JP4658490B2 - 電子源及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子顕微鏡などに使用される電子源に関し、更に詳細には、ナノチューブを電子源の陰極として用いることにより高強度の電界をナノチューブ先端に発生させ、安定且つ高効率な電界放出型の電子源及びその製造方法に関する。
電子顕微鏡や電子型フラットディスプレイ等は電子源からの電界放出により作動する装置である。例えば、電子顕微鏡用電子源は、熱電子放出型電子源と電界放出型電子源に大きく分けられる。熱電子放出型電子源は、ヘアピン状に形成されたタングステンフィラメントやホウ化ランタン単結晶などを高温に加熱し、このとき放出される熱電子を利用する。しかし、熱電子放出型電子源は加熱により電子ビームのエネルギー幅が大きくなり、陰極物質の蒸発により寿命が比較的短いといった欠点を有している。
電界放出型電子源は、タングステン結晶などの先端を電界研磨により針状に尖らせ、その先端に電界を集中させることで強電界を印加して電子ビームを放出させる。従って、常温で使用することができ、加熱による電子ビームのエネルギー揺らぎが小さく、高いエネルギー分解能を有している。また常温使用により陰極物質の蒸発がなく、長寿命を有する電子源である。更に、電界放出型電子源から放出される電子ビームは、ビーム径が小さく、高輝度で干渉性が高いため、電子顕微鏡の高分解化に貢献できる。しかし、電界放出型電子源を安定に動作させるためには、約1×10−8Pa以下の超高真空中でなければならず、電子源室に超高真空排気系を接続する必要がある。
電界放出型電子源は、陰極の先鋭化技術の進歩により多くの電子顕微鏡に導入されている。この電界放出型電子源を用いた走査型電子顕微鏡は、例えば、特開平5−266855号(特許文献1)に開示され、電界放出型電子源を用いた透過型顕微鏡は、特開平6−215714号(特許文献2)に開示されている。また、電界放出型電子源の不純物除去用に使用されるフラッシング回路はインターネットホームページhttp://www.remus.dti.ne.jp/~kkkkwing/detail2-1.htm(非特許文献1)に開示されている。
図13は電界放出型電子源を用いた走査型電子顕微鏡の概念図である。この走査型顕微鏡は、前述した特許文献1及び特許文献2に共通する電界放出型電子源を備え、しかも非特許文献1に示されるフラッシング回路を備えている。従って、図13により、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1を結合的に説明する。走査型電子顕微鏡は、電子ビーム108を放出する電子銃106、試料124を2次元走査する電子ビーム108を集束、制御する電子光学系110、及び試料124からの2次電子信号132を検出する検出系126から構成される。電子銃106は、引出電源118、加速電源120、フラッシング装置122、陰極ホルダー104、加速レンズ部125、及び電界放出型電子源101から構成される。前記フラッシング装置122はフラッシング電源128及びフラッシングスイッチ130からなる。前記電界放出型電子源101は、尖鋭な陰極102を陰極ホルダー104に突設して構成されている。この電子源101は、熱電子放出型電子源に比べ電子源の大きさが非常に小さく、電子ビーム108の輝度が極めて高いという特徴を有している。また、常温で用いることができるから、電子ビーム108のエネルギー幅が非常に小さいという特徴も有している。
前記加速レンズ部125は、引出電源118により所定電圧を印加して電子ビーム108を引き出す第1アノード134、及び加速電源120により電圧を印可して前記電子ビーム108を加速する第2アノード136から構成されている。電子ビーム108を電界放出させるためには、第1アノード134と陰極102の間に約1×10V/m以上の引出電界を印加する必要がある。
一方、電子ビーム108を長時間放出すると、電子銃内の残留ガス分子と電子ビーム108の衝突により陽イオンが発生し、この陽イオンが強電界により陰極102に衝突する。その結果、陽イオンが堆積した分子層(吸着分子層)が陰極表面に形成され、電子の放出量(ビーム電流)を減少させるとともに、エミッション・ノイズを発生させる原因となる。そのため、電界放出型電子銃106には、前記吸着分子層を加熱除去するためにフラッシング装置122が配設されている。
又、図13に示された加速レンズ部125は、特殊な形状を有しバトラー型加速レンズ(Butler type)と呼ばれている。このような形状は、加速電圧の電界がアノード間にのみ生じるように設計されている。
電子光学系110は、コンデンサレンズ112、中間レンズ113、偏向コイル114、及び対物レンズ116から構成される。電子源101から放出された電子ビーム108は、コンデンサレンズ112及び中間レンズ113によりビーム電流やビーム径が制御される。また電子ビーム108の2次元走査は偏向コイル114により制御され、対物レンズ116により試料124に電子ビーム108を集束させる。上述のように電子ビームが試料124に照射され、このとき試料表面から放射される2次電子132が検出系126により検出され、試料表面が撮像される。
特開平5−266855号 特開平6−215714号 http://www.remus.dti.ne.jp/~kkkkwing/detail2-1.htm(2003年12月1日)
一般に、電界放出型電子源101において、電子ビーム108を電界放出することができる閾値電圧は、陰極先端が先鋭であるほど低減することができる。従来の陰極先端を先鋭化する技術は、主に金属線材の電解研磨加工、半導体のリソグラフィー及びエッチング処理である。これらの先鋭化技術では、陰極先端の曲率半径を約100nm以下に先鋭化することは困難である。従って、従来の電子源の陰極先端から電子ビームを放出するためには、高電圧(約1×10V/m)が印加する必要性があり、その結果、その消費電力や付設電源に係るコストを増大させていた。
また、電子ビーム108と電子銃室内の残留ガス分子との衝突により発生した陽イオンが、強電界により陰極102に衝突し、陰極先端の先鋭度を消失させる原因となっていた。更に、電界放出型電子源を連続使用すると、超高真空にあっても徐々に陰極表面に残留ガスが吸着され、電子の放出量(ビーム電流)は次第に減少していく。このような場合、ビーム電流の減少に伴い徐々に引出電圧を高めることで、ほぼ一定のビーム電流を確保する操作が行われる。しかし、ガス吸着は進行し続け、陰極表面の仕事関数は常時変化するとともにビーム電流も小刻みに変動する。このビーム電流の小刻みな変動は、二次電子像などの映像にも影響してエミッション・ノイズと呼ばれる明暗の帯状ノイズとして現れる。このような残留ガスによる分解能の低下を抑制するためには、真空度を更に向上させることが考えられるが、既に電界放出型電子源は超高真空で用いられており、これ以上の真空度の向上は困難であり、製造コストを著しく増加させる原因となっていた。また、超高真空装置により電子源が大型化し装置全体の設計の自由度を阻害している。
一般的に、ビーム電流の減少やエミッション・ノイズの発生などが引き起こされた場合、フラッシング装置122によりフラッシング操作が行われる。具体的には、フラッシングスイッチ130がONされ、フラッシング電源128により陰極102が電流加熱される。フラッシングと呼ばれる吸着分子層を除去するための加熱処理がフラッシングと呼ばれている。しかし、フラッシングを繰り返すことにより陰極物質は徐々に蒸発し、陰極102の寿命は短くなる。
従って、本発明の目的とするところは、微小径を有する陰極を開発することにより、低電圧においても高効率に電子ビームを電界放出することができ、しかも電子ビーム径を小さくすることにより高分解能の電子ビーム装置を提供し、更に超高真空を維持するための高コストな真空装置を必要としない電子顕微鏡などの電子ビーム装置の電子源を実現することである。
