以下、本発明の一実施形態に係る写真処理装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る写真処理装置は、図1及び図2に示す如く、該写真処理装置の操作を行う操作部1と、感光材料Pに露光処理を施す露光処理部2(レーザー露光装置)と、該露光処理部2で露光処理された感光材料Pを現像処理する現像処理部3(現像装置)と、該現像処理部3で現像処理された感光材料Pを乾燥処理する乾燥処理部4(乾燥装置)と、該乾燥処理部4で乾燥した感光材料Pを回収する回収部5とで構成されている。
前記操作部1は、各処理の処理状況や操作案内等を表示するモニター10と、該モニター10の表示に基づいて入力操作を行うための入力装置(図示しない)と、CD−R/RWやメモリーカード等のメディア(図参照)から画像データを読み込む読込装置11と、入力装置からの入力データ、読込装置11やスキャナー装置で読み込んだ画像データ等を適宜演算処理し、露光処理部2の動作等を制御する演算処理装置12(コンピュータ)とを備えている。
前記モニター10には、ブラウン管モニター或いは液晶モニターが採用され、本実施形態においてはブラウン管モニターが採用されている。該モニター10は、後述するレーザー光源25及びレーザーユニット22の温度管理の不具合((後述する第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222(図3参照))の不具合)を報知する報知手段としても機能するようになっている。
前記演算処理装置12は、CPU、ROM、RAM等(図示しない)が制御基板上にマウントされることにより構成されており、該写真処理装置における全ての処理を制御するように構成されている。また、該演算処理装置12は、レーザー光源25及びレーザーユニット22の温度管理の不具合(第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の不具合の発生)の有無を判断する判断手段として機能するようにも構成されている。前記入力装置には、キーボード、及びマウスが採用されている。本実施形態において、前記モニター10、入力装置(キーボード、マウス)、読込装置11は、I/Oインターフェイスを介して演算処理装置12(CPU)に接続されている。
前記ROMには、前記第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222が正常に作動しているときの温度条件が、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222に対する不具合の発生の有無(不具合の発生の可能性の可否)を判断するための判断基準として記憶されており、演算処理装置12が判断手段と機能するに際して基準データとして活用できるようになっている。この基準データ(判断基準)は、露光処理部2(レーザ露光装置:レーザーユニット22)の信頼性試験により得られたデータを活用することができ、経時的な温度変化に関するものや、露光処理を行うに際して(レーザー光を出射するに際して)最適な特定の温度、所定の温度範囲などの温度条件が挙げられる。
前記露光処理部2は、ロール状にされた長尺な感光材料Pを収納するマガジン20と、該マガジン20から引き出された感光材料Pを所定サイズに切断する切断装置21と、該切断装置21によって所定サイズに切断されて枚葉状になった感光材料Pに露光処理を施すレーザーユニット22と、これらが内装された筐体23とで構成されている。なお、該露光処理部2は、各装置間に複数のローラ対24,24…が配設されており、切断装置21で切断された枚葉状の感光材料Pを下流側(前記現像処理部3)に向けて搬送できるようになっている。
前記マガジン20は、露光処理部2(筐体23)内の下部に設けられており、該マガジン20には、一方の面を内側(乳剤面を外側)に位置させるようにロール状にされた長尺な感光材料Pが軸回りに回転可能で且つ引き出し可能に収納されている。
前記切断装置21は、露光処理部2内の下部に配置されたマガジン20の下流側に設けられている。該切断装置21は、互いに接離する一対のカッター21a,21bを備えており、マガジン20から引き出された感光材料Pを切断して、長尺な感光材料Pを所定サイズの枚葉状の感光材料Pにできるようになっている。
前記レーザーユニット22は、図3に示す如く、外観箱状に形成されており、内部には、レーザー光を出力(出射)するレーザー光源25や、該レーザー光源25を駆動するためのドライバ基板221R,221G,221B、レーザー光源25から出射したレーザー光を搬送中の感光材料P上に導くため光学系26、該光学系26(後述するポリゴンミラー261)を駆動するドライバ基板220等が内装されている。
