JP4661698B2 - 可変式音圧付加装置 - Google Patents
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Description
このような音圧付加装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。この音圧付加装置は、吸気ダクトの外周面に取り付けられて吸気ダクトと連通する連通管と、連通管を閉塞するとともに吸気ダクト内の吸気脈動に応じて振動する発音体と、一方の開口端が連通管と連結されるとともに、他方の開口端が外気へ開放される追加管とを備えている。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、エンジンの駆動状態に応じて発音体の振動を抑制することにより、緩加速時等、静粛性を確保したい場合における、吸気音の増音効果を低減可能な可変式音圧付加装置を提供することを課題とする。
前記発音体と面外方向で対向する振動抑制部と、当該振動抑制部を前記発音体の面外方向へ移動させる振動抑制部移動手段と、前記振動抑制部移動手段による前記振動抑制部の移動量を制御する移動量制御手段と、を備え、
前記振動抑制部は、前記連通管の径方向から見て前記発音体側へ突出して湾曲する円弧状に形成された接触部と、当該接触部の前記発音体と対向する面に形成され、且つ前記発音体と非接触の非接触部と、を有することを特徴とする可変式音圧付加装置を提供するものである。
なお、上述した移動量制御手段の構成を、エンジンの駆動状態に応じて振動抑制部の移動量を制御する構成としてもよい。
この場合、エンジンの駆動状態を、エンジンの回転情報や、エンジンの吸気量を増減させるスロットルバルブの開度情報としてもよい。
ここで、エンジンの駆動状態を、エンジンの回転情報とした場合、可変式音圧付加装置の構成を、エンジンの回転情報を検出するエンジン回転情報検出手段を備える構成とする。さらに、移動量制御手段の構成を、エンジンの回転情報に応じて、振動抑制部移動手段による振動抑制部の移動量を制御する構成とする。
また、エンジンの駆動状態を、スロットルバルブの開度情報とした場合、可変式音圧付加装置の構成を、スロットルバルブの開度情報を検出するスロットルバルブ開度情報検出手段を備える構成とする。さらに、移動量制御手段の構成を、スロットルバルブの開度情報に応じて、振動抑制部移動手段による振動抑制部の移動量を制御する構成とする。
(第一実施形態)
(構成)
図1は、本実施形態の可変式音圧付加装置1が配置されたエンジンルームを示す図であり、車両を上方から見た状態を示す図である。
図1中に示すように、本実施形態の可変式音圧付加装置1は、車室2よりも車両前後方向の前方に設けられるとともに、ダッシュパネル4によって車室2と隔離されたエンジンルーム6内に配置されており、エンジン8と連通する吸気ダクト10に備えられている。
図2中に示すように、本実施形態の可変式音圧付加装置1は、連通管12と、追加管14と、発音体16と、エンジンコントロールユニット18と、発音体振動抑制機構20とを備えている。
連通管12は、円筒形状をなしており、内部に気体が存在する通気管によって形成された吸気ダクト10の外周面に、吸気ダクト10と連通して取り付けられている。
発音体16は、例えば、ゴム等の弾性体によって円板状に形成されており、連通管12と追加管14との間に介装されて、連通管12を閉塞している。また、発音体16は、吸気ダクト10内に発生する吸気脈動に応じて弾性変形することにより、面外方向へ振動する。
エンジンコントロールユニット18及び発音体振動抑制機構20の構成については、後述する。
吸気ダクト10は、外気からエンジン8への吸気通路をなしており、ダストサイド側吸気ダクト22と、クリーンサイド側吸気ダクト24とから構成されている。
ダストサイド側吸気ダクト22の一方の開口端は、エアクリーナ26に連結されており、ダストサイド側吸気ダクト22の他方の開口端は、外気中に開放されている。
エアクリーナ26は、例えば、オイルフィルター等のフィルター部を有しており、吸気ダクト10の他方の開口端から流入した気体を、フィルター部を通過させることにより清浄化する。
また、エンジン8は、吸気動作に伴って、クリーンサイド側吸気ダクト24内に存在する気体に吸気脈動を発生させる圧力源をなしており、この吸気脈動が吸気音を構成する。
図3中に示すように、エンジンコントロールユニット18は、エンジン回転情報検出手段34と、スロットルバルブ開度情報検出手段36と、エンジン駆動状態検出手段38とを備えている。
