JP4641548B2 - 噛合チェーン式昇降装置 - Google Patents

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Description

本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いて被昇降物を設置面に対して平行に進退動させる駆動装置であって、特に、噛合チェーンを進退動作の駆動媒体として採用した噛合チェーン式駆動装置に関する。
従来、昇降装置として、スプロケットにより相互に噛み合って一体的に昇降する一対の噛合チェーン、所謂、チャックチェーンを用いて重量物などの被昇降物を昇降移動させる昇降装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
そして、被昇降物をその上面に搭載する荷重支持部材が、一対の噛合チェーンの上端に連結されている。
特許第3370928号公報
ところが、従来の昇降装置では、被昇降物が荷重支持部材に偏在した状態で搭載された場合などに一対の噛合チェーンに対して偏荷重が負荷されて、一対の噛合チェーンが垂直状態から傾斜状態になることがあるため、このように噛合チェーンが傾斜した状態で噛合チェーンのローラとスプロケットのスプロケット歯とが接触して噛合チェーンのローラに対して局部的に過大な圧力が及ぼされ、噛合チェーンのチェーン耐久性が損なわれる虞れがあるという問題があった。
同様に、昇降駆動時に生じがちな駆動振動などに起因してスプロケットと噛合チェーンとの相互間でチェーン幅方向への相対的な位置ズレが生じた際にも、噛合チェーンのローラに対して局部的に過大な圧力が及ぼされるため、噛合チェーンのチェーン耐久性を低減させる要因となっていた。
また、前述したように一対の噛合チェーンが垂直状態から傾斜状態となる結果として、噛合チェーンが座屈し易くなってチェーン耐久性を損なうとともに、噛合いチェーンの横揺れに起因する不安定な昇降動作を生じる虞れがあるという昇降操作上の問題があった。
そして、前述したように噛合チェーンの座屈などに起因してチェーン耐久性が損なわれる結果、噛合チェーンに対して潤滑油を頻繁に給脂する必要が生じて作業負担が増大するなどの保守メンテナンス上の問題があり、また、昇降装置の主要部材である噛合チェーンのチェーン耐久性が低減するため、昇降装置の装置寿命が短くなるという問題があった。
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンとの相互間におけるチェーン幅方向への相対的な位置関係を整合させるとともに昇降駆動用噛合チェーンのチェーン幅方向における傾斜や座屈を抑制してチェーン耐久性を向上し、しかも、昇降テーブルの低床化を達成するとともに一対の昇降駆動用噛合チェーンの相互間における良好な噛合状態を実現する噛合チェーン式昇降装置を提供することである。
請求項1に係る本発明は、設置面に対して平行に併置された一対の回転軸を中心に同一面内で相互に対向して反対方向に正逆回転する一対の昇降用スプロケットと、該一対の昇降用スプロケットにより水平方向から垂直方向へ偏向しながら相互に噛み合わせて一体に自立状態で上昇するとともに前記一対の昇降用スプロケットにより垂直方向から水平方向へ偏向しながら相互に噛み外れて分岐する一対の昇降駆動用噛合チェーンと、該昇降駆動用噛合チェーンの上端に設置されて一体に昇降する昇降テーブルと、前記一対の昇降用スプロケットを駆動する駆動源と、前記昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンを装置下部領域で外筐するケーシングとを備えている噛合チェーン式昇降装置において、前記昇降用スプロケットにより相互に噛み合った一対の昇降駆動用噛合チェーンを垂直方向に向けて誘導案内するガイドローラが、前記昇降駆動用噛合チェーンをチェーン幅方向の両側から挟み込んだ状態でケーシングに軸支されていることにより、前述した課題を解決したものである。
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の構成に加えて、前記ガイドローラが、前記一対の昇降用スプロケットの回転軸を水平方向に結んだ仮想ラインの近傍領域に配置されていることにより、前述した課題を解決したものである。
