JP4643541B2 - 塩化第一鉄液中からのインジウム化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、インジウムを含有する塩化第一鉄液中から効率良くインジウム化合物を製造する方法に関するものである。
液晶モニターやプラズマモニター等に、透明電極としてITO(インジウム・錫・酸化物)材やIZO(インジウム・亜鉛・酸化物)材が多く用いられている。この透明電極は、一般的にガラス材等の表面にITOまたはIZOが薄膜として形成され、これを用いて電極回路を形成する。この回路形成のためフォトエッチング等が使用され、特にITO材では、エッチング剤として塩化第二鉄と塩酸の混合液や王水等が多く用いられている。そしてエッチング剤は高速エッチングや微細回路パターン形成に必要な高エッチファクターを得るために塩化第二鉄と塩酸の混合液が使われる事が多い。
このエッチングにより、エッチング廃液には、ITO材に由来するインジウムと錫が含まれるが、特にインジウムは資源量が少ないことから、過去多くの回収方法が提案されている。塩化鉄からのインジウム回収として特開2004−75463号公報(特許文献1)に、ニッケル共存下で鉄粉でインジウムと錫とを除去及び回収する方法が開示されている。しかし、本件は高価なニッケルを共存させる必要があること、及び回収されたインジウム以外の成分、即ち鉄やニッケルの含有量が高く、インジウムを高濃度で回収することが難しかった。
イオン交換樹脂やキレート樹脂により不純物を除去および回収する方法も多く提案されている。例えば、特開2003−266065号公報(特許文献2)では、塩化第二鉄液中に含まれるコバルトおよび/または亜鉛を、除去および回収するために、該液に鉄板等を加え一旦塩化第一鉄に還元して、更に濃度調整を行って前記樹脂に吸着/脱着させることにより、塩化鉄液からの不純物除去(その後塩素等によって塩化第一鉄は塩化第二鉄に酸化して再生)および不純物液からの金属類の回収が開示されている。
特開昭60−19087号公報(特許文献3)では、塩化第一鉄や塩化第二鉄などの水溶液中からエチレンイミン重合体を母体とするアミノ基−NHR−(R:水素原子または炭素数10以下のアルキルアミノ基)を有するキレート樹脂または弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いてクロム、ニッケル、亜鉛、鉛、銅、水銀などの重金属除去方法が開示されている。
オキシム基、アミノアルキレンリン酸基、オキシン基、ジチオカルバミン酸基および前記官能基の金属塩から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するキレート樹脂と、インジウムを含有する溶液を接触させて、インジウムを回収する方法が特開昭58−172256(特許文献4)に開示されている。このインジウムを含有する溶液は、海水または亜鉛、鉛を精製する際の副産物の硫酸浸出液である。
2種以上のイオン価を有する金属のイオンが共存するインジウム等の希有金属含有水溶液をキレート樹脂と接触させて選択的に希有金属を吸着し回収する方法において、上記2種以上のイオン価を有する金属のイオンを最も低いイオン価として行なうことを特徴とする希有金属の回収方法が特開昭62−176914(特許文献5)に開示されている。このキレート樹脂としては、分子中に=NOH、−P+(R)3、−PO(OR)2、−PH(OR)3、−SR、−N(R)2またはオキシン基(但し、上式中Rは水素、フェニル基、アルキル基またはアルケニル基を示し、2個以上の場合は同一または異なっていてもよい。)で表わされる官能基もしくはその無機塩から選ばれる少なくとも一種の基を有するものである。
ITOを有するLCD廃パネルを塩酸で処理して得たインジウム含有塩酸溶液を第4級アンモニウム基または第3級アミノ基を有する陰イオン交換樹脂に接触させてインジウムを吸着させ、この陰イオン交換樹脂からインジウムを回収することが報告されている(非特許文献1参照)。
特開2004−75463号公報 特開2003−266065号公報 特開昭60−19087号公報 特開昭58−172256号公報 特開昭62−176914号公報 本馬隆道,外1名,「LCD廃パネルよりのマテリアル回収」,シャープ技報,2005年8月,第92号,p.17−22.