エンジン回転情報検出手段34は、エンジン8に取り付けられたエンジン回転情報センサー(図示せず)によって検出されたエンジン8の回転情報を、エンジン回転情報信号S1として受信し、この受信したエンジン回転情報信号S1を、エンジン駆動状態検出手段38へ送信する機能を有している。なお、本実施形態では、エンジン8の回転情報を、エンジン8の回転数とした場合について説明する。
エンジン駆動状態検出手段38は、エンジン回転情報信号S1及びスロットルバルブ開度情報信号S2を受信し、これらの信号に基づいてエンジン8の駆動状態を算出して、この算出したエンジン8の駆動状態を、エンジン駆動状態信号S3として発音体振動抑制機構20へ送信する機能を有している。
図4は、図2中に符号Aで示した円の内部及びその周辺の拡大図であり、発音体16、発音体振動抑制機構20及びその周辺の透視図である。また、図5は、図4のV−V線断面図である。
図4及び図5中に示すように、発音体振動抑制機構20は、振動抑制部40と、振動抑制部移動手段42と、移動量制御手段(図示せず)とを備えている。
基部44は、追加管14の径方向に延在する柱状の本体部48と、本体部48の両端にそれぞれ形成された板状の側板部50とを備えており、追加管14の内部において、発音体16よりも外気側に配置されている。側板部50の追加管14の内周面と対向する面には、後述するモータ52が有するピニオン54と噛合するラック56が設けられている。
振動抑制部移動手段42は、モータ52を備えている。
モータ52は、回転軸58と、ピニオン54を有している。
ピニオン54は、上述したラック56と噛合しており、回転軸58に固定されて、回転軸58の回転に伴って回転する。すなわち、回転軸58の回転に伴ってピニオン54が回転すると、ラック56が設けられた側板部50が発音体16の面外方向へ移動して、振動抑制部40が発音体16の面外方向へ移動する。
なお、上述した閾値は、吸気音の増音効果を抑制したい緩加速時及び吸気音を増音したい急加速時に応じて、予め設定されている。
図6は、発音体振動抑制機構を備えていない音圧付加装置において、エンジン8の回転数及びスロットルバルブの開度が、予め設定された閾値以下の状態、すなわち、緩加速時における発音体16の状態を示す図である。なお、図6中では、車室2内の乗員を、符号Dを付して記載している。
このため、緩加速時において、移動量制御手段は、突出部46の発音体16の外気側の面と対向する部分の位置が、発音体16の吸気ダクト側への弾性変形の最大振幅位置VL1の位置となるように、振動抑制部40の発音体16の面外方向への移動量を算出する(図4参照)。
図7中に示すように、突出部46の発音体16の外気側の面と対向する部分の位置が、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置VL2の位置よりも外気側である場合、振動抑制部40が発音体16と接触することなく、発音体16の面外方向へ振動する。なお、図7中では、急加速時に発音体16が面外方向に振動する範囲を、二本の破線VLによって示しており、発音体16の吸気ダクト側への弾性変形の最大振幅位置をVL1、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置をVL2として示している。
このため、急加速時において、移動量制御手段は、突出部46の発音体16の外気側の面と対向する部分の位置が、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置VL2よりも外気側の位置となるように、振動抑制部40の発音体16の面外方向への移動量を算出する。
なお、上記のような、振動抑制部40及び振動抑制部移動手段42を備えた発音体振動抑制機構20は、エンジン8の駆動状態に応じて発音体16を面外方向へ弾性変形させて、発音体16の振動を抑制する発音体振動抑制手段を構成している。
次に、可変式音圧付加装置1の動作について説明する。
エンジン8を駆動させると、エンジン8の吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、各インテークマニホールド32及びサージタンク30を介して、クリーンサイド側吸気ダクト24内に存在する気体に伝播する(図2参照)。
そして、エンジン8の吸気動作に伴って発生する吸気脈動を構成する複数の周波数の吸気脈動が、連通管12を介して発音体16へ伝播される。複数の周波数の吸気脈動が伝播された発音体16は、面外方向に振動する(図2参照)。
エンジン駆動状態信号S3を受信した移動量制御手段は、エンジン駆動状態信号S3に含まれるエンジン8の駆動状態を判断して、振動抑制部40の発音体16の面外方向への移動量を算出する。
