JP4658752B2 - 熱間連続圧延機の板厚制御装置,板厚制御システム,方法,コンピュータプログラム,およびコンピュータで読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

熱間連続圧延機の板厚制御装置,板厚制御システム,方法,コンピュータプログラム,およびコンピュータで読み取り可能な記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は,熱間仕上げミルに代表される熱間連続圧延機の板厚制御装置および方法に係り,特に,鋼板の熱間圧延における被圧延材の板厚精度を従来に比べて向上することが可能な,熱間連続圧延機の板厚制御装置,板厚制御システム,方法,およびコンピュータコンピュータプログラム,およびコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に関する。
近年,鋼板等の金属材料の圧延製品における厚み精度に対するユーザーからの要求は益々厳しくなっている。これに対して,鋼板(ストリップ)の長手方向の厚み精度は,自動板厚制御(AGC:Automatic Gauge Control)の急速な発達によって向上してきた。この自動板厚制御としては,例えば特許文献1に掲げているように,
(a)圧延機の入側の板厚の変化を圧延荷重の変化として検出し,この検出された荷重変化に対応してロールの圧下量を調整する方法(ゲージメータ方式のAGC)
(b)圧延機の入側の板厚の変化を圧延機入側に取付けられた厚み計により検出し,この検出された厚み変化を用いて圧下制御量を求め,被圧延材の速度によって圧延機位置に到達したことを検出し圧延機の圧下量を調整する方法(フィードフォワードAGC)
(c)圧延機の出側の板厚の変化を圧延機出側に取付けられた厚み計により検出し,この検出された厚み変化により比例積分制御により圧下量を調整する方法(モニターAGCあるいはフィードバックAGC)
がある。
また,主として冷間圧延に使用されている,
(d)圧延機の入側板厚計のデータを制御対象の圧延スタンド直下までトラッキングし,このデータ並びに入側および出側の板速度計を用いて制御対象ミルの出側板厚を推定し,この推定板厚と目標とする板厚との偏差が零となるように圧下を制御するマスフロー方式のAGC(マスフローAGC)
がある。
上記(a)のゲージメータ方式のAGC,(b)のフィードフォワードAGC,(d)のマスフローAGCでの制御可能な板厚変動周波数は,圧下用アクチュエーターの遮断角周波数に依存し,電動圧下の場合では10〜30rad/sec(周波数では1.6〜4.8Hz),油圧圧下の場合では50〜100rad/sec(8.0〜15.9Hz)程度までである。
これに対し,(c)のモニターAGCでは,圧下負荷を各圧延スタンドに分散しているため,最終的なスタンドの出側における板厚のデータも制御信号として前段スタンド側に伝達される。従って,制御可能な板厚変動周波数は,高くても0.01Hz程度が限界である。
なお,本願明細書中の説明においては,おおよその目安として,角周波数が10rad/sec(1.6Hz)以上の周波数を高周波数(すなわち低周期),0.01Hz以下の周波数を低周波数(すなわち高周期),その間の領域を中周波数(すなわち中周期)と定義する。
熱間連続圧延機における板厚制御機構は,一般的に上記(a)のゲージメータ方式のAGCを各圧延スタンドに配備し,さらに最終圧延スタンド出側に取付けられた板厚計によってモニターAGCを実施することが多い。この板厚制御構成を有する熱間連続圧延機によって圧延された被圧延材(鋼板)の出側における仕上げ板厚偏差の例を図8に示す。
本願明細書においては,図8中の0.1Hz前後の周期的な板厚変動をスキッドマーク板厚偏差という。かかるスキッドマーク板厚偏差は,被圧延材の圧延に先駆けた加熱の際に,被圧延材が,加熱炉内で一定間隔に並べられたウォーキングビーム(スキッド)上に乗せられているため,該被圧延材にスキッドの間隔に対応した周期的な温度偏差が生じることに起因する。図8の例では,スキッドマークの周波数帯域は0.05Hz〜0.3Hz付近に示される。このスキッドマークによる板厚変動は,上記で説明したように制御可能な周波数帯域が低いモニターAGCで取り除くことが困難である。
