JP4658523B2 - 耐酸化複合材料 - Google Patents

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Description

この発明は、耐酸化複合材料、その製造方法、耐酸化複合材料を有する電磁誘導発熱体、該発熱体を備える電磁誘導加熱装置およびガラス系材料に関する。
近年、炭素材料が耐熱性の高い電磁誘導可能な材料として注目されているが、耐酸化性について問題があった。特に、水蒸気酸化性については劣っていた。炭素材料の耐酸化性を向上させる方法としては、炭素材料表面に水や酸素などの腐食種の拡散を抑制する緻密な被覆層(耐酸化層ともいう。)を形成するのが有効であり、特に、ガラスを溶融させて被覆するのが有効である。炭素材料は溶融ガラスに対する濡れ性に劣るため、炭素材料の表面にSiやSiC層を予め形成させて濡れ性を向上させてから、溶融ガラスで被覆する方法が用いられている(非特許文献1及び2)。また、SiCやMoSi等のセラミックスフィラーを含むガラスを用いて直接被覆する方法も提案されている(特許文献1)。
しかし、これらの層を用いても、依然としてガラスに対する濡れ性は十分とはいえず、多孔質炭素材料においては材料内部にまで溶融ガラスを浸透させるのは困難であった。また、ガラスの溶融含浸の過程においては、ガラス由来の酸素と炭素材料(基板、ヒーター・治具等の炉材)との反応によりCOが発生する。CO=1気圧のときの酸素の平衡分圧はSiやSiCの酸化反応に対する酸素の平衡分圧よりも大であるため、炭素材料表面に形成したSiやSiCは、ガラスの溶融被覆過程において優先的に酸化され、結果として、ガラスとSiやSiC界面においてSiO結晶相の一つであるクリストバライト(Cristobalite)が生成する。クリストバライトは約270℃においてβ→α転移(高温→低温)に伴う著しい体積変化(高温→低温:3.9vol%収縮)を伴うため、ガラス溶融被覆後の冷却過程において、クリストバライト結晶粒子の周りにき裂が生成し、耐酸化層の密着性が大きく低下し、結果として耐酸化性を維持できないことが問題となっていた。
また、耐酸化層と炭素材料とを結合するのに有効なSiCやSiの酸化速度は、酸素雰囲気よりも水蒸気雰囲気の方が大であり、水蒸気雰囲気下での使用を考えた場合には、これらの結合層を緻密質の耐酸化層で完全に被覆することが要望される。しかしながら、この耐酸化層を炭素材料の表面に付与しただけでは耐酸化層の耐熱衝撃性が劣り、結果として炭素材料において十分な耐酸化性を維持することはできなかった。
特開平10−167860号公報 H. Fritze, J. Jojic, T. Witke, C. Ruscher, S. Weber, S. Scherrer, R. Wei,B. Schultrich and G. Borchardt, Journal of the European Ceramic Society,発行国:英国, 18, 2351-2364 (1998) 近藤雅之、 小椋謙、 森本立男、 納富啓、 日本金属学会誌,発行国:日本,63, 851-858 (1999)
そこで、本発明は、耐酸化性に優れる複合材料を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、熱衝撃に抵抗して被覆状態を維持できる耐熱衝撃性を有する複合材料を提供することを一つの目的とする。さらに、本発明は、耐水蒸気酸化性に優れる複合材料を提供することも他の一つの目的とする。また、本発明は、このような耐酸化複合材料の製造方法を提供することを他の一つの目的とし、さらに、このような耐酸化複合材料の使用およびガラス系材料を提供することも他の目的とする。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、腐食種の拡散を抑制可能な被覆層の表層に熱衝撃に抵抗して被覆状態を維持可能な被覆層を形成することに着目し、かかる被覆層を多孔質ガラス質層とすることで、熱衝撃や高温に抵抗して良好な被覆性を発現することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。
本発明の一つの形態によれば、耐酸化複合材料であって、基体と、当該基体の表層側に形成され腐食種の拡散を抑制可能な緻密質ガラス層と、この緻密質ガラス層の表面の少なくとも一部を構成する多孔質ガラス層と、を備える、複合材料が提供される。この形態においては、前記多孔質ガラス層のガラス組成は前記緻密質ガラス層のガラス組成にほぼ一致するか近似されていることが好ましい態様である。さらに、この形態においては、前記多孔質ガラス層の気孔率が20%以上80%以下であり、平均気孔径が0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましい態様である。さらにまた、前記緻密質ガラス層は、M(Mは、Y、La、またはScである)、AlおよびSiOからなる群から選択される2種以上を含むガラスであることも好ましい態様である。さらにまた、前記緻密質ガラス層は850℃以上のガラス転移点を有していることが好ましい態様である。上記いずれかの複合材料において、前記基体は貫通孔および/または凹部を有し、該貫通孔および/または該凹部の内表面にも前記緻密質ガラス層と前記多孔質ガラス層とを備えることが好ましい態様である。
また、上記いずれかの複合材料において、前記基体は、炭素系材料であることが好ましい態様であり、この態様において、前記緻密質ガラス層と前記基体との間には、Si、SiOおよびオキシナイトライドガラスからなる群から選択される1種以上を含有する結合層を備えることが好ましい。また、本発明によれば、これらの態様の複合材料を有する電磁誘導発熱体も提供され、さらに、この電磁誘導発熱体を備える電磁誘導加熱装置も提供される。
