JP4647221B2 - 帯状装身具の中留 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえばブレスレットや腕時計などのように、身体に巻回されて装着される帯状装身具、およびそれに用いられる中留に関する。
身体に巻回される帯状装身具には、様々な中留が用いられる。たとえば、帯状装身具の1つである腕時計では、二つ折れ中留、三つ折れ中留、あるいは観音開き中留のような折り畳み型の中留が多用されている。そして、このような折り畳み型中留では、様々な手首の太さに合わせて腕時計の周長を調節できるように、使用者が簡単にバンドの長さを調整できる中留が検討されてきた。
たとえば、中留は一方のバンドが挿通される挿通枠を備え、さらにこの挿通枠と他方のバンドとの間に配置されて、挿通枠に対して折り畳まれたり、拡開されたりする折り畳み部が備えられた中留が知られている。この挿通枠には、一方のバンドを多くの箇所で挿通枠に係止する係止手段を備える(たとえば、特許文献1参照)。
このような中留のおおまかな構造は、図16及び図17に示される。
この図によれば、中留は、略U字型を成して、上方に開口する枠体である挿通枠1を備える。この挿通枠に、下板2の一端が回転可能に連結される。この下板2の他端に、中板3の一端が回転可能に連結され、さらに中板の他端に、表カバー4が回転可能に連結される。これら下板、中板、および表カバーとで、挿通枠に対して折り畳まれたり、あるいは拡開されたりする折り畳み部5が構成される。
一方のバンド6を挿通枠1に係止する係止手段は、側面視L形の板状の係止部材7を含む。
この係止部材7は、突出ピン8により挿通枠1に回転可能に連結される。係止部材の一端には、一方のバンド6に当接して係合する当接部10が形成される。この当接部10として、鋸歯状凹凸が連続した係止歯11が突出して形成される。
他方のバンド12は、折り畳み部5の表カバー4に連結される。折り畳み部を挿通枠1に折り畳むと、表カバーと中板の連結円筒部13が、下板2から突出した係止爪14に係合され、中留が閉じた状態で錠止される。
一方のバンド6は、挿通枠1の底板と係止部材7との間に形成された入口15から挿入される。一方のバンドは、さらに挿通枠と下板2との連結部と、底板との間に形成された出口16から送出され、下板の下方まで引き出される。
ここで、係止部材7を図16の矢印の方向に沿って回転させると、係止部材の係止歯11が、一方のバンドの上面に食い込む。一方のバンドは、挿通枠の底板と係止歯との間に挟持されて、挿通枠に係止される。
図中の矢印とは反対方向に係止部材を回転させれば、係止部材の係止歯11が、一方のバンドの上面から離間する。すると、一方のバンドは、挿通枠に対して、バンドの長手方向に沿って移動できるようになる。さらに、一方のバンドは、挿通枠から抜脱できるようになる。
なお、ここで上下とは、参照した図面における上下方向に準ずる。
使用者は、挿通枠に挿通された一方のバンド6を、バンドの長手方向に沿って移動させ、腕時計の周長を調節する。そして、使用者は、腕時計の周長が自分の手首の太さに合ったところで、係止部材7を回転させて、一方のバンドを挿通枠に係止する。
このように、この中留は、使用者にとって、何度でもバンドの長さが調整できるという利点がある。
また、上記した従来例では、折り畳み部と挿通枠とが別体であるが、折り畳み部の下板に挿通枠を一体に形成した中留もすでに知られている(たとえば、特許文献2参照)。この場合、一体化した下板を含めて挿通枠とされ、中板と表カバーが折り畳み部となる。
さらに、表カバーが排除され、他方のバンドが中板に直接連結される場合もある。この場合、折り畳み部は、下板と中板から構成される。
実公昭56−33366号公報(第1〜3頁、第1〜12図) 実開昭60−182819号公報(第1〜8頁、第1〜28図)
しかしながら、前述した従来の中留においては、下記のような問題がある。
(課題1)
係止歯11が一方のバンド6の上面に食い込むので、一方のバンドの上面に傷が発生する。そして、使用者がバンドの長さを調整し直す度に、バンドの上面における異なる位置に、多くの傷が発生する。
さらに、食い込んだ係止歯を一方のバンドから離間させるためには、使用者は、ドライバーやピンセットなどの工具を係止部材に引っかけて、係止部材を回転させなければならない。このとき、工具の鋭利な先端によって一方のバンドの上面を傷つけやすい。