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2記載の構成に加えて、前記昇降駆動用噛合チェーンが、フック部を有する内歯プレートと該内歯プレートに対してチェーン長手方向に半ピッチ分ずらして重なり合うとともにフック部を有する外歯プレートと前記内歯プレート同士をチェーン幅方向に連結固定するブシュと該ブシュに外嵌されるローラと前記外歯プレートにチェーン幅方向で連結固定される連結ピンとを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
請求項4に係る本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の構成に加えて、前記ガイドローラが、前記外歯プレートの外側面から一部突出する連結ピンのピン端部との接触を回避する位置に設けられていることにより、前述した課題を解決したものである。
そこで、本発明は、設置面に対して平行に併置された一対の回転軸を中心に同一面内で相互に対向して反対方向に正逆回転する一対の昇降用スプロケットと、該一対の昇降用スプロケットにより水平方向から垂直方向へ偏向しながら相互に噛み合わせて一体に自立状態で上昇するとともに前記一対の昇降用スプロケットにより垂直方向から水平方向へ偏向しながら相互に噛み外れて分岐する一対の昇降駆動用噛合チェーンと、該昇降駆動用噛合チェーンの上端に設置されて一体に昇降する昇降テーブルと、前記一対の昇降用スプロケットを駆動する駆動源と、前記昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンを装置下部領域で外筐するケーシングとを備えていることにより、昇降テーブルが昇降位置に関係なく昇降用スプロケットの正逆回転に合わせて昇降可能であるので、昇降テーブルの昇降動作を等速かつ迅速に達成できるとともにチェーン収納手段と駆動部分の高い設計自由度を実現でき、加えて、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
請求項1に係る本発明の噛合チェーン式昇降装置によれば、ガイドローラが昇降駆動用噛合チェーンをチェーン幅方向の両側から挟み込んだ状態でケーシングに軸支されていることにより、ガイドローラが昇降用スプロケットにより相互に噛み合った一対の昇降駆動用噛合チェーンをチェーン幅方向の両側から挟み込んで垂直方向に向けて誘導案内するため、昇降テーブルに偏在した状態で搭載された被昇降物の重量などに起因して昇降駆動用噛合チェーンに対してチェーン幅方向の片側に偏荷重が負荷された際に昇降駆動用噛合チェーンに生じがちな傾斜や座屈を確実に抑制して優れたチェーン耐久性を実現できる。
また、前述したように一対の昇降駆動用噛合チェーンがチェーン幅方向へ傾斜することを抑制することで、昇降駆動用噛合チェーンが傾斜した状態で昇降駆動用噛合チェーンのローラと昇降用スプロケットのスプロケット歯とが接触して昇降駆動用噛合チェーンのローラに対して局部的に過大な圧力が及ぼされる事態を回避するため、チェーン耐久性を著しく向上できる。
また、噛合チェーン式昇降装置の主要部材である昇降駆動用噛合チェーンのチェーン耐久性を向上させることで、噛合チェーン式昇降装置の長期に亘る装置寿命を確保でき、そして、昇降駆動用噛合チェーンに対する潤滑油の給脂間隔を延長できるなど保守メンテナンスにおける作業負担を軽減できる。
また、前述したように昇降駆動用噛合チェーンに対してチェーン幅方向の片側に偏荷重が負荷された際にも昇降駆動用噛合チェーンに傾斜や座屈が生じることを抑制することで、昇降テーブルの積載面を水平な状態に保持して安定感のある昇降動作を達成できる。
そして、ガイドローラが、装置下部領域に配置されたケーシングに設けられていることにより、ガイドローラの設置が昇降テーブルの低床化を阻む阻害要因にならず、すなわち、ガイドローラの設置によって昇降テーブルの最下降位置が高くなってしまうことを回避するので、昇降テーブルの低床化を達成して昇降テーブルに対して被昇降物を搬出搬入する作業負担が大幅に軽減できる。
請求項2に係る本発明の噛合チェーン式昇降装置によれば、請求項1記載の噛合チェーン式昇降装置が奏する効果に加えて、ガイドローラが、一対の昇降用スプロケットの回転軸を水平方向に結んだ仮想ラインの近傍領域に配置されていることにより、上昇駆動時に昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンとが相互に噛み合うとともに一対の昇降駆動用噛合チェーンが相互に噛み合い始める前記仮想ラインの近傍領域において、ガイドローラで昇降駆動用噛合チェーンをチェーン幅方向の両側から挟み込んで昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンとの相互間におけるチェーン幅方向への相対的な位置関係を整合させるため、昇降用スプロケットのスプロケット歯と昇降駆動用噛合チェーンのローラとがチェーン幅方向に整合した状態で均一に接触し、昇降駆動用噛合チェーンのローラに及ぼされる面圧を低減して昇降駆動用噛合チェーンの耐久性を著しく向上でき、また、ガイドローラが一対の昇降駆動用噛合チェーンの相互間におけるチェーン幅方向への相対的な位置関係を整合させて噛合ズレを回避するため、一対の昇降駆動用噛合チェーンを相互に確実に噛み合わせて一体に自立した状態を安定して確立できる。