本発明の他の一つの形態によれば、耐酸化複合材料の製造方法であって、基体の表層側に腐食種の拡散を抑制可能な緻密質ガラス層であって少なくともその表層に該緻密質ガラス層の酸化によりガス化する成分を含有するガス化成分含有層を有する緻密質ガラス層を備える複合材料前駆体を作製する前駆体作製工程と、酸化性雰囲気下前記ガス化成分含有層を加熱して前記ガス化成分を前記ガス化成分含有層から揮発させて多孔質化する多孔質ガラス層形成工程と、を備える、製造方法が提供される。この製造方法においては、前記緻密質ガラス層は、M(Mは、Y、La、またはScである)、AlおよびSiOからなる群から選択される2種以上を含むガラスであることも好ましい態様であり、これらにおいて、前記前駆体作製工程は、ガス化成分を含有するガス雰囲気下で前記緻密質ガラス層のガラス組成物を溶融含浸して前記基体の表層側に緻密質ガラス層を形成するとともに、該緻密質ガラス層の表層側に前記ガス雰囲気中のガス化成分を固溶化させて前記ガス化成分含有層を形成する工程であることも好ましい態様である。また、これらのいずれかの製造方法において、前記多孔質ガラス層形成工程は、前記緻密質ガラス層のガラス転移温度以上、該ガラスの溶融温度以下の範囲で前記ガス化成分含有層をガス化反応が進行する雰囲気で加熱することが好ましい態様である。さらにまた、前記基体が被酸化性材料からなり貫通孔および/または凹部を有しており、前記前駆体作製工程は、前記貫通孔および/または前記凹部のキャビティの内部形状に対応した被酸化性材料からなるインサートを該キャビティの緻密質ガラス層で被覆すべき内表面と接触させることなくセットするとともに、前記インサートの前記キャビティの外部に突出される一部が前記緻密質ガラス層で被覆されないようにセットして行い、該前駆体作製工程後、前記多孔質層ガラス形成工程に先立って、前記インサートを前記キャビティから除去することが好ましい態様であり、この態様において、前記インサートは、前記インサートを、前記インサートの前記緻密質ガラス層で被覆されない前記一部を介して前記インサートを構成する被酸化性材料を焼成して減容あるいは焼失させて除去することが好ましい。
また、本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかの耐酸化複合材料の製造方法において、前記基体は電磁誘導発熱材料からなる、電磁誘導発熱体の製造方法が提供される
さらに、本発明の他の一つの形態によれば、ガラス系材料であって、緻密質ガラス部と、この緻密質ガラス部の表層側のすくなくとも一部を構成する多孔質ガラス層と、を備える、材料が提供される。
本発明の耐酸化複合材料は、基体と、当該基体の表層側に形成され腐食種を拡散抑制可能な緻密質ガラス層と、この緻密質ガラス層の表面の少なくとも一部を構成する多孔質ガラス層と、を備えている。この複合材料によれば、緻密質ガラス層により、腐食種が外部から基体側へ侵入するのが抑制される。また、多孔質ガラス層を有しているため、急激な温度変化による熱衝撃を効果的に緩衝する能力を有しており、緻密質ガラス層への熱衝撃性が緩和される。この結果、緻密質ガラス層の熱衝撃性が向上され、緻密質ガラス層による基体の被覆状態が維持されることにより、基体の耐酸化性が維持される。したがって、本発明によれば、耐酸化性に優れる耐酸化複合材料が提供され、また、耐熱衝撃性に優れる耐酸化複合材料が提供される。さらに、緻密質ガラス層および多孔質ガラス層の材料として酸素や水蒸気に対する化学的安定性を有する材料を用いることで耐水蒸気酸化性に優れる複合材料が提供される。
また、本発明のガラス系材料は、緻密質ガラス部とこの緻密質ガラス部の表層の少なくとも一部に形成された多孔質ガラス層とを備えている。このガラス系材料によれば、表層に多孔質ガラス層を備えるため、内部の緻密質ガラス層に対する熱衝撃を緩和することができる。したがって、耐熱衝撃性に優れたガラス系材料を提供できる。また、表層のみに多孔質ガラス層を備えるため、緻密質ガラス単層に比べて表面積が大幅に増大すると共に、多孔質ガラス層下部の緻密質ガラス層により部材としての強度を維持することが可能となることから、耐熱性に優れ、かつ、高強度の触媒担体に適したガラス材料を提供できる。
以下、本発明の各種形態について、まず、耐酸化複合材料について説明するとともに、その製造方法、電磁誘導発熱体および電磁誘導加熱装置について説明する。また、ガラス系材材料について説明する。
(複合材料)
図1に本発明を適用した典型的な耐酸化複合材料(以下、単に、複合材料ということもある。)である炭素系材料を基体とする複合材料2の複合構造を示す。以下、図1を参照しながら説明する。
(基体)
本発明において基体4は特に限定しないで用いることができる。耐熱衝撃性と耐酸化性とが期待される観点からは、炭素系材料などの被酸化性材料を基体4として用いることが好ましい。炭素系材料を基体4として用いた場合、炭素が電磁誘導によってそれ自体発熱するため発熱体材料として用いることもできる。ここで、炭素系材料は、炭素元素を含有して構成される全ての材料を包含するものとする。かかる材料としては、例えば、炭素粉末、等方性黒鉛、炭素系繊維等およびこれらと他のセラミックス材料とを複合化した炭素系複合材料や炭素系材料を2種以上を複合した炭素系複合材料を挙げることができる。例えば、炭素系繊維複合材料としては、炭素繊維と炭素マトリックスとを有する複合材料、炭素繊維とSiCマトリックスとを有する複合材料、SiC繊維とSiCマトリックスとを有する複合材料を挙げることができる。なかでも、炭素繊維と炭素マトリックスとを有する複合材料を好ましく用いることができる。なお、基体4として、電磁誘導により発熱するセラミックス系材料を用いることもできる。
基体4は多孔質体であっても緻密質体であってもよいが、その表層側に結合されることになる結合層6や緻密質ガラス層8との一体性を考慮すると少なくとも被覆層によって被覆すべき表層側は多孔質であることが好ましい。なお、基体4は、電磁誘導による発熱体として使用する場合には、電磁誘導可能な程度に導電性を有するよう構成する。炭素系基体の形状は、用途に応じて各種形態を採ることができる。例えば、発熱体として用いる場合、基体4を凹部や貫通孔部を備える形態とすることが好ましい。こうすることで、加熱媒体であるガスや水蒸気などの流体の移動性や接触性を向上させることができる。