本発明の課題は、インジウムを含有する塩化第一鉄液から簡単な手段でインジウム化合物を製造する方法を提供するものである。
本発明者らは、インジウムを含有する塩化第一鉄液(例えばITO材等の塩化第二鉄によるエッチング廃液より)からインジウムを回収する方法を鋭意検討した結果、ポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂を用いてインジウムを含有する塩化第一鉄液からインジウム化合物を容易に製造することができることを見出して完成させた。即ち、具体的には、
<1>インジウムを含有する塩化第一鉄液からポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂を用いることを特徴とするインジウム化合物の製造方法であり、
<2>前記インジウムを含有する塩化第一鉄液がpH2以下である前記1記載のインジウム化合物の製造方法であり、
<3>前記インジウムを含有する塩化第一鉄液からポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂にインジウムを吸着させた後、希塩化第一鉄水溶液または水を用いて当該樹脂からインジウムを溶出させて得る前記1または2に記載のインジウム化合物の製造方法である。
本発明のインジウム化合物の製造方法を用いることにより、インジウムを含有する塩化第一鉄液に対して複雑な希釈、pH調整および/または特殊な操作を行うことなくインジウム化合物を容易に得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、「%」は特に明記しない限り「重量%」を示し、「ppm」は特に明記しない限り「重量ppm」を示す。
塩化第二鉄系でのITOエッチング液は、一般に塩酸と混合されており、このものが市場で多く流通している。例えば、ITOエッチング液は、35%塩酸と40〜50度ボーメの塩化第二鉄液とを3:1〜1:10の重量比で混合したものであり、多用されているものは、3:2〜1:2の範囲のものである。
本発明においてインジウムを含有する塩化第一鉄液とは、インジウム、ニッケル、クロム、モリブデン、スズ、亜鉛、および/または銅等の重金属のイオンを含有する塩化第一鉄溶液であり、この水溶液に塩化第二鉄を含んでいても良い。該塩化第一鉄液に含まれる重金属のイオンとしては、インジウム、ニッケル、クロムおよび/またはスズ等であればより良く、インジウムおよび/またはスズであれば更に良い。本発明の製造方法において、該塩化第一鉄液中に含まれる重金属のイオンがこれらであると効率よくインジウム化合物が製造でき好ましい。
本発明において塩化第一鉄液として特に好ましいものは、ガラス材等の表面にITOが薄膜として形成したものに対しITOエッチング液を用いてエッチングを施した後の廃液であり、この溶液中に含まれる塩化第二鉄を塩化第一鉄に変換したものでも良い。この塩化第二鉄から塩化第一鉄への変換は、鉄材を加えて行ったものが好ましい。
本発明においてポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂とは、ポリスチレン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体またはフェノール樹脂等に官能基としてポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するものである。このポリアミン基とは、アルキレンアミン基を有するもので、−CH2NH(CH2CH2NH)nH基(nは1以上の整数)で表されるものが挙げられる。
本発明においてポリアミン基を有するキレート樹脂としては、ダイヤイオンCR20(商品名、三菱化学株式会社製)やダイヤイオンWA20(商品名、三菱化学株式会社製)等が挙げられる。
本発明においてN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂としては、ダイヤイオンCRB02(商品名、三菱化学株式会社製)、アンバーライトIRA743(商品名、Rohm & Haas社製)やユニセレックUR−3500S(商品名、ユニチカ(株)製)等を挙げることができる。
本発明において用いるキレート樹脂としては、ポリアミン基を有するキレート樹脂がより重金属を除去できるので好ましい。
本発明における塩化第一鉄液は、塩化第一鉄の含有量として、10〜48%が好ましく、25〜48%がより好ましく、30〜42%が更に好ましく、33〜39%が最も好ましい。塩化第一鉄の含有量が10%未満の塩化第一鉄液であっても本発明の製造方法を適用できるが、インジウム含有量が低下することがあるので好ましくない。
