JP4646431B2 - ダイシング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はダイシング装置にかかり,特に,ブレード及び加工点を効果的に冷却可能な特殊形状の側面ノズルを有するダイシング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,半導体ウェハなどの被加工物を複数片に分割するために,賽の目状にカーフ(切溝)を生成するダイシング工程においては,フランジにより固定されたリング状ブレードを備えたダイシング装置が用いられている。
【0003】
かかるダイシング装置は,ブレードを高速回転させて,被加工物を切削加工する。その際に,ブレードと被加工物との間に生じる摩擦熱が,ブレードの磨耗や破損を早めたり,また被加工物の加工面上のチッピングや異常切断の原因となる。そこで,ブレードや加工点に切削水を供給し,冷却する方法が採用されている。
【0004】
切削水の供給方法としては,シャワーノズルを用いてブレード外周面に対して切削水を供給する方法,側面ノズルを用いてブレードの側方より切削水を供給する方法,さらにブレード外周面全体に切削水を供給する方法などが一般的である。
【0005】
このうち,側面ノズルは,一般的に,略直線形で複数の開口を有し,リング状ブレード下部付近の側方に被加工物の加工面と略平行に設置される。この側面ノズルの開口からブレードの外周側面及び加工点に対し切削水が供給される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来のダイシング装置において,ブレードがリング状であるのに対し側面ノズルは略直線形であるので,切削水をブレードの外周側面に対し効率的に供給することができない。特に,側面ノズル端部では,その傾向が顕著である。
【0007】
このため,側面ノズルが供給した切削水によるブレード及び加工点の冷却効果が低下し,ブレードの早期磨耗やチッピングの増大等に起因する加工品質の低下を引き起こすという問題点がある。また,多量の切削水が無駄に消費されるので切削水の供給量が増大し高コストになるという問題点もある。
【0008】
本発明は,従来のダイシング装置が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,特殊形状の側面ノズルにより,切削水を有効利用してブレード及び加工点の冷却効率を向上することが可能な,新規かつ改良されたダイシング装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため,本発明のある観点によれば,高速回転して被加工物を切断するブレードと,前記ブレードの少なくとも一側面に切削水を供給する側面ノズルとを備えたダイシング装置において,前記側面ノズルは,加工点付近から前記ブレードの回転方向側に延びる直線部と,前記加工点付近から前記ブレードの回転方向に逆らう方向に前記ブレードの円弧に沿って延長形成された円弧部を備えており,前記円弧部には前記ブレードの側面に切削水を供給する一または二以上の孔またはスリットが前記ブレードの外周側面に対して隣接して形成され,前記直線部には開口が形成されていないことを特徴とする,ダイシング装置が提供される。
【0010】
本項記載の発明では,側面ノズルの円弧部はブレードの円弧に沿った形状であるので,円弧部の孔またはスリットから放出された切削水は,ブレード外周側面に効率的に当たる。また,円弧部は,放出した切削水が有効に機能する範囲内でブレード外周側面に沿って配置されているため,切削水が無駄にならない。この結果,加工点にも十分な量の切削水が供給されるので,切削水の有効利用を図ることができる。
【0011】
従って,側面ノズルから供給された切削水により,ブレード及び加工点の冷却効果が上昇し,加工面のチッピングやブレード磨耗を抑制し加工品質が向上する。また,切削水は直線部を介して円弧部に供給され,円弧部の孔またはスリットから放出される。また,本発明の側面ノズルを設置する場合,従来の側面ノズルと交換するだけでよいので,別途装置の追加や変更もなく,容易に本発明にかかる装置の実現が可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に略同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
