JP4661962B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、各種クレーンやパワーショベル等の作業車両に係り、更に詳細には、走行時において作業車両のエンジンの冷却に必要な冷却風を確実に確保し得る作業車両に関するものである。
先ず、従来例に係る作業車両につき、添付図7を参照しながら説明する。図7は従来例に係るラフテレーンクレーンを示し、同図(a)はその側面図、同図(b)は図(a)の一点鎖線で囲む部分を拡大透視して示す部分拡大透視図である。
従来より、図7(a)に示す様なラフテレーンクレーン等の作業車両では、作業装置の動力源としてディーゼルエンジン等のエンジン20を、図7に示す如く、上部旋回体の後方に配置し、このエンジン20の周囲を筐体23で囲ってエンジン室24としている。このエンジン室24を形成する後部端板23eに吸気口25が設けられると共に、底板23bに排気口26が設けられている。
そして、前記エンジン20に直結したファン22を回転させることによって、冷却空気を前記吸気口25より吸い込み、冷却器(ラジエータ)21でエンジン冷却水を冷却した後、排気口26から排出される。前記エンジン室24の開口部において、特に吸気口25から放出されるエンジン20及びファン22に起因する騒音を低減するため、前記吸気口25はルーバ形式とし、かつこのルーバ27には吸音材27aが貼り付けられている。
この様に、作業車両の車体後方に吸気口25が設けられた場合は、静止運転している条件でも低速走行(例えば、車速20km/h)している条件でも冷却空気の吸気量に大きな差異はなく、エンジン20の冷却上特に問題が生ずることはない。しかしながら、高速走行(例えば、80km/h)時には、この吸気口25が走行風の剥離領域に入ってしまい、充分な走行風量を得ることが出来ないという問題を有していた。
係る問題を解決する作業車両として、特許文献1に開示されたものが知られている。この特許文献1に開示された従来の作業車両について、以下添付図8を参照しながら説明する。図8は、従来のクレーンの上部旋回体に設けられた運転室とエンジン室の内部構造を概略的に示した図である。
この従来のクレーンの運転室28とエンジン室30は、筐体40内に設けられており、この筐体40は上部旋回体の前方に向かって右半分の領域に設けられている。図8に示す様に、筐体40内の空間が仕切板31で前後に仕切られて、前部の運転室28と後部のエンジン室30が構成されている。このエンジン室30の天板30aには、冷却器33を冷却する外気を取り込むための吸気口30eが形成されると共に、エンジン室30の後部端板30dの下部には、エンジン室30内の熱気を外部に排出するための排気口30fが設けられている。
更に、このクレーンの走行時に前方から当る風を冷却風として、エンジン室30に導入するための導入通路36が筐体40内に設けられており、前記導入通路36は、筐体40の前面に開口した走行風の取入れ口36aを有すると共に、運転室28を回避しつつエンジン室30に繋がっている。そして、冷却器33によるエンジン32の冷却と冷却ファン34から下方へ流れる空気によるエンジン32等の冷却に加えて、導入通路36を通じて取り込まれた走行風によりエンジン室30内が冷却される。
しかしながら、上記の様に配置されたクレーンの走行時において、前方からの走行風の取り込みが十分ではない上、天板30に設けられた吸気口30eは、進行方向に平行な開口部であるため、走行風の多量の取り込みを期待できず、エンジン32の冷却に必要な冷却空気量を確保できない。とはいえ、車体側部側(進行方向に向かって右側)の側板に吸気口を設けることは、通行人に対する周囲騒音の観点から採用し難い。
特開2008−155790号公報
従って、本発明の目的は、エンジン室前方に運転室が配置された作業車両において、走行時に前方から当る走行風を冷却風として十分取り込み可能な吸気口を設け得ると共に、通行人に対する騒音を低減できる作業車両を提供することにある。
即ち、上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る作業車両が採用した手段は、自走機構を有する下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回自在に設置される上部旋回体とを備え、前記上部旋回体の前部に天板、底板、両側板、前部端板及び後部端板からなる筐体によって囲まれた運転室が設けられると共に前記運転室の後方に天板、底板、両側板、前部端板及び後部端板からなる筐体によって囲まれ、エンジンを格納するエンジン室が設けられた作業車両において、前記エンジン室を構成する前部端板に、前記エンジン室内に走行風を導入するための前部吸気口が設けられる一方、前記運転室を構成する天板の後縁から後部端板にかけて、前記前