JP4646412B2 - 鋳造金型及び鋳造品の鋳造方法 - Google Patents

鋳造金型及び鋳造品の鋳造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶湯を取鍋で鋳型に鋳込むような鋳造法に用いられる鋳造金型及び鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば中空部を有するアルミ鋳造部品を重力式鋳造金型で鋳造する際、図6に示すように、金型51で画成した鋳型空間部内に砂中子52を設置し、金型51の顎部分51tより下方の製品空間部C1と、それより上部の押し湯部分C2の空間部を形成した後、取鍋53から溶湯を注湯し、押し湯部分C2まで溶湯を注湯することにより、砂中子52からガス抜きを行いながら鋳造するような技術が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の鋳造方法は、押し湯部分C2の上方から製品形状部C1内に直接溶湯を注湯しているため、落し込んだ溶湯が乱流になって内部にガス等を巻き込み易くなり、例えば顎部分51tより若干下方附近の鋳造品の内部に鋳巣等が発生しやすくなる等の問題があった。
【0004】
そこで本発明は、重力鋳造において鋳巣等のない健全な鋳造品が得られる鋳造金型及び鋳造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、中空部を有する鋳造品を鋳造するための鋳造金型において、鋳型空間部を画成する金型と、鋳型空間部内に設置される砂中子を設け、この砂中子の上部には湯口を設けるとともに、砂中子の内部には下方に延出する縦湯道を前記湯口に連通して設けるようにし、また、この縦湯道の下方には、製品空間部内に連通する横湯道を設けるようにした。
【0006】
このように砂中子の内部に縦湯道を設け、この縦湯道の下方の横湯道から製品空間部内に溶湯を注湯すれば、溶湯の乱流やガス等の巻き込みによる鋳巣の発生を抑制することが出来、健全な鋳造品を鋳造出来る。
ここで、製品空間部とは、鋳型空間部内に砂中子を設置した際、周囲の金型と砂中子で囲まれる空間部のうち製品部となる空間部である。
【0007】
また本発明では、前記製品空間部の上部に押し湯部を設けるようにした。
そしてこの押し湯部によって鋳造品の成形収縮分を補うとともに、製品部に重力をかけて引け巣等が発生しにくいようにする。
【0008】
また本発明では、前記横湯道を、製品空間部の半径方向から所定量オフセットさせるようにした。
【0009】
このように、横湯道を製品空間部の半径方向からオフセットさせることにより、製品空間部内に溶湯を充填する際、製品空間部の下方から溶湯を旋回させながら充填することが出来、溶湯を整流状態にして注湯することが出来、ガス等の巻き込みを一層抑制出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る鋳造金型の型開き状態と型締め状態の説明図、図2は横湯道のオフセット状態を説明する説明図、図3は鋳造方法を説明する工程図、図4は注湯時の状態を示す平面図、図5は鋳造品の説明図である。
【0011】
本発明に係る鋳造金型は、例えば中空部を有するアルミ鋳造品を鋳造する金型として構成され、鋳巣等のない健全な鋳造品を得ることが出来るようにされている。
【0012】
すなわち、この鋳造金型1は、図1、図2に示すように、固定金型2に対して開閉自在な可動金型3及び摺動金型4と、各金型2、3、4の型締めによって画成される鋳型空間部C内に設置される砂中子5を備えており、各金型2、3、4と砂中子5によって囲まれる空間部として、固定、可動金型2、3の顎部分2t、3tより下方の製品空間部C1と、それより上方の押し湯部分C2が形成されるようにしている。
【0013】
前記砂中子5の上部には湯口6が形成されており、この湯口6の下方には、砂中子5の内部を下方に向けて延出する縦湯道7が形成されている。そしてこの縦湯道7の下端部には、横湯道8が形成されており、この横湯道8は製品空間部C1の内部下方に開口している。
【0014】
また、この横湯道8は、図2に示すように、製品空間部C1の半径方向から所定量dだけオフセットしており、この横湯道8から製品空間部C1内に流出した溶湯が一定方向に旋回するようにしている。
【0015】
以上のような鋳造金型1において、図3(a)に示すように、取鍋9によって砂中子5の上部の湯口6から溶湯を注湯を開始する。
すると、溶湯は縦湯道7、横湯道8を通って図4にも示すように、製品空間部C1の下方から旋回しながら整流状態で注入され、ガス等の巻き込みが抑制されるとともに、ガス等の一部は砂中子5を通して外部に排出される。。
【0016】
そして、図3(b)に示すように、溶湯が旋回しながら製品空間部C1に充填されると、図3(c)に示すように、更に押し湯部C2の空間部まで溶湯を充填し、注湯を完了する。
そして溶湯を凝固させると、図5に示すような鋳造品Tが成形されるが、成形収縮分は押し湯部C2の溶湯で補われ、また押し湯部C2の重力によって、鋳造品Tの製品部T1には鋳巣等が発生しにくくなり、健全な製品部T1を得ることが出来る。尚、図5のT2は、押し湯部C2に相当する鋳造部分である。
【0017】
ところで、製品空間部C1内に溶湯を旋回させながら注入するための手段として、例えば横湯道8を円弧状にする等の他の手段を利用することも可能である。
この場合も、ガス等の巻き込みが抑制されて整流状態で注湯することが出来、鋳巣等の発生防止に効果的である。
【0018】
尚、上記のような鋳造金型1で鋳造した結果、従来の鋳造装置51では鋳巣の欠陥が80%発生していたものが、本発明の鋳造装置1では鋳巣の欠陥が皆無となり、その効果が確認された。
【0019】
尚、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば鋳造品はアルミ鋳造品に限られるものではなく、また、鋳造品の形状等も例示である。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る鋳造金型は、中空部を有する鋳造品を鋳造するため、鋳型空間部を画成する金型と、鋳型空間部内に設置される砂中子を設け、この砂中子の上部に湯口を設けるとともに、砂中子の内部には下方に延出する縦湯道を設けて湯口に連通させ、また、縦湯道の下方には、製品空間部内に連通する横湯道を設けるようにしたため、製品空間部の下方部から円滑に溶湯を注湯出来るようになり、溶湯の乱流やガス等の巻き込みによる鋳巣の発生を抑制することが出来、健全な鋳造品を鋳造出来る。
この際、製品空間部の上部に押し湯部を設ければ、鋳造品の成形収縮分が補われ、また製品部に重力がかかるようになって引け巣等を発生しにくくすることが出来る。
更に、横湯道を、製品空間部の半径方向から所定量オフセットさせれば、製品空間部の下方から溶湯を旋回させながら充填することが出来、ガス等の巻き込みを一層抑制出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋳造金型の型開き状態と型締め状態の説明図
【図2】横湯道のオフセット状態を説明する説明図
【図3】鋳造方法を説明する工程図
【図4】注湯時の状態を示す平面図
【図5】鋳造品の説明図
【図6】従来の鋳造方法の説明図
【符号の説明】
1…鋳造金型、2…固定金型、3…可動金型、4…摺動金型、5…砂中子、6…湯口、7…縦湯道、8…横湯道、T…鋳造品。