本実施形態に係るレーザー光源25には、半導体レーザー素子が採用されており、RGBの各色に対応して三つ設けられている(以下、赤色(R)のレーザー光を出力するためのレーザー光源25をRレーザー光源25Rといい、緑色(G)用のレーザー光を出力するためのレーザー光源25をGレーザー光源25Gといい、青色(B)用のレーザー光を出力するためのレーザー光源25をBレーザー光源25Bといい、これらを総称する場合には、単にレーザー光源25という。)。前記Rレーザー光源25Rは、直接変調されて出射する光の強度変調が行われており、該強度変調された赤色のレーザー光を光学系26を介して感光材料Pに照射できるように配置されている。一方、Gレーザー光源25G及びBレーザー光源25Bから出射したレーザー光は、第二高調波発生器(SHG)で所望の波長に変調された後、AOM等の外部変調素子で光の強度変調されるようになっており、Gレーザー光源25G及びBレーザー光源25Bは、第二高調波発生器及び外部変調素子によって変調された緑色及び青色のレーザー光を光学系26を介して感光材料Pに照射できるように配置されている。
レーザー光源25から出射されるレーザー光(特には、Rレーザー光源25Rから出射される赤色のレーザー光)は、温度によって波長が不安定になる特性があるため、各レーザー光源25R,25G,25Bには、温度調整(冷却と加熱とに切り換え)可能な温調手段251R,251G,251B(以下、第一温調手段という。)が取り付けられると共に、レーザー光源25の温度を測定する温度測定手段252R,252G,252B(以下、第一温度測定手段という。)が取り付けられている。
前記第一温調手段251R,251G,251Bには、ペルチェ素子が採用されており、第一温度測定手段252R,252G,252Bには、温度センサー(サーミスタ)が採用されている。これにより、第一温度測定手段252R,252G,252Bでの測定に基づき、第一温調手段251R,251G,251Bによる加熱及び冷却を適宜切り換え、レーザー光源25の温度を露光処理に対して適正な温度で保つようになっている。
前記ドライバ基板221R、221G、221Bは、各レーザー光源25R,25G,25Bに対応して設けられており、各レーザー光源25R,25G,25Bを安定して駆動できるように構成されている。
前記光学系26は、各レーザー光源25R,25G,25Bからのレーザー光の光路を変更する各種ミラー260や、該ミラー260によって光路が変更されたレーザー光を感光材料P上で走査させるためのポリゴンミラー261、該ポリゴンミラー261により等角速度に偏向されたレーザー光を搬送中の感光材料P上で等速になるようにして歪曲収差を補正するためのfθレンズ262等によって構成されている。
該レーザーユニット22には、該レーザーユニット22内の温度を測定する第二温度測定手段230と、該レーザーユニット22内の温度調整を行う第二温調手段222とが設けられている。該第二温調手段222は、ヒータ222a(シート状の電気ヒータ)と、レーザーユニット22内を冷却する冷却手段222b(電動ファン)とを備えている。これにより、レーザーユニット22内の温度が所定温度範囲内となるように、第二温度測定手段230による測定に基づいて(レーザーユニット22の温度状態に基づいて)、ヒータ222aのON/OFF、電動ファン222bのON/OFFが切り替わるようになっている。
つまり、第二温度測定手段230の測定結果(レーザーユニット22内の温度)が基準データとして設定された所定温度範囲以下である場合には、ヒータ222aがON状態となってレーザーユニット22内が所定温度範囲内になるように加熱する一方で、第二温度測定手段230の測定結果(レーザーユニット22内の温度)が基準データとして設定された所定範囲以上である場合には、電動ファン222bがON状態となってレーザーユニット22内が所定温度範囲内になるように冷却するようになっている。なお、レーザーユニット22内に埃や塵が舞うと、レーザー光の通過を阻害し、安定した露光処理を行うことができなくなるため、レーザーユニット22の外部に取り付けられた冷却フィン(図示しない)に向けて電動ファン222bで送風し、レーザーユニット22を間接的に冷却できるようになっている。
本実施形態に係る露光処理部2は、前記第二温調手段222によってレーザーユニット22内(レーザー光源25の周囲)の温度が所定温度(所定温度範囲)に達してから、第一温調手段251R,251G,251Bでレーザー光源25の温調を図るようになっている。これは、第一温調手段251R,251G,251Bと第二温調手段222とを同時に作動させることによる各箇所の熱膨張或いは熱収縮の差で、レーザー光源25の光軸にズレが生じてしまうのを防止するために行っている。
該露光処理部2は、レーザー光源25及びレーザーユニット22の温度管理(第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222)に不具合が発生しているか否かを判断した上で、その不具合発生箇所を特定する判断手段12(前記演算処理装置)を備えている。このレーザー光源25を温調する第一温調手段251R,251G,251B、及びレーザーユニット22を温調する第二温調手段222の不具合の発生の有無についての判断は、予め設定して前記基準データと、第一温度測定手段及び第二温度測定手段の測定結果との対比により行い、不具合の発生箇所の特定は、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230により得られた測定結果(経時的な温度変化の履歴)の相関関係に基づいて行うようになっている。
