JP4657549B2 - 胸骨切開術後の胸骨の回復を向上させる方法 - Google Patents

胸骨切開術後の胸骨の回復を向上させる方法 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、内胸動脈(以下、「ITA」と呼ぶこともある)の少なくとも一つの除去を伴う胸骨切開術を包含する、開心手術または冠動脈手術のような手術において、血管新生因子を含有する薬剤を用いて胸骨切開術(すなわち、心臓に接近するために胸骨を切断すること)後の胸骨の回復を向上させる方法に関する。
【0002】
(技術の背景)
胸骨切開術は、心筋梗塞およびその機構的併発症、弁膜性心疾患、大動脈疾患、ならびに先天性心疾患を包含する、冠動脈疾患のような様々な心疾患に罹患した心臓を手術するのにほとんど常に必要である。しかし、胸骨が回復するには時間がかかり、ときには充分に回復しない。
【0003】
胸骨の緩慢かつ不充分な回復は、胸骨切開術、したがってまた心臓手術の後の問題の一つである。緩慢な回復は、患者の入院期間を延長し、健康管理のコストを著しく増大させ、患者の仕事または社会的活動への復帰を遅延させる。胸骨の不充分な回復は、胸骨切開術から実施される心臓手術後の重大な問題の一つであり、しばしば、深い胸骨創感染を生じて、大がかりな集中管理にもかかわらず、死亡率および罹患率の上昇を招く。従来の研究は、不充分な胸骨の回復に関する危険因子を次のように記載した:すなわち、肥満、慢性閉塞性肺疾患(たとえば慢性気管支炎または気腫)、高齢、末梢血管疾患、再手術、糖尿病、内胸動脈(ITA)導管、手術時間、低い心拍出量、機械的人工呼吸時間、および出血に関する再診査がそれである。増加する数の患者には、上記の危険因子のいくつかがあり、緩慢/不充分な胸骨の回復は、さらに問題が多いと思われる。緩慢/不充分な胸骨の回復は、しばしば、冠動脈バイパス手術の際の両側内胸動脈(以下、「BITA」と呼ぶこともある)の使用を限定するが、それは特に、糖尿病の患者においてそうであり、彼らは、特にBITA除去(すなわち心臓に対する移植片を作成するための)後に、血液供給の欠如のために、胸骨の壊死(すなわち胸骨の骨の死)をしばしば発症することから、その心臓がBITA移植から利益を得ることが示されている。
【0004】
塩基性繊維芽細胞増殖因子(以下、「bFGF」と呼ぶこともある)は、強い血管新生性の(すなわち、新たな血管を創造し、胸骨への血液供給を増加させる)分裂促進因子であるばかりでなく、骨形成も刺激できることが報告されている。aFGF、VEGF、TGFβのようなその他の成長因子は、それらの血管新生効果を通じて、胸骨の回復を向上させるのに多少とも利益がある。
【0005】
本発明者らの何名かは、既に、ヨーロッパ特許第0 493 737号公報で、骨疾患を処置するためにbFGFを含有する薬剤を、またヨーロッパ特許第0 702 959号公報で、bFGFを含有する架橋したゼラチンゲル製剤を用いることを提唱している。すなわち、本発明者らの何名かは、既に、ヨーロッパ特許第0 493 737号公報で、骨疾患の処置のためにbFGFを含有する薬剤を、またヨーロッパ特許第0 702 959号公報で、bFGFを含有する架橋したゼラチンゲル製剤を用いることを提唱している。ヨーロッパ特許第0 493 737号公報では、様々な外傷性骨折;様々な疲労骨折;骨粗鬆症、骨軟化症、悪性腫瘍、多発性骨髄腫等々に伴う骨折を包含する病的骨折;上に列挙されたような様々な疾患に伴う骨強度の低下;および上に列挙されたような様々な疾患に伴う骨形成の阻害のような、骨疾患の処置のための新規薬剤(が開示されている)。ヨーロッパ特許第0 702 959号公報では、ヘモグロビンレベル上昇効果、骨無機質含量増大効果などが開示されている。彼らは、bFGFを含んだゼラチンヒドロゲルが、血管新生効果および骨再生をin vivoで向上させることを立証している。
【0006】
その上、本発明者らの何名かは、〔J. Neurosurg., Vol. 86, pp. 871-875 (1997)〕に、ウサギのモデルを用いて、生物分解できるヒドロゲルに組み込まれたbFGFの頭蓋骨再生に対する潜在的薬効を、また〔Biomaterials, vol. 19, pp. 807-815 (1998)〕には、生物分解できるヒドロゲルと複合させたbFGFによる、臨床的にほとんど不可能と認められている、頭蓋骨欠損の骨再生を報告している。しかし、上記参考文献のいずれにおいても、ITA除去を伴う胸骨切開術を包含する、胸骨切開術後の胸骨の回復についての記載がない。胸骨は、頭蓋骨または長骨のそれとは異なる形状および血液供給(すなわち異なる供給動脈)を有し;その違いは、胸骨切開術(すなわち、ほとんど常に、横断性切断ではなく、縦断性切断である)の後で一層明白になる。
【0007】
(発明の要約)
本発明の目的は、BITA除去による胸骨切開術を包含する胸骨切開術後の、胸骨の回復を向上させるための方法であって、患者の入院を短縮することができ、不充分な胸骨の回復に関連する併発症を軽減することができ、したがってまた健康管理のコストを削減し、患者の仕事への復帰を促進し、彼らの生産性を上昇させることになる方法を提供することである。本発明は、血管新生因子または骨形成因子を含有する薬剤を用いることによって、胸骨を効果的に回復させることができる。
