JP4661179B2 - 車両用シートのヘッドレスト装置 - Google Patents

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この発明は、後突を予測又は検出する検出器を備えた車両に搭載される車両用シートのヘッドレスト装置に関する。
車両用シートのヘッドレスト装置において、ヘッドレスト本体は、クッション性を有するパッドと、そのパッドを被覆する表皮と、を備えて構成されるのが一般的である。
また、この種の車両用シートのヘッドレスト装置においては、通常使用時における座り心地性を考慮すると、ヘッドレスト本体を柔らかく設定することが好ましく、このため、パッドを弾性伸縮に富む材料(例えば、弾性伸縮に富む発泡ウレタン)によって形成されることが望まれる。
一方、車両の後突時においては、乗員の頭部の後方への変位量を小さく抑えることが望ましく、車両の後突を考慮すると、ヘッドレスト本体を硬く設定しなければならず、座り心地性が悪化する。
また、従来、ヘッドレスト本体が、前半部と後半部とに分離可能に構成されるとともに、前半部の後側にエアーバックが組み付けられたものがある。そして、車両の後突又は後突予測を検出したときに、エアーバックを展開させることで、前半部を分離しながら前方に突出させるように構成したヘッドレスト装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−6751号公報
ところで、前記特許文献1に記載された発明においては、ヘッドレスト本体の前側部におけるパッドを弾性伸縮に富む材料によって形成して座り心地性を向上させることができる。
しかしながら、ヘッドレスト本体を、前半部と後半部に分離可能に構成するため、構造が複雑化し、コスト高となる。
この発明の目的は、前記従来の問題点に鑑み、通常使用時においては、ヘッドレスト本体を柔らかく設定し、車両の後突時においては、ヘッドレスト本体を硬く変化させて乗員の頭部の後方への変位量を小さく抑えることができる車両用シートのヘッドレスト装置を提供することである。
前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る車両用シートのヘッドレスト装置は、後突を予測又は検出する検出器を備えた車両に搭載される車両用シートのヘッドレスト装置であって、
剛性を有するヘッドレストフレームを覆うクッション性を有するパッドが表皮によって被覆されたヘッドレスト本体と、
前記パッドの前パッド部の硬さを変化可能なパッド硬さ変化手段と、を備え、
前記パッド硬さ変化手段は、前記検出器の信号に基づいて作動される作動機構と、
前記ヘッドレスト本体の内部に配置されかつ前記作動機構の作動によって連動されることで、前記パッドの前パッド層の内面を前側に向けて押圧するとともに、前記表皮との間において前記前パッド層を圧縮させるパッド圧縮体を備え、
前記作動機構は、前記ヘッドレストフレームに固定されたソレノイドによって構成され、
前記パッド圧縮体は、前記ヘッドレストフレームの前側と前記前パッド層の後側内面との間に配設されると共に、後部が前記ソレノイドのプランジャの先端に取り付けられ、
しかも、前記パッド圧縮体は、前記ソレノイドの作動による前記プランジャの押し出しによって前進されることで前記前パッド層の内面を前側に向けて押圧する剛性を有するパッド圧縮プレートによって構成されていることを特徴とする。
前記構成において、前パッド部を弾性伸縮に富む材料によって形成してヘッドレスト本体を柔らかく設定することで、通常使用時においては、座り心地性を向上させることができる。
後突を予測又は検出する検出器の信号に基づいて作動機構としてのソレノイドが作動され、プランジャが押し出されると、これに連動して前進する剛性を有するパッド圧縮プレートによって前パッド層の内面を前側に向けて押圧し、かつ表皮との間で前パッド層を圧縮させてヘッドレスト本体を硬くすることができる。
この発明によれば、通常使用時においては、ヘッドレスト本体を柔らかく設定して座り心地性を向上させることができるとともに、車両の後突時においては、ヘッドレスト本体を硬く変化させて乗員の頭部の後方への変位量を小さく抑えることができる。
また、ヘッドレスト本体を、前半部と後半部に分離可能に構成する必要がなく、この分だけ構造が簡素化する。
次に、この発明を実施するための最良の形態を実施例にしたがって説明する。
図1は車両用シートのシートバックの上端にヘッドレスト装置が組み付けられた状態を示す側断面である。図2はエアーバックの膨張によってパッドの前パッド層が圧縮された状態を示す説明図である。