また、本実施形態においては、筐体23内の温度を測定する第三温度測定手段240が設けられており、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の測定結果に加え、第三温度測定手段240によって得られる経時的な測定結果についても考慮するようになっており、レーザー光源25(第一温調手段251R,251G,251B)、及びレーザーユニット22(第二温調手段222)の不具合の発生の有無と、不具合の発生箇所の特定の信頼性を高めるようになっている。なお、判断手段12による第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の不具合の発生の有無の判断、及び不具合発生箇所の特定についての説明は、写真処理装置全体の作動の説明と併せて後述する。
図2に戻り、前記現像処理部3は、現像処理液が貯留される液槽30と、該液槽30内の現像処理液に対して感光材料Pを浸漬して引き上げる動作を繰り返すように、感光材料Pを搬送する搬送系31とを備えている。
搬送系31は、複数の搬送ローラ対310,310…が間隔を有して配置されることで、連続したS字状の搬送経路を形成しており、感光材料Pを搬送ローラ対310,310……の配置(S字状の搬送経路)に沿って搬送し、該感光材料Pにおける現像処理液への浸漬と現像処理液からの引き上げとを行って現像処理を行えるようになっている。
前記乾燥処理部4は、現像処理部3から送られてきた感光材料Pを搬送する搬送系40と、該搬送系40によって搬送される感光材料Pに向けて熱風を吹き付ける熱風発生装置41とを備えており、該感光材料Pを乾燥させつつ下流側(回収部5)に向けて送り出せるようになっている。
本実施形態に係る写真処理装置は、以上の構成からなり、次に、本実施形態にかかる写真処理装置の作動を説明する。
本実施形態に係る写真処理装置は、感光材料Pに対して質の高い処理を施すべく、感光材料Pに対する各処理を行う前にウォームアップを行うようになっている。このウォームアップは、主として露光処理部2の露光装置に対するもので、感光材料Pに良質のレーザー光(露光処理に最適な周波数のレーザー光)を照射させるために行われる。
このウォームアップについて説明すると、図4に示す如く、まず、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240のそれぞれが作動し(ON状態になり)(S10)、各温度測定手段252R,252G,252B,230,240の測定結果が温度履歴としてグラフ化されてモニター10に表示される(S20)。そして、第二温調手段222が作動(ON)して(S30)、レーザーユニット22内を所定温度範囲まで加熱又は冷却する。そして、第二温度測定手段230の測定により得られたレーザーユニット22内の温度が判断手段12によってROMに記憶された基準データと比較され(S40)、該第二温度測定手段230の測定結果が所定温度(所定温度範囲内)である(基準データと一致している)と判断されると(S50でYES)、第一温調手段251R,251G,251Bが作動(ON)して(S60)、レーザー光源25が所定温度になるまで加熱、又は冷却される。
そして、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定により得られたレーザー光源25(25R,25G,25B)の温度が判断手段12によってROMに記憶された基準データと比較され(S70)、レーザー光源25が所定温度になる(基準データと一致する)と(S80でYES)、第一温度測定手段252R,252G,252Bと第二温度測定手段230の測定により得られた両方の結果が基準データと一致するか否かが比較され(S90)、何れもが所定温度になったと判断されると(S100でYES)、レーザー光源25から露光処理に対して適正な波長のレーザー光が出射可能な状態となる(S110)。
このようにレーザー光を出射させ得る状態になると、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240のそれぞれによって経時的に温度が測定され、その測定結果は、判断手段12に送信される。そして、各温度測定手段252R,252G,252B,230の測定結果(レーザー光源25、レーザーユニット22の温度変化)に基づいて、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222のそれぞれがON状態とOFF状態とに適宜切り替わり、レーザー光源25及びレーザーユニット22を所定温度で維持するようになっている。
なお、このように正常な状態で作動しているときも、モニター10には、例えば、図5(イ)に示すような第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240の測定結果のグラフが表示されている。