そして、この算出した振動抑制部40の発音体16の面外方向への移動量に基づいて、回転軸58が回転し、回転軸58の回転に伴ってピニオン54が回転する。回転軸58の回転に伴ってピニオン54が回転すると、ラック56が設けられた側板部50が吸気ダクト側へ移動して、振動抑制部40が吸気ダクト側へ移動し、突出部46の発音体16の外気側の面と対向する部分の位置が、発音体16の吸気ダクト側への弾性変形の最大振幅位置VL1の位置となる。
これに対し、急加速時においては、移動量制御手段は、突出部46の発音体16の外気側の面と対向する部分の位置が、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置VL2よりも外気側の位置となるように、振動抑制部40の発音体16の面外方向への移動量を算出する。
このため、振動抑制部40が発音体16と接触することなく、発音体16が面外方向へ振動することとなり、追加管14の他方の開口端から、増音された吸気音が外気中へ放射される(図7参照)。
なお、本実施形態の可変式音圧付加装置1では、エンジン駆動状態検出手段38の構成を、エンジン回転情報信号S1及びスロットルバルブ開度情報信号S2を受信し、これらの信号に基づいてエンジン8の駆動状態を算出する構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、エンジン駆動状態検出手段38の構成を、エンジン回転情報信号S1またはスロットルバルブ開度情報信号S2に基づいて、エンジン8の駆動状態を算出する構成としてもよい。要は、エンジン駆動状態検出手段38の構成は、エンジン回転情報信号S1及びスロットルバルブ開度情報信号S2のうち少なくとも一方を受信し、これらの受信した信号のうち、少なくとも一方に基づいてエンジン8の駆動状態を算出する構成であればよい。
また、本実施形態の可変式音圧付加装置1では、突出部46の構成を、本体部48のうち、発音体16の面外方向から見て追加管14の中心軸線と重なる位置に取り付けられている構成としたが、振動抑制部40の形状は、これに限定されるものではない。すなわち、突出部46の構成を、本体部48のうち、発音体16の面外方向から見て追加管14の中心軸線と重なっていない位置に取り付けられている構成としてもよい。要は、突出部46の構成は、発音体16の外気側の面に対向している構成であればよい。
また、本実施形態の可変式音圧付加装置1では、スロットルバルブの開度情報を、スロットルバルブの開度としているが、スロットルバルブの開度情報は、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、スロットルバルブの開度情報を、アクセルペダルの踏み込み量としてもよい。
(1)本実施形態の可変式音圧付加装置では、振動抑制部移動手段によって、エンジンの駆動状態に応じて、発音体の外気側の面と対向する振動抑制部を、発音体の面外方向へ移動させることが可能となる。このため、緩加速時においては、発音体が吸気ダクト側へ弾性変形することにより、発音体の振動が抑制され、吸気音の増音効果が低減される。また、急加速時においては、発音体の振動が抑制されることなく、発音体は発音体の面外方向に移動するため、吸気音の増音効果が得られる。
したがって、移動量制御手段による、振動抑制部の発音体の面外方向への移動量を確実に算出することが可能となる。
(構成)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図8及び図9は、本実施形態の可変式音圧付加装置1の構成を示す図であり、図8は、緩加速時における、発音体16、発音体振動抑制機構20及びその周辺の透視図、図9は、図8のIX−IX線断面図である。
図8及び図9中に示すように、本実施形態の可変式音圧付加装置1の構成は、振動抑制部40の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。すなわち、本実施形態の振動抑制部40は、接触部60と、側板部50とを備えている。
接触部60の発音体16と対向する面(以下、吸気ダクト側の面と記載する)には、接触部60を発音体16の面外方向に貫通する複数の空隙部62が形成されている。各空隙部62は、接触部60を形成する複数の線状部材間に形成されており、発音体16の外気側の面と非接触の非接触部を構成している。
以下、図8及び図10を参照して、本実施形態において、移動量制御手段が算出する振動抑制部40の発音体16の面外方向への移動量について説明する。
