JP4653521B2 - 医療用x線管装置及び医療用x線管制御方法 - Google Patents

医療用x線管装置及び医療用x線管制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線を被検体に曝射(照射、放射)して撮像するX線撮像装置に用いられる医療用X線管装置及びその制御方法に関し、特に、X線CT(Computed Tomography)装置において、曝射前の待機時におけるX線管のフィラメント電流の制御状態から、曝射時におけるX線管の管電流の安定化制御状態への切り替えを、スムースに行う技術に係る。
従来から、被検体の断層像を撮影するために医療用として、例えばX線CT装置が広く利用されている。X線CT装置におけるX線管装置は、X線管のフィラメント(カソード或いは陰極とも言われる。)に電流を流して加熱し、X線管のアノード(陽極とも言われる。)とそのフィラメントとの間に、高電圧を印加して曝射を行う。そして、X線の曝射量を調整するため管電流(アノードを流れる電流)を調整する必要があるが、その管電流は、フィラメント電流を可変することによって行える(特許文献1を参照)。つまり、管電流は、X線管のフィラメント電流の増減により熱電子放出量を増減させことによって制御される。
上記のように管電流の変動は、すなわち曝射時の曝射量の変動でもあるので、曝射時においては、その管電流を所望の一定の管電流になるよう安定化するための手段が設けられている。
その管電流安定化手段を、図4を基に説明する。図4は、特許文献1に公開されている一技術を、ブロック化して示したものである。
図4において、電源部1の一端がアースされ、そのアースから管電流検出手段2を通して、X線管3のアノード3aに接続され、電源部1の他端はX線管3のフィラメント3bに接続され、その他端から高電圧がフィラメント3bに印加されている。管電流検出手段2は、例えば、抵抗R1をアノード3aとアース間に配置し、曝射時に管電流が流れることによって、抵抗R1に発生する電圧(管電流検出信号 Ea)を検出している。
一方、フィラメント電源部7は、パルス生成部7aで幅が可変なパルスを生成し、生成したパルスを、トランス7bを介して、フィラメント3bに印加することにより、フィラメント電流を供給している。トランス7bは、上記したように、図4の例では、フィラメント3b側が高電圧を印加されているため、パルス生成部7a側と絶縁を図るためのものである。そして、そのパルス生成部7aにおいて、パルス幅を可変することにより、フィラメント電流を調整することができる。このパルス幅は、例えば、パルス生成部7aに入力される電圧の変化に応じて変化するように構成されている。
このような構成において、管電流制御手段4は、曝射をコントロールする手段(不図示)からの所望の管電流を表す管電流制御信号 E1cと、管電流検出手段2からの管電流検出信号 Eaを受けて、双方を比較し、その差を誤差電圧として増幅して、フィラメント電源部7のパルス生成部7に負帰還(フィードバック)させる。そして、パルス生成部7は、その誤差電圧に応じて、かつ誤差電圧が少なくなる方向へ、パルス幅を変化せる。その結果、管電流検出手段2からの管電流検出信号 Eaは、管電流制御信号 E1cと等しい大きさに制御される。
したがって、図4の構成によれば、管電流は、つまりE1c/R1=Ea/R1=一定(Ea,E1cは、それぞれの信号の大きさを表すものとする。)になるように、制御される。
ところで、X線管は、必要なときに必要な量だけ曝射する必要がある。さもないと、過剰な曝射時間、過剰な曝射量は、被検体に危害を与えかねない。また、曝射量等の不足は、そのときの撮像に影響し、結果として診断に影響してくる。曝射時に必要な(所望の)曝射量に調整することについては、上記図4における管電流の制御方法によって達成できる。
そして必要なときに直ぐに曝射できるように、一般的に、次のような構成にされている。先ず曝射指示を行って曝射状態に入る前、つまり、電源部1から高電圧をアノード3aとフィラメント3b間に印加される前に(以下、この段階を「曝射状態」に対して「待機状態」と言う。)、加熱に時間を要するフィラメント3bのフィラメント電流を、予め所定の電流になるように図4のパルス生成部7aを設定しておく。そして、その所定の電流で十分加熱後に、電源部1から高電圧をアノード3aとフィラメント3b間に印加して曝射するとともに、上記のパルス生成部7aへの設定を解放し、パルス生成部7aに管電流制御手段4の出力を接続するように切り替えることで、上記フィードバックループを構成するようにする。
特開平2003−317997号公報
しかしながら、上記の従来技術には、次のような問題があった。
