以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係るインクジェットヘッドの外観斜視図である。図1に示すように、インクジェットヘッド1は、主走査方向に長尺な形状であって、紙面下方から順に、用紙に対向するヘッド本体2と、インクを一時的に貯溜すると共に、ヘッド本体2に含まれる後述する流路ユニット9(図6参照)にインクを供給するリザーバユニット3と、コネクタ5a及びコンデンサ5bなどの電子部品が実装された基板4とを有している。なお、本説明においては、インクジェットヘッド1のヘッド本体2が設けられている側を「下」、基板4が設けられている側を「上」として上下方向を定める。
ヘッド本体2の上面には、後で詳述するように、4つのアクチュエータユニット21(図6参照)が固定されている。このアクチュエータユニット21上に配線部材であるFPC(Flexible Printed Circuit)6がそれぞれ貼り付けられており、ヘッド本体2とリザーバユニット3との間からリザーバユニット3の側面に沿って上方に引き出されている。このように、FPC6は、一端においてアクチュエータユニット21と接続され、他端において基板4のコネクタ5aと接続されている。また、FPC6には、アクチュエータユニット21から基板4に至る途中で、ドライバIC7が実装されている。つまり、FPC6は、基板4とドライバIC7とに電気的に接続されており、基板4から出力された画像信号をドライバIC7に伝達し、ドライバIC7から出力された駆動信号をアクチュエータユニット21に供給する。
図2は、図1に示すリザーバユニット3の断面図である。図2では説明の都合上、鉛直方向の縮尺を拡大している。図3は、図1に示すリザーバユニット3の分解平面図である。ここで、図3(a)、(b)はいずれもリザーバユニット3の一部を構成するインク導入ブロック11であって、(a)は上方から見た図であり、(b)は下方から見た図である。また、図(c)、(d)は、リザーバユニット3の一部を構成するプレート12、13をそれぞれ上方から見た図であり、図3(e)は、リザーバユニット3の一部を構成するプレート14を下方から見た図である。図4は、図2に示すインク導入ブロック11を斜め下方から見たときの斜視図である。図5は、図2に示すインク導入ブロック11を斜め上方から見たときの斜視図である。なお、図3〜図5においては、インク導入ブロック11の構造を分かり易くするために、後述するフィルム41、42及びフィルタ37を省略して描いている。
リザーバユニット3は、図3に示すように、主走査方向に長尺なインク導入ブロック11と、主走査方向に長尺な矩形状の平面を有する3枚のプレート12〜14とが積層された積層構造を有する。なお、図2に示すように、互いに積層されたプレート12〜14は、インク供給ブロック15を構成する。ここで、プレート12〜14は、例えば、ステンレス鋼等の金属プレートである。
最上層のインク導入ブロック11は、例えば、ポリアセタール樹脂やポリプロピレン樹脂のような合成樹脂から形成されている。そして、インク導入ブロック11の内部には、図2に示すように、上面11aにおける長手方向一端部(図中左側端部)近傍に形成された入口31と、下面11bにおける長手方向中央に形成された出口33とを連通する上部リザーバ流路34が形成されている。すなわち、上部リザーバ流路34は、インク導入ブロック11の長手方向に関して中央から一方の端部までの間にのみ形成されている。インク導入ブロック11の上面11aには、入口31を取り囲みつつ上方に向かって突出した筒状のジョイント部30が形成されている。ジョイント部30には、インクタンク(不図示)に接続されたインク供給チューブ(不図示)の端部に繋がれた接続部材が接続される。こうして、ジョイント部30を介して上部リザーバ流路34にインクタンクからのインクが供給される。
また、図3(a)及び図5に示すうように、インク導入ブロック11の上面11aには、その長手方向に沿って長尺な楕円形状の開口32が形成されている。開口32は、上面11aにおける上部リザーバ流路34が形成された部分と対向する領域内に形成されており、その長手方向一端(図2、3(a)中右側端)が、下面11bに形成された出口33と対向している。そして、開口32は、図2に示すように、フィルム42によって封止されている。さらに、インク導入ブロック11の下面11bには、図3(b)及び図4に示すように、上面11aに形成された入口31と対向する箇所と、上面11aに形成された開口32の出口33と対向する一端部とは反対側の他端部近傍と対向する箇所とに跨る領域に、主走査方向に延在する開口35が形成されている。開口35は、図2に示すように、フィルム41によって封止されている。