一方,ゲージメータ方式のAGCは,圧延荷重の検出値によって板厚を推定し制御を行う方式であり,制御可能な周波数帯域はスキッドマークの周波数帯域を内包している。しかし,上記ゲージメータ方式のAGCは,被圧延材の温度変動を含む硬度変動,圧延機自体の機械的振動,圧延ロールの偏芯の影響,および油膜厚の影響によって推定板厚を高精度に得られない場合が多い。このため,ゲージメータ方式のAGCは一般的に制御ゲインを下げて使用せざるを得ないといった問題がある。
以上の問題のためにスキッドマークに代表される中周期の板厚変動を取り除くことは困難である。
ところで,主に冷間圧延で使用される応答速度の速いフィードフォワードAGCやマスフローAGCの熱間圧延への適用について説明する。マスフローAGCは,フィードフォワードAGCの利点である「制御遅れがない」事と,フィードバックAGCの利点である「板厚の絶対変化量によって制御できる」という利点を兼ね備えている。
ところが,フィードフォワードAGCやマスフローAGCを熱間圧延に適用する場合には,
(1)各圧延スタンドの目標板厚と実際の板厚とのずれに応じて,アクチュエーターである圧下装置が急激に大きく動作する恐れがあること,
(2)ルーパ角度変動による板速度誤差があること,
(3)入側板厚計の劣悪な設置条件による板厚誤差等のセンサーの誤差による影響があること,
(4)被圧延材の温度が時間経過と共に徐々に低下するサーマルランダウンの影響により板厚が徐々に増加することによって,圧下装置が連続的に板厚を下げる方向に動作し,出側X線板厚計を用いたモニターAGCの動作と相互干渉して圧下バランスが崩れること,
(5)入側板厚計およびスタンド間板厚計は,上記の環境のため,突然の故障が発生することがあり,AGCに使用するには信頼性に劣るケースが多いこと,
といった問題が発生する。そのために,熱間圧延にフィードフォワードAGCやマスフローAGCを熱間圧延に適用することは困難であった。
上記(2)のルーパ角度変動による板速度誤差があることに対して,特許文献2では,スタンド間に設置されたルーパのルーパ角度変動を考慮し,制御対象スタンドの入側および出側の板速度を算出して,板速度誤差を小さくした上で速度熱間圧延にマスフローAGCを適用する技術を開示している。
特公昭61−29807号公報 特開平10−263646号公報
しかしながら,フィードフォワードAGCやマスフローAGCの熱間圧延設備への実装に際しては,板厚測定値と実際の板厚との誤差,サーマルランダウンの影響等による併用している他の制御との干渉,および板厚計異常時の制御の異常出力など,様々な問題点が残されている。そのため,従来の熱間圧延において,フィードフォワードAGCやマスフローAGCの様な,スタンド間に設置された板厚計を用いた板厚制御によっては,十分な板厚の制御精度を得ることができなかった。
本発明は,従来のフィードフォワードAGCやマスフローAGCでの使用が困難であった,劣悪な環境下にある中間板厚計のデータを板厚制御に用いることにより,既存のAGCでは取り除くことができない中周期の板厚偏差を軽減することが可能な,熱間連続圧延機の板厚制御装置,板厚制御システム,方法,コンピュータプログラム,およびコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
本願発明の要旨とするところは,以下の如くである。
(1) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御装置は,複数の圧延スタンドがタンデム配置された,金属材料の熱間連続圧延機の板厚制御装置において:制御対象圧延スタンドの入側の板厚値とロックオン板厚値との差信号を出力するロックオン差分演算部と;上記差信号からスキッドマーク板厚偏差を表す補正板厚偏差信号を抽出する抽出フィルタ部と;上記補正板厚偏差信号に基づいて制御信号を算出する動作量算出部と;を備えることを特徴とする。
(2) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御装置は,(1)において:制御対象圧延スタンドの入側に配設された板厚計の板厚データ,または制御対象圧延スタンドと該制御対象圧延スタンドの前段の圧延スタンドとの間に配設された板厚計の板厚データを入力する板厚データ入力部と;上記制御対象圧延スタンドの入側に配設された板速検出手段の板速測定値を入力する速度データ入力部と;上記板厚データと上記板速測定値とに基づいて上記制御対象圧延スタンドの入側の板厚値を出力するトラッキング部と;をさらに具備することを特徴とする。