このように発生する傷によって、バンドの美観、ひいては装身具の美観が致命的に損なわれるという問題がある。
(課題2)
また、一方のバンドが挿通枠に挿通されていない状態では、係止部材7は、自重によって回転し、係止部材の係止歯が挿通枠の底板に当接している。よって、挿通枠の底板と係止部材との間に一方のバンドを挿通するためには、使用者は、図16における二点鎖線で描かれた位置まで、係止部材7を上方に向けて指で回転させなければならない。
よって、一方のバンドを挿通枠に挿通するのに手間がかかるので、バンドの長さ調整が容易ではない。
(課題3)
また、一方のバンドを挿通枠に挿通するために、前述のように、使用者は係止部材を指で支持しなければならないので、係止部材の係止歯が、使用者の指を傷つけることがある。
(課題4)
また、係止部材が一方のバンドの上方に位置して露出するため、意図しない外力が係止部材に負荷しやすい。このような外力によって、不用意に係止部材が回転して、一方のバンドと挿通枠との係止が外れることがある。すると、使用者の意に反して、挿通枠から一方のバンドが抜脱してしまう。
(課題5)
さらに、係止部材が一方のバンドの上方に位置して露出するため、この係止部材によって、中留の美観、ひいては装身具の美観が損なわれる。特に、係止部材の係止歯が一方のバンドの上面に視認されるので、装身具の高級感が著しく損なわれる。
本発明は、上述の欠点を解消するものであり、その目的は以下の通りである。
(1)本発明の第1の目的は、美観を長期にわたり維持できる、バンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具を提供することである。
(2)本発明の第2の目的は、使用者の指を痛めることがない、バンドの長さを調整できる中留およびそれを備える帯状装身具を提供することである。
(3)本発明の第3の目的は、操作が容易である、バンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具を提供することである。
(4)本発明の第4の目的は、バンドを強固に保持できる、バンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具を提供することである。
(5)本発明の第5の目的は、高級感のある外観を呈する、バンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明における帯状装身具の中留は、特許請求の範囲における請求項1に記載された通り、
「一方のバンドが挿通される挿通枠と、
挿通枠に対して一方のバンドを係止する係止部材と、
挿通枠と他方のバンドとの間に連結され、挿通枠に対して折り畳まれ、かつ拡開される折り畳み部と、
折り畳み部を折り畳んだ状態で保持する錠止手段と、
を備える中留であって、
挿通枠は、一方のバンドの開放端が挿入される入口と、一方のバンドの開放端が外方に送出される出口と、挿通枠の内部における入口と出口との間に配置される案内部材と、を含み、
係止部材が一方のバンドの下方に位置して、一方のバンドの下面に当接して係合し、
案内部材が、入口から出口へと通過する一方のバンドを挿通枠と折り畳み部との枢軸部に突き当たらないように案内する」ものである。
これにより、係止部材は一方のバンドの下面に係合するので、一方のバンドの下面は傷つこうとも、一方のバンドの上面は決して傷つかない。帯状装身具が、身体、たとえば手首
に装着された状態では、一方のバンドの下面は手首の外周面に接して、外方からは視認されない。よって、一方のバンドの下面に発生する傷によって、帯状装身具の美観が致命的に損なわれることはない。
また、使用者が、係止部材を一方のバンドから離間させるために工具を用いても、その工具によって一方のバンドの下面は傷つこうとも、一方のバンドの上面は決して傷つかない。
このように、本発明における帯状装身具の中留は、バンドの美観、ひいては帯状装身具の美観を長期にわたり維持できる。
また、一方のバンドを挿通枠に挿通する操作が、案内部材によって容易になるので、バンドの長さ調整に手間がかからない。