本発明は、上記課題を達成するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、ナノチューブと、このナノチューブを保持する陰極ホルダーと、前記ナノチューブの基端部を前記陰極ホルダーに導通状態で固着する固定部から少なくとも構成され、前記ナノチューブと陰極ホルダー間の接触電気抵抗が3kΩ〜1MΩに設定され、前記ナノチューブの先端から電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第2の形態は、複数本のナノチューブを整列させたナノチューブ群と、このナノチューブ群を保持する陰極ホルダーと、前記ナノチューブ群の基端部を前記陰極ホルダーに導通状態で固着する固定部から少なくとも構成され、前記ナノチューブ群と陰極ホルダー間の接触電気抵抗が0.5kΩ〜1MΩに設定され、前記ナノチューブ群の先端から電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第3の形態は、前記複数本のナノチューブが拘束状態で一体化している電子源である。
本発明の第4の形態は、前記ナノチューブ群の中で最先頭で突出する先頭ナノチューブを配置し、この先頭ナノチューブの先端から少なくとも電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第5の形態は、第1〜4の形態の電子源において、前記固定部が、膜形成されたコーティング被膜部、ナノチューブ基端部の融着による融着部、又はナノチューブの成長開始点となる触媒固定部である電子源である。
本発明の第6の形態は、ナノチューブと、このナノチューブを保持する陰極ホルダーと、前記ナノチューブの基端部を前記陰極ホルダーに導通状態で固着する固定部から少なくとも構成され、前記ナノチューブの先端が5員環を含むキャップ部によって閉じられており、このキャップ部をナノチューブの先端として配置し、前記キャップ部の5員環から電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第7の形態は、ナノチューブと、このナノチューブを保持する陰極ホルダーと、前記ナノチューブの基端部を前記陰極ホルダーに導通状態で固着する固定部から少なくとも構成され、前記ナノチューブの先端が開いており、その開かれた先端面がナノチューブの中心軸に対して斜め方向に形成され、その先鋭な先端から電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第8の形態は、ナノチューブと、このナノチューブを保持する陰極ホルダーと、前記ナノチューブの基端部を前記陰極ホルダーに導通状態で固着する固定部から少なくとも構成され、前記ナノチューブの先端が開かれており、その先端に水素原子が結合され、その水素原子位置から電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第9の形態は、前記ナノチューブの直径が0.3nm〜100nmである電子源である。
本発明の第10の形態は、前記ナノチューブが陰極ホルダーから突出した状態で陰極ホルダーに固定され、陰極ホルダーから突出するナノチューブの突出長が1nm〜10μmである電子源である。
本発明の第11の形態は、前記ナノチューブが陰極ホルダーに固定される場合において、陰極ホルダーの先端縁の直交方向を中心軸として、左右30度の角度範囲内にナノチューブを配置する電子源である。
本発明の第12の形態は、湾曲状態にされたナノチューブと、このナノチューブ両端の基端部を導通状態で陰極ホルダーに固着する固定部から構成され、前記ナノチューブの湾曲部の中央近傍から電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第13の形態は、V字状に折り曲げられたナノチューブと、このナノチューブ両端の基端部を導通状態で陰極ホルダーに固着する固定部から構成され、前記ナノチューブのV字先端から電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第14の形態は、前記陰極ホルダーが第1電極及び第2電極から構成され、前記ナノチューブ両端の基端部が、第1電極及び第2電極の夫々に固定部により固着される電子源である。
本発明の第15の形態は、第12〜14の形態の電子源において、前記固定部が、膜形成されたコーティング被膜部、ナノチューブ基端部の融着による融着部、又はナノチューブの成長開始点となる触媒固定部である電子源である。
本発明の第16の形態は、前記固定部において、前記ナノチューブと陰極ホルダー間の接触電気抵抗が1kΩ〜1MΩに設定されている請求項12〜15のいずれかに記載の電子源である。
本発明の第17の形態は、前記陰極ホルダーが金属又は導電性非金属物質から構成される電子源である。
本発明の第18の形態は、前記金属はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W及びAlの一種以上から選択される電子源である。
本発明の第19の形態は、前記導電性非金属物質は、ReO、SrCrO、LaNiO、MoO、WO、β−ReO、RuO、PbRu7−X、BiRu7−X、LaB及びWCの一種以上から選択される電子源である。
本発明の第20の形態は、前記陰極ホルダーが導電性被膜により被覆されている電子源である。
本発明の第21の形態は、前記導電性被膜を構成する導電性被膜物質はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al、Niの一種以上から選択される電子源である。
本発明の第22の形態は、前記コーティング被膜部を構成するコーティング被膜物質はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al、Niの一種以上から選択される電子源である。
本発明の第23の形態は、1.0×10−3Pa〜1.0×10−8Paの真空下において、前記ナノチューブから電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第24の形態は、ナノチューブを0℃〜1000℃の温度に設定して、ナノチューブから電子ビームを電界放出する電子源である。
本発明の第25の形態は、前記ナノチューブに付着したコンタミネーションを加熱除去するフラッシング操作を行うため、100℃〜1300℃のフラッシング温度で0.1秒間〜1時間のフラッシングを行うフラッシング装置が付設されている電子源である。
本発明の第26の形態は、ナノチューブの先端部が突出した状態でナノチューブ基端部を陰極ホルダー面に接触させる第1工程と、前記ナノチューブ基端部の所要領域をコーティング又は融着することによりナノチューブ基端部を陰極ホルダーに固定する第2工程から少なくとも構成され、ナノチューブと陰極ホルダー間の接触電気抵抗が3kΩ〜1MΩの範囲にあるものを選択し、前記ナノチューブの先端から電子ビームを電界放出させる電子顕微鏡用電子源の製造方法である。
本発明の第27の形態は、陰極ホルダーの適所にナノチューブ成長用触媒を固着し、この陰極ホルダーを反応容器内に配置し、炭素含有ガスを流通させて前記陰極ホルダーの触媒位置からナノチューブを成長させ、ナノチューブと陰極ホルダー間の電気抵抗が3kΩ〜1MΩの範囲にあるものを選択し、このナノチューブの先端から電子ビームを電界放出させる電子源の製造方法である。
本発明の第28の形態は、前記ナノチューブは複数本のナノチューブを整列させたナノチューブ群に相当し、このナノチューブ群の先端から電子ビームを電界放出させる電子源の製造方法である。
本発明の第29の形態は、前記ナノチューブ群が拘束された一体化ナノチューブ群である電子源の製造方法である。
本発明の第30の形態は、前記ナノチューブ群を形成する場合において、ナノチューブ群を構成する少なくとも一本のナノチューブを最先頭に突出させる電子源の製造方法である。
本発明の第31の形態は、前記ナノチューブの先端を荷電ビームにより斜め方向に切断する電子源の製造方法である。
本発明の第32の形態は、前記ナノチューブの両端を二つの端子に固定し、ナノチューブの張力を与えながらナノチューブを加熱して切断し、ナノチューブに斜めの先端を形成させる電子源の製造方法である。
本発明の第33の形態は、前記ナノチューブを導電性電極に固定したものを2個用意し、電圧をかけながら任意の点で接触させることにより、その接触点でナノューブを切断し斜めの先端を形成させる電子源の製造方法である。
本発明の第34の形態は、ナノチューブの一端を陰極ホルダーに接触させる第1工程と、この一端の所要領域をコーティング又は融着することにより陰極ホルダーに固定する第2工程と、ナノチューブの他端を陰極ホルダー面に接触させる第3工程と、前記他端の所要領域をコーティング又は融着することにより前記陰極ホルダーに固定する第4工程を少なくても含み、前記ナノチューブの中央部が湾曲状態に設定され、この湾曲部近傍から電子ビームを電界放出する電子源の製造方法である。
