JP4647162B2 - 通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の通信路あるいは複数の通信手順を利用可能な通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信装置の多機能化とともに、通信路や通信手順が多様化してきており、複数の通信路あるいは複数の通信手順を利用可能な通信装置が開発されている。例えば従来は公衆回線網(PSTN)を利用したファクシミリ通信しか行えなかったファクシミリ装置が、内線網(PBX)が利用可能になり、さらにLANインタフェースを備え、LANに接続された端末との間、あるいはさらにLANに接続されたイントラネットあるいはインターネットを利用した通信も可能になってきている。また通信手順についても、ファクシミリ通信時の各種のプロトコルの他、LANやインターネットなどを利用する際に用いられるSMTP、POP、HTTPなどといった様々な通信手順を利用した通信が可能になってきている。
【0003】
このような通信路や通信手順の多様化に伴って、相手先の通信装置を特定する際には、それぞれの通信路や通信手順に応じた識別情報を利用しなければならない。例えば公衆回線網を利用する場合には識別情報は電話番号であり、LANやインターネットを利用する場合にはIPアドレスが用いられ、特に電子メールで送信する場合には電子メールアドレス、通信手順としてHTTPを利用する場合にはURLが相手先の通信装置の識別情報となる。
【0004】
従来、複数の通信路や通信手順を利用可能な通信装置では、利用する通信路や通信手順を設定するとともに、設定した通信路や通信手順に応じて相手先の通信装置の識別情報を設定する必要があった。そのため、相手先の通信装置においてどのような通信路及び通信手順が利用可能であるかを知った上で、相手先の通信装置に合わせて通信路や通信手順の設定を行う必要があった。また、相手先の通信装置も複数の通信路や通信手順が利用可能な場合、同じ相手先であっても異なる識別情報を設定しなければならない場合が発生し、その設定は非常に煩雑であった。さらに、いずれの通信路あるいは通信手順を利用するかはユーザに任されており、通信を行うたびに通信路や通信手順を選択する操作を行わなければならず、煩雑であった。
【0005】
また、相手先の通信装置において利用できる通信路や通信手順に変更が生じたり、通信装置自体が更新あるいは新たに追加された場合、その変更事項が通知されなければ利用できないし、相手先においても他の通信装置のユーザに変更事項を通知しなければならない。そのため、通信装置に変更を生じた側も、また変更された通信装置と通信する側も、いずれも煩雑な作業を行わなければならず、またそれぞれの通信装置で変更などが生じるたびに作業を行わなければならなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ユーザが煩雑な操作を行う必要がなく、通信路や通信手順の違いや、それらの通信路及び通信手順に対応する識別情報の違いをユーザが意識することなく、また通信システム内の通信装置において通信路や通信手順、識別情報の変更が生じてもその変更をユーザが意識することなく、所望の通信装置との間で通信を行うことができる通信装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、通信装置において、複数の通信路及び通信手順により複数の通信装置と通信が可能な通信手段と、相手先の通信装置を特定する特定情報と各通信装置で利用可能な通信路及び通信手順と該通信路及び通信手順で用いる識別情報を含む複数の登録情報からなる管理テーブルと、前記登録情報の1つを利用した通信を制御する制御手段を有し、該制御手段は、指定された特定情報により1ないし複数の登録情報を取得して所定の優先順位に従っていずれかを選択し、選択された登録情報に従って通信路及び通信手順を選択し、識別情報を用いて相手先の通信装置あるいは中継する通信装置との通信を行う機能、及び、自機の登録情報を他の通信装置へ前記通信手段から送って管理テーブル内の登録情報の転送を依頼し、前記他の通信装置から転送されてきた複数の通信装置の登録情報を前記管理テーブルに登録する機能を有することを特徴とするものである。自機の登録情報を生成し、自機の登録情報を送って管理テーブル内の登録情報の転送を依頼するのは、例えば通信のための設定終了を検知したときやユーザからの指示に従って行うように構成することができる。
【0008】