よって、本発明における帯状装身具の中留は、バンドの長さを容易に調整できる。
中留の折り畳み部の構成する部品は、折り畳み型の中留が採用できる様々な形態に合わせて、様々に変わる。たとえば、挿通枠に連結される下板、下板に連結される中板、中板と他方のバンドに連結される表カバーとが折り畳み部となる場合がある。また、下板と挿通枠が一体であれば、中板と表カバーが折り畳み部となる。あるいは、表カバーが省かれて、他方のバンドが中板に直接連結されれば、下板と中板とが折り畳み部となる。さらに、これらの形態を組み合わせた折り畳み部が採用される。
錠止手段は、折り畳み部を折り畳んだ状態で保持できれば、どのような手段であってもかまわない。たとえば、折り畳み部の表カバーを下板に係止する手段であっても、表カバーを挿通枠に係止する手段であってもかまわない。
この錠止手段として、ボタンを備え、かつ、このボタンのバンドの幅方向に沿った押圧やバンドの長手方向に沿った滑動によって、折り畳み部の錠止が解除される手段を採用してもよい。
このようなボタン式錠止手段として、たとえば、WO00/69301号、特開200
0−201710号、特開平10−192015号、特開平10−57123号、特開平10−5015号、特開平9−320号、実開平7−36719号、実開平6−46513号、あるいは実開平6−19527号などに開示された手段を採用できる。
この錠止手段におけるボタンは、折り畳み部の表カバーに取り付けられても、下板に取り付けられてもかまわない。
また、本発明における帯状装身具の中留は
「挿通枠は、上部を覆う天井壁と、挿通枠に挿通された一方のバンドを挟んで対向するように天井壁から垂下する両側壁とを備え、
この挿通枠の内側に係止部材と案内部材が配置される」ことが好ましい。
これにより、天井壁と2つの側壁に囲まれた挿通枠の内部に係止部材と案内部材が位置するので、係止部材と案内部材は、上方からも、横からも視認されない。特に、帯状装身具が、身体、たとえば手首に装着された状態では、係止部材は、手首の外周面と挿通枠に囲まれるので、外方からはほとんど視認されない。よって、本発明における帯状装身具の中留は、高級感のある外観を呈することができる。
さらに、挿通枠の内部に位置する係止部材には、意図しない外力が負荷されにくい。よって、このような外力によって、係止部材と一方のバンドとの係合が外れる危険が削減されるので、本発明における帯状装身具の中留は、一方のバンドを挿通枠に強固に保持できる。
また、本発明の帯状装身具の中留においては、
「係止部材が挿通枠に回転可能に取り付けられ、
挿通枠の入口が、挿通枠の天井板と係止部材との間の隙間であり、
一方のバンドが挿通枠に挿通されていない状態において、係止部材は自重によって回転して、挿通枠の入口を塞がないように挿通枠にぶら下がる」ことが好ましい。
これにより、一方のバンドが挿通枠に挿通されていない状態において、使用者が係止部材を操作せずとも、一方のバンドが挿入できるように挿通枠の入口は常に開口する。一方のバンドを挿通枠に挿通させるために、使用者は、従来のように、係止部材を指で支持しなくともよい。
よって、本発明における帯状装身具の中留においては、一方のバンドを挿通枠に挿通する操作が容易であり、バンドの長さ調整に手間がかからない。
さらに、係止部材が係止歯のような鋭利な突起を備えようとも、使用者は係止部材を触らなくともよいので、使用者の指が係止部材との接触によって傷つくこともない。
また、本発明の帯状装身具の中留においては、
「挿通枠の入口は出口より上方に位置し、
挿通枠の出口は折り畳み部の下方に開口し、
案内部材は、入口から出口に向かう方向に沿って、下方に向けて傾斜する面を有する部材である」ことが好ましい。
これにより、一方のバンドを挿通枠に挿通する操作が容易になるばかりか、一方のバンドが折り畳み部材の下板の下方まで確実に導かれる。
また、本発明の帯状装身具の中留においては、
「案内部材が、挿通枠の内部に回転可能に取り付けられ、
一方のバンドが挿通枠に挿通されていない状態において、案内部材が係止部材の上部に当接する」ことが好ましい。
これにより、一方のバンドが挿通枠に挿通されていない状態においても、係止部材は案内部材によって覆われるので、外方からほとんど視認されない。よって、本発明における帯状装身具の中留は、高級感のある美観を呈する。
