JP4662615B2 - 乾式操作型イオン選択性電極及び液体中のイオンの存在又は量の決定法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン選択性電極(ISE)に広く関連している。より詳細に述べると、これは、乾式操作型ISEの内部参照電極のためのポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体中のイオン量を測定するための非常に広範なイオン選択性電極が公知である。典型的には、このような測定値を得るための装置は、参照又は標準電極及び個別のイオン選択性電極を具備している。参照又は標準電極及びイオン選択性電極が分析されるべき溶液に同時に接触される場合は、これらは一緒に、イオン選択性電極が感応性を持つイオンの活量の対数に比例して電位差が生じるような電気化学的電池を構成している。この活量は溶液のイオン濃度に関連している。電位差及び溶液のイオン活量の間の関係は、周知のネルンスト式で説明される。電位差計(electrometric device)は、通常直接測定する回路又は零位法(null-balance)の電位差回路であるが、これは電極間の電位の測定に使用される。
【0003】
原則として、陽イオン性又は陰イオン性物質に対し感応性があるイオン選択性電極で構築することができる。測定することができる陽イオンは、IA族イオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウム(アルカリ金属)、及び水素;IIA族金属イオン、例えばカルシウム及びマグネシウム(アルカリ土類);VIA、VIIA、VIIIA、IB、IIB及びIIIB族の金属イオン;並びに、IVB族の鉛を含むが、これらに限定されるものではない。陰イオンは、ハロゲン化物イオン、特に関心があるのは塩化物及びフッ化物であるものを含むが、これらに限定されるものではない。非イオン性の二酸化炭素は、水素イオンに対し感応性のあるISEを用いて決定することができる。
【0004】
イオン性物質は、工場排液、水道水、雨水、下水、生物原料、例えば植物及び動物由来の液体などを含むが、これらに限定されるものではない、広範な種類の試料中に存在する。ヒトの体液は特に興味深いものであり、かつ全血、血清、血漿、唾液、汗、気管支液、膣分泌液などを含む。
イオン選択性ガラス膜を基にした電極は周知である。固形状の電極も公知であり、例えばGenshawらの米国特許第3,856,649号( '649特許)に開示されており、これは「血清分析のための微小固形カリウム電極(Miniature Solid State Potassium Electrode for Serum Analysis)」、Analytical Chemistry、45:1782-84 (1973)と題する論文に記載されている。固形状の電極の利点は、「乾式操作型」電極であることであり、これについては、Battaglia らの米国特許第4,214,968号('968特許)、Hamblenらの米国特許第4,053,381号、及びStareらの米国特許第4,487,679号に開示されている。
【0005】
金属、不溶性金属塩の固形状電極は、電気伝導性の内部元素金属を有し、これは金属、不溶性塩上に配置されている。金属、不溶性金属塩の組合せは、半電池、又は本発明の状況においては内部参照電極を示し、これは測定されるべきイオンを含有している溶液に接触して直接使用することができる。あるいは、内部参照電極は、固形マトリックスを形成することが可能な親水性「結合剤」中に分散された金属及び不溶性金属塩、水溶性塩と緊密接触を含むことができる。水溶性塩の陰イオンは、不溶性金属塩の陰イオンと同一である。内部参照電極のマトリックスとの緊密接触は、イオンを含有する溶液との直接接触から内部参照電極を遮蔽している疎水性ゾーンである。この疎水性ゾーンは一般に、イオンに特異性のあるキャリヤを含有している。
【0006】
前記'649特許は、水溶性塩を含有する親水性層を形成するための結合剤としてのポリビニルアルコールの使用を開示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記'968特許は、「乾燥型」参照電解液のためのいくつかの結合剤を列記している:ポリビニルアルコール、ゼラチン、アガロース、脱イオンされたゼラチン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)及びポリ(アクリル酸)。脱イオンされたゼラチンは、'968特許において好ましい結合剤である。残念ながら、乾式操作型ISEにおいて、結合剤としてゼラチンを有する内部参照電極を含む層は脆弱であり、これは疎水性上側層と良好に接着せず、かつ湿度変動に対し感受性がある。その結果、これらのISEの結着性及び性能は有害な影響を受ける。
【0008】
【課題を解決するための手段】
我々は、改善された乾式操作型イオン選択性電極の性能を、結合剤として、少なくとも1個のカルボキシル基(carboxylic acid group) を有する親水性モノマー又はその塩及び疎水性モノマーから調製されたコポリマーを使用することで達成することができることを発見した。得られるコポリマーは、酸ホモポリマーよりも低いガラス転移点を有し、高い塩耐性と共に良好な中間層接着性を提供する。
【0009】
ある態様において、本発明は、下記を含む乾式操作型イオン選択性電極に関する:
a) 本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散された水溶性塩を備える、内部参照電極;及び
b) 内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの。
【0010】
内部参照電極は、金属塩、不溶性金属塩型電極、又は金属及びレドックス塩の組合せを含む酸化−還元型電極であることができる。更に乾式操作型イオン選択性電極は、内部参照電極が支持体と疎水性ゾーンの間に配置されるような支持体を具備しても良い。好ましい実施態様において、結合剤ポリマーは、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩を70〜95質量%及び疎水性モノマーを5〜30質量%含有する。
【0011】
好ましい本発明のポリマーは、本質的に下記式のモノマー:
【0012】
【化13】
【0013】