図4では、曝射状態においてはフィードバックループを正常に動作し、いずれの構成要素もその役割を果たしていたが、待機状態では、電源部1からの高電圧が印加されないので管電流が流れない。そのため、管電流検出信号 Eaは無く、いわば強制的にゼロである。しかし、管電流制御手段4は、管電流検出信号 Eaが、ゼロなので、管電流制御信号 E1cと同じ値になるよう、管電流制御手段4として有する利得及びダイナミックレンジいっぱいの電圧を出力する。ところが、一般には、管電流制御手段4としての利得は、曝射状態の安定化制御をより良く行うためにはフィードバックループ系の利得(ループ利得)を上げる必要があるため、最大限に設定されている。また、ダイナミックレンジは、自己に印加されている電源電圧の近くが限度(飽和点)である。
したがって、待機状態では、管電流制御手段4は、飽和している。さらに、管電流制御手段4が飽和し、その出力が電源電圧近くになり、それを受けるパルス生成部7aが、その電源電圧を受けて応答できるダイナミックレンジが無い場合は、パルス生成部7aも飽和する可能性がある。
したがって、待機状態から曝射状態に切り替わったとき、フィードバックループを構成する要素の一部が飽和状態からフィードバック制御を行うため、フィードバック制御の開始時に乱れが生じ、結果として、管電流が乱れ、所望の安定な管電流によるX線量を得るまでに時間がかかるという問題があった。そして、撮像するまで時間がかかりその時間を余分にX線で被爆させてしまうという問題があった。
本発明の目的は、X線管が曝射状態でフィードバックループにより管電流の安定化を図る医療用のX線管装置において、フィラメント電流を流している待機状態において、フィードバックループを構成する要素の飽和状態を解消し、曝射状態に切り替えたときに、スムースにフィードバックによる管電流の安定化を図れる技術を提供することである。
請求項1に記載の発明は、X線管のフィラメント電流を駆動するフィラメント電源部と、曝射状態と待機状態とに状態を切り替える切替手段と、前記待機状態で所望のフィラメント電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第1の電流制御部と、前記曝射状態で前記X線管のアノード側の管電流を検出して所望の管電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第2のフィードバック制御部と、前記切替手段が待機状態に設定されているとき、前記第2のフィードバック制御部の出力を前記第1の電流制御部の出力と同じ大きさになるように制御するオフセット制御手段とを備えた。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の電流制御部は、前記待機状態で前記フィラメント電流を検出して、前記所望のフィラメント電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第1のフィードバック制御部である構成とした。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記オフセット制御手段は、前記フィラメント電源部へ前記第1のフィードバック制御部の出力が送られている待機状態で、前記第2のフィードバック制御部の出力の大きさが前記第1のフィードバック制御部の出力の大きさと同じになるように、前記第2のフィードバック制御部を制御する構成とした。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記第1のフィードバック制御部は、前記フィラメント電流を検出するフィラメント検出手段と、所望のフィラメント電流値を表す信号を受けて、前記フィラメント検出手段の出力が前記所望のフィラメント電流値を表す信号と同じ大きさになるように前記フィラメント電源部を制御する第1の比較手段とを備え、
前記第2のフィードバック制御部は、前記管電流を検出する管電流検出手段と、所望の管電流値を表す信号を受けて、前記管電流検出手段の出力が前記所望の管電流値を表す信号と同じ大きさになるように前記フィラメント電源部を制御する第2の比較手段とを備え、
前記オフセット制御手段は、前記フィラメント電源部へ前記第1の比較手段の出力が送られている待機状態で、前記第2の比較手段の出力の大きさが前記第1の比較手段の出力の大きさと同じになるように、前記第2の比較手段の入力を制御する構成とした。