また、この場合、
「係止部材は、一方のバンドと当接する当接部を含み、
案内部材が、係止部材の当接部を覆うように、係止部材に当接する」ことが好ましい。
これにより、一方のバンドが挿通枠に挿通されていない状態においても、係止部材の当接部は案内部材によって覆われるので、使用者が誤って当接部に触れることがない。よって、係止部材の当接部が係止歯のような鋭利な突起を備えようとも、使用者の指が当接部との接触によって傷つくことがない。
また、本発明の帯状装身具の中留においては、
「案内部材が、折り畳み部の下板と挿通枠とを連結する連結ピンによって、挿通枠に回転可能に取り付けられる」ことが好ましい。
これにより、部品点数を増やすことのなく、かつ組み立て工数を増やすことのなく、案内部材は挿通枠に回転可能に取り付けられる。この場合、下板と、挿通枠と、案内部材とが、1本の連結ピンによって同軸に連結される。
以上、説明したごとく、本発明は下記の効果を奏する。
(1)本発明によれば、美観を長期にわたり維持でき、かつバンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具が提供される。
(2)本発明によれば、使用者の指を痛めることがない、バンドの長さを調整できる中留およびそれを備える帯状装身具が提供される。
(3)本発明によれば、操作が容易である、バンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具が提供される。
(4)本発明によれば、バンドを強固に保持できる、バンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具が提供される。
(5)本発明によれば、高級感のある外観を呈する、バンドの長さを調整できる中留、およびそれを備える帯状装身具が提供される。
以下、本発明の最良の実施形態について説明するが、本発明は、これらの実施形態により何ら限定されるものではない。
図1は本発明の実施例1による中留を示す斜視図、
図2はバンドの長さ調整装置を示す斜視図、
図3はバンドの長さ調整装置を下から見て示す分解斜視図、
図4は係止部材のみを外して下から見て示す斜視図である。
図1は本発明に係わる中留を示す。
この中留は、バンドの長さ調整装置20と折り畳み部21とを含む。
図2と図3に示されるように、長さ調整装置20は、挿通枠22を備える。挿通枠20は、天井壁22a、および天井壁22aの両縁よりバンドの幅方向に対向するように垂下
する両側壁27とを含む。よって、挿通枠22は、断面逆U字型を成す。
挿通枠22の内部の下方に係止部材23が取り付けられる。また挿通枠22の内部の上方に案内部材としての案内板24が取り付けられる。係止部材23と案内板24とは、上下方向に間隔をおいて挿通枠22に取り付けられる。
図4に示されるように、係止部材23は、長辺と短辺から成るL字型の板片として図示される。係止部材23は、長辺の操作部25と、操作部25の基部より直角に上方へ屈折した、短辺の係止部26とを含む。係止部26の上端縁には、バンドと当接する当接部として、鋸歯状係止歯26aが形成される。
係止部26の両端に、枢軸となる突起26bがバンドの幅方向に沿って突出する。この突起26bが、挿通枠22の側壁27に形成された円孔27aに挿入する。
よって、係止部材23が挿通枠22の内側に回動可能に支持される。係止部材23は、挿通枠22の天井壁22aと2つの側壁27に囲まれた内部に位置するので、係止部材22は、中留の上方からも、横からも視認されない。
連結ピン30が、挿通枠22、案内板24、および下板28を同軸に枢軸する。すなわち、挿通枠22は、三つ折れ中留の形態を成す折り畳み部21における下板28の一端に、連結ピン30によって、回転可能に連結される。この連結ピン30によって、案内板24の一端部が挿通枠22の内部に回転可能に連結される。
挿通枠22の天井壁22aと係止部材23とが、上下方向に沿って対向する。天井壁22aと係止部材23の間の上下方向に沿ったの隙間が、一方のバンド29が挿入される入口31として形成される。この入口31に、案内板24の他端部24aが位置するように、案内板24は挿通枠22の内側に配置される。
