JP4663180B2 - ディジタル変調無線中継装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル変調方式の無線中継装置に係り、特に伝送状況を音響でモニタする方式のディジタル変調無線中継装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線中継装置では、安定した中継動作が受信信号の状況に大きく依存し、従って、何等かの理由により、例えば受信電界強度が所定のレベルを割ったりしたときには、中継すべき信号の品質保証が困難になる。
【0003】
そこで、従来から受信電界強度などを常時監視し、安定した中継動作の継続に支障が発生する虞れが生じたときには、必要な善後策を講じることができるようにしているが、このときの監視方法の従来技術にBL(Before Limitter)トーンと呼ばれているモニタ方式、つまりBLトーンモニタ方式がある。
【0004】
図2は、従来技術によるBLトーンモニタ方式の無線中継装置の一例を示したもので、図において、1が無線中継装置の受信高周波部を表わしており、これに図示してないアンテナから受信信号Rが供給されるようになっている。
【0005】
そして、この受信信号Rは、まずLNA(低雑音指数増幅器)に入力され、所定のレベルに増幅されてから周波数変換回路3によりIF(中間周波)信号に変換され、SAW(表面弾性波フィルタ)4により帯域制限して隣接チャネルの信号が除去された後、IFAMP(中間周波増幅器)5で増幅されてから中継装置の後段部に供給されるようになっている。
【0006】
そして、このとき、SAW4の出力を検波器6にも入力し、ここで検波することにより、SAW4から出力される信号のレベルに応じた直流電圧信号を得る。
検波器6の入力対出力特性は2次曲線の特性を持つため、通常、検波器6の出力をA/D変換器11によりディジタル信号にしてCPU12に取り込み、リニア特性に変換した後、D/A変換器13によってアナログ信号にして直流増幅器7に入力される。
【0007】
これを直流増幅器7で増幅してから可聴周波数信号発振用のVCO(電圧制御発振器)9に制御電圧として入力し、このVCO9の発振周波数を所定の可聴周波数範囲に渡って制御する。
【0008】
そこで、このVCO9から出力される信号をスピーカ10に供給してやると、このスピーカ10から受信信号Rのレベル(搬送波レベル)に応じて音色が変化する純音が発生されることになり、この音を保守要員などが耳にすることにより、受信信号レベルの認識がモニタ音の音色から感覚的に得られることになり、これが、いわゆるBLトーンによるモニタ方式である。
【0009】
このときのVCO9の発振周波数については、例えば次の通りに設定する。すなわち、この無線中継装置の受信高周波部1に入力される信号Rのレベルが、この無線中継装置の仕様定格を保証する値にあるとき、人が聞いて好ましく感じると言われている400ヘルツ近傍になるように設定するのである。
【0010】
こうすることにより、受信信号Rが正常なレベル範囲にあるときは、モニタ音が連続していてもさほど気にならず、音色が変化したときだけ確実にレベル低下による異常が認識できるようにすることができ、モニタ機能を常に確実に維持することができる。
【0011】
なお、このBLトーンモニタ方式では、図示してないが、例えばスピーカに対する信号の供給を停止させるためのスイッチが設けてあり、特にモニタを要しないときなどには、任意にモニタ音の発生を止めることができるようになっているのが通例である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、ディジタル変調方式の無線中継システムへの適用について配慮がされておらず、この場合には、充分なモニタ機能が得られなくなってしまうという問題があった。
【0013】
まず、ディジタル変調無線中継装置の場合、その変調方式には、変調対象とすべき要素に応じてPSK(位相シフト変調)方式、ASK(振幅シフト変調)方式、FSK(周波数シフト変調)方式などの種々の変調方式がある。ここで、これらの要素には、上記した搬送波の位相、振幅、周波数の何れかの外、これらの組合わせ、多値数を要素とするものもある。
【0014】
そして、ディジタル変調方式による無線中継装置では、これら要素の何れかを選択し、選択した要素を伝送すべきディジタル信号の“0”と“1”の情報に応じて変化させることにより、データの伝送が得られるようにしているが、このとき上記した各変調方式には各々伝送特性に特色があり、特にC/N(キャリアとノイズの比)に対するBER(エラー発生率)にかなりの違いをもっている。
【0015】
そこで、ディジタル変調方式の無線中継システムでは、通例、上記した複数の変調方式による動作が夫々可能に構成してあり、必要に応じて何れかの変調方式に切換えて中継動作が行なえるようにしている。
