JP4662152B2 - 自動車ドアにおけるドアビームの取付構造及びドアビームのブラケット - Google Patents
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Description
このドアビームは、アウターパネルに近接し、車体前後方向に略並行に配置されるとともに、その端部をインナーパネルと接合される。一般的には、ドアビームの端部に取り付け用のブラケットを設置し、このブラケットを介して接合されることが多い。例えば、下記特許文献1,2に見られるように、ドアビーム端部に取り付け用のブラケットを固定し、このブラケットを介してインナーパネルに接合する。
ドアビームの曲げ強度及び曲げ剛性を高くするために、一般的には以下のような手段がある。
(1)素材の高強度化による曲げ強度向上
(2)断面外寸増加による曲げ強度及び曲げ剛性向上
(3)断面を構成する各部の肉厚増加による曲げ強度及び曲げ剛性向上
また、断面外寸及び肉厚の増加は、断面積が増加するために重量が増加することになる。なお、重量の増加を最小限にとどめ、曲げ強度及び曲げ剛性を増加させるためには、車幅方向への断面高さを増大させることが最も望ましいが、ドアパネル内に配置されるガラスの収納スペースあるいはスピーカーなど他部品との干渉の関係から、この方向への外寸の増加は難しい。このため、断面を構成する各部の肉厚の増加あるいは車体高さ方向への断面高さ増大により、曲げ強度及び曲げ剛性向上対策が行われてきたという現状がある。
前記ブラケットの具体的構造の例として、前記ブラケットがさらに接合用フランジを有し、該接合用フランジがインナーパネル(例えばその端部横壁又は端部縦壁)に接合された構造、あるいは、前記内側フランジと外側フランジがドア端部側で板状の接続部により互いに接続され、前記板状の接続部に前記接合用フランジが接続された構造を挙げることができる。
ドアビームとブラケットの接合手段は、ボルト接合あるいはセルフピアシングリベットなどの機械的接合でも良いし、溶融溶接でも良い。インナーパネルとブラケット及びインナーパネルとドアビームの接合については、形状精度の誤差を吸収することも考慮し、長穴を介したボルト接合が望ましい。
なお、本発明に係る取付構造は、ドアビームの前後両方の端部に適用することが望ましいが、前後いずれか片側の端部のみに適用することもできる。
このブラケットがアルミニウム押出形材からなる場合、さらに軽量化され、かつ押出形材を所定長さに切断加工して得ることができるので、安価に大量生産可能である。
まず図1(a)に、従来採用されているドアビームの取付構造を示す。ドアビーム1の両端に板状のブラケット2がボルト接合され(矢印Bの位置)、これがドアパネル(インナーパネル3とアウターパネル4)内の空間に配置され、ブラケット2がインナーパネル3の前後にボルト接合(矢印Aの位置)されている。
インナーパネル3の前後の端部には、アウターパネル4との間隔が狭くなった端部横壁3aと、端部横壁3aに続く端部縦壁3bが形成されている。
このドアパネルが側面衝突を受け、図8(a)に示すように、ドアビーム1の端部を回転変形させようとする荷重(白抜き矢印で示す)が加わった場合、ブラケット2が屈曲してドアビーム1の端部の回転変形が生じると共に、ブラケット2に接合していない外側フランジ1b側が矢印Xで示すようにすべり変形を起こし、その結果、側面衝突におけるドアビーム1の曲げ強度及び曲げ剛性が不十分となる。
ブラケット5はアルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1のフランジ1a,1bの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。ブラケット5は、車体幅方向に所定距離離れて互いに平行に配置された板状の内側フランジ5b及び外側フランジ5cと、ドア端部側(ドアの前後の端部に近い側)においてこれら両フランジ5b,5cを垂直に接続する板状の接続部(板状リブ)5dと、板状リブ5dに接続し両フランジ5b,5cと平行であるが逆方向に延びる板状の接合用フランジ5aからなる一体構造の部材である。接合用フランジ5aは車体前後方向に沿ってドアビーム1の反対側に延び、内側フランジ5b及び外側フランジ5cは同じく車体前後方向に沿ってドアビーム1側に延び、板状リブ5dは車体内外方向に向いている。