本発明における塩化第一鉄液は、塩化第二鉄の含有量が5%以下であり、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。当該塩化第一鉄液中の塩化第二鉄の含有量がこの濃度であると、インジウム化合物を効率よく得ることができるので好ましい。なお、該塩化第一鉄液中の塩化第二鉄含有量は、鉄を用いて還元して塩化第一鉄とすることができる。
本発明においてpH測定器を用いて測定した場合、該塩化第一鉄液のpHは、2以下であり、1以下がより好ましく、0以下が更に好ましい。また、pHが−1.5以上が好ましく、−1.3以上がより好ましく、−1以上が更に好ましい。なお、該塩化第一鉄液のpHが2超〜5の範囲ではインジウム以外の、ニッケル、クロム、モリブデン、錫および/または銅等が該キレート樹脂に吸着される。このため、まずpHが2超〜5の液にてこれらの吸着処理を行い、その後酸を加えpHを−1.5〜2にする事によって、インジウム化合物を回収することができる。本発明においてpHがこの範囲であると、該塩化第一鉄液中から効率よくインジウム化合物を得ることができる。
該塩化第一鉄液中の塩酸濃度は、0〜5%がより好ましく、0.1〜2%が更に好ましく、0.2〜1%が特に好ましい。本発明において塩酸濃度がこの範囲であると、該塩化第一鉄液中から効率よくインジウム化合物を製造することができる。
該塩化第一鉄液を本発明の製造方法に適用する場合、市販されているpH測定器を用いてpHを測定することが、製造の効率面から好ましい。
本発明の製造方法における塩化第一鉄液中のニッケル、クロム、モリブデン、亜鉛、錫および/または銅等のイオンは、200ppm以下が好ましく、より好ましくは100ppm以下であり、1ppm以上が好ましい。これらの不純物がこの濃度であると、本発明の製造方法により純度の高いインジウム化合物を得ることができ好ましい。
本発明の製造方法における塩化第一鉄液中のインジウムの濃度は、高い方が良いが、0.2%以下が好ましく、好ましくは50〜1500ppm、更に好ましくは150〜1500ppmである。インジウムの濃度が上記範囲であると、本発明の製造方法により高い濃度のインジウム液を得ることができ好ましい。
本発明において、該キレート樹脂の使用量は、該塩化第一鉄液中のインジウムおよび重金属の含有量により決定すればよい。例えば、該キレート樹脂からの溶出液中のインジウムや重金属の含有量をモニターして該塩化第一鉄液の処理量を決めてもよい。
本発明の製造方法において、該塩化第一鉄液と該キレート樹脂との処理時間は、例えば充填塔で吸着させる場合は空塔速度(以下SVと表記)で、SV=0.1〜5[1/h]、更に好ましくはSV=0.2〜2[1/h]、特に好ましくはSV=0.3〜1[1/h]で接触させることにより効率良くインジウムを吸着する事ができる。この範囲であると効率良くインジウム化合物を回収することができることから好ましい。
本発明の製造方法において、操作温度は0℃から60℃程度であり、好ましくは5℃から50℃であり、より好ましくは10℃から45℃である。該キレート樹脂との接触温度がこの範囲であると該塩化第一鉄液中のインジウムを効率よく回収することができるので好ましい。
例えば、該塩化第一鉄液をカラムにつめた該キレート樹脂と0℃から60℃の間の温度で1時間接触させる流速で流してインジウムを回収することができる。または、該塩化第一鉄液と該キレート樹脂とをバッチで0℃から60℃の間の温度で例えば2時間接触させてインジウムを回収することができる。
上記のようにして得たインジウムが吸着したキレート樹脂は、インジウムを溶出させることにより、インジウム化合物を得ることができる。このインジウムのキレート樹脂からの溶出は、水洗によるもの、水洗した後に希塩化第一鉄液によるもの、水洗した後に希塩酸によるもの、水洗した後に希塩化第一鉄液と希塩酸との混合液によるもの、希塩化第一鉄液によるもの、希塩化第一鉄液と希塩酸との混合液によるもの、および希塩酸によるものなどを挙げることができる。本発明の製造方法においては、水洗によるもの、水洗した後に希塩酸によるものが好ましい。なお、希塩酸および希塩化第一鉄液とは、濃度3%未満の酸性水溶液であることが好ましいものとして例示できる。このようにして得たインジウム化合物は、塩化物になっているので、他の塩に変換または精製することにより目的とするインジウム化合物を得ることができる。
本発明の製造方法において、インジウムを吸着したキレート樹脂は、再生して本発明の製造方法に用いるキレート樹脂として再利用することができる。
