JP4662395B2 - 車載用電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケースの前方に複数のパネルが設けられ、少なくとも1つのパネルが傾斜姿勢となって、操作面または表示面を斜め前方に向けることができる車載用電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用またはカーナビゲーション用などの車載用電子機器は、1DINサイズまたは2DINなどのケースが車室内のダッシュボードやインストルメントパネル内などに埋設され、ケースの前方に設けられたノーズが前記ダッシュボードやインストルメントパネルなどの前面に現れる。
【0003】
通常前記ノーズは、車載用電子機器の前面に固定されており、その前面のほぼ全域が操作部または表示部となっている。
【0004】
また他の車載用電子機器として、操作部材や表示部材を有するパネルがケースの前方において傾斜するものがある。この機器では、前記パネルがケースの前面に密着した起立姿勢と、パネルの下端が前方へせり出す傾斜姿勢との間で変化できるように移動可能に支持されているのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の車載用電子機器では、ケース本体に固定されたノーズ、またはケースの前方で傾斜姿勢に回動する1つのパネルの前面が操作部または表示部となっているため、例えば表示部材を見やすい角度にすると、操作部材が必ずしも操作しやすい向きではなくなり、逆にノーズやパネルを操作部材を操作しやすい向きに設定すると、表示部材が必ずしも見やすい向きでなくなるという欠点がある。
【0006】
また、前記ノーズまたはパネルにおいて操作部材や表示部材を配置できる面の面積がケースの大きさによって決まるため、例えば1DINサイズの電子機器の場合には、ノーズやパネルの面積が小さくなって、多くの操作部材を配置したり、十分な大きさの表示部材を操作部材と一緒に配置することが困難となる。
【0007】
さらに、ケースの前方に操作部材や表示部材を有するノーズやパネルが位置しているため、車外から見たときに車載用電子機器が設置されていることが一目で確認できて、前記機器が盗難に遭いやすいという問題がある。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ケースの前方に位置するパネルを複数に分離して各パネルの向きを変えることにより、種々の向きでの操作や表示を可能とし、また操作部材や表示部材を配置する面の面積を広くでき、さらに各パネルをケース内に収納することも可能な車載用電子機器を提供することを目的としている。
【0009】
本発明の車載用電子機器は、ケースの前方に位置する第1のパネルと、前記第1のパネルよりもケース側に位置して第1のパネル側を支点としてケース側の端部が上方へ立ち上がるように回動可能に支持された第2のパネルとが設けられ、
前記第1のパネルの上を向く面、および前記第2のパネルの立上り回動したときに前方を向く面の双方に、操作部材と表示部材の少なくとも一方が設けられており、
前記第2のパネルを、ケースの前方外側で立上り回動させるとともに、前記第2のパネルとその前方に位置する前記第1のパネルの双方を、操作部材と表示部材の少なくとも一方が設けられた面が上を向くほぼ水平な姿勢にして、ケースの内部に引き込む姿勢切換え手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、ケースの前方に設けられた少なくとも2つのパネルのそれぞれに操作部材や表示部材が配置されており、各パネルを異なる向きに設定することにより、操作部材や表示部材を操作や表示に適した向きに設定することができる。
【0011】
例えば、前記第1のパネルを支持する支持部材と、前記支持部材をケースの内部からケースの前方外側にかけて進退移動させる進退駆動手段と、前記第2のパネルを前記支点よりもケース側の部分で規制する規制部材とが設けられ、前記第2のパネルの前記支点は前記支持部材と一緒に進退する箇所に設けられており
前記第1のパネルと前記第2のパネルの双方が前記ケースの前方外側に出ている状態で、前記進退駆動手段によって前記支持部材と共に前記支点がケース側へ移動させられるときに、前記規制手段により規制されている第2のパネルが立上り方向へ回動させられるものとして構成される。
【0012】