(3) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御装置は,(1)または(2)において:上記抽出フィルタ部は,上記差信号から,定常偏差である直流成分およびサーマルランダウンによる低周波数成分を除去するためのハイパスフィルタと,高周波数ノイズを除去するためのローパスフィルタと,を備え,上記スキッドマーク板厚偏差を表す補正板厚偏差信号を出力することを特徴とする。
(4) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御装置は,(1)〜(3)において,上記動作量算出部は,フィードフォワード制御を行うことを特徴とする。
(5) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御装置は,(1)〜(3)において,さらに,上記入側の板厚値,上記制御対象圧延スタンドの入側板速度測定値および出側板速度測定値を基に,マスフロー計算によって,上記制御対象圧延スタンドの出側板厚値を推定する出側板厚演算部を備え,上記ロックオン差分演算部は,該出側板厚値とロックオン板厚値との差信号を出力することを特徴とする。
(6) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御システムは,(1)〜(5)に記載の熱間連続圧延機における板厚制御装置を,熱間連続圧延機内の複数の圧延スタンドにそれぞれ配設することを特徴とする。
(7) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御方法は,複数の圧延スタンドがタンデム配置された金属材料の熱間連続圧延機の板厚制御方法において:制御対象圧延スタンドの入側の板厚値とロックオン板厚値との差信号を出力するロックオン差分演算ステップと;上記差信号からスキッドマーク板厚偏差を表す補正板厚偏差信号を抽出する抽出フィルタリングステップと;上記補正板厚偏差信号に基づいて制御信号を演算する動作量算出ステップと;を含むことを特徴とする。
(8) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御方法は,(7)において,制御対象圧延スタンドの入側に配設された板厚計の板厚データ,または制御対象圧延スタンドと該制御対象圧延スタンドの前段の圧延スタンドとの間に配設された板厚計の板厚データを入力する板厚データ入力ステップと;上記制御対象圧延スタンドの入側に配設された板速検出手段の板速測定値を入力する速度データ入力ステップと;上記板厚データと上記板速測定値とに基づいて上記制御対象圧延スタンドの入側の板厚値を出力するトラッキングステップと;さらに含むことを特徴とする。
(9) 本発明の熱間連続圧延機の板厚制御方法は,(7)または(8)に記載の板厚制御方法を,熱間連続圧延機内の複数の圧延スタンドにそれぞれ適用することを特徴とする。
(10) 本発明のコンピュータプログラムは,(7)〜(9)のうちの1項に記載の熱間連続圧延機の板厚制御方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
(11) 本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は,(10)に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とする。
かかる熱間連続圧延機の板厚制御装置は,1つの装置で構成することもでき,それぞれ別体の装置に設けられた各構成要素が連動してなることも可能である。
以上説明したように本発明は,上記に示した特徴により,中間板厚計のデータからスキッドマークに代表される中周期の周波数成分のみを抽出し,板厚制御に用いることで,ゲージメータ方式のAGCおよびモニターAGCでは取り除ききれない,スキッドマーク板厚偏差に代表される中周期の板厚偏差を軽減する事が可能となる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1の実施の形態>