(結合層)
複合材料2は緻密質ガラス層8を基体4側に密着性よく結合するための結合層6を備えることができる。結合層6を備えることで、緻密質ガラス層8の密着性を高めることができ、結果として優れた耐酸化性を複合材料2に付与することができる。特に、炭素系の基体4表面に緻密質ガラス層8を付与しようとする場合には、基体4の表面においてガラスに対する濡れ性を確保するような結合層6を設けることが好ましい。結合層6の好ましい組成は、緻密質ガラス層の種類によって異なるが、それ自体少なくとも基体4と緻密質ガラス層8に対して濡れ性が高いことが好ましい。また、耐酸化性を備えていることが好ましい。このような観点からすると、例えば、基体4が炭素系材料である場合、結合層6は、好ましくは、Si、SiC、Si、SiC、MoSi等のSiを含有する化合物層とすることができる。特に、前記緻密質ガラス層8がSiOを含有する場合には、結合層6はSiおよび/またはSiOを含有することが好ましい。またSiOのみからなることも好ましい。結合層6がSiを含有し、緻密質ガラス層SiOを含有するガラス相等を有するとき、緻密質ガラス層の溶融被覆工程において、CO=1気圧のときの酸素の平衡圧下では、Siはガラスと反応してSiOを生成する。また、結合層6をSiやSiCで形成するときと異なりクリストバライトの生成を伴わない。これらのことから、結合層6としてSiを含有することで密着性と濡れ性とに優れた緻密質ガラス層8を形成することができる。
結合層6の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。0.1μm未満であると、緻密質ガラス層8がSiO含有ガラス相を有する場合において、その溶融被覆過程において、Siとガラスとの反応により生成したSiO層がガラス中に完全に溶解してしまい、結果として、炭素系基体4の溶融ガラスに対する濡れ性を維持することができなくなる。一方、結合層6の厚さが20μmを超えると、結合層6を付与する過程において、熱分解・収縮に伴いき裂が生成し炭素系基体4が表面に露出するため、緻密質ガラス層8である溶融ガラスに対する濡れ性を付与することができないからである。より好ましくは、1μm以上10μm未満である。なお、結合層6についても、基体4と同程度の熱膨脹係数であることが好ましい。緻密質ガラス層8と同様、基体4の熱膨張係数を同程度とすることで、異相界面における熱応力の発生を抑制し、密着性を向上させることができる。
(緻密質ガラス層)
緻密質ガラス層8は、腐食種の拡散を抑制可能に形成されている。ここでいう腐食種は、酸素の他、水(水蒸気を含む)である。緻密質ガラス層8は、酸素、水蒸気に対して優れた化学的安定性を有する化合物で形成されることが好ましい。また、基体4と同程度の熱膨脹係数であることが好ましい。基体4の熱膨張係数と同程度とすることで、異相界面の熱応力の発生を抑制し、密着性を向上させることができる。例えば、基体4を炭素系材料とするとき、緻密質ガラス層8の熱膨脹係数(室温〜900℃)は1×10−6−1以上8×10−6−1以下であることが好ましい。
緻密質ガラス層8は、M(Mは、Y、La、またはScである)、AlおよびSiOからなる群から選択される2種以上を含むことが好ましい。このような組成のガラスは、緻密質のガラス層を容易に形成できる点において好ましい。組成は特に限定しないが、Y−Al−Si−O系、Sc−Al−Si−O系、La−Al−Si−O系を用いることができる。これらを1種あるいは組み合わせて用いることができるが、好ましくは、Y−Al−Si−O系ガラスを用いる。Y−Al−Si−O系ガラスを構成する酸化物はいずれも安価であり、しかもその水酸化物(気体)の平衡蒸気圧が小さいことから、高温の水蒸気環境下における耐食性に優れる(耐揮発性に優れる)。また、これらのM(Y、ScあるいはLa)−Al−Si−O系ガラスは、窒素含有雰囲気下で基体4を溶融被覆する工程において、ガラス層表面に雰囲気ガス中のNが固溶してオキシナイトライドガラス相(M−Al−Si−O−Nガラス相)を形成する。かかるオキシナイトライドガラス相は、その後の酸化により多孔質化でき、これにより多孔質ガラス層を形成することができる。当該ガラスにおいては、好ましくは、SiOが20wt%以上60wt%以下、Alが10wt%以上40wt%以下、M(好ましくはY)が20wt%以上60wt%以下である。
緻密質ガラス層8は、M(Mは、Y、La、またはScである)、Al、よびSiOからなる群から選択される2種以上を含むガラスに窒素が固溶した系を用いることができる。好ましくは、Y−Al−Si−O−N系ガラスなどのM(Y、ScあるいはLa)−Al−Si−O−N系ガラス(オキシナイトライドガラス)とすることもできる。オキシナイトライド系ガラスであれば、上記オキサイド系ガラスのようにその場でNを固溶化させてオキシナイトライドガラス相を形成する必要がない。但し、緻密質ガラス層8のガラスとしてオキシナイトライド系ガラスを使用する場合は、誘導発熱体の使用温度は、緻密質ガラスの多孔質化処理温度よりも十分に低くし、誘導発熱体使用時の緻密質ガラス層8の酸化劣化を防止する必要がある。
なお、緻密質ガラス層8は、850℃以上のガラス転移点を有することが好ましい。850℃未満であると、電磁誘導発熱体の常用温度(700〜850℃)において、結晶化に伴う体積収縮と熱膨張係数の増大により、その後の冷却過程においてガラス層が破壊する可能性がある。また、ガラスは溶融温度が1200℃以上であることが好ましい。1200℃未満であると、高温での使用時において複合形態が損なわれるおそれがあるからである。