また、前述したように昇降駆動用噛合チェーンの相互間、および昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンとの相互間における良好な噛合状態を実現することで、噛合振動や噛合騒音を発生させることなく昇降テーブルに搭載された被昇降物の安定した昇降移載を達成できる。
請求項3に係る本発明の噛合チェーン式昇降装置によれば、請求項1または請求項2記載の噛合チェーン式昇降装置が奏する効果に加えて、昇降駆動用噛合チェーンの内歯プレートと外歯プレートとがフック部をそれぞれ備えていることにより、一対の昇降駆動用噛合チェーンの一方を構成する外歯プレートと内歯プレートが、これに対向する他方の昇降駆動用噛合チェーンを構成する外歯プレートと内歯プレートに対してフック部を介してチャック状に強固に噛み合うため、チェーン相互間における不用意な噛み外れを回避して安定した昇降駆動を実現できる。
請求項4に係る本発明の噛合チェーン式昇降装置によれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降装置が奏する効果に加えて、ガイドローラが外歯プレートの外側面から一部突出する連結ピンのピン突出端部との接触を回避する位置に設けられていることにより、ガイドローラがピン突出端部と接触することなく外歯プレートの平坦なプレート面に安定して接触するため、ガイドローラによる安定感のあるチェーン誘導案内を実現できる。
本発明の噛合チェーン式昇降装置は、設置面に対して平行に併置された一対の回転軸を中心に同一面内で相互に対向して反対方向に正逆回転する一対の昇降用スプロケットと、一対の昇降用スプロケットにより水平方向から垂直方向へ偏向しながら相互に噛み合わせて一体に自立状態で上昇するとともに一対の昇降用スプロケットにより垂直方向から水平方向へ偏向しながら相互に噛み外れて分岐する一対の昇降駆動用噛合チェーンと、昇降駆動用噛合チェーンの上端に設置されて一体に昇降する昇降テーブルと、一対の昇降用スプロケットを駆動する駆動源と、昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンを装置下部領域で外筐するケーシングとを備え、昇降用スプロケットにより相互に噛み合った一対の昇降駆動用噛合チェーンを垂直方向に向けて誘導案内するガイドローラが、昇降駆動用噛合チェーンをチェーン幅方向の両側から挟み込んだ状態でケーシングに軸支されて、昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンとの相互間におけるチェーン幅方向への相対的な位置関係を整合させるとともに昇降駆動用噛合チェーンのチェーン幅方向における傾斜や座屈を抑制してチェーン耐久性を向上し、しかも、昇降テーブルの低床化を達成するとともに一対の昇降駆動用噛合チェーンの相互間における良好な噛合状態を実現する噛合チェーン式昇降装置を提供するものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
たとえば、本発明の噛合チェーン式昇降装置で昇降テーブルにそれぞれ配置する2組の昇降駆動用噛合チェーンは、所謂、チャックチェーンと称するものであって、一対の昇降用スプロケットにより水平方向から垂直方向への偏向駆動直後に相互に噛み合わせて一体に自立状態で上昇するとともに一対の昇降用スプロケットにより垂直方向から水平方向へ偏向駆動時に相互に噛み外れて分岐するものであれば、その具体的なチェーン形態は如何なるものであっても良く、例えば、ローラを有するもの、ローラを有していないもの、すなわち、ブシュのみを有するもの、チェーン幅方向に1列の単列であるもの、チェーン幅方向に2列以上の複列であるもの、あるいは、これらの組み合わせによるものなど何れであっても構わないが、チェーン幅方向に2列以上の複列であるものを採用する場合には、一対の昇降駆動用噛合チェーンの一方を構成する外歯プレートと内歯プレートが、これに対向する他方の昇降駆動用噛合チェーンを構成する外歯プレートと内歯プレートに対してチェーン幅方向の複列に亙ってそれぞれフック状、所謂、チャック状に多重かつ強固に噛み合うため、昇降駆動用噛合チェーンのチェーン幅方向に生じがちな座屈を確実に抑制して優れたチェーン耐久性を実現できるので、より好ましい。