【0008】
胸骨切開術後の緩慢または不充分な胸骨の回復という問題を克服しようとして、本発明者らは、下記のような胸骨回復を向上させるためのいくつかの方法を開発した。略述すると、本発明は、胸骨に対する血液供給の不足を解消するか、または骨形成を助ける(すなわち、胸骨向けの骨組織を生成するのを助ける)ために、上記の血管新生因子、またはそれらの遺伝子の一つまたはそれ以上を、胸骨もしくは周囲の組織に適用して、血管新生を増強し、胸骨を安定させ、そして胸骨の回復を助ける。
【0009】
すなわち、本発明は、胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、または伴わない胸骨切開術後の胸骨の回復を向上させるか、またはそれを処置するための、胸骨切開術後の胸骨の処置のための薬剤を該胸骨もしくはその周囲に適用することを含む方法であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む方法に関する。
【0010】
本発明は、胸骨切開術、または内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、もしくは伴わない胸骨切開術の後の胸骨で骨を再生させる、胸骨切開術後の胸骨の処置のための薬剤を該胸骨もしくはその周囲に適用することを含む方法であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む方法にも関する。
【0011】
本発明は、さらに、胸骨切開術、または内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、または伴わない胸骨切開術の後の胸骨の周囲において、胸骨切開術後の胸骨の処置のための薬剤を該胸骨もしくはその周囲に適用することを含む、血管新生に付す方法であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む方法に関する。
【0012】
その上、本発明は、内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、または伴わない胸骨切開術後の骨折部位を処置する、胸骨切開術後の骨折部位の処置のための薬剤を肋骨、軟骨、もしくはそれらの接合部の骨折部位に直接接して適用することを含む方法であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む方法にも関する。
【0013】
また、本発明は、胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、または伴わない胸骨切開術後の胸骨の回復もしくは処置を、胸骨の処置のためのそれを該胸骨もしくはその周囲に適用することによって向上させる薬剤であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む薬剤にも関する。
【0014】
本発明は、胸骨切開術、または内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、もしくは伴わない胸骨切開術の後の胸骨において、胸骨切開術後の胸骨の処置のためのそれを該胸骨もしくはその周囲に適用することによって、骨を再生させる薬剤であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む薬剤にも関する。
【0015】
本発明は、さらに、胸骨切開術、または内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、もしくは伴わない胸骨切開術の後の胸骨の周囲において、胸骨切開術後の胸骨の処置のためのそれを該胸骨もしくはその周囲に適用することによって血管新生に付す薬剤であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む薬剤に関する。
【0016】
その上、本発明は、内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、もしくは伴わない胸骨切開術の後の骨折部位を、胸骨切開術後の胸骨の骨折部位の処置のためのそれを肋骨、軟骨、もしくはそれらの接合部位に直接接して適用することによって処置する薬剤であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む薬剤に関する。
【0017】
また、本発明は、内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、もしくは伴わない胸骨切開術の後の胸骨の回復または処置を、胸骨切開術後の胸骨の処置のためのそれを該胸骨もしくはその周囲に適用することによって向上させるための薬剤の使用であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む使用にも関する。
【0018】
本発明は、胸骨切開術、または内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、もしくは伴わない胸骨切開術の後の胸骨で骨を、胸骨切開術後の胸骨の処置のためのそれを該胸骨もしくはその周囲に適用することによって再生させる薬剤の使用であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む使用にも関する。
