以下、本発明の好適な実施の形態について、具体的な実施例を示して図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する各実施例の形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
以下の各実施例の説明では、留め具が連結されている状態で線状部材の一端部と他端部とを互いが離れる方向に引っ張ったときに、その引っ張られる力に沿った方向(言い換えると、上記引っ張られた線状部材に沿った方向)を、留め具の長さ方向及び前後方向とする。この場合、留め部材の長さ方向及び前後方向は、留め具の長さ方向及び前後方向に平行に沿う方向である。例えば本実施例1の場合、図1を符号(数字)が正しい向きで見たときに当該図1の紙面における左右方向が留め具の前後方向となる。本発明の留め部材が、例えば装身具の留め具を形成しない部分と分離可能に連結する場合、又は装身具以外の部材と分離可能に連結する場合において、留め部材の長さ方向及び前後方向は、本発明の留め部材と、その留め部材を直接連結させる側の部位とが、互いに離れる方向に引っ張られるときの引っ張り方向に沿う方向である。この場合、装身具において、又は装身具以外の部材において、留め部材を連結させる部位が被連結部となる。
また、前記長さ方向に直交する平面と、留め部材に設けた可動部の回転方向を含む平面との交線に沿った方向を、留め具の高さ方向及び上下方向とする。この場合、留め具を備えた装身具が予定される正しい姿勢で身に付けられたときに、上下方向の留め具の人肌に近付く向きを下方とし、留め具の人肌から離れる向きを上方とする。留め部材の高さ方向及び上下方向は、留め具の高さ方向及び上下方向に平行に沿う方向である。例えば本実施例1では前記図1の紙面における上下方向が留め具の上下方向となる。
更に、留め具の前記長さ方向と前記高さ方向とに直交する方向を、留め具の幅方向及び左右方向とする。この幅方向及び左右方向は、留め部材の可動部の回転軸に平行に沿う方向である。この場合、留め部材の幅方向及び左右方向は、留め具の幅方向及び左右方向に平行に沿う方向である。例えば本実施例1では前記図1の紙面における表裏方向が留め具の左右方向となる。
本明細書中において、側面視、留め部材の側面視、及び留め具の側面視という場合、特に断りのない限り、本発明に係る留め部材において可動部が閉じ位置にあるときの留め具の幅方向における側面から見た状態を表す。
図1及び図2は、本実施例1の留め具を模式的に示す側面図及び平面図である。図3は、その留め具の第1留め部材と第2留め部材が互いに分離した状態を示す斜視図である。図4は、第2留め部材を第1留め部材に仮保持した状態を示す斜視図である。
本実施例1では、装身具の代表的な例として、装身具がテニスブレスレットである場合について説明する。なお、本発明の装身具は、テニスブレスレットに限定されず、テニスブレスレット以外のものを含む。
本実施例1のテニスブレスレット1は、手首に装着される装身具である。このテニスブレスレット1は、ブレスレット本体部分となるチェーン状の線状部材5と、線状部材5の両端部に取り付けられる留め具11とを有する。この留め具11は、第1留め部材20と第2留め部材40とを有する。第1留め部材20と第2留め部材40とを連結することにより、テニスブレスレット1の全体を輪状に保持できる。本実施例1において、第1留め部材20が本発明に係る留め部材として適用される。
テニスブレスレット1の線状部材5は、複数のコマ部6と、隣り合う2つのコマ部6間を接続する連結部材7とを有するチェーン部材5である。連結部材7は、コマ部6に対して揺動可能に取り付けられている。各コマ部6は、略四角筒状又は略円筒状に形成されるコマ本体部と、コマ本体部の外面部に固定される図示しない宝石(例えば、ダイアモンド)とをそれぞれ有する。なお本実施例1のチェーン部材5は、本発明における線状部材の具体例の1つであり、本発明における線状部材は、その両端部に留め具の第1留め部材と第2留め部材とをそれぞれ取り付けることが可能であれば、紐部材等のチェーン部材以外の可撓性を備える部材であってもよい。
本実施例1の留め具11は金属により形成されている。この留め具11の第1留め部材20は、チェーン部材5の一端部5aに取り付けられる。第2留め部材40は、チェーン部材5の他端部5bに取り付けられる。第1留め部材20と第2留め部材40とは、互いに分離可能に連結する。
第1留め部材20は、前後方向に延びるベース部21と、ベース部21に対して連結軸部30によって回転可能に支持される可動部31(回転部とも言う)とを有する。この場合、ベース部21は、チェーン部材5に固定されて接続される。可動部31は、ベース部21に対してベース部21に接近及び離間する方向に回転する。この可動部31の回転により、第1留め部材20が開閉される。なお、ベース部21が延びるベース部21の前後方向は、第1留め部材20の長さ方向と平行である。
可動部31は、ベース部21に対し、第1留め部材20が閉鎖される閉じ位置と全開位置との間で、連結軸部30を中心に回転可能に保持されている。ここで、閉じ位置とは、可動部31の後述する可動側連結部35がベース部21の後述するベース側連結部26に当接する位置を言う。この閉じ位置は、可動部31の閉鎖方向側の回転限界位置となる。全開位置とは、可動部31の後述する操作部34がベース部21の後述する回転停止部24に当接して、第1留め部材20が最も大きく開いた状態となる位置を言う。全開位置は、可動部31の開き方向側の回転限界位置となる。
第1留め部材20のベース部21は、前後方向に延びるベース側本体部22と、ベース側本体部22から上方に延びるベース側支持部23と、ベース側本体部22のベース側支持部23と離れた位置からフック状又は円弧状に曲がって延びるベース側連結部26とを有する。更に、ベース部21は、ベース側本体部22からチェーン部材5に向けて前後方向に沿って延びる回転停止部24と、回転停止部24から更に延びる第1接続部25とを有する。なお、以下の記載において、フック状又は円弧状に曲がって延びる状態を、単に湾曲と表現する場合がある。
ベース側本体部22は、幅方向の寸法を一定の大きさにして形成されている。このベース側本体部22は、強度を適切に確保するために、予め定められた厚さを有する。ここで、ベース側本体部22の厚さは、ベース側本体部22の上面と下面間における上下方向の寸法を言う。
ベース側支持部23は、ベース側本体部22における前後方向の中央部よりもチェーン部材5側の領域に配されている。特に、ベース側支持部23は、ベース側本体部22における第1接続部25に近い側の端部を含む部分に設けられている。ここで、ベース側本体部22における第1接続部25に近い側の端部は、第2留め部材40から離れた側の端部となる。ベース側支持部23は、第1留め部材20の側面視(図1を参照)において円弧状を呈する上端部を有する。また、ベース側支持部23は、ベース側連結部26に向けて上下方向の寸法を漸減させる部分を有する。
ベース側支持部23の幅方向の寸法は、ベース側本体部22の幅方向の寸法と略同じである。ベース側支持部23における左右方向の両側の側面部に、可動部31に設けられた連結軸部30が挿入される軸受凹部がそれぞれ形成されている。可動部31の連結軸部30は、可動部31の回転軸部となる。このベース側支持部23の左右の軸受凹部と可動部31の連結軸部30との係合によって、可動部31がベース部21に回転可能に支持される。本発明において、ベース側支持部23は、第1留め部材20の側面視において、可動部31の連結軸部30が設けられている範囲を少なくとも含む部分である。特に本実施例1の場合、ベース側支持部23は、ベース側本体部22から上方に延びて、円弧状の上端部を有する部分を含む。
回転停止部24は、可動部31の一部を当接させて可動部31の回転範囲を規制する目的で、ベース側本体部22から連続的に延びている。この回転停止部24の厚さは、ベース側本体部22の厚さよりも薄い。回転停止部24の幅方向の寸法は、ベース側本体部22の幅方向の寸法よりも大きい。
回転停止部24には、収容凹部24aが、可動部31の操作部34の位置に対応して、幅方向の中央部に設けられている。収容凹部24aは、回転する可動部31の操作部34の一部を当接させて収容可能に形成されている。特に本実施例1では、収容凹部24aは、可動部31の回転範囲が約90°となる深さで形成されている。ここで、可動部31の回転範囲とは、上述した閉じ位置(図1を参照)から上述した全開位置(図3及び図4を参照)まで回転する範囲を言う。
第1接続部25は、チェーン部材5の一端部5aに固定されて接続される接続部分である。この第1接続部25は、矩形枠状の薄板片により形成されている。第1接続部25には、コマ部6のコマ本体部に設けられる内部空間の形状に略対応した開口窓部が設けられている。第1接続部25は、回転停止部24から連続的に形成されているとともに、回転停止部24と同じ厚さ及び同じ幅方向の寸法を有する。この第1接続部25に、チェーン部材5の一端部がろう付け等の溶着により固定されている。
なお本発明において、ベース部21の第1接続部25とチェーン部材5の一端部5aとを接続する方法は特に限定されるものではない。例えば接着剤を用いて第1接続部25とチェーン部材5とを固定してもよい。また本発明では、例えば第1接続部25を設けずにベース部を形成し、チェーン部材5の一端部5aを例えば回転停止部24又はベース側本体部22等のベース部21の一部に、溶着又は接着等によって直接固定することも可能である。この場合、ベース部21において、チェーン部材5の一端部が例えば溶着又は接着等によって固定される箇所が、ベース部21におけるチェーン部材5との接続部分となる。
ベース側連結部26は、ベース側本体部22のチェーン部材5から離れた側の端部から、上側の可動側連結部35に向けて、フック状又は円弧状に曲がって延びている。ベース側連結部26の先端部は、ベース側支持部23に近付く方向に延びている。ここで、ベース側連結部26の先端部は、ベース側連結部26におけるベース側本体部22に連結する側の端部とは反対側の端部を言う。ベース側連結部26の幅方向の寸法は、ベース側本体部22の幅方向の寸法と略同じである。
第1留め部材20の側面視(図1を参照)において、ベース側連結部26の内周側には、内側空間部27が形成されている。内側空間部27は、ベース側連結部26の内周部とベース側本体部22の内周部とによって囲まれている。本実施例1において、側面視におけるベース側連結部26の内周部は、ベース側連結部26の湾曲した内周面により形成される。内側空間部27は、第2留め部材40の後述する第2連結リング42の一部を収容可能である。