当該キレート樹脂の再生方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、当該キレート樹脂の再生方法としては、水洗した後に希塩化第一鉄液によるもの、水洗した後に希塩酸によるもの、水洗した後に希塩化第一鉄液と希塩酸との混合液によるもの、希塩化第一鉄液によるもの、希塩化第一鉄液と希塩酸との混合液によるもの、および希塩酸によるものなどを挙げることができる。
本発明の製造方法において、キレート樹脂からのインジウム溶出に用いる上記記載の水または水溶液の使用量は、当該キレート樹脂からインジウムが回収できれば如何様な量でも良い。例えば当該キレート樹脂量(体積)に対して1.2〜10倍量が挙げられる。
本発明の製造方法において当該キレート樹脂からインジウムの回収は、0〜60℃であり、10〜50℃が好ましい。
また、上記に記載したようなインジウム化合物の回収を繰り返していると、インジウムより吸着性の高い鉄(III)やニッケル等の重金属類が樹脂内に留まり、インジウムの吸着能力が低下する場合がある。この様な場合、例えば3〜20%の塩酸等の酸性液にて脱着、その後水洗等にて、同様に再生を行うことによりインジウムの吸着力を再生する事ができる。
即ち、本発明の製造方法においてインジウムの回収に使用した該キレート樹脂は、上記記載の方法により再生することができる。
○実施態様
pH2以下のインジウムを含有する塩化第一鉄液からポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂にインジウムを吸着させた後、水を用いて当該樹脂からインジウムを溶出させて得るインジウム化合物の製造方法。
インジウムが吸着したポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂を希塩化第一鉄水溶液または水を用いてインジウムを溶出させ、この溶出後のキレート樹脂を用いてインジウムを含有する塩化第一鉄液からインジウム化合物を製造する方法。
インジウムが吸着したポリアミン基を有するキレート樹脂を希塩化第一鉄水溶液または水を用いてインジウムを溶出させ、この溶出後のキレート樹脂を用いてインジウムを含有する塩化第一鉄液からインジウム化合物を製造する方法。
インジウムが吸着したポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂を水を用いてインジウムを溶出させ、この溶出後のキレート樹脂を用いてインジウムを含有する塩化第一鉄液からインジウム化合物を製造する方法。
<実施例>
以下具体例を実施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例だけにとどまるものではない。なお、%は重量%を、ppmは重量ppmを表す。
1)塩酸と42度ボーメの塩化第二鉄液とを重量比で1:1に混合した液で、45℃にてITOの薄膜を含むガラス基盤をエッチングした廃液を用いた。このエッチング廃液に鉄板を加え、80℃にて4時間加熱を行った。放冷後、残留した鉄材を除き、pH測定器においてpHが−0.56になるように35%塩酸を用いて粗塩化第一鉄液を調製した。
2)粗塩化第一鉄液中の重金属等の分析を実施した結果、塩化第一鉄を35.87%、塩化第二鉄を0.03%、遊離塩酸を0.12%、インジウムを163ppm、スズを1ppm、ニッケルを56ppm、およびクロムを29ppm、含有していた。
3)充填塔にキレート樹脂として、ポリアミン基を有するキレート樹脂(三菱化学株式会社製ダイヤイオンCR−20(商品名))を充填し、SV=1[1/h]、LV=20[cm/h]の条件で上記粗塩化第一鉄液を通液した。
4)キレート樹脂充填塔からの流出液について重金属分析を行い、表1に結果を記載した。この結果から、当該キレート樹脂は、1.7g−In/L−キレート樹脂の吸着能力があった。
5)粗塩化第一鉄液を通液したキレート樹脂充填塔に対してSV=4[1/h]、LV=80[cm/h]の条件で水を流した。充填したキレート樹脂量の約1.67倍毎に通過液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行った。この重金属分析の結果を表2に記載した。
6)前記5)の操作後、更にキレート樹脂量の10倍量の水でキレート樹脂を水洗した。
7)その後、20%塩酸を加え、キレート樹脂量の約1.67倍毎に通過液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行ったが金属溶出が認められなかった。そこで更にキレート樹脂充填塔を80℃に加熱しながら20%塩酸を通液し、この通過液中の重金属分析を実施し表3に記載した。
○インジウム、ニッケル、クロムおよび錫の分析方法
採取した試料を適宜超純水で希釈し、20%塩酸を全体の5%量加えメスアップにて正確に希釈した。各成分を標準添加法にて誘導結合型プラズマ発光分析装置(ICP)にて、予め共存する他成分の干渉を受けないことが判明している波長にて濃度測定を行った。