ブラケット6はアルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1のフランジ1a,1bの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。図2に記載されたブラケット5との違いは、外側フランジ6cがドアビーム1の外側フランジ1bの内面側に配置されて該外側フランジ1bと溶接接合(矢印Cの位置)されている点である。なお、外側フランジ6cは、ドアビーム1の中空内部に挿入されるため、両ウエブ1c,1d間の間隔よりやや狭く切断されている。
この取付構造は、すべり変形抑制の作用効果としては図2に示す取付構造とほぼ同じである。しかし、外側フランジ6cをドアビーム1の外側フランジ1bの内面側に配置する構造は、ドアビームの設置スペースの面からは一般的に望ましいといえる。ドアビームの端部近傍は、一般にアウターパネルが曲率をもっている(ただし、図3では曲率をもって描かれていない)ために、ドアビームとアウターパネルとのクリアランスが小さく、ドアビームの外側フランジの外面側にブラケットの外側フランジを配置するスペースがとれない場合があるからである。
ブラケット7はアルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1の内側フランジ1aの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。図3に記載されたブラケット6との違いは、接合用フランジ7aの基部(板状リブ6dとの接続点近傍)からインナーパネル3の端部縦壁3bに沿って車体内側方向に延びる板状の補助フランジ7eをさらに備え、かつ内側フランジ7bと補助フランジ7eのコーナー部内側に、補強のためのフィレット(斜面に形成された隅肉部)7fが付加されている点である。補助フランジ7eはインナーパネル3の端部縦壁3bに接触している。
なお、この例では、補助フランジ7eは、はじめからインナーパネル3の端部縦壁3bと接触させていたが、前記端部縦壁3bに近接して配置しておき、荷重が加わったときに接触するようになっていてもよい。あるいは接着剤等により、インナーパネル3の端部縦壁3bと接合していてもよい。
ブラケット8はアルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1の内側フランジ1aの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。図3に記載されたブラケット6との違いは、接合用フランジ8aの基部からインナーパネル3の端部縦壁3bに沿って車体内側方向に延びる補助フランジ8eと、内側フランジ8bの端部と補助フランジ8eの端部を接続する板状リブ8gを有し、内側フランジ8b、補助フランジ8e及び板状リブ8gにより三角形のトラス構造が構成されている点である。ブラケット6と同様に、接合用フランジ8aがインナーパネル3の端部横壁3aにボルト接合(矢印Aの位置)され、内側フランジ8bがドアビーム1の内側フランジ1aと溶接接合(矢印Bの位置)され、外側フランジ8cがドアビーム1の外側フランジ1bと溶接接合(矢印C)されている。
このドアパネルが側面衝突を受け、ドアビーム1の端部を回転変形させようとする荷重が加わった場合、ブラケット8を屈曲させようとするが、補助フランジ8eがインナーパネル3の端部縦壁3bと接触するとともに、前記トラス構造が回転変形に対する抵抗となり、図4に示す取付構造以上に、ドアビーム1の端部の回転変形が生じにくくなる。
ブラケット9はアルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1の内側フランジ1aの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。ブラケット9は、車体幅方向に所定距離離れて互いに平行に配置された板状の内側フランジ9b及び外側フランジ9cと、これら両フランジ9b,9cを垂直に接続する板状リブ9dと、板状リブ9dの下端に接続し、両フランジ9b,9cとは逆方向に延びる板状の接合用フランジ9aと、両フランジ9b,9cの端部を垂直に接続する板状リブ9hからなる一体構造の部材である。接合用フランジ9aは板状リブ9dの内側端から車体前後方向に沿ってドアビーム1の反対側に延び、内側フランジ9b及び外側フランジ9cは端部が板状リブ9dに接続して車体前後方向に沿ってドアビーム1側に延び、内側フランジ9b、外側フランジ9c及び板状リブ9d,9hにより矩形中空構造が構成されている。