【0016】
そうすると、この場合、無線中継装置の受信電界強度に変化がなく、同一の受信信号レベルであったとしても、その時点で採用されている変調方式によってBERに差が現われてしまうことになる。
【0017】
しかるに従来技術では、電界強度の変化による受信信号レベルのモニタが得られるだけなので、ディジタル変調方式の無線中継装置に適用した場合には、変調方式の変更に対応できず、この結果、BERが低下して受信不能になるまでのマージンなどが把握できず、従って、充分なモニタ機能が得られなくなってしまうという問題を生じてしまうのである。
【0018】
本発明の目的は、BLトーンモニタ機能による常に的確な伝送状況の把握が得られるようにしたディジタル変調無線中継装置を提供することにある。
【0019】
上記目的は、複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、前記モニタ音の音色を、各ディジタル変調方式間のC/N対BER特性の違いに基づき前記ディジタル変調方式の選択に応じて補正する手段が設けられているようにして達成される。
【0020】
同じく上記目的は、複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、前記モニタ音の音色をエラー発生率に応じて制御する手段が設けられるようにしても達成される。
【0021】
更に上記目的は、複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、前記モニタ音の音色を波形等化における等化残データに応じて制御する手段が設けられるようにしても達成される。
【0022】
次に、上記目的は、複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、前記モニタ音の間欠時間を、各ディジタル変調方式間のC/N対BER特性の違いに基づき前記ディジタル変調方式の選択に応じて補正する手段が設けられているようにして達成される。
【0023】
また、上記目的は、複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、前記モニタ音の間欠時間をエラー発生率に応じて制御する手段が設けられているようにしても達成される。
【0024】
そして更に上記目的は、複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、前記モニタ音の間欠時間を波形等化における等化残データに応じて制御する手段が設けられているようにしても達成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるディジタル変調無線中継装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態で、図において、70は受信信号検出レベル切換回路であり、その他、この高周波部1がLNA2と周波数変換部3、SAW4、IFAMP5、検波器6、VCO9、スピーカ10、A/D変換器11、CPU12、D/A変換器13を備えている点は、図2で説明した従来技術による装置と同じである。
【0027】
従って、この図1の実施形態が図2の従来技術と異なる点は、従来技術におけるAMP7が受信信号検出レベル切換回路70に置換されている点にあり、ここで、図3は、この受信信号検出レベル切換回路70の一実施形態で、この実施形態の場合、図示のように3台のDCAMP(直流増幅器)70A、70B、70Cと、切換スイッチ回路70Dで構成されている。
【0028】
そして、まずDCAMP70A、70B、70Cは、検波器6の出力を共通に入力し、SAW4から出力される信号のレベルに応じた直流電圧信号をそれぞれ異なったゲイン(利得値)β1、β2、β31≠β2≠β3)により増幅して出力する働きをする。
【0029】
次に、切換スイッチ回路70Dは、3回路の入力を選択信号Sにより切換え、DCAMP70A、70B、70Cの各出力のうちから選択した1台の出力をVCO9に供給する働きをする。
【0030】
このときの選択信号Sは、この高周波部1を備えたディジタル変調無線中継装置を含む中継システムで今現在採用されている変調方式に応じて、切換スイッチ回路70Dの切換位置を選択する働きをするもので、図示してない中継システム全体を統括制御する制御部から供給されるようになっている。
【0031】
本発明の一実施形態として、上記受信信号検出レベル切換回路を用いる方式のほか、CPU12にてモニタ音を間欠出力させて、受信信号Rのレベルに応じてモニタ音の間欠時間を変化させる方法、例えば、受信信号Rのレベルが小さい場合は間欠時間を長くし、受信信号Rのレベルが大きい場合は間欠時間を短くすることも可能である。
【0032】
また、間欠時間は、選択信号Sによって、設定時間を変更することが可能である。
