JP4659213B2 - エネルギー転移色素 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明の分野
本発明は、新規クラスのエネルギー転移色素、それらの調製、および生物学的システムにおける標識としての使用に関係する。
【0002】
本発明の背景
下記記載は、添付の請求項の分野よりも従前では認められない分野に関連する。
【0003】
種々の方法が細胞における細胞または分子の視覚化および液体中のアナライト濃度の測定に利用できる。蛍光顕微鏡では、細胞中のタンパク質および複合体の位置測定するために、抗体のような特異的プローブに通常連結する蛍光色素が使用される。
【0004】
アナライト濃度の測定には、目的のアナライトの検出、核酸分子の特定配列の決定、イムノアッセイおよび種々ハイブリダイゼーション法が過去40年間以上において一般的であった。ラジオイムノアッセイは、非常に低濃度のアナライトを測定し得る放射性ヌクレオチドの高い特異活性のため、発達した。しかし、環境およびヒトの健康への関心から、イムノアッセイにおけるラジオヌクレオチドの使用は、一般的とはならなくなってきている。シグナルを増幅するイムノアッセイにおける酵素の使用は、環境またはヒトの健康を危険にさらさないため、イムノアッセイの分野において非常に重要な進展をした。しかし、酵素結合イムノアッセイは、酵素の活性が温度に依存するため、問題となり得、酵素または基質の不安定性から、標的リガンド量の蓄積が生じ得る。更に、他のイムノアッセイでは、アナライト濃度の測定のために、酵素を伴ってもまたは伴っていなくとも、シグナルとして蛍光をモニターする。
【0005】
バイ−フルオロホアエネルギー転移色素は記載されており、それは、生物学的システムにおける新規な方法のモニタタリングプロセスを提供する。その色素の蛍光性により、生物学的システムが含まれるプロセスをモニターすることが可能となる。当該蛍光シグナルは、特定波長の蛍光分子を励起し、他の波長の蛍光の放出を測定するように調節するフルオロメーターにより測定する。励起および放出の波長における相違はストークスシフトとして言及される。
【0006】
従来、バイフルオロホア色素の種々の組合せが述べられている。Mathies et al., 1995年12月19日付け米国特許番号5,688,648、標題“Probes Labelled with Energy Transfer Coupled Dyes”、任意の図を含めて引用によりこの文書にすべて加え、それは、ドナーおよびアクセプター色素分子の対を有する蛍光標識群を開示し、その場合、当該標識は、シーケンシングのために核酸バックボーンに結合され得る。種々の蛍光標識を用いることにより複数核酸混合物中の核酸を同定および検出する方法が含まれ、その場合、蛍光部分は、シアニン色素またはキサンテンのようなファミリーから選択される。当該蛍光標識には、フルオロホアの対が含まれ、その場合、1つのフルオロホアドナーは、励起メンバーから他の対メンバーへのエネルギーが転移するようにフルオロホアアクセプター吸収とオーバーラップする放出スペクトルを有する。
【0007】
Waggoner et al.,1996年5月30日付け英国特許番号2301833B、標題“Fluorescent Labelling Complexes with Large Stokes' Shifts Formed by Coupling Together Cyanine and Other Fluorochromes Capable of Resonance Energy Transfer”、任意の図を含めて引用によりすべてこの文書に加え、それは、第一の吸収および放出スペクトルを有する第一蛍光色素ならびに第二の吸収および放出スペクトルを有する第二蛍光色素を含む複合体を開示する。蛍光色素間の当該リンカー基は、アルキル鎖である。当該色素の蛍光性により、それらをシーケンシングおよび核酸検出に使用することができる。
【0008】
バイフルオロホア色素構成おいて、特定の重要な態様は、アクセプターおよびドナー分子間の距離であり、リンカー基の構造である。例えば、種々の大きさの生物学的分子の選択に適合させるために、色素構成において更なる改善の余地がある。
【0009】
本発明の要旨
新規クラスのエネルギー転移色素が、シーケンシング反応および他の適用を含む物質標識に使用し得ることが見出された。当該色素は、好ましくは、“カセット”型であり、種々の生物学的物質に結合し得る。カセットには、少なくとも2つの蛍光性色素部分、リンカー基、および好ましくは生物学的物質または他の標的物質に複合体を結合させるための反応基との、共有結合および複合体形成が含まれる。当該反応基は、特定標的物質の官能基との共有結合の形成に適当なように選択される。色素は、第一色素の放射スペクトルが第二色素の吸収スペクトルとオーバーラップし、それによって、色素間でエネルギー転移が生ずるように選択する。アリールおよびヘテロアリールリンカー基を含む色素カセットにより、種々の大きさの生物学的分子が連結し、フルオロホア間でエネルギー転移を生ずる特性を有する、安定で、強固な構造が得られる。
【0010】
よって、本発明の1つの態様は、式I
−L−A−L−D
[式中、Dは、エネルギー転移配置におけるアクセプターまたはドナーとして適当な第一色素であり、Dは、第一色素または任意の更なる添加色素を伴うエネルギー転移配置におけるドナーまたはアクセプターとして適当な第二色素である。]
のエネルギー転移色素を提供する。Aには、独立して、(i)炭素、硫黄、窒素および酸素から選択される原子に連結する5、および20までの鎖、および/または(ii)1以上のアリール、ヘテロアリールまたは他の芳香族炭化水素基(式中、芳香族分子には、炭素、窒素および酸素から選択される環状結合原子が含まれる。)が含まれる。本発明のこの態様および/または他の態様では、Aが、フェニルであるとき、直接カルボニル基に連結し得るかまたは連結し得ない。好ましくは、Aには、5−20結合原子が含まれる[式中、連結原子は、炭素環式または複素環式の基のような少なくとも1つの環状基を含み、環状基の原子は炭素、窒素、硫黄、酸素およびリンからなる群から独立して選択される。]。
【0011】
当該鎖は、望ましいならば、エネルギー転位を妨げない当業者に既知の基で所望により置換され得、例えば、当該環は、アルキル、アルコキシ、アルキニル、アルケニル、ハロゲン、トリハロメチル、カルボキシレート、アミノ、ニトロおよびエステル部分からなる群から独立して選択される1つ、2つ、または3つの置換基で置換されるか、またはOH、ハロ、メチル、水素またはエチル基から独立して選択される1、2、3または4置換基で所望により置換されたC1,2,3または4直鎖状または分枝状アルキル、フェニル、またはアリールアルキルにより置換された、芳香族または複素環式芳香族環であり得る。
【0012】
およびLには、Aを生物学的分子に結合させるために適合した原子または群、およびDまたはDに結合させるために適合した原子または原子群が独立して含まれる。
【0013】
更に、Lには、第三エネルギー転位色素がカスケードエネルギー転位配置において結合する更なるリンカーへの結合に選択的に適合する原子または基が独立して含まれ、その場合、当該第三色素は、第一色素(D)と相互作用する第二色素(D)、および標的物質、例えば下記のような生物学的物質と結合する原子または基と相互作用する。
【0014】
またはDがフルオレセイン/ローダミン対であるとき、好ましくは、A、LおよびLにおいて6から25の組合せ結合リンカー原子が存在し、より好ましくは、9、10、11、12、13、14、または15リンカー原子が存在する。好ましくは、Aは、LまたはLに結合するC芳香族炭化水素部分である。Lは、当業者に既知の更なる基を含む、キサンチンまたはシアニン分子に結合し得るC−C炭化水素鎖であり、Lは、当業者に既知の更なる基を含む、キサンチンまたはシアニン分子および/または生物学的標的物質に結合し得るC炭化水素鎖である。
【0015】