部吸気口に走行風を案内する様な曲面を有する第1曲面が形成されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る作業車両が採用した手段は、請求項1に記載の作業車両において、前記エンジン室が前記上部旋回体の幅方向の一方側に偏って設けられており、前記エンジン室を構成する側板のうち前記上部旋回体の幅方向の他方側に位置する側板に、前記エンジン室内に走行風を導入するための側部吸気口が設けられると共に、前記側部吸気口における前記側板に、前記エンジン室内に走行風を案内する様な曲面を有する第2曲面が形成されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る作業車両が採用した手段は、請求項1または2に記載の作業車両において、前記運転室を構成する側板の後縁から前記後部端板にかけて、前記前部吸気口に走行風を案内する様な曲面を有する第3曲面が形成されてなることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る作業車両によれば、自走機構を有する下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回自在に設置される上部旋回体とを備え、前記上部旋回体の前部に天板、底板、両側板、前部端板及び後部端板からなる筐体によって囲まれた運転室が設けられると共に前記運転室の後方に天板、底板、両側板、前部端板及び後部端板からなる筐体によって囲まれ、エンジンを格納するエンジン室が設けられた作業車両において、前記エンジン室を構成する前部端板に、前記エンジン室内に走行風を導入するための前部吸気口が設けられる一方、前記運転室を構成する天板の後縁から後部端板にかけて、前記前部吸気口に走行風を案内する様な曲面を有する第1曲面が形成されてなるので、エンジン室前方に運転室が配置された作業車両においても、走行風が運転室の天板後縁から後部端板にかけて前記第1曲面に案内されて流れの向きを変え、前記吸気口前での走行風の圧力を高くして高速走行時の十分な走行風量が確保可能となる。
また、本発明の請求項2に係る作業車両によれば、前記エンジン室が前記上部旋回体の幅方向の一方側に偏って設けられており、前記エンジン室を構成する側板のうち前記上部旋回体の幅方向の他方側に位置する側板に、前記エンジン室内に走行風を導入するための側部吸気口が設けられると共に、前記側部吸気口における前記側板に、前記エンジン室内に走行風を案内する様な曲面を有する第2曲面が形成されてなるので、走行風が前記第2曲面に案内されて流れの向きを変え、前記側部吸気口前での走行風の圧力を高くして高速走行時の十分な走行風量が確保可能となる。
更に、本発明の請求項3に係る作業車両によれば、前記運転室を構成する側板の後縁から前記後部端板にかけて、前記前部吸気口に走行風を案内する様な曲面を有する第3曲面が形成されてなるので、走行風が前記第3曲面に案内されて流れの向きを変え、前記前部吸気口前での走行風の圧力を高くして高速走行時の十分な走行風量が確保可能となる。
本発明の実施の形態1に係るラフテレーンクレーンの上部旋回体の配置を概略的に示す平面配置図である。 図1の矢視A−Aを示す立面図である。 本発明の実施の形態2に係るラフテレーンクレーンの上部旋回体の配置を概略的に示す平面配置図である。 図3の矢視B−Bを示す立面図である。 第1曲面及び第2曲面の各吸気口に対する効果を吸気風量の相対比として示した図である。 エンジン室におけるエンジン直下の排気口有無の効果を排気風量の相対比として示した図である。 従来例に係るラフテレーンクレーンを示し、同図(a)は側面図、同図(b)は図(a)の二点鎖線で示す部分を拡大透視して示す部分拡大透視図である。 先願発明の実施形態に係るクレーンの上部旋回体に設けられた運転室とエンジン室の内部構造を概略的に示した図である。
次に、本発明の実施の形態1に係る作業車両を、添付図1,2を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態1に係るラフテレーンクレーンの上部旋回体の配置を概略的に示す平面配置図、図2は図1の矢視A−Aを示す立面図である。
本発明の実施の形態1に係るラフテレーンクレーン(以下、単にクレーンとも言う)の上部旋回体1の旋回フレーム1aは、自走機能を有する図示しない下部走行体上に旋回自在に設置されている。そして、この上部旋回体1には、作業装置4と運転室2とエンジン室3とが設けられている。
前記作業装置4は、荷物の吊り作業を行うクレーン装置である。この作業装置4は、図示しない複数段の単位ブームからなる伸縮ブームを備え、上部旋回体1の幅方向中央部に配設されている。そして、この伸縮ブームの基端部は、上部旋回体1の基礎部分にその後端部近傍の位置で軸支されており、この軸支された部分を支点として起伏動作する様に構成されている。
