JP4648919B2 - 麦芽アルコール飲料の製造方法 - Google Patents

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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Description

本発明は、飲料中のT2N(トランス−2−ノネナール)量を低減させることができる麦芽アルコール飲料の製造方法、及び、該製造方法により製造した麦芽アルコール飲料に関する。
ビール等の麦芽アルコール飲料において、製造後、時間の経過とともに、飲料中の成分が変化し、製造直後に有していた香味が損なわれてしまうことを、劣化という。劣化した麦芽アルコール飲料の特徴的な香味の一つに、カードボード臭といわれる異臭があるが、このカードボード臭の主な原因がT2Nであることが知られている。麦芽アルコール飲料のT2Nに起因する劣化は、製造工程中に生産されたT2N前駆体物質、又はT2Nの付加体となった物質が、製造後保存中にT2Nへと変化するためであると考えられている。このため、T2Nは、劣化した麦芽アルコール飲料の指標成分とされており、カードボード臭の発生等の麦芽アルコール飲料の劣化を防止し、鮮度を保つためには、製造工程におけるT2N前駆体物質の産生を防止することが非常に重要である。
T2N前駆体物質は、脂肪酸ヒドロペルオキシドや脂質ヒドロペルオキシドのような過酸化物であり、麦芽アルコール飲料の製造工程中、特に製麦工程や仕込工程において、主に麦芽由来のLOX(リポキシゲナーゼ)の酵素反応によって、原料中の脂肪酸や脂質から生成される(例えば、非特許文献1参照。)。したがって、麦芽アルコール飲料の劣化防止のためには、LOXの酵素反応を抑制し、該過酸化物の生成を抑制することが好ましい。なお、該過酸化物の反応生成物であるTHOD(トリヒドロキシオクタデセンサン)等は、麦芽アルコール飲料の泡持ちを悪化させる物質であると考えられており、泡持ち改善のためにも、該過酸化物の生成を抑制することが好ましい(例えば、非特許文献2参照。)。
該過酸化物の生成を抑制するための種々の方法が開示されている。該過酸化物を含む香味耐久性指標物質として用いる方法として、例えば、(1)麦芽を含む原料の選定、仕込、発酵、貯酒、濾過・充填工程を含む麦芽アルコール飲料の製造方法において、製造中間試料中の香味耐久性指標物質の生成を制御することを特徴とする麦芽アルコール飲料の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。該方法は、香味耐久性指標物質に基き、製造工程又は製品の老化、主としては酸化の程度をモニタし、該香味耐久性指標物質を抑制し得るように製造することにより、香味耐久性に優れた麦芽アルコール飲料を製造する方法である。具体的には、製造工程中における溶存酸素量をモニタリングすることにより、麦芽アルコール飲料の該香味耐久性指標物質の生成を抑制している。
また、製造工程を低酸素環境とする方法も行われている。LOXの酵素反応により該過酸化物が生成されるためには、酸素が必要であるため、低酸素環境とすることにより、LOXの酵素反応を抑制させることができるためである。具体的には、仕込工程において、仕込槽内のガスを二酸化炭素等に置換することにより、空気の巻き込みを最低限に抑えることができ、溶存酸素濃度を低下させ、また低酸素環境とすることができる。
その他、麦芽由来のLOXの酵素活性を低下させる方法として、例えば、(2)麦芽アルコール飲料に使用する麦芽の製造方法において、発芽大麦の根の長さを指標として工程管理することを特徴とする麦芽の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。該方法により、LOXの酵素活性が低い麦芽を安定的に製造することができる。また、麦芽を製造する製麦工程におけるLOXの酵素活性を低下させる方法として、例えば、焙燥後期に温度を上昇させる方法(例えば、非特許文献3参照。)や、焙燥初期の温度や湿度を制御する方法(例えば、非特許文献4参照。)等が開示されている。
イー.ディー.バクスター(E.D.Baxter)、「リポキシダーゼ・イン・モルティング・アンド・マッシング(Lipoxydases in malting and mashing)」ジャーナル・オブ・ジ・インスティテュート・オブ・ブリューイング(Journal ofthe Institute of Brewing)1982年、第88巻、p390−396 コバヤシ(N. Kobayashi)他4名、「リピッドオキシデイション・デュアリング・ウォート・プロダクション(Lipid oxidation during wort production)」プロシーディング・オブ・ジ・ヨーロピアン・ブルワリー・コングレス(Proceedingof the European Brewery Congress)、1993年、p405−420 特開2000−4867号公報 特開2006−34129号公報 ビー.ダブリュー.ドロスト(B.W.Drost)、他5名、「フレイバースタビリティー(Flavor Stability)」、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサイエティ・オブ・ブリューイング・ケミスツ(Journal of the American Society of Brewing Chemists)、1990年、第48巻、第4号、p.124−131 上田、他4名、「製麦工程におけるトランス−2−ノネナールの低減」、日本食品工学会 第50回大会講演集 2003年、p412Ka8