このようにインク導入ブロック11には、開口35を封止するフィルム41及び開口32を封止するフィルム42によって、インク導入ブロック11の長手方向一端部近傍の入口31から、長手方向中央の出口33に至る上部リザーバ流路34が形成されている。なお、図2に示すように、上部リザーバ流路34における、その延在方向略中央から、開口35の端部と開口32の端部とが対向している箇所までは、その深さ(図中上下方向に沿う長さ)が上方に拡張されている。かかる深所部分には、フィルタ37が設けられている。こうして、インクタンクからのインクが、入口31から上部リザーバ流路34内に流通し、フィルタ37を通過した後、出口33から流出する。
ここで、開口35、32をそれぞれ封止するフィルム41、42は、可撓性を有しつつ優れたガスバリア性を有する材質(例えば、シリカ膜(SiOx膜)又はアルミ膜が蒸着されたPET(ポリエチレン・テレフタレート)フィルム)から構成されている。したがって、インクジェットヘッド1の外側の気体が、フィルム41、42を介して、インク導入ブロック11の上部リザーバ流路34内にほとんど侵入することができないようになっている。
さらに、インク導入ブロック11の下面11bにおける出口33の周囲には、環状溝43が形成されている。環状溝43には、Oリング44が嵌め込まれており、出口33と後述するようにプレート12に形成された注入口53とが水密に連通されている。また、インク導入ブロック11には、図3(a)、(b)に示すように、上面11aから下面11bまで貫通した4つの貫通孔45〜48が形成されている。これらの貫通孔45〜48は、インク導入ブロック11をプレート12にネジ止めするための貫通孔である。
また、インク導入ブロック11の副走査方向の両端であって外周側面には、図3(a)及び図5に示すように、上方に突出した引っ掛け爪26がそれぞれ2つずつ形成されている。これら引っ掛け爪26は、インク導入ブロック11上に基板4が配置されたときに、基板4の上面を押さえて保持するものである。
インク供給ブロック15の最上層のプレート12には、図2及び図3(c)に示すように、主走査方向の両端部にそれぞれ貫通孔51が形成されている。これら貫通孔51は、ネジによってプリンタ本体にインクジェットヘッド1を固定するときに使用されるものである。また、プレート12の中央には、その上面に位置する注入口53に繋がった貫通孔が形成されている。さらに、各貫通孔51からやや中央よりには、組み立て時の位置合わせ用の基準孔54が形成されている。加えて、プレート12には、4つのネジ穴56〜59が形成されている。4つのネジ穴56〜59は、上述したインク導入ブロック11の4つの貫通孔45〜48に対応して形成されている。インク導入ブロック11とプレート12とをネジ止めすると、インク導入ブロック11の出口33とプレート12の注入口53とが対向し、プレート12に形成された注入口53に繋がった貫通孔と上部リザーバ流路34とが連通する。
インク供給ブロック15の中間層のプレート13には、図2及び図3(d)に示すように、下部リザーバ流路86となる貫通孔が形成されている。下部リザーバ流路86は、主流路82及び主流路82に連通する10個の支流路83を含んでいる。主流路82は、プレート13の長手方向に長尺な略楕円形状であり、その中央がプレート12の注入口53と対向している。支流路83は、主流路82よりも流路幅が狭くなっており、いずれも主流路82の長手方向端部から、プレート13の短手方向端部近傍まで延びている。さらに、プレート13には、プレート12に形成された各基準孔54に対応した基準孔64と、各基準孔64とプレート13の長手方向端部との間に位置する逃がし孔61とが形成されている。逃がし孔61は、リザーバユニット3とインク供給ブロック15との組み付け時に用いられる。かかる組み付け工程時には、後述するように、組み付け固定盤に立てた挿通ピン99(図13(c)参照)で位置決めされるが、このとき挿通ピン99の先端部は、逃がし孔61内に位置する。
インク供給ブロック15の最下層のプレート14には、図3(e)に示すように、その下面における各支流路83の端部と対向する位置に形成された平面形状が略楕円状の流出口88に、それぞれ繋がる貫通孔が形成されている。つまり、流出口88は、いずれもプレート14の短手方向端部近傍に形成されている。プレート14の下面における流出口88の周縁部分は、突出した突出部89a、89b、89c、89dとなっている。本実施形態においてプレート14の突出部89a〜89dは、流出口88に繋がる貫通孔とともにエッチングによって形成されている。これら突出部89a〜89dの接着面(プレート14の下面)90a〜90dが、後述するように、流路ユニット9の上面である支持面9aに配置されたフィルタ膜95a、95bと固定される。そのため、プレート14の下面における接着面90a〜90d以外の部分は、流路ユニット9の支持面9aから離隔した対向面15bとなっている。つまり、対向面15bと支持面9aとの間には、所定の間隔の空間が形成される。そして、当該空間から上述のFPC6が引き出されている。また、プレート14には、プレート13に形成された各逃し孔61及び各基準孔64にそれぞれ対応した、位置決め孔71及び基準孔74が形成されている。