Claims (3)

  1. 中空部を有する鋳造品を鋳造するための鋳造金型であって、鋳型空間部を画成する金型と、鋳型空間部内に設置される砂中子を備え、この砂中子の上部には湯口が設けられるとともに、砂中子の内部には下方に延出する縦湯道が前記湯口に連通して設けられ、また、この縦湯道の下方には、製品空間部内に連通する横湯道が設けられ、この横湯道は、製品空間部の半径方向から所定量オフセットされていることを特徴とする鋳造金型。
  2. 請求項1に記載の鋳造金型において、前記製品空間部の上部には、押し湯部が設けられていることを特徴とする鋳造金型。
  3. 金型によって鋳型空間部を画成した後、この鋳型空間部内に、上部には湯口が設けられ、内部には下方に延出する縦湯道が前記湯口に連通して設けられ、この縦湯道の下方には製品空間部内に連通するとともに製品空間部の半径方向から所定量オフセットされた横湯道が設けられた砂中子を設置し、この砂中子の上部に形成される湯口から溶湯を注湯して、砂中子の内部に形成される湯道を通して製品空間部内に溶湯を充填するようにした鋳造品の鋳造方法であって、前記製品空間部内に溶湯を充填する際、製品空間部の下方から溶湯を旋回させながら充填することを特徴とする鋳造品の鋳造方法。
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