上記(1)の方法では、pHの調節や、カテキン等の活性酸素スカベンジャーを添加する等により、LOXの酵素活性や溶存酸素量を低下させ、麦芽アルコール飲料の該香味耐久性指標物質の生成を抑制している。しかしながら、製造工程の各工程において、pHの調製や必要な活性酸素スカベンジャーを添加することは、非常に煩雑であり、かつ、経済的にも好ましくない。また、仕込槽内への置換ガスの吹き込みも、製造工程におけるコストを増加させるため、好ましくない。
一方で、上記(2)の方法では、麦芽の種類や栽培時期等にかかわらず、簡便に安定して麦芽が本来有しているLOXの酵素活性を低減させることができる。しかしながら、元々LOX含有量の多い品種の麦芽を用いた場合や、麦芽の使用量の多い麦芽アルコール飲料を製造する場合には、麦芽の製造工程のみならず、麦芽アルコール飲料の他の製造工程においても、さらにLOXの酵素活性を低減させる必要がある。
LOXの酵素活性を失活させるためには、60℃以上程度の高温処理が有効である。しかしながら、単に麦芽や麦芽の破砕物を、LOXの酵素活性の失活に有効な温度まで高温処理した場合には、麦芽中に含まれている他の酵素も同様に失活してしまうという問題があった。
本発明は、経済的かつ簡便に、麦芽由来のLOXの酵素活性を低減させることができる麦芽アルコール飲料の製造方法、及び、該製造方法により製造した麦芽アルコール飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、麦芽を温水に浸漬した際、麦芽中に含まれる酵素のうち、麦汁の調製に必要なプロテアーゼ、アミラーゼ等の酵素よりも、LOXが先に溶出するとともに、熱耐性がそれら酵素よりLOXが弱いことに着目し、仕込工程を開始する前に、麦芽原料を、高温水と混合して高温処理した後に冷却処理することにより、麦汁の調製に必要なプロテアーゼ、アミラーゼ等の酵素の失活を極力抑えつつ、麦芽由来のLOXの酵素活性のみを選択的に失活させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、麦芽アルコール飲料の製造方法において、麦芽原料の少なくとも一部を、高温水と混合して高温処理した後に冷却処理し、前記高温処理及び冷却処理を、予め60〜90℃の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、50℃以下の張湯を投入することにより行うことを特徴とする麦芽アルコール飲料の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、麦芽アルコール飲料の製造方法において、麦芽原料の少なくとも一部を、60〜90℃の張湯と混合して高温処理した後に冷却処理し、前記高温処理及び冷却処理を、予め50℃以下の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、攪拌することにより行うことを特徴とする麦芽アルコール飲料の製造方法を提供するものである。
本発明の麦芽アルコール飲料の製造方法により、単に、麦芽原料を高温水と混合した後に冷却処理することにより、製造工程中の麦芽由来のLOXの酵素活性を顕著に低減させることができるため、簡便に、香味安定性に優れた麦芽アルコール飲料を製造することができる。pH調製や溶存酸素量低減のための添加物等を要しないため、煩雑な操作がなく、かつ経済的にも好ましい。さらに、麦汁の調製に必要なプロテアーゼ、アミラーゼ等の酵素の失活は抑えられるため、本発明の麦芽アルコール飲料は、ビール様の風味を十分に備えた嗜好性に優れた麦芽アルコール飲料である。
本発明における麦芽アルコール飲料とは、酒税法上の分類にとらわれず、麦芽を原料とし、かつ、アルコールを含有する飲料を意味する。該麦芽アルコール飲料には、例えば、ビールや発泡酒等が含まれる。また、麦芽を原料として製造されたアルコール飲料と、麦芽を原料としない飲料を混合して製造される飲料も含まれる。
麦芽アルコール飲料は、通常、製麦、仕込、発酵、貯酒、濾過の5工程で製造される。まず、製麦工程として、収穫された麦を、水に浸けて適度に発芽させた後、熱風により焙燥して、麦芽を製造する。該麦芽は常法により破砕してもよい。本発明においては、この麦芽若しくは麦芽の破砕物を麦芽原料という。
次に、仕込工程として、主原料である麦芽原料と、副原料である米やコーンスターチ等の澱粉質等から麦汁を調製する。まず、麦芽原料と澱粉質、及び原料用水の全量又はその一部を、仕込槽に投入し、攪拌・混合することにより、仕込を開始する。仕込槽内液を適当な温度に加温することにより、各原料由来の様々な物質が溶出され、澱粉質の糖化等の、多種多様な物質の分解・生成がなされる。そして該溶液を濾過して得られた濾液に、ホップを加えて煮沸する。ホップは、煮沸開始から煮沸終了前であればどの段階で混合してもよい。煮沸後、ワールプールと呼ばれる槽でホップ粕や熱トルーブ等の沈殿物を除去して麦汁を得る。得られた麦汁は、プレートクーラーにより適切な発酵温度まで冷却される。
その後、発酵工程として、該冷却済麦汁に酵母を接種して、発酵を行う。該発酵により、麦汁中の大部分の糖分が、アルコールと炭酸ガスに分解される。貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンク中で熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させた後、濾過工程として、熟成後の発酵液を濾過することにより酵母及びタンパク質等を除去して、目的の麦芽アルコール飲料を得る。得られた麦芽アルコール飲料は、通常、充填工程により、瓶詰めされて、製品として出荷される。