緻密質ガラス層8の厚さは、10μm以上1000μm以下であることが好ましい。10μm未満であると腐食種の基体4までの拡散距離が短く長期間の耐食性に劣るからである。また、1000μmを超えると、炭素系の基体4を誘導発熱する過程において、緻密質ガラス層8の熱伝導率が炭素系の基体4よりも小さいために熱応答性が悪くなることに加えて、緻密質ガラス層8内において急峻な温度勾配がつくため、その結果として誘起した引張応力により緻密質ガラス層8が破壊するからである。より好ましくは、50μm以上500μm以下である。
(多孔質ガラス層)
多孔質ガラス層10は、緻密質ガラス層8の表層に備えられている。多孔質ガラス層10は、複合材料2に耐熱衝撃性を付与する観点からは、複合材料2の表層のほぼ全体を均一に被覆していることが好ましい。多孔質ガラス層10は、後述するように緻密質ガラス層8の表層側(オキシナイトライド層)を酸化させることで多孔質化して得られる層である。したがって、そのガラス組成は、基本的に緻密質ガラス層8に由来しており、緻密質ガラス層8とほぼ同一かあるいは近似したものとなっている。ここで、緻密質ガラス層8が上記のM(Y、ScあるいはLa)−Al−Si−O系ガラスである場合、多孔質ガラス層10のガラス組成は、緻密質ガラス層8とほぼ等しくなる。すなわち、多孔質ガラス層10と緻密質ガラス層8との間において、両ガラス層を構成する構成成分(金属酸化物としての)が完全に一致するとともに、ぞれぞれのガラス層のガラス組成の全体を100としたときの両ガラス層の各構成成分の重量比率を比較したとき、同一構成成分間における重量比率の最大差が±5以下とすることができる。これは、かかるガラス組成の緻密質ガラス層8とする場合、多孔質ガラス層10は、緻密質ガラス層8の表層側に予め窒素を固溶してオキシナイトライドガラス相を形成させ、その後、これらのガラス相から窒素をNOガスとして脱離させるとともにガラス相を粘性流動させて多孔質化して形成するからであり、多孔質化した後のガラス組成は、固溶前のガラス組成に基本的に一致するからである。
また、緻密質ガラス層8がオキシナイトライド系ガラスの場合には、多孔質ガラス層10のガラス組成は、緻密質ガラス層8に近似したものとなる。すなわち、これらのガラス組成の緻密質ガラス層8中の構成成分である窒素をNOガスとして緻密質ガラス層8の表層から脱離させるとともにガラスを粘性流動させることによって多孔質ガラス層10が形成するため、緻密質ガラス層8に含まれる窒素の一部が酸素に置換されたような組成を有することになるからである。
このように、多孔質ガラス層10は緻密質ガラス層8の一部でもあり、基本的に組成物もほぼ同一かあるいは近似しているため、良好な一体性を有している。また、多孔質ガラス層10が緻密質ガラス層8の一部であることから、ガラスの溶融被覆によって被覆可能な部位であれば多孔質ガラス層10による被覆も可能になるため、複雑形状の複合材料2であっても容易にその表面を多孔質ガラス層10で被覆できる。さらに、多孔質ガラス層10は、緻密質ガラス層8および多孔質ガラス層10のガラス組成のガラス転移点温度を超える高い温度と室温レベルとの間での熱衝撃であっても、その多孔質性によって良好な耐熱衝撃性を発揮することができる。これにより、緻密質ガラス層8への熱衝撃を緩和して緻密質ガラス層8による基体4の被覆状態を維持させることができる。
多孔質ガラス層10における気孔率や気孔径は特に限定しないが、気孔率が20%以上80%以下であることが好ましく、気孔径は、平均気孔径が0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましい。また、気孔径分布は、平均気孔径の±50%範囲内に全気孔の70%以上が含まれることが好ましい。気孔率が20%または平均気孔径が0.1μm未満であると熱伝導率が緻密質ガラス層8のそれと同程度どなり十分な遮熱効果を発現させることができず、結果として、緻密質ガラス層8への熱衝撃を緩和することができないからである。また,気孔率が80%または平均気孔径が10.0μmを超えると多孔質ガラス層10の熱伝導率が炭素系の基体4や緻密質ガラス層8よりも十分に小さいために複合材としての熱応答性が悪くなるとともに多孔質ガラス層10の強度が低下し壊れやすくなるからである。より好ましくは、気孔率は40%以上60%以下であり、平均気孔径は0.1μm以上5.0μm以下である。なお、気孔率は、SEM画像上等の画像上の気孔の面積を個別に計測し、気孔の面積の総和を画像全体の面積で除することにより求めることができる。また、平均気孔径は、気孔率の計測と同様にして個々の気孔面積より平均面積を算出し、その平均面積と等しい面積をもつ円を仮定し、その円の直径を算出することにより求めることができる。このような画像処理については、例えばScion Image(Scion Corporation製)など画像処理ソフトを用いて行うことができる。また、気孔率や気孔径は、後述するように緻密質ガラス層8の酸化工程における温度、時間、酸化剤ガス種によって制御することができる。
多孔質ガラス層10の厚さは、50μm以上1000μm以下であることが好ましい。50μm未満であると、厚さが小さすぎるため十分な遮熱効果を発現させることができず、結果として、緻密質ガラス層8への熱衝撃を緩和することができないからである。また、1000μmを超えると、炭素系の基体4を誘導発熱する過程において、多孔質ガラス層10の熱伝導率が炭素系の基体4や緻密質ガラス層8よりも十分に小さいために複合材としての熱応答性が悪くなるからである。より好ましくは、50μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは100μm以上300μm以下である。
