JP2008050197A - 高純度水酸化アルカリ金属の製造方法 - Google Patents

高純度水酸化アルカリ金属の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、水酸化アルカリが高濃度の状態のままで、この中に含有する重金属分を除去、精製する高純度水酸化アルカリの製造方法を提供するものである。
【解決手段】
市場に流通されている様な水酸化アルカリの高濃度領域での水酸化アルカリ中の重金属分の除去を鋭意検討した結果、アミジノ基を有するイオン交換樹脂により水酸化アルカリ中の重金属を除去できることを見出し、本発明を完成させたのである。前記アミジノ基を有するイオン交換樹脂として下記式(1)ものが例示できる。
A−C(=NR1)−NHR2 (1)
式(1)において、Aはスチレン系樹脂であり、R1は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基である。
【選択図】 なし

Description

この発明は、粗水酸化アルカリ金属中の重金属類を効果的に除去することができる高純度水酸化アルカリ金属の製造方法に関するものである。
例えば半導体ウェーハやカラーフィルター等の電子部品の製造においては、ウェーハ表面のエッチングによる平面化、レジスト材の除去、あるいは表面を洗浄するためなどに水酸化アルカリ金属が使用されている。これら電子部品の製造に使用される水酸化アルカリ金属は、半導体ウェーハの劣化、半導体デバイスの特性の低下等を防ぐため、ニッケル、クロム、鉄、および銅等の金属不純物を含まない高純度の水酸化アルカリ金属を用いることが要求されている。またこの他、医療用や化粧品等においてもこのような不純物を含まない薬剤の要求が高まっている。
高純度の水酸化アルカリ金属の製法としては、イオン交換膜により水酸化アルカリを精製する製造方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。この方法は精製精度は十分に高いものの設備化に比較的手間がかかり、どこでも簡単に高度精製された水酸化アルカリが得られない状況であった。また、活性炭により水酸化カリウム中のニッケルを除去する方法(例えば、特許文献2参照)、活性炭にて水酸化ナトリウム中の鉄やニッケルを除去する方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。これらは比較的簡単な設備で対応でき高度な精製が可能であるが精製可能な金属種が少ない状況であった。また、ここから一部溶出する金属種もありこの前処理に労力がかかる場合がある。
一方、キレート樹脂やイオン交換樹脂にて金属類を補足し被接触溶液等を精製、もしくは金属類を回収することが知られている。これら樹脂による水酸化アルカリの精製例としては、特定構造を有するキレート樹脂による精製が開示されている(例えば、特許文献4参照)。これらは鉄等の重金属を除去し精製することができるが、更なる高処理については開示されていないことと、取扱いの濃度で例えば苛性ソーダ濃度で150〜500g/リットルが好適例として挙げられているが、これよりも高濃度の領域でも高度な精製を満足するものではなかった。また、水酸化アルカリ中の重金属分析では、キレート樹脂(代表的にはイミノ二酢酸系)にて水酸化アルカリ中重金属を吸着しアルカリ金属と分離してから金属分を脱着して測定する方法が用いられている。しかし、金属類の捕捉効率を上げるため、例えば水酸化ナトリウムの分析では数重量%以下(以降%)の濃度に薄める必要がある(例えば、非特許文献1参照)。一方市場に流通している水酸化アルカリは、代表的な水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの両者とも48%(液温度にもよるが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの両者とも730g/l)付近が多く、使用段階ではさまざまであるが、仮保存の形態も含め20〜60%の範囲で保存や使用がされている場合が多い。従って、これまでに知られている方法では、一般的に流通及び使用されている高濃度の領域をカバーし、かつ高度の精製をあわせ持ったものができるものではなかった。
特開平09−078276号公報 特開2000−203828号公報 特開2005−001955号公報 特開平01−027648号公報 日本海水学会誌VOL.58,NO.1,p.58〜92,2004年2月1日発行
本発明は、粗水酸化アルカリ金属水溶液を高濃度の状態のままで、この中に含有する重金属分を除去および精製することができる高純度水酸化アルカリ金属水溶液の製造方法を提供するものである。