これら3枚のプレート12〜14は、各プレート12〜14に2つずつ形成された基準孔54、64、74に、挿通ピン97(図13(a)参照)が挿入されることで、位置合わせが行われる。このとき、図2に示すように、プレート13に形成された逃がし孔61と、プレート14に形成された位置決め孔71とが連通する。ここで、各プレート12〜14に形成された基準孔54、64、74はいずれも同径である。また、逃がし孔61は、これに対応する位置決め孔71よりも大きな径を有している。そして、プレート12〜14が互いに接着剤で固定されることによって、インク供給ブロック15が構成される。なお、図2に示すように、インク供給ブロック15には、プレート12〜14にそれぞれ形成された基準孔54、64、74によって、プレート12〜14の積層方向に延びて、インク供給ブロック15の下面である接着面90a、90dから、上面であるインク注入面15aまで貫通する貫通孔84が形成される。さらに、インク導入ブロック11及びインク供給ブロック15をネジ止めすることによって、リザーバユニット3が構成される。
次に、インクが供給されたときにおけるリザーバユニット3内でのインクの流れについて説明する。なお、図2中黒塗り矢印がリザーバユニット3内でのインクの流れを示している。
上述のように図示しないインクタンクからジョイント部30に流入したインクは、インク導入ブロック11に形成された入口31、上部リザーバ流路34、及び出口33を通過した後、プレート12の注入口53を介してプレート13の下部リザーバ流路86に流れ込む。すなわち、インクは、上部リザーバ流路34内のフィルタ37で濾過された後、下部リザーバ流路86に流れ込む。下部リザーバ流路86の主流路82では、インクがリザーバユニット3の長手方向両端部に向かう流れを形成する。さらに、インクは、主流路82の両端部から各支流路83に分岐して流れ、プレート14の流出口88にそれぞれ至る。流出口88には、後述の流路ユニット9に形成された流入口101が連通しており、インクが流路ユニット9内に供給されることになる。
このように、リザーバユニット3内には、上部リザーバ流路34、及び下部リザーバ流路86というような一連のインク流路が形成されており、このインク流路がインクを一時的に貯留するインクリザーバとなる。
次に、図6〜図12を参照しつつ、ヘッド本体2について説明する。図6は、ヘッド本体2の平面図である。図7は、図6に示すヘッド本体2の分解斜視図である。図8は、図6に示すVIII−VIII線に沿った部分断面図である。図9は、図6の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。なお、図9では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及びノズル108を実線で描いている。図10は、図9に示すX−X線に沿った部分断面図である。図11は、図6に示すフィルタ膜の部分拡大図である。図12(a)はアクチュエータユニット21の拡大断面図であり、図12(b)は、図12(a)においてアクチュエータユニット21の表面に配置された個別電極を示す平面図である。
ヘッド本体2は、図6に示すように、流路ユニット9と、流路ユニット9の支持面9aに固定された4つのアクチュエータユニット21、及びフィルタ膜95a、95bとを含む。
流路ユニット9は、リザーバユニット3のプレート14とほぼ同じ平面形状を有する直方体形状となっている。流路ユニット9の支持面9aには、上述のように、インク供給ブロック15の流出口88と連通する計10個の流入口101が形成されている。図6に示すように、流入口101は、流路ユニット9の幅方向両端部近傍に5個ずつ形成されている。より詳細には、幅方向端部近傍には、互いに近接して形成された2つの流入口101の2つの組と、孤立した流入口101とが、長手方向に沿ってほぼ等間隔で位置している。幅方向両端部近傍にそれぞれ位置する流入口101の組または孤立した流入口101は、幅方向に関して対向しないように形成されている。なお、幅方向一端部(図6中下方端部)近傍に形成された孤立した流入口101は、長手方向一端部(図6中右側端部)近傍に位置しており、幅方向他端部(図6中上方端部)近傍に形成された孤立した流入口101は、長手方向他端部(図6中左側端部)近傍に位置している。