また本発明は、通信装置において、複数の通信路及び通信手順により複数の通信装置と通信が可能な通信手段と、相手先の通信装置を特定する特定情報と各通信装置で利用可能な通信路及び通信手順と該通信路及び通信手順で用いる識別情報を含む複数の登録情報からなる管理テーブルと、前記登録情報の1つを利用した通信を制御する制御手段を有し、該制御手段は、指定された特定情報により1ないし複数の登録情報を取得して所定の優先順位に従っていずれかを選択し、選択された登録情報に従って通信路及び通信手順を選択し、識別情報を用いて相手先の通信装置あるいは中継する通信装置との通信を行う機能、及び、他の通信装置から前記登録情報とともに管理テーブル内の登録情報の転送依頼を受け取ったとき該登録情報により前記管理テーブルを更新し、更新後の管理テーブル内の複数の通信装置の登録情報を依頼元の通信装置へ転送する機能を有することを特徴とするものである。なお、依頼元の通信装置以外の他の通信装置に対して少なくとも更新した登録情報を通知するように構成することもできる。
【0009】
このように本発明の通信装置では、例えば新規に設置した場合等のように管理テーブルに登録情報が存在しない場合に、他の通信装置に自機の登録情報を送って管理テーブル内の登録情報の転送を依頼して、他の通信装置の管理テーブルに登録されている複数の通信装置の登録情報を受け取るとよい。これによって、初期の登録情報の管理テーブルへの設定作業からユーザを解放することができる。
通信時には、相手先の通信装置に対応する登録情報の1つを例えば所定の優先順位に従って選択して相手先の通信装置との通信を行う。このとき、ユーザは相手先の通信装置を指定するだけでよく、通信路や通信手順の設定及び通信路及び通信手順に対応する識別情報の設定をいちいち行ったり通信路や通信手順の選択を意識する必要がなく、自動的に通信路や通信手順、識別情報などが選択されて通信が行われる。
【0010】
また、例えば通信可能な通信路や通信手順に変更があった場合には、その通信路や通信手順の変更に伴う登録情報の変更を他の通信装置に通知される。この通知を受けた通信装置は、保持している管理テーブルを更新する。これによって、ある通信装置に変更が発生した場合に、変更が発生した通信装置のユーザがいちいち各通信装置のユーザに通知することなく、自動的に、あるいはユーザの指示に従って登録情報の通知が行われ、他の通信装置においても、ユーザが更新の作業を行うことなく、自動的に管理テーブルの更新が行われる。従って、通信装置に変更を生じた側も、また変更された通信装置と通信する側も、いずれも煩雑な作業から解放されることになる。さらに、このような更新の作業は、通信装置間の通知のみであるため迅速に行われ、通知された登録情報によって管理テーブルが自動更新されるので、ユーザは常に最新の状態で通信装置を利用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の通信装置の実施の一形態を含む通信システムの一例を示すブロック図である。図中、1〜6は通信装置、11は制御部、12は通信部、13は記憶部、14は管理テーブル、21は公衆回線網、22は内線網、23,24はLAN、25はインターネットである。この例では6台の通信装置を示し、また通信路として公衆回線網21、内線網22,LAN23,24とLAN23,24を利用したインターネット25を示している。もちろん、通信システム内の通信装置の台数は制限されない。また、通信路としてこれ以外の通信路が存在していてもよく、例えば有線の通信路の他、無線や光などの通信路が存在していてもよい。また各通信路を用いた場合の通信手順についてもいくつか存在する場合がある。
【0012】
図1に示す例では、通信装置1は公衆回線網21,内線網22,LAN23を経由した通信が可能であり、通信装置2は公衆回線網21、内線網22を経由した通信が可能であり、通信装置3は公衆回線網21、LAN23を経由した通信が可能である。また通信装置4はLAN24を経由した通信が可能であり、通信装置5は公衆回線網21,内線網22,LAN24を経由した通信が可能であり、通信装置6は公衆回線網21,LAN24を経由した通信が可能である。通信システム中の通信装置は、任意の通信路及び通信手順によって通信が可能である。
【0013】
通信装置1は、制御部11,通信部12,記憶部13などを含んで構成されている。なお、ここでは通信装置1についてのみ内部構成を示したが、他の通信装置2〜6についても同様の構成を含んで構成されているものとする。
【0014】
制御部11は、通信装置1の各部を制御し、通信部12を介して他の通信装置との送受信を実現する。図示しない操作部や通信装置1に接続された他の装置から相手先の通信装置が指定されると、指定された相手先の通信装置を特定する特定情報により後述する記憶部13中の管理テーブル14を検索し、1ないし複数の登録情報を取得する。複数の登録情報が存在する場合には、所定の優先順位によっていずれかを選択し、選択した登録情報中の通信路及び通信手順によって通信部12を介して相手先の通信装置と通信を行う。