鎖または基中における原子数の値の範囲の特定は(当該範囲内の各整数の明示特定であろうと、または当該範囲の終点を特定することによる当該範囲の記載であろうと)、各終点を含む。より広い範囲内の各部分範囲の特定記載を更に含む。例えば、範囲1−6には、1−4および3−6の部分範囲が含まれ、同時に他の部分範囲も含まれる。
【0016】
当該反応または官能基、Lは、標的物質、好ましくは標的生物学的物質に対するエネルギー転移色素の結合に適当な任意の基であり得、それ自体、当業者に既知である。好ましくは、標的物質に結合するための官能基Lは、カルボキシル、スクシンイミジルエステル、スルホスクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミドおよびホスホラミダイト、ならびにカルボキシル、スクシンイミジルエステル、スルホ−スクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミドおよびホスホラミダイトと共有結合性反応する基からなる群より選択される。
【0017】
またはDに適当な色素は、LまたはLと連結し得る反応または官能基を含む色素であり得る。LおよびLの当該結合基は、DまたはDへの連結に任意に適当に適合し得る。好ましくは、Lおよび/またはLの官能性結合基は、PO、NH−COまたはNH−CSである。
【0018】
本エネルギー転移色素の色素部分、例えばDまたはDは、エネルギー転移配置において関係し得るように選択され、本明細書中で更に示唆されるようなフルオロホアである。
【0019】
好ましくは、本発明のエネルギー転移色素は、総分子量10,000または5,000ダルトン未満、より好ましくは3,000または2,000ダルトン未満、更により好ましくは1,500または1,200ダルトン未満である。
【0020】
本発明のエネルギー転移色素と関係して、“エネルギー転移配置”なる語は、2つの蛍光色素が、色素間のエネルギー転移に適当な吸収および放射スペクトルを有するように選択され、そして、第一色素(ドナー)の光励起により第一色素から第二色素(アクセプター)へのエネルギー転移を生ずるため重要な物理的近接および連結を位置付けることを意味する。1以上の更なる色素部分を含む更なるエネルギー転移もまた作成され得る。
【0021】
そのため、“エネルギー転移色素”は、2つの色素部分の間のエネルギー転移に関係し得る少なくとも2つの色素部分を有する蛍光色素複合体について言及し、そのため、エネルギー転移カスケード配置は、2を超える色素部分、および3つの色素部分の間のエネルギー転位に関連し得る少なくとも3つの色素を含む。
【0022】
エネルギー転移配置における“アクセプター”は、ドナー色素部分により放出する波長におけるエネルギーを吸収する、即ち、アクセプターの吸収スペクトルは、ドナーの放射スペクトルとオーバーラップする色素部分を意味する。
【0023】
エネルギー転移配置における“ドナー”は、光からのエネルギーを吸収し、アクセプター色素部分の吸収スペクトル内の少なくとも一部分の波長の光を放出する色素部分を意味する。
【0024】
本発明の化合物の一般的な記載では、置換基ににおける特定型原子の数が、ある範囲で一般的に与えられる。例えば、アルキル基は、1から4の炭素原子を含んでいる。その範囲の記載は、終点を含む特定範囲内の原子の数をそれぞれ含む基を特定する記載を含むように意図されている。他の多くの原子および他の型の原子は、下記の手法を示唆し、例えば、C1−4は、C、C、CおよびCをそれぞれ個々に含み、当該範囲の任意のサブグループを含む。
【0025】
特記しない限り、“アルキル”なる語は、分枝状または非分枝状脂肪族炭化水素基について言及し、それは、好ましくは、1から6炭素原子を含み、より好ましくは1から4炭素原子を含む。好ましくは、炭化水素基は飽和している。当該アルキル基は、所望により置換され、幾つかの好ましい置換基には、アルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノおよびカルボキシ基が含まれる。
【0026】
“低級アルキル”なる語は、1から6炭素、好ましくは1から4炭素原子を有する脂肪族炭化水素について言及する。当該低級アルキル基は、所望により、置換され得、好ましくは置換基には、アルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、およびカルボキシが含まれる。
【0027】
“分枝状アルキル”なる語は、分枝状脂肪族炭化水素について言及する。当該分枝状アルキル基は、好ましくは3から10原子、および最も好ましくは3から6炭素原子である。当該分枝状アルキル基は、所望により置換され得、幾つかの好ましい置換基には、アルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン(フッ素、臭素、塩素およびヨウ素のような)、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノおよびカルボキシが含まれる。
【0028】
“ハロアルキル”なる語は、ハロゲンで置換された低級アルキル基について言及する。そのため、“フルオロアルキル”なる語は、フッ素で置換された低級アルキル基について言及する。“ペルフルオロアルキル”なる語は、低級アルキル基が主鎖に結合する場所を除く、すべての可能な位置においてフッ素で置換された低級アルキル基について言及する。
【0029】
“アリール”なる語は、共役性π電子システムを有する少なくとも1つの環を有し、炭素環式アリール(例えばフェニル)および複素環式アリール(例えばピリジン)基の両方を含む芳香族基について言及する。
【0030】
当該化学分野に既知の複素環基の特定の例には、以下のものが含まれる:
【化8】
Figure 0004659213
【化9】
Figure 0004659213
当該アルキル基は、好ましくは、6から14炭素であり、より好ましくは6から10炭素原子である。アリール部分には、単環式、二環式および三環式が含まれ、その場合、各環は好ましくは5から6員環である。当該アリール部分は、所望により、低級アルキルまたはアルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、ハロアルキル、メルカプト、アミノ、一置換アミノおよび二置換アミノで独立して一置換または二置換され得る。
【0031】
“炭素環”なる語は、1以上の共有結合性閉環構造を含む化合物または基について言及し、当該環のバックボーンを形成する原子がすべて炭素原子である。そのため、当該語は、環バックボーンに少なくとも非炭素原子を含む複素環と炭素環を区別する。“シクロアルカン”または“環状アルカン”または“シクロアルキル”は、炭素環基であり、当該環は、所望により、環状脂肪族炭化水素、すなわち、好ましくは3、4、5または6環炭素原子を好ましくは有する環状アルキル基である。そのため、“シクロプロピル”基は、3環炭素原子を含む。
【0032】
“直鎖状または分枝状アルキル”なる語は、直鎖または分枝状飽和脂肪族炭化水素を意味する。典型的には、アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル、ヘキシル等が含まれる。ハロなる語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0033】
本発明の文脈において、“標的物質”なる語は、エネルギー転位色素が共有結合するか、または当該色素が結合する化合物または構造について言及する。
【0034】
“生物学的物質”なる語は、生体により生成するか、または生体中に存在する化合物を意味し、限定されないが、ポリペプチド、核酸分子、炭化水素および脂質が含まれる。その化合物は、エネルギー転移色素の共有結合に適当な基を含むように適合するかまたは誘導され得る。当該語は、しばしば、当該色素が核酸抽出物のような抽出物、または組織切片のような保存サンプルを含むサンプルに、または核酸シーケンシング反応において、使用されるため、本発明の当該色素が未処理生体に使用されなければならないことを意味するものではない。好ましくは、当該生物学的物質の大きさは、400mwと1,000,000mwの間である。より好ましくは、当該大きさは、400mwと100,000mwの間であり、最も好ましい大きさは、500と15,000mwの間である。