まず,図1に基づいて,本発明の実施の形態におけるダイシング装置の概略について説明する。図1は,本実施形態にかかるダイシング装置の全体斜視図である。
【0015】
ダイシング装置本体10は,図1に示すように,半導体ウェハ12を切削または切断する切削ユニット20と,半導体ウェハ12を載置するチャックテーブル15とを有する。半導体ウェハ12は,ウェハテープ13によりフレーム14に支持された状態で,チャックテーブル15上に供給される。チャックテーブル15は切削ユニット20に対し相対的に移動可能であり,切削ユニット20の端部に設置されて高速回転するブレードに半導体ウェハ12を所定量切り込ませながら,チャックテーブル15が移動することにより切削が進行する。逆に,チャックテーブル15が固定され,切削ユニット20が相対的に移動して切削する場合もある。
【0016】
ウェハ処理工程において微細領域内に素子や集積回路が大量に作り込まれた半導体ウェハ12をダイシングする場合,半導体チップの間のストリートに沿った精密な加工が要求される。そこで,ダイヤモンド等の砥粒をニッケル等のボンド材で電着したリング状ブレードが用いられる。ブレードの厚さは極薄であり,例えば20〜30μmである。このようなブレードが切削ユニット20に設置され,高速回転しながら半導体ウェハ12のストリートに沿って切削し,極薄のカーフを形成する。
【0017】
この際,カーフの縁に生じた不定形破断であるチッピングや半導体ウェハ12の異常切断が生じることがある。このチッピングの原因としては,摩擦熱により高温化したブレードが切削水により十分に冷却されず,目詰まり,磨耗,湾曲,破断することなどが挙げられる。半導体ウェハ12のストリート外に達する程大きいチッピングが生じた場合には,半導体素子が破壊されて,歩留まりが低下してしまう。従って,ブレード及び加工点を十分に冷却するとともに,切削ユニット20を精密に制御することが求められる。
【0018】
次に,図2に基づいて,本実施形態における切削ユニットの全体構成を説明する。なお,図2は,本実施形態にかかる切削ユニット20の斜視図である。
【0019】
図2に示すように,切削ユニット20は,リング状のブレード22と,ブレード22を両側より挟持するフランジ30と,ブレード22外周面に向けて切削水を供給するシャワーノズル24と,ブレード22両側から切削水を供給する側面ノズル26と,ホイルカバー28とを有する。
【0020】
まず,リング状のブレード22は,フランジ30に挟持された状態でスピンドル回転軸に軸着され,例えば30krpmで高速回転可能である。高速回転するブレード22が,その外周を半導体ウェハ12の加工面に所定量切り込ませながら,加工面に対し相対移動することで,ストリートに沿った精密な切削が進行する。切削中には切削水が供給され,ブレード22及び加工点が冷却される。
【0021】
続いて,フランジ30は,例えばステンレス等の比較的硬質な金属などで形成されており,ブレード22を両側より挟持して固定する。この際,フランジ30はブレード22の両側から略同一の領域を均等な圧力で挟持するので,ブレード22が偏圧により湾曲,変形することなく,加工面を略直線的に切削することができる。
【0022】
次いで,シャワーノズル24は,ブレード22外周面と対向して加工点よりブレード22の回転方向に逆らう方向側に設置される。シャワーノズル24はブレード外周面と対向する側に孔またはスリットを有し,この孔またはスリットからブレード22先端に向けて切削水を放出して,ブレード22及び加工点を冷却する。
【0023】
さらに,側面ノズル26は,ブレード22の両側面にブレード22と略平行に設置され,ブレード22と対向する側に設けられた複数個のスリット32からブレード22両側面に向けて切削水を放出する。本実施形態ではブレード22両側に側面ノズル26を設置したが,片側のみに設置しても構わない。また,スリットの代わりに例えば孔などを開口として設置してもよく,その個数は一または二以上であってもよい。
【0024】
また,ホイルカバー28は,切削水及び洗浄水が周辺に飛散するのを防止するだけでなく,ブレード22を保護し,危険防止のためブレード22が露出しないようにする機能を有する。
【0025】
次に,図3に基づいて,本実施形態における特徴である側面ノズルの形状を説明する。なお,図3は本実施形態にかかる側面ノズル26を説明する図である。図3においては,側面ノズル26を加工面と垂直な面で切った断面図(a)と上方から加工面に投影した図(b)に分けて示す。