市場に流通されている様な濃度の粗水酸化アルカリ金属水溶液から重金属分の除去を鋭意検討した結果、官能基としてアミジノ基を有するイオン交換樹脂により粗水酸化アルカリ金属中の重金属を除去できることを見出し、本発明を完成させたのである。即ち、本発明は具体的に、
(1)官能基としてアミジノ基を有するイオン交換樹脂を用いて粗水酸化アルカリ金属水溶液中の重金属を除去することを特徴とする高純度水酸化アルカリ金属の製造方法であり、
(2)アミジノ基を有するイオン交換樹脂が下記式(1)で表されるイオン交換樹脂である前記1記載の高純度水酸化アルカリ金属の製造方法であり、
A−C(=NR1)−NHR2 (1)
(式(1)において、Aはスチレン系樹脂であり、R1は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基である。)
(3)前記の除去される重金属が、鉄、銅、クロム、マンガン、および/または亜鉛である前記1または2に記載の高純度水酸化アルカリ金属の製造方法であり、
(4)前記の粗水酸化アルカリ金属水溶液の濃度が20〜60重量%であることを特徴とする前記1〜3にそれぞれ一項に記載の高純度水酸化アルカリ金属の製造方法、である。また、
(5)アミジノ基誘導体を有するイオン交換樹脂を用いて水酸化アルカリ金属水溶液中から重金属を除去する方法である。
本発明の製造方法により、高濃度の粗水酸化アルカリ金属水溶液からでも重金属を除去できることから、濃縮操作等を行うことなく高純度水酸化アルカリ金属を容易に提供することができる。
本発明において取扱う粗水酸化アルカリ金属としては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい種類として挙げられ、水酸化カリウムが効率良く重金属の除去処理ができるので特に好ましい。
本発明において粗水酸化アルカリ金属水溶液の濃度は、どのような濃度でも重金属低減効果が望めるが、輸送効率、保管効率や、その後の取扱で高濃度に煮詰める等の余計な操作をしない意味で、20%以上が好ましく、固形化しない範囲として60%以下が好ましく、より好ましくは35%以上55%以下であり、40%以上53%以下が特に好ましい。
また、使用する粗水酸化アルカリ金属はイオン交換膜法にて作られるものが専らではあるが、この中に含まれる不純物としての金属類としては、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン、コバルト、バナジウム、モリブデン、クロム、ジルコニウム、銀、錫、アルミニウム、水銀、アンチモン、チタン、ビスマス、ガリウム、タリウム等が挙げられ、これを極力少なくすることが望ましい。更には特定の金属(重金属)においては少量の含有でも製品の品質に対して影響が大きく、鉄、ニッケル、銅、マンガン、クロム、カルシウムは更に低レベルまで低減できることから好ましい。
本発明において高純度水酸化アルカリ金属中の重金属、即ち鉄、ニッケル、銅、マンガン、またはクロム等の不純物は500重量ppb以下(以降ppb)であり、好ましくは50ppb以下であり、より好ましくは20ppb以下であり、更に好ましくは5ppb以下であり、0.1ppb以上である。
なお、本方法に適した粗水酸化アルカリ金属水溶液としては、含有している重金属により異なる。例えば不純物除去後の濃度が5ppb以下である場合、除去前として混入していても差し支えない濃度として各金属とも10重量ppm以下(以降ppm)が好ましく、より好ましくは3ppm以下である。なお、粗水酸化アルカリ金属水溶液において含有している各重金属の下限量は、上記高純度水酸化アルカリ金属における各重金属の含有量より多いものである。
本発明の製造方法は、例えば充填塔にアミジノ基を有するイオン交換樹脂を充填し、そこに粗水酸化アルカリ金属水溶液を通液することにより、該溶液中の重金属類を手軽に除去することができる。またタンク等に粗水酸化アルカリ金属溶液をためておき、アミジノ基を有するイオン交換樹脂を加え攪拌する等バッチ操作により重金属類を低減することも可能である。
本発明にて重金属類が吸着したアミジノ基を有するイオン交換樹脂は、超純水等による洗浄や逆洗浄操作、更に塩酸や硝酸等の酸を用て処理した後、水で洗浄する等の、公知の脱重金属操作による再生方法が適用できる。そして、このようにして再生したイオン交換樹脂は、本発明の製造方法に使用できる。
本発明に用いるアミジノ基を有するイオン交換樹脂は、官能基としてアミジノ基を有するものであれば如何様なものでも使用することができる。更に、上記式(1)で表されるイオン交換樹脂が粗水酸化アルカリ金属水溶液中から重金属を容易に除去できることから好ましいものとして例示できる。
本発明の式(1)において、Aは、スチレン系樹脂が例示でき、ポリスチレン、ポリスチレン−ジビニルベンゼン共重合体またはフェノール樹脂等が好ましく、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体のものがより好ましい。