(式中、R1はH又は-COOM;R2は、H、Cl又は-COOM;R3は-COOM、-CH2CH2COOM、-CHCONHC(CH3)2CH2COOM又は
【0014】
【化14】
【0015】
であり;Mは、H、アルカリ金属陽イオン又は
【0016】
【化15】
【0017】
(式中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、H、メチル又はエチルである))、及び
下記式のモノマー:
【0018】
【化16】
【0019】
(式中、R8は、H又はメチル;R9は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ又は-NHCH3である。)からなる。
別の態様において、本発明は、下記工程を含む、液体中のイオンの存在又は量の測定法に関する:
A) 乾式操作型イオン選択性第一電極を液体試料と接触する工程であり、ここで該乾式操作型第一電極が以下を含むもの;
a)本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散された水溶性塩を含む、内部参照電極;及び
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの;
B)第二電極を、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有する溶液と接触する工程であり、ここで該乾燥操作型の第一電極及び該第二電極は電気化学的に接触しているか、もしくは電気化学的接触が可能であるかするもの;又は
C)乾式操作型イオン選択性第一電極及び第二電極を、同じ液体試料と接触する工程であり、ここで試料は、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有するもの;及び
D)液体試料中のイオンの存在又は量の決定としての、乾式操作型第一電極及び第二電極の間の電位差の測定。
【0020】
前述のイオンを決定する方法の第二電極は、カロメル電極又は当該技術分野において公知の他のもの、又は乾式操作型電極のような固形状電極などの、いずれか適当な参照電極であることができる。これは、構造及び組成に関して、乾式操作型イオン選択性第一電極と同じであることができる。第一及び第二電極が、同種のイオンに対して選択性であるならば、パートBの溶液は、既知量又は一定量の該イオンを含有する。第二電極が、第一電極の選択性とは異なる第二のイオン型について選択性であるならば、この溶液は、既知量又は一定量の第二イオンを含有する。イオン中の存在又は量の決定法がパートCとして行われるならば、この試料は、第二電極が選択性でありかつ第一電極が選択性であるイオンとは異なるような第二イオンを既知又は一定量を含有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
ISE技術は周知であり、かつ多くの出版物において説明されているが、乾式操作型電極の構造及び使用に関しては概要の説明がなされているのみである。詳細な説明は、例えば、米国特許第4,214,968号、第4,053,381号及び第4,487,679号において認めることができる。本発明は、金属、不溶性金属塩型電極の好ましい実施態様を参照として説明する。しかし、本発明はこの型の電極に限定されるものではない。
【0022】
内部参照電極は、この目的で通常使用される金属のいずれか;好ましくは、容易に不溶性塩を形成し、かつ良好な電気特性を有するものを含むことができる。このような金属は、銀、銅、鉛、アマルガムなどを含む。不溶性塩は金属の表面部分に付着され、陽イオンとして、金属陽イオン形を有する。不溶性塩の陰イオンは、一般にハロゲン化物又はスルフィドである。この不溶性塩は、適当な溶液中での金属の陽極処理、金属に接着するであろう適当なキャリヤ中の塩分散体の物理的適用、又はその他の適当な方法によって形成することができる。塩は、金属の末端部分の周りに形成されるか、もしくはその位置は、電極の望ましい構造的特徴に応じて変えることができる。水溶性塩は、金属及び不溶性金属塩に緊密接着している。これは一般に、陽イオンとして、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びバリウム;並びに陰イオンとして、ハロゲン化物を有する。代表的塩は、NaCl、KCl、KBr、MgCl2、及びBaCl2を含むが、これらに限定されるものではない。水溶性塩は、前述のように、固形物を形成する疎水性結合剤中に分散されている。結合剤に疎水性ゾーンが接触している。疎水性ゾーンは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレンなどの適当な疎水性高分子材料から形成することができる。疎水性ゾーン中に分散されたイオン選択性キャリヤは、選択されたイオンに特異的な電極となる。特定のイオンに選択性のある非常に多数のキャリヤが公知であり、これは以下を含むが、これに限定されるものではない:カリウムに対し選択性である、バリノマイシン;リチウム、ルビジウム、カリウム、セシウム又はナトリウムイオンに選択性の電極を形成する様々な構成の環式ポリエーテル;テトララクトン;ビス環式エーテル;クリプタンド;ヘミスフェランド;カリックスアーレン;環状アミド;マクロライドアクチン(モナクチン(monactin)、ノナクチン(nonactin)、ジナクチン(dinactin)、トリナクチン(trinactin))、エニアチン(enniatin)群(エニアチンA、B)、シクロヘキサデプシペプチド、グラミシジン、ニゲリシン(nigericin)、ジアネマイシン、ナイスタチン、モネンシン、モネンシンエステル(特にナトリウムイオンのためのメチルモネシン)、アンタマニド、及びアラメチシン(alamethicin)(環状ポリペプチド);ウラニル酢酸マグネシウム又は亜鉛;6,8-ジクロロベンゾイレン尿素;ジデシルリン酸−ジオクチルフェニルホスホネート;テトラフェニルボロン;トリドデシルヘキサデシル硝酸アンモニウム;並びに4-アミノ-4'-クロロジフェニル塩酸バリウム塩。その他の有用なキャリヤは、Ammanらの論文(Helv. Chim. Acta、58:535(1975))に記されている。有用なカルシウムイオン選択性電極は、イオンキャリヤとして抗生物質A-23187を用い、及びキャリヤ溶媒としてトリス(2-エチルヘキシル)リン酸エステル、トリ(m-トリル)リン酸エステル、又はジオクチルフェニルホスホン酸エステルを用いて調製することができる。(Pressman, B. C.、Annual Review of Biochemistry、E. B. Snell編集、5:501-503(1976)を参照のこと)。従ってカリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、水素イオン、セシウムイオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、又はヨウ化物イオン、カルボン酸イオン、サリチル酸イオン、硝酸イオンなどに対する選択性を持つ電極を調製することができる。