請求項5に記載の発明は、X線管のフィラメント電流を供給するフィラメント電源部と、X線管に供給するフィラメント電流を検出して所望のフィラメント電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第1のフィードバック制御部と、前記X線管のアノード側の管電流を検出して所定の管電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第2のフィードバック制御部とを準備する段階と、
X線管を曝射前の待機状態に設定して、前記第1のフィードバック制御部の出力を前記フィラメント電源部に送ることにより、前記フィラメント電流を制御する段階と、
前記第2のフィードバック制御部の出力が前記第1のフィードバック制御部の出力と同じ大きさになるように制御する段階と、
前記X線管を前記曝射状態に設定して前記第1のフィードバック制御部の出力の代わりに前記第1のフィードバック制御部の出力と同じ大きさにされた前記第2のフィードバック制御部の出力を前記フィラメント電源部に送って前記フィラメント電流の制御を開始する段階と、
前記第2のフィードバック制御部により、前記X線管のアノード側の管電流を検出して前記所望の管電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する段階と、
を備えた。
本発明よれば、X線管を待機状態に設定しているときに、オフセット制御手段が、前記第2のフィードバック制御部の出力を前記第1のフィードバック制御部(第1の電流制御部)の出力と同じ大きさになるように制御する構成なので、待機状態であっても、第2のフィードバック制御部は、飽和することがない。したがって、X線管を前記曝射状態に切り替えられても、第1のフィードバック制御部の出力と同じ大きさにされた前記第2のフィードバック制御部の出力を前記フィラメント電源部に送って前記フィラメント電流の制御をスムースに開始することができる。結果として、スムースに早く所望のX線量を得ることができる。言い換えるなら必要なとき素早く、必要なX線量を得ることができる。
本発明に係る医療用X線管装置及びその制御方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の機能構成を示す図である。図2は、図1におけるフィードバック制御系の詳細構成を示す図である。図3は、図1におけるフィードバック制御系の信号のタイミングを模式的に示した図である。
図1において、図4におけるブロックの名称及び符号が同一のものは、機能も同一である。図1の構成は、図4の構成に比べ、フィラメント電流制御手段5、切替手段6、フィラメント電流検出手段8、オフセット制御手段9及びタイミング信号生成手段10が追加され、電源部1が三相電源1aを基に高電圧電源1bにより高電圧を生成していることが追加記載されている。以下、主に、この追加記載されている各ブロックを中心に説明する。なお、電源部1の基本構成は、従来と同様なので説明を省略する。
図1において、タイミング信号生成手段10は、X線管3を曝射する前の待機状態と、曝射状態との状態をを切り替える曝射コントロール信号を生成するとともに、高電圧電源1bのパワースイッチSpを駆動してオン、オフするための高電圧印加指示信号を、不図示の制御部からの制御信号に基づいて生成する。これらのタイミングを図3に示す(説明は、後記)。切替手段6は、曝射コントロール信号を受けてX線管3を曝射する前の待機状態と、曝射状態とを切り替えるための手段である。切替手段6によって、管電流制御手段4の出力E1oがパルス生成部7aに接続され入力されたときに、図4と同様に、管電流検出手段2及び管電流制御手段4により、フィードバック制御系(第2のフィードバック制御部)が構成される。そして、管電流検出信号 Eaが前記所望の管電流値を表す管電流制御信号 Ec(不図示の制御部から受ける。)と同じ大きさになるよう制御されることにより、管電流がE1c/R1になるように安定に制御される(動作は、従来技術で説明したのと同じである。)。
切替手段6によって、管電流制御手段4の出力がパルス生成部7aから切り離され、フィラメント電流制御手段5の出力E2oがパルス生成部7aに接続され入力されたときが、待機状態である。
待機状態において、フィラメント電流検出手段8は、パルス生成部7aが出力するフィラメント電流を、例えばコイルでピックアップするが、その出力がパルスであるので、直流に変換し(不図示)、変換した直流電圧をフィラメント電流検出信号 Efとして、フィラメント電流制御手段5に入力させる。
フィラメント電流制御手段5は、所望のフィラメント電流値を表すフィラメント電流制御信号 E2cを不図示の制御部から受けて、このフィラメント電流制御信号 E2cとフィラメント電流検出信号 Efとを比較し、その差を誤差電圧として増幅して、パルス生成部7aに負帰還になるように入力させる(第1のフィードバック制御部)。パルス生成部7aは、その誤差電圧が少なくなるよう、パルス幅を変更してフィラメント3bへ送る。