ベース側連結部26の先端と可動部31の後述する側方カバー部33との間には、第2留め部材40の一部が通過可能な挿抜開口部28が設けられる。この場合、挿抜開口部28は、第1留め部材20の側面視において、ベース側連結部26の先端から前後方向に平行な仮想的な直線を可動部31に向けて延ばしたときに、その仮想的な直線上でベース側連結部26と可動部31との間に形成される空間部分又は開口部分を言う。挿抜開口部28は、第1留め部材20を開いたときに上側に開放される。このとき、第1留め部材20の挿抜開口部28と第1留め部材20の外側の空間とが連通する。
挿抜開口部28の前後方向の大きさは、ベース部21に対する可動部31の回転角度によって変化する。また、可動部31の回転角度によっては、第1留め部材20の側面視において、ベース側連結部26の先端が可動部31の側方カバー部33によって覆われる。このとき、挿抜開口部28は一時的に確認できなくなる。
第1留め部材20の内側空間部27は、挿抜開口部28の前後方向に沿った開口位置よりも上下方向の下側に配される空間部である。この内側空間部27と挿抜開口部28とは互いに連通している。従って、第1留め部材20と第2留め部材40を連結する操作では、前後方向に沿った挿抜開口部28が上方に開放されることにより、挿抜開口部28は第2留め部材40の一部を内側空間部27に挿入するための挿入口又は入口となる。第1留め部材20と第2留め部材40を分離する操作では、挿抜開口部28は第2留め部材40の一部を内側空間部27から取り出すための取り出し口又は出口となる。
本実施例1のベース側連結部26の長さは、第1留め部材20の側面視で湾曲している円弧部分の中心角が135°以上となる大きさに設定されている。なお、円弧部分の中心角が180°以上となる大きさでベース側連結部26が形成されてもよい。このベース側連結部26は、可動部31の後述する側方カバー部33に対し、第1留め部材20が閉じた状態(図1を参照)において、側方カバー部33の位置に達しない長さで形成されている。この場合、図1の側面視において、ベース側連結部26の先端部は側方カバー部33の幅方向の内側に隠れない。
更に、ベース側連結部26は、図1の第1留め部材20が閉じた状態の側面視において、ベース側連結部26の先端と側方カバー部33の後述する規制端縁部33aとの間に隙間Gが形成される。この隙間Gの最小値は、第2留め部材40の後述する第2連結リング42を挿通させない大きさに設定される。隙間Gの最小値は、ベース側連結部26と側方カバー部33の規制端縁部33aとの間の最短距離を言う。すなわち、上記隙間Gは、第2留め部材40の第2連結リング42の太さよりも小さく形成される。本実施例1の場合、第2連結リング42の太さは、第2連結リング42の円周方向に直交する円形断面の直径を言う。
ベース側連結部26の外面部には、可動部31の後述する被係止突部35aを嵌入して可動部31をベース部21に係止する係止凹部26aが凹設されている。この場合、係止凹部26aは、中央部が最も窪んだ凹面状に形成されている(図1及び図3を参照)。この係止凹部26aの最も窪んだ中央部は、ベース側本体部22の下面の高さ位置とベース側連結部26の先端部の外周面の高さ位置との間の中間位置よりも下方に位置する。
第1留め部材20の可動部31は、図1に示した可動部31を閉じ位置に保持した状態で、前後方向に延びる可動側本体部32と、可動側本体部32からベース部21に向けて下方に延びる左右両側に設けられた側方カバー部33と、可動側本体部32からフック状又は円弧状に曲がって延びる可動側連結部35とを有する。更に、可動部31は、可動側本体部32から、斜め上側に曲がった方向に延びる操作部34(テール部とも言う)と、可動側連結部35から外側に突出する突片部36と、可動側連結部35の先端部に形成される被係止突部35aとを有する。
可動側本体部32は、図1の側面視において、ベース側連結部26の先端部の外周面に重なる位置から、ベース側支持部23の上方の位置まで前後方向に沿って形成されている。また、可動側本体部32は、ベース側本体部22から離れた位置に配される。可動側本体部32における幅方向の寸法は、ベース側本体部22における幅方向の寸法及びベース側連結部26における幅方向の寸法に対し、同じ大きさであるか、又は少し大きい。この可動側本体部32が、可動側連結部35とともにベース部21のベース側連結部26に当接することにより、第1留め部材20を閉鎖して、ベース部21の内側空間部27を外側の空間から遮断する。
左右両側の各側方カバー部33は、可動側本体部32の左右側面部に連結して可動側本体部32と一体的に形成されている。また、各側方カバー部33は、図1において可動側本体部32が配されている位置からベース側本体部22に向けて下方に垂れ下がる板状に形成されている。左右の側方カバー部33間には、ベース部21のベース側支持部23を挿入可能な間隙が設けられている。
側方カバー部33におけるチェーン部材5に近い側の部分は、第1留め部材20の側面視において、ベース部21のベース側支持部23と重なるとともに連結軸部30によってベース側支持部23に回転可能に連結される回転連結部として形成されている。すなわち、可動部31をベース部21に回転可能に連結する可動部31の回転連結部は、側方カバー部33の一部によって形成されている。
この場合、左右の側方カバー部33の互いに対向する内壁面には、円柱状の連結軸部30がベース側支持部23の軸受凹部に対応して突設されている。この場合、連結軸部30は、第1留め部材20の側面視において、側方カバー部33のベース側支持部23と重なる回転連結部の領域内に配される。
更に、左右の各側方カバー部33は、可動部31が閉じ位置に保持されたときに、ベース部21に形成される内側空間部27の一部を側方側から被覆する。この場合、側方カバー部33は、第1留め部材20の側面視において、ベース側本体部22の少なくとも一部に重なり合う大きさで形成されている。特に本実施例1の場合、側方カバー部33の直線状に延びる下端縁とベース側本体部22の直線状に延びる下端縁とが重なる大きさで形成されている。それにより、第1留め部材20を閉じたときの見栄えを良くして、留め具11の外観品質を高めることができる。
側方カバー部33は、可動部31を閉じ位置に保持したときに、第1留め部材20の側面視において、可動側本体部32の位置から下方に延びる規制端縁部33aを有する。規制端縁部33aは、前後方向において、側方カバー部33の可動側連結部35に近い側の端縁部である。この場合、第1留め部材20の側面視において、可動部31は、側方カバー部33の規制端縁部33a、可動側本体部32、及び可動側連結部35に囲まれる空間領域を有する。この可動部31の空間領域内で、側方カバー部33の規制端縁部33aと可動側本体部32の下端縁との間に形成される内周側の角度θ1は、90°以下である。この内周側の角度θ1の大きさを、見やすくするために、図1の仮想線(二点鎖線)で表わされた可動部31の部分に示す。つまり、内周側の角度θ1は、可動部31を側方から見たときに、前記空間領域において、可動側本体部32と規制端縁部33aとにより挟まれて形成される角度を言う。なお、この内周側の角度θ1は、90°未満であってもよく、89°以下であってもよい。第1留め部材20と第2留め部材40との連結が可能であれば、この内周側の角度θ1の下限値は特に限定されるものではない。
規制端縁部33aが側方カバー部33に設けられていることにより、側方カバー部33の下端部おける前後方向の寸法は、その上端部おける前後方向の寸法よりも大きくなる。特に本実施例1の側方カバー部33は、図1の第1留め部材20が閉じた状態において、ベース側連結部26に対し、前記隙間Gの最小値が第2留め部材40の第2連結リング42を挿通させない大きさで形成されている。
操作部34は、第1留め部材20の側面視において、可動側本体部32のチェーン部材5に近い側の端部から斜め上方に突出している。この操作部34により、例えば可動部31を閉じ位置から開く方向に回転させる際に、操作部34を指等で押し易くなる。このため、可動部31の回転操作をより容易に行うことができる。なお本発明において、操作部34の形状は特に限定されない。操作部34は、指等で可動部31を押圧可能であれば本実施例1と異なる形状で形成されていてもよい。例えば操作部34を幅方向に大きく形成することにより、操作部34を指等で押し易くすることが可能となる。
可動側連結部35は、可動側本体部32における操作部34側の端部とは反対側となる端部から、下側のベース側連結部26に向けてフック状又は円弧状に曲がって延びている。この可動側連結部35は、可動側連結部35の内周部がベース部21におけるベース側連結部26の少なくとも一部の外周部に当接可能である。なお、可動側連結部35は、可動側連結部35の内周部がベース部21のベース側連結部26の外周部に面接触可能に形成されていてもよい。可動側連結部35の内周部は、可動側連結部35の湾曲した内周面により形成される。この可動側連結部35の内周部は、第1留め部材20の側面視において、可動側連結部35の外周部よりも、可動部31の回転軸となる連結軸部30に近い側に配される。ベース側連結部26の外周部は、ベース側連結部26の内周面の反対側に配される湾曲した外周面により形成される。ベース側連結部26の内周部は、第1留め部材20の側面視において、ベース側連結部26の外周部よりも連結軸部30に近い側に配される。つまり、本発明において、可動側連結部35の内周部及びベース側連結部26の内周部は、ベース部21と可動部31とを連結させる連結軸部30に対し、近い側に配される部位である。また、可動側連結部35の外周部及びベース側連結部26の外周部は、この連結軸部30に対し、それぞれの内周部よりも遠い側に配される部位である。
可動側連結部35は、可動部31が閉じ位置にあるときに、ベース側連結部26と可動側連結部35とが、少なくとも前後方向に互いに重ねられて保持される。この場合、ベース側連結部26と可動側連結部35とが重ねられる前後方向は、連結状態の第1留め部材20及び第2留め部材40が互いに離れる方向に引っ張られたときに、第1留め部材20が第2留め部材40の第2連結リング42から力を受ける方向となる。
なお本発明において、可動側連結部35は、例えばベース側連結部26の曲がった形状が本実施例1と異なる場合には、そのベース側連結部26に対応して曲がる異なった形状に形成されていてもよい。なお、本実施例1の可動側連結部35は、例えば可動側本体部32とベース側連結部26との接触によって、可動側連結部35の内周部がベース部21のベース側連結部26の外周部に対して、小さな隙間を設けて対面する形状又は大きさに形成されていてもよい。また本発明では、ベース側連結部及び可動側連結部の相対的な大きさを変えて、例えば可動側連結部の外周部がベース側連結部の内周部に接触可能又は対面可能に第1留め部材が形成されていてもよい。