また、前述した昇降駆動用噛合チェーンでは、内歯プレートに圧入嵌合するプレート側圧入部とプレート側圧入部より大径のスプロケット噛合部とを一体に備えたブシュを採用しても良く、このようなブシュを採用した場合には、ブシュと一体に成形されたスプロケット噛合部の特定された外周面で昇降用スプロケットと安定して接触するので、ローラ及びブシュを用いたチェーンのように昇降用スプロケットとの噛み合い時に連結ピンもしくはブシュの中心に対してローラの中心が偏在して昇降用スプロケットとの間で噛合振動や噛合騒音が発生することを防止でき、また、このようにしてブシュと昇降用スプロケットとの間での噛合振動の発生を防止することで、チェーン相互間における噛合タイミングにズレが生じることを回避できるので、このような噛合タイミングのズレに起因して発生する振動を被昇降物に与えることなく安定した昇降動作を実現できるとともに、昇降用スプロケットの回転力を効率良く昇降駆動用噛合チェーンに伝達することができる。
さらに、昇降駆動用噛合チェーンでは、内歯プレートのブシュ間ピッチが昇降用スプロケットによる上昇駆動時に先行する内歯プレートの下方側に圧入嵌合されたブシュの中心と内歯プレートに後続する内歯プレートの上方側に圧入嵌合されたブシュの中心との相互間隔に等しくなるように設定する、すなわち、外歯プレートのピン間ピッチが内歯プレートのブシュ間ピッチにブシュの内周と連結ピンの外周との径差を加えた長さに等しくなるように設定しても良く、このようにピン間ピッチとブシュ間ピッチとを設定した場合には、被昇降物などの荷重に起因して連結ピンがブシュに対して各内歯プレート内におけるチェーン長手方向内側に偏在した際においても、チェーン長手方向に亘る各ブシュの相互間隔がそれぞれ等しくなるので、各ブシュの相互間隔が不均等である場合に昇降用スプロケットとの間で生じがちなガタツキを抑制して、昇降用スプロケットとの円滑な噛合状態を実現でき、また、前述したように上昇駆動時における各ブシュの相互間隔をそれぞれ等しくすることで、一対の昇降駆動用噛合チェーンの一方を構成する外歯プレート及び内歯プレートと他方の昇降駆動用噛合チェーンを構成する外歯プレート及び内歯プレートとの相互間におけるチェーン長手方向の位置関係、すなわち、高さ関係を半ピッチずらした状態で適切に調整できるので、チェーン相互間における円滑な噛合タイミングを実現できる。
さらに、本発明の噛合チェーン式昇降装置は、被昇降物を昇降させる昇降テーブルが昇降駆動用噛合チェーンの駆動力によって昇降するものであるが、この昇降テーブルの安定した昇降動作をガイドするために昇降テーブルと設置床面側との間に昇降補助ガイド手段を介在させることが望ましく、この昇降補助ガイド手段の具体的な形態については、シザーリフタ等に用いられているX字状のパンタアームであっても良く、ガイドポストリフタ等に用いられているテレスコパイプであっても良い。
そして、本発明の噛合チェーン式昇降装置は、設置面が据え置き設置形態となる床面であっても、吊り下げ設置形態となる天井面であっても昇降動作に何ら支障はなく、さらには、片持ち支持形態となる垂直壁面であっても前述した昇降動作に相当する進退動作に何ら支障はない。
また、前述した吊り下げ設置形態、片持ち支持形態を採用した場合には、据え置き設置形態を採用した場合に用いられる昇降テーブルは必須の構成要素ではなく、他の手段を用いて被昇降物を昇降駆動用噛合チェーンの端部に直接的または間接的に取り付ければ良い。
以下、本発明の一実施例である噛合チェーン式昇降装置100を図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施例である噛合チェーン式昇降装置の全体斜視図であり、図2は、図1から昇降テーブルとパンタアームを除いた状態の斜視図であり、図3は、図2に示す昇降用スプロケット近傍の一部拡大図であり、図4は、昇降駆動用噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図であり、図5は、ケーシングに設置されたガイドローラを中心とした斜視図であり、図6は、ケーシングに設置されたガイドローラを上方から見た平面図であり、図7は、昇降駆動用噛合チェーンに対するガイドローラの接触状態を示す説明図である。
まず、本発明の一実施例である噛合チェーン式昇降装置100は、図1に示すように、重量物(図示していない)を搭載する昇降テーブル110を設置床面に対して平行に昇降させるために設置するものである。