流路ユニット9の下面であるインク吐出面9bにおけるアクチュエータユニット21の接着領域に対向する領域は、図9に示すように、多数のノズル108がマトリクス状に配置されたインク吐出領域となっている。なお、インク吐出面9bは、リザーバユニット3及び流路ユニット9の積層方向に直交する。また、流路ユニット9の内部には、図6及び図9に示すように、共通インク室であり、流入口101に連通するマニホールド流路114、及びその分岐流路である副マニホールド流路114aが形成されている。さらに、副マニホールド流路114aには、圧力室110をそれぞれ含んでおり、各ノズル108に連通する複数の個別インク流路132(図10参照)が繋がっている。なお、個別インク流路132は、アクチュエータユニット21の接着領域と対向する領域に形成されている。そして、流入口101からマニホールド流路114、副マニホールド流路114a、及び個別インク流路132にインクが流入するようになっている。
圧力室110は、アクチュエータユニット21の接着領域に対向する領域において、マトリクス状に多数配列されている。本実施の形態では、図9に示すように、等間隔に流路ユニット9の長手方向(図中左右方向)に並ぶ圧力室110の列が、幅方向(図中上下方向)に互いに平行に16列配列されている。各圧力室列に含まれる圧力室110の数は、後述のアクチュエータユニット21の外形形状(台形形状)に対応して、その長辺側から短辺側に向かって次第に少なくなるように配置されている。ノズル108も、これと同様の配置がされている。
流路ユニット9は、図7、10に示すように、上から順に、キャビティプレート122、ベースプレート123、アパーチャプレート124、サプライプレート125、マニホールドプレート126、127、128、カバープレート129、及び、ノズルプレート130、という9枚のプレートから構成されている。各プレート122〜130は、リザーバユニット3のプレート12〜14と同様に、ステンレス鋼等の金属プレートである。本実施の形態では、各プレート122〜130は、SUS製である。これらプレート122〜130は、主走査方向に長尺な矩形状の平面を有する。
キャビティプレート122には、圧力室110となる略菱形の貫通孔が多数形成されている。アパーチャプレート124には、ベースプレート123に形成された連絡孔を介して、各圧力室110に連通し、絞りとして機能するアパーチャ112となる貫通孔が形成されている。マニホールドプレート126、127、128には、積層時に互いに連結してマニホールド流路114及び副マニホールド流路114aとなる貫通孔が形成されている。マニホールド流路114は、プレート122〜125に形成された連絡孔を介して、支持面9aに形成された流入口101に連通している。副マニホールド流路114aは、サプライプレート125に形成された連絡孔を介して、アパーチャ112と連通している。ノズルプレート130には、プレート123〜129にそれぞれ形成された連絡孔を介して、各圧力室110と連通するノズル108となる孔が形成されている。
これら9枚のプレート122〜130は、図10に示すような、副マニホールド流路114aの出口から、アパーチャ112及び圧力室110を介して、ノズル108に至る個別インク流路132が流路ユニット9内に形成されるように位置合わせしつつ積層され、且つ互いに固定されている。なお、各プレート122〜130の位置合わせは、後で詳述するように、積層確認孔122a〜130a、及び基準孔122b〜130b(図7参照)を用いて行われる。
ここで、図7に示すように、各プレート122〜130の長手方向両端部近傍には、積層確認孔122a〜130a、基準孔122b〜130b、及び位置決め孔122c〜130cの3つの孔がそれぞれ形成されている。これら3つの孔122a〜130a、122b〜130b、及び122c〜130cは、各プレート122〜130の長手方向に沿って配置されている。そして、各プレート122〜130が積層された際には、これら3つの孔122a〜130a、122b〜130b、及び122c〜130cによって、流路ユニット9の長手方向両端部近傍に、3つの貫通孔102、104、106が、それぞれ形成されることとなる(図6参照)。これら3つの貫通孔102、104、106は、流路ユニット9の長手方向に沿って並んでいる。
図8に示すように、3つの貫通孔102、104、106は、いずれも流路ユニット9を上面の支持面9aから下面のインク吐出面9bまで貫通している。このうち、中央の貫通孔104は、各プレート122〜130に形成された基準孔122b〜130bによって構成される。基準孔122b〜130bは、流路ユニット9を組み立てるときの各プレート122〜130同士の位置合わせに用いられる。すなわち、基準孔122b〜130bは、いずれも同径であり、組み立て時に挿通ピン98(図13(b)参照)が挿入される。そして、各プレート122〜130が互いに接着剤で固定されることによって、流路ユニット9が構成される。また、これらの各基準孔122b〜130bによって各プレート122〜130を位置合わせしつつ積層することで、他の2つの貫通孔102、106が形成されている。