突片部36は、第1留め部材20の側面視において、可動側連結部35における曲がり始めの部分から外側へ向けて斜め上方に突出している。この場合、突片部36は、図1に示した第1留め部材20と第2留め部材40とが互いに連結した状態において、第2留め部材40の後述する第2接続本体部41aに対して比較的近い位置に配されている。特に本実施例1の突片部36は、前後方向に関し、ベース側連結部26の先端位置よりも第2留め部材40に近い側に配置されている。ここで、第2留め部材40に近い側は、ベース部21の第1接続部25から離れた側である。これにより、突片部36の設置に起因して留め具11の肌触りが悪くなることを抑制できる。
突片部36は、第2留め部材40に設けられた後述する挿通孔部42aに対して、ベース側連結部26及び可動側連結部35とともに挿通可能な大きさで形成されている。例えば本実施例1の場合、突片部36は、第1留め部材20の側面視において、突片部36の可動側連結部35からの突出長さが、可動側連結部35の厚さと同じ大きさに、又は可動側連結部35の厚さよりも短く形成されている。可動側連結部35の厚さは、可動側連結部35の内周面と外周面間の間隔を言う。
可動側連結部35の先端部には、可動側連結部35の内側に向けて膨出する被係止突部35aが形成されている。この被係止突部35aは、ベース側連結部26の係止凹部26aに挿入可能な大きさを有する。この可動側連結部35の被係止突部35aは、ベース側連結部26の係止凹部26aに挿入されて保持される。これによって、可動部31を閉じ位置に移動させたときに可動側連結部35をベース側連結部26に係止させて、可動部31を閉じ位置で維持できる。
被係止突部35aは、可動部31の回転方向に対して直交する方向に球面状に盛り上がって形成されている。可動部31の回転方向に対して直交する方向は、略円弧状の可動側連結部35に対して直交する方向である。すなわち、第1留め部材20の側面視では、被係止突部35aの膨出面が円弧状に曲がって形成されている。更に、被係止突部35aの膨出する曲面と可動側連結部35の先端面とは、第1留め部材20の側面視において、互いに滑らかに連続する曲面に形成されている。これにより、可動側連結部35の被係止突部35aを、ベース側連結部26の係止凹部26aに対し、スムーズに挿入及び抜出させることが可能である。
なお、本発明において、可動部31を閉じ位置で係止する係止部の形態及び手段は特に限定されるものではない。可動部31を閉じ位置で維持可能であれば、係止部をその他の形態で形成してもよい。例えば、側方カバー部33とベース側本体部22とに互いに係合する凹部及び凸部を形成すること等によって係止部を設けることも可能である。更に本発明では、可動側連結部35とベース側連結部26との間の摩擦力、又は可動側連結部35及びベース側連結部26の弾性力、等を利用して、可動側連結部35をベース側連結部26に係止させて可動部31を閉じ位置で維持してもよい。この場合、可動部31を閉じ位置で係止する係止手段は、ベース部21と可動部31間の摩擦力又はベース部21及び可動部31の少なくとも一方の弾性力となる。これにより、例えば本実施例1の被係止突部35a及び係止凹部26aを設けなくても可動部31を閉じ位置で係止できる。また、例えば可動側連結部35及びベース側連結部26の少なくとも一方に磁石を設けること等により、磁力を利用して可動側連結部35をベース側連結部26に係止してもよい。
本実施例1の第2留め部材40は、チェーン部材5の他端部が固定されて接続される第2接続部41と、第2接続部41と一体的に形成される第2連結リング42とを有する。第2接続部41は、チェーン部材5に対応する高さ寸法を備える第2接続本体部41aと、第2接続本体部41aから前後方向に延びる板状の第2接続片部41bとを有する。この場合、第2接続本体部41aは、コマ部6のコマ本体部よりも大きな高さ寸法を備える。第2接続片部41bには、コマ部6のコマ本体部に設けられる内部空間の形状に略対応した開口窓部が上下方向に貫通して形成されている。
第2留め部材40では、チェーン部材5の他端部が、第2接続本体部41aから離間した位置で、第2接続片部41bにろう付け等の溶着により固定されている。特に本実施例1の場合、第2接続部41の第2接続片部41bには、チェーン部材5の2つのコマ部6が固定されている。それによって、第2留め部材40を指で持ち易くすることができる。
なお本発明において、第2留め部材をチェーン部材の他端部に接続する方法は特に限定されるものではない。例えば第2留め部材とチェーン部材の他端部とは接着剤による接着により接続されていてもよい。また、第2留め部材とチェーン部材の他端部とを丸線リング(丸カンとも言う)によって接続されていてもよい。
第2連結リング42は、第2接続本体部41aにおける第2接続片部41bとは反対側の面の上下方向の略中央部から、前後方向に沿って延びている。この第2連結リング42には、上下方向に貫通する挿通孔部42aが設けられている。このため、第2連結リング42は、上方から見たときに(図2を参照)、円形の一部又は楕円形の一部を呈するリング状に形成されている。この第2連結リング42の一部が、第1留め部材20と第2留め部材40とが連結されたときに、第1留め部材20のベース側連結部26に引っ掛かって保持される。従って、本実施例1では、この第2連結リング42が第1留め部材20を連結させる被連結部である。
なお本実施例1の第2連結リング42は、円周方向に直交する断面が円形を呈する形状を有するが、これに限定されるものではない。本発明では、第2連結リング42が略四角等のその他の形状の断面を有していてもよい。また、第2連結リング42は、上方から見たときに、U字状の形状等の挿通孔部42aを形成可能なその他の形状を有していてもよい。
第2連結リング42の挿通孔部42aは、第1留め部材20と第2留め部材40を連結したときに、第1留め部材20のベース側連結部26と可動側連結部35の両方を同時に挿通可能な大きさで開口している。更に、挿通孔部42aは、第1留め部材20の突片部36を、ベース側連結部26及び可動側連結部35とともに挿通可能な大きさで開口している。これにより、第2留め部材40に連結した第1留め部材20が図1に二点鎖線の矢印で示した方向に移動可能になる。その結果、第1留め部材20と第2留め部材40を連結したときに、第2連結リング42を第1留め部材20に引っ掛かり難くすることができる。それにより、例えば第2連結リング42が第1留め部材20の突片部36に引っ掛かって可動部31を開く方向に回転させることを抑制できる。
なお、本発明において、第2留め部材の形態は特に限定されるものではない。第2留め部材は、第1留め部材20のベース側連結部26及び可動側連結部35を挿通可能な挿通孔部を有していれば、丸カン等のリング部のみによって形成されていてもよい。
本実施例1において、第1留め部材20と第2留め部材40とが互いに分離している状態から、第1留め部材20と第2留め部材40を連結する場合の操作について説明する。先ず、第1留め部材20の突片部36に指又は爪を引っ掛けて、又は、第1留め部材20の操作部34を指で上方から押圧して、第1留め部材20の可動部31をベース側本体部22から離れる方向に回転させる。この場合、可動部31がベース側本体部22から離れる方向は、図1において時計回り方向となる。これにより、第1留め部材20を開いて、前後方向に沿って配される挿抜開口部28の上側が開放される(図3を参照)。この可動部31を回転させる第1留め部材20の操作は、第1留め部材20に突片部36と操作部34とが設けられているため、突片部36及び操作部34のいずれか一方を用いることにより、片手で容易に行うことができる。このときに開放される挿抜開口部28は、第2連結リング42を内側空間部27に迎え入れる入口部となる。
次に、例えば手首に置かれた第1留め部材20又は第2留め部材40に対し、第2留め部材40又は第1留め部材20を近付けて、図4に二点鎖線で示す第2留め部材40の第2連結リング42を、広く開いている第1留め部材20の挿抜開口部28に挿入する。更に、第2連結リング42の挿通孔部42aにベース側連結部26を挿通させる。それとともに、第2連結リング42を挿抜開口部28から内側空間部27に移動させる。続いて、第2留め部材40の第2連結リング42を、第1留め部材20のベース側連結部26の内周部に接触させる。
これにより、第2留め部材40を、第1留め部材20のベース部21に引っ掛けて仮保持できる。この第2留め部材40を第1留め部材20に仮保持させる操作も、片手で容易に行うことができる。また本実施例1の場合、第2留め部材40の第2連結リング42が、平面視において円形の一部又は楕円形の一部を呈する形状を有する。このため、第2留め部材40を例えば前後方向に対して斜めに傾けた姿勢で保持しても、第1留め部材20に仮保持させる操作を容易に且つ円滑に行うことが可能である。
更に本実施例1では、第2留め部材40を第1留め部材20に仮保持する際に、第2連結リング42の挿通孔部42aに、比較的短いベース側連結部26を挿通させればよい。すなわち、本実施例1では、例えば図16に示した従来の留め具150における第1連結部151aを可動側本体部152bの全体に長く挿通させる操作は行わない。このため、第2連結リング42の挿通孔部42aにベース側連結部26を挿通させるときに、第2連結リング42とベース側連結部26との相対的な移動が妨げられ難くなる。従って、片手でも仮保持の操作を円滑に行うことができる。
また、第2留め部材40を、第1留め部材20に仮保持することにより(図4を参照)、第2留め部材40が第1留め部材20から外れ難くなる。更に、第1留め部材20及び第2留め部材40の両方が指で保持されていない場合でも、チェーン部材5の重さによって、第1留め部材20と第2留め部材40とが互いに離れる方向に引っ張られる。このため、第2留め部材40の仮保持状態を容易に且つ安定して維持できる。
第2留め部材40を仮保持した後、第1留め部材20の可動部31をベース側本体部22に近付ける方向に回転させる。それにより、可動部31の可動側連結部35をベース側連結部26に当接させる。この可動部31を回転させる第1留め部材20の操作も片手で容易に行うことができる。
また、可動側連結部35をベース側連結部26に当接させることにより、可動側連結部35が閉じ位置に配置される。それにより、可動部31の可動側本体部32が第1留め部材20の挿抜開口部28の上方側を塞いで第1留め部材20を閉鎖する。それと同時に、ベース側連結部26と可動側連結部35とを少なくとも前後方向に重ねることができる。これによって、第1留め部材20と第2留め部材40とが連結される。その結果、テニスブレスレット1が輪状に保持される。なお、上述した第1留め部材20と第2留め部材40とを連結させる一連の操作方法は一例に過ぎない。本発明において、第1留め部材20と第2留め部材40とを連結させる操作方法は特に限定されない。
このとき、第1留め部材20では、可動部31の可動側連結部35をベース側連結部26に当接させたことによって、可動側連結部35が閉じ位置よりもベース部21に近付くことを規制できる。また、可動側連結部35を第2留め部材40の第2連結リング42に設けた挿通孔部42aに上方から挿通できる。更に、可動部31の被係止突部35aを、ベース部21に設けた係止凹部26aに挿入して可動部31をベース部21に係止できる。
