JP4646457B2 - 感圧性接着シートの製造方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状,テープ状あるいはフィルム状などの支持体上に塗工された光重合性組成物層に光を照射することによって、その光重合性組成物層を光重合させて感圧性接着剤層を得る感圧性接着シートの製造方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フィルム状などの支持体の上に光重合性組成物層を適宜の厚さに塗エし、塗工後の光重合性組成物層を光照射により重合させて、感圧性粘着剤層を形成する感圧性接着シートの製造方法が知られている。
【0003】
この方法では、光照射雰囲気中に存在する酸素によって重合阻害が起こる事から、例えば、特開平3−285975号、特開平3−285976号、特開平3−285974号などの各公報に開示されているように、不活性ガス雰囲気中で光照射したり、支持体に光透過性フィルムを貼り合わせて空気を遮断した状態で光照射するなどの種々の工夫が施されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかしながら、不活性ガスを光重合室に流入し空気を置換して、不活性ガス雰囲気中で光重合させると、光重合性組成物中のモノマーの一部が蒸発するので、この蒸発したモノマーが光重合室を汚染し、ひどい場合には光照射部のガラスに付着して光照度が低下するために重合不良が発生するという問題点がある。
【0005】
また、支持体に光透過性フィルムを貼り合わせた状態で光照射を行う手法によれば、上記のような問題は生じないが、光透過性フィルムを支持体上の光重合性組成物層から容易に引き剥がすために、光透過性フィルムにシリコーン樹脂を塗るなどの離型処理を施す必要があるのでコストが嵩むとともに、離型処理によって汚染が発生するおそれもある。
【0006】
さらに、重合反応に伴う熱などにより光重合性組成物層の表面からモノマーの一部が蒸発するので、沸点の異なる2種類以上のモノマーの混合物を光重合性組成物層として用いた場合、モノマー間で蒸発量に偏りが出る結果、モノマーの組成比が変化して粘着特性が低下するという問題もある。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑み、モノマーの蒸発による光照射部の汚染や照度低下を防止することができるとともに、離型処理が不要であり、しかも、モノマーの蒸発自体も抑えることができる感圧性接着シートの製造方法およびその装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために次のような構成を採る。
すなわち、請求項1に記載の発明は、支持体の表面上に塗布された光重合性組成物層に光照射部からの光を照射することによって、その光重合性組成物層を光重合させて感圧性接着剤層を得る感圧性接着シートの製造方法において、前記支持体の光重合性組成物層と前記光照射部との間に介在させた光透過性フィルムを、前記光重合性組成物層に対して非接触で移動させながら、この光透過性フィルムと光重合性組成物層との間に不活性ガスを供給するようにして、前記光透過性フィルムを透過した光を光重合性組成物層に照射するとともに、前記光を照射する過程で前記光重合性組成物層を冷却することを特徴とする。
【0009】
(作用・効果)請求項1に記載の発明によれば、支持体の光重合性組成物層と光照射部との間に設けられた光透過性フィルムに蒸発したモノマーが付着し光照射部の光透過窓への付着が防止される。さらに、この光透過性フィルムを移動させているので、光透過性フィルムの光透過箇所はモノマーが未付着である部分となるように順次移行していくことになり、光透過窓へのモノマーの付着に起因する光照射部の汚染や光照度の低下を防止でき、結果、光照度の低下による光重合性組成物層の光重合不良を防止することができる。また、光透過性フィルムは支持体の光重合性組成物層に非接触となっているので、光透過性フィルムに対する離型処理を不要にすることもできる。さらに、光透過性フィルムを透過した光を光重合性組成物層に照射する過程で、光重合性組成物層を冷却しているので、光重合性組成物層からのモノマーの蒸発を抑制することができる。
【0010】
本発明において、光を光重合性組成物層に照射する過程で光重合性組成物層を冷却する手法は特に限定されないが、例えば、冷却用液体を支持体に吹き付けて光重合性組成物層を冷却する手法(請求項2に記載の発明)、冷却用ガスを支持体に吹き付けて光重合性組成物層を冷却する手法(請求項3に記載の発明)、冷媒を循環させた冷却プレートを支持体に接触させて光重合性組成物層を冷却する手法(請求項4に記載の発明)、冷媒を循環させた冷却ロールを支持体に接触させて光重合性組成物層を冷却する手法(請求項5に記載の発明)、冷却ユニットで冷却された冷却コンベアを支持体に接触させて光重合性組成物層を冷却する手法(請求項6に記載の発明)、光透過性フィルムと光重合性組成物層との間に冷却した不活性ガスを供給して光重合性組成物層を冷却する手法(請求項7に記載の発明)などは好適に用いることができる。
【0011】
さらに、請求項8に記載の発明は、支持体の表面上に塗布された光重合性組成物層に光照射部からの光を照射することによって、その光重合性組成物層を光重合させて感圧性接着剤層を得る感圧性接着シートの製造装置において、前記支持体の光重合性組成物層と前記光照射部との間に介在させた光透過性フィルムを、前記光重合性組成物層に対して非接触で移動させる移動手段と、前記光透過性フィルムと光重合性組成物層との間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、前記光重合性組成物層に光を照射する際に、光重合性組成物層を冷却する冷却手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