図3と図4に示されるように、挿通枠22は、側壁27よりバンド長手方向に沿って延びる2つの延長側壁部27bを備える。2つの延長側壁部27bは、下板28の下方に位置して、バンドの幅方向に沿って対向する。2つの延長側壁部27bそれぞれの下部が、内方に向けて直角に屈曲されて、バンドの幅方向に沿って対向する、一対の支持部32が形成される。一対の支持部32の間に、切欠部32aが形成される。支持部32は、下板28の下方に位置する。図6に示すように、係止部材23が挿通枠22に対して回転すると、係止部材23の操作部25は、支持部32と略同一平面に位置できる。
連結ピン30の下方、詳しくは連結ピン30によって挿通枠22と案内板24と下板28が連結された枢軸部と、支持部32との間の上下方向の隙間が、挿通枠22に挿通された一方のバンド29の出口31aとして図示される。
このため、案内板24の一端部は、出口31aの上方に位置するように挿通枠22に軸支され、案内板24の他端部24aは、入口31内を回動する。案内板24の他端部24aは、上方に回転すると、挿通枠22の天井壁22aに当接し、下方に回転すると、係止部材23に当接する。この入口31の範囲内で、案内板24の他端部24aは回動する。
図6に示すように、出口31aは入口31より下方に位置している。
挿通枠22に連結された折り畳み部21は、下板28、中板33、および表カバー37とを備える。
図1、図7、及び図8に示すように、他方のバンド35の一端が、ばね棒36によって、表カバー37の一端に、回動可能に取り付けられる。表カバー37の他端には、ピン38によって、中板33の一端が回動可能に連結される。中板の他端は、ピン40によって、下板28の一端に回動可能に連結される。下板28の他端は、前述のように、挿通枠22に回動可能に連結される。
折り畳み部21を折り畳んだ状態で保持する錠止手段を成す錠止装置34が、折り畳み部21に備えられる。
表カバー37は、天井壁の両縁より、バンドの幅方向に対向するように垂下する2つの側壁41を備える。この側壁41それぞれには、プッシュボタン45それぞれが挿入される細長い開口43が形成される。
表カバー37内には、開口43の外周に沿う断面形状を有するガイドハウジング44が配置される。ガイドハウジング44内に、一対のプッシュボタン45がバンドの幅方向に沿って摺動可能に挿入される。ガイドハウジング44内には、プッシュボタン45の間に設けられ、プッシュボタン45それぞれを表カバー37の外方に付勢する一対のスプリング46が設けられる。
両プッシュボタン45は、点対称の形状を成す。各プッシュボタン45は、表カバー37の開口43より突出する操作突起47と、表カバー37内に位置するL形のフック48とを有する。
ロックピン50が下板28の上面に突設される。ロックピン50は、下板28に取り付けられる軸部と、この軸部の開放端に形成される突出係合部50aとを含む。突出係合部50aは、軸部の径方向に沿って、軸部より外方にフランジ状に張り出す。
折り畳み部21を折り畳んで閉じた状態においては、このロックピン50が、中板33に貫通された開口52と、表カバー37に取り付けられたガイドハウジング44の下面を貫通する開口51とを通過する。
よって、各プッシュボタン45のフック48それぞれが、ガイドハウジング44内に突出したロックピン50の頂部の突出係合部50aに引っかかって係合する。すると、折り畳み部21が折り畳まれた状態で保持される。
この錠止状態において、各プッシュボタン45が、スプリング46の付勢に抗して、表カバー37内に向けて押されれば、各プッシュボタン45のフック48それぞれが、ロックピン50より離間する。よって、各プッシュボタン45とロックピン50の係合が解除されて、折り畳み部21は解錠される。すると、折り畳み部21は、再び拡開できるようになる。
このように、表カバー37に配置されたプッシュボタン装置と、下板28のロックピン50が、折り畳み部21の錠止装置を構成する。
次に本発明による装置の操作について説明する。
図8は、挿通枠22内に一方のバンド29が挿入される前の状態を示す側面図、
図9は一方のバンド29が挿入された後の状態を示す側面図である。
この図によれば、一方のバンド29を連結する前に、折り畳み部21は折り畳まれる。図8において、表カバー37が下板28に対して押し下げられることにより、プッシュボタン45のフック48がロックピン50の係合部50aを乗り越えて、係合部50aの下方に係止される。よって、折り畳み部21が錠止される。