このようにして、フィラメント電流制御信号 E2cとフィラメント電流検出信号 Efとが、同じ大きさになるように制御されることにより(第1のフィードバック制御部が構成されることにより)、待機状態におけるフィラメント電流が所望のフィラメント電流になるように安定に制御することができる。
上記の所望のフィラメント電流値を表すフィラメント電流制御信号 E2cを、曝射状態に想定されるフィラメント電流になるように設定しておくことにより、待機状態から曝射状態に切り替えた後の、制御範囲が狭くすることができるので、管電流の早期安定化に寄与する。
一方、このままでは、待機状態における管電流制御手段4は、第2のフィードバック制御系が構成されていないので、飽和してしまう。そこで、次のような構成にして、飽和しないようにした。
待機状態において、オフセット制御手段9が、管電流制御手段4の出力E1oとフィラメント電流制御手段5の出力E2o(=切替手段6の出力Eout)とを比較して、その差Errを誤差電圧として、管電流検出信号が入力される管電流制御手段4の入力に、負帰還となるように入力させる。これによって、オフセット制御手段9は、差Errがゼロになるよう、つまり、管電流制御手段4の出力E1oとフィラメント電流制御手段5の出力E2oとが同じ大きさになるように制御される。これによって、管電流制御手段4は、飽和することなく、少なくとも、正常なダイナミックレンジ内で動作している。
したがって、切替手段6が、状態を待機状態から曝射状態に切り替えたとき、管電流制御手段4は、飽和状態からではなく、正常な動作点から、即、誤差電圧に追随してフィードバックを行い、管電流をE1c/R1になるように制御することができる。しかも、切替手段6により状態が切り替わった瞬間は、管電流制御手段4の出力E1oとフィラメント電流制御手段5の出力E2oとが同じ大きさであるから、フィードバック系全体がスムースに制御を開始できる。
待機状態と曝射状態の切替による各信号の模式的な様子を示したのが図3である。高電圧印加指示信号によりパワースイッチSpがオンにされると、高電圧電源1bによるX線管3に印加される高電圧印加電圧は、図3のように立ち上がりに高電圧電源1bの応答特性である時間Δt(既知)を要し、その後に安定な電圧になる。このΔtの間は、高電圧印加電圧をパラメータとしたフィラメント電流対管電流特性(いわゆる二極管特性)において、高電圧印加電圧が変動するため、管電流も変動し、強いてはX線量が変動するため、無用な時間帯である。したがって、タイミング生成手段10は、待機状態から曝射状態に切り替えるタイミングをほぼΔtだけ遅くなるタイミングの曝射コントロール信号を生成する。
図3において、待機状態では、フィラメント電流検出信号 Efは、ほぼフィラメント電流制御信号 E2cと同じくなる。また、切替手段6の管電流制御手段4の出力E1oは、ほぼ出力Eout=E2oと同じになる。ただし、このとき、管電流検出信号 Eaは、ほぼゼロである。
図3において、曝射状態では、フィラメント電流検出信号 Efは、ほぼフィラメント電流制御信号 E2cから外れる。切替手段6の出力Eout=E1oは、管電流制御手段4の本来のフィードバック制御したときの値(例えば、+ΔE)に収束する。一方、管電流検出信号 Eaは、ほぼ管電流制御信号E1cの値となる。しかし、フィラメント電流制御手段5の出力E2oは、フィードバック制御系が構成されないため、飽和した値をとることがある。
曝射状態から、再び、待機状態に切り替わったときは、フィラメント電流制御手段5の出力E2oは、飽和した値から、フィードバック制御を開始するため、乱れが生ずることがある。しかし、X線管3は、曝射状態において、被検体の撮像を行うのが本来の目的であるからその状態で安定すれば良く、待機状態の開始時の乱れは、ほとんど問題にならない。なお、オフセット制御手段9と同じもの(不図示)をフィラメント電流制御手段5側にも設けると、曝射状態においてフィラメント電流制御手段5が飽和しなくなり、曝射状態から待機状態になったときも、スムースな切替が可能である。また、フィラメント電流制御手段5と管電流制御手段4とで、オフセット制御手段9を切り替えて共用することも可能である。
なお、上記実施形態では、フィラメント電流制御手段5を含む第1のフィードバック制御系を構成していたが、待機状態において、フィラメント電流制御手段5の代わりに、例えば、フィラメント電流制御信号 E2c等を出力し(第1の電流制御手段)、これを切替手段6を介してフィラメント電源部7へ入力した場合であっても、待機状態から曝射状態への切替はスムースに行える。