【0015】
登録情報を選択する際の優先順位としては、例えば管理テーブル14への登録順や、優先順位の設定が行われていればその設定に従ったり、通信路あるいは通信手順の種類に順位付けを行っておくなどの優先順位で選択することができる。あるいは、各通信路及び通信手順を利用した場合の相手先の通信装置への通信コストを比較して低コストの登録情報を利用したり、相手先の受信能力に応じ、当該通信において最適な受信能力に関する情報が登録されている登録情報を選択するように構成してもよい。また、他の通信装置を中継して通信を行った方が有利な場合もあり、中継を利用するか否かも優先順位を決める際に考慮することもできる。さらに、上述のようにして選択した登録情報に従って通信を行った結果、通信を正常に終了させることができなかった場合には、次の順位の登録情報を選択して再度通信を行うように制御することができる。
【0016】
また、相手先の通信装置との間で直接的に通信できない場合には、この通信装置1から通信可能な通信装置であって、その通信装置が相手先の通信装置と通信可能な通信装置を中継可能な通信装置とし、その中継可能な通信装置に対して相手先の通信装置への中継を依頼して、中継可能な通信装置との間で通信を行い、間接的に相手先の通信装置との間で通信を行う。また逆に、他の通信装置から中継の依頼を受けて中継する機能を有していてもよい。
【0017】
さらに制御部11は、通信部12で通信に利用可能な通信路や通信手順、識別情報などに変更があった場合、その変更に応じた管理テーブル14の登録情報を生成し、生成した登録情報を管理テーブル14に登録されている各通信装置へ通信部12から通知する機能を有している。このとき、後述のように管理テーブル14に自機の登録情報を保持している場合には、その登録情報の更新も行う。また、通知するタイミングは、通信路や通信手順、識別情報などの変更が装置に登録された時点で行ったり、あるいは、ユーザからの指示に従って行うことができる。ユーザからの指示による登録情報の通知は、利用可能な通信路や通信手順、識別情報などに変更がなくても行うことが可能である。さらに、通知する情報は変更が生じたまたは追加された自機の登録情報に限らず、管理テーブル14の一部または全体を通知してもよい。登録情報の削除の場合には、削除の旨の通知を行えばよい。
【0018】
さらにまた制御部11は、ユーザからの指示に従い、ある通信装置に対して管理テーブル内の登録情報の転送を依頼する機能を付加しておくことができる。例えばユーザが管理テーブル14を更新したい場合や、通信装置の新設時、あるいは管理テーブル14のデータを消去してしまった場合などにおいては、多くの通信装置の登録情報を設定することは多大な労力を必要とする。このような場合に、ある通信装置に対して管理テーブル内の登録情報の転送を依頼し、登録情報の通知を受けて上述のように管理テーブル14を更新すればよい。これによってユーザの労力は軽減される。なお、新設時には、自機の登録情報の通知を各通信装置に対して行うことになる。
【0019】
通信部12は、1ないし複数の通信路を利用した通信が可能である。また、制御部11の制御に従い、同じ通信路であっても1ないし複数の通信手順によって通信を行うことが可能である。図1に示した例では、通信部12は通信路として公衆回線網21,内線網22,LAN23及びLAN23を介してインターネット25を利用した通信が可能である。またこれらの通信路を用いた種々の通信手順による通信が可能であり、例えば公衆回線網21を用いる場合であればG3やG4による通信が可能であったり、LAN23を用いる場合であれば情報を電子メールとして転送する際に用いられるSMTP及びPOP3のほか、HTTP、FTPなどを選択的に利用可能に構成されていてよい。
【0020】
記憶部13は、各種の情報を記憶する。特に管理テーブル14を記憶している。管理テーブル14は、通信装置を特定する特定情報と、その通信装置と通信する際に利用可能な通信路及び通信手順と、その通信路及び通信手順で用いる識別情報、その他種々の情報を組にした登録情報が多数登録されたテーブルである。登録情報は、同じ通信装置であっても通信路や通信手順が異なれば異なる登録情報として登録される。そのため、1台の通信装置について、複数の登録情報を登録可能である。
【0021】