本発明の式(1)において、R1は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくは水素原子または水酸基である。
本発明の式(1)において、R2は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
本発明の式(1)としては、R1が水酸基で、そしてR2が水素原子のものが好ましいものとして例示できる。
本発明においてアミジノ基を有するイオン交換樹脂としては、Muromac XMS-5713(官能基 アミドオキシム基、ムロマチテクノス(株)製)等が例示できる。
本発明において、該アミジノ基を有するイオン交換樹脂の使用量は、粗水酸化アルカリ金属中の重金属の含有量により決定すればよい。
本発明において、該アミジノ基を有するイオン交換樹脂に対する接触時間は、粗水酸化アルカリ金属中の重金属の含有量により決定すればよい。例えば充填塔で吸着させる場合は空塔速度(以下SVと表記)で、SV=0.1〜5[1/h]、更に好ましくはSV=0.2〜4[1/h]、特に好ましくはSV=0.3〜3[1/h]で接触させることにより効率良く重金属を吸着する事ができる。この範囲であると効率良く重金属を除去することができることから好ましい。
本発明の製造方法において、操作温度は0℃から60℃程度であり、好ましくは5℃から50℃であり、より好ましくは10℃から45℃である。該アミジノ基を有するイオン交換樹脂との接触温度がこの範囲であると粗水酸化アルカリ金属中の重金属を効率よく除去することができるので好ましい。
例えば、粗水酸化アルカリ金属水溶液をカラムにつめた該アミジノ基を有するイオン交換樹脂と0℃から60℃の間の温度で1時間接触させる流速で流して重金属を除去して、高純度水酸化アルカリ金属水溶液を製造することができる。または、粗水酸化アルカリ金属水溶液と該アミジノ基を有するイオン交換樹脂とをバッチで0℃から60℃の間の温度で2時間接触させて重金属を除去して、高純度水酸化アルカリ金属水溶液を製造することができる。
本発明の製造方法を用いて製造した高純度水酸化アルカリ金属水溶液は、用途により濃度を調整して使用することができる。
本発明の製造方法を用いて製造した高純度水酸化アルカリ金属は、半導体ウェーハやカラーフィルター等の電子部品の製造、ウェーハ表面エッチングによる平面化、レジスト材の除去、あるいは表面を洗浄するものなどに使用することができる。
本発明の精製方法を用いることにより、半導体ウェーハやカラーフィルター等の電子部品の製造、ウェーハ表面エッチングによる平面化、レジスト材の除去、あるいは表面を洗浄するものなどに使用する高純度水酸化アルカリ金属を提供することができる。
○実施態様
アミジノ基誘導体を有するイオン交換樹脂を用いて粗水酸化アルカリ金属水溶液中の重金属を除去する方法。
式(1)を有するイオン交換樹脂を用いて粗水酸化アルカリ金属水溶液中の重金属を除去する方法。
アミジノ基誘導体を有するイオン交換樹脂を用いて粗水酸化アルカリ金属水溶液中の鉄、ニッケル、銅、マンガン、および/またはクロムを除去する方法。
濃度が20〜60重量%の粗水酸化アルカリ金属水溶液中の重金属をアミジノ基誘導体を有するイオン交換樹脂を用いて除去する方法。
<実施例>
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、これらの本発明が限定されるものではない。なお、%は重量%を、ppmは重量ppmを、ppbは重量ppbを表す。使用したイオン交換樹脂の量は水を含んだ状態で静置した体積で表した。
100gの48%粗水酸化カリウム水溶液とMuromac XMS−5713(商品名、官能基 アミドオキシム基、ムロマチテクノス(株)製)20cm3をポリテトラフルオロエチレンポリ四フッ化エチレン(PTFE)製の容器に入れた。この48%粗水酸化カリウム水溶液を2時間攪拌した後、この溶液の一部を採取し、重金属含有分の分析を行った。これらの分析結果とアミジノ基を有するイオン交換樹脂と未接触の原液との結果を表1(ppb)に示した。
○重金属の分析方法
採取した試料に超純水を用いてメスアップし供試液とした。これをICP発光分析装置で測定し、検量線法により各金属濃度を求めた。
Figure 2008050197
<比較例1>
Muromac XMS−5713(商品名)の代わりにムロキレートB−1(商品名、官能基 イミノジ酢酸基、ムロマチテクノス(株)製)を用いた以外は実施例1と同様に操作し、重金属含有量を測定した。この結果を表1(ppb)に記載した。