なお、図3の切替手段6の出力EoutにおけるΔEは、曝射状態で、目的する管電流へ落ち着くための変化量であるが、待機状態におけるフィラメント電流制御信号E2cと曝射状態における感電流制御信号E1cを調整することにより、ΔEを0付近にすることができる。この場合は曝射時の安定化する迄の時間は不要、または、より短時間にすることができる。また、第2のフィードバック制御部としての負担も軽減できる。
次に、図2を基に、管電流制御手段4、フィラメント電流制御手段5及び切替手段6の詳細構成について、説明する。
フィラメント電流制御手段5は、待機状態において、フィラメント電流制御信号 E2cを基準として、これとフィラメント電流検出信号 Efとを比較し、両者が一致するように第1のフィードバック制御部を構成するもので、抵抗R7、R8、利得・位相補償回路M2及び比較器Q2で構成される。比較器Q2は、いわば差動増幅器で構成され、フィラメント電流制御信号 E2cを同相端子(+端子)で受け、フィラメント電流検出信号 Efを極性反転側の入力端子(―端子)で受け、それらの差を誤差電圧として出力して負帰還を行わせる。抵抗R7、R8、利得・位相補償回路M2は、第1のフィードバック制御系において、最大限の利得で、安定な応答をするように利得及び位相を決定するものである。利得・位相補償回路M2は、比較器Q2による利得も決定するが、一般には、利得が最大限になるよう設定される。
同様に、管電流制御手段4は、曝射状態において、管電流制御信号 E1cを基準として、これと管電流検出信号 Eaとを比較し、両者が一致するように第2のフィードバック制御部を構成するもので、抵抗R5、R6、利得・位相補償回路M1及び比較器Q1で構成される。比較器Q1は、いわば差動増幅器で構成され、管電流制御信号 E1cを同相端子(+端子)で受け、管電流検出信号 Eaを極性反転側の入力端子(―端子)で受けて、それらの差を誤差電圧として出力して負帰還を行わせる。抵抗R5、R6、利得・位相補償回路M1は、第2のフィードバック制御系において、最大限の利得で、安定な応答をするように利得及び位相を決定するものである。利得・位相補償回路M1は、比較器Q1による利得も決定するが、一般には、利得が最大限になるよう設定される。
切替手段6は、待機状態と曝射状態を切り替えるものであって、スイッチS1,S2、S3、抵抗R9、コンデンサC1及びAmpQ4で、構成される。各スイッチは、曝射コントロール信号により、待機状態では、スイッチS1がオフ及びスイッチS2、S3がオンに設定されて(反転素子Q5により、スイッチS1を制御する信号と、スイッチS2、S3を制御する信号の極性が反転するようにされている。)、比較器2の出力がE2o=Eoutとして抵抗R9へ入力される。曝射状態では、スイッチS1がオン及びスイッチS2、S3がオフに制御されて、比較器1の出力がE1o=Eoutとして抵抗R9へ入力される。抵抗R9及びコンデンサC1は、雑音を落とすためのフィルタを構成し、出力EoutをAmpQ4に入力させる。AmpQ4は、この場合は、利得1のバッファアンプであって、入力をそのまま、フィラメント電源部7へ送る。
オフセット制御手段9は、抵抗R2、R3、利得・位相補償回路M3及び比較器Q3で構成される。比較器Q3は、待機状態(スイッチS1:オフ、スイッチS2:オン)で、抵抗R2及びR3を介して、比較器1の出力E1oと比較器E2o=Eoutを受けて、それらの差Errを増幅して、スイッチS3及び抵抗R4を介して、比較器Q1へ負帰還させる。この結果、待機状態では、比較器Q1へ管電流検出信号 Eaが入力されないが、比較器1の出力E1oと比較器E2o=Eoutは、ほぼ同じ値になる。つまり、比較器Q1は、飽和することなく動作している。なお、抵抗R2、R3、利得・位相補償回路M3は、比較器Q3によるフィードバック制御系において、最大限の利得で、安定な応答をするように利得及び位相を決定するものである。
なお図2では、抵抗R4は、比較器1の極性反転側の端子(―端子)に接続されているが、比較器1の同相側の端子(+端子)に接続されても良い。ただし、この場合は、比較器Q3の入力側において、抵抗R2による入力と抵抗R3による入力とを入れ替える。要は、負帰還を形成するように構成する。なお、スイッチS3は、スイッチS2と連動しているが、無くてもよい(常に、導通状態にする。)。つまり、曝射状態のときは、スイッチS1がオンになり、比較器Q3の入力は、強制的に同一の大きさの信号が入るこことになるため、差Errはゼロになるためである。しかし、曝射状態で比較器Q3の出力Errは、ゼロになるが、雑音がのることもあるので、スイッチS3でオフにしておくことが望ましい。