図1は,本発明の第1の実施の形態の概略構成を示す図である。本実施の形態では,フィードフォワードAGCに対応する熱間連続圧延機の板厚制御装置を説明する。上記板厚制御装置は,板厚データ入力部1と,速度データ入力部2と,トラッキング部3と,ロックオン差分演算部4と,抽出フィルタ部5と,動作量算出部6と,AGC出力調整用ゲイン部7とを含んで構成される。
先ず,複数ある圧延スタンドのうち制御対象圧延スタンド(Nスタンドとする)の入側に配設された,または,当該スタンドの前段の(N−1)スタンドと当該Nスタンド間に配設された中間板厚計(Nスタンド入側板厚計)101において採取された被圧延材の板厚データTn-1を,板厚データ入力部1へ入力する。また,Nスタンド入側板速検出手段102にて採取された板速データを速度データ入力部2へ入力する。
トラッキング部3では,中間板厚計101にて採取された板厚データTn-1を,板厚データに応じた時間だけ遅延させ,Nスタンド直下の位置までトラッキングする(Nスタンド直下の入側板厚として算出する)。
続いて,ロックオン差分演算部4は,圧延材料の先端部分における板厚データ(ロックオン板厚値)を記憶し,これとNスタンド直下の入側板厚との差を取るロックオンを行い,板厚データの直流成分を削除する。
抽出フィルタ部5は,ロックオン差分演算部4のデータから,スキッドマークに代表される中周期の周波数成分のみを効率的に透過し,金属材料の板厚偏差からスキッドマーク等による板厚偏差分のみを抽出する。
動作量算出部6は,このように抽出された板厚偏差分に基づいて,圧下装置の動作量を算出し,出力することよって,スキッドマーク成分に代表される中周期の板厚偏差を取り除くために最適な圧下装置の制御信号を生成する。このような圧下装置の制御は,フィードフォワード制御によって成されるとしても良い。
AGC出力調整用ゲイン部7は,動作量算出部6の制御出力が足りない場合,または過出力の場合に,該出力ゲイン(gain)を調整する。
この制御信号と,ゲージメータAGC103の制御出力およびモニターAGC104の制御出力とを並列に加算することにより,圧延材全体の板厚精度を向上させる。
上記中周期の板厚偏差成分のみを抽出する抽出フィルタ部5について詳述する。中周期の板厚偏差は主に板のスキッドマークを原因として生じる。
図2は,中間板厚計の板厚データより,スキッドマークに起因する板厚偏差のみを取り出すフィルタの一例のブロック図である。スキッドマークについては,加熱炉内ウォーキングビームの間隔,スラブの厚み,その後の圧延スケジュール,および圧延時の通板速度に基づいて,仕上げ通板時のスキッドマークの周波数を計算することが出来る。そこで,予め計算された通板時のスキッドマーク周波数がフィルタの中心周波数となるように図2のフィルタの各パラメータを設定する。
例えば,図2中において,パラメータKilはローパスフィルタの積分ゲインを表す。Kphはハイパスフィルタの比例ゲインを,またKihはハイパスフィルタの微分ゲインを表している。ところで,上記パラメータを実際に設定する際,ローパスフィルタおよびハイパスフィルタの折点角周波数を接近させると,中心周波数のゲインが下がってしまう。この場合には,中心周波数のゲインが0となるようにフィルタゲイン調整部13においてゲインの調整を行う。
図3は,中間板厚計の板厚データおよび板厚データから,スキッドマーク起因の偏差分を取り出す手順における信号波形の一例を示している。図3(a)の中間板厚計のデータには,高周波の成分が含まれている。この高周波成分を十分に取り除くために,本実施の形態では,図2に示したように1次のローパスフィルタ11を2段使用し,図3(b)に示す信号を得た。このローパスフィルタ11の後にハイパスフィルタ12を配設して,板全長に及ぶような低周波成分を取り除き,図3の(c)に示すようにスキッドマーク起因の板厚成分のみを取り出す。このような所定の帯域の信号を抽出する処理は,帯域通過フィルタ(BPF)で成されるとしても良い。
上記の例では,予め通板時のスキッドマーク周波数を計算し,随時フィルタの特性を通板条件に合わせることを前提として記述した。一方,図4Aに示すように,実際のスキッドマーク周波数のデータを,板厚測定のデータからスペクトルアナライザを利用して求め,図4Bの例のように図4Aに示されたフィルタ帯域200のみを透過するようにフィルタの特性を設定して,圧延すべきほぼ全ての板材(板厚)に対応可能なフィルタを設計する事も可能である。図4Bの例では,中心周波数202が0.12Hzでその地点のゲインが−0.0004(ほぼ0)となり,フィルタ帯域は,仕上げ板厚2.5mm未満で0.06〜0.2Hzとなる。このように広範囲な板材に対応可能なフィルタを設計した場合,一度フィルタの設定をすれば,その後の板厚制御においてフィルタの変更を必要としない。