【0023】
好ましい実施態様において、本発明のイオン選択性電極は、多層化され、かつセラミック、木材、ガラス、金属、紙又は鋳造物、押出又は成形されたプラスチック又は高分子材料などのようないずれか適当な材料で構成され得る支持体を含む。
溶液中のイオンの存在又は量は、以下に概略的に示された、電池配列内の溶液1及び溶液2(両方とも通常は水性)の間の電位の差(電位差)を測定することにより、決定することができる:
電極1/溶液1/溶液2/電極2。
【0024】
溶液2(この場合濃度未知の溶液)の中の問題のイオン活量又は濃度は、周知のネルンスト式により測定された電位差から誘導することができる。あるいは、イオンの量又は有効量に対する測定された電位差に関連しているアルゴリズム又は方法を用いることができる。電極2は、本発明の乾式操作型イオン選択性電極であることができる。電極1は、飽和カロメル電極のような、いずれか適当な参照電極又は標準電極であることができる。これは本発明の乾式操作型ISEであることもできる。溶液2中のその活量又は量は未知であるイオンを、溶液1中には既知量含有することができる。
【0025】
イオンの活量又は量も、同じく、下記で代表されるようないわゆる接合部なし(junctionless)の配列を用い、イオンを含有している1種の溶液に接触している2個の電極間の電位差を測定することによって決定することができる:
電極1/溶液/電極2
(ここで電極1は、溶液中のイオンに特異的なイオン選択性電極である)。電極2は、溶液中の既知又は一定レベルで存在する様々なイオン種に特異的な参照電極又はイオン選択性電極であることができる。
【0026】
本発明の高分子結合剤は、以下を含む親水性ビニル添加物カルボン酸モノマー又はそれらの塩:アクリル酸、メタクリル酸、αメチルマレイン酸、マレイン酸、塩化フマル酸、フマル酸、N-(メタ-ビニルベンジル)イミノ二酢酸、N-(パラ-ビニルベンジル)イミノ二酢酸、α-クロロアクリル酸、フマル酸モノ-メチル、3-アクリルアミド-3-メチル酪酸、及びα-メチレングルタル酸、並びに疎水性モノマー、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸アクリル酸エチルブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル及びそれらのメタクリル酸相同体に加えて、アクリル酸ヘテロアルキル及びメタクリルアミドから調製することができる。
【0027】
本発明の好ましいポリマーは、60〜99質量%、より好ましくは約70〜95質量%の範囲の量のカルボン酸モノマーを含有している。疎水性モノマーは、1〜40、及びより好ましくは5〜30質量%の量で存在する。これらのモノマーは、米国特許第4,283,504号に開示されたように架橋可能であっても、可能でなくとも良い。本発明の結合剤ポリマーは、pHが約pH5.0と等しいか又はそれ以上であるような水溶液中に可溶性であり、かつ2-ブタノン及びテトラヒドロフランのような有機溶媒中には不溶性又は難溶性である。有機溶媒を用いて、ISEの疎水性ゾーンを含む疎水性ポリマーを溶解することができる。多層ISEに関して、ポリマーは、有機溶媒で被覆された疎水性ポリマーで上塗りされた場合に、非損傷層としてそれらの構造的結着性を維持することが可能でなければならない。
【0028】
本発明のポリマーは、適当な触媒の存在下での溶液重量法又はドープ重合法のような、周知の重合技術を用いて製造することができる。この反応で望ましい時間処理した後、生成物を、反応塊を水中に注ぐことで沈殿し、沈殿を洗浄し、かつ適当な水酸化物塩を含有する水中に再溶解した。当業者に公知の乳化重合又はその他の方法も使用することができる。該ポリマー中のカルボン酸モノマーの疎水性モノマーに対する特定の相対量を、重合開始時のビニル添加物モノマーの特定の相対量を用いて得ることができる。写真システムのためのアクリル酸及びアクリル酸アルキルのコポリマーの調製及び使用は、米国特許第3,062,674号及び第3,220,844号の両方ともHouckらの特許に開示されている。
【0029】
下記実施例は、好ましいポリマー、ポリ(アクリル酸エチル-コ-アクリル酸)(質量比10/90)、以下ポリマーAと称するものについて説明している。
【0030】
【実施例】
実施例1
ポリマー A の調製
攪拌子(ガラスシャフト上の空気従動(air-driven)型テフロンパドル)、アルゴンガス送気口及びコンデンサーを装備した丸底フラスコ5Lに、脱イオンした蒸留水3.6kgを添加し、これを70℃とし、かつアルゴンガスを10分間掃流した。この水溶液を連続攪拌しながら、アクリル酸360g及びアクリル酸エチル40gを添加した。10分後、この混合物に水10mlに溶解した過硫酸アンモニウム4.Ogを添加した。反応を、アルゴン下70℃で15時間継続した。固形分は10.6%(質量/質量、w/w)であった。溶液を室温まで冷却し、かつ水酸化ナトリウム水溶液によりpHを6.3に調節した。得られる固形分は、11.58%(w/w)であった。その後のバッチは、インヘレント粘度範囲2〜3を有したが、 1 N塩化ナトリウム中25℃で測定した場合の粘度は0.15と低いものが許容できる。
乾燥操作型多層ナトリウム及びカリウムイオン選択性電極
本発明を例証するために、カリウム及びナトリウムの測定のための乾式操作型スライド・フォーマット(slide- format)多層イオン選択性電極を調製した。本発明は、スライド・フォーマット多層ISEに限定されるものではなく、バルブ型又はキャピラリーフロー型電極のような他の乾式操作型電極の構造で使用することもできる。カリウム又はナトリウムイオンについてのみ選択性の電極に本発明を限定することも意図されていない。
【0031】