一方、前記運転室2とエンジン室3とは、夫々独立した筐体12,13内に設けられており、これらの筐体12,13は、図示しない下部走行体の進行方向Fに向かって左半分の領域に設けられている。そして、前記運転室2は上部旋回体1の前部に、前記エンジン室3は運転室2の後方に設けられている。
前記運転室2は、天板12a、底板12b、両側板12c、前部端板12d及び後部端板12eからなる筐体12によって囲まれた空間領域であって、運転者が乗り込み、クレーンの走行や作業装置4によるクレーン作業等の各種操作を行うために設けられている。運転室2の床面を構成する前記底板12b上には、クレーンの操作に用いられる図示しない各種操作装置等や座席が設けられている。
一方、前記エンジン室3は、天板13a、底板13b、両側板13c、前部端板13d及び後部端板13eからなる筐体13によって囲まれ、前記運転室2後方に配設された空間領域である。このエンジン室2には、ディーゼルエンジン等のエンジン5、冷却器6、冷却ファン7等が格納されると共に、クレーンの走行時に前方から当る風(走行風)を、前記冷却器6を冷却する冷却風として取り込むための上部吸気口8a,8bが冷却器6前方の天板13aに、前部吸気口9a,9bが前部端板13dに、側部吸気口10が車体中央側(進行方向Fに向かって右側)の側板13cに、更に下部吸気口11が底板13bに設けられている。
そして、エンジン室3の底板13bには、エンジン室3内の熱気を外部に排出するための排気口14a〜14dが設けられている。
更に、本発明の実施の形態1に係る作業車両は、前記エンジン室3を形成する前部端板13dに設けられた前部吸気口9a,9bから導入される走行風の流れに沿って、前記運転室2を形成する天板12aの後縁が、曲がり半径R1の曲面を有する第1曲面12arを形成してこの運転室2の後部端板12eに滑らかに接続されている。前記曲がり半径R1としては、例えば、走行風の剥離領域を形成させない300mm程度以上とする。
エンジン室3内には、エンジン5、冷却器6及び冷却ファン7の他、図示しない油圧ポンプ、油圧バルブ、マフラー及び電装品ボックス等が格納されている。前記エンジン5と油圧ポンプは、エンジン室3内において互いに隣接して配置されており、前記エンジン5の駆動により油圧ポンプが駆動する様に構成されている。
この油圧ポンプにより、前記伸縮ブームの起伏用油圧シリンダや伸縮用油圧シリンダ等の上部旋回体1に設けられた各油圧装置に作動油が給排されると共に、走行用油圧モータ等の下部走行体に設けられた各油圧装置に作動油が給排される様になっている。そして、前記エンジン5と油圧ポンプの駆動時には、これらのエンジン5及び油圧ポンプが発する熱によってエンジン室3内が高温になる。
図示しない前記油圧バルブは、油圧ポンプから上記各油圧装置に作動油を給排する際に、その油圧制御を行うための切替弁の集合体である。即ち、油圧ポンプからの作動油の供給経路が油圧バルブを介して上記各油圧装置に接続されている。
図示しない前記マフラーはエンジン5の上部に接続されている。そして、マフラーのエンジン5と反対側の端部が、エンジン室3の天板13aを貫通して外部に突出している。このマフラーを通じてエンジン5の排気ガスがエンジン室3外へ排出される様になっている。
前記冷却器6及び前記冷却ファン7は、主にエンジン5を冷却するために設けられている。冷却器6は、冷却ファン7の駆動によって、エンジン室3の天板13aに設けられた上部吸気口8a,8b、前部端板13dに設けられた前部吸気口9a,9b、側板13c設けられた側部吸気口10及び底板13bに設けられた下部吸気口11から夫々導入される走行風により冷却され、エンジン5の冷却が行われる様になっている。
そして、前記エンジン室3を形成する匡体13に走行風を導入するための前記吸気口8a,8b、9a,9b、10及び11が設けられるのに加え、前記上部吸気口8a,8bから導入される走行風の流れに沿って、運転室2の天板12aの後縁が曲がり半径R1を有する第1曲面12arを形成して、この運転室2の後部端板12eに滑らかに接続されてなるので、エンジン室3前方に運転室2が配置された作業車両においても、走行風F1が前記運転室2の天井の後縁曲面12arに沿って流れの向きを変えて前部吸気口9a,9b前での走行風の圧力を高くし、高速走行時の十分な冷却風量が確保可能となる。
次に、図1及び図2を参照しながら、本実施の形態1によるエンジン室3内を冷却する際のプロセスについて説明する。
先ず、冷却ファン7の駆動に加え、クレーンの走行時には、前記吸気口8a,8b、9a,9b、10及び11を通じて前方から当る走行風を冷却風としてエンジン室3内への吸気が行われ、冷却器6にこれら冷却風が当てられる。前記冷却器6内には、エンジン5で過熱された後、当該冷却器6に送り込まれた冷却水が流通しており、この加熱された冷却水が前記冷却風により熱交換されて冷却される。そして、冷却器6で冷却された冷却水が、エンジン5に再循環されてエンジン5の冷却が行われる。