本発明は、麦芽アルコール飲料の製造方法において、麦芽原料の少なくとも一部を、高温水と混合して高温処理した後に冷却処理することを特徴とするものである。麦芽に含有されている他の酵素に比べて、LOXは水中に溶出され易い。また、未溶出の酵素は、麦芽から溶出された酵素に比べて高温の影響を受け難いため、失活し難い。このため、麦芽原料を高温水と混合させることにより、LOXを高温水中に先に溶出させて、効率よく失活させた後、速やかに麦芽を冷却することにより、後から溶出されてくる他の酵素が失活することを防止することができる。したがって、該冷却処理後に仕込を開始することにより、以降の製造工程において、LOXによるT2N前駆体物質の生成を顕著に抑制することができる。すなわち、本発明の製造方法により、麦芽中の糖化に必要なプロテアーゼ、アミラーゼ等の酵素の失活を極力抑えつつ、麦芽由来のLOXの酵素活性のみを選択的に失活させ得るため、製造された麦芽アルコール飲料中のT2N前駆体含有量を有意に低減させることができる。
なお、本発明の製造方法においては、該高温処理した麦芽原料のみを用いて麦芽アルコール飲料を製造してもよく、麦芽アルコール飲料の製造に用いる麦芽原料の一部のみを該高温処理してもよい。麦芽アルコール飲料中のT2N前駆体含有量を、より効果的に低減させることができるため、麦芽アルコール飲料の製造に用いる麦芽原料の全てを該高温処理することが好ましい。
該高温処理は、麦芽原料を高温水と混合することが必要である。水と混合後に加温すると、加温中にLOX以外の他の酵素も多く溶出され、失活するおそれがあるためである。また、該高温水は、該高温処理のために用意された水であってもよく、張湯であってもよい。該高温処理を麦芽の粉砕前に行う場合においては、麦芽を高温水と一定時間接触させた後、該高温水を除去した麦芽原料を改めて仕込槽へ投入してもよく、麦芽原料を、高温の張湯に混合させ、該混合物をそのまま仕込槽へ投入してもよい。操作が簡便であること、及び、高温処理が迅速に行えることから、該高温水は張湯であることが好ましい。
ここで、本発明における張湯とは、仕込工程において、原料としてそのまま使用した水、すなわち、麦芽原料や副原料と攪拌・混合されて仕込槽内液となる原料用水を意味する。したがって、張湯には、原料投入の前に予め仕込槽に入れておいた水や、原料と同時に投入される水とともに、仕込槽内液の温度や濃度等を調整するために添加される水や、原料投入後に残原料を洗い流す等の目的で添加される水等も含まれる。なお、該張湯は、溶存酸素量を低減させるため、予め脱気処理をしていることが好ましい。その他、硬度の調整や脱塩素処理をしたものであってもよい。
該高温処理に用いる張湯等の高温水の温度は、60〜90℃であることが好ましく、63〜85℃がより好ましい。60℃未満であると、LOXの酵素活性の失活が不十分となるおそれがあり、90℃超であると、LOX以外の麦芽中の有用な酵素が失活されやすくなるためである。
該高温処理は、麦芽原料を60〜90℃の張湯に混合させ、一定時間保持する処理を意味するが、高温水の温度が60℃程度と低めであるにもかかわらず、高温処理の時間が短すぎるとLOXの酵素活性の失活が不十分となるおそれがある。一方、高温水の温度が90℃程度と高めであるにもかかわらず、高温処理の時間が長すぎると、LOX以外の麦芽中の有用な酵素が失活されやすくなる。したがって、該高温処理の時間は、高温水の温度や麦芽原料の量、製造スケール等を考慮して、適宜決定すべきである。例えば、使用する麦芽原料の量や製造設備によっては、全ての麦芽原料を仕込槽へ投入するために、一定の時間を要する場合がある。このような場合に、高温処理に用いる張湯の温度を適宜調整することにより、該高温処理の終了時間を、麦芽原料の仕込槽への投入終了時間と一致させ、該麦芽原料の仕込槽への投入終了後速やかに冷却処理を行うこともできる。
図1は、本発明の麦芽アルコール飲料の製造方法に用いる仕込装置の一態様の構成の概略を示したものである。図1に示すように、張湯を仕込槽に供給するパイプ1と、麦芽原料を仕込槽に供給するパイプ2を、仕込槽3に投入する前に合流させることにより、麦芽原料を張湯に混合させた状態で仕込槽に投入することができる。すなわち、該張湯の温度を適宜調整するだけで、簡便に、仕込開始前に、麦芽原料を60〜90℃の張湯に混合させることができる。
なお、一般的なビール工場には、原料湯タンクと原料水タンクがあり、混合弁を用いて、原料湯と原料水の供給割合を適宜調整することにより、仕込槽へ投入される張湯の温度を、簡便に調整することができる。したがって、一般的なビール工場の設備においても、パイプ1から仕込槽に供給する張湯の温度を、本発明の高温処理に必要な温度に調整することができる。また、仕込槽内液の温度は、仕込槽外の気温等により影響を受けることがあるが、このような場合には、仕込槽内の昇温装置にて、仕込槽内液の温度を微調整することも可能である。
本発明における冷却処理は、麦芽原料を、仕込開始温度まで冷却する処理を意味する。麦芽原料を速やかに冷却することにより、LOX以外の有用な酵素の失活をより抑えることができる。該冷却処理の方法は、麦芽原料を速やかに冷却することが可能な方法であれば、特に限定されるものではないが、張湯を用いることが好ましい。簡便であるためである。該冷却処理に用いる張湯の温度や量は、該高温処理の温度や仕込開始温度、及び製造スケール等を考慮し、適宜決定することができる。
仕込開始温度は、仕込方法や製造される麦芽アルコール飲料の種類等によって、適宜決定することができる。例えば、通常行われている仕込方法として、昇温インフュージョン法がある。麦芽原料に張湯を加えて仕込み、仕込槽の温度を段階的に昇温することにより、麦芽原料中の各種酵素活性を順次活性化させ、麦芽原料及び副原料から各種成分を順次溶出させる方法である。該方法の一例として、例えば、仕込開始温度を、プロテアーゼの反応温度である50℃程度とし、次いで65〜70℃程度まで昇温しアミラーゼを反応させ麦芽の糖化を進め、最終的には75℃程度まで昇温させ比較的耐熱性のあるアミラーゼを失活させることで糖化を休止させる方法がある。プロテアーゼ反応を行わない場合には、例えば、仕込開始温度を、アミラーゼの反応温度である65〜70℃程度としアミラーゼを反応させ糖化を進め、最終的には75℃程度まで昇温させアミラーゼを失活させる方法がある。なお、一般的には、仕込開始前に仕込槽へ投入する張湯の温度は、本発明のように意図的に高温部、低温部を置くことなく、目標とする仕込開始温度よりも高めの一定の温度に設定されている。