図4に戻り、S50において、第二温度測定手段230の経時的な測定結果が所定温度(所定温度範囲)でない(基準データと対応していない)と判断されると(S50でNO)、第二温調手段222に不具合が発生している可能性があると判断され(S160)、第二温度測定手段230と第三温度測定手段240との測定結果の相関関係(所定時間内における温度履歴の関係)が比較され(S170)、第二温度測定手段230の測定結果(レーザーユニット22内の温度履歴)が、第三温度測定手段240の測定結果に近似している場合(S180でYES)、第二温調手段222に不具合が発生していると特定され(S190)、その旨がモニター10に表示されて使用者に報知される(S200)。
このように第二温調手段222に不具合が発生していると特定できるのは、第一温調手段251R,251G,251Bが未だ作動していない状態で、第二温調手段222が作動していなければ、レーザーユニット22に熱の影響を与えるのは、筐体23内の温度だけであるので、この筐体23内の温度がレーザーユニット22に影響し、筐体23内の温度変化に従属するようにレーザーユニット22内が温度変化する、即ち、第二温度測定手段230の測定結果が第三温度測定手段240の測定結果に従属するという理由によるものである。
従って、このような場合には、報知手段としてのモニター10に表示される各測定手段252R,252G,252B,230,240の温度履歴(温度測定の結果における経時的なグラフ)は、例えば、図5(ロ)に示す如く、点線で示したレーザーユニット22内の温度変化(第二温度測定手段230の測定結果)が、一点鎖線で示した筐体内の温度(第三温度測定手段240の測定結果)に近似したものや、レーザーユニット22内の温度が筐体23内の温度より低い温度で推移したものとなる。なお、図5(ロ)に示したレーザー光源の温度変化(実線)は、−7〜−5分のとき(現在よりも5〜7分前)に急激に上昇し、第一温調手段251R,251B,251Bが作動していることを示しているが、これは、筐体23内の温度上昇に伴って、レーザーユニット22内が所定温度以上になったことにより作動したことを示しており、上述の如く、第二温調手段222に不具合が発生していると特定されているため、感光材料Pに対する露光処理(レーザー光源25からのレーザー光の出射)は実行されない。
図4に戻り、S50において、第二温度測定手段230が基準データと対応(一致)していると判断され(S50でYES)、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が、基準データと対応(一致)していないと判断されると(S80でNO)、第一温調手段251R,251G,251Bに不具合が発生している可能性があると判断される。
そして、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230及び第三温度測定手段240の所定時間内における経時的な測定結果が比較され、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第二温度測定手段230の温度変化に対応している場合、即ち、レーザー光源25の温度履歴がレーザーユニットの温度履歴に従属している場合には(S130)、第一温調手段251R,251G,251Bのみに不具合が発生していると特定される(S140)。その一方で、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第三温度測定手段240の温度変化に対応している場合、即ち、レーザー光源25の温度履歴が筐体23内の温度履歴に従属している場合には(S130)、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の両方に不具合が発生していると特定され(S150)、その旨がモニター10に表示されて使用者に報知される(S200)。
このように第一温調手段251R,251G,251Bのみに不具合が発生していると特定できるのは、レーザー光源25に熱の影響を与えるのが第一温調手段251R,251G,251B、及び第二温調手段222であるので、第一温調手段251R,251G,251Bが作動せずに、第二温調手段222のみが作動していると、この第二温調手段222の温度がレーザー光源25に影響し、レーザーユニット22の温度変化に従属するようにレーザー光源25が温度変化する、即ち、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第二温度測定手段230の測定結果に従属するという理由によるものである。
その一方で、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の両方に不具合が発生していると特定できるのは、第二温調手段222が作動していれば、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果は、第二温調手段222の温度調整による熱影響を受けて筐体23内の温度変化に直接従属することがないが、第二温調手段222が作動していなければ、筐体23内の温度がレーザー光源25に影響し、筐体23内の温度変化に従属するようにレーザー光源25が温度変化する、即ち、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第三温度測定手段240の測定結果に従属するという理由によるものである。