図8に示されるように、バンド29が挿入される前は、係止部材23は自重により挿通枠22より下垂する。係止部材23の長辺の操作部25は、短辺の係止部26より重いため、係止部材23は、操作部25を下方にして挿通枠22より垂れ下がる。
この状態において、係止部材23の係止部26の先端は、挿通枠22の内側を向き、下板28と対向する。よって、係止部材23の鋸歯状係止歯26aが、使用者の指に接触する危険が削減される。
さらに、案内板24の他端部24aが、自重によって回転して、係止部材23の係止歯26aの上方に、係止歯26aを覆うように当接する。案内板24が係止部材23を遮蔽して、挿通枠22の入口31からも係止部材23は視認されない。よって、係止部材23によって、中留の美観が損なわれることはない。さらに、案内板24によって係止部材23
の係止歯26aは完全に覆われるので、係止歯26aが使用者の指に接触することはない。
使用者が、バンド29を挿通枠22に挿入するには、まず、案内板24を指で持ち上げ、入口31を開く。そして、図9に示されるように、バンド29を案内板24と係止部材23との間に挿入する。このとき、バンド29は支持部32によって支持される。
バンド29は、案内板24によって導かれて、挿通枠22の出口31aに達する。使用者は、案内板24による案内により、入口31から出口31aまでバンド29を容易に挿通できる。
さらに、バンド29は、出口31aを通過して、一対の支持部32の上方を通過する。バンド29は、支持部32に支持されて、確実に下板28の下方に導かれる。
この状態で、使用者は、たとえば自分の腕に腕時計を装着する。そして、使用者は、自分の腕の周長に合わせて、バンド29と挿通枠22の相対的な位置を決める。
次に、図10における矢印に示されるように、使用者は、係止部材23の操作部25を上方に回転させる。すると、係止部材23の係止歯26aが、バンド29の下面に圧接して喰い込む。よって、バンド29が挿通枠22に係止される。
係止部材23の係止歯26aが係合するためには、バンド29と35は、合成皮革、天然皮革、合成樹脂、あるいはゴムなどのように、可撓性のある素材や柔軟な素材から作成されることが好ましい。
この状態において、図示されるように、係止部材23の操作部25は、支持部32と略同一平面に位置する。よって、中留の装着感が滑らかになる。
腕時計の周長が手首に合わなければ、使用者は、上記の逆の手順に従って操作する。使用者は、係止部材23を回転させて、バンド29の下面より係止歯26aを離間させる。すると、再び挿通枠22に対してバンド29が移動できるようになる。よって、使用者は、バンド29を緩めて、長さを再調整した後、再びバンド29を挿通枠22に係止すればよい。
このように、係止歯26aの当接によって傷つくのは、バンド29の下面のみであるため、常に使用者の目に触れるバンドの上面の美観は損なわれない。
また、挿通枠22の内部に位置する係止部材23には、意図しない外力が負荷されにくい。よって、このような外力によって、係止部材23が不用意に回転して、一方のバンド29が挿通枠22から抜脱する危険が削減される。
図11は係止部材23を緩める操作を示す。
前述のように、バンド29を挿通枠22に対して緩めるために、係止部材23を回転させて、係止部材23の係止歯26aをバンド29の下面から離間させる。この係止部材23を回転させる操作に、ドライバーなどの先端の尖った工具55が用いられてもよい。
図に示されるように、係止部材23の操作部25における端縁に工具挿入溝54が形成される。この工具挿入溝54は、操作部25の外方に開口するように、操作部25を上下に貫通して切り欠けられる。工具挿入溝54は、隣接する支持部32の切欠部32aと連続するように向き合って位置する。
係止部材23を回転させて緩めるには、使用者は、工具55の先端を工具挿入溝54内に挿入する。このとき、工具55の先端を支持部32の切欠部32aを通せば、使用者は、工具55を工具挿入溝54内に容易に挿入できる。また、工具55との接触により、支持部55が傷つくことはない。