図2は、管理テーブルの一例の説明図である。図2に示す管理テーブル14の例では、端末名と特定番号、通信路、識別情報、通信手順、中継可否、受信能力などの情報を組にしており、各行がそれぞれ登録情報である。端末名及び特定番号は、相手先の通信装置を特定するための特定情報であり、利用者が相手先を指定する場合にはこれらの端末名あるいは特定番号によって指定可能である。なお、端末名は自機内において、また特定番号はシステム内において、それぞれ重複しないように設定可能である。例えば、端末名は各通信装置の利用者が任意に設定できる相手先の通信装置の名称として利用することが可能である。また、通信装置間で登録情報の授受を行う際には、特定番号によって各通信装置を特定する。制御部11が登録情報の通知を行う際には、端末名などは通知の対象としないように構成してもよい。
【0022】
通信路は、公衆回線網21が利用可能であれば“PSTN”、内線網22が利用可能であれば“PBX”、LAN23あるいはLAN24が利用可能であれば“LAN”として示している。なお、LANが利用可能な場合、LANを経由してインターネットやイントラネットが利用可能であるものとしている。もちろん他の通信路が利用可能であれば、その利用可能な通信路がこのフィールドに明示される。
【0023】
また、各通信路において利用する通信手順を対応づけて示している。同じ通信路でも複数の通信手順を利用可能な場合があり、その場合には通信路と通信手順の対ごとに登録情報を設定する。例えば通信装置4においては、通信路としてLAN24が利用可能であるが、通信手順としてT.38と、T.37S及びT.37Fを利用可能である。もちろん、通信手順は図2に示されているものに限られるものではない。また、ある通信路で使用できる通信手順が1つに限られる場合には、通信手順は通信路の種類から特定できるので、明示的に設定しておく必要はない。
【0024】
識別情報は、各通信路あるいは各通信手順において通信装置を特定する際の情報である。例えば、公衆回線網21であれば電話番号であり、内線網22であれば内線番号、LAN23,24において電子メールを利用する場合には電子メールアドレス、HTTPを利用する場合にはURL、他のプロトコルでは例えばIPアドレスなどが識別情報となる。
【0025】
中継可否の情報は、他の通信装置への転送機能を有しているか否かを示すものである。例えば相手先の通信装置と直接通信できない場合に、自装置と通信可能であり、かつ、相手先の通信装置と通信可能な通信装置に中継を依頼し、実質的に相手先の通信装置との間で通信を行うことができる。しかし、自装置と通信可能であり、かつ、相手先の通信装置と通信可能であっても、中継機能を有していなければ中継を依頼することができない。従って、中継を依頼する前にこの中継可否のフィールドを参照して、中継機能を有していることを確認してから中継を依頼することができる。
【0026】
受信能力としては、ここでは解像度、最大記録紙サイズ、符号化方式、カラー記録の可否などの情報を有している。例えば通信路として公衆回線網21を用い、通信手順としてT.30を用いる場合には、通信手順中で能力を確認し合うので、相手先の能力を通信の時点で確認し、その範囲内で最大限の能力により通信を行うことができる。しかし、例えば通信路としてLAN23,24やインターネット25を利用し、通信手順としてSMTP等を利用する場合、相手先の能力については通信時に知ることができない。このような場合に、この受信能力のフィールドを参照することによって通信路、通信手順ごとに相手先の能力を知ることができる。これによって、相手先の能力を最大限に活かした通信が可能になり、通信により交換される情報の品質劣化をなくし、あるいは最小限にとどめることができる。なお、受信能力としてどのような情報を保持するかは任意である。また、ここでは各登録情報毎に受信能力を保持するものとしているが、例えば管理テーブルとは別に、各通信装置とその通信装置の能力を対応づけた能力テーブルを記憶部13に格納しておくことも可能である。
【0027】
図2に示した管理テーブルの構成は一例であって、他の種々の情報を付加したり、あるいは不要なフィールドを適宜削除してもよい。例えば端末名を設けずに常に特定番号により通信装置を特定するように構成してもよいし、中継を依頼しないシステム構成であれば中継可否のフィールドは不要である。逆に中継を行う通信装置については明示的に指示してもよい。また、すべての通信路及び通信手順を利用する場合において通信中に能力交換を行うことができれば受信能力のフィールドは不要である。
【0028】
次に、本発明の通信装置の実施の一形態を含む通信システムにおける動作の一例について説明する。相手先の通信装置との通信を行う際には、まず、指示された通信装置に対応する管理テーブル14中の登録情報の一つを所定の優先順位に従って選択する。このとき、相手先の通信装置と直接通信を行うことができない場合がある。このような場合には他の通信装置を中継して通信を行うとよい。また、優先順位によっては、相手先の通信装置と直接通信するよりも他の通信装置を中継して通信を行うことが選択される場合もある。例えばLANやインターネットを利用した通信を行うことができない通信装置で同報通信を行う場合には、LANを通じて通信可能な通信装置に中継を依頼すると電子メールによる同報機能を利用できるため効率よく配信を行うことができる。このように他の通信装置に中継を依頼する場合には、中継を行う通信装置に対応する管理テーブル14中の登録情報の一つを選択する。そして、選択された登録情報に従って通信路及び通信手順を選択し、識別情報を用いて相手先の通信装置あるいは中継する通信装置との通信を行う。