3つの貫通孔102、104、106のうち、流路ユニット9の長手方向中央寄りの貫通孔106は、各プレート122〜130に形成された積層確認孔122a〜130aによって構成される。図8に示すように、積層確認孔122a〜130aの径は、流路ユニット9の最上層のキャビティプレート122に形成されたものが最も小さく、下層のプレートに形成されたものほど大きくなり、最下層のノズルプレート130に形成されたものが最も大きい。積層確認孔122a〜130aは、各プレート122〜130を積層する際に、上述の基準孔122b〜130bで大まかな位置合わせが行われた後の微調整に用いられる。なお、この微調整によって、貫通孔106を構成する各積層確認孔122a〜130aは、ほぼ同軸状に配置されることになる。
3つの貫通孔102、104、106のうち、中央の貫通孔104に関して貫通孔106とは反対側の貫通孔102は、各プレート122〜130に形成された位置決め孔122c〜130cによって構成され、流路ユニット9とインク供給ブロック15との位置決めに用いられる。位置決め孔122c〜130cは、いずれも同径である。貫通孔102は、インク供給ブロック15におけるプレート13の逃がし孔61及びプレート14の位置決め孔71と対応した位置に形成されていると共に、位置決め孔71と同径である。これら逃がし孔61と、位置決め孔71と、貫通孔102とに挿通ピン99(図13(c)参照)を通すことで、流路ユニット9とインク供給ブロック15との位置決めが行われる。
なお、上述のように、流路ユニット9には、3つの貫通孔102、104、106が長手方向両端部近傍にそれぞれ形成されている。そのため、流路ユニット9を構成する各プレート122〜130の積層時には、挿通ピン98が、2つの貫通孔104にそれぞれ挿通され、流路ユニット9とインク供給ブロック15との組み付け時には、挿通ピン99が、2の貫通孔102及びそれに対応する2つの位置決め孔71にそれぞれ挿通されることになる。
また、流路ユニット9の支持面9aには、流入口101を覆う複数のフィルタ膜95a、95bが配置されている。フィルタ膜95a、95bには、図11に示すように、流入口101に対向した領域には、多数の濾過孔96aが形成されており、流入口101から流路ユニット9内に供給されるインクを濾過することが可能な濾過領域96となっている。なお、流入口101に対向していない領域には、濾過孔96aは形成されていない。
図6に示すように、フィルタ膜95aは、流路ユニット9の長手方向端近傍に位置する孤立した流入口101を覆っている。フィルタ膜95aは、流路ユニット9の長手方向端部と、支持面9aに固定された4つのアクチュエータユニット21のうち、最も当該端部に近いものとの間において、流路ユニット9の幅方向に対して斜めに傾いて延在しており、流路ユニット9の幅方向両端部近傍まで延びている。さらに、フィルタ膜95aは、濾過領域96以外の領域によって、流路ユニット9の長手方向中央寄りに配置された貫通孔106を覆っている。フィルタ膜95bは、流路ユニット9の長手方向に沿って延在しており、互いに近接して2つ配置された流入口101の4つの組をそれぞれ覆っている。
つまり、フィルタ膜95a、95bは合計6つ設けられている。これらフィルタ膜95a、95bは、図6中2点鎖線で示すように、リザーバユニット3のプレート14に形成された突出部89a〜89dのそれぞれと対向する領域内に配置されている。フィルタ膜95a、95bは、突出部89a〜89dの接着面90a〜90dと接着剤によって接着されている。なお、フィルタ膜95aは、接着面90a、90dと接着された際に、インク供給ブロック15に形成された貫通孔84の下方開口を覆う(図13(c)参照)。
各アクチュエータユニット21は、上述のように、複数の圧力室110及び複数のノズル108が形成された領域と対向して配置されている。そして、アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対向して設けられた複数のアクチュエータを含み、圧力室110内のインクに吐出エネルギーを付与する機能を有する。
4つのアクチュエータユニット21は、図6に示すように、それぞれ台形の平面形状を有しており、支持面9aにおける長手方向両端部近傍にそれぞれ配置されたフィルタ膜95aの間の領域において、流入口101を避けるよう千鳥状に配置されている。より詳細には、各アクチュエータユニット21は、その平行対向辺が流路ユニット9の長手方向に沿うように、長手方向に配列される。そして、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士が、流路ユニット9の長手方向に重なり合っている。