この場合に、前記支持部材がケース方向へ後退して停止する位置が複数段階に設定されることで、前記第2のパネルの立上り回動後の傾斜角度が変えられるようにすることができる。
【0013】
また、前記支持部材と前記第1のパネルとがケースの前方へ移動したときに前記規制部材で規制された第2のパネルがほぼ水平に倒れ、その後に前記進退駆動手段によって前記支持部材がケース内に引き込まれるときに、前記第1のパネルと前記第2のパネルとが、ケースの前面に開口する開口部からケースの内部に引き込まれるものとすることも可能である。
【0014】
本発明は、各パネルがケースに引き込まれたときにケースの前面に操作部材や表示部材が位置しなくなり、車外から見たときに車載用電子機器が設置されていることを視認できなくなって、機器の盗難を未然に防止できる。
【0015】
また、前記第1のパネルと前記第2のパネルがケース内に引き込まれたときに、前記第1のパネルの前方側の端部によって前記開口部が塞がれることが好ましい。
【0016】
さらに本発明では、前記第1のパネルは、ケース前方を支点として上方へ回動可能であり、前記第1のパネルのケース側の端部と前記第2のパネルとが連結され、前記第2のパネルが立上り回動する際に、両パネルの連結点が上昇することにより前記第1のパネルが前方を支点として立上り方向へ回動するように構成できる。
【0017】
例えば、第1のパネルと第2のパネルが回動した状態で、第1のパネルの面よりも第2のパネルの面の立上り角度の方が大きくなる。
【0018】
このようにすると、例えば第1のパネルに操作部材を、第2のパネルに表示部材を設けたときに、表示部材を見やすい向きにでき、また操作部材も操作しやすい向きに設定できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態の車載用電子機器において第1と第2のパネルがケース内に収納された状態を示す正面図、図2はケースの前方において第2のパネルが立上り回動した状態を示す斜視図、図3は第1と第2のパネルがケース内に収納されている状態の断面図、図4(A)は第1と第2のパネルが前方へ突出した状態を示す断面図、図4(B)は図4(A)の状態での姿勢切換え手段の動作を示す部分拡大図、図5は第2のパネルが少し立上り回動して停止した状態を示す断面図、図6は第2のパネルがさらに立上り回動して停止した状態を示す断面図、図7は支持部材がケース内に引き込まれている状態を示す透視平面図、図8は図6の動作状態のときの進退駆動手段の状態を示す透視平面図である。
【0020】
この車載用電子機器のケース1は、筐体2とその前面に固定された固定パネル3とから構成されている。筐体2は1DINサイズまたは2DINサイズであり、この筐体2は例えば自動車の車室内のダッシュボードやインストルメントパネル内に埋設される。このとき固定パネル3は、ダッシュボードやインストルメントパネルの表面とほぼ一致する。
【0021】
図3に示すように、筐体2の内部では、下側が第1と第2のパネルの収納領域4となっており、この収納領域4は空間である。また上側が内部機器の設置領域5である。図の実施の形態では、この設置領域5にCD、DVDまたはMDなどを駆動するディスク駆動機構6が設置されている。また前記設置領域5には、オーディオ用、画面表示用、ラジオ用などの各種電子回路も設置される。
【0022】
図1に示すように、ケース1の一部を構成する固定パネル3の前面3aには、下側に片寄った位置に開口部7が形成されている。この開口部7は、左右方向へ長い長方形に開口されて形成されたものであり、この開口部7の左右両側には上方に向けて延長する一対のスリット7a,7aが形成されている。そして図3に示すように、前記開口部7は、筐体2内の前記収納領域4に通じている。
【0023】
前記固定パネル3の前面3aの上側に寄った位置には、ディスクDなどの記録媒体の挿入および排出が可能な出入口8が開口している。この出入口8は、筐体2内の前記設置領域5内に設置されたディスク駆動機構6に対してディスクを挿入・排出できる位置に開口している。
【0024】
前記固定パネル3の前記前面3aでは、前記開口部7および出入口8を除いた領域のほぼ全面が平坦面を主体としており、前面3aが黒色や濃緑色などの一色となっている。そして前面3aには表示部材が設けられておらず、実質的に表示面や操作面として機能しないものとなっている。したがって図1に示すように、後に説明する第1のパネルと第2のパネルがケース1内に収納されたときには、ケースの前方に操作部材や表示部材が現れず、車外から見たときに車載用電子機器が設置されていることを確認できなくなり、これにより機器の盗難を未然に防止できるようになっている。