(作用・効果)請求項8に記載の発明によれば、支持体の表面上に設けられた光重合性組成物層と、この光重合性組成物層に光を照射するための光照射部との間に光重合性組成物層に対して非接触に介在する光透過性フィルムが移動手段によって移動される。不活性ガス供給手段は、光透過性フィルムと光重合性組成物層との間に不活性ガスを供給する。光照射部からの光は、光透過性フィルムを介して支持体の光重合性組成物層に照射され、その光重合性組成物層が光重合して感圧性接着剤層を得る。支持体の光重合性組成物層と光照射部との間に設けられた光透過性フィルムに蒸発したモノマーが付着し光照射部の光透過窓への付着が防止される。さらに、この光透過性フィルムを移動させているので、光透過性フィルムの光透過箇所はモノマーが未付着である部分となるように順次移行していくことになり、光透過窓へのモノマーの付着に起因する光照射部からの光照度の低下が防止され、光照度の低下による光重合性組成物層の光重合不良が防止される。また、光透過性フィルムは支持体の光重合性組成物層に非接触となっているので、光透過性フィルムに対する離型処理を不要にできる。さらに、光重合性組成物層に光を照射する際に、光重合性組成物層が冷却手段によって冷却されるので、光重合性組成物層からのモノマーの蒸発を抑制することができる。
【0013】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
本実施例に係る感圧性接着シートの製造装置の概略構成について、図1,図2を参照して説明する。図1は、本発明に係る感圧性接着シートの製造装置の一例の概略構成図である。図2は、図1に示した製造装置の照射室のA−A断面図である。なお本実施例では、この感圧性接着シートの製造装置により、感圧性接着シートとして、例えば、支持体1を剥離ライナーとして使用する両面接着シートを製造する場合を例に挙げて説明する。
【0014】
本実施例に係る感圧性接着シートの製造装置は、図1に示すように、シート状,テープ状あるいはフィルム状などの支持体(基材)1を繰り出し供給する支持体供給ロール2と、この支持体供給ロール2から繰り出された支持体1に光重合性組成物を所定の厚さに塗工(塗布)する塗工部3と、支持体1に塗工された光重合性組成物(光重合性組成物層4)に短波長光をカットした光を照射するための照射室5と、この照射室5で光の照射を受けた支持体1に短波長光を照射する短波長光照射部15と、この短波長光照射部15で短波長光の照射を受けた支持体1を巻き取る巻き取り部6などで構成されている。以下、各部の構成を詳細に説明する。
【0015】
支持体1は、例えば、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、不織布、織布、紙、金属箔などが用いられる。
【0016】
また、光重合性組成物は、モノマーまたはその一部重合物と光重合開始剤とを含有してなり、光照射により重合して感圧性接着剤となるものであり、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系などの光重合性組成物が用いられる。これらの中でも、アクリル系の光重合性組成物が特に好ましく用いられる。以下に本実施例で用いられる光重合性組成物の各成分について例示する。
【0017】
本実施例では、光重合性組成物として、アルキルアクリレート単量体を主成分とする単量体と、極性基含有の共重合性単量体とが用いられる。本実施例で用いられるアルキルアクリレート単量体とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするビニル系モノマーであり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、プチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基の如きアルキル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、あるいはそのアルキル基の一部をヒドロキシル基で置換したものなどアルキル基の炭素数が1〜14の範囲にあるものを、1種または2種以上を主成分に用いられる。
【0018】
また、極性基含有の共重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸などの不飽和酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体、カプロラクトン(メタ)アクリレートなどが用いられる。また、単量体に限らず、(メタ)アクリル酸ダイマーなどの2量体を用いても良い。
【0019】
アルキルアクリレート単量体を主成分とする単量体と、極性基含有の共重合性単量体との使用割合は、前者が70〜99重量%、後者が30〜1重量%であり、特に好ましくは前者が80〜96重量%、後者が20〜4重量%である。このような範囲で使用することにより、接着性,凝集力などのバランスをうまくとることができる。
【0020】