【0029】
このように、本発明では通信路や通信手順の選択は自動的に行われる。従って、相手先の通信装置が複数の通信路や通信手順を有している場合でも、利用者は通信路や通信手順の選択及びそれに伴う電話番号やアドレスなどの識別情報の設定をいちいち行う必要がない。また、他の通信装置を中継する場合でも、中継を行う旨を自動的に選択し、中継する通信装置の選択や通信路及び通信手順等の選択も自動的に行われるため、このような場合でも利用者はきわめて容易に相手先との通信を行うことができる。
【0030】
なお、最初に選択した通信路及び通信手順により通信が失敗した場合には、次の優先順位の登録情報を選択し直して通信を行うことができる。この場合、通信路や通信手順を変更するほか、直接通信から中継通信に切り替えたり、あるいはその逆を行ったり、または中継先を変更するなどといったことが発生する場合もある。これらの切り換えについても自動的に行うことができる。
【0031】
図3は、本発明の通信装置の実施の一形態を含む通信システムにおいて登録情報変更時の動作の一例の説明図である。ここでは、通信装置4において内線網22を利用した通信が可能になった場合を想定している。このような場合、従来は通信装置4と通信を行う通信装置1〜3,5,6に対して、それぞれ、内線網22を利用した通信が可能になった旨と内線番号などを例えば文書などで通知していた。しかし本発明では、通信装置4は、内線網22を利用する場合の通信手順や内線番号、受信能力などの情報とともに登録情報を生成する。例えば図3(B)に示したような登録情報を生成することができる。なお、管理テーブルに自機の登録情報が登録されている場合には、生成した登録情報によって通信装置4内の管理テーブルを更新する。この場合には新たな登録情報が追加されることになる。
【0032】
通常は、通信路や通信手順、識別情報、能力などに変更が生じた場合、装置に対して各種の設定を行うことになり、これに基づいて上述のように登録情報を生成することになる。登録情報の生成は、このような設定の変更が行われた時点で、変更を検出して自動的に行うことができる。あるいは、ユーザからの指示によって行うことができる。
【0033】
そして、少なくとも生成した登録情報を他の通信装置1〜3、5,6に対して配信する。登録情報の配信は、管理テーブルに登録されている登録情報を利用して行う。このとき、各通信装置1〜3,5,6に対して順次配信するほか、同報通信を利用して配信することができる。いずれの配信の場合も、上述のような通常の通信時と同様に登録情報の一つを選択し、選択した登録情報に従って通信を行えばよい。例えば通信装置1,3,5,6に対しては電子メールを利用した同報通信を利用することができる。また通信装置2に対しては、例えば内線網22などを利用して個別に通信を行い、少なくとも新たに生成した登録情報を配信すればよい。もちろん、配信方法はこの例に限られるものではなく、例えば他の通信装置を中継して配信するなど、種々の配信方法を利用可能である。
【0034】
また、通信路の追加に限らず、登録情報として登録されている各種のデータ、例えば通信路、通信手順、識別情報、受信能力など、いずれの情報の変更や追加、削除などについて同様にして新たな登録情報の配信を行う。配信する情報は、新たな登録情報のみに限られるものではなく、例えば1台の通信装置に関するすべての登録情報を配信対象としたり、管理テーブル全体を配信対象としてもよい。
【0035】
配信する登録情報のフォーマットは、例えばバイナリ形式で配信するほか、例えばXMLなどの構造化文書形式など、種々のフォーマットにて配信することができる。
【0036】
上述のようにして登録情報の配信を受け取った側の通信装置では、受け取った登録情報によって管理テーブルを更新する。上述のように通信装置4において内線網22を利用した通信が可能になった場合には、各通信装置1〜3,5,6においては通信装置4に対応する登録情報として、受け取った登録情報を管理テーブルに追加する。これによって、通信装置4における通信路の追加は、他のすべての通信装置1〜3,5,6に伝えられ、すべての通信装置において管理テーブルは同一の内容に変更されることになる。このとき、通信装置1〜3,5,6のユーザは、通信装置4に対する登録情報の変更操作などを行う必要がなく、管理テーブルは自動的に最新の登録情報に更新される。従って、各通信装置のユーザは、他の通信装置における通信路や通信手順、識別情報などの変更を関知せずに、常に最新の登録情報を用いて通信を行うことができる。