ここで、アクチュエータユニット21は、上述のように、それぞれ台形の外形形状を有しているので、主走査方向の最も外側の両端部には、インクの吐出を行わない領域が存在する。この領域は、被記録媒体に対する印字領域の外に位置する非印字領域で、図6の領域Aがこれに相当する。図6に示すように、各アクチュエータが配置された印字領域を中央にして、これに続く非印字領域が貫通孔106等の配設領域を離隔している形態となっている。そのため、アクチュエータユニット21は、インクの侵入による影響を受けにくい。
上述したように、インク供給ブロック15は、突出部89a〜89dによって、流路ユニット9上のフィルタ膜95a、95bに固定されているので、突出部89a〜89dの突出高さとフィルタ膜95a、95bの厚さ分だけ、インク供給ブロック15の対向面15bと流路ユニット9の支持面9aとの間には隙間が生じている。アクチュエータユニット21は、この隙間内に配置されている。さらに、アクチュエータユニット21上にはFPC6が固定されているが、このFPC6は、対向して配置されるインク供給ブロック15の対向面15bには接触していない。
アクチュエータユニット21は、ユニモルフ型のアクチュエータであって、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる厚み略15μmの3枚の圧電シート141、142、143から構成されている(図12(a)参照)。圧電シート141〜143は、1つのインク吐出領域に対応して形成された多数の圧力室110に跨って配置されている。
最上層の圧電シート141上における圧力室110に対向する位置には、厚さ略1μmの個別電極135が形成されている。最上層の圧電シート141とその下側の圧電シート142との間には、シート全面に形成された略2μmの厚みの共通電極134が介在している。個別電極135及び共通電極134は、共に例えばAg−Pd系等の金属材料からなる。圧電シート142、143の間には電極が配置されていない。
個別電極135は、図12(b)に示すように、圧力室110とほぼ相似な略菱形の平面形状を有する。略菱形の個別電極135における鋭角部の一方は、図12に示すように、圧力室110と対向しない位置まで延出され、その先端には、個別電極135と電気的に接続された、略160μmの径を有する円形のランド136が設けられている。ランド136は、例えばガラスフリットを含む金からなる。各ランド136は、FPC6(図1参照)に設けられた接点(リード線)と電気的にそれぞれ接合されている。
共通電極134は、図示しない領域において接地されている。これにより、共通電極134は、すべての圧力室110に対応する領域において、等しくグランド電位に保たれている。
ここで、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。圧電シート141は、その厚み方向に分極されている。したがって、個別電極135を共通電極134と異なる電位にして、圧電シート141に対してその分極方向に電界を印加すると、圧電シート141における電界印加部分が、圧電効果により歪む活性部として働く。即ち、圧電シート141は、その厚み方向に伸長又は収縮し、圧電横効果により平面方向に収縮又は伸長しようとする。一方、残り2枚の圧電シート142、143は、個別電極135と共通電極134とに挟まれた領域をもたない非活性層であって、自発的に変形することができない。
圧電シート141における電界印加部分とその下方の圧電シート142、143との間で平面方向への歪みに差が生じると、圧電シート141〜143全体が圧力室110側へ凸になるように変形(ユニモルフ変形)する。これにより圧力室110の容積が低下し、ノズル108からインクが吐出される。その後、個別電極135を共通電極134と同じ電位に戻すと、圧電シート141〜143は元の平坦な形状になって、圧力室110の容積が元の容積に戻る。これに伴い、再び圧力室110内にインクが貯溜される。こうして、用紙に所望の画像が印字される。
次に、図13を参照しつつ、インクジェットヘッド1の製造工程について説明する。
まず、インク供給ブロック15を製造するには、3枚の金属プレートに対して、パターニングされたフォトレジストをマスクとしたエッチングを施して、図3(c)〜(e)に示すような、3枚のプレート12〜14を作製する。そして、図13(a)に示すように、3枚のプレート12〜14を、各プレート12〜14にそれぞれ形成された基準孔54、64、74に挿通ピン97を挿通させた状態で積層し、位置合わせを行う。なお、基準孔54、64、74は互いに同径であるので、これら基準孔54、64、74に嵌合するような挿通ピン97を嵌め込むことによって、正確な位置合わせを行うことができる。このとき、各プレート12〜14の間には、エポキシ系の熱硬化性接着剤を介在させる。さらに、3枚のプレート12〜14を熱硬化性接着剤の硬化温度以上の温度に加圧しつつ加熱する。これによって、熱硬化性接着剤が硬化して3枚のプレート12〜14が互いに固着され、インク供給ブロック15が構成される。