【0025】
この車載用電子機器では、図2に示すように可動式のパネルとして第1のパネル11と第2のパネル12が設けられている。図1および図3に示すように第1のパネル11と第2のパネル12は共に筐体2内に収納可能となっている。また図2および図5と図6に示すように、両パネルがケース1の前方に出ているときには、第1のパネル11が前方にほぼ水平姿勢に設置され、前記第1のパネル11よりも後方のケース1側に第2のパネル12が立上り回動した傾斜姿勢に設置される。
【0026】
図2の状態で、第1のパネル11の上を向く面11aおよび第2のパネル12の前方を向く面12aのそれぞれに、操作部材と表示部材の少なくとも一方が設けられる。図2の実施の形態では第1のパネル11の上を向く面11aに回転式の操作部材13aや押釦式の操作部材13bが配列されている。そして、第2のパネル12の前方を向く面12aに液晶表示パネルやプラズマディスプレイなどの表示部材(表示パネル)14が設けられている。
【0027】
したがって、図2の状態では、斜め上方に向けられた表示部材14を目視しながら、ほぼ水平な面11aに配置された各操作部材13a,13bを上方から操作できるようになり、表示部材14の画面が見やすく、また操作部材13a,13bを操作しやすくなっている。
【0028】
例えば、表示部材14の画面には各種オーディオ情報、例えばディスクの曲番表示やラジオ受信の場合の選局表示、無線で配信されたオーディオの曲名、さらにはナビゲーションシステムの地図表示やTV受像画面などが表示され、第1のパネル11の面11aに設けられた操作部材13a,13bにより前記画面に応じた操作ができるようになる。
【0029】
ただし、第1のパネル11に表示部材を設けたり、第2のパネル12に操作部材を設けることも可能である。
【0030】
また、図2から明らかなように、第1のパネル11と第2のパネル14を異なる角度姿勢に設置することにより、第1のパネル11の面11aの面積と、第2のパネル12の面12aの面積の総和を、固定パネル3の前面3aの面積よりも広くできる。よって、ケース1の大きさが例えば1DINサイズまたは2DINサイズのように限られており、固定パネル3の前面3aの面積が限られたとしても、前記面11aおよび面12aの面積の総和を広く確保できることになり、前記面11aと12aに、多くの操作部材を配置でき、また表示部材と多くの操作部材とを組み合わせて配置することも可能となる。
【0031】
また、図5および図6に示すように、前記第2のパネル12の立上り回動後の傾斜角度を変化させることが可能であり、表示部材14の向きを目視しやすい任意の向きに設定したり、図5に示すように第2のパネル12の上方に出入口8を露出させてディスクDなどの記録媒体をケース1内に供給することも可能である。
【0032】
前記筐体2内には、前記第1のパネル11および第2のパネル12をケース1の内部に収納されている状態からケース1の前方へ突出させるための進退駆動手段40と、第2のパネル12を図2に示すように立上り回動させて傾斜姿勢とする切換え手段20とが設けられている。
【0033】
まず前記切換え手段20の構造を説明する。前記切換え手段20には、筐体2内を往復移動する支持部材21が設けられている。図7に示すように、前記支持部材21は板金材料によりコの字形状に曲げられたものであり、筐体2の底面2aの上面に重ねられる底板21aと、前記底板21aの左右両側部(図7では図示上下側部)において上側に折り曲げられた一対の側板21b,21bとを有している。図7に示すように、前記底板21aには前後方向に延びる長穴21c,21cが形成されている。筐体2の底面2aには一対のガイドピン22,22が固定されており、前記長穴21c,21cが前記ガイドピン22,22を摺動することにより、前記支持部材21が筐体2に前後方向へ進退動作自在に支持されている。
【0034】
図2ないし図6に示すように、前記第1のパネル11は、前記支持部材21の先部に固定されている。この実施の形態では前記第1のパネル11が支持部材21に動くことなく固定されており、よって前記第1のパネル11の操作部材13a,13bが配置された面11aは、支持部材21の進退移動方向に対して平行に向けられている。