【0019】
本発明は、さらに、胸骨切開術、または内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、または伴わない胸骨切開術の後の胸骨の周囲において、胸骨切開術後の胸骨の処置のためのそれを該胸骨もしくはその周囲に適用することによって血管新生に付す薬剤の使用であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む使用に関する。
【0020】
その上、本発明は、内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うか、または伴わない胸骨切開術の後の骨折部位を、胸骨切開術後の骨折部位の処置のためのそれを肋骨、軟骨、もしくはそれらの接合部の骨折部位に直接接して適用することによって処置する薬剤の使用であって、該薬剤が、血管新生因子、骨形成因子、およびそれらの類似体よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含む使用にも関する。
【0021】
(好適実施態様の説明)
以下、本発明を詳しく説明する。
【0022】
BITA除去を伴う胸骨切開術を包含する、胸骨切開術後の胸骨の回復を向上させるための本発明の方法では、胸骨またはその周囲に適用しようとする、胸骨の回復を向上させるための薬剤は、塩基性繊維芽細胞増殖因子(以下、「bFGF」と呼ぶこともある)、酸性繊維芽細胞増殖因子(以下、「aFGF」と呼ぶこともある)、血管内皮増殖因子(以下、「VEGF」と呼ぶこともある)、組織増殖因子−β(以下、「TGFβ」と呼ぶこともある)、肝細胞増殖因子(以下、「HGF」と呼ぶこともある)、骨形成タンパク質(以下、「BMP」と呼ぶこともある)、血小板由来増殖因子(以下、「PDGF」と呼ぶこともある)、組織増殖因子−α(以下、「TGFα」と呼ぶこともある)、その他のサイトカインのような、bFGFまたは他の何らかの血管新生因子を含有し;また血管新生および/または骨形成を誘導するタンパク質、核酸、および遺伝子を用いることができる。血管新生因子のうちでも、bFGFが、胸骨の回復という観点からは、部分的にはそれが血管新生(すなわち、新たな血管を創出し、胸骨への血液供給を増大させる)、および骨形成(すなわち、胸骨向けの骨組織を創出する)の効果の双方を有するため、最も効果的であり得る。しかし、VEGF等々のような、他の血管新生因子も、軽い胸骨虚血等々のような、何らかの条件下では役立ち得る。
【0023】
血管新生/骨形成因子、またはそれらの類似体は、bFGFのような血管新生/骨形成因子、生理学的もしくは正常な食塩水その他の慣用の補助剤(グルコース、ショ糖、緩衝液等々)を含む溶液、該溶液を用いる注射もしくは噴霧剤、上記溶液を含有する軟膏、またはヒドロゲルを包含するゲルの形態で用いることができる。これらのうちでも、本発明の薬剤は、ヒドロゲルの形態をなすのが特に好ましく、その理由は、ゲルは、標的部域に何週間も留まり、胸骨が回復するまで、血管新生/骨形成因子を供給し続けるからである。ヒドロゲルの形状は、シート、ペースト、顆粒、管状、円板または微小球体のいずれであることもできる。本発明の薬剤は、局所または総体的適用の経路をとり得るが、患者の身体のその他の部分に対する影響が少なく、併発症の機会が少なく、標的部域(すなわち胸骨)に対する効果が多大なため、局所的適用が好ましい。
【0024】
血管新生/骨形成因子の少なくとも一つをヒドロゲルの形態で用いるとき、この血管新生/骨形成因子は、分子間力によって物理的に固定化され、in vivoでの水素の生物分解を伴って、血管新生/骨形成因子が徐々に放出される。物理的固定化としては、たとえば、イオン結合、配位結合、疎水性相互作用などが、列挙され得る。血管新生/骨形成因子の持続的放出は、ヒドロゲルの生物分解速度によってのみ制御され、血管新生/骨形成因子の単純な拡散による持続的放出にはよらない。ヒドロゲルの生物分解速度は、ヒドロゲルの含水量によって制御される。含水量が高いときは、ヒドロゲルの生物分解速度は高くなり、それが低いときは、それの生物分解速度は低く、そのため持続的放出期間が長期になる。
【0025】
本発明の薬剤を、たとえばヒドロゲルの形態で用いるときは、活性成分としてのbFGFを、持続放出性の架橋したゼラチンゲルに組み込むことによって、それを調製することができる。本発明に用いられる、架橋したゼラチンゲルの原料としてのゼラチンゲルは、特に限定されることはなく、一般的に入手できるものから選ぶことができる。ゼラチンの例は、たとえば、約4.9の等電点を有する、アルカリ処理したゼラチン(ニッタゼラチン社より入手可能)、または約9.0の等電点を有する、酸処理したゼラチン(ニッタゼラチン社より入手可能)を包含する。ゼラチンとしては、一種類のゼラチンを用い得るばかりでなく、溶解度、分子量、等電点および材料のような物理的特性が異なるゼラチンの混合物も、用いようとする目的に応じて用いてよい。そのようなゼラチンとしては、たとえばヨーロッパ特許第0 702 959号公報に記載されたものを用いてよい。本発明のヒドロゲルを調製するための他方の材料としては、たとえば、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルギン酸、澱粉、ペクチン、キチン、キトサン、またはこれらの多糖類の誘導体を用いてよい。