本実施例で用いられる光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル類、アニソールメチルエーテルなどの置換ベンゾインエーテル類、2・2ジエトキシアセトフェノン、2・2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの置換アセトフェノン類、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換−α−ケトール類、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド類、1−フェニル−1・1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム類などが用いられる。このような光重合開始剤の使用量は、前述したアルキルアクリレート単量体を主成分とする単量体と、極性基含有の共重合性単量体との合計100重量部当たり、通常0.1〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部が良い。この範囲より光重合開始剤の使用量が少ないと、重合速度が遅くなりモノマーが多く残存しやすくなり工業的に好ましくなく、逆に多いとポリマーの分子量が低下し接着剤の凝集力の低下をきたしやすく接着特性上好まし特性が得られない。
【0021】
本実施例で用いられる架橋剤としては、多官能アクリレート単量体などが用いられ、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1・2−エチレングリコールジアクリレート、1・6−ヘキサンジオールジアクリレート、1・12−ドデカンジオールジアクリレートなどの2官能以上のアルキルアクリレート単量体が用いられる。この多官能アクリレート単量体の使用量は、その官能基数などにより異なるが、一般には、前述したアルキルアクリレート単量体を主成分とする単量体と、極性基含有の共重合性単量体との合計100重量部当たり、0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部とするのが良い。このような範囲で多官能アクリレート単量体を用いると、良好な凝集力が保持される。
【0022】
また、上記多官能アクリレート以外にも、粘着剤の用途に応じて架橋剤を併用することもできる。併用する架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤など、通常用いる架橋剤を使用することができる。なお、本発明では、必要に応じて粘着付着剤などの添加剤を用いることができる。
【0023】
図1に戻って、塗工部3は、支持体供給ロール2から繰り出された支持体1に光重合性組成物を、その支持体1の幅方向に所定幅で、所定厚さとなるように塗工するためのものである。この塗工部3は、例えば、光重合性組成物を給液するための給液槽11と、給液槽11から給液された光重合性組成物を支持体1の表面に所定幅で付着して搬送するためのコーティングロール12と、このコーティングロール12に付着された光重合性組成物の厚みをコーティングロール12と共に制御するためのメタリングロール13と、支持体1をコーティングロール12に密接させて搬送するためのバックアップロール14とを備えている。
【0024】
なお、塗工部3の構成は、上述したようなリバースコータに限定されるものではなく、グラビアコータなどの他の塗工方式のものであっても良く、光重合性組成物の厚み調整の手法も各塗工方式に合わせて適宜に変更実施することが可能である。
【0025】
照射室5は、支持体1の表面上に塗工された光重合性組成物(光重合性組成物層4)に、短波長光をカットした光を照射するためのものである。この照射室5は、例えば、支持体1の光重合性組成物層4の方に向けて光を照射する光照射部21と、支持体1に向けて冷却用液体を吹き付けるための冷却機構22と、支持体1の光重合性組成物層4と光照射部21との間に介在させた、短波長光をカットする光透過性フィルム7を、光重合性組成物層4に対して非接触で移動させる光透過性フィルム供給部8と、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガス(例えば、窒素ガス)を供給するための不活性ガス供給部23(図2参照)に接続されたノズル24と、支持体1に向けて不活性ガス(例えば、窒素ガス)を噴射して、支持体1の裏面に付着した冷却用液体を取り除くノズル25と、光照射部21と冷却機構22とノズル24などが内部に配置される容器26とを備えている。
【0026】
光照射部21は、図2に示すように、可視光線や紫外線などの光を出射する光源31と、この光源31からの光を反射させて支持体1の方に出射させるためのリフレクタ32と、光源31からの光を透過させる光透過窓33とを備えている。光照射部21からの光は、支持体1の幅方向に対して均一な光照度となるように調整されている。この光源31としては、直管式の光源を採用しており、図1に示すように、光源31の長手方向が支持体1の幅方向に一致するように複数本(例えば、8本)の光源31が並べて配置されている。個々の光源31は、例えば、独立して照射条件を設定できるようになっている。例えば、前半部分の光源31(例えば、支持体1の入力側から数えて4本目までの光源31)は弱めに紫外線を照射し、後半部分の光源31(支持体1の入力側から数えて5本目から8本目までの光源31)は強めに紫外線を照射するというような設定ができる。この光源31としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプなどが好ましい。
【0027】