【0026】
図3に示すように,側面ノズル26は,ホイルカバー28に連結される連結部26cと,連結部26cと連結して形成され加工面と略平行な中空円筒状の直線部26bと,直線部26bと連結して形成され所定の曲率半径で湾曲した円弧部26aとを有する。
【0027】
まず,連結部26cは,その上部がホイルカバー28と連結可能であり,その中部が加工面に対し略垂直な略中空円筒状であり,その下部が略垂直方向に延長形成された円筒空洞と水平方向に延長形成された円筒空洞を連結している形状である。
【0028】
連結部26cは,給水ホースなどにより供給された高圧の切削水を,直線部26bを介して円弧部26aに供給する機能を有する。連結部26cの長さにより,直線部26b及び円弧部26aの加工面からの高さが決定されるので,切削水の放出位置を調節することができる。また,側面ノズル26の連結部26cは従来の側面ノズルのものと略同一である。従って,本実施形態にかかる側面ノズル26を従来の側面ノズルと交換するだけでホイルカバー28に設置できる。よって,側面ノズル26は,設置に際し別途の装置が不要であり,汎用性があり低コストでの適用が可能である。
【0029】
次いで,直線部26bは,ブレード22の側方において,加工点付近からブレード22の回転方向側に延長して形成され,ブレード22及び加工面と略平行に設置される。全体が略直線の略中空円筒状であり,その外径は例えば4mmで,内径は例えば3mmである。なお,直線部26bには,スリットなどの開口は形成されていない。
【0030】
また,円弧部26aは,加工点付近で直線部26bと連結して側面ノズル26の先端に形成されており,ブレード22外周側面に沿ってブレード22と略並行に配置される。円弧部26aは,直線部26bと略同一の外径と内径を有する中空形状であり,全体がブレード22の円弧に沿って所定の曲率半径で湾曲している。この曲率半径は,側面ノズルの設置位置やブレードの大きさなどの条件により異なるが,例えば25mmとすることができる。
【0031】
図3に示すように,円弧部26aのブレード22側の側面には,スリット32が4つ形成されている。4つのスリット32は,各々,円弧部26aと直線部26bとの結合部の位置,略回転軸を中心に結合部から時計回りに約15度回転した位置,約30度回転した位置,約45度回転した位置に設置される。スリット32は,上記曲率半径の中心に向かう方向の開口長がその開口幅に比して大きい形状であり,開口長は例えば略2.5〜5.0mm,開口幅は例えば略0.2〜0.4mmである。
【0032】
直線部26bを介して円弧部26aに供給された切削水は,各スリット32からブレード22外周側面に向けて放出される。高圧ポンプなどにより高水圧で供給される切削水は,スリットの開口幅が狭いので,スリット32から放出される際にも所定の高水圧を維持できる。
【0033】
また,本実施形態にかかる側面ノズル26はブレードの両側に設置される。上記では一側の側面ノズルの形状を説明したが,他側に設置される側面ノズルは,一側の側面ノズルと対称の構成であるので,その説明は省略する。
【0034】
続いて,図4及び図5に基づいて,本実施形態における側面ノズルとブレードとの位置関係並びに切削水の機能を詳細に説明する。なお,図4は,本実施形態にかかる側面ノズル26とブレード22との位置関係を表す側面図,また図5は,本実施形態にかかる側面ノズル26とブレード22との位置関係を表す立面図である。
【0035】
図4及び図5に示すように,側面ノズル26は,その円弧部26aが加工点付近からブレード22の回転方向に逆らう方向にブレード22外周側面に沿うように配置される。上述したように,スリット32は円弧部26aにのみ形成されているので,4つのスリット32から放出された切削水は,加工点及び加工点よりブレード22の回転方向に逆らう方向のブレード22外周側面下部に当たる。この際,ブレード22外周側面に対して全てのスリット32が隣接しているので,切削水が無駄に飛散することなく,効率的にブレード22外周側面に当たる。
【0036】
また,本実施形態では,半導体ウェハ12をブレード22の回転方向と同じ方向に送りながら切削するダウンカット方法を採用しているので,図4に示すように,ブレード22は時計回りに回転している。従って,加工点及び加工点よりブレード22の回転方向に逆らう方向のブレード22外周側面下部に当たった切削水は,ブレード22の回転力を受けてブレード22の回転方向に全体的に移動し,その多くが加工点に接触することができる。