【0035】
好ましくは、当該エネルギー転移色素は、式(I)
−L−A−L−D
である。
【0036】
好ましくは、ドナー色素は、キサンチンまたはシアニン色素であり、当該アクセプターはローダミンまたはシアニン色素である。好ましくは、LおよびLには、Aの構成部分である相当する官能または反応基への当該色素の結合に適当な反応または官能基が含まれる。例えば、DをL鎖に結合させる場合、カルボキシルまたは活性化カルボキシル基を含む色素が好ましい。Lおよび/またはL鎖との共有結合の形成に適当な反応および官能基含有色素の選択は、当業者に既知である。更に、鎖Aとの共有結合の形成に適当なLおよび/またはL用の反応および官能基の選択は、当業者に既知である。
【0037】
適当なキサンチンドナー色素には、限定されないが、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、CyA(3−(ε−カルボキシペンチル)−3’−エチル−5,5’−ジメチルオキサ−カルボシアニン)、Cy2(3−(ε−カルボキシペンチル)−3’−エチル−オキサ−カルボシアニン)およびCy3(3−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’−ジスルホネート−カルボシアニン)が含まれる。
【0038】
適当なシアニン色素には、限定されたないが、Cy3.5(3−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3',3'−テトラメチル−4,5,4’,5’−(1,3−ジスルホネート)ジベンゾ−カルボシアニン)、Cy5(1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル −3,3,3',3'−テトラメチル−5,5’−ジスルホネート−ジカルボシアニン、Cy5.5(1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル −3,3,3',3'−テトラメチル−4,5,4',5'−(1,3−ジスルホネート)−ジベンゾ−ジカルボシアニン、Cy7(1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル −3,3,3',3'−テトラメチル−5,5’−ジスルホネート−トリカルボシアニンが含まれる。本発明のエネルギー転移色素における使用に適当なシアニン色素は、米国特許番号4,268,486(Waggoner et al.: 任意の図を含めてすべて引用によりこの文書に加える)に開示されている。
【0039】
適当なローダミンアクセプター色素には、限定されたないが、5−カルボキシローダミン(ローダミン110−5)、6−カルボキシローダミン(ローダミン110−6)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G−5またはREG−5)、6−カルボキシローダミン−6G(R6G−6またはREG−6)、N,N,N’,N’−テトラメチル−5−カルボキシローダミン、N,N,N',N'−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRAまたはTMR)、5−カルボキシ−X−ローダミン、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、Cy3(3−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル −3,3,3',3'−テトラメチル−5,5’−ジスルホネート−カルボシアニン)、Cy3.5(3−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル −3,3,3',3'−テトラメチル−4,5,4',5'−(1,3−ジスルホネート)ジベンゾカルボシアニン)、Cy5(1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル −3,3,3',3'−テトラメチル−5,5’−ジスルホネートジカルボシアニン、Cy5.5(1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル −3,3,3',3'−テトラメチル−4,5,4',5'−(1,3−ジスルホネート)−ジベンゾ−ジカルボシアニン、およびCy7(1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3',3'−テトラメチル−5,5’−ジスルホネート−トリカルボシアニンが含まれる。
【0040】
上記および更なる色素が、例えば、Southwick et al., 1990, Cytometry 11: 418-430: Mujumdar et al., 1993, Bioconjugate Chemistry 4: 105-111; Waggoner and Ernst, Fluorescent Reagents for Flow Cytometry, Part 1: Principles of Clinical Flow Cytometry (1993) and Molecular Probes Handbook of Flouresent Probes and Research Chemicals, Molecular Inc. 6th edition (1996)Hauglandに記載されており、それらは、任意の図を含め引用によりすべてこの文書に加える。
【0041】
所望により、当該複合体には、適当なリンカー基を介してLに結合し、DおよびDを伴うカスケードエネルギー転移配置中に存在する第三色素、例えばシアニン色素を含み得る。
【0042】
“カスケードエネルギー転移配置”なる語は、少なくとも3つの色素部分を含むエネルギー転位色素を意味する。この型の配置では、当該第一色素は、第二色素を伴うエネルギー転移配置中に存在し、その場合、第二色素は、第一色素からのエネルギー転移の受容体となる。更に、この型の配置では、第二色素は、第一色素からのエネルギーの転位を受容し、また第三色素へエネルギーを転移するエネルギー転移配置中に存在する。好ましくは、更なるリンカーを使用し、第三色素を、Dおよび生物学的物質の両方に結合可能なLに結合させる。
【0043】
更なる態様では、本発明は、式(I)のエネルギー転移色素を含む生物学的物質に関係する。
【0044】
適当な生物学的物質には、限定されないが、抗体、抗原、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ペプチド核酸(PNA)ヌクレオチド、オキシまたはジオキシリボポリ核酸、Koshkin et al., Tetrahedron Letters 1998 39: 4381-4384に記載のようなLocked Nucleic Acids(LNA)および誘導され得る細胞であって、必要ならば、エネルギー転移色素の結合に適当な1以上の基、例えばアミノ、ヒドロキシ、チオホスホリル、メルカプト(sulphydryl)またはカルボキシ基が含まれる細胞が含まれる。
【0045】
他の態様では、本発明は、式(II)
【化10】
Figure 0004659213
のエネルギー転移色素を提供する。
【0046】
好ましくは、この型の配置では、Dye1はドナー色素としての役割をし、キサンチンまたはシアニンからなる群から選択されるこれら色素を含む。キサンチンまたはシアニンの何れかの適当な色素は上記のように考察されている。更にこの型の配置Dye2はレシピエント色素としての役割をし、上記のような基ローダミンまたはシアニンから選択されるこれら色素を含む。また好ましくは、アリール環は、鎖(C=C)を含むエチレン基または鎖(CC)を含むアセチレン基のような飽和または不飽和側鎖で置換され得る。
【0047】
n1、n2およびn3は、連結原子の鎖であり、その場合、当該原子は、炭素、酸素、リン、窒素および硫黄からなる群から選択される。好ましくは、n1、n2およびn3はNHである。
【0048】