【0026】
本発明に用いられる、ゼラチンを架橋させるための架橋剤は、生体に対する毒性のない材料から選ぶことができる。そのような架橋剤は、たとえば、グルタルアルデヒド、水溶性カルボジイミド、たとえば塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエンスルホナート、ビスエポキシ化合物、ならびにホルマリンが列挙され得る。これらのうちでも、グルタルアルデヒドおよび塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドが、特に好適である。
【0027】
ゼラチンは、熱処理、または紫外線の照射によって架橋させて、異なる生物分解性を有するヒドロゲルを得ることができる。ゼラチンのヒドロゲルシート中の含水量は、ゼラチンヒドロゲルシートの総重量に対して、好ましくは85〜99重量%、より好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%である。
【0028】
血管新生/骨形成因子のうちでも、特にBITA採取後の、胸骨切開術後の胸骨の回復を向上させるための、薬剤の有効成分として用いようとするbFGFは、記載の通りの周知の血管新生/骨形成因子または成長因子である。たとえば、ヨーロッパ特許第0 493 737号公報では、その存在は、ヒト、ウシ、マウス、ラット等々で確認される。基本的には、いかなる動物起源からのbFGFも、同じ活性をin vivoで有する。しかし、胸骨切開術後の胸骨の回復を向上させるために、本発明に用いられる薬剤のうちでも、血管新生/骨形成因子を考慮すると、人体で産生されるbFGF(ヒトbFGF)のそれと同じアミノ酸配列を有する、bFGFを用いるのが好ましい。bFGF、および上記の血管新生/骨形成因子に加え、ヨーロッパ特許第0 493 737号公報に開示されたような、bFGFの類似体を用いてもよい。
【0029】
本発明の薬剤は、胸骨の表面にか;単独でか、または骨ろうもしくは膠の一部として、胸骨の内部、またはバーもしくはネイルもしくはヒンジ型の装置の表面にか;肋骨、軟骨(すなわち軟らかい骨)、もしくはそれらの接合部の骨折部位に直接接してか;あるいは内胸動脈の血管床に投与することができる。
【0030】
本発明では、胸骨切開術後の胸骨の回復を向上させるいくつかの方法を、具体的に列挙することができる。
【0031】
第一の方法は、bFGF、aFGF、TGFβ、VEGF、HGF、BMP、PDGF、TGFα、その他のサイトカイン、または上記の材料を作らせる遺伝子のような、血管新生/骨形成因子のうち少なくとも一つを、胸骨辺縁(および冠動脈バイパス手術のためにITAが採取された患者ではITA床)に吹き付けるか、あるいは軟膏として塗布することである。
【0032】
第二の方法は、bFGF、aFGF、TGFβ、VEGF、HGF、BMP、PDGF、TGFα、その他のサイトカイン、または上記の材料を作らせる遺伝子のような、血管新生/骨形成因子のうち少なくとも一つを含有する溶液を、胸骨辺縁またはその周囲の組織(および冠動脈バイパス手術のためにITAが採取された患者ではITA床)に注射することである。
【0033】
第三の方法は、本発明者らが開発した、生物分解できるヒドロゲルを用いることであって;該ヒドロゲルは、酸性ゼラチンを含んで、bFGF、aFGF、TGFβ、VEGF、HGF、BMP、PDGF、TGFα、その他のサイトカイン、または上記の材料を作らせる遺伝子のような、血管新生/骨形成因子のうち少なくとも一つが、延長された期間にわたって作用部位で放出されるのを可能にする。ヒドロゲルは、胸骨の後方の(すなわち内側の)表面に塗布することができるが、前方の(すなわち外側の)表面にも塗布することができ;ヒドロゲルは、ITA床に適用して、胸壁からの胸骨の血液供給を回復することができる。
【0034】
第四の方法は、bFGF、aFGF、TGFβもしくはVEGF、HGF、BMP、PDGF、TGFα、その他のサイトカイン、または上記の材料の遺伝子のような、血管新生/骨形成因子のうち少なくとも一つを含有する材料を、胸骨の骨髄に(すなわち内部に)挿入することである。この第四の方法は、上記の方法とともに(すなわち内部および外部の双方から)適用して、胸骨回復をさらに向上させることができる。
【0035】
本発明に従って胸骨切開術後の胸骨回復を向上させるための薬剤の効果的な用量は、疾患の程度、患者の年齢または状態等々に応じて変動する。しかし、一般的には、この用量は、骨折の場合の有効成分としては、1胸骨切開術部位あたり約0.1μg〜10mgの範囲内にある。回復を加速するには、適用の一般的に好ましい経路は、薬剤を、胸骨切開術の部位に直接接して:(1)外部から(すなわち胸骨の表面に、(2)内部から(すなわち胸骨または胸骨骨髄内に)、および(3)ITA床(すなわち、ITAおよびその柄部が座するのを常とする部域)に投与することである。
【0036】