そして、本実施例の噛合チェーン式昇降装置100は、図1乃至図3に示すように、前述した昇降テーブル110が平行に昇降する設置床面に据え付けたベースプレート120と、このベースプレート120に対して平行に併置された一対の回転軸130を中心に同一面内で相互に対向して反対方向に正逆回転する一対の昇降用スプロケット140と、これらの一対の昇降用スプロケット140と噛み外れることによって昇降テーブル110を昇降する一対の昇降駆動用噛合チェーン150と、この昇降駆動用噛合チェーン150の上端に設置されて一体に昇降する前述した昇降テーブル110と、前記一対の昇降用スプロケット140を回転させる同期ギア群163に動力を伝達する動力伝達チェーン162と、この動力伝達チェーン162を駆動する駆動モータ160と、一対の昇降用スプロケット140の対向する股間領域に設けられて一対の昇降駆動用噛合チェーン150を誘導移動させるチェーン誘導プレート170と、昇降用スプロケット140と昇降駆動用噛合チェーン150を装置下部領域で外筐するケーシング180とを基本的な装置構成として備えている。
なお、図5および図6に示す符号181は、昇降駆動用噛合チェーン150を水平方向の両側から挟み込んだ状態でケーシング180内に設置されたガイドプレートであり、昇降駆動用噛合チェーン150の水平方向における位置を規制して、前述したチェーン誘導プレート170と共働して昇降駆動用噛合チェーン150を垂直方向に向けて誘導案内するようになっている。
また、図5および図6は、昇降用スプロケット140を除いて図示している。
そして、前述した一対の昇降駆動用噛合チェーン150は、昇降テーブル110に対して左右2組配置され、所謂、2本突き状態になっている。
これにより、被昇降物が昇降テーブル110上に偏在した状態で搭載されている場合や昇降テーブル110の最上昇位置近傍において昇降テーブル110の幅方向に生じがちな横揺れの虞れがある場合であっても、昇降テーブル110の左右両側にそれぞれ配置された一対の昇降駆動用噛合チェーン150が、搭載された被昇降物を含めた全荷重を二分してその負荷を分担軽減した自立状態で昇降するようになっている。
しかも、たとえ、2組配置された一対の昇降駆動用噛合チェーン150の一方が切断しても他方の一対の昇降駆動用噛合チェーン150が昇降テーブル110を落下しないように支持するようになっている。
また、前述した動力伝達チェーン162は、駆動側スプロケット161から同期ギア群163の従動側スプロケットへ動力伝達するための2組のローラチェーンからなるものであって、所謂、2本掛け状態になっている。
これにより、駆動側スプロケット161から従動側スプロケットへ伝達する動力を二分して伝動負荷を軽減している。
しかも、2組配置された動力伝達チェーン162の一方が切断しても他方の動力伝達チェーン162が昇降テーブル110を落下しないように動力伝達するようになっている。
さらに、前述した駆動モータ160は、公知のウォームとウォーム歯車(図示しない)で構成された減速機構を備えている。
これにより、駆動障害が生じてもウォームとウォーム歯車との間で相互の噛み合い抵抗、所謂、セルフロック機能が働くようになっている。
なお、図1及び図2に示す符号161は、減速機構を備えた駆動モータ160の出力軸側に同軸配置した一対の駆動側スプロケット161であり、図3に示す符号163は、一対の動力伝達チェーン162から一対の昇降用スプロケット140へ相互に反対方向に正逆回転するように動力伝達するための同期ギア群である。
そして、本実施例の噛合チェーン式昇降装置100では、図3に示すように、一対の昇降駆動用噛合チェーン150を誘導移動させるチェーン誘導プレート170が、一対の昇降用スプロケット140の対向する股間領域に設けられており、上昇駆動時に一対の昇降駆動用噛合チェーン150を相互に噛み合わせて一体に自立状態で上昇させるとともに、一対の昇降駆動用噛合チェーン150を相互に噛み外して分岐させるようになっている。
さらに、前述したような減速機構を備えた駆動モータ160は、図1などで示すように、昇降テーブル110の最下降位置の周辺域、すなわち、昇降テーブル110の投影傘下の領域外に離間配置されている。
また、前述したチェーン収納手段190も、図1に示すように、駆動モータ160と同様に、昇降テーブル110の最下降位置の周辺域、すなわち、昇降テーブル110の投影傘下の領域外に離間配置されている。