一方、ヘッド本体2を製造するには、まず、9枚の金属プレートに対してパターニングされたフォトレジストをマスクとしたエッチングを施して、図7に示すような、9枚のプレート122〜130を作製する。そして、図13(b)に示すように、9枚のプレート122〜130を、各プレート122〜130にそれぞれ形成された基準孔122b〜130bに挿通ピン98を挿通させた状態で積層し、位置合わせを行う。なお、各プレート122〜130にそれぞれ形成された基準孔122b〜130bは互いに同径であるので、これら基準孔122b〜130bに嵌合するような挿通ピン98を嵌め込むことによって、ほぼ正確な位置合わせを行うことができる。
さらに、積層確認孔122a〜130aにより、プレート122〜130の高精度な位置合わせを行う。具体的には、例えば、最下層のノズルプレート130にカバープレート129を積層する際には、カバープレート129に形成された積層確認孔129aと、ノズルプレート130に形成された積層確認孔130aとの軸合わせを行い、プレート129、130の高精度な位置合わせを行う。このとき、各プレート122〜130の間には、エポキシ系の熱硬化性接着剤が介在されており、積層が完了した後、熱硬化性接着剤の硬化温度以上の温度に加圧しつつ加熱する。これによって、9枚のプレート122〜130が互いに固着され、流路ユニット9が構成される。その後、流路ユニット9の支持面9aに、別途作製されたアクチュエータユニット21とフィルタ膜95a、95bとが接着剤によって固定され、ヘッド本体2が作製される。
なお、インク供給ブロック15の作製工程と、ヘッド本体2の作製工程とは、独立に行われるものであるため、いずれを先に行ってもよいし、並行して行ってもよい。
その後、FPC6とアクチュエータユニット21とをそれぞれ電気的に接続してから、図13(c)に示すように、流路ユニット9に形成された貫通孔102とインク供給ブロック15のプレート14に形成された位置決め孔71とに、挿通ピン99を挿通させる。なお、挿通ピン99の先端は、インク供給ブロック15のプレート13に形成された逃がし孔61内に位置する。このとき、流路ユニット9の流入口101とインク供給ブロック15の流出口88とが、フィルタ膜95a、95bを介して接続されるように、流路ユニット9とインク供給ブロック15とが位置決めされる。ここで、貫通孔102と位置決め孔71とは互いに同径であるので、これら貫通孔102及び位置決め孔71に嵌合するような挿通ピン99を嵌め込むことによって、正確な位置合わせを行うことができる。
このとき、流路ユニット9の支持面9aに配置されているフィルタ膜95a、95bにおける濾過領域96以外の領域と、インク供給ブロック15の突出部89a〜89dにおける接着面90a〜90dとの間には、エポキシ系の熱硬化性接着剤を介在させておく。続いて、流路ユニット9及びインク供給ブロック15を熱硬化性接着剤の硬化温度以上の温度に加圧しつつ加熱する。これによって、熱硬化性接着剤が硬化して、流路ユニット9及びインク供給ブロック15が、フィルタ膜95a、95bを介して固着される。
本実施の形態では、図13(c)に示すように、流路ユニット9とインク供給ブロック15とが位置決めされたとき、インク供給ブロック15に形成された貫通孔84は、流路ユニット9に形成された貫通孔102、104、106と平面視において異なる位置にある。より詳細には、流路ユニット9及びインク供給ブロック15の長手方向端部から長手方向中央に向かって(図13(c)中左側から右側に向かって)順番に、流路ユニット9の貫通孔102、貫通孔104、貫通孔106、そして、インク供給ブロック15の貫通孔84の順に位置している。また、上述のように、流路ユニット9の貫通孔102、104、106のうち、流路ユニット9の長手方向端部から最も離れている貫通孔106の上端は、フィルタ膜95aの濾過領域96以外の領域で覆われている。さらに、図13(c)に示すように、インク供給ブロック15の貫通孔84の下端についても、フィルタ膜95aの濾過領域96以外の領域によって覆われる。
さらに、別途射出形成等によって作製され、フィルム41、42及びフィルタ37が取り付けられたインク導入ブロック11を、インク供給ブロック15にネジで固定することによって、リザーバユニット3を構成する。加えて、基板4をインク導入ブロック11の引っ掛け爪26に係合させて、リザーバユニット3に固定する。最後に、FPC6のアクチュエータユニット21と接続されていない方の端部を、基板4のコネクタ5aに接続させる。こうして、リザーバユニット3とヘッド本体2と基板4とで構成されたインクジェットヘッド1が製造される。