なお、本複合材料においては、結合層6、緻密質ガラス層8および多孔質ガラス層10のほか、必要に応じて他の層を基体4の表層側に付与することができる。例えば、基体4側には腐食種拡散抑制可能なセラミックス系の別の緻密層を設けることもできる。かかるセラミックス層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ムライト、酸化イットリウム、YAG(Al12)等で形成することができる。また、多孔質ガラス層10の表層側には、AlTiOなどの遮熱層を設けることもできる。
(複合材料の製造方法)
本発明の複合材料の製造方法は、基体の表層側に腐食種拡散抑制可能な緻密質ガラス層であって少なくともその表層に該緻密質ガラス層の酸化によりガス化する成分を含有するガス化成分含有層を有する緻密質ガラス層を備える複合材料前駆体を作製する多孔質ガラス前駆体作製工程と、酸化性雰囲気下前記ガス化成分含有層を加熱して前記ガス化成分を前記ガス化成分含有層から揮発させて多孔質化する多孔質ガラス層形成工程と、を備えている。以下、結合層形成工程、多孔質ガラス前駆体作製工程および多孔質ガラス層形成工程について説明する。
(基体の準備)
この複合材料前駆体作製工程において用いる基体4は、得ようとする複合材料2の形態に対応した形態を有することができる。例えば、電磁誘導発熱体として用いる複合材料2の形態としては、図2に示すような加熱媒体の流路となりうる貫通孔4aを有する形態とすることが好ましい。
(結合層形成工程)
基体4の表面側に緻密質ガラス層8を備えるにあたっては、既に述べたように結合層6を付与することが好ましい。結合層6は、ディッピング法、塗布法、スプレー法等、浸透法、溶射法等、各種方法により形成することができる他、厚さを精度よくコントロールするには、炭素系基体4表面等へのCVD法等の蒸着法などの物理的化学的成膜法、前駆体化合物溶液の含浸及び熱分解による方法を採用することが好ましい。
例えば、窒化ケイ素(Si)及び/又はSiOを含む結合層6を形成しようとする場合には、熱分解により、Siを生成する前駆体溶液(Si−N前駆体)を炭素系基体4の表層側(典型的には表面)に含浸等により付与し熱分解(一例として約600℃、窒素雰囲気下)を行う。これを1回以上行うことにより、適度な厚さの結合層6を形成することができる。Siは、当該熱分解では非晶質であるが、さらに加熱することで結晶質となる。適度な厚さの非晶質層を形成した後に再度加熱することにより結晶化することもできるが、当該結晶化工程を、後段において緻密質ガラス層8を基体4に付与する前駆体作製工程において行うこともできる。
結合層6がケイ素系化合物層である場合、緻密質ガラス層形成工程においては、結合層6の一部は緻密質ガラス層8のガラス質層に溶解し、また、緻密質ガラス層8のガラス成分が結合層6を貫通して炭素系基体4側に侵入することがわかっている。かかる層間の相溶によって密着性のよい結合層6と緻密質ガラス層8を形成できる。
緻密質ガラス層8がSiOを含有するガラス質層であるとき、特に、Si前駆体あるいはSiの層を炭素系基体4表面に付与しておき、緻密質ガラス層8のガラス被覆工程を実施することにより、結合層6中に、SiとともにSiOを生成、あるいはSiOのみを生成させることができる。これにより、結果としてSiOの結晶の一つであるクリストバライトの生成を抑制して、結合層6による密着性を確保及び向上させることができる。SiOは、ガラスが溶融するガラス溶融被覆工程では、SiとSiOとの反応により生成される。
(多孔質ガラス前駆体作製工程)
基体4の表層側に緻密質ガラス層8と多孔質ガラス前駆体層とを備えた2層構造を作製するには、始めに得ようとする緻密質ガラス層8の組成に対応したガラス組成物を調製し、このガラス組成物を用いてディッピング法、塗布法、スプレー法等、溶融含浸法、溶射法等の各種方法を用いることができる。なかでも、基体4に対する緻密質ガラス層8の被覆性を高めるには、溶融させたガラス組成物中に基体4を浸漬して含浸させることで基体4の表面を緻密質ガラス層8で被覆する溶融含浸法を採用することが好ましい。
多孔質ガラス前駆体は、緻密質ガラス層8を備えるとともに、この緻密質ガラス層8の少なくともその表層に酸化によりガス化する成分を含有するガス化成分含有層を有していることが必要である。緻密質ガラス層8のガラスとしてオキシナイトライド系ガラスなどのガラス組成自体が上記ガス化成分を含有している場合は、溶融含浸の場合には、通常使用されるガス雰囲気(窒素)で溶融含浸を行えばよい。また、M(Y、ScあるいはLa)−Al−Si−O系ガラスなどガス化成分を含有しないガラス組成を採用する場合にも、同様に、ガス雰囲気(窒素)で溶融含浸を行い、緻密質ガラス層8の表層側にかかるガス化成分を固溶化させる工程を行うことが必要である。ガス化成分を固溶化することにより、その後の多孔質化工程において好ましい多孔質ガラス層10を形成することができる。
例えば、溶融含浸の際にNなどのガス化成分を固溶するには、窒素含有雰囲気で溶融含浸を行うことで容易に緻密質ガラス層8の表層側にかかる元素の固溶層、すなわち、ガス化成分含有層を形成することができる。なお、ガラス組成自体がガス化成分を含有している場合においてもその表層側においてより多くのガス化成分を含有させたい場合には、このようなガラス組成の緻密質ガラス層8においても固溶化を実施することができる。
なお、緻密質ガラス層8に採用するガラス組成と溶融含浸の温度と雰囲気ガスの圧力によって後段で形成する多孔質ガラス層10の厚さを制御することができる。窒素などのガス化成分を多く含有するガラス組成あるいはかかるガス化成分を雰囲気ガスから固溶化しやすいガラス組成を採用することで、多孔質ガラス層10を厚くすることができる。また、溶融含浸温度や雰囲気ガスの圧力を高めることによって、ガス化成分の固溶化を高めて多孔質ガラス層10を厚くすることができる。
(多孔質ガラス層形成工程)