【0033】
ところで、上記した各種のディジタル変調方式のC/N対BER特性について説明すると、これは、幾つものパラメータが関係するため単純には優劣がつけ難く、一概には言えないが、変調方式としてBPSK、QPSK、16QAMを考えた場合、BPKS方式が勝り、これにQPSK方式と16QAM方式が続くと考えてよい。
【0034】
そうすると、BPSK方式のときは、受信信号Rのレベルがかなり低くなっても、BERが低下して受信不能になるまでのマージンに余裕がなくなる虞れが無く、これにQPSK方式と16QAM方式が続き、順次、受信信号Rのレベルが高くなっていることになる。
【0035】
換言すると、受信不能になるまでのマージンを同じとすると、BPSK方式のときは、受信信号Rのレベルが一番低くてよく、これにQPSK方式と16QAM方式が続くことになり、このため、同一のマージンで同じ音色のBLトーンとするためには、BPSK方式のときのDCAMPのゲインを一番大きくし、QPSK方式と16QAM方式で順次、ゲインを下げてやればよいことになる。
【0036】
そこで、この実施形態では、各DCAMPのゲインβ1、β2、β3 の大小関係についてはβ1>β2>β3 に設定し、これを前提として、BPSK方式が採用されていたときにはゲインβ1 のDCAMP70Aが、QPSK方式が採用されていたとにはゲインβ2 のDCAMP70Bが、そして、16QAM方式が採用されたときには、ゲインβ3 のDCAMP70Cが、夫々切換スイッチ回路70Dにより選択されるようになっている。
【0037】
そして、この結果、そのときのディジタル変調方式が何れの方式であっても、そのディジタル変調方式において受信不能になるまでのマージンが同じになったとき、BLトーンが適正音色から変化(低下)するようにでき、同一条件でモニタが得られるようになる。
【0038】
従って、この実施形態によれば、常に正確にBERの大きさがモニタでき、BERが低下して受信不能になるまでのマージンが容易に且つ的確に把握できることから、中継動作の信頼性を常に高く維持することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、複数台のゲインを異にするDCAMPを用い、これらを選択するようにしているが、可変ゲイン型のDCAMPを用いて、そのゲインを選択信号Sにより切換えるようにしてもよく、この場合、切換スイッチ回路は不要で、1台のDCAMPだけで本発明の実施形態を得ることができる。
【0040】
また、選択信号Sにより間欠時間の設定を変更する場合、各変調方式のC/N対BER特性に応じて決定する。受信電界強度に対するマージンは、上述の通り変調方式によって異なるため、同一のマージンで同じ間欠時間とするために、選択信号SによりBPSKが選択された場合に間欠時間を一番長く、16QAMが選択された場合に間欠時間が一番短くなるようにすればよい。その結果、いずれの変調方式においても、マージンの状況を的確に把握することが可能となる。
【0041】
ところで、以上は、受信信号Rのレベルをディジタル変調方式の違いにより補正するようにした場合の本発明の一実施形態であるが、次に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0042】
まず、本発明の実施形態として、ディジタル変調方式におけるC/N値に応じてBLトーンの音色を変化させるようにした一実施形態について説明すると、この実施形態では、図4に示すように、C/N値が入力される電圧変換回路14を用いたものである。
【0043】
ここで、この電圧変換回路14は、図1の実施形態における検波器6と受信信号レベル切換回路70に代えて設けられたもので、この電圧変換回路14から出力される電圧がVCO9に切換され、スピーカ10からC/N値に対応した周波数の純音が発生され、モニタできるようにしたものである。
【0044】
この実施形態の場合、C/Nが劣化するすると、スピーカ10でモニタされている純音が上記した400ヘルツなどの適正音域から低下するので、BERが低下して受信不能になるまでのマージンに余裕がなくなってきたことなどが容易に把握でき、充分なモニタ機能が期待できることになる。
【0045】
このとき、電圧変換回路14に入力すべきC/N値の検出方法について説明すると、まず、第1の方法は、このディジタル変換無線中継システムの送信側の変調器により疑似ランダム信号を所定のタイミングで送信させ、それを受信し、復調した信号から疑似ランダム信号を検出する方法がある。
【0046】
この方法の場合、受信した疑似ランダム信号に発生するエラービットはC/Nの劣化を表わすから、このエラービット数を積算し、積算値を電圧変換回路14の入力データとしてやればよく、この場合、ディジタル変調方式が異なっても同じ音色で良い。
【0047】