【0037】
図4は、新規に通信装置が通信システムに追加される場合の動作の一例の説明図、図5は、新たに生成される登録情報の一例の説明図である。図中、7は通信装置、26はLANである。従来、新規に通信装置を導入したり、通信装置を交換する場合、相手先の通信装置に関する各種の情報は最初から設定し直さなければならなかった。また、例えば故障などによってメモリがクリアされ、管理テーブルの登録情報を喪失してしまった場合も同様であった。しかし本発明では、通信システム内の既知の通信装置に対して管理テーブル内の登録情報の転送を依頼する機能を付加しておくことができる。また、そのような依頼を受け、管理テーブル内の登録情報を、依頼元へ転送する機能を付加しておくことができる。このような機能を利用すると、その時点で最新の管理テーブルを自動的に構成することが可能である。
【0038】
図4に示す例では、新規に通信装置7が通信システムに追加される場合を示している。通信装置7は、通信装置1〜6と同様の管理テーブルに関する各種の機能を有している。通信装置7は、LAN26に接続され、インターネット24を経由して他の通信装置1〜6と通信を行うことが可能である。
【0039】
このように通信装置7が追加された場合、通信装置7において通信のための各種の設定が行われた後、設定終了を検知して、あるいはユーザからの指示を受けて、自機の登録情報を生成する。生成した登録情報の一例を図5に示している。そして、生成した登録情報を通信システム内の既知の通信装置へ送り、管理テーブル内の登録情報の転送を依頼する(▲1▼)。この例では通信装置6に対して管理テーブル内の登録情報の転送を依頼するものとして図示している。
【0040】
管理テーブル内の登録情報の転送を依頼された通信装置6では、受け取った通信装置7からの登録情報によって保持している管理テーブルを更新する。そして、更新後の管理テーブル内の登録情報を、依頼元の通信装置7へ転送する(▲2▼)。通信装置7は、転送されてきた登録情報を管理テーブルに登録すればよい。これによって、新設された通信装置7では、他の通信装置1〜6に対する登録情報の入力などを行わずに、管理テーブルを構築して利用することができる。しかも、受け取る登録情報は、上述のように常に更新されているので、最新の登録情報管理テーブルに登録して利用することができる。
【0041】
さらに、通信装置7に対する登録情報を、他の通信装置1〜5に対しても通知する。この例では、通信装置7から管理テーブル内の登録情報の転送を依頼された通信装置6が他の通信装置1〜5に対して通知する(▲3▼)ものとして図示している。この場合、他の通信装置1〜5に対しては、通信装置7の登録情報のみを通知したり、あるいは管理テーブル内の登録情報全体または一部を通知してもよい。
【0042】
あるいは、通信装置6から管理テーブル内の登録情報の転送を受けた通信装置7が、受け取った登録情報に従って各通信装置1〜5に対して自機の登録情報あるいは自機の登録情報を含む管理テーブル内の登録情報全体または一部を配信するように構成してもよい。
【0043】
通知を受け取った通信装置では、受け取った登録情報によって管理テーブルをそれぞれ更新すればよい。このようにして、新規に通信装置が追加された場合でも、その追加された通信装置の登録情報が通信システム内のすべての通信装置に伝達され、管理テーブルを常に最新の状態に保つことができる。従って、いずれの通信装置のユーザも、登録あるいは変更の操作を行うことなく、常に最新の登録情報を利用して通信を行うことができる。なお、新規に通信装置が追加されて相手先として指定可能になったこと自体は、当該新規に追加された通信装置との通信が必要なユーザに対して何らかの方法によって通知される必要がある。もちろん、各通信装置において登録情報の変更を例えばプリントアウトしたり表示するなどしてユーザへ伝えるように構成してもよい。
【0044】
