JP4643541B2 - 塩化第一鉄液中からのインジウム化合物の製造方法 - Google Patents
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このエッチングにより、エッチング廃液には、ITO材に由来するインジウムと錫が含まれるが、特にインジウムは資源量が少ないことから、過去多くの回収方法が提案されている。塩化鉄からのインジウム回収として特開2004−75463号公報(特許文献1)に、ニッケル共存下で鉄粉でインジウムと錫とを除去及び回収する方法が開示されている。しかし、本件は高価なニッケルを共存させる必要があること、及び回収されたインジウム以外の成分、即ち鉄やニッケルの含有量が高く、インジウムを高濃度で回収することが難しかった。
2種以上のイオン価を有する金属のイオンが共存するインジウム等の希有金属含有水溶液をキレート樹脂と接触させて選択的に希有金属を吸着し回収する方法において、上記2種以上のイオン価を有する金属のイオンを最も低いイオン価として行なうことを特徴とする希有金属の回収方法が特開昭62−176914(特許文献5)に開示されている。このキレート樹脂としては、分子中に=NOH、−P+(R)3、−PO(OR)2、−PH(OR)3、−SR、−N(R)2またはオキシン基(但し、上式中Rは水素、フェニル基、アルキル基またはアルケニル基を示し、2個以上の場合は同一または異なっていてもよい。)で表わされる官能基もしくはその無機塩から選ばれる少なくとも一種の基を有するものである。
<1>インジウムを含有する塩化第一鉄液からポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂を用いることを特徴とするインジウム化合物の製造方法であり、
<2>前記インジウムを含有する塩化第一鉄液がpH2以下である前記1記載のインジウム化合物の製造方法であり、
<3>前記インジウムを含有する塩化第一鉄液からポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂にインジウムを吸着させた後、希塩化第一鉄水溶液または水を用いて当該樹脂からインジウムを溶出させて得る前記1または2に記載のインジウム化合物の製造方法である。
塩化第二鉄系でのITOエッチング液は、一般に塩酸と混合されており、このものが市場で多く流通している。例えば、ITOエッチング液は、35%塩酸と40〜50度ボーメの塩化第二鉄液とを3:1〜1:10の重量比で混合したものであり、多用されているものは、3:2〜1:2の範囲のものである。
該塩化第一鉄液を本発明の製造方法に適用する場合、市販されているpH測定器を用いてpHを測定することが、製造の効率面から好ましい。
当該キレート樹脂の再生方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、当該キレート樹脂の再生方法としては、水洗した後に希塩化第一鉄液によるもの、水洗した後に希塩酸によるもの、水洗した後に希塩化第一鉄液と希塩酸との混合液によるもの、希塩化第一鉄液によるもの、希塩化第一鉄液と希塩酸との混合液によるもの、および希塩酸によるものなどを挙げることができる。
本発明の製造方法において当該キレート樹脂からインジウムの回収は、0〜60℃であり、10〜50℃が好ましい。
pH2以下のインジウムを含有する塩化第一鉄液からポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂にインジウムを吸着させた後、水を用いて当該樹脂からインジウムを溶出させて得るインジウム化合物の製造方法。
インジウムが吸着したポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂を希塩化第一鉄水溶液または水を用いてインジウムを溶出させ、この溶出後のキレート樹脂を用いてインジウムを含有する塩化第一鉄液からインジウム化合物を製造する方法。
インジウムが吸着したポリアミン基を有するキレート樹脂を希塩化第一鉄水溶液または水を用いてインジウムを溶出させ、この溶出後のキレート樹脂を用いてインジウムを含有する塩化第一鉄液からインジウム化合物を製造する方法。
インジウムが吸着したポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂を水を用いてインジウムを溶出させ、この溶出後のキレート樹脂を用いてインジウムを含有する塩化第一鉄液からインジウム化合物を製造する方法。
以下具体例を実施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例だけにとどまるものではない。なお、%は重量%を、ppmは重量ppmを表す。