なお、上記図2の構成は、一例であって、これに限らず、本発明の要旨の範囲内で数々のアレンジができる。
本実施形態の機能構成を示す図である。 図1におけるフィードバック制御系の詳細構成を示すである。 図1におけるフィードバック制御系の信号のタイミングを模式的に示した図である。 従来技術を説明するための図である。
符号の説明
1 電源部
2 管電流検出手段
3 X線管
4 管電流制御手段
5 フィラメント電流制御手段
6 切替手段
7 フィラメント電源部
8 フィラメント電流検出手段
9 オフセット制御手段
10 タイミング信号生成手段

Claims (5)

  1. X線管のフィラメント電流を駆動するフィラメント電源部と、曝射状態と待機状態とに状態を切り替える切替手段と、前記待機状態で所望のフィラメント電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第1の電流制御部と、前記曝射状態で前記X線管のアノード側の管電流を検出して所望の管電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第2のフィードバック制御部と、前記切替手段が待機状態に設定されているとき、前記第2のフィードバック制御部の出力を前記第1の電流制御部の出力と同じ大きさになるように制御するオフセット制御手段とを備えたことを特徴とする医療用X線管装置。
  2. 前記第1の電流制御部は、前記待機状態で前記フィラメント電流を検出して、前記所望のフィラメント電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第1のフィードバック制御部であることを特徴とする請求項1に記載の医療用X線管装置。
  3. 前記オフセット制御手段は、前記フィラメント電源部へ前記第1のフィードバック制御部の出力が送られている待機状態で、前記第2のフィードバック制御部の出力の大きさが前記第1のフィードバック制御部の出力の大きさと同じになるように、前記第2のフィードバック制御部を制御することを特徴とする請求項2に記載の医療用X線管装置。
  4. 前記第1のフィードバック制御部は、前記フィラメント電流を検出するフィラメント検出手段と、所望のフィラメント電流値を表す信号を受けて、前記フィラメント検出手段の出力が前記所望のフィラメント電流値を表す信号と同じ大きさになるように前記フィラメント電源部を制御する第1の比較手段とを備え、
    前記第2のフィードバック制御部は、前記管電流を検出する管電流検出手段と、所望の管電流値を表す信号を受けて、前記管電流検出手段の出力が前記所望の管電流値を表す信号と同じ大きさになるように前記フィラメント電源部を制御する第2の比較手段とを備え、
    前記オフセット制御手段は、前記フィラメント電源部へ前記第1の比較手段の出力が送られている待機状態で、前記第2の比較手段の出力の大きさが前記第1の比較手段の出力の大きさと同じになるように、前記第2の比較手段の入力を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の医療用X線管装置。
  5. X線管のフィラメント電流を供給するフィラメント電源部と、X線管に供給するフィラメント電流を検出して所望のフィラメント電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第1のフィードバック制御部と、前記X線管のアノード側の管電流を検出して所定の管電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する第2のフィードバック制御部とを準備する段階と、
    X線管を曝射前の待機状態に設定して、前記第1のフィードバック制御部の出力を前記フィラメント電源部に送ることにより、前記フィラメント電流を制御する段階と、
    前記第2のフィードバック制御部の出力が前記第1のフィードバック制御部の出力と同じ大きさになるように制御する段階と、
    前記X線管を前記曝射状態に設定して前記第1のフィードバック制御部の出力の代わりに前記第1のフィードバック制御部の出力と同じ大きさにされた前記第2のフィードバック制御部の出力を前記フィラメント電源部に送って前記フィラメント電流の制御を開始する段階と、
    前記第2のフィードバック制御部により、前記X線管のアノード側の管電流を検出して前記所望の管電流が流れるように前記フィラメント電源部を制御する段階と、
    を備えたことを特徴とする医療用X線管制御方法。
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