図10は、急加速時における発音体16、発音体振動抑制機構20及びその周辺の透視図である。
図10中に示すように、急加速時において、移動量制御手段は、接触部60のうち、最も発音体16側の部分60aの位置が、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置よりも外気側の位置となるように、振動抑制部40の発音体16の面外方向への移動量を算出する。
図11は、接触部60が発音体16側へ突出していない形状に形成されている場合において、振動抑制部40が吸気ダクト側へ移動した状態を示す図であり、図12は、接触部60が発音体16側へ突出して湾曲する形状に形成されている場合において、振動抑制部40が吸気ダクト側へ移動した状態を示す図である。
したがって、発音体16の吸気ダクト側への振動を抑制するためには、発音体16の吸気ダクト側の面に、発音体16の吸気ダクト側の面と接触する接触部を配置する必要が生じる。
したがって、接触部60が発音体16側へ突出して湾曲する形状に形成し、振動抑制部40を吸気ダクト側へ移動させて発音体16を接触させることにより、発音体16の面外方向へ振動した際に、発音体16の外気側及び吸気ダクト側への振動を抑制することが可能となる。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
次に、本実施形態の動作について説明する。なお、以下の説明では、振動抑制部40以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
エンジン8を駆動させると、エンジン8の吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、各インテークマニホールド32及びサージタンク30を介して、クリーンサイド側吸気ダクト24内に存在する気体に伝播する(図2参照)。
そして、エンジン8の吸気動作に伴って発生する吸気脈動を構成する複数の周波数の吸気脈動が、連通管12を介して発音体16へ伝播される。複数の周波数の吸気脈動が伝播された発音体16は、発音体16の面外方向に振動する(図2参照)。
このため、緩加速時における発音体16の面外方向への振動が抑制され、可変式音圧付加装置1による吸気音の増音効果が抑制される(図8参照)。
このため、緩加速時においては、複数の互いに交差する線状部材によって形成された接触部60と発音体16が、多数の接触点において接触することとなる。
これに対し、急加速時においては、振動抑制部40が外気側へ移動することにより、接触部60の発音体16の外気側の面と対向する部分の位置が、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置よりも外気側の位置となる。
このとき、接触部60を形成する複数の線状部材間には、接触部60を発音体16の面外方向に貫通する複数の空隙部62によって形成された非接触部60が形成されている(図9参照)。
このため、急加速時においては、発音体16が面外方向に振動し、この振動による気体の振動は各空隙部を通過して追加管14へ伝播され、追加管14の他方の開口端から、増音された吸気音が外気中へ放射される(図10参照)。
(1)本実施形態の可変式音圧付加装置では、振動抑制部が備える接触部が、複数の互いに交差する線状部材によって形成されており、全体として格子状をなしている。また、接触部は、連通管の径方向から見て、発音体側へ突出して湾曲する円弧状に形成されている。
このため、緩加速時においては、複数の線状部材によって形成された接触部と発音体が、多数の接触点で接触することとなるとともに、発音体のうち、連通管の軸方向へ振動する部分の面積が減少する。
その結果、上述した第一実施形態の可変式音圧付加装置のような、接触部と発音体が、一つの接触点で接触する場合と比較して、発音体の振動を更に抑制することが可能となり、吸気音の増音効果を更に低減することが可能となる。
その結果、接触部と発音体との接触状態を安定させることが可能となり、発音体の振動を安定して抑制することが可能となるため、吸気音の増音効果を安定して低減させることが可能となる。
このため、上述した第一実施形態の可変式音圧付加装置のような、接触子と発音体が、一つの接触点で接触する場合と比較して、発音体の損傷を低減することが可能となる。その結果、発音体の耐久性を向上させることが可能となる。
(構成)
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図13は、本実施形態の可変式音圧付加装置1の構成を示す図である。