第2留め部材40の挿通孔部42a内に、ベース側連結部26だけでなく、可動側連結部35も挿通できることにより、第1留め部材20と第2留め部材40とをより確実に連結できる。更に、ベース側連結部26と可動側連結部35とが前後方向に重ねられているため、第1留め部材20と第2留め部材40とが互いに離れる方向に強く引っ張られてもベース側連結部26及び可動側連結部35に変形が生じ難い。このため、第1留め部材20と第2留め部材40とを安定して連結できる。しかも、可動部31がベース部21に係止されるため、第1留め部材20と第2留め部材40の連結状態を安定して維持できる。
更に本実施例1では、第1留め部材20と第2留め部材40の連結操作を行うときに、第1留め部材20の可動部31を必ず回転させる。これにより、留め具11の上面側と下面側の向きを連結操作時に容易に確認でき、又は無意識のうちに把握できる。その結果、テニスブレスレット1が転倒した状態で身に着けられることを生じ難くして、装飾具の正しい向きでの装着を促すことができる。
また第1留め部材20では、可動部31を閉じ位置に保持したときに、可動部31の側方カバー部33が内側空間部27を左右側方から被覆できる。更に、側方カバー部33に斜めの規制端縁部33aが設けられている。これにより、第1留め部材20の内側空間部27内で第2留め部材40の第2連結リング42が移動可能な領域を規制して狭めることができる。
しかも、第1留め部材20のベース側接触部と側方カバー部33の規制端縁部33aとの間に形成される隙間Gが、第2連結リング42を挿通させない大きさで形成されている。これにより、第1留め部材20と第2留め部材40の連結時に、第2留め部材40の第2連結リング42を第1留め部材20の内側空間部27内に安定して留めておくことができる。このため、第2連結リング42が可動側本体部32に直接接触することを防止できる。それによって、第2連結リング42が可動部31を開く方向に押圧することを抑制できる。
その上、本実施例1の留め具11では、連結されている第1留め部材20と第2留め部材40とが、チェーン部材5の重さによって互いに離れる方向に引っ張られる力を受ける。このため、第2連結リング42が第1留め部材のベース側連結部26に当接している状態が維持され易いという構造的な効果も得られる。その結果、例えば何かのはずみによって第2留め部材40の第2連結リング42が第1留め部材20の可動部31を開く方向に押圧して回転させる事態等を効果的に防止できる。従って、第1留め部材20と第2留め部材40とが勝手に分離することを生じ難くすることができる。
また仮に、可動部31が意図しない外力を受けて例えば図1に二点鎖線で示す位置まで回転した場合でも、可動部31は、チェーン部材5によって引っ張られることに起因して更に大きく開くことはない。更にこの場合、第1留め部材20の側方カバー部33とベース側連結部26の先端との間の最短距離が、第2連結リング42の太さよりも小さくなる。これにより、第2留め部材40の第2連結リング42が内側空間部27から抜け出すことを抑制し、その結果、留め具11を外れ難くすることが可能である。
次に、図1に示した第1留め部材20と第2留め部材40が連結されている状態から、第1留め部材20と第2留め部材40を分離する場合について説明する。先ず、第1留め部材20の可動部31をベース側本体部22から離れる方向に回転させる。それによって、第1留め部材20を開いて挿抜開口部28の上側を開放する。この可動部31を回転させる第1留め部材20の操作は片手で容易に行うことができる。
その後、第2留め部材40を指で保持し、第2連結リング42を第1留め部材20の内側空間部27から挿抜開口部28に移動させる。更に、第2連結リング42を、ベース部21と可動部31の間から第1留め部材20の外側に抜出させる。これにより、第1留め部材20と第2留め部材40を片手だけで容易に且つ円滑に分離させることができる。なお本発明において、第1留め部材20と第2留め部材40とを分離させる操作方法は特に限定されない。
本実施例1の第1留め部材20によれば、第1留め部材20を開く操作及び閉じる操作を片手だけで容易に行うことができる。それにより、留め具11における第1留め部材20と第2留め部材40を連結する操作及び分離する操作を片手だけで容易に且つ円滑に行うことができる。このため、本実施例1のテニスブレスレット1では、例えば従来の引き輪タイプの留め具及び挿し込み式タイプの留め具が用いられる場合に比べて、第1留め部材20の開閉時の操作性、及び留め具11の連結及び分離を行うときの一連の操作性を大幅に向上できる。従って、例えば従来の留め具の操作が苦手な人であっても、本実施例1の第1留め部材20を有するテニスブレスレット1であれば、留め具11の連結操作及び分離操作を軽快に行うことが可能となる。このため、テニスブレスレット1をより気軽に、また便利に使用できる。
更に、本実施例1の留め具11では、第1留め部材20と第2留め部材40を連結したときに(図1を参照)、ベース側連結部26の外周部に可動側連結部35の内周部が接触した状態で、ベース側連結部26及び可動側連結部35が第2留め部材40の挿通孔部42aに挿通されている。この場合、例えば第1留め部材20と第2留め部材40とが互いに離れる方向に引っ張られたときに、ベース側連結部26と可動側連結部35とが第2留め部材40の第2連結リング42から力を受ける前後方向に沿って重ねられている。このため、連結状態の留め具11は、より大きな引張力に耐えることが可能となる。従って、第1留め部材20と第2留め部材40の連結状態をより安定して維持することができる。
また本実施例1では、第1留め部材20のサイズを、第1留め部材20の操作性を低下させることなく、全体的に容易に変更できる。例えば、留め具11の第1留め部材20を長さ方向に長くすること又は短くすることが容易である。従って、例えば装身具のチェーン部材5がデザイン性を備えている場合、そのデザインに合わせて第1留め部材20のサイズを、又は第1留め部材20のサイズと第2留め部材40のサイズの両方を容易に調整できる。このため、チェーン部材5の連続するデザイン性を維持し易くして、装身具の美観を損なわれ難くすることができる。
図5及び図6は、本実施例2の留め具を模式的に示す側面図及び平面図である。また、図7及び図8は、図5に示したVII-VII線及びVIII-VIII線におけるそれぞれの断面図である。
本実施例2のチェーンブレスレット2は、線状部材となるチェーン部材8と、チェーン部材8の両端部に取り付けられる留め具12とを有する。チェーン部材8は、複数の金属製リング8aを連結して形成される小豆チェーンにより形成されている。
本実施例2の留め具12は金属により形成されている。この留め具12は、チェーン部材8の一端部に取り付けられる第1留め部材50と、チェーン部材8の他端部に取り付けられる第2留め部材70とを有する。第1留め部材50と第2留め部材70は、互いに分離可能に連結される。本実施例2の第1留め部材50が本発明に係る留め部材として適用される。
第1留め部材50及び第2留め部材70を形成する各部品(後述のねじりばね75を除く)は、金属板に打ち抜き加工又はプレス加工を行うことによって形成される。なお本発明において、第1留め部材50及び第2留め部材70の製造方法及び材質等は特に限定されず、目的に応じて選択できる。
第1留め部材50は、前後方向に延びるベース部51と、ベース部51に連結軸部60によって回転可能に支持される可動部61と、可動部61を付勢するねじりばね75とを有する。この場合、ベース部51がチェーン部材8に接続される。可動部61は、その回転により第1留め部材50を開閉させる。具体的には、可動部61は、ベース部51に対し、可動部61の可動側連結部65がベース部51のベース側連結部56に当接する閉じ位置から、可動部61の操作部64がベース部51の回転停止部54に当接する全開位置までの範囲で、幅方向に沿った連結軸部60を中心に回転可能である。連結軸部60は、ベース部51及び可動部61と別の円柱状の部材で形成されている。
ベース部51は、前後方向に延びるベース側本体部52と、ベース側本体部52における左右方向の両側の側縁部から上方に延びるベース側壁部59及びベース側支持部53と、ベース側本体部52のベース側支持部53と離れた位置からフック状又は円弧状に曲がって延びるベース側連結部56とを有する。更に、ベース部51は、ベース側本体部52からチェーン部材8に向けて前後方向に沿って延びる回転停止部54と、回転停止部54から更に延びる第1チェーン接続部55とを有する。この場合、ベース側本体部52の下面、回転停止部54の下面、及び第1チェーン接続部55の下面は、段差のない単一の平坦面を形成している。
ベース側本体部52は、前後方向に延びる薄板状に形成されている。また、ベース側本体部52における幅方向の寸法は、前後方向の全体に亘って一定である(図6を参照)。
左右のベース側壁部59は、ベース側本体部52の上面に、前後方向に沿って設けられている。左右のベース側壁部59間には空間部が形成されている。このため、ベース側本体部52及び左右のベース側壁部59における前後方向に直交する断面は、略U字状を呈する(図7を参照)。これにより、ベース部51の強度を適切に確保しながら、ベース部51の軽量化と材料コストの削減が可能となる。ここで、ベース側本体部52の上面及び下面は、上下方向に対向する面である。ベース側本体部52の上面は上方向側に向く面を表し、ベース側本体部52の下面は下方向側に向く面を表す。
左右の各ベース側壁部59は、その高さ寸法を一定にして前後方向に沿って連続的に形成される連続壁部59aと、ベース側連結部56側の端部に配されるとともにベース側連結部56に近付くにつれて高さ寸法を漸減させる傾斜壁部59bを有する。ここで、ベース側壁部59の高さ寸法は、ベース側本体部52の上面からベース側壁部59の上端面までの上下方向における寸法を言う。
実施例2の第1留め部材50において、連続壁部59aにおける高さ寸法は、閉じた状態の第1留め部材50におけるベース側本体部52の下面から可動部61の後述する可動側本体部62の上面までの高さ寸法の25%以上75%以下である。これにより、ベース部51の強度を効果的に高めることができる。この高さ寸法の関係は特に限定されず、例えば、40%以上60%以下でもよい。また、ベース側壁部59に傾斜壁部59bが配されていることにより、第2留め部材70の後述する第2連結部72をベース側連結部56の内周部に向けて案内し易くできる。
左右のベース側支持部53は、第1留め部材50の側面視において円弧状を呈する上端部を有する部分である。ベース側支持部53は、ベース側本体部52の前後方向における第1チェーン接続部55側の端部に、左右のベース側壁部59と平行に設けられている。この場合、ベース側本体部52及び左右のベース側支持部53における前後方向に直交する断面は、略U字状を呈する(図8を参照)。左右のベース側支持部53間には、ねじりばね75の後述するコイル部76が挿入される。