従って、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の何れにも不具合が発生していると特定された場合、モニター10に表示される温度履歴に関するグラフは、図5(ハ)に示す如く、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果(実線)、及び第二温度測定手段230の測定結果(鎖線)が、第三温度測定手段240の測定結果(一点鎖線)に沿った(従属した)変化をなすことになる。
以上のように、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の何れかにトラブルが発生して、レーザー光源25又はレーザーユニット22の温度管理に不具合が発生した場合には、特定された不具合の発生箇所と、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240の経時的な測定結果のグラフとがモニター10に表示されることにより、使用者が不具合の発生を認識することができ、感光材料Pに対する露光処理の仕損じが防止される。
このようにウォームアップされた写真処理装置は、まずマガジン20に収容された感光材料Pが下流側に引き出され、切断装置21(カッター)で所定サイズにカットされる。
そして、所定サイズにカットされた感光材料Pが露光領域に送り込まれると、レーザー光源25R,25G,25BからRGB各色のレーザー光が出射され、その感光材料Pに対して露光処理される。露光処理を終えた感光材料Pは、現像処理部3に送られ、液槽30内の現像処理液に対する浸漬と引き上げとが繰り返されて現像処理が施され、乾燥処理部4に向けて搬送されることになる。
現像処理部3から乾燥処理部4に送り込まれた感光材料Pは、搬送系40によって搬送されつつ乾燥処理が施された後、回収部5において回収され一連の処理が完了する。
以上のように、本実施形態に係る写真処理装置は、ウォームアップ時において、第一温度測定手段252R,252G,252Bと第二温度測定手段230とで温度測定を行い、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の測定結果と、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222に対して予め設定した正常時の温度条件とを対比して第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の不具合の発生の有無を判断し、該第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の経時的な測定結果の相関関係に基づき、不具合の発生箇所を特定するようにしているので、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の何れかに不具合が発生しているか否かを判断した上で、何れに不具合が発生しているかを特定することができる。
また、このように不具合箇所を特定した結果を報知手段(モニター)10によって報知するようにしているので、感光材料Pに対する露光処理が実行される前に、使用者が何らかの対策をとることができ、低品質な露光処理によって仕損じが発生するのを未然に防止することができる。また、モニター10に前記第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240によるの経時的な測定結果をグラフ化して表示するように構成したので、グラフを見ることで、各温調手段251R,251G,251B,222の温度状態を目視で認識することができ、その上、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222に不具合が発生した場合においても、グラフの傾向によって不具合の発生箇所を特定することができる。
また、前記レーザーユニット22を収容した筐体23内の温度を測定する第三温度測定手段240を設け、前記第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の測定と同時に、第三温度測定手段240で筐体23内の温度を測定し、前記判断手段12が第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230及び第三温度測定手段240の測定結果の相関関係に基づいて、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の何れに不具合が発生しているか特定するように構成されているので、不具合の発生している箇所の特定についての信頼性を高めることができる。
次に、本発明の他実施形態にかかる写真処理装置について説明する。なお、本実施形態に係る写真処理装置の構成は、上記実施形態と同一であり、判断手段における不具合の発生の有無の判断、及びその不具合発生箇所の特定のフローが異なるだけであるので、各構成については、同一名称及び同一符号を付して説明を割愛し、ウォームアップ時の判断手段における処理フローのみについて説明することとする。