具体的には、予め60〜90℃の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、50℃以下の張湯を投入することにより、本発明の麦芽アルコール飲料を製造することができる。図2は、この場合の、仕込槽に供給される張湯の温度(破線)と、仕込槽内液の温度(実線)の、各温度変化の概略を示した図である。横軸は、仕込槽への張湯の供給開始時点からの経過時間である。図中、tが冷却処理開始時点であり、tが仕込開始時点である。また、Tが高温処理に用いた張湯の温度であり、Tが冷却処理に用いた張湯の温度であり、Tが仕込開始温度である。なお、図中、両端矢印で示された範囲は、仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した時間を示している。
また、図2に示すように、麦芽原料を投入時には、仕込槽内液の温度は若干低下する。これは、麦芽原料等の原料は、室温程度で保管されているため、麦芽原料が混合されることにより、仕込槽内液の温度が低下するためである。該温度低下は、混合前の麦芽原料と張湯の温度差や混合比に依存するため、これらを考慮して、張湯の温度を適宜決定することが好ましい。
なお、使用する麦芽原料の量や製造設備によっては、全ての麦芽原料を仕込槽へ投入するために、一定の時間を要する場合がある。このような場合に、高温処理に用いる張湯の温度Tとともに張湯流量を適宜調整することにより、該高温処理の終了時間を、麦芽原料の仕込槽への投入終了時間と一致させ、該麦芽原料の仕込槽への投入終了後速やかに冷却処理を行うこともできる。
一方で、原料搬送の設備上等の理由で、高温張湯を仕込槽に投入している時間内に、全ての麦芽原料を仕込槽内に投入できない場合がある。このような場合には、高温の張湯と直接混合された状態で、仕込槽へ投入される麦芽原料は、全ての麦芽原料の一部となるが、充分に、麦芽由来のLOXの酵素活性を失活させ得る。図2に示すように、低温処理として、低温の張湯の仕込槽への投入が開始された後、一定期間をかけて仕込槽内液の温度は、目的の仕込開始温度まで低下する。したがって、LOXの酵素活性の失活は、麦芽原料と60〜90℃の張湯の混合を開始した時点から、仕込開始時点tまでの期間に生じていると推察されるためである。
その他、予め50℃以下の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、攪拌することによっても、本発明の麦芽アルコール飲料を製造することができる。60〜90℃の高温の張湯と麦芽原料の混合液は、仕込槽に入れておいた低温の張湯に比べて、非常に比重が大きい。この比重差により、該高温の張湯と麦芽原料の混合液を、該低温の張湯に投入した場合には、該高温の張湯と麦芽原料の混合液からなる下層と、該低温の張湯からなる上層に分離するため、予め高温の張湯を入れておいた場合であっても、麦芽原料の高温処理が可能である。高温処理終了後、攪拌・混合して、仕込槽内液を均一化することにより、仕込槽内液を仕込開始温度まで冷却することができる。
該方法は、製造スケールが非常に大きい場合には、比重の高い該下層を攪拌することは若干困難である場合があるが、10kL程度の麦芽アルコール飲料を得るような製造スケールである場合には、攪拌により、速やかに冷却処理を行うことができるため、好ましい。但し、過剰な攪拌は、仕込槽中の酸素を巻き込んでしまい、仕込槽内液を酸化させてしまうため、攪拌スピードは緩やかに行われることが好ましい。
本発明において用いられる麦芽原料、米やコーンスターチ等の澱粉質、ホップ等の原料は、特に限定されるものではなく、通常麦芽アルコール飲料を製造する場合に用いられるものを、通常用いられる量で用いることができる。また、液糖溶液の煮沸、沈殿物の除去、麦汁の冷却、発酵等の方法は、特に限定されるものではなく、通常麦芽アルコール飲料を製造する場合に用いられる方法で行うことができる。発酵に用いられる酵母も、特に限定されるものではないが、安全性、入手の容易さなどからサッカロマイセス属に属するものが好ましい。その他、麦汁中のアミノ態窒素含量が少なくなる場合には、仕込工程において、市販のプロテアーゼ剤等の酵素を添加してもよい。又、麦汁中の糖含量が少なくなる場合や組成が異なる場合には、仕込工程において、市販のアミラーゼ剤等の酵素を添加してもよい。更に、麦汁又はビール等の麦芽アルコール飲料の濾過性が悪くなる場合には、仕込工程において、市販のヘミセルラーゼ、βグルカナーゼ剤等の酵素を添加してもよい。
本発明の麦芽アルコール飲料、すなわち、本発明の製造方法により製造された麦芽アルコール飲料は、LOXの酵素活性が有意に失活された麦芽原料を用いて製造されるため、T2N前駆物質の含有量が顕著に低減されている。したがって、瓶詰め後保存中の香味安定性に非常に優れている。また、従来法により製造された麦芽アルコール飲料と同程度のエキス、色度、苦味価、アミノ態窒素等を有しており、嗜好性も良好な麦芽アルコール飲料である。
次に試験例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
(試験例1)
仕込槽への張湯の供給を流速約2,500L/minとし、125kLの麦汁を製造する仕込ライン(以下、125kLスケールという。)において、本発明のビールの製造に用いられる麦汁を得た。