ベース側支持部53の高さ寸法は、ベース側壁部59における連続壁部59aの高さ寸法よりも大きい。ここで、ベース側支持部53の高さ寸法は、ベース側本体部52の上面から、側面視で円弧状を呈するベース側支持部53の上端部までの上下方向の寸法を言う。左右の各ベース側支持部53の厚さは、ベース側壁部59の厚さと略同じである。ベース側支持部53の厚さ及びベース側壁部59の厚さは、それぞれの内壁面と外壁面間の間隔を言う。左右両側のベース側支持部53には、左右方向に貫通する取付孔部が形成されている。左右の取付孔部に連結軸部60が挿入されて取り付けられる。
ベース部51の回転停止部54は、ベース側本体部52から前後方向に連続的に延びている。この回転停止部54に、図5に二点鎖線で示した可動部61の操作部64を当接させることにより、可動部61の開く方向への回転が規制される。なお、例えばねじりばね75のサイズが異なる場合、可動部61の回転を停止させる際に、操作部64を直接当接させず、回転停止部54と操作部64との間に、ねじりばね75の一部を挿入させることで、操作部64を回転停止部54に間接的に当接させてもよい。
この回転停止部54は、幅方向の寸法をベース側本体部52から離れるにつれて漸増させる漸増部と、漸増部から連続して延びる広幅部とを有する。広幅部における幅方向の寸法は、広幅部の前後方向の全体に亘って一定である。これにより、回転停止部54は、可動部61の操作部64を安定して当接させることができる。また、回転停止部54に、可動部61の後述する左右の側方カバー部63が接触することを防止できる。
第1チェーン接続部55は、回転停止部54から前後方向に連続的に且つ薄板状に延びている。この第1チェーン接続部55には、上下方向に貫通する接続孔部55aが穿設されている。接続孔部55aは、第1留め部材50の平面視において円形を呈する。この接続孔部55aに、チェーン部材8の一端部に配される金属製リング8aが挿通される。これにより、チェーン部材8と第1チェーン接続部55とが接続される。なお本発明において、第1チェーン接続部55の形態、及びチェーン部材8との接続手段は特に限定されない。
ベース側連結部56は、ベース側本体部52における第1チェーン接続部55に対して離れた側の端部から連続して形成されている。ベース側連結部56は、ベース側本体部52の端部から上側にフック状又は円弧状に曲がって形成されている。第1留め部材50の側面視において、ベース側連結部56の内周側に内側空間部57が形成されている。このベース側連結部56における厚さ及び幅方向の寸法は、ベース側本体部52の厚さ及び幅方向の寸法とそれぞれ略同じである。
ベース側連結部56の先端と可動部61の側方カバー部63との間には、第2留め部材70の第2連結部72が通過可能な挿抜開口部が設けられる。この挿抜開口部は、第1留め部材50の側面視において、ベース側連結部56の先端から前後方向に平行な仮想的な直線を側方カバー部63に向けて延ばしたときに、その仮想的な直線上でベース側連結部56と側方カバー部63との間に形成される空間部分又は開口部分を言う。第1留め部材50の側面視において、挿抜開口部における前後方向の大きさは、ベース部51に対する可動部61の回転角度によって変化する。
第1留め部材50の内側空間部57は、ベース側連結部56の内周側に設けられる。この内側空間部57は、挿抜開口部の前後方向に沿った開口位置よりも上下方向の下側に配される。内側空間部57と挿抜開口部とは互いに連通する。また、挿抜開口部は、第1留め部材50が開かれたとき、第2留め部材70の第2連結部72を挿入する挿入口として、又は第2連結部72を取り出す取り出し口として、上側に開放される。これにより、第1留め部材20の外側の空間と第1留め部材50の挿抜開口部とが連通する。
本実施例2の可動部61は、可動部61が閉じ位置に保持された状態で前後方向に延びる可動側本体部62と、可動側本体部62からベース部51に向けて延びる左右の側方カバー部63とを有する。可動側本体部62の前後方向における第1チェーン接続部55に近い側の端部には、可動側本体部62に対して斜め上側に曲がった方向に延びる操作部64が設けられている。可動側本体部62の前後方向における第1チェーン接続部55から離れた側の端部から、フック状又は円弧状に曲がる可動側連結部65が延びている。
可動側本体部62は、可動部61が閉じ位置に保持された状態でベース側本体部52と平行に配される板状の部材である。可動側本体部62の幅方向の寸法は、ベース側本体部52における幅方向の寸法よりも大きな一定の大きさである。
左右の側方カバー部63は、可動側本体部62の左右側縁部に設けられている。可動側本体部62及び左右の側方カバー部63における前後方向に直交する断面は、逆向きの略U字状を呈する。左右の側方カバー部63の互いに対向する内壁面間には、ベース部51のベース側本体部52、左右のベース側壁部59、及び左右のベース側支持部53を挿入可能な空間部が設けられている。この空間部の幅方向の間隔は、ベース部51の左右のベース側壁部59の外壁面間の間隔よりも大きい。
可動部61の側方カバー部63とベース部51のベース側壁部59との間には、可動部61とベース部51との接触を避けるための小さな間隙が設けられている。また、閉じた状態の第1留め部材50の側面視において、側方カバー部63の直線状の下端縁は、ベース側本体部52の下面の高さ位置と同じ位置に、又は当該下面の高さ位置よりも僅かに上側の位置に配される。これにより、可動部61でベース部51のベース側本体部52、左右のベース側壁部59、及び左右のベース側支持部53を外側から覆い隠せる。このため、第1留め部材50の見栄えを良くして、留め具12の外観品質を高めることができる。
左右の側方カバー部63は、閉じた状態の第1留め部材50の側面視において、左右のベース側支持部53と重なる領域を少なくとも含む。左右の側方カバー部63には、連結軸部60を取り付けるための取付孔部が形成されている。
可動部61の操作部64は、可動側本体部62の一端部から上側に折れ曲がって突出する突片状に形成されている。可動部61は、可動部61の閉じ位置から、操作部64がベース部51の回転停止部54に接触する開き方向の回転限界位置までの範囲で回転することが可能である。この場合、操作部64が回転停止部54に接触する回転限界位置が、第1留め部材50の全開位置である。可動部61が閉じ位置から全開位置まで回転する範囲が回転可能範囲θ2となる。操作部64は、図5に示す留め部材2において、回転可能範囲θ2が30°以上60°以下の範囲で設けられる。
なお本発明において、可動部61の回転可能範囲θ2は特に限定されない。例えば、回転可能範囲θ2の下限は、30°以上でもよく、40°以上でもよい。回転可能範囲θ2の上限は、60°以下でもよく、50°以下でもよい。回転可能範囲がこの範囲であると、可動部61の回転操作性がより向上し易くなる。また、留め具12の連結操作及び分離操作性がより向上し易くなる。
この操作部64により、ねじりばね75によって付勢されている可動部61をその付勢力に抗して回転させる際に、可動部61の回転操作が行い易くなる。また、操作部64をベース部51の回転停止部54に当接させることによって、可動部61を全開位置で安定して保持できる。
また、本実施例2の操作部64は、留め具12の外観品質を考慮して、可動側本体部62よりも幅方向の寸法を小さくして形成されている。なお本発明において、操作部64の形状及び大きさは特に限定されない。例えば操作部64を、扇形の形状に、ハート形の形状に又は星形の形状に形成してデザイン性を高めることが可能である。また、操作部64の幅方向の寸法を大きくして可動部61の操作性を高めることが可能である。
可動側連結部65は一定の厚さを有する。可動側連結部65の先端部は、幅方向の寸法を先端部に向けて漸減させる部分を含む。これにより、可動側連結部65が第2留め部材70の挿通孔部72aに挿入し易くなる。
可動側連結部65は、可動部61を閉じ位置に保持した状態において、第1留め部材50の全体における高さ寸法の半分となる高さ位置よりも下側まで延びている。この可動側連結部65は、ベース側本体部52の上面の高さ位置よりも下側まで延びてもよい。また、閉じ位置における第1留め部材50の側面視において、可動側連結部65の内周部の少なくとも一部は、ベース側連結部56の外周部に当接する。可動部61は、可動側連結部65をベース側連結部56に当接させた状態でも、連結軸部60に取り付けたねじりばね75によって、可動側連結部65がベース側連結部56に押し付けられる方向に付勢されている。
なお、本実施例2では、閉じ位置において、可動側連結部65の内周部がベース部51のベース側連結部56の外周部に当接するが、本発明はこれに限定されない。例えば閉じ位置において、可動側連結部65の内周部とベース側連結部56の外周部とを直接接触させず、これらの間に小さな隙間を設けて対面させてもよい。また、本発明の第1留め部材では、例えば可動側連結部の外周部をベース側連結部の内周部に接触又は対面させてもよい。
第1留め部材50に取り付けられるねじりばね75は、線材がコイル状に巻かれたコイル部76と、コイル部76の2つの端部からそれぞれ延びる2つのアーム部77とを有する(図9を参照)。このねじりばね75は、可動部61の回転軸となる連結軸部60に巻き付けられている。
本実施例2のねじりばね75は、金属線材をコイル状に巻き回して形成されている。例えばコイル部76の有効巻き数が1巻きであれば、コイル部76の幅方向のサイズを小さくできる。その結果、ねじりばね75を、ベース部51の左右のベース側壁部59間の限られたスペースに容易に収容できる。
ねじりばね75の側面視において、ねじりばね75における2つのアーム部77間には、アーム角度θ3が形成されている。第1留め部材50に取り付ける前のねじりばね75のアーム角度θ3は、ベース部51の回転停止部54と閉じ位置の可動部61の操作部64との間の角度よりも大きい。これにより、第1留め部材50を閉じた状態において、ねじりばね75が、可動部61を、可動側連結部65がベース部51のベース側連結部56に押し付けられる方向に安定して付勢できる。
なお、本発明において、ねじりばね75におけるコイル部76の有効巻き数は特に限定されない。左右のベース側壁部59間への収容性の観点、可動部61を付勢する付勢力の観点から、ねじりばね75の線径、及びねじりばね75のコイル部76の有効巻き数は、目的に応じて定めればよい。例えば、コイル部76の有効巻き数は1巻き以上であってもよく、2巻き以上であってもよい。コイル部76の有効巻き数は、10巻き以下であってもよく、5巻き以下であってもよい。また、可動部61を付勢する弾性部材は、本実施例2に示すねじりばね75に限定されるものではない。弾性部材は、ねじりばね以外にも、板バネ部材等のばね部材であってもよい。また、弾性部材は、目的とする形状を有する合成ゴム等を用いて可動部61を付勢してもよい。
