JP4652078B2 - カラー原稿読取装置およびカラー画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような原稿読取装置は、原稿の読取ライン上の同一点から出た光が、前記結像レンズの倍率色収差によって各ラインセンサ上の同一点には結像せず、このため読み取った原稿に色ずれが発生する。高解像度化および高画質化に伴い、CCDの画素ピッチが小さくなるにつれ、従来よりも倍率色収差による色ずれの問題が大きくなってきた。
また、像面をずらすため本来の結像レンズの結像性能が得られなくなってしまうことから、あらゆるレンズで上述した特許文献1を適用することが可能であるわけではないと思われるが、このことについては、かならずしも充分に説明されていない。
一方、特許文献3(特開平9−230513号公報)には、光学系のミラーの表面と裏面の反射を利用して軸上の色収差を補正する技術が開示されている。しかしながら、この特許文献3の技術では倍率の色収差については、補正することができない。また、特許文献4(特開2001−251475号公報)には、光路長を変化させて軸上の色収差を補正する技術が開示されているが、この特許文献4の場合には、光路長を変化させるための特別な部材が別途に必要となって、しかも倍率の色収差は補正することができない。
さらに、特許文献5(特開平7−226825号公報)、特許文献6(特開平8−9101号公報)および特許文献7(特開平8−223356号公報)等には、色収差の補正に関連するその他の各種の技術が開示されている。特許文献5には、読取結像光学系にテレセントリック性を持たせてCCDに光束を垂直に入射させることで、CCDを短手方向に傾けても倍率の色収差を変化させないようにして、各色のピント位置を調整できるようにすることが示されている。
本発明の請求項1の目的は、特に、結像光学系の色ずれを良好に補正し得る結像レンズの倍率色収差と軸上色収差の関係を把握することが可能なカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、原稿面全面において良好に色ずれ量を補正することが可能なカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、より良好な色ずれ補正を行うことが可能なカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、色ずれを良好に補正しながら、良好に組み付けを行うことが可能なカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項5の目的は、特に、組み付けに際して容易に色ずれの量を測定することを可能とするカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項6の目的は、特に、組み付けに際して、必要充分な色ずれの量を規定することが可能なカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項8の目的は、特に、結像レンズの倍率色収差を一層適切に補正し色ずれをきわめて効果的に低減し得るカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項9の目的は、特に、結像レンズの倍率色収差をより一層効果的に補正し色ずれを著しく低減し得るカラー原稿読取装置を提供することにある。
本発明の請求項10の目的は、特に、色ずれを良好に補正したカラー画像を出力することを可能とするカラー画像形成装置を提供することにある。
原稿配置面に配置された原稿面を照明する照明光源と、
前記照明光源による照明光の前記原稿面における反射光により、原稿像を結像する結像レンズと、
前記結像レンズによる原稿像の結像位置に配置され、各々一方向に受光素子を配列してなり、それぞれ異なる波長に感度を有する3列のラインセンサを備えるセンサユニットと、
原稿と結像レンズの光路中に配置された少なくとも1つの折り返しミラーと、
を具備する原稿読取装置において、
光軸の方向は、結像レンズからセンサユニットに向かう方向を正とし、センサユニット上の結像位置ずれの方向は、結像レンズの光軸とセンサユニットが交わる点を基準点として、像高の絶対値が高い方向を正としたとき、