【0035】
前記第2のパネル12は、前記支持部材21の側板21bと21bとの間に位置しており、その前方の端部が連結軸25によって前記第1のパネル11に回動自在に支持されている。なお、前記第2のパネル12の前方の端部が前記支持部材21の側板21b,21bに対して連結軸25によって回動自在に支持されていてもよい。
【0036】
前記第2のパネル12の両側面では、前記連結軸25よりもケース1側に寄った位置に規制軸26が設けられており、この規制軸26に、アーム状の規制部材27が回動自在に連結されている。前記規制部材27は、前記支持部材21の側板21bの内側に重ねられ、前記規制部材27の基端部には、制御部となる制御軸28が固定されている。前記支持部材21の側板21bには長穴21dが開口しており、前記制御軸28は前記側板21bの内側から前記長穴21d内に摺動自在に挿入されている。図5に明確に示されるように、前記長穴21dは、支持部材21の往復移動方向と平行に延びる直線部21d1と、前記直線部21d1の後端に連続して筐体2の底面2aの方向へ向けて湾曲した湾曲部21d2とを有している。
【0037】
図7に示すように、前記筐体2の底面2aの左右両側部(図面では図示上下両側部)には、案内部材31,31が固定されている。この案内部材31,31は固定板31aから案内側板31bが直角に立ち上がるように板金材料から折り曲げ形成されたものである。前記固定板31a,31aが前記筐体2の底面2a上にねじ止めや溶接などで固定されており、図3および図4に示すように、前記各案内側板31b,31bは、前記支持部材21の側板21b,21bの外側に平行に対向している。なお、図3と図4には前記案内側板31b,31bが図示されているが、図5と図6では前記案内側板31b,31bの図示を省略している。
【0038】
図3に示すように、前記案内部材31の案内側板31bには、長穴で形成された案内部31cが形成されており、前記規制部材27の基端部に設けられた前記制御軸28が、前記支持部材21の長穴21d内を通過して前記案内部31cに摺動自在に挿入されている。前記案内部31cは、支持部材21の往復移動方向と平行に長く延びる平行案内部31c1と、前記平行案内部31c1の前端からほぼ垂直に立ち上がる立上り案内部31c2とを有している。
【0039】
図4(B)に示すように、前記案内側板31bの内側には、ストッパ32が設けられ、このストッパ32は前記案内側板31bに軸33によって回動自在に支持されている。図4(B)に示すように前記制御軸28が、前記平行案内部31c1の前端に至ったときに、前記ストッパ32が時計方向へ回動して、その先端の規制部32aが前記平行案内部31c1を塞ぎ、前記制御軸28が平行案内部31c1内に戻らないように規制することが可能となっている。
【0040】
図7と図8に示すように、前記筐体2の底面2a上には、前記支持部材21を前後に往復移動させる前記進退駆動手段40が設けられている。
【0041】
この進退駆動手段40では、筐体2の底面2a上に、回転体41が軸42によって回動自在に支持されている。回転体41の周囲には、前記軸42を中心とする円弧状の所定モジュールの歯41aが形成され、回転体41は部分歯車を構成している。前記底面2a上には前記歯41aに回転力を与える減速歯車45が設けられており、また前記減速歯車45を介して前記回転体41に回転力を与えるモータMが設けられている。
【0042】
前記回転体41の歯41aが設けられていない部分には、回動アーム41bが一体に形成され、その先部に摺動ピン43が固定されている。前記支持部材21の底板21aには、左右方向へ延びる長穴44が形成されており、前記摺動ピン43が前記長穴44内に摺動自在に挿入されている。
【0043】
図7に示すように、回転体41が反時計方向へ最も回動したときには、支持部材21がケース1内へ最も引き込まれている。図7の状態から回転体41が時計方向へ回動し、回動アーム41bが図8で破線で示す位置まで回動する間に、支持部材21がケース1の前方へ最も前進する。そして回動アーム41bが図8にて実線で示す位置まで回動すると、支持部材21はケース1の方向へ後退する。ただしこのときの後退距離は、図7に示す収納状態での後退距離よりも短い。
【0044】
次に、前記車載用電子機器の動作を説明する。