更なる態様では、本発明は、式(III)
【化11】
Figure 0004659213
のエネルギー転移色素を提供する。
【0049】
好ましくは、この型の配置では、Dye1は、ドナー色素としての役割をし、キサンチンまたはシアニンからなる群から選択されるこれら色素を含む。キサンチンまたはシアニンの何れかの適当な色素を上記で考察した。更に、この型の配置では、Dye2はレシピエント色素としての役割をし、上記のような基ローダミンまたはシアニンから選択されるこれら色素を含む。更なる態様は、配置IIに記載するように含まれている。
【0050】
更なる態様では、本発明は、式(IV)
【化12】
Figure 0004659213
のエネルギー転移色素を提供する。
【0051】
好ましくは、この型の配置では、Dye1は、ドナー色素としての役割をし、キサンチンまたはシアニンからなる群から選択されるこれら色素を含む。キサンチンまたはシアニンの何れかの適当な色素を上記で考察した。更に、この型の配置では、Dye2はレシピエント色素としての役割をし、上記のような基ローダミンまたはシアニンから選択されるこれら色素を含む。更なる態様は、配置IIに記載するように含まれている。
【0052】
更なる態様では、本発明は、式(V)
【化13】
Figure 0004659213
のエネルギー転移色素を提供する。
【0053】
好ましくは、この型の配置では、Dye1は、ドナー色素としての役割をし、キサンチンまたはシアニンからなる群から選択されるこれら色素を含む。キサンチンまたはシアニンの何れかの適当な色素を上記で考察した。更に、この型の配置では、Dye2はレシピエント色素としての役割をし、上記のような基ローダミンまたはシアニンから選択されるこれら色素を含む。更なる態様は、配置IIに記載するように含まれている。
【0054】
更なる態様では、本発明は、式(VI)
【化14】
Figure 0004659213
のエネルギー転移色素を提供する。
【0055】
好ましくは、この型の配置では、Dye1は、ドナー色素としての役割をし、キサンチンまたはシアニンからなる群から選択されるこれら色素を含む。キサンチンまたはシアニンの何れかの適当な色素を上記で考察した。更に、この型の配置では、Dye2はレシピエント色素としての役割をし、上記のような基ローダミンまたはシアニンから選択されるこれら色素を含む。基‘n1’は好ましくは1から10の結合炭化水素、および更なる態様では‘n1’は1に等しい。更なる態様は、配置IIに記載するように含まれている。
【0056】
更なる態様では、本発明は、好ましくは、少なくとも5つのカップリング反応を用い本発明のエネルギー転移色素を調製する方法を提供する:
(i)Aを化合物Lにカップリングさせること、
(ii)反応(i)の生成物を、Dとの結合の形成に適当な反応基により置換されるLとカップリングさせること、
(iii)反応(iii)の生成物をDとカップリングさせること、
(iv)Lが、Dおよび生物学的分子との結合の形成に適当な反応基により置換されるように、反応(iii)の生成物を反応させること、
(v)(iv)の生成物をDとカップリングさせること。
【0057】
他のカップリング段階を同じ目的に使用し得ることは、当業者にとって容易に明白である。他には、例えば、段階iおよびivにおいてDをDと置換し得る。
【0058】
本エネルギー転移色素およびこれら色素の種々部分の結合に関して、“カップリング”なる語は、2つの部分を連結、例えば、色素部分をエネルギー転移色素のL−A−L部分と連結する共有結合の形成について言及する。“反応する”なる語は、容易に共有性対分子(covalent partner molecule)に結合し得る反応基を形成する基または部分の付加または除去について言及する。
【0059】
1つのカップリング反応に加わる任意の部分において幾つかの反応基が存在し得るため、封鎖されるかまたは保護され、次いで一連の反応の後の方の適当なときに、脱保護される反応に加わらないものを必要とし得る。
【0060】
当該色素は、L−A−L基とのカップリング反応に適当な置換基を通常含むか、またはその基を含むように修飾される。例えば、ヨードアセトアミドは、キサンチン色素に適当な置換基であり、マレイミドは、シアニン色素に適当な置換基である。
【0061】
当該蛍光性エネルギー転移色素を使用し、ポリマー粒子、細胞、ガラスビーズ、抗体、タンパク質、ペプチド、酵素、炭水化物、脂質およびヌクレオチドまたは核酸(DNA、PNA、LNA(Locked Nucleic Acids, "Novel convenient Syntheses of LNA [2.2.1]Bicyclo-Nucleosides", Koshkin et al., Tetrahedron Letters 39: 4381-4384(1998))およびRNA)、ならびに標識複合体(または上記のように複合体において反応基と共有結合を形成し得る官能基)における官能基と共有結合を形成し得る少なくとも1つの反応基、および抗体、細胞、薬物、抗原、細菌、ウイルスおよび他の微生物のような標的生物学的化合物に特異的であり、かつ当該標的生物学的化合物と共有結合を形成し得る少なくとも1つの第二反応基(または場合により官能基)を含むかまたは含むように誘導された類似体のような担体物質に色素を共有結合することにより試薬を形成し得る。
【0062】
当該担体が官能基を有するとき、官能基は、抗原または相補的DNA配列へのそれぞれ結合に適当な抗体またはDNAであり得る。担体物質が、反応基であるとき、当該担体は、例えばDNAまたは抗体への結合に適当なポリマー粒子または抗原であり得る。蛍光色素を、上記のような担体物質に共有結合する技術は、当分野に既知であり、本文献において容易に利用し得る。
【0063】
当該担体物質は、更に、アミノ、メルカプト、カルボキシ、カルボニルまたはヒドロキシ基の1つを含むように誘導したヌクレオチド、およびアミノ、チオホスホリル、メルカプト、カルボキシル、カルボニルまたはヒドロキシル基の1つを含むように誘導したオキシまたはデオキシ−リボポリ核酸または核酸を含み得る。
【0064】
本発明の標識複合体の反応基と相補的、すなわち共有結合を形成し得る担体物質における官能基には、アミノ、カルボキシル、カルボニルおよびヒドロキシル基が含まれる。
【0065】
本発明は、第一段階で、本発明のエネルギー転移色素を、第一部分と共有結合させそれにより第一部分を標識し、次いで標識第一部分を使用して第二部分と結合させ、標識第二部分を形成する標識過程にも関係する。適当には、第一部分は、特異的結合対(特異的結合パートナー)の1つのメンバーであり得る。次いで、当該手順の第二段階では、蛍光性標識特異的結合パートナーを、特定親和性を有する特異的結合対(第二部分)の第二メンバーへの結合にプローブとして使用する。
【0066】
特異的結合対には、リガンドおよびレセプターと任意に呼ばれる広く種々の分子が含まれる。そのリガンド−レセプター対の例には、抗体および抗体が特異的である相当する抗原が含まれる。標識された抗体の標的が細胞であるとき、当該手順の第二段階を使用し、細胞の蛍光密度を決定することによりその型の細胞に結合する標識抗体の量を決定する。この手順により、第一段階で本発明の蛍光化合物で共有結合性標識されたモノクローナル抗体およびおよび他の部分を抗原プローブとして使用し得る。
【0067】
多くの他の例が当業者に既知である。そのため、更なるリガンド−レセプター対には、例えば、ビオチン−(ストレプト)アビジン、ホルモン、レセプター−ホルモン、DNA−相補性DNA、DNA−RNA、DNA−結合タンパク質、酵素基質などが含まれる。特異的結合親和性を有する任意の2つの分子が用い得、そのため、本発明のエネルギー転移色素は、次いで、相補的メンバーの検出に使用し得る特異的結合対の1つのメンバーの標識に使用され得ることが理解し得る。
【0068】