前記結像レンズは、結像レンズによる各ラインセンサでの結像位置が、両端のラインセンサのうち、少なくとも一方のラインセンサでの結像位置が中央のラインセンサの結像位置に対し、各々の感度波長の倍率色収差により像高方向にずれる方向と、各々の感度波長の軸上色収差により光軸の方向にずれる方向とが逆符号となる結像レンズであって、
前記センサユニットの傾斜角を調整することにより各ラインセンサの倍率色収差による結像位置ずれを補正してなることを特徴としている。
前記3列のラインセンサは、
各々の感度波長の倍率色収差よる色ずれ量の順に配列され、
倍率色収差の中央である感度波長に対する他の感度波長の結像位置の軸上色収差による像面位置からのずれ量の比と、倍率色収差の中央である感度波長を有するラインセンサと他の感度波長を有するラインセンサの配列間隔比が等しいことを特徴としている。
請求項3に記載した本発明に係るカラー原稿読取装置は、請求項1のカラー原稿読取装置であって、
前記3列のラインセンサは、
各々の感度波長の倍率色収差よる色ずれ量の順に配列され、
倍率色収差の中央である感度波長に対する他の感度波長の結像位置の軸上色収差による色ずれ量の比と、倍率色収差の中央である感度波長を有するラインセンサと他の感度波長を有するラインセンサの配列間隔比が等しいことを特徴としている。
請求項4に記載した本発明に係るカラー原稿読取装置は、請求項1〜3のいずれ1項のカラー原稿読取装置であって、
それぞれ各ラインセンサ間で共通の像高位置に対応する複数箇所にて観測された特性値を用い、該特性値を演算処理した値が所望の値となるように前記センサユニットの傾斜角を決定することを特徴としている。
前記特性値は、原稿面にほぼ相当する位置に配置された線画等の画像から導出される重心位置に対応する値であることを特徴としている。
請求項6に記載した本発明に係るカラー原稿読取装置は、請求項4のカラー原稿読取装置であって、
画素ピッチをPとし、各観測点における特性値の3つのラインセンサでの最大値−3つのラインセンサでの最小値をΔiとし、全観測点でのΔiの最大値Δmaxが、
Δmax<P
であることを特徴としている。
前記結像レンズは、レンズ材料として、鉛を使用しない硝材を使用して構成したことを特徴としている。
請求項8に記載した本発明に係るカラー原稿読取装置は、請求項1のカラー原稿読取装置であって、
波長感度の異なる3つのラインセンサの配列の順序を、倍率色収差による結像位置の大小関係に対応させてなることを特徴としている。
請求項9に記載した本発明に係るカラー原稿読取装置は、請求項1のカラー原稿読取装置であって、
波長感度の異なる3つのラインセンサの間隔を非対称としてなることを特徴としている。
請求項10に記載した本発明に係るカラー画像形成装置は、
原稿読取装置として請求項1〜請求項9に記載のカラー原稿読取装置を用いることを特徴としている。
すなわち本発明の請求項1のカラー原稿読取装置によれば、原稿配置面に配置された原稿面を照明する照明光源と、
前記照明光源による照明光の前記原稿面における反射光により、原稿像を結像する結像レンズと、
前記結像レンズによる原稿像の結像位置に配置され、各々一方向に受光素子を配列してなり、それぞれ異なる波長に感度を有する3列のラインセンサを備えるセンサユニットと、
原稿と結像レンズの光路中に配置された少なくとも1つの折り返しミラーと、
を具備する原稿読取装置において、
光軸の方向は、結像レンズからセンサユニットに向かう方向を正とし、センサユニット上の結像位置ずれの方向は、結像レンズの光軸とセンサユニットが交わる点を基準点として、像高の絶対値が高い方向を正としたとき、
前記結像レンズは、結像レンズによる各ラインセンサでの結像位置が、両端のラインセンサのうち、少なくとも一方のラインセンサでの結像位置が中央のラインセンサの結像位置に対し、各々の感度波長の倍率色収差により像高方向にずれる方向と、各々の感度波長の軸上色収差により光軸の方向にずれる方向とが逆符号となる結像レンズであって、
前記センサユニットの傾斜角を調整することにより各ラインセンサの倍率色収差による結像位置ずれを補正してなることにより、簡単な構成で且つ安価に、結像光学系の倍率色収差を効果的に補正し、さらに軸上色収差を考慮し得て、どのような色収差を有する結像光学系についても良好に色ずれを補正することが可能となり、さらに、良好に色ずれ補正を行うことを可能とする結像レンズの倍率色収差と軸上色収差の関係を把握することが可能となる。