<比較例1>
アミノリン酸系のキレート樹脂(ランクセンス株式会社製のレバチットモノプラスTP260(商品名))を用いた以外は、実施例1とほぼ同様に実施した。
1)塩酸と42度ボーメの塩化第二鉄液とを重量比で1:1に混合した液で、45℃にてITOの薄膜を含むガラス基盤をエッチングした廃液を用いた。このエッチング後の液に鉄板を加え、80℃にて4時間加熱を行った。放冷後、残留した鉄材を除き、pH測定器においてpHが−0.53になるように35%塩酸を用いて粗塩化第一鉄液を調製した。
2)粗塩化第一鉄液中の重金属等の分析を実施した結果、塩化第一鉄を31.88%、塩化第二鉄を0.00%、遊離塩酸を0.30%、インジウムを121ppm、スズを1ppm、ニッケルを20ppm、およびクロムを29ppmを含有していた。
3)充填塔にキレート樹脂として、レバチットモノプラスTP260を充填し、SV=1[1/h]、LV=20[cm/h]の条件で上記粗塩化第一鉄液を通液した。
4)キレート樹脂充填塔からの流出液の重金属分析を行い、表1に結果を記載した。この結果から、当該キレート樹脂は、0.6g−In/L−キレート樹脂の吸着能力であった。
5)粗塩化第一鉄液を通液したキレート樹脂充填塔に対してSV=4[1/h]、LV=80[cm/h]の条件で水を加えた。充填したキレート樹脂量の約1.67倍毎に液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行い、表2に結果を記載した。
6)5)の操作後、更にキレート樹脂量の10倍量の水でキレート樹脂を水洗した。
7)その後20%塩酸を加え、キレート樹脂量の約1.67倍毎に液を回収(溶出液)し、これら溶出液中の重金属分析を行い、表3に結果を記載した。
以上の様に、実施例1と比較例1ともに塩化第一鉄液中からインジウムを吸着することができるが、比較例1ではキレート樹脂からインジウムを外すのに大量の酸が必要である。しかし実施例1では、水でキレート樹脂からインジウムを外すことができることから、簡単に再生することができる。
表1は、キレート樹脂充填塔からの経過時間ごとの溶出液中の重金属濃度変化を示す。初期濃度を100としたときの溶出液中の各金属種の変化を示す表である。
表2は、水洗浄によって各回収された溶出液の分析結果を示すものである。単位はppm。
表3は、水洗後の樹脂に対して酸洗浄することによって回収された溶出液の分析結果を示すものである。単位はppm。
Figure 0004643541
Figure 0004643541
比較例1におけるインジウム、ニッケルおよびクロムの溶出液量中の値は、カラム中に残存していた物からのものと考えられる(なお、このpH条件では、ニッケルおよびクロムの大半が吸着しないと考えられる)。
Figure 0004643541
実施例1において使用したキレート樹脂を水で再生して使用した以外は、実施例1とほぼ同様に粗塩化第一鉄液(pH−0.6)を処理した結果、インジウム化合物が回収できた。このことから再生したキレート樹脂が使用できることが分かった。
ダイヤイオンCRB02(商品名、三菱化学株式会社製)を用いた以外は、実施例1とほぼ同様に粗塩化第一鉄液(pH−0.6)を処理した結果、インジウム化合物が回収できた。
実施例3において使用したキレート樹脂を水で再生して使用した以外は、実施例1とほぼ同様に粗塩化第一鉄液(pH−0.6)を処理した結果、インジウム化合物が回収できた。このことから再生したキレート樹脂が使用できることが分かった。
本発明の製造方法は、液晶モニターやプラズマモニター等に透明電極として使用されているITO(インジウム・錫・酸化物)材やIZO(インジウム・亜鉛・酸化物)材のエッチングに使用した塩化第二鉄系溶液等からインジウムを回収することができる。

Claims (3)

  1. インジウムを含有する、pH2以下の塩化第一鉄液から、ポリアミン基またはN−メチルグルカミン基を有するキレート樹脂にインジウムを吸着させる工程と、希塩化第一鉄水溶液または水を用いて当該樹脂からインジウム塩化物としてインジウムを溶出させる工程とからなる、インジウム塩化物の製造方法。
  2. ITO材の塩化第二鉄によるエッチング廃液を、上記インジウムを含有する塩化第一鉄液に変換する工程を含む、請求項1に記載の、インジウム塩化物の製造方法。
  3. ITO材の塩化第二鉄によるエッチング廃液を、上記インジウムを含有する塩化第一鉄液に変換する工程が、鉄材と接触させた後に塩酸を加える工程である、請求項2に記載の、インジウム塩化物の製造方法。
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