本発明の上記の薬剤は、胸骨切開術後の胸骨で骨を再生させるか、または胸骨切開術後の胸骨の周囲での血管新生に付すのにも効果的である。したがって、胸骨切開術後の胸骨で骨を再生させるか、または胸骨切開術後の胸骨の周囲での血管新生に付すために、上に列挙したのと類似する方法を、患者に適用することができる。
【0037】
(実施例)
以下、実施例を参照して、本発明を説明する。
【0038】
例1:
本発明の効果を、ラットで、胸骨切開術後のbFGFの局所的使用、およびBITAの除去によって、増強された胸骨回復の際に評価した。
【0039】
4.9の等電点のゼラチンを、アルカリ法によって、Ca(OH)2を用いて(ニッタゼラチン社、大阪)ウシの骨コラーゲンから単離した。このゼラチンの重量平均分子量は、標準的なポリエチレングリコールのサンプルと比較して、ゲル濾過クロマトグラフィーによって測定したとき、99,000であった。9.6の等電点のヒト組換えbFGFは、科研製薬(東京)から供給された。
【0040】
(i)bFGFを組み込んだゼラチンヒドロゲルシートの製造
10重量%水溶液としたゼラチンを、様々な量のグルタルアルデヒドを用いて25℃で化学的に架橋させて、異なる程度の架橋を有するシートを製造した。略述すると、グルタルアルデヒドを含有するゼラチン水性溶液4.5mlを、テフロン(R)製成形用型(5x5cm2、深さ1.8mm)に注型した。25℃で12時間継続した架橋の後、得られたヒドロゲルシートを、50mMのグリシン水性溶液に37℃で1時間浸漬して、グルタルアルデヒドの残留アルデヒド基を遮断し、再蒸留水、100%エタノール、およびオートクレーブ滅菌した再蒸留水で洗浄して、滅菌されたシートを得た。これらを、凍結乾燥した後、bFGF100μgを含有する水溶液で含浸して、bFGFを組み込んだゼラチンヒドロゲルを得た。こうして製造したヒドロゲルシートは、矩形(1x10mm)の形状で、0.7mmの厚さであった。すべての実験過程は、無菌条件下で実施した。
【0041】
(ii)動物実験
300〜400gの体重のウィスター系雄ラット15匹を、エーテルで麻酔した後に経口挿管し、従量式小型の動物用換気装置(Rodant ventilator Model 683, Harvard、米国)で換気した。麻酔を、1〜2%のイソフルランにより、手術の間維持した。仰臥位での正中皮膚切開の後、両側の大胸筋を胸骨の接合部から分割し、両側の肋間筋を露出させた。正中胸骨切開術は、微細金槌により注意深く実施した。骨髄からの出血を、骨ろう(NESTOR、日本商事)の使用によって停止させた。BITAは、6−0ポリプロピレン縫合糸により、ITAの始点および遠位分岐部で結紮し、その上、BITAを、電気凝血器によって破壊した。BITAの欠損に代えて、bFGFを組み込んだ(100μg/シート)ゼラチンヒドロゲルシートを、6−0ポリプロピレン縫合糸で定置かつ固定した。対照としては、正中胸骨切開術のみ、および単なるBITA除去を同様にして実施した。呼吸終末陽圧を加えて、肺を完全に膨張させた後、胸骨を、4−0Nespolene縫合糸により、4カ所の胸骨周囲断続縫合によって閉鎖した。筋層および皮膚は、4−0ナイロン単繊維により注意深く縫合した。皮膚閉鎖の直後に、ストレプトマイシン(50mg/ラット)を筋内投与した。
【0042】
15匹のラットを3群に分割し:群Aには、BITA除去と、正中胸骨切開術後の胸骨へのbFGFを組み込んだゼラチンヒドロゲルシートとを施し、群Bには、BITA除去のみを施し、群Cは、無処置のBITAを有した(各5匹)。術後の心膜内出血の2例、呼吸不全の2例、または感染症の1例で死亡した、5匹の動物を、研究から除外した。手術から4週間後に、超過用量でのナトリウムペントバルビタールの静脈内投与によって、ラットを犠牲に供した。胸骨を取り出し、PBS中10重量%のホルムアルデヒド溶液で4日間固定して、骨再生を評価した。
【0043】
(iii)胸骨周囲血流量の測定
正中胸骨切開術後、胸骨の閉鎖後、および手術から2〜4週間後に、非接触レーザー流量計(ALF21N、アドバンス社、東京)を用いて、胸骨周囲血流量を測定した。この装置は、毛細血管血液潅流のパラメータ(血流量、体積および速度)を瞬時に測定する。この研究では、血流量のみを追跡かつ記録した(ml/分/100g)。レーザー光のビームを、3.0mmの直径を有する測定プローブに、光ファイバーを通じて指向させた。プローブを、胸骨付近の肋間筋を覆って、直線で10mm引き離して置いたため、調べようとする測定部域は、直径が約5mmで、深さが1mmであった。次いで、He−Ne光をダイオードレーザー(2mW、780nm)に切り換えて、胸骨周囲血流量を測定したが、それは、ドップラー偏移を用いて算出した。プローブは、2本の光ファイバーを備えた。一方は、レーザー照明のため、他方は、反射かつ散乱された光を受けるためであった。測定ごとに3回の読み取りを、安定した基線が得られた後に記録し、平均した。
【0044】
(iv)血管新生の組織学的評価
ヘマトキシリン−エオシンおよびアザンで染色したプレパラート中の、小動脈を計数した。5視野(5mmx5mm)を、胸骨の内側の胸骨周囲の部域から無作為に選んだ。5mmx5mmの視野のそれぞれの中の小動脈の密度を、無作為に選んだ5つの単位部域(500μmx500μm)中の血管の平均数を、400倍の倍率の方眼接眼マイクロメーター(オリンパス社、東京)を用いて計数することによって評価した。25の単位部域(それぞれ5単位部域を有する5視野)中の血管の総数を、計数した。
