて、モルタル表面に浮き水がなく乾燥している状態のもの)上に、徐々に該鋳鉄管を回転させつつ刷毛で軸方向に約100g/m2の割合で塗布せしめ、加温用の試験材を製作した。
前記のようにシールコート剤を塗装したモルタルライニング管を、室温で4日間乾燥させたのち、外観、鉛筆硬度を評価した。また、モルタルライニング管の一端をポリ塩化ビニリデンフィルムで覆った良質のゴム栓で蓋をし、管中に残留塩素が約1.2mg/Lになるようにした精製水を充填させ、蓋を被せてから常温で24時間静置し、日本水道協会 水道ダクタイル鋳鉄管モルタルライニングのシールコートの浸出性試験方法に準拠して、水質(pH、残留塩素の減量、過マンガン酸カリウム消費量)に関する評価を行なった。
また、それとは別に、1500ppmの遊離炭酸を含むpHが約4.7の水による通水試験を14日間にわたって行ない、塗膜のフクレ、白化および下地モルタル表面の軟化、初期密着性、クロスカット部2ヵ月後の密着性を調べた。さらに、別に経時密着性試験、促進耐候性試験、凍結融解試験を行なった。結果を表4に示す。
実施例2
ビニル系重合体(A−2)200部、n−ヘキシルトリメトキシシラン100部、表1記載の酸化アルミニウム微粒子(10%トルエン分散液)100部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン290部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が21%のシールコート剤を得た。
得られたシールコート剤を、実施例1と同様にして、モルタルライニング鋳鉄管のモルタル表面に塗布して試験材を作製し、評価した。結果を表4に示す。
実施例3
ビニル系重合体(A−2)200部、n−ヘキシルトリメトキシシラン100部、表1記載の酸化アルミニウム微粒子(10%トルエン分散液)200部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン190部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が22%のシールコート剤を得た。
得られたシールコート剤を、実施例1と同様にして、モルタルライニング鋳鉄管のモルタル表面に塗布して試験材を作製し、評価した。結果を表4に示す。
実施例4
ビニル系重合体(A−3)200部、n−ヘキシルトリメトキシシラン50部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ−GPTMS)25部、表1記載の酸化アルミニウム微粒子(10%トルエン分散液)100部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン315部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が18.5%のシールコート剤を得た。
得られたシールコート剤を、実施例1と同様にして、モルタルライニング鋳鉄管のモルタル表面に塗布して試験材を作製し、評価した。結果を表4に示す。
比較例1
ビニル系重合体(A−1)200部、n−ヘキシルトリメトキシシラン50部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン25部、表1記載の酸化アルミニウム微粒子(10%トルエン分散液)10部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン405部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が17.6%のシールコート剤を得た。
得られたシールコート剤を、実施例1と同様にして、モルタルライニング鋳鉄管のモルタル表面に塗布して試験材を作製し、評価した。結果を表4に示す。
比較例2
ビニル系重合体(A−1)40部、n−ヘキシルトリメトキシシラン20部、表1記載の酸化アルミニウム微粒子(10%トルエン分散液)600部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン30部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が10%のシールコート剤を得た。
得られたシールコート剤を、実施例1と同様にして、モルタルライニング鋳鉄管のモルタル表面に塗布して試験材を作製し、評価した。結果を表4に示す。
比較例3
ビニル系重合体(A−1)200部、n−ヘキシルトリメトキシシラン50部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン25部、表1記載の沈降性硫酸バリウム10部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン405部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が18.5%のシールコート剤を得た。
得られたシールコート剤を、実施例1と同様にして、モルタルライニング鋳鉄管のモルタル表面に塗布して試験材を作製し、評価した。結果を表4に示す。
比較例4
ビニル系重合体(A−1)200部、n−ヘキシルトリメトキシシラン50部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ−GPTMS)25部、表1記載のシリカ系艶消し剤10部、表1記載のアクリル系消泡剤5部、表1記載のシリコーン系ハジキ防止剤5部、トルエン315部、アセトン300部を混合せしめることによって、有効成分が18.5%のシールコート剤を得た。
得られたシールコート剤を、実施例1と同様にして、モルタルライニング鋳鉄管のモルタル表面に塗布して試験材を作製し、評価した。結果を表4に示す。
実施例1〜4および比較例1〜4で製造したシールコート剤の組成を、表3にまとめて示す。
Figure 0004663681
Figure 0004663681
実施例5〜8および比較例5〜8
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた10種のシールコート剤をそれぞれモルタルライニング鋳鉄管(呼び径が100mmであって、長さが約100mmのモルタルライニング鋳鉄管の養生直後のもの)上に、徐々に該鋳鉄管を回転させつつ刷毛で軸方向に約100g/m2の割合で塗布せしめ、常温用の試験材を製作し、実施例5〜8および比較例5〜8とした。
前記のようにシールコート剤を塗装したモルタルライニング管を室温で4日間乾燥させたのち、外観、鉛筆硬度を評価した。また、モルタルライニング管の一端をポリ塩化ビニリデンフィルムで覆った良質のゴム栓で蓋をし、管中に残留塩素が約1.2mg/Lになるようにした精製水を充填させ、蓋を被せてから常温で24時間静置し、日本水道協会 水道ダクタイル鋳鉄管モルタルライニングのシールコートの浸出性試験方法に準拠して、水質(pH、残留塩素の減量、過マンガン酸カリウム消費量)に関する評価を行なった。
また、それとは別に、1500ppmの遊離炭酸を含むpHが約4.7の水による通水試験を14日間にわたって行ない、塗膜のフクレ、白化および下地モルタル表面の軟化、初期密着性、クロスカット部2ヵ月後密着性を調べた。
さらに、別に経時密着性試験、促進耐候性試験、凍結融解試験を行なった。
結果を表5に示す。
Figure 0004663681

Claims (2)

  1. (A)成分が、スチレン系芳香族モノマー単位n−ブチルメタクリレート単位、メチルメタクリレート単位およびエチルメタクリレート単位を含むビニル系重合体、
    (B)成分が、(B−1)n−ヘキシルトリメトキシシランまたは(B−2)n−ヘキシルトリメトキシシランおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、および
    (C)成分が、1次粒子の平均粒径が3nm以上、70nm以下である酸化アルミニウム微粒子からなり、
    これらの配合割合が、前記(A)成分100重量部に対し、前記(B)成分10重量部以上、1000重量部以下であり、かつ、前記(A)成分および前記(B)成分の合計量100重量部に対し、前記(C)成分1重量部以上、50重量部以下であることを特徴とする内面モルタルライニングダクタイル鋳鉄管のモルタル層の表面に塗装する浸透性防水用組成物。
  2. 請求項1記載の浸透性防水用組成物をモルタル層の表面に塗布してなる内面モルタルライニングダクタイル鋳鉄管
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