本発明の第35の形態は、陰極ホルダーの適所にナノチューブ成長用触媒を用いてナノチューブを成長させる第1工程と、そのナノチューブ先端を前記陰極ホルダーに接触させる第2工程と、この接触部をコーティング又は融着することにより陰極ホルダーに固定する第3工程を少なくとも含み、前記ナノチューブの中央部が湾曲状態に設定され、この湾曲部近傍から電子ビームを電界放出する電子源の製造方法である。
本発明の第36の形態は、第32又は第33の形態の製造方法において、前記陰極ホルダーは第1電極及び第2電極に分割して構成され、ナノチューブの一端は第1電極に固定され、ナノチューブの他端は第2電極に固定される電子源の製造方法である。
本発明の第37の形態は、第32〜第34の形態の製造方法において、前記湾曲部はV字状に折り曲げられて構成され、V字先端から電子ビームを放出する電子源の製造方法である。
本発明の第38の形態は、第32〜第35の形態の製造方法において、前記コーティングにより形成されるコーティング被膜部は荷電ビームによる分解堆積物である電子源の製造方法である。
本発明の第39の形態は、前記堆積物質は炭素物質又は金属から構成される電子源の製造方法である。
本発明の第1の形態は、電界放出型電子源の陰極としてナノチューブを用い、このナノチューブと、ナノチューブを保持する陰極ホルダーとの接触電気抵抗が3kΩ〜1MΩの範囲にあることに特徴を有している。従来の電界放出型電子源の陰極としては、研磨されたタングステン電極などの針状先端が用いられてきた。この研磨方法は、電界研磨、リソグラフィー、又はエッチングなどであるから、陰極先端の曲率半径は、約100nm程度に加工することが限界である。その結果、陰極から電子ビームを電界放出させるために高電圧を印加する必要性があった。最近、カーボンナノチューブ(CNT)を陰極として用いた電子源が考案され、電子ビームを効率的に放出する電子源の開発が試みられている。しかし、これまでのCNT電子源において、CNTと陰極間の接触電気抵抗は10MΩ以上であり、前記CNT電子源は実用化のレベルには達していない。
本発明者等は、低電圧で電子ビームを電界放出する電子源を開発するために鋭意研究した結果、ナノチューブと陰極ホルダーが良好な電気的導通状態を保持し、低電圧で電子ビームを電界放出する電子源を完成するに至った。本発明に係る電子源において、ナノチューブと陰極ホルダーの接触電気抵抗は3kΩ〜1MΩの範囲内にあり、電子顕微鏡の観察などで必要とされるビーム電流1mA〜1μAを放出する場合、1V〜1kVの印加電圧で電子ビームを電界放出することができる。更に、従来の電界放出型電子源において、電子ビームを電界放出させるには、電子源が設置されている電子照射系の真空度を約1×10−8Pa以下の超高真空に保つ必要性があった。本発明に係るナノチューブ陰極は、高効率に電界をナノチューブ陰極先端に集中させるから、超高真空下に設置されない場合においても電子顕微鏡の通常観察に必要とされる十分な電流量を供給することができる。ナノチューブ直径は、小さいもので約1nm以下であり、低電圧においてもナノチューブ先端における電界は高密度になり、電子ビームを放出する。ナノチューブを用いた電界放出型電子源は、1×10V/m以下の引出電圧において電子顕微鏡観察に必要なビーム電流を放出することができる。更に、本発明に係る電子源によれば、大きなビーム電流が取り出せることにより電子ビームリソグラフィーに好適である。ビーム電流が大きく電子ビーム発生点が小さいため、電子密度が高く高精度で高速に電子ビームリソグラフィーを行うことができる。
本発明の第2の形態によれば、複数本のナノチューブを整列させてナノチューブ群を形成し、このナノチューブ群を電子源の陰極とすることによって、ビーム電流をより一層増大させることができる。電子ビームは電子レンズにより集束されると共に、絞り孔によりビーム径が縮小される。特に高精度観察をする場合、電子ビームは微小径に絞り込まれるから、電子ビームのビーム電流は試料に到達するまでに大幅に減少する。従って、電子顕微鏡を用いた高精度観察を行う場合、電子源から放出される電子ビームは通常の観察に比べ大きなビーム電流を提供する必要性がある。しかし、ナノチューブを保持する陰極ホルダーとの好ましい接触電気抵抗1kΩ〜1MΩの範囲にあるナノチューブ陰極を製造するためは、ナノチューブの固定部に付着するコンタミネーションを極限まで減少させる高度な技術が必要とされる。前記ナノチューブ群を電子源の陰極として用いることにより、複数のナノチューブが陰極ホルダー表面と接触するから、ナノチューブ固定部の接触抵抗を更に低減でき、良好な導通性を付与することができる。従って、ナノチューブ本数を増加するにつれて接触抵抗は低減し、逆に電子ビームの電流値を増大化することができる。また、複数のナノチューブ先端を同位置に揃えた場合には、複数のナノチューブ先端から電子ビームを電界放出することができ、高分解観察において必要とされる大きなビーム電流を提供することができる。
本発明の第3の形態によれば、ナノチューブ群を一体化することにより、ナノチューブ間の良好な電気的導通性が確保され、ナノチューブ群の中で突出する部分に電界が集中すると、この集中部から高効率に電流を電界放出させることができる。従って、ナノチューブ陰極から電界放出されるビーム電流を増大させることができ、電子顕微鏡の高分解観察において必要とされる大きなビーム電流を実現することが可能となる。
本発明の第4の形態によれば、先頭ナノチューブ先端に電界を集中させることにより、低電圧においても電子ビームを電界放出することができる電子源を提供できる。更にナノチューブ群が一体化されているから、一体化ナノチューブ群中を通電する電流を先頭ナノチューブへ流入させることができる。また、ナノチューブ群は陰極ホルダーとの接触面積が大きくなるから、それらの間に良好な導通性を確保でき、放出電流を増加できる利点がある。
本発明の第5の形態によれば、ナノチューブを陰極ホルダーに固着する固定部が膜形成されたコーティング被膜部、ナノチューブ基端部の融着による融着部、又はナノチューブの成長開始点となる触媒固定部から形成されることにより、ナノチューブを強固に固定する共に、前記固定部に良好な導通性を付与することができる。ここで、前記コーティング被膜部は、電子ビーム照射又はイオンビーム照射により装置内の不純物ガスを分解し、この分解物を堆積させてコーティング膜を簡単且つ短時間に形成できる。又、ナノチューブを融着させるための加熱手段としては、通電、光照射、イオン照射、電子照射、及び熱伝導などの種々の方法を用いることができる。更にナノチューブの融着工程を真空中及び不活性ガス中で行うことにより、不純物がナノチューブ探針に付着することを防止できる。陰極ホルダーの適所にナノチューブ成長用触媒を担持させ、炭素含有化合物を触媒分解させれば、その触媒固定部からナノチューブが成長し、この触媒固定部が本発明の固定部に相当する。触媒固定部からナノチューブを成長させることにより、ナノチューブと陰極ホルダーの接触電気抵抗をより一層減少させることができる。
本発明の第6の形態によれば、電子ビームの放出位置にカーボンナノチューブの基本構成要素である6員環によりも電子を放出しやすい5員環が先端に配置されたナノチューブを電子源の陰極として用いることによって、高効率に電子ビームを放出することができる。ナノチューブを構成する炭素原子の配列には、いくつかの種類があり、その中でアームチェアー型ナノチューブ構造は、5員環がナノチューブ先端に位置すると考えられている。そのような5員環がナノチューブ先端に位置するような構造を有するナノチューブを陰極として用いることによって、ナノチューブ先端の5員環に対する電界は増強され、高効率に電子ビームを電界放出することができる。
本発明の第7の形態によれば、ナノチューブの先端が開き、ナノチューブ端面が斜めに形成されていることによって、ナノチューブ先端はより先鋭になり、その先端に電気力線が集中して高電界が形成される。従って、より一層高効率に電子ビームを電界放出することができる。
本発明の第8の形態によれば、ナノチューブ先端が開き、その先端に水素原子が結合されることにより、炭素−炭素結合(C−C結合)よりも結合エネルギーが小さな水素−炭素間結合(C−H結合)により仕事関数が減少し、電子が電界放出し易く、低電圧でも大電流の電子ビームを放出することができる。