【0045】
(v)骨形成の評価
胸骨の周囲の骨形成を、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)、および組織学的検査によって評価した。胸骨の周囲の骨無機質密度(BMD)を、3群への正中胸骨切開術の4週間後に、骨無機質分析装置(Dichroma Scan 600、アロカ社、東京)を用いたDEXAによって測定した。計器は、既知の無機質含有量のファントムで較正した。各走査は、20mm/分の速度で実施し、走査長は、1mmであった。DEXA測定は、各実験群ごとに、第三肋骨から第六肋骨までの胸骨の限界で実施した。
【0046】
骨標本を、10wt%EDTA溶液中、4℃で3日間無機質除去し、パラフィンに包埋し、そして10μmの厚さの切片に切断した。切片は、等しい4部分の胸骨へと分割されるように切断し、手術から2および4週間後に、ヘマトキシリン−エオシン(HF)で染色した。この組織学的切片を、画像解析装置系(SP−1000、オリンパス社、東京)に接続したビデオカメラを備えた顕微鏡を用いて解析した。各切片あたりの胸骨の新たな骨の面積を、2倍の倍率で測定した。
【0047】
(vi)統計的分析
すべてのデータを一方向分散分析によって分析して、実験群間の統計的有意差を評価した。実験結果は、平均±標準誤差として表した。有意差の検定は、対照群と比較して、95%の信頼区間で実施した。
【0048】
(vii)胸骨周囲血流量
結果を図1に要約する。図1は、各群における、手術の前後の胸骨周囲血流量である。群A(bFGFおよびヒドロゲルをともに適用した)では、胸骨周囲血流量は、群B(対照、bFGFもヒドロゲルも用いなかった)、群C(擬似手術、bFGFは用いないが、ヒドロゲルは用いた)より大であった。これは、胸骨の後方(すなわち内側)表面、および内胸動脈血管床に適用したbFGF含有ヒドロゲルが、胸骨の表面/周囲での血管新生を促進したことを示唆する。術前の胸骨周囲血流量(PBF)は、8.6±0.6(平均±標準誤差)ml/分/100gであった。正中胸骨切開術のみの後のPBFは、有意な変化はなかったものの、BITA除去後には、8.5±0.6ml/分/100gへと減少した。群A、群Bまたは群Cでの手術から4週間後のPBFは、それぞれ、9.7±1.2、6.5±0.6または8.2±0.5ml/分/100gであった。有意差は、3群で注目された(p<0.001)。
【0049】
(viii)血管新生の組織学的評価
胸骨の周囲の血管新生の組織学的研究は、血管数のこの増加を確認した。群Aでは、群BおよびCより多くの毛細血管および小動脈(直径10〜50μm)が存在した(図2A〜2C)。図2A、2Bおよび2Cは、手術から4週間後の胸骨の周囲の結合組織の顕微鏡写真を示す。群A(bFGFおよびヒドロゲルをともに適用した)では、多数の血管新生が認められる(図2A)のに対し、群B(対照、bFGFもヒドロゲルも用いなかった:図2B)および群C(擬似手術、bFGFは用いないが、ヒドロゲルは用いた:図2C)では、僅かな血管新生のみが観察されたにすぎない。結果は、図1で認められた、群Aの増加した胸骨周囲血流量は、血管新生によって生じたことを強く示唆する。図3は、3群間の胸骨の周囲における単位面積あたりの小動脈および毛細血管の数を示す。すなわち、図3は、各群における胸骨の周囲の血管数を示す。群A(bFGFおよびヒドロゲルをともに適用した)では、胸骨の周囲の結合組織中に、多数の血管が認められた。一方、群B(対照、bFGFもヒドロゲルも用いなかった)、および群C(擬似手術、bFGFは用いないが、ヒドロゲルは用いた)では、有意に少ない血管数が認められた。胸骨の周囲における単位面積あたりの小動脈および毛細血管の数は、群Aでは、他の2群より顕著に増加した(群A:30.5±3.2、群B:15.8±2.7、群C:12.3±1.5本の血管/単位面積、p<0.01)。
【0050】
(ix)骨形成の評価
図4Aおよび4Bは、それぞれ、様々な手術から4週間後のラットの胸骨の、BMC(骨無機質含量)およびBMD(骨無機質密度)測定の結果を示す。群A(bFGFおよびヒドロゲルをともに適用した)では、骨無機質含量は、群B(対照、bFGFもヒドロゲルも用いなかった)、および群C(擬似手術、bFGFは用いないが、ヒドロゲルは用いた)より多く;これは、群Aの方が、胸骨の多大な再生(すなわち回復)があったことを示唆する。すべての群で、骨無機質密度は、同じ水準であり;これは、群Aには、正常な質を有する再生胸骨があったことを示唆する。
【0051】
群AにおけるBMCは、65.5±15.7であったが、これは、群BおよびC(群B:47.6±6.4、群C:41.3±17.5)より有意に大きかった。一方、BMDは、3群間で有意に変化しなかった(群A:51.1±8.1、群B:50.0±6.1、群C:43.7±8.5mg/mm2)。
【0052】