冷却機構22は、光源31からの熱や、光源31からの光により支持体1の光重合性組成物層4が重合反応しこの化学反応により生じる重合熱などによって温度上昇する光重合性組成物層4を所定の温度範囲内となるように冷却するためのものであり、本発明における冷却手段に相当する。具体的には、冷却機構22は、重合中の光重合性組成物層4の温度が、60°C〜−30°C、より好ましくは40°C〜−20°C、さらに好ましくは20°C〜−10°Cの温度範囲内となるように冷却する。重合中の光重合性組成物層4の温度を前述した所定の温度範囲内となるように冷却することで、重合時のモノマー蒸発が低減される。重合中の光重合性組成物層4の温度が低すぎる(例えば、−30°C以下)と、重合反応速度が過度に遅くなるので好ましくない。
【0028】
本実施例における冷却機構22は箱状体であって、図3の平面図に示すように、その上面に支持体1の幅方向に延びる複数個の細長い開口22aが開けられている。これらの開口22aから支持体1の裏面、すなわち光重合性組成物層4が形成された面と反対側の面に向けて、冷却用液体を吹き付けるようになっている。冷却用液体の飛散を防止するために、開口22aの長さは、支持体1の幅よりも短くなっている。本実施例の冷却機構22は、照射室5の入口から出口にわたって配設されているが、モノマーの蒸発量が多い重合初期段階のエリア、例えば照射室5の入口から中央部分までに配設してもよい。冷却用液体を噴出する開口22aはスリット状に限らず、多数の小孔を開設してもよい。また、開口22aの配設間隔も任意であるが、例えば、モノマーの蒸発量が多い重合初期段階のエリアで配設間隔を狭めるようにすれば、効率的に冷却することができる。
【0029】
冷却用液体は、冷却装置を備えた冷却液タンク27からポンプ28によって冷却機構22に送られる。また、冷却機構22から噴出した冷却液は容器26の底部に集められて冷却液タンク27に戻される。なお、冷却用液体は、支持体1にダメージを与えない限り、特にその種類は限定されないが、例えば水、またはエタノール、メタノールなどの有機溶剤、あるいは水にエチレングリコールなどを適量混合して凝固点を降下させた不凍液などを用いることができる。
【0030】
図1に示すように、光透過性フィルム供給部8は、例えば、未使用の光透過性フィルム7が巻き取られている供給ロール41と、この供給ロール41からの光透過性フィルム7を支持体1の光重合性組成物層4と光照射部21との間に介在させるように案内するための複数個のローラ42a,42bと、光透過性フィルム7を巻き取るように回転駆動する巻き取りロール43とを備えている。
【0031】
光透過性フィルム7の移動方向(b方向)は、照射室5内において支持体1の移動方向(a方向)に対して逆方向となっている。その理由は次のとおりである。支持体1の光重合性組成物層4からのモノマーの蒸発量をみた場合、光照射部21の入口側で比較的に多くのモノマーが蒸発し、出口側に向かって蒸発量は次第に少なくなる。蒸発したモノマーを光透過性フィルム7に付着させて、照射室5の外へ搬出する場合に、光透過性フィルム7と支持体1との移動方向を同じ方向に設定すると、光照射部21の入口側でモノマーが多く付着した光透過性フィルム7がそのまま光照射部21の出口側まで進行するので、汚れた光透過性フィルム7によって光が遮られる量が多くなる。これに対して、本実施例のように光透過性フィルム7と支持体1との移動方向を逆方向に設定すると、光照射部21の入口側でモノマーが多く付着した光透過性フィルム7がすぐに照射室5の外に出るので、前者のものと比べて、汚れた光透過性フィルム7によって光が遮られる量が少なくなり、効率よく光照射を行うことができる。
【0032】
光透過性フィルム7は、短波長光をカットする特性を備えたものとしている。
その理由は次のとおりである。短波長を含む光を照射すると、光重合させることで生成された感圧性接着剤層と支持体1との剥離性が低下する。これはいわゆる両面接着シートの場合に不都合であるので、光透過性フィルム7で短波長光をカットしている。
【0033】
具体的には、この光透過性フィルム7としては、例えば、短波長光(例えば、300nm 以下)の透過を90%以上カットできるフィルムが好ましく、より好ましくは93%以上カット、さらに好ましくは95%以上カットできるフィルムが好ましい。また、この光透過性フィルム7は、可視光透過率が70%以上のものを用いており、必要な光透過量を得ることができる。この光透過性フィルム7としては、可視光透過率が80%以上のものがより好ましく、可視光透過率が90%以上のものがさらに好ましい。この光透過性フィルム7は、照射室5における処理に十分に耐えうる程度の耐熱性を有するものである。これらの特性を有する光透過性フィルム7としては、例えば、ポリエステルフィルムなどが挙げられる。光透過性フィルム7により短波長光がカットされた光の照射光量は、感圧性接着剤層などの必要特性により任意に設定することになるが、通常、100〜5000mJ/cm2 の範囲内、より好ましくは1000〜4000mJ/cm2 の範囲内、さらに好ましくは2000〜3000mJ/cm2 の範囲内であることが好ましい。
【0034】
光透過性フィルム7の供給速度が速いと、この光透過性フィルム7の使用量が増加し製造コストが上がることになるので、この供給速度を遅くする方が良いが、余りに遅すぎると支持体1の光重合性組成物層4から蒸発したモノマーが光透過性フィルム7に付着し,光透過性フィルム7の光の透過率が低下することになってしまうので、ある程度以上の速度が望まれる。以下に光透過性フィルム7の好適な供給速度について例示する。光透過性フィルム7の供給速度は、支持体1の移動速度をV(m/分)とすると、例えば、0.005V〜0.5V(m/分)程度が好ましく、より好ましくは0.01V〜0.2V(m/分)であり、さらに好ましくは0.02V〜0.1V(m/分)である。