すなわち、相互に噛み外れて分岐した一対の昇降駆動用噛合チェーン150の一方は、駆動モータ160側に配置した巻き取り型のチェーン収納ボックス191からなるチェーン収納手段190内に収納されるとともに、一対の昇降駆動用噛合チェーン150の他方は、駆動モータ160と対向する反対側に配置した直線状収納レール192からなるチェーン収納手段190内に収納されるように構成されている。
したがって、これらの駆動モータ160やチェーン収納手段190の高さ寸法分に配慮することなく、昇降テーブル110の最下降位置を低くすること、すなわち、昇降テーブル110の低床化が可能となるため、昇降テーブル110に対して被昇降物を搬出搬入する作業負担が大幅に軽減され、昇降機構の保守メンテナンスの際に駆動モータ160やチェーン収納手段190が作業障害要因にならず安全且つ簡便なメンテナンス作業が行えるようになっている。
また、図1に示すように、昇降テーブル110と設置床面側のベースプレート120との間にX字状のパンタアームと称するインナーアーム194とアウターアーム195からなる上下2段連結形態の昇降補助ガイド手段193を介在させることにより、昇降テーブル110の安定した昇降動作をガイドするように構成されている。
なお、図1などに示す符号196は、インナーアーム194の下端を昇降動作に応じて摺動させるためのスライドレールである。
さらに、本発明の一実施例である噛合チェーン式昇降装置100で用いた一対の昇降駆動用噛合チェーン150は、所謂、チャックチェーンと称するものであって、図4で示すように、フック部を有する内歯プレート151と、この内歯プレート151に対してチェーン長手方向に半ピッチ分ずらして重なり合うとともにフック部を有する外歯プレート152と、前記内歯プレート151同士をチェーン幅方向に連結固定するブシュ153と、このブシュ153に外嵌されるローラ154と、前記外歯プレート152同士をチェーン幅方向に連結固定する連結ピン155とを備えており、前述したチェーン誘導プレート170に沿って水平方向から垂直方向への偏向しながら相互に噛み合わせて一体に自立状態で上昇するとともに一対の昇降用スプロケット140により垂直方向から水平方向へ偏向しながら相互に噛み外れて分岐するように配置されている。
そして、一対の昇降駆動用噛合チェーン150の一方を構成する内歯プレート151と外歯プレート152とが、これに対向する他方の昇降駆動用噛合チェーン150を構成する内歯プレート151と外歯プレート152とに対してチェーン幅方向の複列に亙ってそれぞれフック状、所謂、チャック状に多重かつ強固に噛み合うようになっており、搭載された被昇降物を含めた全荷重を支持しながら自立状態で昇降する昇降駆動用噛合チェーン150にチェーン幅方向の片側に偏荷重が負荷された場合であっても過負荷状態の昇降駆動用噛合チェーン150のチェーン幅方向に生じがちな座屈を確実に抑制して優れたチェーン耐久性を確保して不慮のチェーン切断を回避している。
そこで、本実施例の噛合チェーン式昇降装置100が最も特徴とするガイドローラ182について、図5乃至図7により詳しく説明する。
まず、ガイドローラ182は、図5および図6に示すように、昇降駆動用噛合チェーン150をチェーン幅方向の両側から挟み込んだ状態でケーシング180に軸支されており、昇降用スプロケット140により相互に噛み合った一対の昇降駆動用噛合チェーン150を垂直方向に向けて誘導案内するようになっている。
また、このガイドローラ182は、一対の昇降用スプロケット140の回転軸130を水平方向に結んだ仮想ラインLの近傍領域に配置されている。
そして、ガイドローラ182は、図6および図7に示すように、外歯プレート152の外側面から一部突出する連結ピン155のピン端部との接触を回避する位置に設けられており、チェーン幅方向の最外側に位置する外歯プレート152の平坦なプレート面に安定して接触するようになっている。
つぎに、本発明の一実施例である噛合チェーン式昇降装置100の昇降動作について図1に基づいて説明する。
まず、図1に示すように、昇降テーブル110が最上昇位置に達する場合は、一対の昇降駆動用噛合チェーン150が一対の昇降用スプロケット140によってチェーン収納ボックス191と直線状収納レール192からなるチェーン収納手段190からそれぞれ繰り出され、この一対の昇降駆動用噛合チェーン150が重量物からなる被昇降物(図示していない)を搭載する昇降テーブル110の全重量を支えながら減速機構を備えた駆動モータ160の出力に応じて2本掛けされた動力伝達チェーン162により等速かつ迅速に上昇するようになっている。