結合剤としてゼラチン又はポリマーAのいずれかを含有する対照乾式操作型多層イオン選択性電極は、本質的に米国特許第4,053,381号及び第4,214,968号に開示されたように調製される。カリウム用のイオン選択性キャリヤはバリノマイシンであり、かつナトリウム用のキャリヤはメチルモネンシンであった。
本実施例において使用される乾式操作型多層ISEの該略図を下記に示す:
破線は、金属銀、塩化銀及び水溶性ナトリウム又はカリウム塩を区別するために使用し、かつ結合剤は、互いに緊密接触するように結合しているが、一般に同時には被覆はしていない。疎水層は、参照電極を含有する層に緊密接触しているが、実質的にこれらの層の混合は生じず、このことは、これら2層を区別する実線で示されている。
実施例2
ISE 保存
様々な環境条件下での乾式操作型イオン選択性電極の保存安定性における顕著な改善が、本発明のコポリマーを結合剤として使用することで達成されている。
【0032】
表1は、70mg/mlウシ血清アルブミンを含有する既知のカリウム濃度の調製された水溶液を用いて決定されたカリウム濃度を示す。各データ点は、結合剤としてゼラチン又はポリマーA のいずれかで調製された、相対湿度(RH)15%及び70°F(21℃)で維持された電極を用いた3回の反復測定の平均を示し、かつ同様に調製され冷凍庫中33%RHで維持された対照ISEのものと比較した。
1週間後、15%RHで、結合剤としてゼラチンを用いて調製されたカリウムISEの性能において有意な変化があった。結合剤がポリマーAの場合、カリウムの推定濃度は、15%RH、4週間後であっても、33%RHでの新鮮なISEの濃度との有意差はなかった。
実施例3
第 1 のスライドバイアス
第1のスライドバイアスは、貯蔵に関連した作用であり、ここでカートリッジ容器から選択された第1のISEスライド要素は、イオン活量及び濃度の測定値において、同じ容器の残りのISEスライド要素と比べて有意差を生じている。
【0033】
表2は、容器中において3日間70°F(21℃)で、3種の異なる相対湿度で貯蔵された、ゼラチン又はポリマーAのいずれかで調製されたカリウムISEを用いて、認められた第1スライドバイアスを示している。水性ウシ血清アルブミン中の単一レベルのカリウムを用い、カートリッジの第1スライドから、カートリッジ中のスライド2〜9を用いて得られた2〜10回の反復測定の平均を減ずることにより、このバイアスを算出した。
50%RHで認められた第1スライドバイアスは、先行技術の電極において結合剤としてゼラチンを使用したものと比べて、結合剤としてポリマーAを使用した場合に、有意に低下した。
実施例4
分析装置の安定性
表3は、分析装置上に保持された電極を用いて得られたナトリウム濃度からの逸脱を、冷凍庫に保存された電極(冷凍庫対照)と比較して示す。これらの電極は、パッケージングの前に7日間、馴化、すなわち、相対湿度33%、22℃で維持した。
表4は、表3のデータから算出された%変動係数(%CV)の変化を示す。
表5及び6は、電極をパッケージング前に予め馴化しなかった以外は、結合剤としてポリマーAで調製した同じナトリム電極の同様の結果を示す。
電極層中の結合剤としてポリマーAを含有するナトリウムISEは、先行技術の結合剤としてゼラチンを使って調製したナトリウムISEと比べて、環境が変動する場合に、有意により強固であった。
【0034】
概して、本発明のポリマー組成物は、乾式操作型ISEの内部参照電極の結合剤として使用される場合、下記の利点を提供する:脆性の低下、疎水性上塗りへの接着性の向上、環境湿度の変動の影響の受けにくさ、濃度最大1モルまでの水溶性塩との相溶性、及び改善された性能を有するISE。
本発明は、特定の好ましい実施態様について詳細に説明されている。本発明の範囲及び精神から逸脱しない限りは、変更及び修飾を行うことができると理解される。引用された特許、特許明細書及び特許ではない論文の内容は全て、明白に内容が本願明細書に参照として組入れられている。
【0035】
追加の実施態様を以下に説明する。
1.下記を含む、乾式操作型イオン選択性電極:
a)本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散された水溶性塩を含む、内部参照電極;及び
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの。
2.更に支持体を含み、ここで内部参照電極が、支持体と疎水性ゾーンの間に配置されている、項目1記載の乾式操作型イオン選択性電極。
3.ポリマーが、本質的に70〜95質量%の少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はそれらの塩、及び5〜30質量%の疎水性モノマーからなる、項目1記載の乾式操作型イオン選択性電極。
4.下記を含む、乾式操作型イオン選択性電極:
a)本質的に以下からなるポリマー中に分散された水溶性塩を含む、内部参照電極:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
【0036】
【化17】
【0037】
(式中、R1はH又は-COOM;R2は、H、Cl又は-COOM;R3は-COOM、-CH2CH2COOM、-CHCONHC(CH3)2CH2COOM又は
【0038】
【化18】
【0039】
であり;Mは、H、アルカリ金属陽イオン又は
【0040】
【化19】
【0041】
(式中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、H、メチル又はエチルである))、及び
ii)下記式のモノマー1〜40質量%:
【0042】
【化20】
【0043】
(式中、R8は、H又はメチル;R9は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ又は-NHCH3である。);並びに
b) 内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの。
5.更に支持体を含み、ここで内部参照電極が、支持体と疎水性ゾーンの間に配置されている、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
6.モノマー(i)が70〜95質量%であり、及びモノマー(ii)が5〜30質量%である、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
7.イオンキャリヤが陽イオンについて選択性である、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