【0037】
ここで,加工点を領域別に加工前半部と加工後半部に分けて考える。加工前半部とは,ブレード22の中心から加工面に下した垂線からブレード22の回転方向に逆らう方向側の加工点の領域であり,一方,加工後半部とは,上記の垂線よりブレード22の回転方向側の加工点の領域である。
【0038】
ブレード22は,加工前半部において半導体ウェハ12を外周側面及び外周面の両方で切削しカーフを形成する。これに対し,加工後半部においてはブレード22のぶれなどによりブレード22外周側面がカーフ内側面と接触する程度である。
【0039】
つまり,ブレード22による切削は主に加工前半部で行われており,加工前半部では加工後半部より大量の摩擦熱が発生する。従って,切削水によりブレード22及び加工点を冷却する場合は,加工前半部により多くの切削水を供給する必要がある。
【0040】
ここで,本実施形態にかかる側面ノズル26は,上記のように,加工点よりブレード22の回転方向に逆らう方向に位置する円弧部26aのスリット32から切削水を放出するので,必然的に切削水は加工前半部に大量に供給され,加工前半部を十分に冷却することができる。さらに,切削水はブレード22の回転力によりブレードの回転方向に移動し,加工後半部をも冷却する。つまり,加工点の摩擦熱の発生量に応じて適切な箇所を効果的に冷却することだできる。
【0041】
ところで,本実施形態にかかる側面ノズル26の円弧部26aにおいて,最も加工点より遠方に位置するスリット32は,図3に示したように円弧部26aと直線部26bとの結合部から時計回りに約45度回転した位置に設置されている。ここで,円弧部26aをブレード22の円弧に沿ってさらに延長形成し,スリット32を追加して設けることで,ブレード22に対しより広領域にわたり切削水を供給することが可能ではある。
【0042】
しかし,加工点から過度に離れたブレード22側面に切削水を供給しても,ブレード22及び加工点を効果的に冷却できない。また,スリット32の設置数が過度に多いと,切削水の水圧が全体的に低下して冷却効果が低下する。従って,本実施形態では,冷却効率を考慮して,図3に示した形状の側面ノズル26とスリット32の設置数を設定した。これにより,図4に示すように,切削水が効果的に機能する領域において,ブレード22側面に切削水を供給することができる。
【0043】
上記のように,従来の略直線形状の側面ノズルにより切削水を供給する場合と比べ,本実施形態では,ブレード22及び加工点に対し効率的に切削水を供給しており,高い冷却効果を実現できる。
【0044】
従って,加工面でのチッピングや異常切断が減少するので加工品質が向上し,ブレードの破損や磨耗も防止できる。また,切削水の供給量を節減できるので低コスト化が図れる。
【0045】
次いで,本実施形態にかかる側面ノズル26を用いて各種切削試験を行った結果について説明する。
【0046】
まず,図6に基づいて,本実施形態にかかる側面ノズル26を用いてブレード磨耗試験を行った結果について説明する。図6は,本実施形態にかかる側面ノズル26を用いたブレード磨耗試験結果を示す棒グラフである。なお,本試験ではソーダガラスを被加工物とし,ブレード22に対する送り速度を約5mm/s,切削距離を約5mとして切削を行った。
【0047】
図6においては,従来の側面ノズル及びシャワーノズルを併用して切削水を供給し切削した場合と,本実施形態にかかる側面ノズル26及びシャワーノズル24を併用して切削水を供給し切削した場合のブレード磨耗量を示す。なお,図6の横軸に示されている数値は切削時に供給される切削水の流量を表し,例えば1.0+1.0は,側面ノズル流量及びシャワーノズル流量が,それぞれ1.0L/minであることを表す。いずれの場合も切削水の供給量が等しいので,ブレード磨耗量の比較が容易になる。
【0048】
図6に示すように,従来の側面ノズルの場合に比して,本実施形態にかかる側面ノズル26の場合は,全体的にブレード磨耗量は低減されている。特に,側面ノズルとシャワーノズルにより各々0.5L/minの切削水供給量での切削試験において,本実施形態にかかる側面ノズル26を用いた場合のブレード磨耗量は約19.5μmあり,従来の側面ノズルを用いた場合のブレード磨耗量の約32.5μmと比較して,約60%にまで抑えられている。
【0049】