まず、常法により調製された麦芽を粉砕し、麦芽原料を調製した。約10,000kgの該麦芽原料を、表1記載の温度と時間条件下で、張湯と混合した状態で仕込槽へ投入し、仕込開始温度を53℃として昇温インフュージョン法により仕込を行った。表中、Tが最初に仕込槽へ供給した張湯の温度、すなわち、本発明の高温処理に用いた張湯の温度であり、Tが冷却処理に用いた張湯の温度である。また、tが仕込槽への張湯の供給開始時点を0分とした場合の冷却処理開始時点であり、tが仕込開始時点である。また、供給開始から仕込開始時まで56℃の等温で張湯を供給した試料を、対照試料とした。なお、仕込槽への張湯の供給開始後、2分から9分間かけて、張湯と混合された麦芽原料を仕込槽へ投入した。
Figure 0004648919
張湯の供給を停止し、常法にしたがって仕込を開始した。まず、仕込槽内液を53℃で一定時間保持した後、65℃程度まで昇温し麦芽の糖化を行った後、最終的には76℃まで加温して、糖化を休止させた。得られた溶液を濾過槽にて濾過して麦汁を得た後に適量のホップを加えて、100℃で煮沸した後、ワールプールでホップ粕及び熱トルーブを除去して約125kLの麦汁を得た。
次に、得られた麦汁中の、T2Nポテンシャル量と、アミノ態窒素含量、EVG(最終発酵度)を測定した。T2Nポテンシャルとは、麦汁をビールと同じpH4.0に調整した後、100℃で2時間の加熱をする際に生成するT2N量であり、文献3に記載のように、麦汁を発酵させて製造したビールを保存した際に生成するT2N量と良好な相関性を示す。なお、T2Nポテンシャル量は非特許参照文献3に記載のT2Nポテンシャル測定法に準じて測定した。また、EVGは、麦汁や最終製品である麦芽アルコール飲料中のビール酵母に利用可能なエキスをすべて発酵させた際に得られる発酵の度合いを意味する。なお、エキスとは、原麦汁や麦芽アルコール飲料に含まれている液部に溶出している可溶性蒸発残渣となる固形分の量若しくは濃度であり、通常は重量%で表わされる。一般には、試料液の比重(20℃/20℃)を種々の方法で測定し、これから換算表(プラトーのエキス表)又は換算式を用いて、シュークロース相当量(同じ比重のシュークロース水溶液のシュークロース重量%)として求める。アミノ態窒素含量、エキス及びEVGの測定は、ビール分析の国際基準とされているEBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法に準じて行った。
Figure 0004648919
各試料の測定値から、対照試料の測定値を引いた値を表2に示した。表中、T2N-PはT2Nポテンシャル量を、A−Nはアミノ態窒素含量を、それぞれ表している。この結果、60〜75℃の高温処理をした4試料の全てにおいて、対照試料よりもT2Nポテンシャル量が減少していることが観察された。このうち、67℃で4分間高温処理をした試料3が、最もT2Nポテンシャル量の減少が顕著であり、かつ、アミノ態窒素含量とEVGの双方が、対照試料と同程度であった。また、60℃で5.5分間高温処理をした試料1と、60℃で8分間高温処理をした試料2では、T2Nポテンシャル量の減少は同程度であったが、アミノ態窒素含量とEVGの双方の減少幅が、試料2のほうが若干大きかった。
T2Nポテンシャル量の減少は、麦汁中のLOX活性が顕著に低下しているためと推察される。また、アミノ態窒素含量が対照試料と同程度であることは、麦芽アルコール飲料のための麦汁製造に必要なプロテアーゼ類の酵素の失活が抑制され、対照試料と同様にタンパク質分解が生じているためと推察される。さらに、EVGが対照試料と同程度であることは、麦芽アルコール飲料のための麦汁製造に必要なアミラーゼ類の酵素の失活が抑制され、対照試料と同様に糖化が生じているためと推察される。
試験例1の結果から、本発明の製造方法、すなわち、仕込開始前に、麦芽原料を、高温水と混合することにより高温処理した後に冷却処理をすることにより、含有されるT2Nポテンシャル量が非常に少ない麦汁を製造することができ、該麦汁を用いることにより、香味安定性のよいビールを製造できることが明らかである。また、高温処理の温度と時間を適宜調整することにより、T2Nポテンシャル量以外は、従来品と同程度の品質のビールを製造できることがわかった。
(試験例2)
仕込槽への張湯の供給を流速約1,300L/minとし、125kLスケールにおいて、本発明のビールの製造に用いられる麦汁を得た。本発明の高温処理に用いた張湯の温度を67.5℃とし、冷却処理に用いた張湯の温度を45℃とした。なお、麦芽原料の調製は、試験例1と同様にして行った。
まず、67.5℃の張湯を仕込槽へ投入した。張湯開始から約30秒後に約9,000kgの麦芽原料の投入を開始し、張湯開始から約7分後に該麦芽原料の投入を終了した。該麦芽原料の投入後速やかに張湯の温度を45℃とし、張湯開始から約17分後に張湯の投入を停止した。張湯の供給終了した後の仕込槽内液温度は、目標の仕込開始温度である50℃となっていた。53℃に代えて50℃で仕込槽内液を一定時間保持した以外は試験例1と同様にして仕込を行い、麦汁(試料1)を得た。
一方、仕込槽へ投入する張湯の温度を53℃の一定温度とし、張湯開始から約4分後から麦芽原料の投入を開始し、張湯開始から約11分後に該麦芽原料の投入を終了した以外は、試料1と同様にして、対照の麦汁(対照試料)を得た。なお、仕込槽外部温度や、使用した仕込槽の保温性等を考慮し、仕込槽内液温度を、目標の仕込開始温度である50℃とするために、目標の仕込開始温度よりも3℃高い温度の張湯を投入した。