前記冷却風は冷却器6での熱交換に用いられた後、冷却ファン7の駆動によりエンジン室3の下方に流れる。この様な空気の流れは、エンジン5や図示しない油圧ポンプ、電装品ボックスに直接当る。これにより、エンジン5の冷却が更に行われると共に、油圧ポンプ及び電装品ボックスが冷却される。この後、冷却ファン7から下方に流れた空気はエンジン室3内の熱で加熱されて熱気となっている。そして、その熱気は、床板13bに設けられた排気口14a〜14dを通じて外部に排出される。
そして、本実施の形態1においては、前記エンジン室3を形成する匡体13に設けられた吸気口8a,8b、10及び11からの走行風による各機器の冷却に加え、前記前部吸気口9a,9bから導入される走行風F1が、前記運転室2の天井の後縁に形成された第1曲面12arに沿って流れの向きを変えて前部吸気口9a,9b直前での走行風F1の圧力を高くするので、エンジン室3前方に運転室2が配置された作業車両においても、エンジン室3内の冷却効率を向上させることが可能となるのである。
次に、本発明の実施の形態2に係る作業機械の空調機器配置を、添付図3,4を参照しながら説明する。図3は本発明の実施の形態2に係るラフテレーンクレーンの上部旋回体の配置を概略的に示す平面配置図、図4は図3の矢視B−Bを示す立面図である。
但し、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、運転室の側板構成とエンジン室の側板に設けられた側部吸気口及び底板に設けられた排気口の構成に相違があり、これらの相違以外は上記実施の形態1と全く同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものに同一符号を付して、以下その相違する点について説明する。
即ち、上記実施の形態1においては、運転室2を構成する側板12cが平面状の平板で形成される一方、エンジン室3においては、側板13cに設けられた側部吸気口10が単なる開口部であり、底板13bにはエンジン5直下にも排気口14b,14cが設けられていた。
これに対し、本発明の実施の形態2においては、エンジン室3の側板13cに設けられた側部吸気口10は、この側部吸気口10を形成する開口部の側板13cが、前記側部吸気口10から導入される走行風F2の流れに沿って、曲がり半径R2の曲面を有する第2曲面13crを形成してエンジン室3の内側に後退している。一方、運転室2の車体中央側(進行方向Fに向かって右側)の側板12cの後縁が、エンジン室3の前部端版13dに形成された前部吸気口9aから導入される走行風の流れに沿って曲がり半径R3の曲面を有する第3曲面12crを形成し、前記運転室2を構成する後部端版12eに滑らかに接続されている。
そして、本実施の形態2においては、前記側部吸気口10から導入される走行風F2が、前記側板13cに形成された第2曲面13crに沿って流れの向きを変えて側部吸気口10直前での走行風F2の圧力を高くすると共に、前記エンジン室3を形成する匡体13に設けられた吸気口8a,8b、9b及び11からの走行風による各機器の冷却に加え、前記前部吸気口9aから導入される走行風F3が、前記運転室2の側板12cに形成された第3曲面12crに沿って流れの向きを変えて前部吸気口9a直前での走行風F3の圧力を高くするので、エンジン室3前方に運転室2が配置された作業車両においても、エンジン室3内の冷却効率を向上させることが可能となるのである。
また、前記エンジン室3を構成する車体側部側(進行方向Fに向かって左側)の側板13cが、走行風を導入するための吸気口を有しない。更に、前記エンジン室3を構成する床板13bには、走行風を排気するための排気口14a,14dを設けられているが、エンジン4の直下には排気口を有していない。その結果、通行人に対してエンジンやファンの騒音を直接放射させることがなく、通行人に対する騒音を低減し得る。
<実施例−1>
本発明に係る作業車両におけるエンジン室への走行風の吸気量につき、汎用流体解析コード fluent version6.2(米国fluent社製)を用いてシミュレーションした実施例を、以下添付図5を参照しながら説明する。図5は、第1曲面及び第2曲面の各吸気口に対する効果を吸気風量の相対比として示した図である。即ち、運転室2の天板12a後縁に第1曲面12arを形成したケース1の場合、及びエンジン室3の側部吸気口10に第2曲面13crを形成したケース2の場合において、各吸気口から吸込まれる風量の解析結果を相対比で示したものである。