【0035】
なお、上述した光透過性フィルム供給部8が本発明における移動手段に相当する。
【0036】
図1,図2に示すように、不活性ガス供給部23に接続されたノズル24の噴出口24aは、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給するように、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4の幅方向の両端側で、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に配置されている。不活性ガスは、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4の幅方向の両端側からその幅方向の中央に向かって供給される。
【0037】
ここでは、ノズル24は、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に僅かながら差し込まれて配置されているが、この配置に限定されるものではなく、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給できれば十分であり、次のような変形例も適宜に実施することができる。例えば、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間から引き出した状態で光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給するようにしても良いし、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間をノズル24の噴出口24aの口径よりも小さくして、この光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給するようにしても良い。
【0038】
本実施例では、不活性ガスとして窒素ガスを用いているが、アルゴンガスや二酸化炭素ガスなどの種々の不活性ガスを用いることができる。光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給して置換しており、この間における酸素濃度を、例えば、10000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下にしている。
【0039】
光透過性フィルム供給部8の複数個のローラ42a,42bなどによって、光透過性フィルム7は、光重合性組成物層4に近接している。光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間の距離は、200mm以下程度が好ましく、より好ましくは100mm以下、より好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下である。なお、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に供給された後の不要となった不活性ガスは、排気系統(図示省略)により適宜排気されるようになっている。
【0040】
なお、上述した不活性ガス供給部23とノズル24と本発明の不活性ガス供給手段に相当する。
【0041】
短波長光照射部15は、照射室5により短波長光をカットした光の照射を受けた支持体1の光重合性組成物層4に、少なくとも短波長光(例えば、300nm以下)を含む光を照射するためのものである。このような短波長光照射部15を備えた理由は次のとおりである。すなわち、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給しても、その間の酸素を完全に除去することは困難である。その結果、僅かに残存した酸素により重合阻害を受けて光重合性組成物層4の表面に低分子量体が生成され、この低分子量体により感圧性接着剤層の凝集力が低下することがある。そこで、本実施例では、短波長光照射部15で短波長光を照射することにより、光重合性組成物層4の表面の低分子量体を架橋して高分子量化して、感圧性接着剤層の凝集力の低下を防止している。
【0042】
短波長光照射部15は、少なくとも短波長光を含む光を照射する光源16を備えている。この光源16としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプなどの高圧放電ランプや、低圧水銀ランプなどがある。短波長光照射部15による短波長光(例えば、300nm以下)の照射光量は、例えば、50〜3000mJ/cm2 の範囲内、より好ましくは100〜2000mJ/cm2 の範囲内、さらに好ましくは200〜1000mJ/cm2 の範囲内であることが好ましい。短波長光照射部15による少なくとも短波長光を含む光の照射は、照射室5による光照射を受けた支持体1の光重合性組成物層4に対して行えば良いが、照射室5による光照射を受けた支持体1の光重合性組成物層4の重合率が低いと、この短波長光照射部15による少なくとも短波長光を含む光の照射時にモノマー揮散が起こり、短波長光照射部15の光源の汚染や支持体1の剥離性が低下するなどの問題が発生するので、照射室5による光照射を受けた支持体1の光重合性組成物層4の重合率が、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上となった後に、短波長光照射部15による少なくとも短波長光を含む光の照射を行うようにしている。
【0043】