さらに、得られた麦汁中の、T2Nポテンシャル量と、アミノ態窒素含量、エキス、色度、苦味価、及びpHを測定した。T2Nポテンシャル量と、アミノ態窒素含量、エキスは、試験例1と同様にして測定した。色度及び苦味価の測定は、EBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法に準じて行った。測定結果を表3に示した。表中、T2N-PはT2Nポテンシャル量を、A−Nはアミノ態窒素含量を、それぞれ表している。
Figure 0004648919
T2Nポテンシャル量は、対照試料では3.0ppbであったのに対して、試料1では2.5ppbであり、約18%も減少していた。一方、アミノ態窒素含量、エキス、色度、苦味価、及びpHは、対照試料と試料1ではあまり違いはなかった。試験例2の結果から、予め67.5℃の張湯を入れておいた仕込槽に、67.5℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、45℃の張湯を投入して冷却処理をすることにより、含有されるT2Nポテンシャル量が非常に少なく、香味安定性がよいこと以外は、従来品と同程度の品質を有する麦芽アルコール飲料を製造できることが明らかである。
(試験例3)
70kLスケールにおいて、本発明のビールの製造に用いられる麦汁を得た。本発明の高温処理に用いた張湯の温度を83℃とし、冷却処理に用いた張湯の温度を38℃とした。なお、麦芽原料の調製は、試験例1と同様にして行った。
まず、張湯開始約8分後までは、流速約750L/minで83℃の張湯を仕込槽へ投入し、その後、流速約1,520L/minで38℃の張湯を投入し、張湯開始から約12.5分後に張湯の投入を停止した。張湯開始から約5分後に約5,500kgの麦芽原料の投入を開始し、張湯開始から約11分後に該麦芽原料の投入を終了した。麦芽原料の投入スピードは、急激な原料投入による攪拌機への過剰な負荷を避けるために、一定の投入スピードではなく、インバータを用いて変更した。すなわち、麦芽原料の投入期間が、高温張湯終了以降も継続し、低温張湯が投入されている途中に終了した。張湯の供給終了時点で、仕込槽内液温度は、目標の仕込開始温度である52℃となっていた。53℃に代えて52℃で仕込槽内液を一定時間保持した以外は試験例1と同様にして仕込を行い、麦汁(試料1)を得た。一方、仕込槽へ投入する張湯の温度を56℃の一定温度とした以外は、全て試料1と同様にして、対照の麦汁(対照試料)を得た。
試験例2と同様にして、得られた麦汁中の、T2Nポテンシャル量と、アミノ態窒素含量、エキス、及び色度を測定した。測定結果を表4に示した。表中、T2N-PはT2Nポテンシャル量を、A−Nはアミノ態窒素含量を、それぞれ表している。
Figure 0004648919
T2Nポテンシャル量は、対照試料では3.8ppbであったのに対して、試料1では3.1ppbであった。一方、アミノ態窒素含量、エキス、及び色度は、対照試料と試料1ではあまり違いはなかった。試験例3の結果から、麦芽原料の少なくとも一部を、83℃の張湯と混合して高温処理した後に、38℃の張湯を投入して冷却処理をすることにより、含有されるT2Nポテンシャル量が非常に少なく、香味安定性がよいこと以外は、従来品と同程度の品質を有する麦芽アルコール飲料を製造できることが明らかである。
(試験例4)
仕込開始温度を55℃とし、本発明の高温処理に用いた張湯の温度を65℃とし、冷却処理に用いた張湯の温度を20℃とした以外は、試験例2と同様にして、本発明のビールの製造に用いられる麦汁(試料1〜4)と対照の麦汁(対照試料1〜4)を得た。
その後、試験例2と同様にして、得られた麦汁中の、T2Nポテンシャル量、アミノ態窒素含量、pH、及び、EVGを測定した。測定結果を表5に示した。表中、T2N-PはT2Nポテンシャル量を、A−Nはアミノ態窒素含量を、それぞれ表している。
Figure 0004648919
T2Nポテンシャル量は、4つの対照試料の平均では2.9ppbであったのに対して、4つの試料1の平均では2.7ppbであった。一方、アミノ態窒素含量、pH、及びEVGは、対照試料と試料1ではあまり違いはなかった。試験例4の結果から、予め65℃の張湯を入れておいた仕込槽に、65℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、20℃の張湯を投入して冷却処理をすることにより、含有されるT2Nポテンシャル量が非常に少なく、香味安定性がよいこと以外は、従来品と同程度の品質を有する麦芽アルコール飲料を製造できることが明らかである。
(試験例5)
仕込槽への張湯の供給を流速約110L/minとし、本発明の高温処理に用いた張湯の温度を78℃とし、冷却処理に用いた張湯の温度を17℃として、本発明のビールの製造に用いられる麦汁を得た。なお、麦芽原料の調製は、試験例1と同様にして行った。
まず、78℃の張湯と混合した状態で、約410kgの麦芽原料を仕込槽へ投入し、仕込槽内液の麦芽原料と張湯との重量比が1:3.7となるようにした。その後速やかに張湯の温度を17℃とし、仕込槽への張湯の供給終了時の原料と張湯との重量比が1:5.9であり、かつ、仕込槽内液温度が目標の仕込開始温度である53℃となるようにした。張湯の供給終了後、試験例1と同様にして仕込を行い、麦汁(試料1)を得た。一方、仕込槽へ投入する張湯の温度を56℃の一定温度とし、仕込槽への張湯の供給終了時の仕込槽内液の麦芽原料と張湯との重量比を1:5.0となるようにした以外は、全て試料1と同様にして、対照の麦汁(対照試料)を得た。その後、試験例2と同様にして、得られた麦汁中の、T2Nポテンシャル量、アミノ態窒素含量、及びエキスを測定した。
得られた測定結果を図3に示した。(a)が麦汁中のT2Nポテンシャル量、(b)がアミノ態窒素含量の、それぞれの測定結果である。図中、1が試料1を、Cが対照試料をそれぞれ示している。麦汁中のアミノ態窒素含量は、試料1と対照試料はほぼ同量であったが、T2Nポテンシャル量は、対照試料では5.04ppbであったのに対して、試料1では2.83ppbであり、顕著に減少していた。