運転室2の天板12a後縁に第1曲面12arを形成したケース1の場合、前部吸気口9a,9bの吸気風量が相対的に多く、第1曲面12arの効果が認められるが、これらの吸気に同伴されて上部吸気口8a,8bや下部吸気口11における吸気風量もケース2の場合より増加している。一方、エンジン室3の側部吸気口10に第2曲面13crを形成したケース2の場合は、側部吸気口10からの吸気量が圧倒的に多くなり、エンジン室3の側部吸気口10に第2曲面13crを形成する効果が認められる。
<実施例−2>
次に、本発明に係る作業車両におけるエンジン室からの走行風の排気量につき、実施例−1と同様、汎用流体解析コード fluent version6.2を用いてシミュレーションした実施例を、以下添付図6を参照しながら説明する。図6は、エンジン室におけるエンジン直下の排気口有無の効果を排気風量の相対比として示した図である。即ち、エンジン室3の底板13bにエンジン5直下の排気口14b,14cを含めて排気口14a〜14dを形成したケース1の場合、及びエンジン室3の底板13bにエンジン5直下の排気口14b,14cを含めずに排気口14a,14dのみを形成したケース2の場合において、各排気口から排気される風量の解析結果を相対比で示したものである。
この結果によれば、ケース1においてエンジン5直下の排気口14b,14cからの排気風量は元々少なく、これら排気口14b,14cをなくしたところで、排気口14dの排気風量がその分多くなるだけで、総排気風量の変化を生じることなくエンジン5に起因する騒音の放出が低減される。
以上、本発明に係る作業車両によれば、エンジン室を構成する前部端板に走行風を導入するための前部吸気口が設けられる一方、運転室を構成する天板の後縁が、前記前部吸気口から導入される走行風の流れに沿って曲面を形成し、前記運転室を構成する後部端板に滑らかに接続されてなるので、エンジン室前方に運転室が配置された作業車両においても、走行風が前記運転室の天板の後縁曲面に沿って流れの向きを変えて前部吸気口前での走行風の圧力を高くし、高速走行時の十分な走行風量が確保可能となる。
尚、前記実施の形態2においては、エンジン室に走行風を効果的に導入するため、第1曲面を運転室の天板に形成した上、更に第2曲面をエンジン室の側板に、第3曲面を運転室の側板に形成する態様を説明したが、これら3つの曲面が必ずしも同時に形成される必要はなく、第1曲面に加えて第2曲面と第3曲面の何れか一方が形成されても良い。
F:(下部走行体の)進行方向,
F1,F2,F3:走行風,
R1,R2,R3:曲がり半径,
1:上部旋回体, 1a:旋回フレーム,
2:運転室, 3:エンジン室, 4:作業装置, 5:エンジン,
6:冷却器, 7:冷却ファン,
8a,8b:上部吸気口, 9a,9b:前部吸気口, 10:側部吸気口,
11:下部吸気口,
12:運転室筐体, 12a:天板, 12b:底板, 12c:側板,
12d:前部端版, 12e:後部端版,
12ar:第1曲面, 12cr:第3曲面,
13:エンジン室筐体, 13a:天板, 13b:底板, 13c:側板,
13d:前部端版, 13e:後部端版, 13cr:第2曲面,
14a,14b,14c,14d:排気口

Claims (3)

  1. 自走機構を有する下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回自在に設置される上部旋回体とを備え、前記上部旋回体の前部に天板、底板、両側板、前部端板及び後部端板からなる筐体によって囲まれた運転室が設けられると共に前記運転室の後方に天板、底板、両側板、前部端板及び後部端板からなる筐体によって囲まれ、エンジンを格納するエンジン室が設けられた作業車両において、前記エンジン室を構成する前部端板に、前記エンジン室内に走行風を導入するための前部吸気口が設けられる一方、前記運転室を構成する天板の後縁から後部端板にかけて、前記前部吸気口に走行風を案内する様な曲面を有する第1曲面が形成されてなることを特徴とする作業車両。
  2. 前記エンジン室が前記上部旋回体の幅方向の一方側に偏って設けられており、前記エンジン室を構成する側板のうち前記上部旋回体の幅方向の他方側に位置する側板に、前記エンジン室内に走行風を導入するための側部吸気口が設けられると共に、前記側部吸気口における前記側板に、前記エンジン室内に走行風を案内する様な曲面を有する第2曲面が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記運転室を構成する側板の後縁から前記後部端板にかけて、前記前部吸気口に走行風を案内する様な曲面を有する第3曲面が形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
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