本発明の第9の形態によれば、ナノチューブの直径が0.3nm〜100nmとなるから、ナノチューブ先端の電界は高密度になり高効率に電子ビームを電界放出することができる。更にナノチューブの直径が0.3nm以上である場合、ナノチューブの剛直性が保たれ、同一方向へ電子ビームを照射し続けることができる。
また、ナノチューブの先端部をテーパ状に先鋭化すれば、太い基端部を陰極ホルダーに固定して接触抵抗を小さくでき、細い先鋭端を電子放出端とすれば電気力線の集中によって低電圧で電界放出することが可能になる。この先鋭化ナノチューブの基端部直径は、数nm〜100nmに調整でき、その先鋭端直径は0.4nm〜数nmに調整することが可能である。
本発明の第10の形態によれば、陰極ホルダーに突出状態で固定されたナノチューブの突出長が1nm〜10μmであるから、ナノチューブの自発的な振動が抑制され、陰極ホルダーに安定に固定される。突出長が短いほど自励振動は抑制され、望ましくは1nm〜1μm、更に好適には1nm〜0.5nmである。従って、ナノチューブの先端からの電子ビーム放出方向は一定であり、ナノチューブは陰極として安定に電子ビームを電界放出することができる。又、ナノチューブの突出長が1nm以上確保されることにより、ナノチューブ先端に高効率に電界を集中させることができる。
本発明の第11の形態によれば、陰極ホルダーの先端縁の直交方向を中心軸として、左右30度の角度範囲内にナノチューブが配置することにより、ナノチューブ先端から電界放出される電子ビームを高効率に収束させることができる。更に、左右30度の範囲内にある場合、電子源を電子顕微鏡内などの電子銃部へ設置するとき、設置角度の微調により電子源の陰極となるナノチューブ先端を確実に集束方向(最適ビーム方向)へ向けることができる。
本発明の第12の形態によれば、ナノチューブを湾曲状態にして、そのナノチューブ両端の基端部を導通状態で陰極ホルダーに接合させ、この両接合部をコーティング被膜部により固定することにより、前記ナノチューブの湾曲部の中央近傍から電子ビームを電界放出することができる。ナノチューブが直線状態から変形される場合において、ナノチューブを構成する6員環が局所的に歪み変形6員環を形成する。この変形6員環は、正六角形を維持する6員環に比べ、電子を放出し易いことが本発明者等の実験により明らかにされた。前記湾曲部を突出させて配置することにより、湾曲部の中央近傍から電子ビームを低電圧で高効率に放出することができる。更にナノチューブ両端の基端部が陰極ホルダーに固定され、ナノチューブの両端で導通しているから良好な導通性を確保することができ、高効率に電子ビームを電界放出することができる。
本発明の第13の形態によれば、ナノチューブをV字状に折り曲げ、そのナノチューブ両端の基端部を導通状態で陰極ホルダーに接合させ、この両接合部をコーティング被膜部や融着部により固定することにより、ナノチューブのV字先端から電子ビームを電界放出することができる。V字状に折り曲げられたナノチューブのV字先端は、高効率に電子ビームを放出することが本発明者等の実験により明らかにされた。更にナノチューブ両端の基端部が陰極ホルダーに固定され、ナノチューブの両端で導通しているから良好な導通性を確保することができ、高効率に電子ビームを電界放出することができる。
本発明の第14の形態は、前記陰極ホルダーが第1電極及び第2電極から構成され、前記ナノチューブ両端の基端部を第1電極及び第2電極の夫々に固定することに特徴を有している。第1電極と第2電極は別部材で構成されるから、ナノチューブの両端を第1電極と第2電極に夫々固定すると、両電極を接近させり遠ざけたりでき、ナノチューブの湾曲率を可変でき、またナノチューブのV字角度を調節できる利点がある。また、第1電極と第2電極間に電圧を印加することにより、ナノチューブに電流を導通させ、このとき発生するジュール熱によりフラッシングを行うことができる。ここで、フラッシングとは陰極のナノチューブに付着するコンタミネーションを加熱除去する工程であり、電界放出型電子顕微鏡においては、一般的に陰極を加熱するフラッシング装置が設置されている。しかし、第1及び第2電極にその両端が固定されたナノチューブに通電することにより直接加熱することができ、高効率にコンタミネーションを加熱除去することができる。
本発明の第15の形態によれば、ナノチューブを陰極ホルダーに固着する固定部が膜形成されたコーティング被膜部、ナノチューブ基端部の融着による融着部、又はナノチューブの成長開始点となる触媒固定部から形成されることにより、ナノチューブを強固に固定する共に、前記固定部に良好な導通性を付与することができる。ここで、前記コーティング被膜部は、電子ビーム照射又はイオンビーム照射により装置内の不純物ガスを分解し、この分解物を堆積させて部分コーティング膜を簡単且つ短時間に形成できる。又、ナノチューブを融着させるための加熱手段としては、通電、光照射、イオン照射、電子照射、及び熱伝導などの種々の方法を用いることができる。更にナノチューブの融着工程を真空中及び不活性ガス中で行うことにより、不純物がナノチューブ探針に付着することを防止できる。陰極ホルダーの適所にナノチューブ成長用触媒を担持させ、炭素含有化合物を触媒分解させれば、その触媒固定部からナノチューブが成長し、この触媒固定部が本発明の固定部として機能する。触媒固定部からナノチューブを成長させることにより、ナノチューブと陰極ホルダーの接触電気抵抗をより一層減少させることができる。
本発明の第16の形態によれば、ナノチューブを保持する陰極ホルダーとの接触電気抵抗が1kΩ〜1MΩの範囲に設定されることにより、低電圧で高効率に電子ビームを電界放出する電子源を提供することができる。電子顕微鏡の観察で必要とされるビーム電流は1mA〜1μAであり、接触電気抵抗が1kΩ〜1MΩの範囲に設定されることにより、1V〜1kVの印加電圧で電子顕微鏡観察に必要とされるビーム電流を供給することができる。従って、高電圧を印加する高価な電源を付設する必要がなく、消費電力が小さな電子源を提供することができる。
本発明の第17の形態によれば、陰極ホルダーを金属又は導電性非金属物質から構成することにより、ナノチューブへ良好に通電することができる。ナノチューブを保持する陰極ホルダーが導電性を有することにより、ナノチューブへ通電させるための配線などを行う高度な技術を必要とせず、容易に電子源を製造することができる。
本発明の第18の形態によれば、前記金属はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W又はAlの一種以上から選択されることにより、良好な導電性を提供することができる。Pt、Mo、Pd、Au、W及びAlは、いずれも10Ω−1・cm−1以上の高い導電率を有し、ナノチューブとの良好な導電性を実現できる。特に、Ti、Pd及びMoは、高い導電率を有するとともに、ナノチューブとの良好な接着性を有するから、ナノチューブへの良好な通電性が確保される。
本発明の第19の形態によれば、導電性非金属物質がReO、SrCrO、LaNiO、MoO、WO、β−ReO、RuO、PbRu7−X、BiRu7−X、LaB、WCの一種以上から選択され、良好な導電性を提供することができる。更に酸化物は非常に安定であり、陰極ホルダーの長寿命化を実現することができる。
本発明の第20の形態によれば、非導電性の陰極ホルダーを導電性被膜で被覆することにより、非導電性陰極ホルダーに導電性を付与することができる。例えば、陰極ホルダーがシリコン等の半導体物質又はシリコンナイトライド等の絶縁体物質などの半導体物質から形成される場合、半導体製造技術における加工技術を用いて陰極ホルダーを形成することができ、導電性被膜を被覆することにより陰極ホルダーに良好な導通性を付与することができる。
本発明の第21の形態によれば、導電性被膜を構成する導電性被膜物質はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al及びNiの一種以上から選択されることにより、陰極ホルダーとナノチューブ陰極との良好な導通性を実現できる。Pt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al及びNiは、カーボンナノチューブとの接合性が極めて高かく、シリコンなどから構成される陰極ホルダー表面に均一に薄膜形成する極めて優れた性質を有する。従って、Pt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al及びNiの一種以上から選択される導電性被膜は、陰極ホルダーに導電性を付与するだけでなく、カンチレバーにナノチューブ陰極を強固に固定することができる。