8.イオンキャリヤが陰イオンについて選択性である、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
9.イオンキャリヤが金属イオンについて選択性である、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
10. イオンキャリヤがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンについて選択性である、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
11. イオンキャリヤが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、水素イオン、セシウムイオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、サリチル酸イオン又は硝酸イオンについて選択性である、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
12. ポリマーが、ポリ(アクリル酸エチル-コ-アクリル酸)又はその塩である、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
13. アクリル酸エチルが10質量%であり、かつアクリル酸が90質量%である、項目12記載の乾式操作型イオン選択性電極。
14. イオンキャリヤが、バリノマイシン、環式ポリエーテル、ビス環式エーテル、クリプタンド、ヘミスフェランド、カリックスアーレン、環状アミド、テトラフェニルホウ酸エステル、テトララクトン、マクロライドアセトン、環状ポリペプチド、4級アンモニウム塩、モネンシン、及びモネンシンエステルからなる群より選択される、項目4記載の乾式操作型イオン選択性電極。
15. 下記を含む、乾式操作型イオン選択性電極:
a)金属、不溶性金属塩、水溶性塩を含有する内部参照電極であって、該水溶性塩が、本質的に少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散されているもの;及び
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの。
16. 更に支持体を含み、ここで内部参照電極が、支持体と疎水性ゾーンの間に配置されている、項目15記載の乾式操作型イオン選択性電極。
17.ポリマーが、本質的に70〜95質量%の少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はそれらの塩、及び5〜30質量%の疎水性モノマーからなる、項目15記載の乾式操作型イオン選択性電極。
18. 下記を含む、乾式操作型イオン選択性電極:
a)金属、不溶性金属塩、水溶性塩を含有する内部参照電極であって、該水溶性塩が、本質的に以下からなるポリマー中に分散されているもの:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
【0044】
【化21】
【0045】
(式中、R1はH又は-COOM;R2は、H、Cl又は-COOM;R3は-COOM、-CH2CH2COOM、-CHCONHC(CH3)2CH2COOM又は
【0046】
【化22】
【0047】
であり;Mは、H、アルカリ金属陽イオン又は
【0048】
【化23】
【0049】
(式中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、H、メチル又はエチルである))、及び
ii)下記式のモノマーを1〜40質量%:
【0050】
【化24】
【0051】
(式中、R8は、H又はメチル;R9は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ又は-NHCH3である。);並びに
b) 内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの。
19.更に支持体を含み、ここで内部参照電極が、支持体と疎水性ゾーンの間に配置されている、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
20.モノマー(i)が70〜95質量%であり、及びモノマー(ii)が5〜30質量%である、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
21.イオンキャリヤが陽イオンについて選択性である、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
22.イオンキャリヤが陰イオンについて選択性である、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
23.イオンキャリヤが金属イオンについて選択性である、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
24. イオンキャリヤがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンについて選択性である、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
25. イオンキャリヤが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、水素イオン、セシウムイオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、サリチル酸イオン又は硝酸イオンについて選択性である、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
26. ポリマーが、ポリ(アクリル酸エチル-コ-アクリル酸)又はその塩である、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
27. アクリル酸エチルが10質量%であり、かつアクリル酸が90質量%である、項目26記載の乾式操作型イオン選択性電極。
28. イオンキャリヤが、バリノマイシン、環式ポリエーテル、ビス環式エーテル、クリプタンド、ヘミスフェランド、カリックスアーレン、環状アミド、テトラフェニルホウ酸エステル、テトララクトン、マクロライドアセトン、環状ポリペプチド、4級アンモニウム塩、モネンシン、及びモネンシンエステルからなる群より選択される、項目18記載の乾式操作型イオン選択性電極。