この取付構造は、壁状リブ9hが付加されることで内側フランジ9b及び外側フランジ9cの曲げ変形が生じにくく、部品曲げ強度及び剛性が向上する。ボルト接合部B,Cは溶接接合に代えてもよい。
なお、前記矩形中空構造がドアビーム1の中空内部に挿入されるため、内側フランジ9b、外側フランジ9c及び板状リブ9hは、ドアビーム1の両ウエブ1c,1d間の間隔よりやや狭く切断されている。
ブラケット10はアルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1の内側フランジ1aの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。ブラケット10は、車体幅方向に所定距離離れて互いに平行に配置された板状の内側フランジ10b及び外側フランジ10cと、これら両フランジ10b,10cを接続する板状リブ10dと、板状リブ10dに接続し両フランジ10b,10cとは逆方向に延びる接合用フランジ10aからなる。接合用フランジ10aはドアビーム1の反対側に延び、内側フランジ10b及び外側フランジ10cは同じく車体前後方向に沿ってドアビーム1側に延びている。
また、板状リブ10dは接合用フランジ10aの基部からインナーパネル3の端部縦壁3bに沿って車体内側方向に延び、外側フランジ10cと壁状リブ10dのコーナー部内側に、フィレット10fが形成されている。これらは図5の取付構造に示した補助フランジ7e及びフィレット7fと同様の機能を有する。
なお、外側フランジ10cはドアビーム1の中空内部に挿入されるため、ドアビーム1の両ウエブ1c,1d間の間隔よりやや狭く切断されている。
ブラケット11は、アルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1のフランジ1a,1bの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。ブラケット11は、車体幅方向に所定距離離れて互いに平行に配置された板状の内側フランジ11b及び外側フランジ11cと、これら両フランジ11b,11cをドア端部側において垂直に接続する接続部(板状リブ)11dからなる一体構造の部材である。内側フランジ11b及び外側フランジ11cは車体前後方向に沿ってドアビーム1側に延び、板状リブ11dは車体内外方向に向いている。
ドアビーム1は、ブラケット11とともに、該ドアビーム1とブラケット11の全高さを貫く1本の長ボルトにより、インナーパネル3の端部横壁3aにボルト接合されている(矢印Aの位置)。同ボルトにより、ブラケット11の内側フランジ11bはドアビーム1の内側フランジ1aの外面側に接合され(矢印Bの位置)、外側フランジ11cはドアビーム1の外側フランジ1bの内面側に接合されている(矢印Cの位置)。
ブラケット12は、アルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1のフランジ1aの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。図9に記載されたブラケット11との違いは、ブラケット12ではドアビーム1の中空内部に挿入されるのが内側フランジ12bであり、該内側フランジ12bがドアビーム1の両ウエブ1c,1d間の間隔よりやや狭く切断されている点である。
ブラケット12の内側フランジ12bはドアビーム1の内側フランジ1aの外面側に配置され、外側フランジ12cは内側フランジ11bより車体幅方向外側においてドアビーム1の外側フランジ1bの外面側に配置され、ドアビーム1は、ブラケット12とともに、該ドアビーム1とブラケット12の全高さを貫く1本の長ボルトにより、インナーパネル3の端部横壁3aにボルト接合されている(矢印Aの位置)。そして、同ボルトにより、ブラケット12の内側フランジ12bはドアビーム1の内側フランジ1aの内面側に接合され(矢印Bの位置)、外側フランジ12cはドアビーム1の外側フランジ1bの外面側に接合されている(矢印Cの位置)。
ブラケット13は、アルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1のフランジ1a,1bの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。ブラケット13は、車体幅方向に所定距離離れて互いに平行に配置された板状の内側フランジ13b及び外側フランジ13cと、これら両フランジ13b,13cをドア端部側において垂直に接続する接続部(板状リブ)13dからなる一体構造の部材である。内側フランジ13b及び外側フランジ13cは車体前後方向に沿ってドアビーム1側に延び、板状リブ13dは車体内外方向に向いている。なお、図12において、14,15はブラケット13に形成されたボルト穴を示す。