なお、通信装置の交換の場合には、登録情報の削除と、上述のような新規追加の処理を行えばよい。また、例えば新規に通信装置を導入した場合には、例えば登録情報を選択する際の優先順位に関する各種の情報などについても必要となる。これらの情報についても、通信システム内のある通信装置に対して転送を要求し、受け取るように構成してもよい。これによって、優先順位に関する条件設定などの各種の設定入力の労力を軽減することができる。もちろんこのほかの各種の情報についても、互いに要求に応じて転送し、共有し合うことが可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、管理テーブルに各通信装置において利用可能な通信路及び通信手順、識別情報などを登録情報として保持しているので、各通信装置のユーザは、相手先の通信装置を指定するだけで、自動的に通信路及び通信手順が選択され、通信が行われるため、簡易に相手先の通信装置と通信を行うことができる。また、利用可能な通信路及び通信手順、識別情報などに変更が生じた場合でも、変更された登録情報が速やかに他の通信装置へ通知され、他の通信装置が保持している管理テーブルが更新される。従って、各通信装置のユーザは、そのような変更に対応して煩雑な操作を行う必要はなく、常に最新の管理テーブル内の登録情報を利用して通信を行うことができる。さらに、新規に通信装置を導入する場合でも、管理テーブルの登録情報の転送を受けるとともに新規に導入した通信装置の登録情報を配信することによって、通信システム内のすべての通信装置の管理テーブルが自動的に更新される。従って新規に導入した通信装置においても登録情報の入力設定などの手間がかからず、また他の通信装置においても自動的に新規の通信装置の登録情報を登録して利用可能とすることができる。このように、本発明によれば、通信装置の利便性を格段に向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通信装置の実施の一形態を含む通信システムの一例を示すブロック図である。
【図2】管理テーブルの一例の説明図である。
【図3】本発明の通信装置の実施の一形態を含む通信システムにおいて登録情報変更時の動作の一例の説明図である。
【図4】新規に通信装置が通信システムに追加される場合の動作の一例の説明図である。
【図5】新たに生成される登録情報の一例の説明図である。
【符号の説明】
1〜7…通信装置、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、14…管理テーブル、21…公衆回線網、22…内線網、23,24,26…LAN、25…インターネット。

Claims (5)

  1. 複数の通信路及び通信手順により複数の通信装置と通信が可能な通信手段と、相手先の通信装置を特定する特定情報と各通信装置で利用可能な通信路及び通信手順と該通信路及び通信手順で用いる識別情報を含む複数の登録情報からなる管理テーブルと、前記登録情報の1つを利用した通信を制御する制御手段を有し、該制御手段は、指定された特定情報により1ないし複数の登録情報を取得して所定の優先順位に従っていずれかを選択し、選択された登録情報に従って通信路及び通信手順を選択し、識別情報を用いて相手先の通信装置あるいは中継する通信装置との通信を行う機能、及び、自機の登録情報を他の通信装置へ前記通信手段から送って管理テーブル内の登録情報の転送を依頼し、前記他の通信装置から転送されてきた複数の通信装置の登録情報を前記管理テーブルに登録する機能を有することを特徴とする通信装置。
  2. 前記制御手段は、通信のための設定終了を検知して自機の登録情報を生成し、他の通信装置へ自機の登録情報を送ることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記制御手段は、ユーザからの指示に従って自機の登録情報を生成し、他の通信装置へ自機の登録情報を送ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。
  4. 複数の通信路及び通信手順により複数の通信装置と通信が可能な通信手段と、相手先の通信装置を特定する特定情報と各通信装置で利用可能な通信路及び通信手順と該通信路及び通信手順で用いる識別情報を含む複数の登録情報からなる管理テーブルと、前記登録情報の1つを利用した通信を制御する制御手段を有し、該制御手段は、指定された特定情報により1ないし複数の登録情報を取得して所定の優先順位に従っていずれかを選択し、選択された登録情報に従って通信路及び通信手順を選択し、識別情報を用いて相手先の通信装置あるいは中継する通信装置との通信を行う機能、及び、他の通信装置から前記登録情報とともに管理テーブル内の登録情報の転送依頼を受け取ったとき該登録情報により前記管理テーブルを更新し、更新後の管理テーブル内の複数の通信装置の登録情報を依頼元の通信装置へ転送する機能を有することを特徴とする通信装置。
  5. 前記制御手段は、依頼元の通信装置以外の他の通信装置に対して少なくとも更新した登録情報を通知することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
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