更なる態様では、本発明は、耐熱性DNAポリメラーゼ、DNAシーケンシングターミネーターに結合するエネルギー転移色素を含む容器中のDNA分子にハイブリダイズし得るプライマー分子とアニーリングしたDNA分子をインキュベーションする段階からなり、その場合、当該結合は、色素とヌクレオチドの間は少なくとも5およびより好ましくは少なくとも10原子のリンカーを伴い、そして大きさによってインキュベーション反応のDNA産物を分離し、それによってDNA分子の少なくとも一部のヌクレオチド塩基配列を決定し得る、DNA分子のヌクレオチド塩基配列を決定する方法を特徴とする。その方法を実施例IIIに記載し、図7および8は配列データおよび典型的な一群のエネルギー転移色素ターミネーターを提供する。
【0069】
好ましい態様では、エネルギー転移色素ターミネーターは、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11ddUTP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddGTP、または5−FAM−Phe−5−R110−11ddCTPからなる群から選択された化合物である。
【0070】
1998年2月4日付け米国特許出願、標題“Dideoxy Dye Terminator”出願番号09/018,695は(任意の図を含め、引用によりすべてこの文書に加える)、色素とddNTPとの間のリンカーの長さの重要性について記載する。種々のリンカーの構成および結合は、当分野によく知られている。リンカー構成に適当な試薬には、式R−NH−(CH)−COR’またはR−NH−(CH)−X(CH)−COR’[式中、Rは酸性−または塩基性−レービル保護基であり、R’は反応性エステルまたは無水基であり、Xはアリール、O、S、またはNHであり、nおよびmは0−12である。]の化合物のようなアミノ保護アルキルまたはアリールアミノ酸の活性型からなる1以上の化合物が含まれる。N−またはO−またはS−アルキル化により構成される他のリンカーも適当である。特定色素およびジデオキシヌクレオチドの組合せのための厳密な長さは、DNAシーケンシングにおけるバンド均一性をモニターすることにより経験的に決定し得る。
【0071】
本発明の他の特徴および利点は、下記の好ましい実施態様および特許請求の範囲から明白となる。
【0072】
好ましい実施態様の記載
本発明は、蛍光性エネルギー転移(ドナー−アクセプターエネルギー転移)を示す新規エネルギー転移色素に関係する。これら新規エネルギー転移色素は、広範囲の種々のアッセイまたは視覚化システムに適合する特定励起および放出波長に同調させ得る。核酸またはタンパク質のような部分間の分子ハイブリダイゼーションのようなアッセイ、または小細胞内容物のシーケンシングまたは電気泳動のような手順。
【0073】
本発明のエネルギー転移色素は、マルチパラメーター分析に特に有用である価値ある一群の蛍光標識を提供し、重要なことには、細胞構造を通過する蛍光性複合体で標識される物質として認められる十分低い分子量となる。そのため、当該色素は、DNA、PNA、LNAおよび/またはRNAプローブによる使用に充分適する。マルチパラメーター分析は、複数サンプルにおいて、標的生物学的化合物の存在を検出し得る。各サンプルは、エネルギー転移色素を用いる既知標識方法により標識される。
【0074】
例えば、標的生物学的化合物を含むよう懸濁した1つのサンプル(サンプル1)を、フルオレセイン、カスケードブルー、BODIPY色素、または1つのモノメチン厳密化色素(monomethine rigidized dyes)、またはCY3(SO)、これらはすべて500−575nm波長の範囲(緑から橙色)で放出する、のような単一蛍光色素と共にインキュベーションする。標的生物学的化合物を含むように懸濁した第二サンプル(サンプル1と同じ化合物または異なる化合物)を、本発明のエネルギー転移色素、例えば、N−5−テトラメチル−ローダミン−p−プロパルギルアミド−5FAM−L−フェニルアラニン(490nmの光を吸収し、選択ローダミン色素に依存して525nm−602nmの範囲で蛍光を放出する)と共にインキュベーションする。他の標的化合物を含むように懸濁した更なるサンプルを、同じアッセイで既に使用した色素とは異なる吸収および放出スペクトルを有する本発明の他の色素と共にインキュベーションする。標的化合物と結合する蛍光性標識し得る適当期間後、非結合標識を洗浄により除去し、標識サンプルを混合する。
【0075】
検出は、単一波長励起源、すなわち、レーザーライン488nmで可能である。各種々の標識サンプルは、特定標識の放出波長で異なる色の蛍光性を有し、個々の標識により互いに識別される。
【0076】
当業者ならば、本発明の蛍光エネルギー転移標識色素を、直接的および間接的イムノアッセイを含む種々の免疫蛍光技術および他の既知の蛍光検出法に使用し得ると認識される。各標識反応の条件、例えば、pH、温度および時間が当分野に知られているが、一般的に室温が好ましい。pHは、既知技術により特定反応基に最適な反応条件に基づき調節される。
【0077】
本発明のエネルギー転移色素およびそれらから作成され得る試薬により、広いストークスシフトを有する広範囲の種々の蛍光標識が提供される。感度の限界におけるノイズに対するシグナルの割合を最大とするために、色素の当該ストークスシフトをできる限り大きくし、励起源からのノイズの測定を最小にする。100nmよりも大きいストークスシフトを有する色素の利用には非常に限界がある。利用可能な色素の有用性を更に制限するためには、大きなストークスシフトを有する殆どの色素が水に不溶性であるため水溶性サンプル中の当該色素の可溶性が問題となり得る。小さなストークスシフトを有する色素の問題は、励起源から光を透過する(filter out)モノクロメーターまたは効果な光学機器の使用によるフルオロメーターの工学において通常克服される。しかし、透過による光密度の喪失を克服するために、例えば、あるものでは、高パワーの光源の使用を必要とする。これら光源は、ヒートシンクまたはファンを用いる機器において放散しなければならない熱を生ずる。
【0078】
粒子中にまたは粒子上に組み込まれる蛍光性色素分子は、互いにおよび粒子のマトリクスに色素を極めて近接させるため蛍光消失(fluorescence quenching)が見られる。当該色素は、ドナー−アクセプターエネルギー転移し得る互いからのエネルギー交換距離のET−カセットに位置付けられる。更に、アリールリンカーは、フルオロホア間の特定距離の提供に適合する強固なバックボーンを提供する。更に、このリンカーは、ET−カセットを広範囲の種々の生物学的分子、上記ような種々のものに結合し得る。
【0079】
当業者は、本発明の色素が広範囲の可視スペクトルを超えて種々の蛍光適用に使用し得ると認める。また、当業者は、蛍光エネルギー転移を示す1以上の色素対を種々の波長の蛍光を発する化合物のクラスにおいて生じる分子中にまたは分子において組み込まれ得ると認識し得る。更に、本明細書に記載の発明性の技術により、吸収体から、アクセプター(蛍光を発する)への中間体ドナーへのエネルギー転移のカスケードを同時に提供する、3以上の色素の分子中または分子上への組み込みから、非常に長いストークスシフトを有する化合物の生成が生じ、ほぼ非制限的な種々の励起および放出特性を有する化合物を生成し得る。
【0080】
実施例
下記実施例は、本発明のエネルギー転移色素の調製を解説するための役割をする。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0081】
実施例1:FMAフェニルアラニン−リンカーローダミンエネルギー転移カセットの調製
1.1)N−Boc−p−N−プロパルギルトリフルオロアセトアミド−L−フェニルアラニンの調製
Ar気流中、無水DMF(20ml)中のN−Boc−p−ヨード−L−フェニルアラニン(1.0g、2.55mmol)およびCuI(97mg、0.51mmol、0.2eq)の攪拌懸濁液に、N−プロパルギルトリフルオロアセトアミド(1.16g、7.67mmol、3eq)、トリエチルアミン(0.71mL、5.1mmol、2eq)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd(0)(295mmol、0.1eq)を加えた。当該反応は、6時間続けた。次いで、当該反応混合物を1:1MeOH−CHClで希釈し、AGIX8樹脂(Bio−Rad)で15分間処置し、次いで、濾過し、当該樹脂を1:1MeOH−CHClで洗浄した。当該合せた濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーのシリカゲルに吸収させた。CHCl中の5−15%MeOHによる溶出からN−Boc−p−N−プロパルギルトリフルオロアセトアミド−L−フェニルアラニンを得た。