各々の感度波長の倍率色収差よる色ずれ量の順に配列され、
倍率色収差の中央である感度波長に対する他の感度波長の結像位置の軸上色収差による像面位置からのずれ量の比と、倍率色収差の中央である感度波長を有するラインセンサと他の感度波長を有するラインセンサの配列間隔比が等しいことにより、特に、原稿面全面において、良好に色ずれ量を補正することが可能となる。
また、本発明の請求項3のカラー原稿読取装置によれば、請求項1のカラー原稿読取装置において、前記3列のラインセンサは、
各々の感度波長の倍率色収差よる色ずれ量の順に配列され、
倍率色収差の中央である感度波長に対する他の感度波長の結像位置の軸上色収差による色ずれ量の比と、倍率色収差の中央である感度波長を有するラインセンサと他の感度波長を有するラインセンサの配列間隔比が等しいことにより、特に、より良好な色ずれ量を補正を行うことが可能となる。
また、本発明の請求項4のカラー原稿読取装置によれば、請求項1〜3のいずれ1項のカラー原稿読取装置において、それぞれ各ラインセンサ間で共通の像高位置に対応する複数箇所にて観測された特性値を用い、該特性値を演算処理した値が所望の値となるように前記センサユニットの傾斜角を決定することにより、特に、色ずれを良好に補正しながら、良好に組み付けを行うことが可能となる。
本発明の請求項5のカラー原稿読取装置によれば、請求項4のカラー原稿読取装置において、前記特性値は、原稿面にほぼ相当する位置に配置された線画等の画像から導出される重心位置に対応する値とすることにより、特に、組み付けに際して容易に色ずれの量を測定することが可能となる。
本発明の請求項6のカラー原稿読取装置によれば、請求項4のカラー原稿読取装置において、画素ピッチをPとし、各観測点における特性値の3つのラインセンサでの最大値−3つのラインセンサでの最小値をΔiとして、全観測点でのΔiの最大値Δmaxを、
Δmax<P
とすることにより、特に、組み付けに際して、必要充分な色ずれの量を規定することが可能となる。
本発明の請求項8のカラー原稿読取装置によれば、請求項1のカラー原稿読取装置において、波長感度の異なる3つのラインセンサの配列の順序を、倍率色収差による結像位置の大小関係に対応させてなることにより、特に、結像レンズの倍率色収差を一層適切に補正し色ずれをきわめて効果的に低減し得る。
また、本発明の請求項10のカラー画像形成装置によれば、原稿読取装置として請求項1〜請求項9に記載のカラー原稿読取装置を用いることにより、簡単な構成で且つ安価に、結像光学系の倍率色収差を効果的に補正し、さらには軸上色収差をも考慮し得て、どのような色収差を有する結像光学系についても良好に色ずれを補正することが可能となる。
特定の像高のみについての補正では、良好に倍率色収差を補正することができないことは既に述べた。これは、結像レンズの倍率の色収差は、物体高と像高との関係で定まるが、像高が変化すると、それに伴って縮率が変化するためである。
以下、図23を参照して本発明に係る色ずれの補正方法を具体的に説明する。
色ずれを補正する基準原稿RMを原稿面と等しい位置に配置する。基準原稿RMは、任意の位置に色ずれを補正するためのマークを配置している。例えば基準原稿RMには、色ずれを補正するための線画を、最外周縁部を1.0として、±1.0、±0.9、±0.75、±0.5および0の物体高に配置した画像を描画している。もちろん、マークの位置は、補正しようとしている結像レンズの倍率色収差に基づいて任意に選定してかまわない。
ここで、任意の物体高に配置された線画像を読み取り、重心を求める方法の一例を説明する。
まず、ある物体高Yiに配置された線画像の像は、センサユニットSU上のYi′(=m(横倍率)×Yi)近傍に形成される(図25参照)。そこで、例えば緑色ラインセンサGL上のYi′近傍で、前記線画像の像が充分に評価できる範囲(Yi′‐A〜Yi′+A)において、各画素の信号レベルIを読み取った場合に図26のようになるものとすれば、式(1)に示すように、各画素の信号レベルIjと画素番号Xjの積の和を、Yi′近傍の信号レベルの和で割ることにより、線画像の像の重心位置を特定することができる。
すなわち、色ずれは、上述したラインセンサRL、GL、BLの出力を、各物体高の位置に対する像高位置において、
ΔRGi=|YRi(赤色の像高)|−|YGi(緑色の像高)|
ΔBGi=|YBi(青色の像高)|−|YGi(緑色の像高)|