多孔質ガラス層形成工程では、前記多孔質ガラス前駆体作製工程で作製した前駆体の前記ガス化成分含有層を酸化性雰囲気下で前記緻密質ガラス層のガラス転移点温度以上に加熱して前記ガス化成分を前記ガス化成分含有層から揮発させて多孔質化して多孔質ガラス層10を形成する。ガス化成分としての窒素は、酸化性雰囲気においてガス化反応が進行し、NOの気泡を形成して粘性流動状態のガス化成分含有層から揮発して、ガス化成分含有層に孔部を形成する。この工程において用いられるガス化反応が進行する雰囲気としての酸化性雰囲気における酸化剤ガス種としては、酸素および/または水蒸気を用いることができる。特に、酸素と水蒸気とを組み合わせて用いることで、多孔質化を短時間で行うことができる。
多孔質ガラス層形成工程は、緻密質ガラス層8のガラス転移温度以上で行うことが好ましい。ガラス転移温度未満であると、緻密質ガラス層8の一部であるガス化成分含有層が粘性流動しないため、多孔質化しにくいからである。好ましくは、当該ガラス転移温度の直上の温度であり、ガラス転移温度以上、ガラス溶融温度以下の温度である。かかる温度域にて多孔質化することにより、均質な気孔を有する多孔質ガラス層10を形成することができる。より好ましくは、ガラス転移温度プラス50℃以下である。
多孔質ガラス層10の気孔径や気孔率は、多孔質ガラス層形成工程の酸化剤ガス種、温度、時間、雰囲気ガスの圧力等で制御することができる。なお、ガラス組成自体がガス化成分を含有せずガス化成分の固溶化によってガス化成分含有層を形成する場合、基本的に多孔質ガラス層10は、ガス化成分の固溶化によって形成されたガス化成分含有層の厚さを越えては形成されないが、ガラス組成自体がガス化成分を含有する場合には、酸化の程度によりその多孔質ガラス層10の厚さが変化する。
(複合材料の製造例)
次に、図2に示す炭素系基体4の表層側に結合層6と緻密質ガラス層8と多孔質ガラス層10とを備える複合材料2の製造例について説明する。この製造例においては、表面に結合層6を形成した炭素系基体4を結合層6を付与していない上型20aと下型20bからなり成形用キャビティ21を形成する炭素製成形型20の下型20bにセットし、さらに貫通孔4a内部には、炭素系基体4と同様に結合層6を形成したピン状の炭素製インサート30をセットし、Y−Al−Si−O−N系のガラス組成物を充てんして上型20aでキャビティ21を閉じ、Y−Al−Si−O−N系のガラス組成物が充てんされたガラス溶融器中に埋設する。炭素製インサート30の外径は、貫通孔4aの内表面に所望の厚さで緻密質ガラス層8を付与可能な大きさに形成されている。また、炭素製インサート30の長さは、炭素製成形型20のキャビティ21の内部高さにほぼ一致しており、炭素製インサート30の上面32aと底面32bとは、上型20aと下型20bとを閉じてキャビティ21を形成したとき、それぞれ上型20aの成形上面と下型20bの成形下面とに接触する長さとなっている。
次いで、ガラス溶融器をガラス溶融炉内に設置して窒素雰囲気下ガラス組成物を所定条件で溶融させ、成形型20内の炭素系基体4の表層側に含浸させ被覆させる。溶融ガラスが均質な厚さで炭素系基体4の外表面および貫通孔4aの内表面を被覆するよう、キャビティ21内において基体4および炭素製インサート30の位置を保持するようにする。なお、炭素製インサート30の上面32aおよび底面32bは、上下の成形面に密着させてこれらの面は溶融ガラスに被覆されない状態にようにする。
所定時間加熱後、成形型20を徐々に冷却することにより成形型20内に表面に多孔質ガラス前駆体40が作製される。多孔質ガラス前駆体40を成形型20から取り出した状態では、貫通孔4a内には炭素製インサート30が保持されており、その上面32aと下面32bは露出された状態となっている。このような多孔質ガラス前駆体40を大気中前記露出部分から炭素製インサート30の炭素を焼成して減容ないし焼失させることにより炭素製インサート30を貫通孔4aから除去することができる。こうして得られた多孔質ガラス前駆体40を多孔質ガラス層形成工程に供する。なお、この多孔質ガラス前駆体40においては、基体4の外表面および貫通孔4aの内表面に緻密質ガラス層8が備えられているとともにその表層側には溶融含浸時の雰囲気ガス中の窒素が固溶したガス化成分含有層が形成されている。
次いで、多孔質ガラス質層形成工程では、多孔質ガラス前駆体40の緻密質ガラス層8のガラス転移温度を越える温度下で酸素と水蒸気との混合雰囲気下で酸化することで、ガス化成分含有層の窒素をNOガス等として揮発させて多孔質化して多孔質ガラス層10を形成する。
図2の製造例によれば、前記基体が被酸化性材料からなり凹部あるいは貫通孔等のキャビティを有する場合、多孔質ガラス前駆体作製工程を、該キャビティの内部形状に対応した被酸化性材料製インサートを該キャビティの緻密質ガラス層で被覆すべき内表面と接触させることなくセットするとともに、前記インサートの前記キャビティの外部に突出される一部が緻密質ガラス層で被覆されない状態にセットして行い、該多孔質ガラス前駆体作製工程後前記多孔質層ガラス形成工程に先立って、前記インサートを前記キャビティから除去するようにする、複合材料の製造方法も提供される。被酸化性材料製インサートの除去にあたっては、露出された被酸化性材料製インサートの露出された被酸化性材料面を介して該インサートを焼成等により減容あるいは焼失するような条件をすることが好ましい。なお、被酸化性材料製インサートの前記キャビティの緻密質ガラス層で被覆すべき内表面に対向する外表面には上記結合層を形成しておくことで滑らかで欠陥のない緻密質ガラス層8でキャビティ内表面を被覆できる。なお、この製造例における複合材料2は、前記基体を電磁誘導によって発熱する発熱体とすることで電磁誘導加熱装置の発熱体に好ましく用いることができる。
なお、この製造例では、基体4として被酸化性材料の典型例として炭素系基体を用いたが既に述べたような各種の他の材料を用いることができ、同様に緻密質ガラス層8としても既に述べた各種ガラスを用いることができる。なお、インサートは基体と同一組成の被酸化性材料であってもよく異なる組成の被酸化性材料であってもよい。