また、この短波長光照射部15にも、重合中の光重合性組成物層4を所定の温度範囲内に冷却するための冷却機構22が備えられている。こうすることで、重合時の光重合性組成物層4からのモノマー蒸発が低減できる。なおここでは、この短波長光照射部15に冷却機構22を備えているが、重合時のモノマー蒸発が問題無い程度であるなど特に必要無ければ設けなくても構わない。
【0044】
巻き取り部6は、照射室5と短波長光照射部15とにより光の照射を受けた支持体1を所定の方向に案内するためのガイドローラ9と、このガイドローラ9によって案内された重合処理済みの支持体1を巻き取る支持体巻き取りロール10とを備えている。
【0045】
なお、照射室5と短波長光照射部15との間には、照射室5による光照射(短波長光をカットした光の照射)後の支持体1に乾燥処理を施すための乾燥部51が備えられている。この乾燥部51は、光照射後の支持体1の光重合性組成物層4中に残存する未反応モノマーや溶剤その他の非反応性不純物を可及的に揮散除去するために、光照射後の支持体1に対して強制乾燥あるいは加熱乾燥を施すものである。この乾燥部51の温度は、支持体1や光重合性組成物層4などの使用材料により任意に設定されるが、通常、80°C〜150°Cに設定される。
【0046】
次に上記のように構成された実施例装置により、感圧性接着シートとして、例えば、支持体1を剥離ライナーとして使用する両面接着シートを製造する製造工程について、以下に説明する。
【0047】
まず、塗工部3は、支持体供給ロール2から供給される支持体1に対して、光重合性組成物をその支持体1の所定の幅で、なおかつ、所定の厚さとなるように塗工する。このように光重合性組成物が塗工された支持体1は、移動方向(a方向)に移動されて照射室5の方へ搬送される。
【0048】
照射室5は、支持体1に塗工された光重合性組成物(光重合性組成物層4)に対して、次に説明するような状態で、短波長光をカットした光を照射する。すなわち、支持体1の光重合性組成物層4と光照射部21との間を非接触でb方向に光透過性フィルム7を移動させながら、この光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給するようにして、光透過性フィルム7を透過した光照射部21からの光(短波長光をカットした光)をa方向に移動する支持体1の光重合性組成物層4に照射する。また、冷却機構22は支持体1に冷却用液体を吹き付けて、支持体1をその下側から冷却している。その結果、光重合反応に伴う熱などの影響で、光重合性組成物層4からモノマーが蒸発するのが抑制される。
【0049】
なお、照射室5による短波長光をカットした光の支持体1の光重合性組成物層4への照射は、光重合性組成物層4の重合率が少なくとも80%以上なるまで行われる。光重合性組成物層4の重合率が80%以上になっていることの検出は、例えば、製造しようとする製品の仕様に応じた光重合性組成物が支持体に塗工されたサンプルに対して、照射室5における照射光量などの各条件を適宜変更して照射実験を行い、この実験後のサンプルの重合率を測定することで、実験的に求めることができる。このように、光重合開始当初においては短波長光をカットした光を光重合性組成物層4に照射しているので、光重合開始当初における短波長光照射に起因する支持体1と感圧性接着剤層との重剥離化現象の発生を防止でき、支持体1の剥離性を損なうことがない。
【0050】
照射室5の出口部分では、支持体1の下面に向けて、ノズル25から不活性ガスが吹き付けられることにより、支持体1の下面に付着した冷却用液体が取り除かれる。照射室5を出た支持体1は乾燥部51に導かれる。乾燥部51では、照射室5により短波長光をカットした光の照射を受けた支持体1、すなわち重合率が80%以上になった光重合性組成物層4に対して、乾燥処理を施す。乾燥部51で乾燥処理を施すことによって、この光照射後の支持体1の光重合性組成物層4中に残存する未反応モノマーや溶剤その他の非反応性不純物を可及的に揮散除去される。これにより、後段の短波長光照射部15のモノマー蒸発による汚染が低減される。
【0051】
短波長光照射部15では、乾燥部51により乾燥処理が施された支持体1の光重合性組成物層4に、少なくとも短波長光を含む光を照射する。例えば、照射室5において、残存酸素による重合阻害に起因して光重合性組成物層4の表面に低分子量体が生成されている場合であっても、短波長光照射部15により光重合性組成物層4に短波長光を照射するので、光重合性組成物層4の表面の低分子量体を架橋して高分子量化することができ、感圧性接着剤層の凝集力低下を防止できる。
【0052】
巻き取り部6は、短波長光照射部15で短波長光が照射された支持体1を巻き取る。このようにして感圧性接着シートが製造される。
【0053】
以下に、図1に示した装置を用いて得られた感圧性接着シートの具体例1〜3と、同じ装置を用いて、但し光重合性組成物層4の冷却を行わないで得られた比較例とを示す。
【0054】
<具体例1>
光重合において、短波長光カット用の光透過性フィルム7には、38μmのポリエチレンフィルムを用い、短波長光カット時の光量は2000mJ/cm2になるように、また短波長光カット無しの時の光量は1000mJ/cm2になるよう調整を行った。短波長光カット用の光透過性フィルム7と支持体1との距離は10mmであり、支持体1には、シリコーン処理を行ったポリエチレンフィルムを用いた。また、不活性ガスには窒素ガスを用い、照射室5内の酸素濃度が0.1%になるように置換を行った。
【0055】