ねじりばね75は、円柱状の連結軸部60に取り付けられる。連結軸部60は、ねじりばね75のコイル部76内に挿通される。連結軸部60の左右両端部には、フランジ部がそれぞれ設けられる。左右のフランジ部は、連結軸部60の左右両端部を幅方向の内側に向けて押圧することによって形成される。左右のフランジ部は、第1留め部材50の側面視において、例えば連結軸部60よりも大きな直径を有する円形を呈する。左右のフランジ部によって、連結軸部60が第1留め部材50から抜け落ちることを防止できる。
第2留め部材70は、薄板状に形成されている。この第2留め部材70は、チェーン部材8の他端部が連結されて接続される第2接続部71と、第2接続部71と一体的に形成される第2連結部72とを有する。第2接続部71と第2連結部72の境界部は、第2留め部材70における前後方向の中間部である。
第2留め部材70の第2接続部71には、上下方向に貫通する第2接続孔部71aが穿設されている。第2接続孔部71aは、第2留め部材70の平面視にて円形を呈する。第2接続孔部71aに、チェーン部材8の他端に配される金属製リング8aが挿通されることにより、チェーン部材8と第2接続部71とが接続される。
第2連結部72は、第1留め部材50を連結させる被連結部である。第2連結部72には、上下方向に貫通する挿通孔部72aが穿設されている。挿通孔部72aは、第2留め部材70の平面視にて円形を呈する。挿通孔部72aは、第1留め部材50のベース側連結部56と可動側連結部65とを同時に挿通可能な大きさで開口する。第2連結部72の一部は、第1留め部材50と第2留め部材70の連結時に第1留め部材50のベース側連結部56に引っ掛かって保持される。なお本発明において、第2連結部72に設ける挿通孔部72aの形状は特に限定されない。
本実施例2の第1留め部材50では、可動部61がねじりばね75によって付勢されているため、可動側連結部65の内周部とベース側連結部56の外周部とが互いに当接した状態となる可動部61の閉じ位置で保持される。
可動部61が閉じ位置にある第1留め部材50に対し、例えば可動部61の操作部64とベース部51とを上下方向から指で摘む。そして、操作部64を回転停止部54に接近する方向に指で押し込む。これにより、可動部61が、ねじりばね75の付勢力に抗して、連結軸部60を中心として図5における時計回り方向に容易に回転する。
また、回転中の可動部61の操作部64がベース部51の回転停止部54に当接することによって、可動部61の回転が停止する。それにより、可動部61が全開位置で保持され、第1留め部材50が開く(図10を参照)。
その後、全開位置で保持されている可動部61の操作部64から指を離すことによって、可動部61が、ねじりばね75の付勢力によって自動的に閉じ位置まで回転する。それによって、第1留め部材50が閉じる。
本実施例2の第1留め部材50によれば、第1留め部材50を開く操作及び閉じる操作を片手だけで容易に行うことができる。それにより、第1留め部材50と第2留め部材70の連結操作及び分離操作を片手だけで容易に且つ円滑に行うことができる。従って、第1留め部材50の開閉時の操作性、及び留め具12の連結及び分離を行うときの一連の操作性に優れている。
更に、第1留め部材50と第2留め部材70を連結したときに、ベース側連結部56の外周部に可動側連結部65の内周部が接触した状態で、ベース側連結部56及び可動側連結部65が第2留め部材70の挿通孔部72aに挿通される。このため、第1留め部材50と第2留め部材70の連結状態を安定して維持できる。また、例えば第1留め部材50と第2留め部材70とが互いに離れる方向に引っ張られた場合にも、より大きな引張力に耐えられる。
本実施例2では、ねじりばね75の付勢力を利用して、第1留め部材50が閉じている状態を維持できる。このため、留め具12の連結操作及び分離操作が繰り返し行われても、ベース部51のベース側連結部56及び可動部61の可動側連結部65に経時的な変形及び金属疲労を生じさせ難くできる。
また、ねじりばね75におけるアーム角度θ3が適切な範囲に設定されている。この場合、ねじりばね75の弾性変形範囲を適切な範囲に規制することによって、第1留め部材50の開閉操作が繰り返されても、第1留め部材50を長期に亘って安定して使用できる。例えば、ねじりばね75の弾性変形範囲は、第1留め部材50の操作部64とベース部51の回転停止部54との接触によって規制できる。これによって、ねじりばね75の破損がより生じ難くなる。
図11及び図12は、本実施例3の留め具を模式的に示す側面図及び平面図である。
本実施例3の留め具13は、テニスブレスレットにおいて、図示を省略したチェーン部材の両端部に取り付けられる。この留め具13は、チェーン部材の一端部に取り付けられる金属製の第1留め部材80と、チェーン部材の他端部に取り付けられる金属製の第2留め部材100とを有する。本実施例3の第1留め部材80が本発明に係る留め部材として適用される。
本実施例3の第1留め部材80は、実施例2の第1留め部材50に対して、各部位及び各部分の大きさ等が異なるものの、実施例2の第1留め部材50と実質的に同じ構造及び機能を備えて形成されている。以下に、本実施例3の第1留め部材80の主要な部位及び部分について説明する。
本実施例3の第1留め部材80は、チェーン部材に固定されるベース部81と、ベース部81に連結軸部60によって回転可能に支持される可動部91と、可動部91を付勢するねじりばね75とを有する。この場合、可動部91は、ベース部81に対し、ベース側連結部86に当接して第1留め部材80が閉じた状態となる閉じ位置から、可動部91がベース部81の回転停止部84に当接する全開位置までの範囲で回転可能に取り付けられている。第1留め部材80は、可動部91の回転により開閉される。連結軸部60は、ベース部81及び可動部91と別部材により形成されている。
ベース部81は、前後方向に延びる板状のベース側本体部82と、ベース側本体部82における左右方向の両側の側縁部から上方に延びるベース側壁部89及びベース側支持部83と、ベース側本体部82から上側にフック状又は円弧状に曲がって延びるベース側連結部86とを有する。更に、ベース部81は、ベース側本体部82から延びる回転停止部84と、回転停止部84から更に延びる第1チェーン接続部85とを有する。
ベース側本体部82の厚さは、前後方向の全体に亘って一定である。ベース側本体部82は、幅方向の寸法が一定となる広幅部と、ベース側連結部86に向けて幅方向の寸法を漸減させる漸減部とを有する(図12を参照)。左右両側のベース側壁部89は、ベース側本体部82の広幅部の左右側縁部に、前後方向に沿って設けられている。左右のベース側壁部89間には空間部が形成されている。
左右のベース側支持部83は、第1留め部材80の側面視において円弧状を呈する上端部を有する部分である。左右のベース側支持部83は、ベース側本体部82の前後方向における第1チェーン接続部85に近い側の端部に配される。また、左右のベース側支持部83は、左右のベース側壁部89とそれぞれ平行に且つ一体的に形成されている。左右の各ベース側支持部83には、連結軸部60を取り付ける取付孔部が形成されている。左右のベース側支持部83間にはねじりばね75のコイル部76が挿入される。
ベース部81の回転停止部84は、ベース側本体部82から前後方向に延びている。回転停止部84は、可動部91の操作部94を直接当接可能である。また、回転停止部84は、操作部94を直接当接させず、回転停止部84と操作部94との間に、ねじりばね75の一部を挿入させることで、操作部94を回転停止部54に間接的に当接させてもよい。回転停止部84は、幅方向の寸法をベース側本体部82から離れるにつれて漸増させる形状を有する。
第1チェーン接続部85は、回転停止部84から前後方向に連続的に延びている。この第1チェーン接続部85の先端部は、図示しないチェーン部材の一端部の形状に対応する形状に形成されている。第1チェーン接続部85がチェーン部材に固定されることにより、第1チェーン接続部85がチェーン部材に接続される。
ベース側連結部86は、ベース側本体部82における第1チェーン接続部85から離れた側の端部から上側にフック状又は円弧状に曲がって形成されている。このベース側連結部86の厚さは、ベース側本体部82と略同じである。ベース側連結部86の幅方向の寸法は、ベース側本体部82の前記漸減部から先端に向けて連続的に漸減させている。これにより、ベース側連結部86が、第2留め部材100の挿通孔部102aに挿入し易くなる。ベース側連結部86の内周側には内側空間部87が形成されている。
この内側空間部87は、第1留め部材80を開いたときにベース側連結部86の先端部から可動部91に向けて前後方向に沿って形成される挿抜開口部と連通する。ここで、本実施例3の挿抜開口部は、第1留め部材80の側面視において、ベース側連結部86の先端から前後方向に平行な仮想的な直線を側方カバー部93に向けて延ばしたときに、その仮想的な直線上でベース側連結部86と側方カバー部93との間に形成される空間部分又は開口部分を言う。
本実施例3の可動部91は、可動部91が閉じ位置に保持された状態で前後方向に延びる板状の可動側本体部92と、可動側本体部92からベース部81に向けて下方に延びる左右の側方カバー部93とを有する。可動側本体部82の前後方向における第1チェーン接続部85に近い側の端部には、可動側本体部82に対して斜め上側に曲がった方向に延びる操作部94が設けられている。可動側本体部92の前後方向における第1チェーン接続部85から離れた側の端部から、フック状又は円弧状に曲がる可動側連結部95が延びている。可動側本体部92は、幅方向の寸法がベース側本体部82よりも大きな一定の大きさとなる広幅部と、広幅部から可動側連結部95に向けて幅方向の寸法を漸減させる漸減部とを有する(図12を参照)。
左右の側方カバー部93は、可動側本体部92の広幅部の左右側縁部から下方に向けて延びている。左右の側方カバー部93間には空間部が設けられている。この空間部の幅方向の間隔は、ベース部81の左右のベース側壁部89の外壁面間の間隔よりも大きい。左右の側方カバー部93は、第1留め部材80の側面視において、ベース側支持部83と重なる領域を少なくとも含んで形成されている。このベース側支持部83と重なる領域には、連結軸部60を取り付けるための取付孔部が形成されている。
本実施例3の操作部94は、可動部91の回転可能範囲θ2が、30°以上60°以下の範囲で設けられている。可動部91の回転可能範囲θ2は特に限定されない。例えば、回転可能範囲θ2の下限は、30°以上でもよく、40°以上でもよい。回転可能範囲θ2の上限は、60°以下でもよく、50°以下でもよい。