図13中に示すように、本実施形態の可変式音圧付加装置1は、連通管12と、追加管14と、発音体16と、発音体振動抑制機構20とを備えている。なお、発音体振動抑制機構20以外の構成は、上述した第一実施形態と同様の構成となっているため、説明は省略する。
振動抑制部40の構成については、後述する。
振動抑制部移動手段42は、通気管64と、シリンダー66とを備えている。
通気管64は、例えばゴムホース等、可撓性を有する円筒状の部材によって形成されている。通気管64の一方の開口端は、クリーンサイド側吸気ダクト24の外周面のうち、サージタンク30とスロットルチャンバ28の間の部分に、クリーンサイド側吸気ダクト24と連通して取り付けられている。通気管64の他方の開口端は、シリンダー66の内部と連通している。
以下、クリーンサイド側吸気ダクト24内のうち、サージタンク30とスロットルチャンバ28の間の部分における、吸気負圧とスロットル開度との関係について説明する。
これに対し、急加速時において、アクセルペダルの踏み込み量を増加、すなわち、スロットル開度を増加させて、エンジン8の吸気量を増加させると、エアクリーナ26とスロットルチャンバ28の間の部分における吸気負圧が増加するとともに、サージタンク30とスロットルチャンバ28の間の部分における吸気負圧が減少する。
図14中に示すように、シリンダー66は、その内部に、弾性体70と、蓋部材72とを備えている。
弾性体70は、例えば、コイルスプリングによって形成されており、シリンダー66の内部において、発音体16の面外方向へ伸縮自在に配置されている。弾性体70の一方の端部は、シリンダー内部の通気管64側の内壁面に取り付けられており、弾性体70の他方の端部は、蓋部材72の通気管64側の面に取り付けられている。
連結部材68は、略L字形の棒状部材であり、一方の端部が蓋部材72の通気管64側と反対の面に取り付けられ、他方の端部が側板部50の追加管14の内周面と対向する面に取り付けられている。
接触部60の構成は、上述した第二実施形態と同様の構成となっているため、説明は省略する。
側板部50は、接触部60の発音体16の面外方向から見た外周面のうち、追加管14の中心軸を挟んで対向する二箇所に取り付けられており、追加管14の内周面に設けられたレール部74に対し、発音体16の面外方向へ移動可能に嵌合している。また、側板部50は、追加管14の内部において、発音体16よりも外気側に配置されている。側板部50の追加管14の内周面と対向する面には、連結部材68の他方の端部が取り付けられている。
図14中に示すように、弾性体70の発音体16の面外方向へのばね係数は、緩加速時において、サージタンク30とスロットルチャンバ28の間の部分における吸気負圧が増加し、この増加した吸気負圧が通気管64を通じてシリンダー66内に循環したときに、弾性体70が収縮する値となっている。また、弾性体70の発音体16の面外方向へのばね係数は、緩加速時において、弾性体70が収縮することにより、接触部60のうち、最も発音体16側の部分60aの位置が、発音体16の吸気ダクト側への弾性変形の最大振幅位置の位置となる値に設定されている。
図15中に示すように、弾性体70の発音体16の面外方向へのばね係数は、急加速時において、サージタンク30とスロットルチャンバ28の間の部分における吸気負圧が減少し、この増加した吸気負圧が通気管64を通じてシリンダー66内に循環したときに、弾性体70が伸長する値となっている。また、弾性体70の発音体16の面外方向へのばね係数は、急加速時において、弾性体70が伸長することにより、接触部60のうち、最も発音体16側の部分60aの位置が、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置よりも外気側の位置となる値に設定されている。
すなわち、本実施形態の振動抑制部移動手段42は、クリーンサイド側吸気ダクト24内のうち、サージタンク30とスロットルチャンバ28の間の部分に発生する吸気負圧によって、振動抑制部40を発音体16の面外方向へ移動させる構成となっている。
また、上述した弾性体70の発音体16の面外方向へのばね係数は、吸気音の増音効果を抑制したい緩加速時及び吸気音を増音したい急加速時に応じて、予め設定されている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
次に、本実施形態の動作について説明する。なお、以下の説明では、発音体振動抑制機構20以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する(図13参照)。