【化15】
Figure 0004659213
【0082】
1.2)N−Boc−p−プロパルギルアミノ−L−フェニルアラニンの調製
MeOH(5ml)中のN−Boc−p−N−プロパルギルトリフルオロアセトアミド−L−フェニルアラニン(500mg、1.2mmol)の攪拌溶液に、30%NHOHを加え、4時間インキュベーションした。次いで、減圧下で蒸発させ、N−Boc−p−プロパルギルアミノ−L−フェニルアラニンを得た。
【化16】
Figure 0004659213
【0083】
1.3)p−プロパギルアミド−5FAM−フェニルアラニンの調製
室温、Ar気流中、無水DMSO(3ml)中のN−Boc−p−プロパギルアミノ−L−フェニルアラニン(33mg、0.12mmol)の攪拌溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(276ml、1.58mmol、15eq)およびDMSO溶液1mlおよび5FAM−NHSエステル(60mg、0.13mmol、1.2eq)を加えた。室温で4時間後、当該反応混合物に、逆相カラムのHPLCを行い、0.05%水性TFAからCHCN中の0.05%TFAへの勾配で30分間で溶出させた。5FAM標識L−フェニルアラニンを含む画分を乾燥させ、N−Boc−p−プロパルギルアミド−5FAM−L−フェニルアラニンを提供した。この化合物を1:1水性TFAの氷冷溶液に加え、1時間室温で攪拌し、p−プロパルギルアミド−5FAM−L−フェニルアラニンを生成した。
【化17】
Figure 0004659213
【0084】
1.4)p−プロパルギルアミド−5FAM−L−フェニルアラニンをN−5ローダミン−p−プロパルギルアミド−5FAM−フェニルアラニンへの変換の手順(図1)
p−プロパルギルアミド−5FAM−L−フェニルアラニン(15mg、0.03mmol)をAr気流中無水DMSO(2ml)に溶解し、室温で攪拌した。無水DMSO中のN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(68ml、0.39mmol、15eq)および5−ローダミン色素NHS−エステル(0.39mmol、1.2eq)を当該溶液に加えた。1−2時間後、当該溶液に、逆相Delta Pak C18カラム(1.9×30cm)のHPLCを行い、0.1M TEAAからCHCNへの勾配で、20ml/min、30分間溶出した。ET−カセットを含む画分を減圧下で濃縮した。
【0085】
実施例2:ジデオキシヌクレオチドに結合したエネルギー転移色素(5FAM−ROX−Phe−11−ddCTP)の調製(図1および3)
N−5ROX−p−プロパルギルアミド−5FAM−L−フェニルアラニンの攪拌溶液にN,N’−ジスクシンイミジルカルボネートおよびDMAPの無水THF溶液を加えた。20分後、相当するNHSエステルを形成し、エステルを、緩衝液(pH8.5)に溶解した5−(N−プロパルギル−6−アミノカプロイル(aminocaproyl))ddCTPと結合させた。室温で1時間の攪拌後、溶媒および緩衝液を減圧下で除去し、得られた残渣を、SiOゲルウォーターアスピレーターバキュームカラムクロマトグラフィーを用い、MeOHに対するCHCl中のMeOHを2:8から1:1として溶出させ、それにより遊離色素およびN−ヒドロキシスクシンイミド不純物を除去するとにより、精製した。画分を逆相HPLC法により更に精製した。エネルギー転移色素結合の蛍光性促進が、単一ROX−標識ddCTPの8.25倍となった。
【0086】
デオキシヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドのような他の生物学的分子が、上記方法に従い本発明の相当するNHSエステルに結合し、本明細書に提供した図中の例示のような化合物を生成することが、上記実施例を使用し明らかとなった。
【0087】
実施例3:エネルギー転移色素標識したジデオキシヌクレオシドトリホスフェートを用いるDNAのシーケンシング(図7)
M13mp18鋳型DNAの配列を標準“−40”プライマーを用い作成した。当該反応混合物(20μl)には、それぞれ200μMのdATP、dCTPおよびdTTP、1000μM dITP、310nM 5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddGTP、140nM 5−FAM−Phe−5−R110−11−ddATP、275nM 5−FAM−Phe−5−R6G−11−ddTTP、410nM 5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddCTP、2pmol −40プライマー、M13mp18 DNA200ng、Thermo Sequenase II(Amersham Pharmacia Biotech)20ユニット、Thermoplasma acidophilum無機性ピロホスファターゼ0.0008ユニット、50mM Tris−HCL pH8.5、35mM KClおよび5mM MgClを含めた。
【0088】
反応混合物を、95℃ 30秒、60℃ 60秒の25サイクルのサーマルサーキュラーでインキュベーションした。サイクリング後、当該反応生成物を標準的な手順を用いエタノールで沈殿させ、洗浄し、ホルムアミドローディングバッファーに再懸濁した。当該サンプルをApplied Biosystems model 377機器にロードし、その結果を標準ソフトウェア法を用い分析した。
【0089】
本発明の他のエネルギー転移色素が、相当するDNAターミネーターに結合し、シーケンシング反応に使用されることが、上記実施例を使用し明らかとなった。
【0090】
本明細書中のすべての特許および刊行物により、本発明に該当する分野の当業者の技術レベルが示される。本開示において引用するすべての参考文献を、それぞれの参考文献をすべて個々に引用することにより加えるかのように、引用によりこの文書に加える。
【0091】
当業者は、本発明が目的を達成し、記述の目的および利点、ならびにそれに固有のものが得られるように適合されることを容易に認識する。好ましい実施態様の典型として記載する当該色素、置換基および標的物質を例示し、本発明の範囲の制限を目的とするものではない。本明細書の変化および他の使用は、当業者が行うことができ、本発明の精神の中に含まれ、特許請求の範囲により定義される。
【0092】
種々の置換基および修飾により、本発明の範囲および精神から出発することなく、本明細書に開示の本発明を創造し得ることが当業者にはには容易に判る。例えば、当業者は、本エネルギー転移色素が種々の異なる色素部分、リンカー、結合基、および反応基に組み込まれ、種々の異なる標的物質結合し得ることを容易に認識する。そのため、更なる実施態様は、本発明の範囲および特許請求の範囲内である。
【0093】
本明細書に適当に解説的に記載した本発明は、任意の要素または要素群、制限または制限群(それらは特に開示しない)の非存在下で実施し得る。そのため、例えば、本明細書の各例で、任意の“含む”、“本質的に…からなる”および“からなる”なる語は、何れか他の2つの語と置換され得る。用いている語および表現を記述の語として使用し、制限せず、見られるおよび記載された任意の均等な特徴またはその一部を排除する語および表現の使用を目的としたものではないが、種々の修飾が、請求する本発明の範囲内で可能であることが認識される。そのため、本発明は、好ましい実施態様および所望の特徴により特別に開示されるが、本明細書に開示の修飾および種々の観念が当業者の頼りとなり得、その修飾および変化は、添付の請求項により定義される本発明の範囲内にあると、理解すべきである。
【0094】