(i=0,±0.5,±0.75,±1.0) (2)
として表現できる。
そして、センサユニットSUを、各ラインセンサRL、GL、BLのラインに平行で且つ中央のラインセンサ上またはその近傍に位置する軸上で、色ずれ量ΔRGiおよびΔBGiのすべてが小さくなるように回転させることにより、原稿面全面において良好に色ずれ量を補正することができる。
例えば図1および図2に示すように各ラインセンサRL、GL、BLが配置されたセンサユニットSUにおいて、赤色の倍率色収差が、緑色に対して小さく(ΔRGの符号がマイナス(−))、青色の倍率色収差が緑色に対して大きい(ΔBGの符号がプラス(+))場合、センサユニットSUを中央の緑色ラインセンサGLに軸上で図1に示す方向に回転させる。このようにセンサユニット(SU)をまわすと、赤色ラインセンサRLは結像レンズILから離れて、任意像高での結像位置は、図2の○印から●印に移る。したがって、赤色の倍率色収差が、緑色の倍率色収差より小さい場合は、赤色ラインセンサにおける任意像高の結像位置は像高が高くなることにより、緑色ラインセンサ上の任意像高の結像位置に近づくことになる。また、青色のラインセンサBLでは、結像レンズILに近づき、任意像高での結像位置が図2の△印から▲印に移る。したがって、青色の倍率色収差が、緑色の倍率色収差より大きい場合、青色ラインセンサにおける任意像高の結像位置は像高が低くなることにより、緑色ラインセンサ上の任意像高の結像位置に近づくことになり、色ずれを補正することができる。
図22に示したような色ずれを有する結像レンズを用いた場合、図3に示す色ずれの最大値と最小値の間の間隔Δmaxが最も狭くなる位置が色ずれが最適に補正された位置ということになる。但し、同じ物体高からの光線が同じ像高に入射するようにすれば、色ずれは目立たなくなる。つまり、各ラインセンサRL、GL、BL上の同じ像高のCCDの画素に入ればよいので、先に示したΔmaxの値が図4の画素ピッチP、すなわち画素のサイズ、に対して、
Δmax<P (3)
であれば充分である。なお、上述においては、基準画像を線画としているが、点画像や、等ピッチの線画の集合体で重心を算出するようにしてもかまわない。
以上においては、結像レンズSUの倍率色収差についてのみ説明したが、以下においては、軸上色収差の影響とあわせての色ずれ補正について説明する。
当然のことであるが、上述した色ずれの補正方法は、各ラインセンサRL、GL、BLの受光位置を前後させているため、各色に対する像面の特性が変化する。
例えば、図5のような像面をもつ結像レンズを考える。図5は、各ラインセンサRL、GL、BLで評価した像面の解像度をあらわすMTF(modulation transfer function:変調伝達関数)と像面位置からのずれ量(デフォーカス)との関係を模式的にあらわしたものでる。図5においては、MTFの値が高いほど、解像度が優れていること示しているが、色収差の影響によって、緑色のMTF特性に対し、赤色はプラス方向、青色はマイナス方向にずれた位置で最良な像面が得られている。したがって、カラー原稿読取装置として使用可能な範囲はこれらの曲線が重なり合っている範囲ADである。
また、青色ラインセンサBLも結像レンズにILに近づけることにより、青色ラインセンサの位置は、マイナス(−)方向にシフトし、青色のラインセンサの位置もMTF特性の最大位置のほうに近づく。逆に言えば、デフォーカスが零の位置を各色のラインセンサの位置であると考えれば、図1のようにセンサユニットを傾けていくと、擬似的に図7のように赤色のMTF特性は、デフォーカスのマイナス(−)方向にシフトしていき、青色のMTF特性は、デフォーカスのプラス(+)方向にシフトしてくると考えることができる。
このことから、センサユニットSUを傾けて色ずれを補正するためには、緑色に対する赤色の色ずれΔRGの符号が、マイナスのときは、赤色のMTF特性の最大位置は、緑色のMTF特性の最大位置に対してプラス側にある方がよい。同様に緑色に対する青色の色ずれΔBGの符号がプラスのときは、青色のMTF特性の最大位置は、緑色のMTF特性の最大位置に対してマイナス側にあるほうがよい。この両者の関係を満たすようにすれば、色ずれの補正方向と、カラー原稿読取装置として使用可能な範囲が広がる方向とが一致することから、色ずれ補正において都合がよい状態であると言うことができる。逆に、倍率色収差の色ずれの方向と軸上色収差の色ずれ方向が同符号であるとすると、倍率色収差を補正したとしても、図6のように、カラー原稿読取装置として使用可能な範囲が狭くなってしまう。