このようにして形成された耐酸化複合材料は、良好な耐酸化性、耐熱衝撃性を備えており、さらに、酸化性の激しい環境(高温、水蒸気雰囲気)における耐酸化性も発現することができる。本発明の複合材料は、各種熱処理部材用材料として適用できる。さらに、電磁誘導による発熱する発熱体材料とすることもできる。さらに、炭素系基体など電磁誘導により発熱する基体を含む複合材料を用いた電磁誘導発熱体を備える電磁誘導加熱装置も提供できる。かかる電磁誘導加熱装置としては、水蒸気を過熱するヒーターであることが好ましく、用途としては、食品加工(生鮮食料品の滅菌・殺菌、甲殻類の解凍、レトルト食品等の乾燥)の他、廃材や廃棄物の加熱処理、水素製造装置(水の電気分解等による)等を挙げることができる。
(ガラス系材料)
本発明の一つの形態によれば、緻密質ガラス部とその表層の少なくとも一部を占める多孔質ガラス層とを備えるガラス系材料が提供される。このガラス系材料は、複合材料における緻密質ガラス層と同様のガラス組成のガラス組成物を溶融し表層の少なくとも一部にガス化成分含有層を有する所望のガラス成形物を得て、このガス化成分含有層を酸化して多孔質化することで多孔質ガラス層を形成することによって作製することができる。緻密質ガラス部については既に述べた複合材料の緻密質ガラス層に用いることのできるガラス組成を採用することができるとともに、同様にしてその表層側にガス化成分含有層を形成して最終的に多孔質ガラス層を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例は、図2に示す製造例についての実施例である。
1)炭素系複合材料の作製
炭素系基体としてのカーボン板(Carbonics社製ET−10、直径46mm×厚さ3mmの円板、厚さ方向に直径7mmの貫通孔を同芯円状に配置されている)と緻密質ガラス層被覆用のインサートであるカーボンピン(直径4.5mm)とを超音波洗浄した後、減圧中にて2000℃×2時間処理した。この熱処理により、Carbon中の不純物を除去した。次に、このカーボン板およびカーボンピンにSi−N前駆体を用いて結合層を付与した。Si−N前駆体には、Clariant Japan製のPerhydropolysilazane(PHPS)溶液(NN110、20wt%−PHPS、キシレン溶媒)を使用した。この前駆体溶液中にカーボン板とカーボンピンとを減圧含浸し、その後、窒素中(0.1MPa)において熱分解(600℃×1時間)を行った。この前駆体含浸−熱分解サイクルを3回繰り返した。Si−N結合層は600℃熱分解の段階では非晶質であるが、次段のガラス溶融被覆温度に昇温することでSiを主成分とする結晶層に変化する。結晶化前の時点での結合層の厚さは約5μmであった。
次に、熱分解後のカーボン板をカーボンモールド内に設置し、合わせてカーボンピンを貫通孔内に設置し、その周りに予め調整しておいたY−Al−Si−Oガラス粉末を充填した。なお、カーボンピンは、その端部表面のいずれかあるいは双方においてガラス被覆されずしかも窒化ケイ素からなる結合層も除かれるような状態で保持させた。その後、窒素中(1MPa)において、Y−Al−Si−Oガラスを溶融(1500℃×1h)させてカーボン板全体およびその貫通孔内表面を被覆する緻密質ガラス層を形成した。この後、モールドから取り出したカーボン板を700℃で24時間焼成することでカーボンピンの露出された炭素面部分からカーボンピンを焼失させて除去した。こうして得られた複合材料前駆体において、カーボン板表面の緻密質ガラス層の厚さは1mmであり、貫通孔内壁のガラス層の厚さは1.25mmであった。
次に、得られた緻密質ガラス層を被覆したカーボン板を、900℃、80vol%の水蒸気環境下(搬送ガス=酸素、20vol%)に500h曝露した。混合ガス搬送量は100cc/minである。高温水蒸気曝露後の試料の質量変化量は、0.01wt%減量したにすぎず極めて良好な耐食性を示すことが確認された。なお、Y−Al−Si−Oガラス粉末の調製は以下のとおりとした。
なお、質量変化量(ΔW、wt%)は次式(1)で算出した。
ここで、Wは試験前質量、Wは所定時間保持後の質量である。
(Y−Al−Si−Oガラス粉末の調製)
このガラス粉末は、ナカライテスク(株)製のSiO粉末(試薬特級)と住友化学工業(株)製のAl粉末(商品名:「AKP−50」)と第一希元素化学工業(株)製のY粉末(商品名:「NRN」)を、SiO:Al:Y=46:21:33(wt%)になるように混合した後、この混合粉末を白金容器内において大気中1380℃で15時間保持し溶解させた後、室温にまで急冷させて作製した。得られたガラス塊をアルミナ乳鉢・乳棒を用いて粉砕し、ガラス粉末を得た。この組成のガラス転移温度は889℃であり、多孔質化処理のための高温水蒸気曝露温度を900℃とした。炭素系基体及び当該ガラスの熱膨脹係数は、約3.9×10−6−1であった。
2)炭素系複合材料の界面の二次電子像及びEDSによる定量分析
作製した炭素系複合材料について、界面観察と化学組成とを分析した。図3に、カーボン板の表層の断面の走査型二次電子(SEM)像を、図4に多孔質ガラス層の気孔径分布を示す。被覆層の表面近傍には、約150μmの厚さの多孔質ガラス層が形成されていた。多孔質層中の気孔は0.5〜4.0μm程度の球状を呈していた。SEM画像処理により求めた気孔率は37%、平均気孔径は1.9μmであった。なお、気孔率及び平均気孔径については、画像処理ソフト(Scion Corporation製Scion Image)を用いて行った。また、多孔質層の化学組成をエネルギー分散型分光法(EDS)により定量した結果、表1に示すように、その下層にある緻密質ガラス層の化学組成と同じであり、それらは、原料粉末の酸化物組成とも一致していた。このことからも多孔質ガラス層と緻密質ガラス層間の密着性は非常に優れることが容易に予想された。
(炭素系複合材料の耐熱衝撃性評価)