そして、バンド29の下面との接点を支点として工具55を持ち上げれば、係止部材23は突起26bを中心として、図11において反時計方向に回動する。すると、係止部材23の係止歯26aがバンド29より離れる。
この操作において、工具55によって、一方のバンド29の下面は傷つこうとも、常に使用者の目に触れる一方のバンド29の上面は決して傷つかない。また、使用者が誤って工具55を滑らせても、工具55は支持部32の切欠部32aに当接するので、工具55との接触により、支持部55が傷つくことはない。
図12は、実施例1の変形例を示す側面図で、案内板24が設けられていない。
この図によれば、挿通枠22にバンド29が挿通されていない状態において、係止部材23の長辺の操作部25は、挿通枠22の入口31を塞がないように挿通枠22にぶら下がる。よって、使用者は、入口31からバンド29を挿通枠22内に極めて容易に挿通させることができる。使用者は、従来の中留のように、係止部材23を触らなくともよいので、使用者の指が係止部材23の係止歯26aとの接触によって傷つくこともない。
図13は本発明の実施例2を示す。
図示される中留の案内板56は、実施例1における案内板24より、厚み方向、すなわち図面の上下方向に沿った厚さが厚く構成される。他の部分は実施例1と同じでそれと同一符号を付して説明を省略する。
案内板56が厚いので、挿通枠22におけるバンドが挿通される隙間、すなわち、案内板56と係止部材23との上下間の隙間や、案内板56と支持部32との上下間の隙間が、実施例1におけるそれらよりも狭い。これにより、この中留には、実施例1におけるバンド29より薄いバンド57が採用される。この案内板の厚みを変えることが、挿通枠に挿通されるバンドの厚み寸法を調整する調整手段を構成する。
この実施例では、図14と15が参照される。図14は実施例3による中留を示す切断側面図、図15はその中留の要部を示す斜視図である。
この中留においては、実施例1における係止部材23及び係止歯26aの構造が変更される。係止部材60の操作部61の基部は、断面瓢箪型に湾曲されて、筒部62と係止突起63が形成される。筒部62にはピン64が挿入固定される。ピン64の両端が、挿通枠22の側壁27の孔27aに挿入される。よって、係止部材60が挿通枠22の内側に回動可能に支持される。
一方、バンド65の下面には、係止突起63が係合する多数の挿入溝66が列設される。挿入溝66は、バンドの幅方向に沿って、バンド65の下面に凹設される。このようなバンド65は、合成樹脂やゴムなどで作成されることが好ましい。
その他の部材は、実施例1と同じであり、実施例1と同一符号が付される。
折り畳み部67には、実施例1に用いられたものとは異なる錠止装置が採用される。
折り畳み部67を折り畳んで閉じた状態において、表カバー68が連結される中板70の円筒部70aが、下板71から立ち上げられた係止爪72に引っかかる。これにより、折り畳み部67が折り畳んだ状態に保持される。中板70の円筒部70aと下板71の係止爪72との係合が、錠止装置を構成する。表カバー68を上方に引っ張り上げれば、円筒部70aが係止爪72から離間して、折り畳み部67が拡開する。
挿通枠22にバンド65を係止する操作は、実施例1と同じである。係止部材60を回転させれば、係止突起63が溝66に挿入されて係合する。使用者は、複数の挿入溝66の中から、自分の手首の周長に合った長さとなる溝を選んで、係止部材60に係合させる。よって、挿通枠22にバンド65が係止される。
本発明の実施例1による中留を示す斜視図である。 長さ調整装置の斜視図である。 バンドの長さ調整装置を下から見て示す分解斜視図である。 係止部材のみを外して下から見て示す斜視図である。 長さ調整装置を下から見た斜視図である。 中留の切断側面図である。 中留の切断平面図である。 中留の操作を示す切断側面図である。 中留の操作を示す切断側面図である。 中留の操作を示す切断側面図である。 係止部材の緩め操作を示す斜視図である。 実施例1の変形例を示す切断側面図である。 実施例2を示す切断側面図である。 実施例3を示す切断側面図である。 その斜視図である。 従来の中留を示す切断側面図である。 係止部材を示す斜視図である。
符号の説明
1 挿通枠
2 下板
3 中板
4 表カバー
5 折り畳み部
6 バンド
7 係止部材
8 ピン