加えて、本発明の特徴または態様をマーカッシュグループまたは代わりの他のグループに関して記載する場合、本発明はマーカッシュグループまたは他のグループの任意の個々のメンバーまたはサブグループのメンバーに関しても記載されると当業者は認識する。
【0095】
そのため、更なる実施態様は本発明および特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の、エネルギー転移(ET)色素ターミネーターカセット、N−5ROX−p−プロパルギルアミド−5FAM−L−フェニルアラニン−11−ddCTP(5FAM−ROX−Phe−11−ddCTP)および他のターミネーターを調製する反応の概要である。
【図2】 ブルーET色素ターミネーターの表である。
【図3】 図3a、bおよびcは、ET色素ターミネーター5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddCTPの化学的構造(3a)および蛍光共鳴エネルギー転移データ(3b、c)である。
【図4】 図4a、bおよびcは、ET色素ターミネーター5−FAM−Phe−5−REG−11−ddUTPの化学的構造(4a)および蛍光共鳴エネルギー転移データ(4b、c)である。
【図5】 図5a、bおよびcは、ET色素ターミネーター5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddGTPの化学的構造(5a)および蛍光共鳴エネルギー転移データ(5b、c)である。
【図6】 図6a、bおよびcは、ET色素ターミネーター5−FAM−Phe−5−R110−ddATPの化学的構造(6a)および蛍光共鳴エネルギー転移データ(6b、c)である。
【図7】 図7は、本明細書で開示のエネルギー転位色素を用いるDNA分子のシーケンシングデータの結果である。
【図8】 図8は、一群の、4色のブルー−エネルギー転位色素ターミネーターである。
当該図は、常に一定の縮尺ではなく、本発明のある部分は縮尺で誇張され、明瞭および簡潔の目的で概要図で示している。

Claims (26)

  1. 次式のエネルギー転移色素。
    1−L1−A−L2−D2
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素部分であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素部分であり、
    Aは、炭素、窒素、硫黄、酸素及びリンからなる群から独立して選択される5〜20個の連結原子を含むものであって、該連結原子は、少なくとも1つのアリール基又はヘテロアリール基を含んでおり、
    1は、上記D1との結合のための2〜30個の連結原子の基を含むものであり、
    2は、上記D2との結合のための2〜30個の連結原子の基と、Aを生物学的標的に結合させるのに適した4〜30個の連結原子の官能基とを含むものである。)
  2. 1が、1以上の芳香族環を含む、請求項1記載のエネルギー転移色素。
  3. 前記芳香族環がフェニル環である、請求項2記載のエネルギー転移色素。
  4. 1が、1以上の複素環を含む、請求項2記載のエネルギー転移色素。
  5. 2が、1以上の芳香族環を含む、請求項1記載のエネルギー転移色素。
  6. Aが、1以上のヘテロアリール基に連結する第一の直鎖状炭化水素鎖を含んでいて、該ヘテロアリール基がさらに第二の直鎖状炭化水素鎖と連結している、請求項1記載のエネルギー転移色素。
  7. 1がキサンチン色素及びシアニン色素からなる群から選択され、D2がローダミン色素及びシアニン色素からなる群から選択される、請求項1記載のエネルギー転移色素。
  8. リンカー基を介してL2に結合した第三の色素をさらに含んでおり、該結合によってD2と第三の色素とのエネルギー転移配置を生ずる、請求項1記載のエネルギー転移色素。
  9. 前記第三色素がシアニン色素である、請求項8記載のエネルギー転移色素。
  10. 以下のいずれかの式の化合物。
    Figure 0004659213
    Figure 0004659213
    Figure 0004659213
    Figure 0004659213
    Figure 0004659213
    (式中、D1はドナー色素、D2はアクセプター色素であり、n1、n2及びn3は、炭素、酸素、燐、窒素及び硫黄からなる群から選択される連結原子の鎖であり、nは1〜10である。)
  11. 5−FAM−Phe−5−REG−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddGTP、又は5−FAM−Phe−5−R110−11−ddCTPからなる群から選択される、エネルギー転移色素ターミネーター。
  12. 次式のエネルギー転移色素を製造する方法であって、
    1−L1−A−L2−D2
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素部分であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素部分であり、
    Aは、炭素、窒素、硫黄、酸素及びリンからなる群から独立して選択される5〜20個の連結原子を含むものであって、該連結原子は、少なくとも1つのアリール基又はヘテロアリール基を含んでおり、
    1は、上記D1との結合のための2〜30個の連結原子の基を含むものであり、
    2は、上記D2との結合のための2〜30個の連結原子の基と、Aを生物学的標的に結合させるのに適した4〜30個の連結原子の官能基とを含むものである。)
    (a)Aを化合物L2にカップリングさせる段階と、
    (b)段階(a)の生成物を、D1との結合の形成に適した反応性基で置換されたL1とカップリングさる段階と、
    (c)段階(b)の生成物をD1とカップリングさせる段階と、
    (d)L2が、D2との結合の形成に適した反応性基で置換され、かつL2の別の部分が、Aを生物学的標的に結合させための官能基を形成する反応性基で置換されるように段階(c)の生成物を反応させる段階と、
    (e)段階(d)の生成物をD2とカップリングさせて、Dlとの結合を形成する段階と
    を含む方法。
  13. 生物学的標的を蛍光標識するための方法であって、
    (a)上記生物学的標的を含む液体に、次式のエネルギー転移色素を添加する段階と、
    1−L1−A−L2−D2
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素部分であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素部分であり、
    Aは、炭素、窒素、硫黄、酸素及びリンからなる群から独立して選択される5〜20個の連結原子を含むものであって、該連結原子は、少なくとも1つのアリール基又はヘテロアリール基を含んでおり、
    1は、上記D1との結合のための2〜30個の連結原子の基を含むものであり、
    2は、上記D2との結合のための2〜30個の連結原子の基と、Aを生物学的標的に結合させるのに適した4〜30個の連結原子の官能基とを含むものである。)
    (b)上記色素が上記生物学的標的と共有結合で反応して上記生物学的標的を標識するように上記色素を反応させる段階と
    を含む方法。
  14. 前記生物学的標的が、抗体、抗原、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ヌクレオチド、オキシ、デオキシ、又はデオキシリボ核酸又はポリ核酸、並びに1以上のアミノ、ヒドロキシ、チオホスホリル、メルカプト(sulphydryl)又はカルボキシ基が含まれるように所望により誘導された細胞からなる群から選択される、請求項13記載の方法。
  15. 第一の部分を蛍光標識し、次いで標識した第一の部分を用いてサンプルにおける第二の部分の存在を検出する方法であって、
    (a)第一の部分を含む液体に次式のエネルギー転移色素を加える段階と、