29. 下記を含む、液体中のイオンの存在又は量を測定する方法:
A) 乾式操作型イオン選択性第一電極を液体試料と接触する工程であり、ここで該乾式操作型第一電極が以下を含むもの;
a)本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散された水溶性塩を含む、内部参照電極;及び
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの;
B)第二電極を、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有する溶液と接触する工程であり、ここで該乾燥操作型の第一電極及び該第二電極は電気化学的に接触しているか、もしくは電気化学的接触が可能であるかするもの;又は
C) 乾式操作型イオン選択性第一電極及び第二電極を、同じ液体試料と接触する工程であり、ここで試料は、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有するもの;及び
D) 液体試料中のイオンの存在又は量の決定としての、乾式操作型第一電極及び第二電極の間の電位差の測定。
30. 乾式操作型第一電極が支持体を含み、かつ内部参照電極が支持体と疎水性ゾーンの間に配置され、ここで工程Bの該第一電極及び該第二電極が、同じイオンについて選択性である、項目29記載の方法。
31. ポリマーが本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩70〜95質量%、及び疎水性モノマー5〜30質量%からなる、項目29記載の方法。
32. 下記を含む、液体中のイオンの存在又は量を決定する方法:
A)乾式操作型イオン選択性第一電極を液体試料と接触する工程であり、ここで乾式操作型第一電極が以下を含むもの;
a)本質的に以下からなるポリマーに分散された水溶性塩を含有する内部参照電極:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
【0052】
【化25】
【0053】
(式中、R1はH又は-COOM;R2は、H、Cl又は-COOM;R3は-COOM、-CH2CH2COOM、-CHCONHC(CH3)2CH2COOM又は
【0054】
【化26】
【0055】
であり;Mは、H、アルカリ金属陽イオン又は
【0056】
【化27】
【0057】
(式中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、H、メチル又はエチルである))、及び
ii)下記式のモノマーを1〜40質量%:
【0058】
【化28】
【0059】
(式中、R8は、H又はメチル;R9は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ又は-NHCH3である。);並びに
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの;
B)第二電極を、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有する溶液と接触する工程であり、ここで該乾燥操作型の第一電極及び該第二電極は電気化学的に接触しているもの;
C)乾式操作型イオン選択性第一電極及び第二電極を、同じ液体試料と接触する工程であり、ここで試料は、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有するもの;及び
D) 液体試料中のイオンの存在又は量の決定としての、乾式操作型第一電極及び第二電極の間の電位差の測定。
33.乾式操作型第一電極が支持体を含み、内部参照電極が、支持体と疎水性ゾーンの間に配置され、ここで工程Bの該第一電極及び該第二電極が、同じイオンについて選択性である、項目32記載の方法。
34.モノマー(i)が70〜95質量%であり、及びモノマー(ii)が5〜30質量%である、項目32記載の方法。
35.イオンキャリヤが陽イオンについて選択性である、項目32記載の方法。
36.イオンキャリヤが陰イオンについて選択性である、項目32記載の方法。
37.イオンキャリヤが金属イオンについて選択性である、項目32記載の方法。
38. イオンキャリヤがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンについて選択性である、項目32記載の方法。
39. イオンキャリヤが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、水素イオン、セシウムイオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、サリチル酸イオン又は硝酸イオンについて選択性である、項目32記載の方法。
40. ポリマーが、ポリ(アクリル酸エチル-コ-アクリル酸)又はその塩である、項目32記載の方法。
41. アクリル酸エチルが10質量%であり、かつアクリル酸が90質量%である、項目40記載の方法。
42. 第二電極が乾式操作型電極である、項目32記載の方法。
43. 乾燥操作型第二電極が下記を含む、項目42記載の方法:
a)本質的に以下からなるポリマーに分散されている水溶性塩を含有する内部参照電極:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
【0060】
【化29】
【0061】
(式中、R1はH又は-COOM;R2は、H、Cl又は-COOM;R3は-COOM、-CH2CH2COOM、-CHCONHC(CH3)2CH2COOM又は
【0062】
【化30】
【0063】
であり;Mは、H、アルカリ金属陽イオン又は
【0064】
【化31】
【0065】
(式中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、H、メチル又はエチルである))、及び
ii)下記式のモノマーを1〜40質量%:
【0066】
【化32】
【0067】
(式中、R8は、H又はメチル;R9は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ又は-NHCH3である。);並びに
b) 内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの。