本発明の第22の形態によれば、コーティング被膜部がPt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al及びNiの一種以上から選択されたコーティング被膜物質から構成されることにより、陰極ホルダーとナノチューブ陰極とを強固に固定することができる。Pt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al及びNiがカーボンナノチューブとの接合性が極めて高かく、シリコンなどから構成される陰極ホルダー表面に均一に薄膜形成する極めて優れた性質を有する。従って、Pt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al及びNiの一種以上から選択されるコーティング被膜部は、カンチレバーにナノチューブ陰極を強固に固定するだけでなく、陰極ホルダーとナノチューブの間に導通性を付与することができる。
本発明の第23の形態によれば、電子源が設置される1.0×10−3Pa〜1.0×10−8Paの真空化において、ナノチューブから電子ビームを電界放出することができる。タングステン陰極を用いた電子源は、1.0×10−10Paにおいて動作させる必要がある。しかし、ナノチューブを陰極として用いた場合、1.0×10−3Pa〜1.0×10−8Paの低真空で電子ビームを電界放出することができる。従って、超高真空を保持するための高価な装置を必要しない。
本発明の第24の形態によれば、0℃〜1000℃のナノチューブ温度において、ナノチューブから電子ビームを電界放出することができる。常温において、電子ビームを電界放出させる電子源は、冷陰極電界放出型電子源と呼ばれている。一方、電界放出型電子源を加熱しながら、電子ビームを電界放出させる電子源は、熱電界放出型電子源と呼ばれている。ナノチューブを陰極として用いた熱電界放出型電子源は、ナノチューブ陰極に付着するコンタミネーションを加熱除去するフラッシングを行う必要がなく、更に冷陰極電界放出型電子源に比べ低真空で電子ビームを電界放出することができる。従って、フラッシング装置や超高真空を保持するための高価な真空システムを設置する必要が無く、製造コストを低減することができる。更に、電子源のサイズが小さくなるので設計の自由度が増す。電子源のサイズが小さいためこれを利用する電子顕微鏡鏡筒を小さくすることができる。そのため、他の原理の顕微鏡と組み合わせた複合顕微鏡を容易に構成できる。組み合わされる顕微鏡としては、例えば走査型トンネル顕微鏡、走査型原子間力顕微鏡、集束イオン顕微鏡などがある。
また、この電子源の利用形態は電子顕微鏡にとどまらない。電子ビーム加熱装置の電子源や電子ビーム蒸着装置の電子源など、真空装置に付加することで広い応用範囲を持っている。これは、電子源のサイズが小さくできるので、立体的に複雑になりがちな真空装置に容易に取り付けることができるからである。
本発明の第25の形態によれば、100℃〜1300℃のフラッシング温度で0.1秒間〜1時間のフラッシングを行うフラッシング装置が設置されている。従って、ナノチューブに付着するコンタミネーションの量に応じて加熱温度及び加熱時間を変化させ、高効率にコンタミネーションを加熱除去することができる。
本発明の第26の形態によれば、ナノチューブの先端部が突出した状態でナノチューブ基端部を陰極ホルダー面に固着することにより、ナノチューブの先端に電界を集中させ、低電圧で電子ビームを電界放出する電子源を製造することができる。更に、ナノチューブと陰極ホルダー間の接触電気抵抗を3kΩ〜1MΩに設定することにより、電子顕微鏡の観察で必要とされる1mA〜1μAの電子ビームを、1V〜1kVの低電圧で電界放出する電子源を製造することができる。従来のカーボンナノチューブ(CNT)を陰極とする電子源では、CNTと電極間の接触電気抵抗は10MΩ以上であり、この程度のCNT電子源では到底実用化のレベルには達していない。
本発明者等は、ナノチューブと陰極ホルダーの接合技術を鋭意研究した結果、接触電気抵抗を3kΩ〜1MΩの範囲に低減できることに成功し、低電圧で電子ビームを電界放出する電子源の製造方法を開発するに至った。従来の電界放出型電子源では、電子ビームを電界放出させるために、電子源室の真空度を約1×10−8Paの超高真空に保つ必要性があったが、本発明に係るナノチューブ陰極では、電気力線をナノチューブ陰極先端に集中させることができるから、超高真空下に設置されない場合でも電子顕微鏡の通常観察に必要とされる十分な電流量を放射することができる。また、ナノチューブを用いた電界放出型電子源は、1×10V/m以下の引出電圧で電子顕微鏡観察に必要なビーム電流を供給することができる。
ナノチューブを陰極ホルダーに固着する固定部がコーティング被膜部又は融着部から形成されるから、ナノチューブを強固に固定する共に、前記固定部に良好な導通性を付与することができる。前記コーティング被膜部は、電子ビーム照射又はイオンビーム照射により装置内の残留ガス又は流入された有機ガスを分解し、この分解物を堆積させて部分コーティング膜を簡単且つ短時間に形成することができる。
本発明の第27の形態によれば、ナノチューブ成長用触媒を陰極ホルダーに植付けるだけで、この触媒位置がナノチューブを自在に成長させることが可能になる。しかも触媒点でナノチューブは陰極ホルダーに固着している。この固着点の接触電気抵抗を3kΩ〜1MΩに限定するから、第26形態と同様の効果を発現する。
本発明の第28の形態によれば、複数本のナノチューブを整列させてナノチューブ群を形成し、このナノチューブ群を電界放出型電子源の陰極として用いることにより、大電流の電界放出型電子源を製造することができる。電子顕微鏡を用いた高分解観察を行う場合に電子ビームは微小径に絞り込まれるから、電子源から放出される電子ビームは通常の観察に比べ大きなビーム電流を供給する必要性がある。前記ナノチューブ群を電子源の陰極として用いることにより、高分解測定において必要とされるビーム電流を供給することができる。
本発明の第29の形態によれば、前記複数本のナノチューブを拘束状態にし、ナノチューブ群を一体化し、このナノチューブ群を電界放出型電子源の陰極として用いることにより、大電流の電界放出型電子源を製造することができる。一体化ナノチューブ群を陰極とする電子源を用いることにより、電子顕微鏡の高分解測定において必要とされる大きなビーム電流を供給することができる。
本発明の第30の形態によれば、前記ナノチューブ群の少なくとも一本のナノチューブを最先頭に突出させた先頭ナノチューブを形成することにより、先頭ナノチューブの先端に電界を集中させ、強電界をナノチューブ陰極に印加することができる。またナノチューブ群の電流は先頭ナノチューブに流れ込むから、電子顕微鏡の高分解測定において必要とされる大きなビーム電流を供給することができる。
本発明の第31の形態によれば、ナノチューブの先端を荷電ビームにより斜め方向に切断することにより、ナノチューブ先端がより先鋭化され、その先端に電界を集中させて高効率に電子ビームを電界放出することができる。
本発明の第32の形態によれば、ナノチューブに張力をかけながら加熱することにより切断することによりナノチューブの先端がより先鋭化され、その先端に電界を集中させて高効率に電子ビームを電界放出することができる。その加熱には、電流を流すことによる加熱やナノチューブを固定している端子を加熱し導電させることや赤外線照射が使える。
本発明の第33の形態によれば、互いに電圧をかけたナノチューブを任意の点で接触させることにより、その接触点でナノチューブが切断され、ナノチューブの先端がより先鋭化され、その先端に電界を集中させて高効率に電子ビームを電界放出することができる。
本発明の第34の形態によれば、ナノチューブを湾曲状態にすることにより、ナノチューブの湾曲部の中央部近傍から電子ビームを電界放出することができる。湾曲部中央近傍におけるナノチューブ内の電子は、電界放出され易いことが実験的に確かめられており、高効率な電子ビームの電界放出をすることができる。