エンジン8を駆動させると、エンジン8の吸気動作に伴って発生する吸気脈動は、各インテークマニホールド32及びサージタンク30を介して、クリーンサイド側吸気ダクト24内に存在する気体に伝播する(図13参照)。
そして、エンジン8の吸気動作に伴って発生する吸気脈動を構成する複数の周波数の吸気脈動が、連通管12を介して発音体16へ伝播される。複数の周波数の吸気脈動が伝播された発音体16は、発音体16の面外方向に振動する(図13参照)。
弾性体70が収縮すると、蓋部材72が通気管64側へ移動し、連結部材68が通気管64側へ移動して、側板部50が吸気ダクト側へ移動するため、振動抑制部40が吸気ダクト側へ移動する。
このため、振動抑制部40が吸気ダクト側へ移動すると、発音体16が吸気ダクト側へ弾性変形して、発音体16の位置が、発音体16の吸気ダクト側への弾性変形の最大振幅位置となる。
これに対し、急加速時においては、サージタンク30とスロットルチャンバ28の間の部分における吸気負圧が減少するため、この減少した吸気負圧が通気管64を通じてシリンダー66内に循環して、弾性体70が伸長する。
このとき、弾性体70の発音体16の面外方向へのばね係数は、急加速時において、弾性体70が伸長することにより、接触部60のうち、最も発音体16側の部分60aの位置が、発音体16の外気側への弾性変形の最大振幅位置よりも外気側の位置となる値に設定されている。
したがって、振動抑制部40が発音体16と接触することなく、発音体16の面外方向へ振動するため、急加速時においては、発音体16が面外方向に振動し、この振動による気体の振動は各空隙部を通過して追加管14へ伝播され、追加管14の他方の開口端から、増音された吸気音が外気中へ放射される(図15参照)。
なお、本実施形態の可変式音圧付加装置1では、上述した第一及び第二実施形態の可変式音圧付加装置1と異なり、エンジンコントロールユニット及びモータを備えていない構成としたが、可変式音圧付加装置1の構成が、これに限定されるものでない。すなわち、可変式音圧付加装置1の構成を、例えば、本実施形態の可変式音圧付加装置1の構成に加え、エンジンコントロールユニット及びモータを備えた構成とし、クリーンサイド側吸気ダクト内のうち、サージタンクとスロットルチャンバとの間の部分に発生する吸気負圧と、エンジンの回転情報及びスロットルバルブの開度情報に応じて、振動抑制部40を発音体16の面外方向へ移動させる構成としてもよい。
(1)本実施形態の可変式音圧付加装置では、クリーンサイド側吸気ダクト内のうち、サージタンクとスロットルチャンバとの間の部分に発生する吸気負圧によって、振動抑制部を発音体の面外方向へ移動させる構成となっている。すなわち、エンジンの駆動状態を、クリーンサイド側吸気ダクト内のうち、サージタンクとスロットルチャンバとの間の部分に発生する吸気負圧の変化に置き換えて、振動抑制部を発音体の面外方向へ移動させる構成となっている。
その結果、簡易な構成によって、緩加速時における静粛性の確保と、急加速時における吸気音の増音とを両立することが可能となるため、可変式音圧付加装置の製造コストを低減することが可能となる。
なお、上述した第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態において、移動量制御手段は、エンジンの駆動状態に応じて、振動抑制部移動手段による振動抑制部の移動量を制御するが、運転者が静粛性を求めるときに、車室内に設けたスイッチ等の操作に応じて、振動抑制部の移動量を制御してもよい。
図16及び図17に、本発明の可変式音圧付加装置を備えた車両、従来の音圧付加装置を備えた車両及び音圧付加装置を備えていない車両を用い、加速時において、車室内、特に運転席へ導入される吸気音の音圧レベルを測定した結果を示す。なお、図16及び図17の縦軸は、車室内へ導入される吸気音の音圧レベル(図中では、「音圧レベル[db]」と記載している)を示しており、その一目盛りは10dBを表している。また、図16及び図17の横軸は、加速時におけるエンジン回転数(図中では、「エンジン回転数[rpm]」と記載している)を示しており、その一目盛りは1000rpmを表している。
従来の音圧付加装置としては、図6に示すような、発音体振動抑制機構を備えていない音圧付加装置と同様の構成を有する音圧付加装置を用いた。
以上の測定結果から、本発明の可変式音圧付加装置を備えた車両は、急加速時における吸気音の増音効果が発揮されているとともに、従来の音圧付加装置を備えた車両と比較して、走り出し等の、緩加速時における静粛性が向上していることが確認された。
2 車室
4 ダッシュパネル