可動側連結部95の厚さは一定である。可動側連結部95の幅方向の寸法は、可動側本体部92の漸減部から可動側連結部95の先端部に向けて連続的に漸減させている。この可動側連結部95は、第1留め部材80が閉じた状態において、ベース側本体部82の上面の高さ位置よりも下側まで延びている。
第1留め部材80の側面視において、可動側連結部95の内周部の少なくとも一部は、ベース側連結部86の外周部に当接する。可動部91は、可動側連結部95がベース側連結部86に当接した状態において、ねじりばね75によって、可動側連結部95がベース側連結部86に押し付けられる方向に付勢されている。
本実施例3のねじりばね75及び連結軸部60は、実施例2のねじりばね75及び連結軸部60と実質的に同様に形成されている。このため、本実施例3では、ねじりばね75及び連結軸部60を前述の実施例2と同じ符号で表すことによって、その詳しい説明を省略する。
本実施例3の第2留め部材100は、チェーン部材の他端部が固定されて連結される第2接続部101と、第2接続部101と一体的に形成される第2連結リング102とを有する。第2接続部101は、第1留め部材80に対応する高さ寸法を第2接続本体部101aと、第2接続本体部101aの下端部から前後方向の一方に向けて延びる第2接続片部101bとを有する。第2接続片部101bの先端部は、チェーン部材の他端部の形状に対応する形状を有する。
第2連結リング102には、上下方向に貫通する挿通孔部102aが設けられている。第2連結リング102の挿通孔部102aは、第1留め部材80のベース側連結部86と可動側連結部95の両方を同時に挿通可能な大きさで開口している。この第2連結リング102は、第1留め部材80を連結させる被連結部である。
本実施例3の第1留め部材80は、前述の実施例2の第1留め部材50に対して大きさ、各部位の寸法割合、部分的な形状等が異なるものの、実施例2の第1留め部材50と同様に、第1留め部材80を開く操作及び閉じる操作を片手だけで容易に行うことができる。それにより、留め具13の連結操作及び分離操作を片手だけで容易に且つ円滑に行うことができる。従って、本実施例3の第1留め部材80及び留め具13では、実施例2の第1留め部材50及び留め具12と同様の効果が得られる。すなわち、実施例2及び実施例3の留め具12,13は、例えば装身具の種類及びそのデザイン等に応じて、本質的な構造を変更することなく、様々な大きさ及び形状で形成することが可能である。
図13は、本実施例4の留め具を模式的に示す側面図である。図14及び図15は、図13に示したXIV-XIV線及びXV-XV線における各断面図である。
本実施例4の留め具14は、図示を省略したチェーン部材の一端部に接続される第1留め部材110と、チェーン部材の他端部に接続される第2留め部材130とを有する。本実施例4の第1留め部材110が本発明に係る留め部材として適用される。第2留め部材130は、図14及び図15に二点鎖線で示す金属製リングにより形成されている。本実施例4では、第2留め部材130が、第1留め部材110を連結させる被連結部を含む被連結部材として適用される。
本実施例4の第1留め部材110は、前後方向に延びるベース部111と、ベース部111に連結軸部60によって回転可能に支持される可動部121と、可動部121を付勢するねじりばね75とを有する。この場合、ベース部111がチェーン部材に接続される。可動部121は、その回転により第1留め部材110を開閉させる。ねじりばね75及び連結軸部60は、前述の実施例2の留め具12に用いられたねじりばね75及び連結軸部60と実質的に同様である。
ベース部111は、前後方向に延びる板状のベース側本体部112と、ベース側本体部112の左右側縁部から上方に延びる左右のベース側壁部119及び左右のベース側支持部113と、ベース側本体部112から上側にフック状又は円弧状に曲がって延びるベース側連結部116とを有する。更に、ベース部111は、ベース側本体部112から前後方向に延びる回転停止部114と、回転停止部114から更に前後方向に延びる第1チェーン接続部115と、回転停止部114及び第1チェーン接続部115に連続的に設けられる補強リブ118とを有する。
ベース側本体部112は、幅方向の寸法が一定となる広幅部112aと、広幅部112aからベース側連結部116に向けて幅方向の寸法を漸減させる漸減部112bと、幅方向の寸法が広幅部112aよりも小さい一定の大きさとなる細幅部112cとを有する(図14を参照)。これにより、ベース側本体部112を指で保持し易い適切な太さで形成できる。また、ベース側連結部116が第2留め部材130に挿通させ易くなる。
左右の各ベース側壁部119は、ベース側本体部112における広幅部112aと漸減部112bの一部とに前後方向に沿って直線的に設けられている。左右の各ベース側壁部119は、第1留め部材110の側面視において、ベース側本体部112の上面からベース側壁部119の上端面までの高さ寸法が連続して一定となる連続壁部と、ベース側連結部116に近付くにつれて高さ寸法を漸減させる傾斜壁部とを有する。ベース側壁部119の傾斜壁部は、ベース側壁部119の前後方向におけるベース側連結部116側の端部に配される。この傾斜壁部が設けられていることにより、第2留め部材130の一部をベース側連結部116の内周部に向けて案内し易くなる。
左右のベース側支持部113は、左右のベース側壁部119と平行に且つ一体的に形成されている。ベース側支持部113は、第1留め部材110の側面視において円弧状を呈する上端部を有する。また、左右のベース側支持部113間には、ねじりばね75のコイル部76が挿入される。
回転停止部114及び第1チェーン接続部115は、ベース側本体部112から同じ厚さで且つ連続的に前後方向に延びている。また、回転停止部114の幅方向の寸法及び第1チェーン接続部115の幅方向の寸法は、ベース側本体部112の幅方向の寸法と同じである。
第1チェーン接続部115には、チェーン部材の一部を挿通させるための接続孔部115aが形成されている。この場合、第1チェーン接続部115は、少なくとも接続孔部115aが形成されている前後方向の領域を含む部分である。
補強リブ118は、回転停止部114及び第1チェーン接続部115の左右側縁部に前後方向に沿って設けられる左右の第1リブ118aと、左右方向に沿って設けられる第2リブ118bとを有する。第2リブ118bは、前後方向において第1チェーン接続部115の回転停止部114とは反対側の端縁部に設けられる。第2リブ118bの左右方向の両端部は、左右の第1リブ118aに連結されている。なお、補強リブ118の形状はこれに限られない。例えば、左右の第1リブ118aは、第1留め部材110の側面視において、第1リブ118aの高さ寸法を第2リブ118bに向けて漸減させることによって上面が傾斜した形状で設けられてもよい。
左右の第1リブ118aは、左右のベース側支持部113にそれぞれ連結している。この場合、第1リブ118aのベース側支持部113に連結する連結端部では、回転停止部114の上面からの高さ寸法をベース側支持部113に向けて漸増させている。
ベース側連結部116は、ベース側本体部112の細幅部112cから上側にフック状又は円弧状に曲がって延びている。第1留め部材110の側面視において、ベース側連結部116の内周側には内側空間部117が形成される。ベース側連結部116の先端部分は、その先端に向けて漸次細く且つ薄くなる。
ベース側連結部116は、可動部121の側方カバー部123に対し、第1留め部材110が閉じた状態の側面視において、ベース側連結部116の先端と側方カバー部123との間に隙間Gが設けられる大きさで形成される。特にこの場合、ベース側連結部116は、上記隙間Gの最小値が、第2留め部材130を挿通させない大きさで形成されている。すなわち、上記隙間Gは、第2留め部材130の太さ(例えば、円形断面の直径)よりも小さい。
可動部121は、第1留め部材110が閉じた状態で、前後方向に延びる可動側本体部122と、可動側本体部122からベース部111に向けて下方に延びる左右の側方カバー部123とを有する。可動側本体部122の前後方向における第1チェーン接続部115に近い側の端部には、可動側本体部122から曲がって上方に延びる操作部124が設けられている。可動側本体部122の前後方向における第1チェーン接続部115から離れた側の端部から、下側にフック状又は円弧状に曲がる可動側連結部125が延びている。
可動側本体部122は、ベース側本体部112に対応した形状を備える。すなわち、可動側本体部122は、幅方向の寸法が一定となる広幅部と、広幅部からベース側連結部116に向けて幅方向の寸法を漸減させる漸減部と、幅方向の寸法が広幅部よりも小さい一定の大きさとなる細幅部とを有する。
左右の側方カバー部123は、可動側本体部122の側縁部から下方に湾曲し、更にベース側本体部112に向けて垂れ下がる(図13及び図15を参照)。また、側方カバー部123は、可動側本体部122における広幅部と漸減部の一部とに前後方向に沿って設けられている(図14を参照)。
左右の側方カバー部123は、第1留め部材110が閉じた状態の側面視において、左右のベース側支持部113と重なる領域を少なくとも含んで形成されている。また、左右の側方カバー部123には、連結軸部60を取り付けるための取付凹部が幅方向の内側にそれぞれ形成されている。
側方カバー部123は、第1留め部材110が閉じた状態の側面視において、可動側本体部122から上下方向に対して斜めに傾斜しながら延びる規制端縁部123aを有する。規制端縁部123aは、可動側本体部122から上下方向に対して湾曲していてもよい。規制端縁部123aは、前後方向において、側方カバー部123の可動側連結部125に近い端縁部である。可動部121における側方カバー部123、可動側本体部122、及び可動側連結部125に囲まれる空間領域内において、規制端縁部123aと可動側本体部122との間に形成される内周側の角度θ1は90°以下である。なお、実施例4における内周側の角度θ1の大きさを、図13において見やすくするために、側方カバー部123によって隠される可動側本体部122の下端縁と、規制端縁部123aを斜め上方に向けて仮想的に延ばした二点鎖線との間に形成される対頂角の位置で示す。この内周側の角度θ1は、実施例1で説明した内周側の角度θ1と同様の角度で設ければよい。例えば内周側の角度θ1は、90°未満であってもよく、89°以下であってもよい。この場合、側方カバー部123の下端部おける前後方向の寸法は、その上端部における前後方向の寸法よりも大きくなる。
第1留め部材110が閉じた状態の側面視において、ベース側連結部116の先端部と規制端縁部123aとの間に形成される隙間Gの最小値は、第2留め部材130の太さよりも小さくなる。これにより、第2留め部材130を第1留め部材110の内側空間部117内に安定して留めておくことができる。また、第2留め部材130が可動側本体部122に直接接触することを防止できる。それによって、第2連結リング102が可動部121を開く方向に押圧することを抑制できる。