<第2の実施の形態>
図5は,本願発明の第2の実施の形態の概略構成を示す図である。本実施の形態ではマスフローAGCに対応する熱間連続圧延機の板厚制御装置を説明する。上記板厚制御装置は,板厚データ入力部1と,第1速度データ入力部(第1の実施の形態では単に速度データ入力部として示した。)2と,トラッキング部3と,第2速度データ入力部8と,出側板厚演算部としてのNスタンド板厚演算部9と,ロックオン差分演算部4と,(N+1)スタンドへの板厚制御出力部10と,抽出フィルタ部5と,動作量算出部6と,AGC出力調整用ゲイン部7とを含んで構成される。
上記第1の実施の形態と同様に,入力された金属材料の板厚データTn-1をトラッキング部3でNスタンド直下までトラッキングする(Nスタンド直下の入側板厚となる)。一方,第1速度データ入力部2は,Nスタンド入側板速検出手段102からNスタンド入側速度を入力し,さらに,第2速度データ入力部8は,Nスタンド出側板速検出手段106からNスタンド出側速度を入力する。
そして,Nスタンド出側板厚演算部9は,トラッキング部3からの板厚データTn-1,第1速度データ入力部2からの入側板速度計,および第2速度データ入力部8からの出側板速度計を用いてNスタンド出側板厚を計算する。その後,ロックオン差分演算部4は,所定の時刻における板厚データ(ロックオン板厚値)を記憶し,これとNスタンド直下の入側板厚との差を取るロックオンを行い,板厚データの直流成分を削除する。
次に,スキッドマークに代表される中周期の周波数成分のみを効率的に透過する抽出フィルタ部5を通すことによって,被圧延材の板厚偏差からスキッドマークによる板厚偏差分のみを抽出する。この板厚偏差分に基づいて動作量算出部6で圧下装置の動作量を算出する。次に,AGC出力調整用ゲイン部7で,必要に応じて出力のゲイン調整を行い,中周期の板厚偏差を取り除くのに最適な圧下装置の制御信号を出力する。この制御信号を,ゲージメータAGC103の制御出力およびモニターAGC104の制御出力と並列に加算することにより,圧延材全体の板厚精度を向上させる。
<第3の実施の形態>
図6は,本願発明の第3の実施の形態の概略構成を示す図である。本実施の形態では,上記第2の実施の形態で説明した板厚制御装置を,板厚計が設置された以降の全スタンドに対して設置する板厚制御システムを説明する。かかる実施形態では,生成した板厚制御用出力10を次のスタンドである(N+1)スタンド(Nスタンドの後段に位置するスタンド)の板厚データ入力部へ入力することで,中間板厚計以降の全スタンドそれぞれに上記第2の実施の形態を適用する。かかる構成により,中間板厚計101は最初のスタンドのみに設ければ良く,他の後段のスタンドには設置する必要がなくなる。こうして,コストが削減され,専有空間の最小化が図れる。
スキッドマークによる板厚変動の原因は通板材の温度偏差であるため,一度中間スタンドにてスキッドマークによる板厚変動を取り除いたとしても,その後のスタンドを通過する毎にまたスキッドマークによる板厚変動が出現する可能性がある。よって図6に示す通り,中間スタンド以降最終スタンドまでにこの装置を導入することによって,更なる板厚制御性能の向上が期待できる。
図7A,Bは,この板厚制御システムを7スタンド熱間連続圧延機へ適用した場合の板厚変動のシミュレーションの結果を示したものである。このシミュレーションは,熱間連続圧延機を模擬するシミュレータに,実際の被圧延材のスタンド入側板厚,スタンド入側板幅,スタンド入側温度のデータ等の操業データを入力し,連続的に演算させて圧延機出側の板厚変動,スタンド間張力変動等を算出するものである。本実施の形態のシミュレーションでは,第4と第5スタンド間に中間板厚計が設置され,中間板厚計以降の第5スタンド,第6スタンド,第7スタンドに制御装置を配設している。
図7Aは,本板厚制御システムを実施しない場合の第5スタンド出側板厚偏差,第6スタンド出側板厚偏差,および第7スタンド出側板厚偏差を示している。スキッドマーク起因の中周期の板厚偏差が各スタンド出側板厚偏差に現れていることが分かる。