得られた麦汁を、プレートクーラーにより5℃まで冷却した後、常法により、ビールを製造した。まず、該冷却済麦汁を発酵タンクに移し、泥状酵母を接種して発酵を行った後、得られた発酵液を、熟成させた後、珪藻土濾過を行い、酵母及び熱トルーブ等を除去し、目的のビールを得た。得られたビール中の、T2N量と、アミノ態窒素含量、エキス、EVG、色度、苦味価、アルコール濃度、SASPL、ガス圧、及びTHOD量を測定した。
なお、T2Nポテンシャル量の測定は、非特許文献3記載の測定方法に準じて行い、THODの分析法は、Journal Bioscience and Bioengineering 第90巻第1号(2000年発行)の69〜73ページに記載の方法に従った。その他の測定はAnalytica−EBC標準法に準じて行った。
Figure 0004648919
得られたビール中の各種分析結果を表6に示した。表中、A−Nはアミノ態窒素含量を表している。なお、T2N量は、ビールを37℃で一週間保存した後に、測定を行った。この結果、T2N量は、対照試料由来ビールでは0.24ppbであったのに対して、試料1由来ビールでは0.17ppbであり、麦汁中と同様に顕著に減少していた。また、THOD量も、対照試料由来ビールでは1.53ppmであったのに対して、試料1由来ビールでは1.02ppmであり、低減していた。その他の測定値は、試料1由来ビールと対照試料由来ビールでは、ほとんど差異がなかった。試験例5の結果から、麦芽原料を、78℃の張湯と混合して高温処理した後に、17℃の張湯を投入して冷却処理をすることにより、含有されるT2N量が非常に少なく、香味安定性がよいこと以外は、従来品と同程度の品質を有する麦芽アルコール飲料を製造できることが明らかである。
さらに、得られたビールを、25℃で1ヶ月間保存した後、10名のパネリストによるブラインドの2点比較法により官能検査を行った。具体的には、全体評点、劣化度、収斂渋味について評価を行った。
全体評点は、各ビールの香味全体を、25℃で1ヶ月間保存したビールの平均を15、瓶詰め直後のビールの平均を20として、1刻みにて評価したものである。また、劣化度は、25℃で1ヶ月間保存したビールの平均を10、瓶詰め直後のビールの平均を0として、劣化の度合いを1刻みにて評価したものである。さらに、収斂渋味は、瓶詰め直後のビールの平均を0として、渋・収斂味の度合いを1刻みにて評価したものである。
該官能検査の結果を、図4に示した。図中、1が試料1由来ビールを、Cが対照試料由来ビールをそれぞれ示している。試料1由来ビールは、対照試料由来ビールに比べて、劣化度や収斂渋味の度合いが小さく、全体評点が高いことが明らかである。これは、試料1由来ビールは、対照試料由来ビールに比べて、麦汁中のT2Nポテンシャル量及び麦芽アルコール飲料中のT2N量が顕著に減少しており、保存による劣化が抑えられるためと推察される。更に試料1由来ビールはTHOD量も低く、渋みなどの香味の改善に関与したと推察される。すなわち、本発明の製造方法により、保存後でも香味の良好な、嗜好性の高い麦芽アルコール飲料を製造できることが明らかである。
(試験例6)
仕込槽への張湯の供給を流速約75L/minとし、本発明の高温処理に用いた張湯の温度を80℃とし、冷却処理に用いた張湯の温度を30℃として、3kLスケールで、本発明のビールの製造に用いられる麦汁を得た。なお、麦芽原料の調製は、試験例1と同様にして行った。
まず始めに、仕込槽に510Lの30℃の張湯を入れた。その後、80℃の張湯と混合した状態で、約260kgの麦芽原料を仕込槽へ投入した。最終的には650Lの80℃の張湯が、該仕込槽に投入された。80℃の張湯の投入終了から5分後に、該仕込槽の攪拌機の運転を開始し、仕込槽内液を均一とした。80℃の張湯の投入終了から攪拌機の運転開始前の約5分間は、仕込槽内液は、始めに該仕込槽に入れていた張湯からなる上層と、該麦芽原料と高温の張湯の混合液からなる下層に分離した状態であった。仕込槽内液がほぼ均一になった時点で、仕込槽内液温度は、目標の仕込開始温度である55℃となっていた。53℃に代えて55℃で仕込槽内液を一定時間保持した以外は試験例1と同様にして仕込を行い、麦汁(試料1)を得た。
一方、仕込槽へ投入する張湯の温度を52℃の一定温度としたこと、張湯の仕込槽への投入開始時点から攪拌機の運転を開始したこと、及び、仕込槽内液がほぼ均一になった時点での仕込槽内液温度が、目標の仕込開始温度である50℃となっていたこと以外は、全て試料1と同様にして、対照の麦汁(対照試料1)を得た。また、仕込槽へ投入する張湯の温度を57℃の一定温度とすると同時に、二酸化炭素ガスを用いて該仕込槽内のガス置換を実施した以外は、全て対照試料1と同様にして、対照の麦汁(対照試料2)を得た。なお、仕込槽内液がほぼ均一になった時点で、仕込槽内液温度は、目標の仕込開始温度となっていた。
得られた麦汁中のT2Nポテンシャル量を測定し、該測定結果を図5に示した。図中、1が試料1を、C1が対照試料1を、C2が対照試料2をそれぞれ示している。試料1は、対照試料1と2のいずれよりも、T2Nポテンシャル量が顕著に減少していた。すなわち、予め50℃以下の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、攪拌することにより、従来の昇温インフュージョン法や、二酸化炭素でガス置換して行う昇温インフュージョン法よりも、はるかにT2Nポテンシャル量の少ない麦汁を製造することができ、該麦汁を用いることにより、従来になく香味安定性の高い麦芽アルコール飲料を製造できることが明らかである。