本実施形態に係る写真処理装置は、ウォームアップ時において、図6に示す如く、まず、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240のそれぞれが作動し(ON状態になり)(S300)、各温度測定手段252R,252G,252B,230,240の測定結果が温度履歴としてグラフ化されてモニター10に表示される(S310)。そして、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222が作動(ON)して(S320)、レーザー光源25(25R,25G,25B)及びレーザーユニット22内を所定温度範囲まで加熱又は冷却する。そして、判断手段12によって、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の測定により得られたレーザー光源25及びレーザーユニット22内の温度がROMに記憶された基準データと比較される(S330)。
その結果、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の測定結果が所定温度(所定温度範囲内)にある(基準データと一致している)と判断されると(S340でYES)、第一温度測定手段252R,252G,252Bと第二温度測定手段230の測定により得られた両方の結果が基準データと一致するか否かが比較され(S350)、何れもが所定温度になったと判断されると(S360でYES)、レーザー光源25から露光処理に対して適正な波長のレーザー光が出射可能な状態となる(S370)。
このようにレーザー光を出射させ得る状態になると、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240のそれぞれによって経時的に温度が測定され、その測定結果は、判断手段12に送信される。そして、各温度測定手段252R,252G,252B,230の測定結果(レーザー光源25、レーザーユニット22の温度変化)に基づいて、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222のそれぞれがON状態とOFF状態とに適宜切り替わり、レーザー光源25及びレーザーユニット22を所定温度で維持するようになっている。
そして、モニター10には、例えば、図5(イ)に示すような第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240の測定結果のグラフが表示されている。
図6に戻り、S340において、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果のみが基準データとして設定された温度変化に対応している判断されると、第二温調手段222に不具合が発生している可能性があると判断され(S380)、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230及び第三温度測定手段240の所定時間内における経時的な測定結果の相関関係(温度履歴の関係)が比較され(S390)、第二温度測定手段230の測定結果(レーザーユニット22内の温度履歴)が、第三温度測定手段240の測定結果に近似している場合(S400でYES)、第二温調手段222に不具合が発生していると特定され、その旨がモニター10に表示されて使用者に報知される(S200)。
このように第二温調手段222に不具合が発生していると特定できるのは、第二温調手段222が作動していなければ、レーザーユニット22に熱の影響を与えるのは、第一温調手段251R,251G,251Bによる温度調整、及び筐体23内の温度であるので、レーザー光源25又は筐体23内の温度がレーザーユニット22に影響し、レーザー光源25(第一温調手段251R,251G,251B)の温度、又は筐体23内の温度変化に従属するようにレーザーユニット22内が温度変化する、即ち、第二温度測定手段230の測定結果が、第一温調手段251R,251G,251B又は第三温度測定手段240の測定結果に従属するという理由によるものである。
従って、このような場合には、報知手段としてのモニター10に表示される各測定手段252R,252G,252B,230,240の温度履歴(温度測定の結果における経時的なグラフ)は、例えば、図5(ロ)に示す如く、点線で示したレーザーユニット22内の温度変化(第二温度測定手段230の測定結果)が、一点鎖線で示した筐体内の温度(第三温度測定手段240の測定結果)に近似したものとなる。
図6に戻り、S340において、第二温度測定手段230の測定結果のみが基準データとして設定された温度変化に対応している判断されると、第一温調手段251R,251G,251Bに不具合が発生している可能性があると判断される(S430)。