さらに,本出願人が切削状況を確認したところ,従来の側面ノズルの場合では切削中にブレードと半導体ウェハとの摩擦により火花が発生したが,本実施形態にかかる側面ノズル26の場合では火花が発生しなかった。
【0050】
上記のように,ブレード磨耗試験結果において,従来の側面ノズルの場合と本実施形態にかかる側面ノズル26の場合におけるブレード磨耗量の差は顕著であり,本実施形態にかかる側面ノズル26は,ブレード磨耗を抑制する機能が格段に向上しているといえる。さらに,摩擦による火花の発生を防止しており,加工点に切削水が効果的に供給されているといえる。
【0051】
続いて,図7に基づいて,本実施形態にかかる側面ノズルを用いてチッピング試験を行った結果について説明する。図7は,本実施形態にかかる側面ノズル26を用いたチッピング試験結果を示す棒グラフである。なお,本試験では,ソーダガラスを被加工物とし,ブレード22に対する送り速度を約5mm/s,切削距離を約5mとして切削を行った。
【0052】
図7においては,従来の側面ノズル及びシャワーノズルを併用して切削水を供給し切削した場合と,本実施形態にかかる側面ノズル26とシャワーノズル24を併用して切削水を供給し切削した場合の表面チッピング及び裏面チッピングの最大値をそれぞれ示す。また,いずれの場合も,側面ノズル流量及びシャワーノズル流量は,それぞれ1.0L/minとして試験を行った。なお,表面チッピングとは半導体ウェハの加工面上に発生するチッピングであり,逆に裏面チッピングとは半導体ウェハの加工面と反対側の裏面上に発生するチッピングである。
【0053】
図7に示すように,従来の側面ノズルの場合に比して,本実施形態にかかる側面ノズル26の場合においては,表面及び裏面チッピングの大きさはいずれも小さくなっている。特に,表面チッピングに関しては,本実施形態にかかる側面ノズル26を用いた場合には約87μmであり,従来の側面ノズルを用いた場合の約137μと比較して,約64%にまで抑制されている。
【0054】
上記のように,チッピング試験結果においても,従来の側面ノズルの場合と比して,本実施形態にかかる側面ノズル26を用いた場合には,表面及び裏面ともにチッピングは大幅に減少している。従って,本実施形態にかかる側面ノズル26は,チッピングの発生を抑制する機能が非常に向上しているといえる。さらに,供給した切削水量はいずれの場合も同量であり,本実施形態にかかる側面ノズル26が供給する切削水は冷却効果が高いことが実証された。
【0055】
上記の両試験結果から,本実施形態にかかる側面ノズル26を利用した切削では,ブレード22及び加工点の冷却効果が高く,切削水が有効活用されていることが分かる。これにより,半導体ウェハ12のチッピングや異常切断の発生を抑制し,ブレード22の磨耗や破損を防止して,加工品質を向上することができる。さらに,切削水を節減できることは,コスト面,効率面で非常に有益である。
【0056】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
例えば,ダイシングする被加工物としては,VTRやFDD等の磁気ヘッド,セラミック,水晶,ガラス,小型電子部品,リチウムナイオベイトに代表される圧電結晶材料やフェライトといった脆性材料等にも適用できる。
【0058】
また,本実施形態においては,ブレード22の両側に本実施形態にかかる側面ノズル26を設置したが,本発明はかかる例に限定されない。即ち,本実施形態にかかる側面ノズル26をブレード22の少なくとも一側に設置すればよく,切削条件によって,例えば,他側には側面ノズル26を設置しない,あるいは他の形状の側面ノズルを設置するなどの場合も,当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【0059】
また,側面ノズル26に設置したスリット32は4つであるが,本発明はかかる例に限定されず,スリット32の設置数は一または二以上であってもよい。
【0060】
加えて,本実施形態にかかるスリット32は,円弧部26aと直線部26bとの結合部の位置,略回転軸を中心に結合部からブレード22の回転方向に逆らう方向に約15度回転した位置,約30度回転した位置,約45度回転した位置に設置されたが,本発明はかかる例に限定されない。スリット32は,ブレード22の外周側面に切削水を供給できる円弧部上の位置であればよく,例えば,加工点付近に集中的に配置する,または円弧部26aをさらに延長形成してブレード22上部の外周側面に配置するなどしてもよい。