本実施例4の操作部124は、第1留め部材110を閉じたときの側面視において、可動側本体部122の端部から上側に直交に近い方向に折れ曲がって延びる板状の縦壁部124aと、縦壁部124aの上端部から第1チェーン接続部115側に斜めに折れ曲がって延びる板状の傾斜部124bとを有する。
この縦壁部124aにより、操作部124を指で押して可動部121を回転させるときに、可動部121をベース部111に対して大きく回転させ、第1留め部材110を広く開くことができる。特に本実施例4の第1留め部材110は、例えば前述の実施例2及び実施例3の第1留め部材50,80よりも広く開くことができる。また、操作部124に傾斜部124bが設けられることにより、操作部124を指で押し易くなるため、第1留め部材110の操作性を高めることができる。
更に本実施例4において、操作部124の幅方向の寸法、特に傾斜部124bの幅方向の寸法は、ベース部111に設けた左右の第1リブ118aの内壁面間の間隔よりも小さい。これにより、操作部124が、ベース部111における左右の第1リブ118aと干渉することを防止できる。従って、可動部121をより大きな回転角度まで円滑に回転できる。可動部121の回転可能範囲は、例えば約90°であってもよい。可動部121の回転可能範囲とは、上述した閉じ位置から上述した全開位置まで回転する範囲を言う。
またこの場合、操作部124の幅方向の寸法、特に傾斜部124bの幅方向の寸法を、左右の第1リブ118aの内壁面間の間隔よりも小さい範囲内で、より大きく確保してもよい。それにより、操作部124を指で押すときに、操作部124と指との接触面積を大きく確保し易くなる。このため、可動部121の回転操作がより行い易くなる。
本発明において、操作部124の縦壁部124a及び傾斜部124bの形状は特に限定されない。本発明では、操作部124の全体を扇形、円形又はハート形等のデザインされた形状に形成してもよい。また、操作部124の傾斜部124bのみをハート形等の形状に形成してもよい。それにより、本実施例4の第1留め部材110及び留め具14に、可愛らしさ等の印象及び付加価値等を付与できる。
可動側連結部125は、一定の厚さを有する。可動側連結部125は、可動側本体部122の細幅部から下方に向けてフック状又は円弧状に曲がっている。可動側連結部125は、第1留め部材110を閉じた状態において、ベース側本体部112の上面の高さ位置よりも下側まで延びる。更に、可動側連結部125の内周部がベース側連結部116の外周部に当接する。この可動部121は、可動側連結部125をベース側連結部116に当接させた状態においても、ねじりばね75によって、可動側連結部125がベース側連結部116に押し付けられる方向に付勢されている。
本実施例4の第1留め部材110は、実施例2及び実施例3の第1留め部材50,80と同様に、第1留め部材110を開く操作及び閉じる操作を片手だけで容易に行うことができる。それにより、本実施例4の留め具14の連結操作及び分離操作を片手だけで容易に且つ円滑に行うことができる。従って、本実施例4でも実施例2及び実施例3と同様の効果が得られる。
なお本発明において、実施例1の第1留め部材20では、突片部36を設けなくてもよい。また、実施例1の第1留め部材20では、係止凹部26a及び被係止凸部35aを設けなくてもよい。この場合、連結軸部30に、実施例2~実施例4に示したばね部材(例えば、ねじりばね)を設けてもよい。
実施例4の第1留め部材110では、ベース側本体部112の形状として、実施例1に示すベース側本体部22から係止凹部26aが除かれた形状と実質的に同様の形状を採用してもよい。
実施例1~実施例4の第1留め部材20,50,80,110において、操作部34,64,94,124を当接させて可動部31,61,91,121の開き方向への回転を停止させる回転停止部24,54,84,114は設けられていなくてもよい。また、回転停止部24,54,84,114を設ける場合、操作部34,64,94,124を可動側本体部32,62,92,122の前後方向の範囲内に納まる形状で設けることが可能である。この場合、例えば実施例1では、可動部31の一部を当接させて収容可能な収容凹部24aを回転停止部24に設けなくてもよい。また、可動側本体部32,62,92,122の前後方向の範囲内に納まる形状で設ける場合、操作部34,64,94,124の左右方向の寸法(つまり操作部の幅)を自由に設定できる。
実施例1~実施例4の可動部31,61,91,121は、回転軸となる連結軸部30,60によって、ベース部21,51,81,111のベース側支持部23,53,83,113に回転可能に支持されている。なお、本発明の可動部31,61,91,121は、例えば連結軸部30,60によって、ベース部21,51,81,111のベース側本体部22,52,82,112に連結されて、回転可能に支持されていてもよい。つまり、ベース側支持部23,53,83,113は、ベース側本体部22,52,82,112に包含されてもよい。この場合、ベース側本体部22,52,82,112に連結軸部30,60が設けられていてもよい。
実施例1~実施例4の第1留め部材20,50,80,110では、可動部31,61,91,121の幅方向の寸法をベース部21,51,81,111よりも小さくすることによって、ベース部が可動部を下側から包み込んで収容してもよい。
実施例1~実施例4の第1留め部材20,50,80,110では、1つのベース側本体部22,52,82,112から1本のベース側連結部26,56,86、116が延びている。また、1つの可動側本体部32,62,92,122から1本の可動側連結部35,65,95,125が延びている。本発明では、実施例1~実施例4の第1留め部材20,50,80,110において、1つのベース側本体部22,52,82,112から複数本のベース側連結部26,56,86、116が分岐して延びていてもよい。また、1つの可動側本体部32,62,92,122から複数本の可動側連結部35,65,95,125が分岐して延びていてもよい。この場合、ベース側連結部の一部と可動側連結部の一部とがベース部の長さ方向に互いに重ねることができれば、ベース側連結部と可動側連結部とを同じ本数で形成してもよく、異なる本数で形成してもよい。
実施例1~実施例4の第1留め部材20,50,80,110において、可動側連結部35,65,95,125及びベース側連結部26,56,86,116は、フック状又は円弧状に曲がる形状を示している。本発明では、第1留め部材20,50,80,110の側面視において、可動側連結部35,65,95,125のフック状又は円弧状に曲がる形状は、例えば略L字状、略C字状、略U字状、又はこれらに近い形状等の形状であってもよい。ベース側連結部26,56,86,116のフック状又は円弧状に曲がる形状は、可動側連結部35,65,95,125の外周部又は内周部に対して接触又は対面させるために、可動側連結部35,65,95,125の形状に対応する略L字状、略C字状、略U字状、又はこれらに近い形状等の形状であってもよい。
更に本発明では、ベース側連結部26,56,86,116及び可動側連結部35,65,95,125が、第1留め部材20,50,80,110の側面視において、上方又は下方に曲がる形状に形成されていれば、フック状又は円弧状に滑らかに湾曲していなくてもよい。例えば、第1留め部材20,50,80,110の側面視において、ベース側連結部26,56,86,116は、その先端部が可動部31,61,91,121の可動側本体部32,62,92,122に近付く方向に曲げられた形状を有していれば、L字状、V字状、又はこれらに近い形状等の少なくとも一部が屈曲して角張る形態に形成されてもよい。可動側連結部35,65,95,125は、第1留め部材20,50,80,110の側面視において、その先端部がベース部21,51,81,111のベース側本体部22,52,82,112に近付く方向に曲げられた形状を有していれば、L字状、V字状、又はこれらに近い形状等の少なくとも一部が屈曲して角張る形態に形成されてもよい。
実施例1~実施例4では、留め具11,12,13,14が、テニスブレスレット又はチェーンブレスレットである場合について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明における留め部材又は留め具が用いられる装身具は、テニスブレスレット及びチェーンブレスレット以外のブレスレットであってもよい。
本発明における装身具には、ブレスレット以外にも、ネックレス、ペンダント、アンクレット等が含まれる。すなわち、本発明は、ブレスレットだけでなく、ネックレス、ペンダント、アンクレット等の装身具にも同様に適用できる。例えば装身具がネックレスである場合には、本発明における留め部材(第1留め部材)を、ネックレスのチェーン部材の両端部を分離可能に連結する留め具に用いてもよく、又は、例えばチェーン部材とペンダントトップをと分離可能に連結する連結部分に用いてもよい。
また本発明における留め部材(第1留め部材)は、ネックレスのチェーン部材の両端部の連結、又はチェーン部材とペンダントトップの連結等の装身具の少なくとも一部を分離可能に連結する留め部材に限定されない。本発明は、留め部材を、装身具とは別に形成されるその他の部材又は部品等の被連結部に分離可能に連結する場合に用いてもよい。例えばペンダントトップを、台座等の装身具以外の部材となる被連結部材に引っ掛けて飾る場合に、本発明の留め部材をペンダントトップに用いて被連結部材と連結させてもよい。この場合、台座等の被連結部材において、本発明の留め部材を直接連結させる部分が被連結部となる。すなわち、本発明の留め部材(第1留め部材)は、装身具の少なくとも一部を分離可能に連結する留め部材であってもよく、装身具を被連結部材に分離可能に連結する装身具用の留め部材であってもよい。なお、実施例1~実施例4で説明した第2留め部材40,70,100,130は、第1留め部材20,50,80,110を連結させる被連結部を含む被連結部材でもある。
本発明では、留め部材(第1留め部材)のサイズを、線状部材に沿って容易に長く又は短くすること、及び、太く又は細く形成することが可能である。それにより、装身具に採用できる留め具の選択肢を大きく広げることができる。このため、例えば従来の引き輪タイプの留め具に比べて、装身具のデザイン及び美しさ等をより効果的に表現できる。更に、本発明の留め部材によれば、複数の装身具同士を連結することも可能である。例えば、第1の装身具が備える第1の留め具と、第2の装身具が備える第2の留め具とを、第1及び第2の留め具の少なくとも一方に用いられる本発明の留め部材によって連結させてもよい。この場合でも、本発明の留め部材を適用すれば、装身具のデザイン性を損なうことがない。