本発明の第35の形態によれば、ナノチューブを湾曲状態にすることにより、ナノチューブの湾曲部の中央部近傍から電子ビームを電界放出することができる。湾曲部中央近傍におけるナノチューブ内の電子は、電界放出され易いことが実験的に確かめられており、高効率な電子ビームの電界放出をすることができる。更に、ナノチューブの成長開始点となる触媒固定部から形成されることにより、ナノチューブを強固に固定する共に、前記固定部に良好な導通性を付与することができる。
本発明の第36の形態によれば、ナノチューブ両端の基端部を、夫々、第1電極及び第2電極に固定され、第1電極と第2電極を自在に移動することにより湾曲状に曲げられたナノチューブを製造することができる。このナノチューブでは、湾曲部の中央近傍から電子ビームを電界放出することができる。上述の第1及び第2電極に固定されたナノチューブは、第1及び第2電極に電圧を印加することにより、ナノチューブに付着したコンタミネーションを加熱除去するフラッシングを行うことができる。
本発明の第37の形態によれば、ナノチューブをV字状に折り曲げ、そのV字先端から電子ビームを電界放出することができる。ナノチューブをV字状に折り曲げた場合、そのV字先端には電気力線が集中し、強電界を発生させることができる。従って、高効率に電子ビームを電界放出することができる。
本発明の第38の形態によれば、荷電ビームを照射することによって、ナノチューブを陰極ホルダーに強固に固定するコーティング被膜部を形成することができる。更に、導電性物質からなるコーティング被膜を用いることによりナノチューブと陰極ホルダーの良好な導通性を確保することができる。
本発明の第39の形態によれば、炭素物質又は金属から構成される分解堆積物を形成することができる。分解堆積物が炭素物質からなる場合、炭素から構成されるナノチューブと強固に結合し、ナノチューブを陰極ホルダーに確実に固定することができる。
本発明に係る電子源は、ナノチューブを陰極に用いることにより低電圧、及び低真空で電子ビームを電界放出することができる電界放出型電子源である。この電子源は、主として走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡の電子源として用いることができる。以下に、本発明に係る電子源として、主に走査型電子顕微鏡用電子源に応用する本発明を詳細に説明する。
電子源は、熱電子放出型及び電界放出型に分けられる。熱電子放出型は、陰極を高温に加熱して放出された熱電子を利用するものである。一般的にはヘアピン状に形成されたタングステンフィラメント(Wへアピンフィラメント)が用いられる。一方、電界放出型電子源は、金属の表面に極めて強い電界を印加した場合に、トンネル効果により金属中の自由電子が真空中に飛び出してくるという原理を用いたものである。従って、電界放出型電子源は室温においても用いることができる。本発明の電界放出型電子源の陰極には、強い電界を作用させるために、断面直径が1nm〜100nmのナノチューブが用いられる。
以下の実施例の説明において、特に断らない限り、電子源は電界放出型電子源を意味し、電界放出型電子源は、単に電子源と記述されている場合がある。
図1は本発明に係る電界放出型電子源1を用いた走査型電子顕微鏡の構成図である。走査型電子顕微鏡は、電子を放出する電界放出型電子銃6、試料24を走査する電子ビーム8を集束、制御する電子光学系10、及び試料24から2次電子32を検出する検出系26から構成される。電子銃から放射された電子ビームは、電子光学系において集束電子ビームに形成され、この集束電子ビームが試料24に走査状態で照射される。このとき試料表面から放射される2次電子が検出系で検出され、試料表面を撮像することができる。
電子銃6は、電子源1、引出し電源18、加速電源20、フラッシング装置22、及び加速レンズ部35から構成される。また前記電子源1は、陰極ホルダー4及びナノチューブ2から構成される。陰極として用いられるナノチューブ2には、金属的性質を有するカーボンナノチューブ(CNT)又は常温において十分なキャリアーが伝導体に供給される半導体CNTが用いられる。CNTは、その直径が小さいものでは1nm以下であるから、ナノチューブ2を陰極として用いることによって、従来の陰極に比べ低い引出電圧で電子を放出することができる。従来の陰極を用いた場合、前記引出電圧は約1×10V/mの大電圧が必要とされていた。しかし、ナノチューブ陰極は、約1×10V/m程度で電子顕微鏡による試料観察に必要なビーム電流を供給することができる。更に、冷陰極電界放出型電子源において電子ビームを放出するためには、通常約1.0×10−10Pa以下の超高真空が必要とされていた。しかし、本発明に係る電子源1は、約1.0×10−8Pa程度の真空度で電子ビーム8を電界放出することができる。
また、前記加速レンズ部25は、所望の電圧を印加して電子ビームを引き出すための第1アノード34、その電子ビームを加速するための第2アノード36から構成される。電子光学系部10は電子を集束させて電子ビーム8を形成するコンデンサレンズ12と中間レンズ13、試料24を走査するために電子ビーム8を制御する偏向コイル14、及び試料位置で電子ビーム8を集束させるための対物レンズ16から構成される。
フラッシング装置22は、フラッシング電源28とフラッシングコイル30から構成され、電子源1と直列に接続されている。フラッシングと呼ばれる短時間の加熱により陰極表面の清浄化を行うと、比較的低い引出電圧でも陰極先端から多くの電子が放出される。しかし、電子顕微鏡を連続使用すると、超高真空の雰囲気であっても徐々に陰極表面が残留ガスや不純物ガスを吸着し、その結果として電子の放出量(ビーム電流)は減少していく。このような場合、放出電子の減少に伴い少しずつ引出電圧を高めることで、ほぼ一定のビーム電流は確保する操作が行われる。陰極表面が一様に吸着ガス分子で被われた状態になると、一定の引出電圧でもビーム電流の減少はほとんど起こらなくなる。この状態は安定領域と呼ばれる。
しかし、安定領域の間もガス吸着は進行しており、また放出電子とガス分子の衝突により発生した陽イオンは、陰極に衝突堆積している。その結果、陰極表面の仕事関数は常時変化するとともに、安定領域にあるビーム電流でも小刻みに変動する。このビーム電流の変動は、撮像された映像にも影響を及ぼし、エミッション・ノイズと呼ばれる明暗の帯状ノイズとして現れる。しかし、更に時間が経過して安定領域を過ぎると、電子放出は非常に不安定になり、放置しておくと、放電により陰極を破損する可能性がある。この不安定状態になる前に再度フラッシングを行い、清浄な陰極に戻さなければならない。現在、電子顕微鏡に搭載されている電子源1では、引出電圧の自動制御やオートフラッシング機能が装備されている。
図2は陰極ホルダー4にナノチューブ2を固定する固定方法の説明図である。(2A)において、陰極ホルダー4とナノチューブ2が付着したナノチューブ配置板38を相互に接近させる。ナノチューブ2をナノチューブ配置板38に付着させる電気泳動法は、特願平10−280431号に開示されている。電気泳動法では、有機溶媒からなる電気泳動液中にカーボン混合物を分散させ、電圧を印加するとカーボンナノチューブ(CNT)だけを選択的に回収することができる。例えば、直流電圧を印加すると、陰極にCNTが直列状に配列する。従って、ナノチューブ配置板38を構成する金属板を陰極として用いることによって、ナノチューブ配置板38に多数のナノチューブ2を整列状に付着させることができる。
ナノチューブ配置板38のナノチューブ8を前記陰極ホルダー4に接触させて、その後ナノチューブ2をナノチューブ配置板38から引き離して電子源を組み立てる。陰極ホルダー4はXYZの3次元方向に移動でき、ナノチューブ配置板38はXYの2次元方向に移動できる。これらの操作は走査型電子顕微鏡室内で実時間観察しながら行うことができ、この場合、極めて微細な駆動制御が必要となる。
(2B)は、陰極ホルダー4にナノチューブ2がコーティング被膜部40により固定された電子源1の構成図である。ナノチューブ2は、(2A)に示したように陰極ホルダー4にナノチューブ2を配置した後、ナノチューブ基端部42の所要領域へ電子ビーム、イオンビーム等の荷電ビームを照射する。この荷電ビームにより電子顕微鏡内の不純物ガスが分解され、その分解堆積物が前記所要領域に堆積し、コーティング被膜部40を形成する。このコーティング被膜部40は、ナノチューブ2を陰極ホルダー4の表面に強固に固定する。更に、導電性物質からコーティング被膜部40を形成することによって、ナノチューブ2と陰極ホルダー4に良好な電気的導通性を付与することができる。例えば、前記不純物ガスが有機金属ガスであれば、前記所要領域に荷電ビームを照射した場合、有機金属ガスを分解することにより、良好な電気的導通性を保持する金属膜から構成されるコーティング被膜部40を形成することができる。前記不純物ガスが炭化水素などの炭素化合物ガスであれば、コーティング被膜部40は炭素被膜になる。