44. 乾式操作型第一電極及び乾式操作型第二電極が同じ構造及び組成を有する、項目43記載の方法。
45. イオンキャリヤが、バリノマイシン、環式ポリエーテル、ビス環式エーテル、クリプタンド、ヘミスフェランド、カリックスアーレン、環状アミド、テトラフェニルホウ酸エステル、テトララクトン、マクロライドアセトン、環状ポリペプチド、4級アンモニウム塩、モネンシン、及びモネンシンエステルからなる群より選択される、項目32記載の方法。
46. 下記を含む、液体中のイオンの存在又は量を決定する方法:
A)乾式操作型イオン選択性第一電極を液体試料と接触する工程であり、ここで該乾式操作型第一電極が以下を含むもの;
a)金属、不溶性金属塩、水溶性金属塩を含む内部参照電極であり、該水溶性塩が、本質的に少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散されたもの;及び
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの;
B)第二電極を、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有する溶液と接触する工程であり、ここで該乾燥操作型の第一電極及び該第二電極は電気化学的に接触しているか、もしくは電気化学的接触が可能であるかするもの;又は
C) 乾式操作型イオン選択性第一電極及び第二電極を、同じ液体試料と接触する工程であり、ここで試料は、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有するもの;及び
D) 液体試料中のイオンの存在又は量の決定としての、乾式操作型第一電極及び第二電極の間の電位差の測定。
47. 乾式操作型第一電極が支持体を含み、かつ内部参照電極が支持体と疎水性ゾーンの間に配置され、ここで工程Bの該第一電極及び該第二電極が、同じイオンについて選択性である、項目46記載の方法。
48. ポリマーが本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩70〜95質量%、及び疎水性モノマー5〜30質量%からなる、項目46記載の方法。
49. 下記を含む、液体中のイオンの存在又は量を決定する方法:
A) 乾式操作型イオン選択性第一電極を液体試料と接触する工程であり、ここで該乾式操作型第一電極が以下を含むもの;
a)ポリマーに分散された金属、不溶性金属塩、水溶性塩を含有する内部参照電極であり、ここで水溶性塩は本質的に以下からなる:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
【0068】
【化33】
【0069】
(式中、R1はH又は-COOM;R2は、H、Cl又は-COOM;R3は-COOM、-CH2CH2COOM、-CHCONHC(CH3)2CH2COOM又は
【0070】
【化34】
【0071】
であり;Mは、H、アルカリ金属陽イオン又は
【0072】
【化35】
【0073】
(式中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、H、メチル又はエチルである))、及び
ii)下記式のモノマーを1〜40質量%:
【0074】
【化36】
【0075】
(式中、R8は、H又はメチル;R9は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ又は-NHCH3である。);並びに
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの;
B) 第二電極を、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有する溶液と接触する工程であり、ここで該乾燥操作型の第一電極及び該第二電極は電気化学的接触しているかもしくは電気化学的接触であることが可能であるもの;又は
C)乾式操作型イオン選択性第一電極及び第二電極を、同じ液体試料と接触する工程であり、ここで試料は、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量を含有するもの;及び
D)液体試料中のイオンの存在又は量の決定としての、乾式操作型第一電極及び第二電極の間の電位差の測定。
50.乾式操作型第一電極が支持体を含み、内部参照電極が、該支持体と疎水性ゾーンの間に配置されていて、ここで工程Bの該第一電極及び該第二電極が、同じイオンについて選択性である、項目49記載の方法。
51.モノマー(i)が70〜95質量%であり、及びモノマー(ii)が5〜30質量%である、項目49記載の方法。
52.イオンキャリヤが陽イオンについて選択性である、項目49記載の方法。
53.イオンキャリヤが陰イオンについて選択性である、項目49記載の方法。
54.イオンキャリヤが金属イオンについて選択性である、項目49記載の方法。
55. イオンキャリヤがアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンについて選択性である、項目49記載の方法。
56. イオンキャリヤが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、水素イオン、セシウムイオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、サリチル酸イオン又は硝酸イオンについて選択性である、項目49記載の方法。
57. ポリマーが、ポリ(アクリル酸エチル-コ-アクリル酸)又はその塩である、項目49記載の方法。
58. アクリル酸エチルが10質量%であり、かつアクリル酸が90質量%である、項目57記載の方法。
59. 第二電極が乾式操作型電極である、項目49記載の方法。
60. 乾燥操作型第二電極が下記を含む、項目59記載の方法:
a) 本質的に以下からなるポリマー中に分散されている水溶性塩を含有する内部参照電極:
i) 下記式のモノマー60〜99質量%:
【0076】
【化37】
【0077】
(式中、R1はH又は-COOM;R2は、H、Cl又は-COOM;R3は-COOM、-CH2CH2COOM、-CHCONHC(CH3)2CH2COOM又は
【0078】
【化38】
【0079】
であり;MはH、アルカリ金属陽イオン又は
【0080】
【化39】
【0081】
(式中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、H、メチル又はエチルである))、及び