図7Bは,本板厚制御システムを実施した場合の第5スタンド出側板厚偏差,第6スタンド出側板厚偏差,および第7スタンド出側板厚偏差を示している。本発明を実施することにより,スキッドマーク起因の中周期の板厚偏差を第5スタンド,第6スタンド,第7スタンドにおいて抑制できていることが理解される。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
従って,上述した実施の形態の板厚制御装置を構成し,または実現する方法によって,複数の圧延スタンドがタンデム配置された金属材料の熱間連続圧延機の板厚制御を実施したものも,本発明の範疇に含まれる。
また,上述の実施の形態の制御装置の機能を実現するべく各種のデバイスを機能させるように,該各種デバイスと接続された装置或いはシステム内のコンピュータに対し,上記実施の形態の機能を実現するためのコンピュータプログラムを供給し,そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納された該プログラムに従って上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも,本発明の範疇に含まれる。
また,上記の場合においは,上記コンピュータプログラム自体が上記の実施の形態の機能を実現することになり,本発明を構成する。そのコンピュータプログラムの伝送媒体としては,プログラム情報を搬送波として伝播させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN,インターネット等のWAN,無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の優先回線や無線回線等)用いることができる。
さらに,上記コンピュータプログラムをコンピュータに供給するための手段,例えばかかるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体は本発明を構成する。かかる記憶媒体としては,例えばフレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM等を用いることが出来る。
本発明は,熱間仕上げミルに代表される熱間連続圧延機の板厚制御装置に適用可能である。
第1の実施の形態の概略を示す図である。 抽出フィルタ部の概略構成を示すブロック図である。 中間板厚計の板厚データ,および板厚データよりスキッドマーク起因の偏差分を取り出す手順における信号波形である。 スキッドマーク周波数帯域の一例を示した説明図である。 スキッドマーク抽出フィルタのゲイン特性を示した図である。 第2の実施の形態の概略を示す図である。 第3の実施の形態の概略を示す図である。 本願第3の実施の形態を実施する前のシミュレーション結果である。 本願第3の実施の形態を実施した際のシミュレーション結果である。 従来の一般的な板厚制御構成を有する熱間連続圧延機における仕上げ出側板厚偏差の一例である。
符号の説明
1 板厚データ入力部
2 第1速度データ入力部
3 トラッキング部
4 ロックオン差分演算部
5 抽出フィルタ部
6 動作量算出部
7 AGC出力調整用ゲイン部
8 第2速度データ入力部
9 出側板厚演算部(Nスタンド板厚演算部)
10 板厚制御用出力部
11 ローパスフィルタ部
12 ハイパスフィルタ部
13 フィルタゲイン調整部
101 中間板厚計(Nスタンド入側板厚計)
102 Nスタンド入側板速検出手段
103 ゲージメータAGC
104 モニターAGC
105 アクチュエーター制御部
106 Nスタンド出側板速検出手段

Claims (11)

  1. 複数の圧延スタンドがタンデム配置された,金属材料の熱間連続圧延機の板厚制御装置において:
    制御対象圧延スタンドの入側の板厚値とロックオン板厚値との差信号を出力するロックオン差分演算部と;
    前記差信号からスキッドマーク板厚偏差を表す補正板厚偏差信号を抽出する抽出フィルタ部と;
    前記補正板厚偏差信号に基づいて制御信号を算出する動作量算出部と;
    を備えることを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御装置。
  2. 請求項1に記載の熱間連続圧延機の板厚制御装置であって:
    制御対象圧延スタンドの入側に配設された板厚計の板厚データ,または制御対象圧延スタンドと該制御対象圧延スタンドの前段の圧延スタンドとの間に配設された板厚計の板厚データを入力する板厚データ入力部と;
    前記制御対象圧延スタンドの入側に配設された板速検出手段の板速測定値を入力する速度データ入力部と;
    前記板厚データと前記板速測定値とに基づいて前記制御対象圧延スタンドの入側の板厚値を出力するトラッキング部と;
    をさらに具備することを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御装置。
  3. 前記抽出フィルタ部は,前記差信号から,定常偏差である直流成分およびサーマルランダウンによる低周波数成分を除去するためのハイパスフィルタと,高周波数ノイズを除去するためのローパスフィルタと,を備え,前記スキッドマーク板厚偏差を表す補正板厚偏差信号を出力することを特徴とする,請求項1または請求項2に記載の熱間連続圧延機の板厚制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のうちの1項に記載の熱間連続圧延機の板厚制御装置において:
    前記動作量算出部は,フィードフォワード制御を行うことを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御装置。
  5. 請求項1〜請求項3のうちの1項に記載の熱間連続圧延機の板厚制御装置において:
    さらに,前記入側の板厚値,前記制御対象圧延スタンドの入側板速度測定値および出側板速度測定値を基に,マスフロー計算によって,前記制御対象圧延スタンドの出側板厚値を推定する出側板厚演算部を備え,
    前記ロックオン差分演算部は,該出側板厚値とロックオン板厚値との差信号を出力することを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御装置。
  6. 請求項1〜請求項5に記載の熱間連続圧延機における板厚制御装置のうち一種類または複数の種類の板厚制御装置を,熱間連続圧延機内の複数の圧延スタンドにそれぞれ配設することを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御システム。
  7. 複数の圧延スタンドがタンデム配置された金属材料の熱間連続圧延機の板厚制御方法において:
    制御対象圧延スタンドの入側の板厚値とロックオン板厚値との差信号を出力するロックオン差分演算ステップと;
    前記差信号からスキッドマーク板厚偏差を表す補正板厚偏差信号を抽出する抽出フィルタリングステップと;
    前記補正板厚偏差信号に基づいて制御信号を演算する動作量算出ステップと;
    を含むことを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御方法。
  8. 請求項7に記載の熱間連続圧延機の板厚制御方法であって:
    制御対象圧延スタンドの入側に配設された板厚計の板厚データ,または制御対象圧延スタンドと該制御対象圧延スタンドの前段の圧延スタンドとの間に配設された板厚計の板厚データを入力する板厚データ入力ステップと;
    前記制御対象圧延スタンドの入側に配設された板速検出手段の板速測定値を入力する速度データ入力ステップと;
    前記板厚データと前記板速測定値とに基づいて前記制御対象圧延スタンドの入側の板厚値を出力するトラッキングステップと;
    をさらに含むことを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の熱間連続圧延機の板厚制御方法は,熱間連続圧延機内の複数の圧延スタンドにそれぞれ適用されることを特徴とする,熱間連続圧延機の板厚制御方法。
  10. 請求項7〜請求項9のうちの1項に記載の熱間連続圧延機の板厚制御方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする,コンピュータプログラム。
  11. 請求項10に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とする,コンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
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