図1と図3および図7に示す状態では、第1のパネル11と第2のパネル12の双方がケース1の内部に収納されている。
【0045】
この収納状態では、図7に示すように、回転体41が反時計方向へ回動し、回転体41の回動アーム41bに設けられた摺動ピン43が長穴44の端部に移動し、支持部材21がケース1内へ引き込まれている。また図3に示すように、前記第2のパネル12の側方に回動自在に連結されている規制部材27の基端部に固定された制御軸28は、支持部材21の側板21bに形成された長穴21dの湾曲部21d2の後端部に移動している。また前記制御軸28は、案内側板31bに形成された平行案内部31c1の後端に移動している。
【0046】
よって、前記規制部材27は支持部材21の往復移動方向とほぼ平行な状態に倒れており、第2のパネル12は連結軸25を支点として水平姿勢へ倒れるように回動している。そして、前記第1のパネル11の操作部材13a,13bが設けられた面11aと、第2のパネル12の表示部材14が設けられた面12aがほぼ同一面となっており、支持部材21のケース1内への退行に伴って、第1のパネル11と第2のパネル12の双方が、固定パネル3に開口した開口部7を通過してケース1の内部に収納されている。
【0047】
この収納状態では、図1に示すように、固定パネル3の開口部7が第1のパネル11の前端面11bによって塞がれており、固定パネル3の前面3aと、第1のパネル11の前端面11bとが同一面またはほぼ同一面となっている。ここで前記前端面11bを固定パネル3と同じ色彩にしておくと、図1の状態では、車載用電子機器の前面になにも現れておらず、また開口部7も塞がれているため、車外から見たときに車載用電子機器が搭載されていることを目視で確認しずらくなる。よって、車内からの電子機器の盗難を未然に防ぐことができる。
【0048】
ただし、図1に示す収納状態では、固定パネル3に出入口8が開口しているので、この出入口8からCDなどのディスクDを差し込むと、このディスクDはケース1内のディスク駆動機構6に引き込まれて装填される。
【0049】
前記収納状態において、固定パネル3に設けられた始動釦を押し、またはリモートコントローラを用いて遠隔にて始動操作を行なうと、筐体2の底面2aに設けられた往復駆動手段40のモータMが始動し、回転体41が時計方向へ駆動される。回転体41の回転に伴って支持部材21が固定パネル3の開口部7から前方へ突出するが、その途中において、回転体41の回動アーム41bが図8において破線で示す角度まで回動したときに、支持部材21がケース1の前方へ最も長い距離だけ突出する。
【0050】
図4(A)(B)は支持部材21がケース1の前方へ最も長く突出した瞬間を示している。このとき、規制部材27の基端部に設けられた制御軸28は水平案内部31c1の前端に移動するが、前記制御軸28は、支持部材21の側板21bに形成された長穴21dの湾曲部21d2の後端に位置している。そのため、制御部材27は倒れたままであり、よって第2のパネル12は第1のパネル11と平行な倒れ姿勢のまま、固定パネル3の前方へ完全に突出する。
【0051】
回転体41の回動アーム41bが図8の鎖線の位置を通過してさらに時計方向へ回動する際に、支持部材21がケース1内に引き込まれる。ここで、図4(A)のように支持部材21が最も突出したときに、図4(B)に示すように、案内側板31bに設けられたストッパ32が時計方向へ回動させられ、ストッパ32の規制部32aによって水平案内部31c1の前端が塞がれる。
【0052】
よって、回動アーム41bが時計方向へ回動して支持部材21がケース1内へ引き込まれる際に、制御軸28が水平案内部31c1内へ戻ることができず、制御軸28および規制部材27がケース内へ戻らないように規制される。一方、支持部材21がケース方向へ後退する際に、第2のパネル12の前端の回動支点となる連結軸25がケース1の方向へ後退させられる。そのため、規制部材27によって規制されている第2のパネル12は、前記連結軸25を支点として、ケース側の端面12bが上に持ち上げられるように回動させられる。
【0053】
このとき、図5と図6に示すように、制御軸28は、支持部材21の側板21bに形成された長穴21cの湾曲部21d2に沿って持ち上げられ、直線部21d1内に至る。また制御軸28は案内側板31bに形成された立上り案内部31c2内を上昇する。規制部材27の回動支点である制御軸28が立上り案内部31c2に沿って持ち上げられることにより、図6の状態において、規制部材27が高い位置に設置されることになり、第2のパネル12の立上り角度θ1を大きくできるようになる。