2)粗塩化第一鉄液中の重金属等の分析を実施した結果、塩化第一鉄を35.87%、塩化第二鉄を0.03%、遊離塩酸を0.12%、インジウムを163ppm、スズを1ppm、ニッケルを56ppm、およびクロムを29ppm、含有していた。
3)充填塔にキレート樹脂として、ポリアミン基を有するキレート樹脂(三菱化学株式会社製ダイヤイオンCR−20(商品名))を充填し、SV=1[1/h]、LV=20[cm/h]の条件で上記粗塩化第一鉄液を通液した。
4)キレート樹脂充填塔からの流出液について重金属分析を行い、表1に結果を記載した。この結果から、当該キレート樹脂は、1.7g−In/L−キレート樹脂の吸着能力があった。
5)粗塩化第一鉄液を通液したキレート樹脂充填塔に対してSV=4[1/h]、LV=80[cm/h]の条件で水を流した。充填したキレート樹脂量の約1.67倍毎に通過液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行った。この重金属分析の結果を表2に記載した。
6)前記5)の操作後、更にキレート樹脂量の10倍量の水でキレート樹脂を水洗した。
7)その後、20%塩酸を加え、キレート樹脂量の約1.67倍毎に通過液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行ったが金属溶出が認められなかった。そこで更にキレート樹脂充填塔を80℃に加熱しながら20%塩酸を通液し、この通過液中の重金属分析を実施し表3に記載した。
採取した試料を適宜超純水で希釈し、20%塩酸を全体の5%量加えメスアップにて正確に希釈した。各成分を標準添加法にて誘導結合型プラズマ発光分析装置(ICP)にて、予め共存する他成分の干渉を受けないことが判明している波長にて濃度測定を行った。
アミノリン酸系のキレート樹脂(ランクセンス株式会社製のレバチットモノプラスTP260(商品名))を用いた以外は、実施例1とほぼ同様に実施した。
1)塩酸と42度ボーメの塩化第二鉄液とを重量比で1:1に混合した液で、45℃にてITOの薄膜を含むガラス基盤をエッチングした廃液を用いた。このエッチング後の液に鉄板を加え、80℃にて4時間加熱を行った。放冷後、残留した鉄材を除き、pH測定器においてpHが−0.53になるように35%塩酸を用いて粗塩化第一鉄液を調製した。
2)粗塩化第一鉄液中の重金属等の分析を実施した結果、塩化第一鉄を31.88%、塩化第二鉄を0.00%、遊離塩酸を0.30%、インジウムを121ppm、スズを1ppm、ニッケルを20ppm、およびクロムを29ppmを含有していた。
3)充填塔にキレート樹脂として、レバチットモノプラスTP260を充填し、SV=1[1/h]、LV=20[cm/h]の条件で上記粗塩化第一鉄液を通液した。
4)キレート樹脂充填塔からの流出液の重金属分析を行い、表1に結果を記載した。この結果から、当該キレート樹脂は、0.6g−In/L−キレート樹脂の吸着能力であった。
5)粗塩化第一鉄液を通液したキレート樹脂充填塔に対してSV=4[1/h]、LV=80[cm/h]の条件で水を加えた。充填したキレート樹脂量の約1.67倍毎に液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行い、表2に結果を記載した。
6)5)の操作後、更にキレート樹脂量の10倍量の水でキレート樹脂を水洗した。
7)その後20%塩酸を加え、キレート樹脂量の約1.67倍毎に液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行い、表3に結果を記載した。
表2は、水洗浄によって各回収された溶出液の分析結果を示すものである。単位はppm。
表3は、水洗後の樹脂に対して酸洗浄することによって回収された溶出液の分析結果を示すものである。単位はppm。
Claims (3)
- インジウムを含有する、pH2以下の塩化第一鉄液から、ポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂にインジウムを吸着させる工程と、希塩化第一鉄水溶液または水を用いて当該樹脂からインジウム塩化物としてインジウムを溶出させる工程とからなる、インジウム塩化物の製造方法。
- ITO材の塩化第二鉄によるエッチング廃液を、上記インジウムを含有する塩化第一鉄液に変換する工程を含む、請求項1に記載の、インジウム塩化物の製造方法。
- ITO材の塩化第二鉄によるエッチング廃液を、上記インジウムを含有する塩化第一鉄液に変換する工程が、鉄材と接触させた後に塩酸を加える工程である、請求項2に記載の、インジウム塩化物の製造方法。
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