【0061】
さらに,本実施形態では,側面ノズル26の開口としてスリット32を形成したが,スリット32を孔に代えてもよい。
【0062】
また,側面ノズル26の円弧部26aの形状としては略円弧状が好ましいが,本発明はかかる例に限定されず,ブレード22の外周側面に概ね沿った形状であれば,例えば略楕円弧状などであってもよい。
【0063】
加えて,必ずしも直線部26bは,加工面に対し略平行な略直線の円筒形状でなくてもよく,円弧部26aに切削水を誘導できる形状であれば,例えば加工面と非平行であったり湾曲した形状などであってもよい。
【0064】
さらに,本実施形態では側面ノズル26の断面形状は略円形状であったが,ブレード22外周側面に切削水を供給できる断面形状であれば,例えば略楕円形状,略方形状などであってもよい。
【0065】
また,本実施形態では,切削方法としてダウンカット方法の場合を説明したが,本発明はかかる例に限定されない。例えば,切削方法として,被加工物をブレード22の回転方向とは逆方向に送りながら切削するアップカット方法を採用してもよい。なお,この場合でも,円弧部26aは加工点付近からブレード22の回転方向に逆らう方向に延長形成される。
【0066】
さらに,切削水の供給手段としては,少なくともブレードの外周側面に切削水を供給する本実施形態にかかる側面ノズル26を具備すればよく,それ以外のシャワーノズルやブレード外周面全体への供給手段等の各種切削水供給手段は必ずしも具備する必要はない。換言すると,本実施形態にかかる側面ノズル26と各種の切削水供給手段を組み合わせた応用例は,本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
また,本実施形態にかかるブレード22はリング状であるが,本発明はかかる例に限定されず,例えばハブ(Hub)と切刃部を一体形成したハブブレードなどであってもよい。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明におけるダイシング装置において,側面ノズルの円弧部はブレードの円弧に沿った形状であるので,円弧部の孔またはスリットから放出された切削水は,ブレード外周側面に効率的に当たる。この結果,加工点にも十分な量の切削水が供給される,切削水が無駄に消費されない。
【0069】
従って,切削水が有効利用されており,ブレード及び加工点の冷却効率が上昇するので,加工面のチッピングや異常切断を低減し,ブレードの破損や磨耗を抑制する。よって,加工品質が向上するので歩留まりが向上するとともに,切削水の供給量を節減できるので低コスト化が図れる。
【0070】
また,側面ノズルの円弧部以外の構成は,従来の側面ノズルと略同一の形状であるため,従来の側面ノズルを本発明の側面ノズルに交換するだけで,比較的容易に本発明の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態にかかるダイシング装置の全体斜視図。
【図2】本実施形態にかかる切削ユニットの斜視図。
【図3】本実施形態にかかる側面ノズルの説明図。
【図4】本実施形態にかかる側面ノズルとブレードとの位置関係を表す側面図。
【図5】本実施形態にかかる側面ノズルとブレードとの位置関係を表す立面図。
【図6】ブレード磨耗試験結果を示す棒グラフ。
【図7】チッピング試験結果を示す棒グラフ。
【符号の説明】
10 : ダイシング装置本体
12 : 半導体ウェハ
20 : 切削ユニット
22 : ブレード
26 : 側面ノズル
26a: 円弧部
26b: 直線部

Claims (1)

  1. 高速回転して被加工物を切断するブレードと,前記ブレードの少なくとも一側面に切削水を供給する側面ノズルとを備えたダイシング装置において,
    前記側面ノズルは,加工点付近から前記ブレードの回転方向側に延びる直線部と,前記加工点付近から前記ブレードの回転方向に逆らう方向に前記ブレードの円弧に沿って延長形成された円弧部を備えており,
    前記円弧部には前記ブレードの側面に切削水を供給する一または二以上の孔またはスリットが前記ブレードの外周側面に対して隣接して形成され,前記直線部には開口が形成されていないことを特徴とする,ダイシング装置。
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