以上の説明においては、倍率の色収差の大小関係が、赤色、緑色、青色と波長の大小関係に対応する関係があるものとして説明してきたが、これらの関係は、レンズ設計によって変化させることができるため、例えば、結像位置に、緑色、赤色、青色という順序の大小関係がある場合は、その順序に対応させてラインセンサの配列を緑色ラインセンサ、赤色ラインセンサ、青色ラインセンサの順序で配置すれば、上述の説明と同様にして色ずれを補正することが可能である。
また、倍率の色収差により、結像位置に、赤色、緑色、青色の順序の大小関係があり、図8のように、軸上の色収差が、倍率の色収差の中央である緑色に対して赤色と、青色のMTFの最大値が、デフォーカス方向で3:1の位置関係にある場合であれば、赤色ラインセンサRL、緑色ラインセンサGL、青色ラインセンサBLの順序で配列してセンサユニットSU′を構成し、それらのライン間隔を、赤色ラインセンサRLと緑色ラインセンサGLの間隔と、緑色ラインセンサGLと青色ラインセンサBLの間隔とが3:1の関係となるように配置することによって、色ずれの補正を行うと、赤と青のMTFの最大位置は3:1の対応関係にて緑色のMTFの最大位置に近付くので、良好な色ずれ補正を行うことが可能となる。
図10は、本発明の第1の実施の形態に係るカラー原稿読取装置の要部の構成を模式的に示している。
図10に示すカラー原稿読取装置は、コンタクトガラス1、第1の走行体3、第2の走行体4、縮小結像レンズ5およびセンサユニット6を有している。コンタクトガラス1は、原稿2を密着載置するための透明板からなり、このコンタクトガラス1の下部に、第1の走行体3、第2の走行体4、縮小結像レンズ5およびセンサユニット6等が配置されている。第1の走行体3は、ミラー3aを有しており、図示3′の位置までを走行する。第2の走行体4は、第1ミラー4aおよび第2ミラー4bを有しており、図示4′の位置までの間を走行する。縮小結像レンズ5は、図23および図1における結像レンズILに相当し、センサユニット6は、図23、図1および図9におけるセンサユニットSUおよびSU′に相当する。
原稿2は、コンタクトガラス1上に原稿面を当接して密着載置され、該原稿2は、コンタクトガラス1の下方に配置された照明系によって照明される。照明光の原稿2による反射光は、第1の走行体3のミラー3aにより反射された後、さらに第2の走行体4の第1ミラー4aと第2ミラー4bで順次反射され、縮小結像レンズ5に導かれる。この反射光は、結像レンズ5によって3つのラインセンサを配列してなるセンサユニット6上に結像される。原稿2の長手方向を読み取る場合には、第1の走行体3が速度Vで図示3′まで移動し、それと同時に第2の走行体4が、第1の走行体3の半分の速度1/2Vで、図示4′まで移動して、原稿全体を読み取るようにする。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の要部の構成を模式的に示している。図11の画像形成装置は図10に示したカラー原稿読取装置を用いて複写機として構成した画像形成装置である。
画像形成部100は、潜像担持体111、帯電ローラ112、現像装置113、転写ローラ114、クリーニング装置115、定着装置116、光走査装置117、カセット118、レジストローラ対119、給紙コロ120、搬送路121、排紙ローラ対122およびトレイ123を有している。
画像形成を行うときは、光導電性の感光体である潜像担持体111が、図示時計回りに等速回転駆動され、その表面が帯電ローラ112により均一に帯電され、光走査装置117のレーザビームLBの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。このように形成された静電潜像は、いわゆるネガ潜像であって画像部が露光されている。この静電潜像は現像装置113により反転現像され、潜像担持体111上にトナー画像が形成される。
なお、この実施例においては、非球面は、いわゆるモールド非球面レンズのように、各レンズ面を直接非球面とするものとして説明しているが、それと同等の非球面を、球面レンズのレンズ面に非球面を形成する樹脂薄膜を敷設して得る、いわゆるハイブリッドレンズ形式の非球面レンズを構成しても良い。