光重合性組成物は次のようにして得た。アルキルアクリレート単体を主成分とする主単量体としての2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)90重量部、極性基含有の共重合性単量体アクリル酸(AA)10重量部に、光重合開始剤として2・2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.05重畳部 を4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に暴露することによって部分的に光重合したシロップを得た。この部分重合したシロップ100重量部に、架橋割としてトリメチロールプロパントリアクリレート0.3重量部を均一に混合し、光重合性組成物を得た。この光重合性組成物が50μmになるように塗工部3にて塗工し、冷却用液体としては30°Cの水を用い、この冷却用液体を支持体1の裏面に直接接触させる方式にて冷却しながら光照射を行い具体例1を得た。
【0056】
<具体例2>
図1に示した装置を用い、冷却用液体として10°Cの水を用いて、この冷却用液体を支持体1の裏面に直接接触させる方式で冷却したこと以外は、具体例1と同様にして具体例2を得た。
【0057】
<具体例3>
図1に示した装置を用い、冷却用液体として2°Cの水を用いて、この冷却用液体を支持体1の裏面に直接接触させる方式で冷却したこと以外は、具体例1と同様にして具体例3を得た。
【0058】
<比較例>
図1に示した装置を用い、冷却用液体による冷却を行わないこと以外は、具体例1と同様にして比較例を得た。
【0059】
上記具体例1〜3および比較例に係る各感圧性接着シートについて、光重合性接着剤層の剥離ライナー面と窒素面における各接着剤組成および各接着力をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
<光重合性接着剤組成測定方法>
各感圧性接着シートをFT−IR(ATR法)によって、重合時に剥離ライナーと接した面(剥離ライナー面)と窒素にさらされた面(窒素面)をそれぞれ測定し、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA:1734cm-1)とアクリル酸(AA:1702cm-1)とのカルボニル基のピークの高さ比を算出することによって光重合性接着剤の組成を測定した。
【0062】
<接着力測定方法>
JIS Z−1522に準じ、被着体としてステンレス板を用いて,重合時に剥離ライナー面と窒素面との接着力(N/20mm)を引っ張り速度300mm/minで測定した。
【0063】
表1に示した測定結果から明らかなように、剥離ライナー面の接着剤組成を比較すると、光重合反応の過程で光重合性組成物層4を冷却した具体例1〜3に比べて、冷却を行わない比較例の場合、窒素面側を基準とした剥離ライナー面の接着剤組成の変化量が大きい、すなわち剥離ライナー面におけるモノマー(アクリル酸)の蒸発量が多いことが分かる。その結果、冷却を行わない比較例の場合、剥離ライナー面の接着力が具体例1〜3に比べて大きく低下している。また、具体例1〜3の各々を比較すると、冷却水温度が低いほど剥離ライナー面の接着剤組成の変化量が小さく、その結果、接着力の低下量も小さくなっていることが分かる。なお、窒素面における接着剤組成および接着力に関して、具体例1〜3と比較例との間に差がないのは、光重合性組成物層4に含まれるプレポリマーが重合中に表面(窒素面)に偏析し、このプレポリマーからはモノマーが蒸発しないので、具体例1〜3と比較例との間に差が生じなかったものと考えられる。
【0064】
以上のように、本実施例によれば、支持体1の光重合性組成物層4と光照射部21との間に介在させた、短波長光をカットする光透過性フィルム7を、光重合性組成物層4に対して非接触で移動させながら、この光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に不活性ガスを供給するようにして、光透過性フィルム7を透過した光(短波長光をカットした光)を光重合性組成物層4に照射し、この短波長光をカットした光の照射を受けた光重合性組成物層4に短波長光を照射しているので、光照射部21の光透過窓33へのモノマーの付着に起因する光重合性組成物層4の光重合不良を防止でき、支持体1の剥離性を損なうことなく、感圧性接着剤層の凝集力低下を防止でき、なおかつ、光透過性フィルム7に対する離型処理を不要にできる。しかも、光重合反応過程で支持体1を介して光重合性組成物層4を冷却しているので、モノマーの蒸発による組成変化を抑え、接着剤層の表裏の特性差を小さくした、優れた感圧性接着シートを得ることができる。
【0065】
本発明は上述した実施例のものに限らず、次のように変形実施することもできる。
(1)図1に示した装置では、冷却機構22から支持体1に向けて冷却用液体を吹き付けて光重合性組成物層4を冷却するようにしたが、冷却用液体に代えて、冷却した不活性ガス(例えば、窒素ガス)のような冷却用ガスを支持体に吹き付けて光重合性組成物層を冷却してもよい。
【0066】
(2)さらに、上記実施例の冷却機構22に代えて、図4に示すように、冷媒を循環させた冷却プレート52に支持体1を接触させて光重合性組成物層4を冷却するようにしてもよい。図4中、符号53は、冷却プレート52に連通接続されて冷媒を循環させる冷媒循環装置である。なお、冷却プレート52の材質は、熱伝導性の良い金属(銅、アルミニウム、ステンレス鋼など)が好ましく、特に銅が好ましい。また、この例において、支持体1と冷却プレート52との間に液体層を介在させると、支持体1と冷却プレート52とが密着して熱伝導性が高まるので一層好ましい。さらに、冷却プレート52は、モノマーが蒸発しやすい照射室5の前半部分にだけ設置してもよい。