図1に示すように、後突を予測又は検出する検出器70を備えた車両に搭載される車両用シートにおいて、そのシートクッション後部にリクライニング機構によって傾き調整可能に設けられたシートバック10の上端部には、ヘッドレスト装置20のヘッドレスト本体22が高さ調整可能に装着されている。
ヘッドレスト装置20は、ヘッドレストステー21、ヘッドレスト本体22及びパッド硬さ変化手段40を備えて構成されている。
ヘッドレストステー21は、金属製バイプ等の中空パイプが略門形状に折り曲げ加工されることで形成され、左右の両縦筒体21aと、これら両縦筒体21aの上端部に跨るヘッドレスト支持体21bとを備えている。
そして、ヘッドレストステー21は、その左右の両縦筒体21aが、シートバック10の上端部に設けられた左右の両ヘッドレストサポート15に高さ調整可能に嵌挿され、ロック機構(図示しない)によって所望とする高さ位置にロックされるようになっている。
ヘッドレスト本体22は、剛性を有するヘッドレストフレーム23を覆い被すように設けられて同ヘッドレストフレーム23に支持されかつ弾性伸縮に富む発泡ウレタン等のクッション性を有するパッド30が表皮35によって被覆されることで構成されている。
そして、ヘッドレスト本体22は、そのヘッドレストフレーム23において、ヘッドレストステー21のヘッドレスト支持体21bに角度調整可能に装着されている。
パッド硬さ変化手段40は、検出器(Gセンサ等の後突検出器や近距離ミリ波レーダ等の後突予測検出器)70の信号に基づいて作動される作動機構41と、その作動機構41の作動によって連動されることで、パッド30の前パッド層32の内面を前側に向けて押圧するとともに、表皮35の前側表皮部36との間において前パッド層32を圧縮させるパッド圧縮体60を備えて構成されている。
この実施例1において、作動機構41は、ポンプ44と電磁弁43とを備えた作動ガス供給機構42によって構成され、パッド圧縮体60は、作動ガス(エアー等)の供給によって膨張するエアーバック61によって構成されている。
すなわち、図1に示すように、シートバック10の内部には、ポンプ44と電磁弁43とがそれぞれ設置される一方、ヘッドレスト本体22の内部にはそのヘッドレストフレーム23によって後部が支持された状態でエアーバック61が設置されている。
そして、作動ガス供給機構42とエアーバック61とを接続する作動ガス供給管45がヘッドレストステー21の中心孔を通して配管されている。
また、ポンプ44と電磁弁43は、検出器70の信号が伝達される制御装置71に接続されて作動制御されるようになっている。
この発明の実施例1に係る車両用シートは前述したようにして構成される。
したがって、パッド30全体又は少なくとも前パッド層32を、例えば、発泡ウレタンのような弾性伸縮に富む材料によって形成することでヘッドレスト本体22を柔らかく設定することができる。
これによって、通常使用時においては、座り心地性を向上させることができる。
検出器70によって車両の後突又は後突予測が検出されると、その信号が制御装置71に伝達され、その制御装置71からの制御信号によって、ポンプ44が作動されると同時に電磁弁43が開かれる。
これによって作動ガス(例えば、圧縮空気)が作動ガス供給管45を通してエアーバック61内に供給され、エアーバック61が膨張する。
すると、図2に示すように、膨張したエアーバック61によってパッド30の前パッド層32の内面が前側に向けて押し出され、表皮35の前側表皮部36との間で前パッド層32が圧縮される。これによって、ヘッドレスト本体22を硬くすることができる。
前記したようにして車両の後突時においては、ヘッドレスト本体22を、前パッド層32が圧縮した分だけ硬く変化させることができる。
このため、乗員の頭部が、ヘッドレスト本体22の前パッド層32に対応する前側表皮部36に当たった後、乗員の頭部の荷重を受けて前パッド層32が圧縮する際の圧縮量が小さくなる。
この結果、乗員の頭部の後方への変位量を小さく抑えることができ、安全性の向上を図ることができる。
なお、前記実施例1においては、作動機構41を構成する作動ガス供給機構42がポンプ44と電磁弁43とを備えて構成される場合を例示したが、ポンプ44と電磁弁43との間にタンクを配設して作動ガス供給機構42を構成することもできる。
この場合には、エアーバック61の膨張速度を高めることができる。
また、作動ガス供給機構42をインフレータと着火装置によって構成することもできる。この場合には、エアーバック61を瞬時に膨張させることができる。
次に、この発明の実施例2を図3と図4にしたがって説明する。