なお、このとき、前述したX字状のパンタアームと称するインナーアーム194とアウターアーム195からなる上下2段連結形態の昇降補助ガイド手段193が、昇降テーブル110の安定した上昇動作をガイドするようになっている。
一方、昇降テーブル110が最下降位置に達する場合は、一対の昇降駆動用噛合チェーン150が一対の昇降用スプロケット140によってチェーン収納ボックス191と直線状収納レール192からなるチェーン収納手段190へそれぞれ分岐しながら引き込まれ、一対の昇降駆動用噛合チェーン150が重量物(図示していない)を搭載する昇降テーブル110の全重量を支えながら減速機構を備えた駆動モータ160の出力に応じて2本掛けされた動力伝達チェーン162により等速かつ迅速に下降するようになっている。
なお、このとき、前述したX字状のインナーアーム194とアウターアーム195からなる上下2段連結形態の昇降補助ガイド手段193が、折り畳まれながら昇降テーブル110の安定した下降動作をガイドするようになっている。
このようにして得られた本実施例の噛合チェーン式昇降装置100は、ガイドローラ182が昇降駆動用噛合チェーン150をチェーン幅方向の両側から挟み込んだ状態でケーシング180に軸支されている。
したがって、ガイドローラ182が昇降用スプロケット140により相互に噛み合った一対の昇降駆動用噛合チェーン150をチェーン幅方向の両側から挟み込んで垂直方向に向けて誘導案内するため、昇降テーブル110に偏在した状態で搭載された被昇降物の重量などに起因して昇降駆動用噛合チェーン150に対してチェーン幅方向の片側に偏荷重が負荷された際に昇降駆動用噛合チェーン150に生じがちな傾斜や座屈を確実に抑制して優れたチェーン耐久性を実現できる。
また、前述したように一対の昇降駆動用噛合チェーン150がチェーン幅方向へ傾斜することを抑制することで、昇降駆動用噛合チェーン150が傾斜した状態で昇降駆動用噛合チェーン150のローラ154と昇降用スプロケット140のスプロケット歯とが接触して昇降駆動用噛合チェーン150のローラ154に対して局部的に過大な圧力が及ぼされる事態を回避するため、チェーン耐久性を著しく向上できる。
ガイドローラ182が、一対の昇降用スプロケット140の回転軸130を水平方向に結んだ仮想ラインLの近傍領域に配置されている。
したがって、上昇駆動時に昇降用スプロケット140と昇降駆動用噛合チェーン150とが相互に噛み合うとともに一対の昇降駆動用噛合チェーン150が相互に噛み合い始める仮想ラインLの近傍領域において、ガイドローラ182で昇降駆動用噛合チェーン150をチェーン幅方向の両側から挟み込んで昇降用スプロケット140と昇降駆動用噛合チェーン150との相互間におけるチェーン幅方向への相対的な位置関係を整合させるため、昇降用スプロケット140のスプロケット歯と昇降駆動用噛合チェーン150のローラ154とがチェーン幅方向に整合した状態で均一に接触し、昇降駆動用噛合チェーン150のローラ154に及ぼされる面圧を低減して昇降駆動用噛合チェーン150の耐久性を著しく向上でき、また、ガイドローラ182が一対の昇降駆動用噛合チェーン150の相互間におけるチェーン幅方向への相対的な位置関係を整合させて噛合ズレを回避するため、一対の昇降駆動用噛合チェーン150を相互に確実に噛み合わせて一体に自立した状態を安定して確立できる。
また、前述したように噛合チェーン式昇降装置100の主要部材である昇降駆動用噛合チェーン150のチェーン耐久性を向上させることで、噛合チェーン式昇降装置100の長期に亘る装置寿命を確保でき、そして、昇降駆動用噛合チェーン150に対する潤滑油の給脂間隔を延長できるなど保守メンテナンスにおける作業負担を軽減できる。
また、前述したように昇降駆動用噛合チェーン150に対してチェーン幅方向の片側に偏荷重が負荷された際にも昇降駆動用噛合チェーン150に傾斜や座屈が生じることを抑制することで、昇降テーブル110の積載面を水平な状態に保持して安定感のある昇降動作を達成できる。
そして、ガイドローラ182が、装置下部領域に配置されたケーシング180に設けられている。
したがって、ガイドローラ182の設置が昇降テーブル110の低床化を阻む阻害要因にならず、すなわち、ガイドローラ182の設置によって昇降テーブル110の最下降位置が高くなってしまうことを回避するので、昇降テーブル110の低床化を達成して昇降テーブル110に対して被昇降物を搬出搬入する作業負担が大幅に軽減できる。
また、前述したように昇降駆動用噛合チェーン150の相互間、および昇降用スプロケット140と昇降駆動用噛合チェーン150との相互間における良好な噛合状態を実現することで、噛合振動や噛合騒音を発生させることなく昇降テーブル110に搭載された被昇降物の安定した昇降移載を達成できる。