陰極ホルダー4は、金属、酸化物、炭化物、又は従来の電界放出型電子源の陰極として用いられているLaBなどから構成される。陰極ホルダー4を形成する前記金属物質としては、Pt、Ti、Mo、Pd、Au、W又はAlなどがあり、ナノチューブ2との良好な導通性を有している。特に、Pdはナノチューブとの接着性が良く、ナノチューブ2を強固に陰極ホルダーに固定できるから、Pdは最適な陰極ホルダー形成物質である。
陰極ホルダー4の構成材として、ReO、SrCrO、LaNiO、MoO、WO、β−ReO、RuO、PbRu7−X、又はBiRu7−Xなどの酸化物を用いられ、ナノチューブとの良好な導通性を提供することができる。また、陰極ホルダー4を構成する炭化物としてはWCなどがあり、炭素を含有することから、ナノチューブ2と強固に結合できる。
更に、コーティング被膜部40が前記金属物質Pt、Ti、Mo、Pd、Au、W又はAlなどから構成されることにより、ナノチューブ2と陰極ホルダー4との導通性を補強することができる。特に、Pdはナノチューブ2との接着性が良く、ナノチューブ2を強固に陰極ホルダー4に固定できるから、最適なコーティング被膜部形成物質である。
図3は本発明に係る電界放出型電子源の第1構成図である。電子源1の陰極として用いられるナノチューブ2は、図2に示した方法により任意の数のナノチューブから構成することができる。(3A)は陰極が一本のナノチューブ2から形成される電子源1の構成図である。ナノチューブ2は、十分な突出長aを有し、ナノチューブ先端2aに電界を集中させることができる。(3B)では、複数本のナノチューブが整列したナノチューブ群から陰極が形成された電子源1の構成図である。ナノチューブ群から最先頭に突出して配置された先頭ナノチューブ2bに電界を集中させることができ、電子ビームを電界放出することができる。
図4は本発明に係る電界放出型電子源の第2構成図である。(4A)において、陰極は複数本のナノチューブ2が拘束状態で一体化された一体化ナノチューブ群5から構成されている。ナノチューブが一体化されることにより、陰極から電界放出される電子ビームのビーム電流を増大させることができる。電子顕微鏡において、その分解能を向上させるためには、電子レンズで集束された電子ビームを絞り孔により、更にビーム径を縮小させる。従って、高分解観察を行う場合には、ビーム電流が大きく削減されてしまう。一体化ナノチューブ群5を陰極として用いることによりビーム電流を増大させ、高分解観察を行うことができる。
(4B)は、陰極が先頭ナノチューブ2bを含む一体化ナノチューブ群5から構成される電子源1の構成図である。一体化ナノチューブ群5が少なくとも一本の突出ナノチューブ2bを含むことにより、突出ナノチューブ2bの先端に電界を集中させ、電子ビームを高効率に電界放出することができる。一体化ナノチューブ5は、1本のナノチューブから形成される陰極に比べ、大きな電流を通電できる特徴を有する。
図5は、本発明に係る電界放出型電子源の第3構成図である。ナノチューブ2を陰極ホルダー4に固定する場合において、陰極ホルダー4の先端縁4cの直交方向を中心軸44として、左右30度の角度範囲内にナノチューブが配置される。前記角度範囲内にナノチューブが配置されることにより、電子ビームを確実に試料方向へ放出することができる。
図6はナノチューブの5員環から電界放出される電子ビームの説明図である。(6A)は、ナノチューブ先端2aにある5員環が電子ビームの放出方向7を向いていることを示している。CNTの基本構造は、炭素原子から構成される6員環であるが、6個の5員環が含まれることによりCNTの端面が閉じられ、CNTのキャップ部を構成することが分かっている。カーボンナノチューブ(CNT)における電子ビームの電界放出は、6印環よりも5員環から高効率に放出される点に着目して本発明が完成された。本発明に係るナノチューブの陰極は、5員環が電子ビームの放出方向を向くように配置されている。6個の5員環には種々の配置が存在することが分かっており、種々の配置の中でアームチェア型CNT構造おける5員環配置では、1つの5員環がナノチューブ先端の中心位置に配置される。
(6B)は、アームチェア型CNT構造おけるキャップ部近傍の構成図である。アームチェア型CNT構造では、炭素原子9から成る5員環48がキャップ部46の頂点に位置する。従って、キャップ部の先端を前記放出方向へ向けることによって5員環に電気力線が集中し、この高電界により高効率に電子ビームを電界放出することができる。
図7は本発明に係る電界放出型電子源の第4構成図である。ナノチューブ2の上端面先端2aが開いており、しかも先端面2dがナノチューブ2の中心軸に対して斜め方向に形成されている。従って、ナノチューブ先端2aが先鋭化され、より一層に電気力線を集中させることができ、高効率に電子ビームを電界放出することができる。
図8は本発明に係る電界放出型電子源及びナノチューブ先端2aの構成図である。(8A)に示すようにナノチューブ先端2aが開かれ、先端面2dを構成する炭素原子に水素原子50が結合している。ナノチューブ先端2aが開かれていることにより、円周からなるナノチューブ先端2aは先鋭化されており、より一層に電気力線を集中させることができるから、効率的に電子ビームを電界放出することができる。更に先端面に水素原子が結合していることにより、ナノチューブ先端2aへの不純物の付着を抑制することができる。
(8B)はナノチューブ先端2aの構成図である。炭素−炭素結合(C−C結合)54の電子状態のエネルギー準位より、炭素−水素結合(C−H結合)の電子状態のエネルギー準位は高エネルギー側に位置することから、C−H結合52準位を経由することによって電子を真空状態へ放出し易くなると考えられる。この解釈は推量の範囲を超えるものではないが、H原子位置から電子ビームが選択的に放出されることを本発明者等は確認している。
図9は本発明に係る電界放出型電子源の第5構成図である。本発明者等はナノチューブに局所的に歪みを加え、電子を電界放出し易い領域を形成させることを想到するに到った。この実施形態では、ナノチューブ2が湾曲状態で陰極ホルダー4に固定され、最も大きな歪みが加わる湾曲部56の中央近傍から電子ビームが効率的に電界放出されることが本発明者等により実験的に確かめられている。更に前記湾曲部56の中央近傍には、電気力線が集中するためより一層電子ビームの輝度を増強することができる。
図10は本発明に係る電界放出型電子源の第6構成図である。(10A)の実施例において、陰極ホルダー4は第1電極4a及び第2電極4bから構成され、二つの電極の夫々に湾曲状態にあるナノチューブ両端の基端部42、42がコーティング被膜部40によって固定されている。陰極ホルダーが第1電極4a及び第2電極4bから構成されることにより、ナノチューブ2へ電流を通電し、ジュール熱によりフラッシングを行うことができる。また、(10B)に示すように第1電極4a及び第2電極4bは、互いに対向する方向で平行に移動することができ、電極4aと第2電極4bの間隔dを変えることができる。従って、ナノチューブ2の直径又は長さ等に応じて湾曲部56の曲率を調節し、湾曲部56に歪みを自在に加えることができる。
図11は本発明に係る電界放出型電子源の製造方法の説明図である。(11A)に示すように、先ずナノチューブ2をその両端の基端部42が第1電極4a及び第2電極4bに接触配置され、コーティング被膜部40により固定される。次に、(11B)に示すようにナノチューブ2の中心位置2eを回転軸として第1電極4aを回転移動し、ナノチューブ2を湾曲させる。上述の工程を経て、(11C)に示す湾曲状態のナノチューブ2を陰極とする電界放出型電子源1が完成される。
図12は本発明に係る電界放出型電子源の第7構成図である。(12A)はV字状のナノチューブ2がコーティング被膜部40により陰極ホルダー4に固定されている。ナノチューブ2がV字状になるまでナノチューブの折り曲げ加工を継続することによってV字状ナノチューブが形成される。電圧印加により、ナノチューブ2のV字先端に電気力線が集中し、高効率に電子ビームを電界放出することができる。前記折り曲げ加工において更に折り曲げ工程を継続することによって、V字先端は部分的に破断する場合がある。しかし、破断したV字先端は、更に先鋭化されており、より一層電界を集中させることができる。