図3は車両用シートのシートバックの上端にヘッドレスト装置が組み付けられた状態を示す側断面である。図4は圧縮プレートによってパッドの前パッド層が圧縮された状態を示す説明図である。
この実施例2においては、パッド硬さ変化手段40の作動機構41を、ソレノイド51によって構成し、パッド圧縮体60を剛性を有するパッド圧縮プレート62によって構成したものである。
すなわち、図3に示すように、ヘッドレスト本体22の内部には、そのヘッドレストフレーム23に固定された状態でソレノイド51が配置され、そのソレノイド51のプランジャ52の先端部にパッド圧縮プレート62が取り付けられている。
また、ソレノイド51は、検出器70の信号が伝達される制御装置71に接続されて作動制御されるようになっている。
この実施例2のその他の構成は、前記実施例1と同様にして構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
この発明の実施例2に係る車両用シートは前述したようにして構成される。
したがって、実施例2においても、前記実施例1と略同様にして、パッド30全体又は少なくとも前パッド層32を、例えば、発泡ウレタンのような弾性伸縮に富む材料によって形成することでヘッドレスト本体22を柔らかく設定することができる。
これによって、通常使用時においては、座り心地性を向上させることができる。
検出器70によって車両の後突又は後突予測が検出されると、その信号が制御装置71に伝達され、その制御装置71からの制御信号によって、ソレノイド51が励磁され、プランジャ52が押し出される。
すると、図4に示すように、押し出されプランジャ52先端のパッド圧縮プレート62によってパッド30の前パッド層32の内面が前側に向けて押し出され、表皮35の前側表皮部36との間で前パッド層32が圧縮される。これによって、ヘッドレスト本体22を硬くすることができる。
しったがって、この実施例2においても、前記実施例1と略同様にして車両の後突時においては、ヘッドレスト本体22を、前パッド層32が圧縮した分だけ硬く変化させることができる。
このため、乗員の頭部が、ヘッドレスト本体22の前パッド層32に対応する前側表皮部36に当たった後、乗員の頭部の荷重を受けて前パッド層32が圧縮する際の圧縮量が小さくなる。
この結果、乗員の頭部の後方への変位量を小さく抑えることができ、安全性の向上を図ることができる。
なお、前記実施例2においては、ソレノイド51によってパッド圧縮プレート62を前進させるように構成したが、ソレノイド51以外の電動アクチュエータによってパッド圧縮プレート62を前進させるように構成してもよい。
この発明の実施例1に係る車両用シートのヘッドレスト装置を示す側断面図である。 同じくエアーバックの膨張によってパッドの前パッド層が圧縮された状態を示す説明図である。 この発明の実施例2に係る車両用シートのヘッドレスト装置を示す側断面図である。 同じく圧縮プレートによってパッドの前パッド層が圧縮された状態を示す説明図である。
10 シートバック
20 ヘッドレスト装置
22 ヘッドレスト本体
30 パッド
32 前パッド層
35 表皮
40 パッド硬さ変化手段
41 作動機構
42 作動ガス供給機構
51 ソレノイド
60 パッド圧縮体
61 エアーバック
62 パッド圧縮プレート

Claims (1)

  1. 後突を予測又は検出する検出器を備えた車両に搭載される車両用シートのヘッドレスト装置であって、
    剛性を有するヘッドレストフレームを覆うクッション性を有するパッドが表皮によって被覆されたヘッドレスト本体と、
    前記パッドの前パッド部の硬さを変化可能なパッド硬さ変化手段と、を備え、
    前記パッド硬さ変化手段は、前記検出器の信号に基づいて作動される作動機構と、
    前記ヘッドレスト本体の内部に配置されかつ前記作動機構の作動によって連動されることで、前記パッドの前パッド層の内面を前側に向けて押圧するとともに、前記表皮との間において前記前パッド層を圧縮させるパッド圧縮体を備え、
    前記作動機構は、前記ヘッドレストフレームに固定されたソレノイドによって構成され、
    前記パッド圧縮体は、前記ヘッドレストフレームの前側と前記前パッド層の後側内面との間に配設されると共に、後部が前記ソレノイドのプランジャの先端に取り付けられ、
    しかも、前記パッド圧縮体は、前記ソレノイドの作動による前記プランジャの押し出しによって前進されることで前記前パッド層の内面を前側に向けて押圧する剛性を有するパッド圧縮プレートによって構成されていることを特徴とする車両用シートのヘッドレスト装置。
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