f:全系の焦点距離
F:Fナンバ
m:倍率
Y:最大物体高
ω:半画角
R:曲率半径
D:面間隔
nd:屈折率(d線)
νd:アッベ数
ne:屈折率(e線)
ng:屈折率(g線)
nF:屈折率(F線)
nC:屈折率(C線)
K:非球面の円錐定数
A4:4次の非球面係数
A6:6次の非球面係数
A8:8次の非球面係数
A10:10次の非球面係数
但し、ここで用いられる非球面は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率)をC、光軸からの高さをHとするとき、次式で定義される。
図12は、本発明の一実施例に係る結像レンズILの模式的な構成を示している。
図12に示す画像読取レンズILは、4群5枚構成であり、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、絞りFA、コンタクトガラスCGおよびCCDカバーガラスCCを具備している。コンタクトガラスCGは、図10におけるコンタクトガラス1に相当し、CCDカバーガラスCCは、センサユニット6(図23および図1等におけるセンサユニットSU)のカバーガラスに相当する。この場合、第1レンズL1〜第3レンズL3は、第1のレンズ群である前群GFを構成し、第4レンズL4および第5レンズL5は、第2のレンズ群である後群GRを構成しており、それぞれ各群毎に共通の保持部材(図示されていない)によって支持される。なお、絞りFAは、この場合、後群GRの保持部材によって、後群GRを構成するレンズL4およびL5と一体に保持されている。図12には、主要な光学面の面番号も示している。
第1レンズL1は、物体側に凸に形成された正メニスカスレンズ、第2レンズL2は、物体側に凸に形成された、正メニスカスレンズ、第3レンズL3は、像側に強い凹面を向けた負メニスカスレンズであり、これら第2レンズL2および第3レンズL3は、密接して貼り合わせられて一体に接合され、接合レンズ(L2/3)を形成している。これら第1レンズL1〜第3レンズL3によって、前群GFを構成している。第4レンズL4は、像側に凸に形成され、像側の面を非球面とした負メニスカスレンズであり、第5レンズL5は、像側に強い凸面を向けて像側に凸に形成された正メニスカスレンズであり、これら第4レンズL4および第5レンズL5によって、後群GRを構成している。
まず、レンズ数値例であるが、全系の焦点距離f,FナンバF,倍率m,最大物体高Yそして半画角ωが、それぞれf=45.321,F=4.49,m=0.11102,Y=152.4そしてω=18.6゜であり、各光学面の特性は、次表の通りである。
このレンズデータにおける色ずれ量ΔRGおよびΔBGを図16に示したセンサユニットSUによる補正なしの状態で計算すると図17のようになる。
ここで、センサユニットを傾斜させて補正する方法について説明する。
図16においてそれぞれのラインセンサRL〜GLおよびGL〜BL間の間隔をそれぞれH1およびH2とすると、図18のようにセンサユニットを角度θだけ傾斜させたことによる各画素のデフォーカス量ΔZ1およびΔZ2は、
図19は、傾斜角θ=8°だけ傾けたときの色ずれ量の計算結果である。図17の補正なしの時の色ずれ量の最大値は約2.6μmであるのに対し、図19のような補正を行うことで、色ずれ量の最大値を、約1.4μmまで低減することができる。
さらに、このレンズデータにおける上述した補正についての補正なしのときと、補正ありのときのMTF特性をそれぞれ図20と、図21に示す。図20および図21は、波長615nm(赤色)、570nm(緑色)、470nm(青色)それぞれにおける光軸方向のデフォーカス量に対するMTF値を、像高0%(光軸上)、25%、50%、75%、100%で計算しプロットしたものである。補正なしのときMTF特性(図20)において、使用可能なMTF値を50%であると仮定すると、その深度(図中矢印の幅)は約57μmとなっている。そして、傾斜角θ=8°の場合のMTF特性値(図21)では、使用可能なMTF値を満足する深度は、63μmとなり、傾けることにより深度が減少することなく、補正前よりも深度が広がっている。深度が広がるということは、組み立て時の調整の余裕が広がることになるので、原稿読取装置としての仕様を一層満足し易くなる。なお、上述においては使用可能なMTF値を50%として説明したが、これはあくまでも仮の値であり、カラー原稿読取装置の規格値によって変化する値であるため、50%に限らず種々の値をとり得ることはいうまでもない。