10 当接部
11 係止歯
12 バンド
13 連結円筒部
14 係止爪
15 入口
16 出口
20 長さ調整装置
21 折り畳み部
22 挿通枠
22a 天井壁
23 係止部材
24 案内板
24a 他端部
25 操作部
26 係止部
26a 鋸歯状係止歯
26b 突起
27 側壁
27a 円孔
27b 側壁部
28 下板
29 バンド
30 ピン
31 入口
31a 出口
32 支持部
32a 切欠部
33 中板
34 錠止装置
35 バンド
36 ばね棒
37 表カバー
38 ピン
40 ピン
41 側壁
43 開口
44 ガイドハウジング
45 プッシュボタン
46 スプリング
47 操作突起
48 フック
50 ロックピン
50a 突出係合部
51 開口
52 開口
54 工具挿入溝
55 工具
56 案内板
57 バンド
60 係止部材
61 操作部
62 筒部
63 係止突起
64 ピン
65 バンド
66 挿入溝
67 折り畳み部
68 表カバー
70 中板
70a 円筒部
71 下板
72 係止爪

Claims (7)

  1. 一方のバンドが挿通される挿通枠と、
    この挿通枠に対して一方のバンドを係止する係止部材と、
    前記挿通枠と他方のバンドとの間に連結され、前記挿通枠に対して折り畳まれ、かつ拡開される折り畳み部と、
    この折り畳み部を折り畳んだ状態で保持する錠止手段と、
    を備える中留であって、
    前記挿通枠は、一方のバンドの開放端が挿入される入口と、前記一方のバンドの開放端が外方に送出される出口と、前記挿通枠の内部における入口と出口との間に配置される案内部材と、を含み、
    前記係止部材が前記一方のバンドの下方に位置して、前記一方のバンドの下面に当接して係合し、
    前記案内部材が、前記入口から前記出口へと通過する前記一方のバンドを前記挿通枠と前記折り畳み部との枢軸部に突き当たらないように案内する帯状装身具の中留。
  2. 請求項1に記載の帯状装身具の中留であって、
    前記挿通枠は、上部を覆う天井壁と、この天井壁から一方のバンドを挟んで対向するように垂下する2つの側壁とを備え、
    この挿通枠の内側に前記係止部材と前記案内部材が配置される帯状装身具の中留。
  3. 請求項1または2に記載の帯状装身具の中留であって、
    前記挿通枠の前記入口は前記出口より上方に位置し、
    前記挿通枠の前記出口は前記折り畳み部の下方に開口し、
    前記案内部材は、前記入口から前記出口に向かう方向に沿って、下方に向けて傾斜する面を有する部材である帯状装身具の中留。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の帯状装身具の中留であって、
    前記案内部材が、前記挿通枠の内部に回転可能に取り付けられ、
    前記一方のバンドが前記挿通枠に挿通されていない状態において、前記案内部材が前記係止部材の上部に当接する帯状装身具の中留。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の帯状装身具の中留であって、
    前記係止部材は、一方のバンドと当接する当接部を含み、
    前記案内部材が、前記係止部材の当接部を覆うように、前記係止部材に当接する帯状装身具の中留。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の帯状装身具の中留であって、
    前記案内部材が、前記折り畳み部の下板と前記挿通枠とを連結する連結ピンによって、挿通枠に回転可能に取り付けられる帯状装身具の中留。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の帯状装身具の中留であって、
    前記係止部材が前記挿通枠に回転可能に取り付けられ、
    前記挿通枠の入口が、前記挿通枠の天井板と係止部材との間の隙間であり、
    前記一方のバンドが前記挿通枠に挿通されていない状態において、前記係止部材は自重によって回転して、前記挿通枠の入口を塞がないように前記挿通枠にぶら下がる帯状装身具の中留。
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