そして、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230及び第三温度測定手段240の所定時間内における経時的な測定結果が比較され(S440)、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第二温度測定手段230の温度変化に対応している場合、即ち、レーザー光源25の温度履歴がレーザーユニットの温度履歴に従属している場合には(S450)、第一温調手段251R,251G,251Bのみに不具合が発生していると特定される(S460)。
その一方で、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第三温度測定手段240の温度変化に対応している場合、即ち、レーザー光源25の温度履歴が筐体23内の温度履歴に従属している場合には(S450)、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の両方に不具合が発生していると特定され(S480)、その旨がモニター10に表示されて使用者に報知される(S470)。
このように第一温調手段251R,251G,251Bのみに不具合が発生していると特定できるのは、レーザー光源25に熱の影響を与えるのが第一温調手段251R,251G,251B、及び第二温調手段222であるので、第一温調手段251R,251G,251Bが作動せずに、第二温調手段222が作動していると、第二温調手段222による温度調整(レーザーユニット22内の温度変化)がレーザー光源25に影響し、レーザーユニット22の温度変化に従属するようにレーザー光源25が温度変化する、即ち、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第二温度測定手段230の測定結果に従属するという理由によるものである。
その一方で、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の両方に不具合が発生していると特定できるのは、第二温調手段222が作動していれば、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果は、上述の如く、第二温度測定手段230の測定結果に従属することになるが、第二温調手段222が作動していなければ、レーザー光源25に熱の影響を与えるのは、筐体23内の温度であるので、この筐体23内の温度がレーザー光源25に影響し、筐体23内の温度変化に従属するようにレーザー光源25内が温度変化する、即ち、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果が第三温度測定手段240の測定結果に従属するという理由によるものである。
従って、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の何れにも不具合が発生していると特定された場合、モニター10に表示される温度履歴に関するグラフは、例えば、図5(ハ)に示す如く、第一温度測定手段252R,252G,252Bの測定結果(実線)、及び第二温度測定手段230の測定結果(鎖線)が、第三温度測定手段240の測定結果(一点鎖線)に沿った(従属した)変化をなすことになる。
以上のように、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の何れかにトラブルが発生して、レーザー光源25又はレーザーユニット22の温度管理に不具合が発生した場合には、その旨の表示と、モニター10に不具合の発生の有無と、第一温度測定手段252R,252G,252B、第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240の経時的な測定結果のグラフの表示とにより、使用者が不具合の発生を認識することができ、感光材料Pに対する露光処理の仕損じが防止される。
尚、本発明の写真処理装置、及び写真処理装置における温調手段の不具合判断方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、第一温度測定手段252R,252G,252Bでレーザー光源25の温度測定を行うと共に、第一温調手段251R,251G,251Bでレーザー光源25の温調を行い、第二温度測定手段230でレーザーユニット22内の温度測定を行うと共に、第二温調手段222でレーザーユニット22内の温度調整を行い、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の測定結果の相関関係に基づき、露光処理部2内において第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の何れに不具合が発生しているか特定するよう制御するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、乾燥処理部4において同様に制御を行い、トラブル発生を特定するようにしてもよい。具体的には、熱風発生装置又は乾燥処理部内(乾燥室)の何れか一方の温度を第一温度測定手段で測定すると共に、第一温度測定手段の計測結果に基づいて該一方を第一温調手段で温度調整するようにし、他方の温度を第二温度測定手段で測定すると共に、該第二温度測定手段の測定結果に基づいて該他方を第二温調手段で温度調整し、第一温度測定手段及び第二温度測定手段の測定結果の相関関係に基づき、乾燥処理部4内において第一温調手段及び第二温調手段の何れに不具合が発生しているか特定するようするようにしてもよい。