【0054】
なお、規制部材27が制御軸28を支点として立上り回動する際に、図2に示すように、規制部材27は、開口部7と連続するスリット7a内に斜めに入り込む。
【0055】
図2および図6に示すように、第2のパネル12が傾斜姿勢になると、第2のパネル12に設けられた表示部材14の画面が斜めの向きになって前方から目視しやすくなる。また第1のパネル11の面11aは上向きであるため、第1のパネル11に設けられた操作部材13a,13bを上方から操作しやすくなる。
【0056】
また、第1のパネル11と第2のパネル12がケース1の前方に出ている状態で、回転体41の回動角度を制御して支持部材21の突出停止位置を変化させると、第2のパネル12の傾斜角度を可変させることが可能になる。例えば、図5は図6よりも回転体41がやや反時計回りに回動して停止した状態を示しており、支持部材21は図6の状態よりもわずかに前方へ突出して停止している。
【0057】
このときの第2のパネル12の立上り方向の回動角度θ2は、図6に示す立上り角度θ1よりも少し小さくなっている。図5では、第2のパネル12の立上り角度が浅く、第2のパネル12のケース側の端面12bの上方に、固定パネル3に形成された出入口8が露出している。よって、θ2の角度で傾斜している第2のパネル12の上方から前記出入口8へディスクDを挿入したり、または出入口8からディスクDを排出させることが可能になる。
【0058】
次に、第1のパネル11と第2のパネル12をケース内に収納させるときには、例えば第1のパネル11に設けられた収納釦を操作する。この操作に基づいて、モータMにより回転体41が反時計方向へ回動させられる。回動アーム41bが図8において破線で示す角度まで回動すると、図4(A)に示すように、支持部材21が最も前方へ突出し、このとき第2のパネル12が水平姿勢に倒れる。この時点で図4(B)に示すストッパ32がソレノイド機構やモータの回動力によって反時計方向へ回動させられ、規制部32aが水平案内部31c1から外れる。よって、その後に回転体41が図7の状態まで回動し、支持部材21がケース1内に後退させられる間に、制御軸28は水平案内部31c1に沿って後方へ移動する。このとき、第1のパネル11と第2のパネル12は、水平姿勢のまま、固定パネル3の開口部7を通過してケース1内に引き込まれ、図1と図3に示す収納状態に復帰する。
【0059】
図9ないし図11は本発明の第2の実施の形態の車載用電子機器を動作別に示す断面図である。
【0060】
前記第2の実施の形態では、ケース1を構成する筐体2および固定パネル3の形状が前記第1の実施の形態と同じであり、また支持部材21を進退動作させる進退駆動手段40の構造が図7と図8に示すものと同じである。さらに切換え手段20を構成する支持部材21の側板21bに設けられた長穴21dの形状、案内側板31bに形成された案内部31cの形状も第1の実施の形態と同じである。さらに規制部材27の形状と前記規制部材27の基端部に設けられた制御軸28が、長穴21dおよび案内部31cによって案内され、また図4(B)に示すストッパ32が設けられている点も第1の実施の形態と同じである。
【0061】
この第2の実施の形態では、第1のパネル51のケースの前方側端部の両側面に軸53が設けられ、第1のパネル51は前記軸53を介して支持部材21の側板21bに対して上方へ回動可能に支持されている。
【0062】
また、第1のパネル51のケース側の端部、および第2のパネル52の前方側の端部とが連結軸55によって互いに回動可能に連結されている。また、前記支持部材21の側板21bには、前記軸53の支持部を中心とした所定半径の円弧軌跡に沿って形成された回動長穴21eが形成され、前記連結軸55は前記回動長穴21e内を摺動自在に案内されている。
【0063】
また第2のパネル52の両側部には、前記連結軸55による連結点よりも前方へ延びる延長部が設けられ、延長部の先部下端に円弧状に形成された摺動支点52bが形成されている。図9に示すように、第2のパネル52の下面と前記連結軸55の中心までの距離L1よりも、前記摺動支点52bと連結軸55の中心までの距離L2の方が常に長くなっている。
【0064】