ii)下記式のモノマーを1〜40質量%:
【0082】
【化40】
【0083】
(式中、R8は、H又はメチル;R9は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキソキシ又は-NHCH3である。);及び
b) 内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリヤが分布しているもの。
61. 乾式操作型第一電極及び乾式操作型第二電極が同じ構造及び組成を有する、項目60記載の方法。
62. イオンキャリヤが、バリノマイシン、環式ポリエーテル、ビス環式エーテル、クリプタンド、ヘミスフェランド、カリックスアーレン、環状アミド、テトラフェニルホウ酸エステル、テトララクトン、マクロライドアセトン、環状ポリペプチド、4級アンモニウム塩、モネンシン、及びモネンシンエステルからなる群より選択される、項目49記載の方法。
Claims (10)
- 下記を含む、乾式操作型イオン選択性電極:
a)本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散された水溶性塩を含む、内部参照電極;及び
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリアが分布しているもの。 - 下記を含む、乾式操作型イオン選択性電極:
a)本質的に以下からなるポリマー中に分散された水溶性塩を含む、内部参照電極:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
ii)下記式のモノマー1〜40質量%:
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリアが分布しているもの。 - (i)のモノマーが70〜95質量%であり、及び(ii)のモノマーが5〜30質量%である、請求項2記載の乾式操作型イオン選択性電極。
- 前記イオンに選択性のキャリアが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、水素イオン、セシウムイオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、サリチル酸イオン又は硝酸イオンについて選択性である、請求項2記載の乾式操作型イオン選択性電極。
- 前記ポリマーがポリ(アクリル酸エチル-コ-アクリル酸)又はその塩である、請求項2記載の乾式操作型イオン選択性電極。
- 下記を含む、乾式操作型イオン選択性電極:
a) 金属、不溶性金属塩、水溶性塩を含む内部参照電極であり、該水溶性塩が、本質的に以下からなるポリマー中に分散されているもの:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
ii)下記式のモノマー1〜40質量%:
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリアが分布しているもの。 - 前記イオンに選択性のキャリアが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、水素イオン、セシウムイオン、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、サリチル酸イオン又は硝酸イオンについて選択性である、請求項6記載の乾式操作型イオン選択性電極。
- 前記イオンに選択性のキャリアが、バリノマイシン、環式ポリエーテル、ビス環式エーテル、クリプタンド、ヘミスフェランド(hemispherand)、カリックスアーレン、環状アミド、テトラフェニルホウ酸エステル、テトララクトン、マクロライドアセトン、環状ポリペプチド、4級アンモニウム塩、モネンシン、及びモネンシンエステルからなる群より選択される、請求項6記載の乾式操作型イオン選択性電極。
- 下記工程を含む液体中のイオンの存在又は量を決定する方法:
A)乾式操作型イオン選択性第一電極を液体試料と接触する工程であり、ここで該乾式操作型第一電極が以下を含むもの;
a)本質的に、少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマー又はその塩60〜99質量%及び疎水性モノマー1〜40質量%からなるポリマー中に分散された水溶性塩を含む、内部参照電極;及び
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリアが分布しているもの;及び
B)第二電極を、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有する溶液と接触する工程であり、ここで該乾燥操作型の第一電極及び該第二電極は電気化学的に接触しているか、もしくは電気化学的接触が可能であるかするもの;又は
C)乾式操作型イオン選択性第一電極及び第二電極を、同じ液体試料と接触する工程であり、ここで試料は、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有するもの;及び
D)液体試料中のイオンの存在又は量の決定としての、乾式操作型第一電極及び第二電極の間の電位差の測定。 - 下記工程を含む、液体試料中のイオンの存在又は量の決定法:
A)乾式操作型イオン選択性第一電極を液体試料と接触する工程であり、ここで該第一電極が下記を含み:
a)金属、不溶性金属塩、水溶性塩を含む内部参照電極であり、該水溶性塩が、本質的に以下からなるポリマー中に分散されているもの:
i)下記式のモノマー60〜99質量%:
ii)下記式のモノマー1〜40質量%:
b)内部参照電極と接触している疎水性ゾーンであって、その中に当該イオンに選択性のキャリアが分布しているもの;
B)第二電極を、該第二電極が選択性であるような既知量又は一定量のイオンを含有する溶液と接触する工程であり、ここで該乾燥操作型の第一電極及び該第二電極は電気化学的に接触しているか、もしくは電気化学的接触が可能であるかするもの;又は
C)乾式操作型イオン選択性第一電極及び第二電極を、同じ液体試料と接触する工程であり、ここで試料は、該第二電極が選択性であるようなイオンを既知量又は一定量含有するもの;及び
D) 液体試料中のイオンの存在又は量の測定としての、乾式操作型第一電極及び第二電極の間の電位差の測定。
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