つまり、所定箇所の温度を測定する第一温度測定手段と、該第一温度測定手段による測定結果に基づき、前記所定箇所の温度調整を行う第一温調手段と、前記所定箇所近傍の温度を測定する第二温度測定手段と、該第二温度測定手段の測定結果に基づき、前記所定箇所近傍の温度調整を行う第二温調手段とを備えた構成(互いに熱影響を受ける領域内に第一温度測定手段、第二温度測定手段、第一温調手段及び第二温調手段が配置される構成)であれば、露光処理部2に限定されることなく、各温調手段での不具合の発生の有無の判断、及び不具合の発生箇所の特定を行うことができる。
上記実施形態において、露光処理部2、現像処理部3、及び乾燥処理部4等で構成された写真処理装置について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、レーザー露光装置2(露光処理部)のみで写真処理装置を構成するようにしたり、現像処理装置(現像処理部3)と乾燥処理部4とで写真処理装置を構成するようにしてもよい。このようにしても、温度管理が必要とされる所定箇所の温度を測定する第一温度測定手段と、該第一温度測定手段による測定結果に基づき、前記所定箇所の温度調整を行う第一温調手段と、前記所定箇所近傍の温度を測定する第二温度測定手段と、該第二温度測定手段の測定結果に基づき、前記所定箇所近傍の温度調整を行う第二温調手段とを設け、上記実施形態と同様に第一温調手段及び第二温調手段の不具合の発生の有無を判断すると共に、第一温調手段及び第二温調手段の何れに不具合が発生しているか特定し、特定した結果(判断手段による判断)を報知手段(モニター等)により使用者に報知するようにすればよい。
上記実施形態において、判断手段12で第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222の不具合について判断するに際し、第三温度測定手段240による測定結果を考慮するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230の測定結果の相関関係のみで、不具合の発生箇所の発生箇所を特定するようにしてもよい。但し、不具合発生箇所を特定するに当たって、その特定結果の信頼性を高めるには、上記実施形態と同様に、第一温度測定手段252R,252G,252B、及び第二温度測定手段230、及び第三温度測定手段240の経時的な測定結果(各温調手段の温度変化の履歴)の相関関係に基づき、不具合の発生箇所を特定することが好ましい。
上記実施形態において、操作部1のモニター10を温調手段の不具合について報知する報知手段として採用するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222に対応した表示灯を設けたり第一温調手段251R,251G,251B及び第二温調手段222のそれぞれに対応した警報音を発する警報器を設け、判断手段12の判断結果に基づいて、何れかの表示灯を点灯させたり、警報音を発するようにしたりすることで、使用者に対して温調手段251R,251G,251B,222の不具合の発生を報知するようにしてもよい。但し、使用者に対して各箇所の温度変化を知らしめるには、上記実施形態と同様に、温度変化をグラフ化してモニター10に表示させるようにすることが好ましい。また、モニター10によるグラフの表示に加え、温調手段の不具合について表示灯で表示したり警報器で警報を発したりするような組み合わせであっても勿論よい。
上記実施形態において、予め設定した基準データ(経時的な温度履歴)と第一温度測定手段252R,252G,252B及び第二温度測定手段230による測定結果とを対比し、その測定結果が基準データから外れたときに、不具合が発生していると判断するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、加熱時における基準温度と、正常に作動したときに基準温度に達するまでの必要時間(加熱所要時間)とを予め基準データに設定しておき、必要時間で基準温度に達しないときに、温調手段に不具合が発生していると判断するようにしてもよい。
1…操作部、2…露光処理部(レーザー露光装置)、3…現像処理部、4…乾燥処理部、5…回収部、10…モニター、11…読込装置、12…判断手段(演算処理装置)、20…マガジン、21…切断装置、21a,21b…カッター、22…レーザーユニット、23…筐体、24,24…ローラ対、25…レーザー光源、25R…Rレーザー光源、25G…Gレーザー光源、25B…Bレーザー光源、26…光学系、30…液槽、31,40…搬送系、搬送系、41…熱風発生装置、220,221R,221G,221B…ドライバ基板、230…第二温度測定手段、222…第二温調手段、222a…ヒータ、222b…冷却手段(電動ファン)、240…第三温度測定手段、251R,251G,251B…第一温調手段、252R,252G,252B…第一温度測定手段、260…ミラー、261…ポリゴンミラー、262…fθレンズ、310,310…搬送ローラ対、P…感光材料