【0067】
(3)また、上記実施例の冷却機構22に代えて、図5に示すように、冷媒循環装置53によって冷媒を循環させた冷却ロール54を支持体1に接触させて光重合性組成物層4を冷却するようにしてもよい。この例の場合にも、支持体1と冷却ロール54との間に液体層を介在させると、支持体1と冷却ロール54とが密着して熱伝導性が高まるので一層好ましい。
【0068】
(4)さらに、上記実施例の冷却機構22に代えて、図6に示すように、冷却ユニット55で冷却された冷却コンベア56を循環移動させながら支持体1に接触させて光重合性組成物層4を冷却するようにしてもよい。冷却コンベア56としては、ステンレスベルト製コンベアが好ましい。また、上記(2)、(3)と同様に、支持体1と冷却コンベア56との間に液体層を介在させてもよい。
【0069】
(5)また、上記実施例の冷却機構22に代えて、図7に示すように、冷却ガス源57から送られてきた、冷却された不活性ガス(例えば、窒素ガス)をノズル58から噴出させて、光透過性フィルム7と光重合性組成物層4との間に供給することにより、光重合性組成物層4を冷却するようにしてもよい。冷却ガス源57としては、液体窒素源を用いることができる。また、図7に示した例と、図1に示した冷却機構22や、上記(1)〜(4)で説明した各冷却機構と組み合わせて実施することも可能である。この例によれば、照射室5内の酸素を置換するための不活性ガスの供給手段を兼ねることができるので、装置構成を簡素化する上で好ましい。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、支持体の光重合性組成物層と光照射部との間に光透過性フィルムを介在させるとともに、この光透過性フィルムを移動させているので、蒸発したモノマーの付着に起因する光照射部の汚染や光照度の低下を防止することができる。また、光透過性フィルムは支持体の光重合性組成物層に非接触となっているので、光透過性フィルムに対する離型処理を不要にすることもできる。さらに、光透過性フィルムを透過した光を光重合性組成物層に照射する過程で、光重合性組成物層を冷却しているので、光重合性組成物層からのモノマーの蒸発を抑制することができ、その結果、モノマーの組成比の変化に起因した粘着特性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感圧性粘着シートの製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した装置のA−A断面図である。
【図3】冷却機構の平面図である。
【図4】冷却機構の変形例である。
【図5】冷却機構の別の変形例である。
【図6】冷却機構のさらに別の変形例である。
【図7】冷却機構のさらに別の変形例である。
【符号の説明】
1 …支持体
4 …光重合性組成物層
7 …光透過性フィルム
21 …光照射部
22 …冷却機構
23 …不活性ガ供給部
24 …ノズル
Claims (8)
- 支持体の表面上に塗布された光重合性組成物層に光照射部からの光を照射することによって、その光重合性組成物層を光重合させて感圧性接着剤層を得る感圧性接着シートの製造方法において、
前記支持体の光重合性組成物層と前記光照射部との間に介在させた光透過性フィルムを、前記光重合性組成物層に対して非接触で移動させながら、この光透過性フィルムと光重合性組成物層との間に不活性ガスを供給するようにして、前記光透過性フィルムを透過した光を光重合性組成物層に照射するとともに、前記光を照射する過程で前記光重合性組成物層を冷却することを特徴とする感圧性接着シートの製造方法。 - 請求項1に記載の感圧性接着シートの製造方法において、
冷却用液体を支持体に吹き付けて前記光重合性組成物層を冷却する感圧性接着シートの製造方法。 - 請求項1に記載の感圧性接着シートの製造方法において、
冷却用ガスを支持体に吹き付けて前記光重合性組成物層を冷却する感圧性接着シートの製造方法。 - 請求項1に記載の感圧性接着シートの製造方法において、
冷媒を循環させた冷却プレートを支持体に接触させて前記光重合性組成物層を冷却する感圧性接着シートの製造方法。 - 請求項1に記載の感圧性接着シートの製造方法において、
冷媒を循環させた冷却ロールを支持体に接触させて前記光重合性組成物層を冷却する感圧性接着シートの製造方法。 - 請求項1に記載の感圧性接着シートの製造方法において、
冷却ユニットで冷却された冷却コンベアを支持体に接触させて前記光重合性組成物層を冷却する感圧性接着シートの製造方法。 - 請求項1に記載の感圧性接着シートの製造方法において、
前記光透過性フィルムと光重合性組成物層との間に冷却した不活性ガスを供給して前記光重合性組成物層を冷却する感圧性接着シートの製造方法。 - 支持体の表面上に塗布された光重合性組成物層に光照射部からの光を照射することによって、その光重合性組成物層を光重合させて感圧性接着剤層を得る感圧性接着シートの製造装置において、
前記支持体の光重合性組成物層と前記光照射部との間に介在させた光透過性フィルムを、前記光重合性組成物層に対して非接触で移動させる移動手段と、
前記光透過性フィルムと光重合性組成物層との間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
前記光重合性組成物層に光を照射する際に、光重合性組成物層を冷却する冷却手段と
を備えたことを特徴とする感圧性接着シートの製造装置。
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