昇降駆動用噛合チェーン150の内歯プレート151と外歯プレート152とが、フック部をそれぞれ備えている。
したがって、一対の昇降駆動用噛合チェーン150の一方を構成する外歯プレート152と内歯プレート151が、これに対向する他方の昇降駆動用噛合チェーン150を構成する外歯プレート152と内歯プレート151に対してフック部を介してチャック状に強固に噛み合うため、チェーン相互間における不用意な噛み外れを回避して安定した昇降駆動を実現できる。
ガイドローラ182が、外歯プレート152の外側面から一部突出する連結ピン155のピン突出端部との接触を回避する位置に設けられている。
したがって、ガイドローラ182がピン突出端部と接触することなく外歯プレート152の平坦なプレート面に安定して接触するため、ガイドローラ182による安定感のあるチェーン誘導案内を実現できるなど、その効果は甚大である。
本発明の一実施例である噛合チェーン式昇降装置の全体斜視図。 図1から昇降テーブルとパンタアームを除いた状態の斜視図。 図2に示す昇降用スプロケット近傍の一部拡大図。 昇降駆動用噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図。 ケーシングに設置されたガイドローラを中心とした斜視図。 ケーシングに設置されたガイドローラを上方から見た平面図。 昇降駆動用噛合チェーンに対するガイドローラの接触状態を示す説明図。
符号の説明
100 ・・・ 噛合チェーン式昇降装置
110 ・・・ 昇降テーブル
120 ・・・ ベースプレート
130 ・・・ 回転軸
140 ・・・ 昇降用スプロケット
150 ・・・ 昇降駆動用噛合チェーン
151 ・・・ 内歯プレート
152 ・・・ 外歯プレート
153 ・・・ ブシュ
154 ・・・ ローラ
155 ・・・ 連結ピン
160 ・・・ 駆動モータ
161 ・・・ 駆動側スプロケット
162 ・・・ 動力伝達チェーン
163 ・・・ 同期ギア群
170 ・・・ チェーン誘導プレート
180 ・・・ ケーシング
181 ・・・ ガイドプレート
182 ・・・ ガイドローラ
190 ・・・ チェーン収納手段
191 ・・・ 巻き取り型のチェーン収納ボックス
192 ・・・ 直線状収納レール
193 ・・・ 昇降補助ガイド手段
194 ・・・ インナーアーム
195 ・・・ アウターアーム
196 ・・・ スライドレール

Claims (4)

  1. 設置面に対して平行に併置された一対の回転軸を中心に同一面内で相互に対向して反対方向に正逆回転する一対の昇降用スプロケットと、該一対の昇降用スプロケットにより水平方向から垂直方向へ偏向しながら相互に噛み合わせて一体に自立状態で上昇するとともに前記一対の昇降用スプロケットにより垂直方向から水平方向へ偏向しながら相互に噛み外れて分岐する一対の昇降駆動用噛合チェーンと、該昇降駆動用噛合チェーンの上端に設置されて一体に昇降する昇降テーブルと、前記一対の昇降用スプロケットを駆動する駆動源と、前記昇降用スプロケットと昇降駆動用噛合チェーンを装置下部領域で外筐するケーシングとを備えている噛合チェーン式昇降装置において、
    前記昇降用スプロケットにより相互に噛み合った一対の昇降駆動用噛合チェーンを垂直方向に向けて誘導案内するガイドローラが、前記昇降駆動用噛合チェーンをチェーン幅方向の両側から挟み込んだ状態でケーシングに軸支されていることを特徴とする噛合チェーン式昇降装置。
  2. 前記ガイドローラが、前記一対の昇降用スプロケットの回転軸を水平方向に結んだ仮想ラインの近傍領域に配置されていることを特徴とする請求項1記載の噛合チェーン式昇降装置。
  3. 前記昇降駆動用噛合チェーンが、フック部を有する内歯プレートと該内歯プレートに対してチェーン長手方向に半ピッチ分ずらして重なり合うとともにフック部を有する外歯プレートと前記内歯プレート同士をチェーン幅方向に連結固定するブシュと該ブシュに外嵌されるローラと前記外歯プレートにチェーン幅方向で連結固定される連結ピンとを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の噛合チェーン式昇降装置。
  4. 前記ガイドローラが、前記外歯プレートの外側面から一部突出する連結ピンのピン端部との接触を回避する位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の噛合チェーン式昇降装置。
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