(12B)は、陰極ホルダーが第1電極4a及び第2電極4bから構成され、V字状ナノチューブ2の基端部42がコーティング被膜部40により第1電極4a及び第2電極4bに固定されている。(10B)と同様にナノチューブ2の長さ及び直径に応じて、V字状ナノチューブ2の開度を調節することができる。
本発明に係る電子源は、ナノチューブを陰極として用いた電界放出型電子源から構成される。電界放出型電子源の性能は、陰極先端の鋭さ、電気的導通性、仕事関数、機械的強度、化学的安定性などが上げられる。ナノチューブは、その先端は極めて鋭く、安定性の高いグラファイトから構成されるから良好な機械的強度を有するとともに、良好な電気的導通性を有している。従って、消費電力が低く、超高真空を維持するための高価な装置を付設する必要がなく、長寿命な電子源を提供することができる。
本発明に係る電子源を用いた走査型電子顕微鏡の構成図である。 陰極ホルダーにナノチューブを固定する固定方法の説明図である。 本発明に係る電界放出型電子源1の第1構成図である。 本発明に係る電界放出型電子源1の第2構成図である。 本発明に係る電界放出型電子源1の第3構成図である。 本発明に係るナノチューブの5員環から電界放出される電子ビームの説明図である。 本発明に係る電界放出型電子源1の第4構成図である。 本発明に係る電界放出型電子源及びナノチューブ先端の構成図である。 本発明に係る電界放出型電子源の第5構成図である。 本発明に係る電界放出型電子源の第6構成図である。 本発明に係る電界放出型電子源の製造方法の説明図である。 本発明に係る電界放出型電子源の第7構成図である。 従来の電界放出型電子源を用いた走査型電子顕微鏡の概略図である。
符号の説明
1 電界放出型電子源
2 ナノチューブ
2a ナノチューブ先端
2b 先頭ナノチューブ
2d 先端面
2e 回転軸
3 先端部
4 陰極ホルダー
4a 第1電極
4b 第2電極
4c 先端縁
5 一体化ナノチューブ群
6 電子銃
7 放出方向
8 電子ビーム
9 炭素原子
10 電子光学系
12 コンデンサレンズ
13 中間レンズ
14 偏向コイル
16 対物レンズ
18 引出電源
20 加速電源
22 フラッシング装置
24 試料
25 加速レンズ部
26 検出系
28 フラッシング電源
30 フラッシングスイッチ
32 2次電子
34 第1アノード
35 加速レンズ部
36 第2アノード
38 配置板
40 コーティング被膜部
42 基端部
44 中心軸
46 キャップ部
48 5員環
50 水素原子
52 炭素−水素結合
54 炭素−炭素結合
56 湾曲部
101 電界放出型電子源
102 陰極
106 電子銃
108 電子ビーム
110 電子光学系
112 コンデンサレンズ
113 中間レンズ
114 偏向コイル
116 対物レンズ
118 引出電源
120 加速電源
122 フラッシング装置
124 試料
125 加速レンズ部
126 検出系
128 フラッシング電源
130 フラッシングスイッチ
132 2次電子
134 第1アノード
136 第2アノード
a 突出長
b 基端部長さ
L ナノチューブ長
D ナノチューブ直径
d 間隔

Claims (24)

  1. 湾曲状態にされたナノチューブと、このナノチューブを保持する陰極ホルダーと、前記ナノチューブの基端部を前記陰極ホルダーに導通状態で固着する固定部から少なくとも構成され、前記ナノチューブの湾曲部の中央近傍から電子ビームを電界放出することを特徴とする電子源。
  2. 前記湾曲部はV字状に折り曲げられて構成され、V字先端から電子ビームを電界放出する請求項1に記載の電子源。
  3. 前記固定部は、膜形成されたコーティング被膜部、ナノチューブ基端部の融着による融着部、又はナノチューブの成長開始点となる触媒固定部である請求項1又は2に記載の電子源。
  4. 前記ナノチューブを構成する6員環が局所的に変形6員環を形成する請求項1〜3のいずれかに記載の電子源。
  5. 前記ナノチューブが部分的に破断された請求項1〜4のいずれかに記載の電子源。
  6. 前記ナノチューブの直径が0.3nm〜100nmである請求項1〜5のいずれかに記載の電子源。
  7. 前記陰極ホルダーが第1電極及び第2電極から構成され、前記ナノチューブ両端の基端部が、第1電極及び第2電極の夫々に固定部により固着される請求項1〜6のいずれかに記載の電子源。
  8. 前記固定部において、前記ナノチューブと陰極ホルダー間の接触電気抵抗が1kΩ〜1MΩに設定されている請求項1〜7のいずれかに記載の電子源。
  9. 前記陰極ホルダーが金属又は導電性非金属物質から構成される請求項1〜8のいずれかに記載の電子源。
  10. 前記金属はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W及びAlの一種以上から選択される請求項9に記載の電子源。
  11. 前記導電性非金属物質は、ReO、SrCrO、LaNiO、MoO、WO、β−ReO、RuO、PbRu7−X、BiRu7−X、LaB及びWCの一種以上から選択される請求項9に記載の電子源。
  12. 前記陰極ホルダーが導電性被膜により被覆されている請求項1〜11のいずれかに記載の電子源。
  13. 前記導電性被膜を構成する導電性被膜物質はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al、Niの一種以上から選択される請求項12に記載の電子源。
  14. 前記コーティング被膜部を構成するコーティング被膜物質はPt、Ti、Mo、Pd、Au、W、Al、Niの一種以上から選択される請求項3に記載の電子源。
  15. 1.0×10−3Pa〜1.0×10−8Paの真空下において、前記ナノチューブから電子ビームを電界放出する請求項1〜14のいずれかに記載の電子源。
  16. 前記ナノチューブを0℃〜1000℃の温度に設定して、前記ナノチューブから電子ビームを電界放出する請求項1〜14に記載の電子源。
  17. 前記ナノチューブに付着したコンタミネーションを加熱除去するフラッシング操作を行うため、100℃〜1300℃のフラッシング温度で0.1秒間〜1時間のフラッシングを行うフラッシング装置が付設されている請求項1〜14のいずれかに記載の電子源。
  18. ナノチューブの一端を陰極ホルダーに接触させる第1工程と、この一端の所要領域をコーティング又は融着することにより陰極ホルダーに固定する第2工程と、ナノチューブの他端を陰極ホルダー面に接触させる第3工程と、前記他端の所要領域をコーティング又は融着することにより前記陰極ホルダーに固定する第4工程を少なくも含み、前記ナノチューブの中央部が湾曲状態に設定され、この湾曲部近傍から電子ビームを電界放出することを特徴とする電子源の製造方法。
  19. 陰極ホルダーの適所にナノチューブ成長用触媒を用いてナノチューブを成長させる第1工程と、そのナノチューブ先端を陰極ホルダーに接触させる第2工程と、この接触部をコーティング又は融着することにより陰極ホルダーに固定する第3工程を少なくとも含み、前記ナノチューブの中央部が湾曲状態に設定され、この湾曲部近傍から電子ビームを電界放出することを特徴とする電子源の製造方法。
  20. 前記陰極ホルダーは第1電極及び第2電極に分割して構成され、前記ナノチューブの一端は第1電極に固定され、前記ナノチューブの他端は第2電極に固定される請求項18又は19に記載の電子源の製造方法。
  21. 前記湾曲部はV字状に折り曲げられて構成され、V字先端から電子ビームを放出する請求項18、19又は20に記載の電子源の製造方法。
  22. 前記ナノチューブを部分的に破断させる請求項18〜21のいずれかに記載の電子源の製造方法。
  23. 前記コーティングにより形成されるコーティング被膜部は荷電ビームによる分解堆積物である請求項18〜22のいずれかに記載の電子源の製造方法。
  24. 前記堆積物質は炭素物質又は金属から構成される請求項23に記載の電子源の製造方法。
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