図7に示す進退駆動手段40の動力で回転体41が回転させられる間、支持部材21が図10の位置まで突出させられる。この時点では、第1のパネル51と第2のパネル52は共に水平姿勢に倒れたままである。さらに回転体41が回転して支持部材21がケース1内へ後退する際に、図4(B)に示したストッパ32の規制部32aによって制御軸28の後退が規制される。このとき、第2のパネル52は、摺動支点52bと支持部材21の底板21aとの当接点を支点として規制部材27によって立ち上がるように回動させられる。
【0065】
図11および図12に示すように、支持部材21がケース1内へ後退し第2のパネル52が上方へ回動させられるときに、第2のパネル52の摺動支点52bが支持部材21の底板21aと摺動する。このとき、前記連結軸55と摺動支点52bとの距離L2が長いため、前記第2のパネル52の回動に伴って前記連結軸55が回動長穴21e内を上昇する。したがって、第1のパネル51も、軸53を支点として上向きに回動させられる。
【0066】
その結果、図12に示す状態では、第2のパネル52の表示部材などが設けられた面52aが水平線に対してθ3の角度で傾斜するように立上り回動するとともに、第1のパネル51の操作部材などが設けられた面51aも、水平線に対してθ4の角度で傾斜するように回動する。このように第2のパネル52の面52aと、第1のパネル51の面51aが、共に前方を支点として後端側が上に移動するように傾斜するため、第2のパネル52の面52aに設けられた表示部材を前方から目視しやすくなるとともに、第1のパネル51の面51aも斜めの姿勢となって、面51aに設けられた操作部材を操作しやすくなる。
【0067】
また、図9と図10のように、第1のパネル51と第2のパネル52が共に支持部材21内に水平姿勢に倒れている状態で、第1のパネル51の面51aは、前端側よりもケース側後端の方が下側に位置するように水平線に対して時計方向へ角度γを有して傾斜している。よって、前記第1のパネル51の面51aから操作部材56が突出していても、図10の状態では、前記操作部材56が第1のパネル51の前端面51bの上縁よりも上方へ大きく突出しないようになっている。
【0068】
そのため、図10から図9に示すように、支持部材21が後退して第1のパネル51と第2のパネル52がケース1の内部に引き込まれる際に、操作部材56が開口部7の上縁に当たりにくくなる。したがって、図9の収納状態で、第1のパネル51の前端面51bと、固定パネル3の開口部7の上縁との間に大きな隙間を設ける必要がなくなり、または開口部7の上縁に操作部材56を通過させる切欠きを設ける不要もなくなる。その結果、図9の状態で、可動パネル3の開口部7を第1のパネル51の前端面51bで確実に閉鎖できるようになる。
【0069】
また第1のパネル51の面51aからの操作部材56の突出寸法を大きくできるので、操作部材56が回動式のものである場合に、図12の突出状態で前記操作部材56を指で掴んで回動させる操作が容易になる。
【0070】
なお、本発明は、第1のパネルと第2のパネルがケース内に収納されるものに限られず、両パネルが常にケース1の外に突出したものであって、図4と図6(図10と図12)との間または図5と図6(図11と図12)との間の範囲のみで支持部材21が進退動作し、第2のパネルの傾斜角度が可変させられるものであってもよい。
【0071】
また、パネルが3個設けられ、最もケース側に位置するパネルと、中間に位置するパネルの双方が立ち上がり回動するように構成することも可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上のように本発明では、ケースの前方に複数のパネルが配置され、ケース側に位置するパネルが上方へ回動するものとなっているため、ケース側のパネルと、その前方に位置するパネルに、表示部材や操作部材を自由に配置することができる。また複数のパネルの面に操作部材や表示部材を配置できるので、操作面や表示面を広く利用できる。
【0073】
さらに、両パネルをケース内に収納させて、車載用電子機器の盗難を未然に防ぐ構造も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の車載用電子機器において、パネルがケース内に収納された状態を示す正面図、
【図2】第1の実施の形態において、第1のパネルが前方に位置し、第2のパネルが立ち上がった状態を示す斜視図、
【図3】各パネルがケースに収納された状態を示す断面図、