    1−L1−A−L2−D2
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素部分であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素部分であり、
    Aは、炭素、窒素、硫黄、酸素及びリンからなる群から独立して選択される5〜20個の連結原子を含むものであって、該連結原子は、少なくとも1つのアリール基又はヘテロアリール基を含んでおり、
    1は、上記D1との結合のための2〜30個の連結原子の基を含むものであり、
    2は、上記D2との結合のための2〜30個の連結原子の基と、Aを生物学的標的に結合させるのに適した4〜30個の連結原子の官能基とを含むものである。)
    (b)上記色素が第一の部分と共有結合で反応して第一の部分を標識するように上記色素を第一の部分と反応させる段階と、
    (c)標識した第一の部分を上記サンプルに供給して、第二の部分が存在していれば第二の部分に、標識した第一の部分を結合させる段階と、
    (d)第二の部分が存在していれば、光学的方法で上記蛍光標識を検出することによって、第二の部分を検出する段階と
    を含む、方法。
  16. 前記標的物質が生物学的物質を含む、請求項15記載の方法。
  17. (a)次式のエネルギー転移色素と、
    1−L1−A−L2−D2
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素部分であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素部分であり、
    Aは、炭素、窒素、硫黄、酸素及びリンからなる群から独立して選択される5〜20個の連結原子を含むものであって、該連結原子は、少なくとも1つのアリール基又はヘテロアリール基を含んでおり、
    1は、上記D1との結合のための2〜30個の連結原子の基を含むものであり、
    2は、上記D2との結合のための2〜30個の連結原子の基と、Aを生物学的標的に結合させるのに適した4〜30個の連結原子の官能基とを含むものである。)
    (b)官能基と共有結合を形成し得る少なくとも1つの反応基、又はエネルギー転移色素において反応基と共有結合を形成し得、かつ共有結合する官能基を含むか又は含むように誘導された担体物質と
    を含む試薬。
  18. 1がフルオレセイン色素及びシアニン色素からなる群から選択され、D2がローダミン色素及びシアニン色素からなる群から選択される、請求項17記載の試薬。
  19. 2が、アミノ、カルボキシル、スクシンイミジルエステル、スルホスクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミド及びホスホラミダイト、並びにカルボキシル、スクシンイミジルエステル、スルホ−スクシンイミジルエステル、イソチオシアネート、マレイミド及びホスホラミダイトと共有結合で反応する基からなる群から選択される、請求項17記載の試薬。
  20. 結合エネルギー転移色素を伴う、生物学的物質であって、
    (a)次式のエネルギー転移色素と、
    1−L1−A−L2−D2
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素部分であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素部分であり、
    Aは、炭素、窒素、硫黄、酸素及びリンからなる群から独立して選択される5〜20個の連結原子を含むものであって、該連結原子は、少なくとも1つのアリール基又はヘテロアリール基を含んでおり、
    1は、上記D1との結合のための2〜30個の連結原子の基を含むものであり、
    2は、上記D2との結合のための2〜30個の連結原子の基と、Aを生物学的標的に結合させるのに適した4〜30個の連結原子の官能基とを含むものである。)
    (b)官能基と共有結合を形成し得る少なくとも1つの反応基、又はエネルギー転移色素において反応基と共有結合を形成し得、かつ共有結合する官能基を含むか又は含むように誘導された担体物質と
    を含む、生物学的物質。
  21. 次式のエネルギー転移カセット。
    Figure 0004659213
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素であり、
    Bは、1〜30個の原子を含む直鎖状又は分枝状アルキル鎖であって、該鎖は、1以上の−NH−、−O−、−CH=CH−、−C≡C−及びフェニル基を含んでおり、
    3は、標的物質へのエネルギー転移色素の結合に適した反応性もしくは官能基を含むものであり、
    Dは、F2をリンカー基Bに結合させるのに適した原子又は基を含む。)
  22. 1がキサンチン色素及びシアニン色素からなる群から選択され、F2がローダミン色素及びシアニン色素からなる群から選択される、請求項21記載のエネルギー転移色素。
  23. リンカー基を介してF2に結合した第三の色素をさらに含んでおり、該結合によってF2と第三の色素とのエネルギー転移配置を生ずる、請求項21記載のエネルギー転移色素。
  24. 次式のエネルギー転移色素。
    Figure 0004659213
    (式中、
    1は、エネルギー転移配置におけるアクセプター又はドナーとして適当な第一色素であり、
    2は、第一色素とのエネルギー転移配置におけるドナー又はアクセプターとして適当な第二色素であり、
    4は、ハロゲン又はC1-4アルキルであり、
    5は、ヒドロキシル、ハロ、メチル又はエチルであり、
    1は、炭素、窒素、酸素、−CH=CH−、及びC≡C−から独立して選択される1〜10個の原子を含む連結基であり、
    3は、標的へのエネルギー転移色素の結合に適した反応性もしくは官能基である。)
  25. DNA分子のヌクレオチド塩基配列を決定する方法であって、
    (i)耐熱性DNAポリメラーゼと、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−REG−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−ROX−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddGTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddCTP、5−FAM−Phe−5−TAMRA−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddATP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddUTP、5−FAM−Phe−5−R110−11−ddGTP、又は5−FAM−Phe−5−R110−11−ddCTPからなる群から選択される式の化合物とを含む容器中で上記DNA分子にハイブリダイズし得るプライマー分子とアニーリングしたDNA分子をインキュベーションする段階と、
    (ii)大きさによってインキュベーション反応のDNA産物を分離し、それによって当該DNA分子の少なくとも一部のヌクレオチド塩基配列を決定し得る段階と
    を含む方法。
  26. サンプル中の1種以上の分子の存在を決定する方法であって、
    上記サンプル中の上記分子の少なくとも1つに特異的な結合パートナーを選択する段階と、
    上記結合パートナーの各々を、請求項1記載のエネルギー転移色素であって、D1が各エネルギー転移色素で同じであり、D2が異なる別々のエネルギー転移色素と独立して連結させる段階と、
    式1の別々のエネルギー転移色素と独立して連結した上記結合パートナーを上記サンプルと混合する段階と、
    種々の放出スペクトルに基づいて上記分子の存在を決定する段階と
    を含む方法。
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