次に、このようなディジタル復変調方式の無線中継装置では、波形等化器を用いる場合が多い。そこで、第2の方法として、波形等化器が用いられている場合、この波形等化器の等差残データERを電圧変換回路14に入力すべきC/N値とする方法がある。
【0048】
すなわち、波形等化器では、雑音によるC/Nの劣化は等化することができない。従って、雑音があると等化残データERが現われてしまうことになるが、この場合、その大きさは等化的にC/N値と見做すことができる。
【0049】
そこで、この等化残データERを検出し、電圧変換回路14に入力してやることにより、同じようにBERが低下して受信不能になるまでのマージンに余裕がなくなってきたことなどが容易に把握でき、充分なモニタ機能が期待できることになる。
【0050】
次に、このようなディジタル復変調方式の無線中継装置では、誤り訂正機能を備えている場合が多い。そこで、更に第3の方法として、誤り訂正機能が備えられている場合には、これにより訂正したエラービット数と訂正できなかったエラービット数の積算値からBERを計算し、このBERの値をVCO9に入力する方法がある。
【0051】
この第3の方法の場合、図4の実施形態における電圧変換回路14は不要で、上記した積算値をそのままVCO9に入力してやるだけでよく、しかも、このときは、BLトーンにより直接、BERの劣化をモニタすることができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、ディジタル復変調方式の無線中継装置に適用しても、BLトーンによるモニタ機能を充分に発揮させることができ、常に伝送路マージンの把握が可能になるので、信頼性の高い中継動作を容易に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるディジタル復変調方式無線中継装置の一実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】従来技術によるBLトーンモニタ方式の無線中継装置の一例を示すブロック構成図である。
【図3】本発明の一実施形態における受信信号検出レベル切換回路の一例を示すブロック構成図である。
【図4】本発明の他の一実施形態における電圧変換回路の一例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
1 受信高周波部
2 LNA(低雑音増幅器)
3 周波数変換部
4 SAW(表面弾性波フィルタ)
5 IFAMP(中間周波増幅器)
6 検波器
7 増幅器
9 VCO(電圧制御発振器)
10 スピーカ
11 A/D変換器
12 CPU
13 D/A変換器
70 受信信号レベル切換回路
14 電圧変換回路
70A、70B、70C DCAMP(直流増幅器)
70D 切換スイッチ回路

Claims (6)

  1. 複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、
    前記モニタ音の音色を、各ディジタル変調方式間のC/N対BER特性の違いに基づき前記ディジタル変調方式の選択に応じて補正する手段が設けられていることを特徴とするディジタル変調無線中継装置。
  2. 複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、
    前記モニタ音の音色をエラー発生率に応じて制御する手段が設けられていることを特徴とするディジタル変調無線中継装置。
  3. 複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、
    前記モニタ音の音色を波形等化における等化残データに応じて制御する手段が設けられていることを特徴とするディジタル変調無線中継装置。
  4. 複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、
    前記モニタ音の間欠時間を、各ディジタル変調方式間のC/N対BER特性の違いに基づき前記ディジタル変調方式の選択に応じて補正する手段が設けられていることを特徴とするディジタル変調無線中継装置。
  5. 複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、
    前記モニタ音の間欠時間をエラー発生率に応じて制御する手段が設けられていることを特徴とするディジタル変調無線中継装置。
  6. 複数のディジタル変調方式の中から任意に選択した何れかのディジタル変調方式で中継動作し、中継動作状況をモニタ音により認識する方式のディジタル変調無線中継装置において、
    前記モニタ音の間欠時間を波形等化における等化残データに応じて制御する手段が設けられていることを特徴とするディジタル変調無線中継装置。
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