図5は、様々な手術から2および4週間後の、全群間の胸骨の新たな骨形成の面積の結果を立証する。図5は、手術から2および4週間後の、新たな骨形成の面積を示す。手術から2週間後に、群A(bFGFおよびヒドロゲルをともに適用した)は、群B(対照、bFGFもヒドロゲルも用いなかった)、および群C(擬似手術、bFGFは用いないが、ヒドロゲルは用いた)より多大な骨形成がある傾向にあり、この差は、2週間後(すなわち手術から4週間後)にさらに大きく、有意であった。手術から2週間後には、群Aでの新たな骨形成の面積は、群BおよびCより大きい傾向にあったが、3群間で、有意差はなかった(群A:1.79±1.22、群B:0.87±0.70、群C:1.37±0.92mm2)。一方、群Aは、手術から4週間後には、他の2群より有意に大きい新たな骨形成の面積を有した(群A:5.13±2.82、群B:2.17±0.91、群C:2.01±0.89mm2)。
【0053】
図6A〜6C、および7A〜7Cは、それぞれ、異なる手術から2および4週間後の、胸骨の組織学的切片を示す。すなわち、図6A、6Bおよび6Cは、手術から2週間後の胸骨からの断面の顕微鏡写真である。群A(bFGFおよびヒドロゲルをともに適用した:図6A)、および群C(擬似手術、bFGFは用いないが、ヒドロゲルは用いた:図6C)では、胸骨は、既に回復を開始した。一方、群B(対照、bFGFもヒドロゲルも用いなかった:図6B)では、胸骨は、回復を開始しなかった。また、図7A、7Bおよび7Cは、手術から4週間後の胸骨からの断面の顕微鏡写真である。群A(bFGFおよびヒドロゲルをともに適用した)では、胸骨は、ほとんど完全に回復し、胸骨の回復不良または過剰回復は、なかった(図7A)。一方、群B(対照、bFGFもヒドロゲルも用いなかった:図7B)、および群C(擬似手術、bFGFは用いないが、ヒドロゲルは用いた:図7C)では、胸骨は、充分に回復しなかった。手術から2週間後、群AおよびCでは、本来の胸骨の周囲に多少の軟骨内骨化が観察されたが、群Bでは観察されなかった。手術から4週間後、群BおよびCには、本来の胸骨の周囲に部分的な軟骨内骨化があった。対照的に、群Aには、再生した骨組織で満たされた、ほぼ完全に回復した胸骨があった。
【0054】
本発明では、BITA除去後の胸骨切開術を包含する、胸骨切開術後の胸骨回復を向上させるいくつかの方法を提供することができる。実験で得られたデータによれば、増強された胸骨回復は、胸骨、および周囲の組織の血管新生、ならびに骨形成によって生じ;血管新生および骨形成の双方が、局所的に適用された、血管新生/骨形成因子(たとえば、この実験でのbFGF)によって誘導された。
【0055】
例2
本発明の効果を、ビーグル犬での胸骨切開術およびBITA除去後の、bFGFの局所的使用によって増強された胸骨回復の際に評価した。
【0056】
(i)bFGFを組み込んだゼラチンヒドロゲルシートの調製
例1の(i)と同様にして、4.9の等電点を有する、アルカリ処理したゼラチンを、グルタルアルデヒドにより25℃で化学的に架橋させて、滅菌されたシートを製造した。これらを、凍結乾燥した後、bFGF100μgを含有する水溶液で含浸して、bFGFを組み込んだゼラチンヒドロゲルを得た。こうして製造したヒドロゲルシートは、矩形(1x10mm)の形状で、0.7mmの厚さであった。それぞれのヒドロゲルシートの含水量は、95%であった。すべての実験過程は、無菌条件下で実施した。
【0057】
(ii)動物実験
10〜12kgの体重のビーグル犬8頭を、エーテルで麻酔した後に経口挿管し、仰臥位での正中胸骨切開術に付し、それぞれのイヌの両側の内胸動脈を、有柄の方式の電気小刀を用いることによって、出発位置から剣状突起の高さまで剥離させた。剥離した両側の内胸動脈を、完全に分離し、中心側および末梢側で1−0絹糸を用いることによって、切断し、除去した。
【0058】
これら8頭のイヌを、2群に分割し:群Aには、BITAの除去を施し、bFGF(100μg/シート)を組み込んだゼラチンヒドロゲルシートを、正中胸骨切開術後の胸骨に接着し、群Bには、BITA除去のみを施した(それぞれ4頭)。ゼラチンヒドロゲルシートは、4.9の等電点を有するアルカリ処理したゼラチンを、グルタルアルデヒドで化学的に架橋させることによって製造した。このゼラチンヒドロゲルシートは、総ゼラチンヒドロゲルシートに対して95重量%の量の水を含有した。
【0059】
(iii)骨形成の評価
4週間後の胸骨の周囲の骨再生を、骨シンチグラム(テクネチウム99二ホスホン酸メチレンを用いて;以下、「Tc−99−MDP」と略す)、胸骨のX線写真、および二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)によって評価した。
【0060】
(vi)骨シンチグラム解析
手術から4週間後に、それぞれのイヌにTc−99−MDPを静脈内に投与し、投与から60分後に、イヌの骨シンチグラムを写真撮影した。結果を図8A(群A)および8B(群B)に示す。これらの写真から理解できるとおり、Tc−99−MDPは、群Aの胸骨に、群Bのそれより多く蓄積された。
【0061】
また、胸骨を問題の領域(ROI)として3群に区分し、それぞれの領域での陰の比率を、参照領域(ref−ROI)としての全部縦隔部分のそれに基づいて算出して、定量的評価を実施した。結果として、図9に示したとおり、Tc−99−MDP投与の30分後には、群Aは、234.9±31.0%であり、群Bは、176.2±39.0%であり、Tc−99−MDP投与の60分後には、群Aは、282.7±22.9%であり、群Bは、174.2±27.2%であった。したがって、これらの群では、有意差が注目された(p<0.001)。