【図4】(A)は両パネルがケースの前方へ突出した状態を示す断面図、(B)は切換え手段の動作を示す部分拡大図、
【図5】支持部材の後退動作に伴って第2のパネルが上方へ回動する状態を示す断面図、
【図6】第2のパネルが最も回動した状態を示す断面図、
【図7】パネルが収納されたときの進退駆動手段の動作状態を示す透視平面図、
【図8】第2のパネルが立上り姿勢となったときの進退駆動手段の動作状態を示す透視平面図、
【図9】本発明の第2の実施の形態において、パネルがケース内に収納された状態を示す断面図、
【図10】両パネルがケースの前方へ最も突出した状態を示す断面図、
【図11】第2のパネルが立ち上がり回動した状態を示す断面図、
【図12】第2のパネルが最も回動した状態を示す断面図、
【符号の説明】
1 ケース
2 筐体
3 固定パネル
4 収納領域
5 設置領域
6 ディスク駆動機構
7 開口部
8 出入口
11 第1のパネル
11a 操作部材が配置される面
12 第2のパネル
12a 表示部材が配置される面
13a,13b 操作部材
14 表示部材
20 切換え手段
21 支持部材
21b 側板
21c 長穴
25 連結軸(第2のパネルの回動支点)
26 規制軸
27 規制部材
28 制御軸
31b 案内側板
31c 案内部
31c1 水平案内部
31c2 立上り案内部
32 ストッパ
40 進退駆動手段
41 回転体
41b 回動アーム
43 摺動ピン
44 長穴
51 第1のパネル
51a 傾斜した面
52 第2のパネル
53 軸
55 連結軸

Claims (7)

  1. ケースの前方に位置する第1のパネルと、前記第1のパネルよりもケース側に位置して第1のパネル側を支点としてケース側の端部が上方へ立ち上がるように回動可能に支持された第2のパネルとが設けられ、
    前記第1のパネルの上を向く面、および前記第2のパネルの立上り回動したときに前方を向く面の双方に、操作部材と表示部材の少なくとも一方が設けられており、
    前記第2のパネルを、ケースの前方外側で立上り回動させるとともに、前記第2のパネルとその前方に位置する前記第1のパネルの双方を、操作部材と表示部材の少なくとも一方が設けられた面が上を向くほぼ水平な姿勢にして、ケースの内部に引き込む姿勢切換え手段が設けられていることを特徴とする車載用電子機器。
  2. 前記第1のパネルを支持する支持部材と、前記支持部材をケースの内部からケースの前方外側にかけて進退移動させる進退駆動手段と、前記第2のパネルを前記支点よりもケース側の部分で規制する規制部材とが設けられ、前記第2のパネルの前記支点は前記支持部材と一緒に進退する箇所に設けられており
    前記第1のパネルと前記第2のパネルの双方が前記ケースの前方外側に出ている状態で、前記進退駆動手段によって前記支持部材と共に前記支点がケース側へ移動させられるときに、前記規制手段により規制されている第2のパネルが立上り方向へ回動させられる請求項1記載の車載用電子機器。
  3. 前記支持部材がケース方向へ後退して停止する位置が複数段階に設定されることで、前記第2のパネルの立上り回動後の傾斜角度が変えられる請求項2記載の車載用電子機器。
  4. 前記支持部材と前記第1のパネルとがケースの前方へ移動したときに前記規制部材で規制された第2のパネルがほぼ水平に倒れ、その後に前記進退駆動手段によって前記支持部材がケース内に引き込まれるときに、前記第1のパネルと前記第2のパネルとが、ケースの前面に開口する開口部からケースの内部に引き込まれる請求項2または3記載の車載用電子機器。
  5. 前記第1のパネルと前記第2のパネルがケース内に引き込まれたときに、前記第1のパネルの前方側の端部によって前記開口部が塞がれる請求項4記載の車載用電子機器。
  6. 前記第1のパネルは、ケース前方を支点として上方へ回動可能であり、前記第1のパネルのケース側の端部と前記第2のパネルとが連結され、前記第2のパネルが立上り回動する際に、両パネルの連結点が上昇することにより前記第1のパネルが前方を支点として立上り方向へ回動する請求項1ないし5のいずれかに記載の車載用電子機器。
  7. 第1のパネルと第2のパネルが回動した状態で、第1のパネルの面よりも第2のパネルの面の立上り角度の方が大きくなる請求項6記載の車載用電子機器。
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