6 エンジンルーム
8 エンジン
10 吸気ダクト
12 連通管
14 追加管
16 発音体
18 エンジンコントロールユニット
20 発音体振動抑制機構
22 ダストサイド側吸気ダクト
24 クリーンサイド側吸気ダクト
26 エアクリーナ
28 スロットルチャンバ
30 サージタンク
32 インテークマニホールド
34 エンジン回転情報検出手段
36 スロットルバルブ開度情報検出手段
38 エンジン駆動状態検出手段
40 振動抑制部
42 振動抑制部移動手段
44 基部
46 突出部
48 本体部
50 側板部
52 モータ
54 ピニオン
56 ラック
58 回転軸
60 接触部
62 空隙部
64 通気管
66 シリンダー
68 連結部材
70 弾性体
72 蓋部材
74 レール部
S1 エンジン回転情報信号
S2 スロットルバルブ開度情報信号
S3 エンジン駆動状態信号
D 車室内の乗員
VL1 発音体の吸気ダクト側への弾性変形の最大振幅位置
VL2 発音体の外気側への弾性変形の最大振幅位置
Claims (4)
- エンジンへの吸気通路をなす吸気ダクトの外周面に取り付けられて前記吸気ダクトと連通する連通管と、当該連通管を閉塞し、且つ前記吸気ダクト内に発生する吸気脈動に応じて弾性変形することにより面外方向へ振動する発音体と、を備える可変式音圧付加装置において、
前記発音体と面外方向で対向する振動抑制部と、当該振動抑制部を前記発音体の面外方向へ移動させる振動抑制部移動手段と、前記振動抑制部移動手段による前記振動抑制部の移動量を制御する移動量制御手段と、を備え、
前記振動抑制部は、前記連通管の径方向から見て前記発音体側へ突出して湾曲する円弧状に形成された接触部と、当該接触部の前記発音体と対向する面に形成され、且つ前記発音体と非接触の非接触部と、を有することを特徴とする可変式音圧付加装置。 - エンジンへの吸気通路をなす吸気ダクトの外周面に取り付けられて前記吸気ダクトと連通する連通管と、当該連通管を閉塞し、且つ前記吸気ダクト内に発生する吸気脈動に応じて弾性変形することにより面外方向へ振動する発音体と、を備える可変式音圧付加装置において、
前記発音体と面外方向で対向する振動抑制部と、当該振動抑制部を前記発音体の面外方向へ移動させる振動抑制部移動手段と、前記振動抑制部移動手段による前記振動抑制部の移動量を制御する移動量制御手段と、を備え、
前記振動抑制部は、前記連通管の径方向から見て前記発音体側へ突出して湾曲する円弧状に形成された接触部と、当該接触部の前記発音体と対向する面に形成され、且つ前記発音体と非接触の非接触部と、を有し、
前記移動量制御手段は、前記エンジンの駆動状態に応じて前記振動抑制部の移動量を制御し、
前記エンジンの駆動状態を、前記エンジンの回転情報とし、
前記エンジンの回転情報を検出するエンジン回転情報検出手段を備え、
前記移動量制御手段は、前記エンジンの回転情報に応じて前記振動抑制部移動手段による前記振動抑制部の移動量を制御することを特徴とする可変式音圧付加装置。 - エンジンへの吸気通路をなす吸気ダクトの外周面に取り付けられて前記吸気ダクトと連通する連通管と、当該連通管を閉塞し、且つ前記吸気ダクト内に発生する吸気脈動に応じて弾性変形することにより面外方向へ振動する発音体と、を備える可変式音圧付加装置において、
前記発音体と面外方向で対向する振動抑制部と、当該振動抑制部を前記発音体の面外方向へ移動させる振動抑制部移動手段と、前記振動抑制部移動手段による前記振動抑制部の移動量を制御する移動量制御手段と、を備え、
前記振動抑制部は、前記連通管の径方向から見て前記発音体側へ突出して湾曲する円弧状に形成された接触部と、当該接触部の前記発音体と対向する面に形成され、且つ前記発音体と非接触の非接触部と、を有し、
前記移動量制御手段は、前記エンジンの駆動状態に応じて前記振動抑制部の移動量を制御し、
前記エンジンの駆動状態を、前記エンジンの吸気量を増減させるスロットルバルブの開度情報とし、
前記スロットルバルブの開度情報を検出するスロットルバルブ開度情報検出手段を備え、
前記移動量制御手段は、前記スロットルバルブの開度情報に応じて前記振動抑制部移動手段による前記振動抑制部の移動量を制御することを特徴とする可変式音圧付加装置。 - 前記振動抑制部移動手段は、前記吸気ダクト内に発生する吸気負圧によって前記振動抑制部を前記発音体の面外方向へ移動させることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した可変式音圧付加装置。
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