【0062】
(v)胸骨のX線写真法
手術から4週間後の胸骨の周囲の骨再生を、X線写真法によって評価した。結果を、図10A(群A)および10B(群B)に示す。
【0063】
群Aでは、充分な骨再生を、すべての部分で認めることができたのに対し、群Bでは、骨再生が不充分である多くの部分が存在し、いくつかの部分は、部分的に分離されていた。
【0064】
(vi)二重エネルギーX線吸収測定(DEXA)
胸骨の再生を定量的に評価するため、0.1x1.0cmの大きさを有する問題の領域(ROI)を、胸骨の切開部分に設定し、この部分の骨量および骨密度を、DEXAを用いることによって測定した。測定した部分は、胸骨の両側の第一ないし第六肋骨の胸骨切開部分であった。結果を図11に示す。図11から理解できるとおり、群Aの骨量は、21.4±11.1mgであったのに対し、群Bでは、それが8.6±7.4mgであり、群Aの骨密度は、125.8±70.5mg/mm2であったのに対し、群Bでは、それが66.7±44.3mg/mm2であった。したがって、群Aは、群Bのそれより顕著に高い値を示した結果、これらの群では有意差が注目された(p<0.001)ことを理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 3群間の手術前の水準と比較した胸骨周囲血流量を示すグラフである。
【図2A】 手術から4週間後の胸骨の周囲の結合組織の顕微鏡写真であって、図2Aは、群A(bFGF)である。
【図2B】 手術から4週間後の胸骨の周囲の結合組織の顕微鏡写真であって、図2Bは、群B(対照)である。
【図2C】 手術から4週間後の胸骨の周囲の結合組織の顕微鏡写真であって、図2Cは、群C(擬似手術)である。
【図3】 3群間の胸骨の周囲の血管数の比較を示すグラフである。
【図4A】 3群間の、それぞれ、骨無機質含量の比較を示すグラフであって、群AはbFGF、群Bは対照、群Cは擬似手術である。
【図4B】 3群間の、それぞれ、骨無機質密度の比較を示すグラフであって、群AはbFGF、群Bは対照、群Cは擬似手術である。
【図5】 手術から2または4週間後の3群間の新たな骨形成の面積の比較を示すグラフである。
【図6A】 手術から2週間後の胸骨から得られた組織学的断面を示す顕微鏡写真であって、群AはbFGFである。
【図6B】 手術から2週間後の胸骨から得られた組織学的断面を示す顕微鏡写真であって、群Bは対照である。
【図6C】 手術から2週間後の胸骨から得られた組織学的断面を示す顕微鏡写真であって、群Cは擬似手術である。
【図7A】 手術から4週間後の胸骨から得られた組織学的断面を示す顕微鏡写真であって、群AはbFGFである。
【図7B】 手術から4週間後の胸骨から得られた組織学的断面を示す顕微鏡写真であって、群Bは対照である。
【図7C】 手術から4週間後の胸骨から得られた組織学的断面を示す顕微鏡写真であって、群Cは擬似手術である。
【図8A】 手術から4週間後の胸骨から得られた骨シンチグラムの比較を示す写真であって、群AはbFGFである。
【図8B】 手術から4週間後の胸骨から得られた骨シンチグラムの比較を示す写真であって、群Bは対照である。
【図9】 手術から4週間後の2群間の、99mTc−MPDの投与から30分および60分後の骨のシンチグラムの比較を示すグラフである。
【図10A】 手術から4週間後の胸骨を示すX線写真であって、群AはbFGFである。
【図10B】 手術から4週間後の胸骨を示すX線写真であって、群Bは対照である。
【図11A】 手術から4週間後の胸骨の、それぞれ、骨量の比較を示すグラフであって、群AはbFGF、群Bは対照である。
【図11B】 手術から4週間後の胸骨の、それぞれ、骨密度の比較を示すグラフであって、群AはbFGF、群Bは対照である。

Claims (7)

  1. 胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うかまたは伴わない胸骨切開術後の胸骨の処置のための薬剤であって、該薬剤が、塩基性線維芽細胞増殖因子を有効成分として含む薬剤
  2. 薬剤を、胸骨切開術後の、胸骨の表面もしくは内部胸骨の周囲の組織または除去された内胸動脈の血管床に適用する、請求項1記載の薬剤
  3. 薬剤を、ヒドロゲルの形態で適用する、請求項1または2記載の薬剤
  4. 薬剤を、除去された内胸動脈の血管床にヒドロゲルの形態で適用する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 該ヒドロゲルが、4.9の等電点を有するアルカリ処理ゼラチンまたは9.0の等電点を有する酸処理ゼラチンを、架橋剤で架橋したヒドロゲルに塩基性線維芽細胞増殖因子を組み込んだヒドロゲルである、請求項4記載の薬剤
  6. 有効成分を、患部に、1胸骨切開術部位あたり0.1μg〜10mgの量で投与する、請求項1〜のいずれか一項に記載の薬剤
  7. 内胸動脈の少なくとも一つの除去を伴うかまたは伴わない胸骨切開術後の胸骨癒合促進剤であって、該剤が、塩基性線維芽細胞増殖因子を有効成分として含む胸骨癒合促進剤
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