ブラケット13はドアビーム1に対し、該ブラケット13とドアビーム1の全高さを貫く1本の長ボルトによりボルト接合されている。同ボルトにより、ブラケット13の内側フランジ13bはドアビーム1の内側フランジ1aの外面側に接合され(矢印Bの位置)、外側フランジ13cはドアビーム1の外側フランジ1bの外面側に接合されている(矢印Cの位置)。また、ブラケット13の板状リブ13dが、インナーパネル3の端部縦壁3bにボルト接合されている(矢印Aの位置)。
ブラケット14はアルミニウム合金押出形材を所定長さ(例えば、ドアビーム1のフランジ1a,1bの幅程度)に切断したもので、その押出方向を車体上下方向に向けて配置されている。ブラケット14は、車体幅方向に所定距離離れて互いに平行に配置された板状の内側フランジ14b及び外側フランジ14cと、ドア端部側においてこれら両フランジ14b,14cを接続する屈曲した板状の接続部(板状リブ)14dと、板状のリブ14i,14jを介して前記板状リブ14に接続された接合用フランジ14aからなる一体構造の部材である。接合用フランジ14a、リブ14i,14j及び板状リブ14dにより中空構造が構成されている。
なお、外側フランジ14cはドアビーム1の中空内部に挿入されるため、ドアビーム1の両ウエブ1c,1d間の間隔よりやや狭く切断されている。
1a ドアビームの内側フランジ
1b ドアビームの外側フランジ
3 ドアのインナーパネル
3a インナーパネルの端部横壁
3b インナーパネルの端部縦壁
4 ドアのアウターパネル
5〜14 ブラケット
5a,7a,8a,9a,10a,14a ブラケットの接合フランジ
5b,8b,9b,10b,11b,12b,13b、14b ブラケットの内側フランジ
5c,6c,8c,9c,10c、11c,12c,13c,14c ブラケットの外側フランジ
5d、9d,8g,9h,10d,11d,12d,13d,14d ブラケットの板状リブ
7e,8e 補助フランジ
7f,10f フィレット
Claims (6)
- 車体幅方向内側及び外側に位置する一対のフランジと両フランジを接続する1つ以上のウエブからなるアルミニウム合金押出形材製のドアビームが、その端部に取り付けられたブラケットを介して又はブラケットと共に自動車ドアのインナーパネルに接合されてなるドアビームの取付構造であって、前記ブラケットがアルミニウム合金押出形材からなり、押出方向を車体上下方向に向けて配置され、車体幅方向に互いに所定距離離れて配置されかつドア端部側で互いに接続された内側フランジと外側フランジを有し、前記内側フランジが前記ドアビームの車体幅方向内側のフランジに接合され、前記外側フランジが前記ドアビームの車体幅方向外側のフランジに接合されていることを特徴とするドアビームの取付構造。
- 前記ブラケットはさらに接合用フランジを有し、該接合用フランジがインナーパネルに接合されていることを特徴とする請求項1に記載されたドアビームの取付構造。
- 前記内側フランジと外側フランジがドア端部側で板状の接続部により互いに接続され、前記接続部に前記接合用フランジが接続されていることを特徴とする請求項2に記載されたドアビームの取付構造。
- 一体のアルミニウム合金押出形材からなり、請求項1に記載されたドアビームの端部に取り付けられ、自動車ドアの補強構造の一部として前記ドアビームと共にドアパネル内の空間に押出方向を車体上下方向に向けて配置され、かつインナーパネルに接続されるブラケットであり、車体幅方向に互いに所定距離離れて配置されかつドア端部側で互いに接続された内側フランジと外側フランジを有し、前記内側フランジが前記ドアビームの車体幅方向内側のフランジに接合され、前記外側フランジが前記ドアビームの車体幅方向外側のフランジに接合されることを特徴とするドアビームのブラケット。
- 前記ブラケットはさらに接合用フランジを有し、該接合用フランジがインナーパネルに接合されることを特徴とする請求項4に記載されたドアビームのブラケット。
- 前記内側フランジと外側フランジがドア端部側で板状の接続部により互いに接続され、前記接続部に前記接合用フランジが接続されていることを特徴とする請求項5に記載されたドアビームのブラケット。
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