次に、実施例1で作製した炭素系複合材料の水中急冷法による耐熱衝撃性を評価した。対照としては、緻密質ガラス層の表層を多孔質化しない以外は実施例1と同様に作製した炭素系複合材料を用いた。水中急冷法は、試験片を治具に取り付けた後、電気炉にて900℃(大気中)で30分間保持した後、電気炉から50cm離れたところに設置した水中(25℃)に1m/sの速度で治具ごと入れることによって熱衝撃を与えた。この操作を複合材料表面のガラス層が大きく破壊してカーボン板は露出するまで繰り返した。試験後の試験片の質量変化を前記式(1)より求めた。結果を図5に示す。
図5に示すように、実施例1の本複合材料(△)については、熱衝撃を73回与えたときにガラス層全体の崩壊が認められた。これに対して対照(○)は、熱衝撃回数の増加に伴いガラス層が表層から徐々に剥離し、熱衝撃を42回与えたときにガラス層全体が崩壊してカーボン板の激しい酸化が認められた。したがって、本複合材料は、対照よりもガラス層の剥離が抑制され酸化が抑制されることが明らかであった。以上のことから、緻密質ガラス層の表層側を多孔質ガラス層とすることで、熱衝撃寿命を延長できることが確認できた。
本発明の複合材料の複合形態を模式的に示す図。 本発明の複合材料の製造例を示す図。 実施例1で作製した複合材料の表層側の二次電子像を示す図。 実施例1で作製した多孔質ガラス層中の気孔径分布を示すグラフ図である。 実施例1で作製した複合材料の耐熱衝撃性評価の結果を示すグラフ図である。
符号の説明
2 複合材料、4 基体、4a 貫通孔、6 結合層、8 緻密質ガラス層、10 多孔質ガラス層、20 炭素製成形型、21 キャビティ、30 炭素製インサート、32a 炭素製インサート上面、32b 炭素製インサート底面

Claims (13)

  1. 耐酸化複合材料であって、
    炭素材料からなる基体と、
    当該基体の表層側に備えられ、M23(Mは、Y、La、またはScである)、Al23およびSiO2からな緻密質ガラス層と、
    この緻密質ガラス層の表層に含まれる窒素を酸化性雰囲気下で加熱し除去して得られる多孔質ガラス層と、
    を備え、
    前記緻密質ガラス層と前記基体との間には、Si、SiC、Si34、MoSiO2及びSi22Oからなる群から選択される1種以上を含有する結合層、
    を備える、複合材料。
  2. 前記多孔質ガラス層の気孔率が20%以上80%以下であり、平均気孔径が0.1μm以上10.0μm以下である、請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記緻密質ガラス層は850℃以上のガラス転移点を有している、請求項1又は2に記載の複合材料。
  4. 前記基体が貫通孔および/または凹部を有し、該貫通孔および/または該凹部の内表面にも前記緻密質ガラス層と前記多孔質ガラス層とを備える、請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の複合材料を有する電磁誘導発熱体。
  6. 請求項5に記載の電磁誘導発熱体を備える、電磁誘導加熱装置。
  7. 耐酸化複合材料の製造方法であって、
    炭素系材料からなる基体の表面にSi、SiC、Si34、MoSiO2及びSi22Oからな結合層を備え、この結合層の表層側にM23(Mは、Y、La、またはScである)、Al23およびSiO2からなる群から選択される2種以上を含む緻密質ガラス層であって少なくともその表層に該緻密質ガラス層の酸化によりガス化する成分を含有するガス化成分含有層を有する緻密質ガラス層を備える複合材料前駆体を作製する前駆体作製工程と、
    酸化性雰囲気下前記ガス化成分含有層を加熱して前記ガス化成分を前記ガス化成分含有層から揮発させて多孔質化する多孔質ガラス層形成工程と、
    を備える、製造方法。
  8. 前記前駆体作製工程は、ガス化成分を含有するガス雰囲気下で前記緻密質ガラス層のガラス組成物を溶融含浸して前記基体の表層側に緻密質ガラス層を形成するとともに、該緻密質ガラス層の表層側に前記ガス雰囲気中のガス化成分を固溶化させて前記ガス化成分含有層を形成する工程である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記多孔質ガラス層形成工程は、前記緻密質ガラス層のガラス転移温度以上、かつ、該ガラスの溶融温度以下の範囲で前記ガス化成分含有層をガス化反応が進行する雰囲気で加熱する、請求項7又は8に記載の製造方法。
  10. 前記基体が被酸化性材料からなり貫通孔および/または凹部を有しており、
    前記前駆体作製工程は、前記貫通孔および/または前記凹部のキャビティの内部形状に対応した被酸化性材料からなるインサートを該キャビティの緻密質ガラス層で被覆すべき内表面と接触させることなくセットするとともに、前記インサートの前記キャビティの外部に突出される一部が前記緻密質ガラス層で被覆されないようにセットして行い、該前駆体作製工程後、前記多孔質層ガラス形成工程に先立って、前記インサートを前記キャビティから除去する、請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記インサートは、前記インサートを、前記インサートの前記緻密質ガラス層で被覆されない前記一部を介して前記インサートを構成する被酸化性材料を焼成して減容あるいは焼失させて除去する、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記基体は電磁誘導発熱材料からなる、電磁誘導発熱体の製造方法である、請求項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 23(Mは、Y、La、またはScである)、Al23およびSiO2からなる群からな緻密質ガラス部と、
    この緻密質ガラス部の表層に含まれる窒素を酸化性雰囲気下で加熱し除去して得られる多孔質ガラス部と、
    を備える、炭素材料被覆用材料。
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