48%水酸化カリウム水溶液の代わりに48%水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は実施例1と同様に操作し、重金属含有量を測定した。この結果を表2(ppb)に記載した。
Figure 2008050197
<比較例2>
Muromac XMS−5713(商品名)の代わりにムロキレートB−1(商品名)を用いた以外は実施例1と同様に操作し、重金属含有量を測定した。この結果を表2(ppb)に記載した。
鉄含有濃度0.18ppmの48%水酸化カリウム水溶液をMuromac XMS−5713(商品名)が60cm3充填されたカラムを用いて重金属の除去を行った。カラムの外側には水温25℃の水を循環させて処理液の温度が25℃±1℃になるようにした。またSV=2.5になるように48%水酸化カリウム水溶液の流量を調節した。なお、1Vとは、樹脂体積の1倍量の48%水酸化カリウム水溶液を流した量を言う。このことから、10Vまたは15Vとは、樹脂体積量の10倍量または15倍量を流した時のことをいう。
処理後の液を採取し、鉄含有量の分析を行い、結果を表3(ppm)に示した。
○鉄の分析方法
採取した試料に蒸留水を用いてメスアップし供試液とした。これをICP発光分析装置で測定し、検体濃度補正による検量線法により各金属濃度を求めた。
Figure 2008050197
<比較例3〜8>
実施例3においてイオン交換樹脂がMuromac XMS−5713(商品名)の代わりに下記記載のイオン交換樹脂を用いた以外は実施例3と同様に操作し、鉄含有量を測定した。これらの結果を表3(ppm)に記載した。
比較例3 ムロキレートB−1(商品名)
比較例4 THRMAX RGP(商品名、官能基 リン酸基・硫酸基)
比較例5 DOWEX 550A−OH(商品名)
(官能基 トリメチルアンモニウム基、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製)
比較例6 Muromac C501−K
(商品名、官能基 スルホン酸基、ムロマチテクノス(株)製)
比較例7 Muromac XMS−5612
(商品名、官能基 アミノリン酸基、ムロマチテクノス(株)製)
比較例8 Muromac WMT−7551
(商品名、官能基 ポリアミン基、ムロマチテクノス(株)製)
水酸化カリウム水溶液の代わりに水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例3と同様に操作して鉄の除去効果を調べた結果、実施例3と同様の結果であった。また、比較例3〜8で用いたイオン交換樹脂を用いても同様の結果であった。
本発明は粗水酸化アルカリ金属中の重金属を除去精製することができるため、半導体ウェーハ研磨等の電子材料向け、医薬品、化粧品等あらゆる分野に適用でき、水酸化アルカリ製造時、出荷時、受け入れ時、使用時等のいずれの場合でも手軽に適用することができる。

Claims (5)

  1. 官能基としてアミジノ基を有するイオン交換樹脂を用いて粗水酸化アルカリ金属水溶液中の重金属を除去することを特徴とする高純度水酸化アルカリ金属の製造方法。
  2. アミジノ基を有するイオン交換樹脂が下記式(1)で表されるイオン交換樹脂である請求項1記載の高純度水酸化アルカリ金属の製造方法。
    A−C(=NR1)−NHR2 (1)
    (式(1)において、Aはスチレン系樹脂であり、R1は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は水素原子、水酸基または炭素数1〜3のアルキル基である。)
  3. 前記の除去される重金属が、鉄、銅、クロム、マンガン、および/または亜鉛である請求項1または2に記載の高純度水酸化アルカリ金属の製造方法。
  4. 前記の粗水酸化アルカリ金属水溶液の濃度が20〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜3にそれぞれ一項に記載の高純度水酸化アルカリ金属の製造方法。
  5. アミジノ基誘導体を有するイオン交換樹脂を用いて水酸化アルカリ金属水溶液中から重金属を除去する方法。
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JP2011031223A (ja) * 2009-08-05 2011-02-17 Nomura Micro Sci Co Ltd 陰イオン交換体、その前処理方法及び再生方法並びにアルカリ水溶液の精製方法及び精製装置
JP2013166150A (ja) * 2013-05-22 2013-08-29 Nomura Micro Sci Co Ltd アルカリ水溶液の精製方法

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