(試験例7)
500mL容の容器を用いて、300mLスケールで、本発明のビールを製造するための麦汁(試料1)を得た。本発明の高温処理に用いた張湯の温度を85℃とし、冷却処理に用いた張湯の温度を20℃とした。なお、麦芽原料の調製は、試験室用の粉砕装置であるビューラー社製DELFUディスィクミルを用いた。粉砕条件は試験例1の工場での条件と同様となるように、ディスク間隔1.0mmの粗粉砕で行った。
予め140mLの85℃の張湯を入れた該容器に、75gの麦芽原料を投入して混合した後10秒経過後、20℃の張湯を160ml添加して、該容器内液を目標の仕込開始温度である50℃にした。その後、60分間保持した後、70℃に昇温後45分間糖化を行い、76℃で十分間保持し糖化を停止した。その得られた液を7500rpmで15分間遠心後、上澄み液をNO.2濾紙で濾過し、麦汁(試験試料1)を得た。一方、予め300mLの50℃の張湯を入れた該容器に、75gの麦芽原料を投入して混合した後、試験例1と同様にして仕込を行い、対照の麦汁(対照試料1)を得た。
試験例1と同様にして、得られた麦汁中のT2Nポテンシャル量を測定した。あわせて、50℃で15分間仕込をした時点の、該容器内液のLOX活性とαアミラーゼ活性を測定した。LOX活性は、非特許文献1記載の方法に準じて測定した。αアミラーゼ活性は、MEGAZYME社製の活性キットに従って測定した。
該測定結果を図6に示した。(a)が麦汁中のT2Nポテンシャル量、(b)が50℃で15分間仕込をした時点の、該容器内液のLOX活性、(c)が50℃で15分間仕込をした時点の、該容器内液のαアミラーゼ活性の、それぞれの測定結果である。図中、1が試料1を、C1が対照試料1を示している。また、T2N-PはT2Nポテンシャル量を表している。T2Nポテンシャル量は、対照試料では約10ppbであったのに対して、試料1では約7.5ppbであり、顕著に減少していた。また、50℃で15分間仕込をした時点のLOX活性は、対照試料では約3.1U/mLであったのに対して、試料1では約0.3U/mLであり、やはり顕著に減少していた。一方、αアミラーゼ活性は、試料1と対照試料でほとんど差異がなかった。試験例7の結果から、85℃の張湯に混合させた麦芽原料に、50℃以下の張湯を用いて冷却処理することにより、麦汁中のLOX活性を選択的に失活させ、T2Nポテンシャル量を顕著に低減させた麦汁を製造することができ、該麦汁を用いることにより、香味安定性と嗜好性の高い麦芽アルコール飲料を製造できることが明らかである。
本発明の麦芽アルコール飲料の製造方法は、飲料中のT2N量を顕著に低減させることができ、香味安定性に優れた麦芽アルコール飲料を提供することができるため、麦芽アルコール飲料の製造分野で利用が可能である。
本発明の麦芽アルコール飲料の製造方法に用いる仕込装置の一態様の概略構成図である。張湯を仕込槽に供給するパイプ1と、麦芽原料を仕込槽に供給するパイプ2を、仕込槽3に投入する前に合流させることにより、麦芽原料を張湯に混合させた状態で仕込槽に投入することができる。 予め60〜90℃の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、50℃以下の張湯を投入する麦芽アルコール飲料の製造方法における、仕込槽に供給される張湯の温度(破線)と、仕込槽内液の温度(実線)の、各温度変化の概略を示した図である。tが冷却処理開始時点であり、tが仕込開始時点である。また、Tが高温処理に用いた張湯の温度であり、Tが冷却処理に用いた張湯の温度であり、Tが仕込開始温度である。なお、中、両端矢印で示された範囲は、仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した時間を示している。 試験例5において、得られた麦汁中に含有されているT2Nポテンシャル量(a) 及びアミノ態窒素含量(b)を測定した結果を、それぞれ示したものである。図中、1が試料1を、Cが対照試料をそれぞれ示している。 試験例5において、得られたビールの官能検査の結果を示したものである。図中、1が試料1由来ビールを、Cが対照試料由来ビールをそれぞれ示している。 試験例6において、得られた麦汁中に含有されているT2Nポテンシャル量を測定した結果を示したものである。図中、1が試料1を、C1が対照試料1を、C2が対照試料2をそれぞれ示している。 試験例7において、得られた麦汁中に含有されているT2Nポテンシャル量(a)と、50℃で15分間仕込をした時点の、該容器内液のLOX活性(b)とαアミラーゼ活性(c)を、それぞれ測定した結果を示したものである。図中、1が試料1を、C1が対照試料1を示している。
符号の説明
1…張湯を仕込槽に供給するパイプ、2…麦芽原料を仕込槽に供給するパイプ、3…仕込槽。

Claims (2)

  1. 麦芽アルコール飲料の製造方法において、麦芽原料の少なくとも一部を、60〜90℃の張湯と混合して高温処理した後に冷却処理し、
    前記高温処理及び冷却処理を、
    予め60〜90℃の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、50℃以下の張湯を投入することにより行うことを特徴とする麦芽アルコール飲料の製造方法。
  2. 麦芽アルコール飲料の製造方法において、麦芽原料の少なくとも一部を、60〜90℃の張湯と混合して高温処理した後に冷却処理し、
    前記高温処理及び冷却処理を、
    予め50℃以下の張湯を入れておいた仕込槽に、60〜90℃の張湯に混合させた麦芽原料を投入した後に、攪拌することにより行うことを特徴とする麦芽アルコール飲料の製造方法。
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