3 第1の走行体
4 第2の走行体
5 縮小結像レンズ
6,SU,SU′ センサユニット
3a ミラー
4a 第1ミラー
4b 第2ミラー
IL 結像レンズ
200 カラー原稿読取装置
100 画像形成部
111 潜像担持体
112 帯電ローラ
113 現像装置
114 転写ローラ
115 クリーニング装置
116 定着装置
117 光走査装置
118 カセット
119 レジストローラ対
120 給紙コロ
121 搬送路
122 排紙ローラ対
123 トレイ
FA 絞り
CC CCDカバーガラス
L1〜L5 レンズ
GF 前群
GR 後群
Claims (10)
- 原稿配置面に配置された原稿面を照明する照明光源と、
前記照明光源による照明光の前記原稿面における反射光により、原稿像を結像する結像レンズと、
前記結像レンズによる原稿像の結像位置に配置され、各々一方向に受光素子を配列してなり、それぞれ異なる波長に感度を有する3列のラインセンサを備えるセンサユニットと、
原稿と結像レンズの光路中に配置された少なくとも1つの折り返しミラーと、
を具備するカラー原稿読取装置において、
光軸の方向は、結像レンズからセンサユニットに向かう方向を正とし、センサユニット上の結像位置ずれの方向は、結像レンズの光軸とセンサユニットが交わる点を基準点として、像高の絶対値が高い方向を正としたとき、
前記結像レンズは、結像レンズによる各ラインセンサでの結像位置が、両端のラインセンサのうち、少なくとも一方のラインセンサでの結像位置が中央のラインセンサの結像位置に対し、各々の感度波長の倍率色収差により像高方向にずれる方向と、各々の感度波長の軸上色収差により光軸の方向にずれる方向とが逆符号となる結像レンズであって、
前記センサユニットの傾斜角を調整することにより各ラインセンサの倍率色収差による結像位置ずれを補正してなることを特徴とするカラー原稿読取装置。 - 前記3列のラインセンサは、
各々の感度波長の倍率色収差よる色ずれ量の順に配列され、
倍率色収差の中央である感度波長に対する他の感度波長の結像位置の軸上色収差による像面位置からのずれ量の比と、倍率色収差の中央である感度波長を有するラインセンサと他の感度波長を有するラインセンサの配列間隔比が等しいことを特徴とする請求項1に記載のカラー原稿読取装置。 - 前記3列のラインセンサは、
各々の感度波長の倍率色収差よる色ずれ量の順に配列され、
倍率色収差の中央である感度波長に対する他の感度波長の結像位置の軸上色収差による色ずれ量の比と、倍率色収差の中央である感度波長を有するラインセンサと他の感度波長を有するラインセンサの配列間隔比が等しいことを特徴とする請求項1に記載のカラー原稿読取装置。 - それぞれ各ラインセンサ間で共通の像高位置に対応する複数箇所にて観測された特性値を用い、該特性値を演算処理した値が所望の値となるように前記センサユニットの傾斜角を決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラー原稿読取装置。
- 前記特性値は、原稿面にほぼ相当する位置に配置された線画等の画像から導出される重心位置に対応する値であることを特徴とする請求項4に記載のカラー原稿読取装置。
- 画素ピッチをPとし、各観測点における特性値の3つのラインセンサでの最大値−3つのラインセンサでの最小値をΔiとし、全観測点でのΔiの最大値Δmaxが、
Δmax<P
であることを特徴とする請求項4に記載のカラー原稿読取装置。 - 前記結像レンズは、レンズ材料として、鉛を使用しない硝材を使用して構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラー原稿読取装置。
- 波長感度の異なる3つのラインセンサの配列の順序を、倍率色収差による結像位置の大小関係に対応させてなることを特徴とする請求項1に記載のカラー原稿読取装置。
- 波長感度の異なる3つのラインセンサの間隔を非対称としてなることを特徴とする請求項1に記載のカラー原稿読取装置。
- 原稿読取装置として請求項1〜請求項9に記載のカラー原稿読取装置を用いることを特徴とするカラー画像形成装置。
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