以上のように、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、その上面である支持面9aにインクが流入する流入口101が形成された流路ユニット9と、流路ユニット9の流入口101を覆うように支持面9aに取り付けられたフィルタ膜95aと、インクが注入される注入口53及びインクが流出する流出口88が形成されており、流出口88が流路ユニット9の流入口101とフィルタ膜95aを介して接続されるインク供給ブロック15とを備えている。流路ユニット9には、その下面であるインク吐出面9bから支持面9aまで貫通する貫通孔102、104、106が設けられている。また、インク供給ブロック15には、その下面であり、フィルタ膜95aに接続される接着面90a〜90dから、その上面であるインク注入面15aまで貫通する貫通孔84が設けられている。そして、フィルタ膜95aによって、インク供給ブロック15に形成された貫通孔84と、流路ユニット9に形成された貫通孔102、104、106との連通が妨げられている。したがって、インクがインク吐出面9bから貫通孔102、104、106、及び貫通孔84を通ってインク注入面15aに達するのを防ぐことができる。よって、インク注入面15aに達したインクが、インク供給ブロック15の側面に沿って上方に引き出されているFPC6に付着したり、FPC6を伝ってアクチュエータユニット21に付着したりするのと防ぐことができる。その結果、電気障害の発生を抑制することができる。
また、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、インク供給ブロック15に形成された貫通孔84の下方開口は、流路ユニット9の支持面9aに配置されているフィルタ膜95aにおける流入口101に対向する濾過領域96以外の領域によって覆われる。したがって、フィルタ膜95aによって、流路ユニット9に設けられた貫通孔102、104、106と、インク供給ブロック15に設けられた貫通孔84との連通が遮断される。よって、インクがインク吐出面9bから貫通孔102、104、106、及び貫通孔84を通ってインク注入面15aに達するのを確実に防ぐことができる。
また、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、フィルタ膜95aにおける流入口101に対向する濾過領域96のみに、多数の濾過孔96aが形成されている。つまり、フィルタ膜95aの貫通孔84を覆っている部分には、濾過孔96aは形成されていない。したがって、フィルタ膜95aによって、流路ユニット9に設けられた貫通孔102、104、106と、インク供給ブロック15に設けられた貫通孔84との連通が確実に遮断される。よって、インクがインク吐出面9bから貫通孔102、104、106、及び貫通孔84を通ってインク注入面15aに達するのを、一層確実に防ぐことができる。
さらに、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、インク供給ブロック15に形成された貫通孔84は、流路ユニット9に形成された貫通孔102、104、106と平面視において異なる位置にある。したがって、インクがインク吐出面9bから貫通孔102、104、106、及び貫通孔84を通ってインク注入面15aに達するのを、なお一層確実に防ぐことができる。
加えて、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、流路ユニット9及びインク供給ブロック15が平面視において細長形状を有しており、貫通孔102、104、106及び貫通孔84が、流路ユニット9及びインク供給ブロック15の平面視における長手方向両端部近傍に設けられている。したがって、流路ユニット9及びインク供給ブロック15の長手方向両端部近傍に設けられた貫通孔102、104、106、及び貫通孔84の間の領域に、比較的大きなアクチュエータユニット21を配置することができる。また、台形のアクチュエータユニット21が、長手方向中央周辺に集まって配置され、貫通孔102、104、106との間に非印字領域が介在するので、インク吐出面9bから貫通孔102、104、106へインクが浸入し難くなる。
さらに、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、流路ユニット9の支持面9aに配置される4つのアクチュエータユニット21は、長手方向に隣り合うアクチュエータユニット21の長手方向に関する端部付近同士が、支持面9a内において長手方向に関して互いに重なるように、長手方向に配列される。そして、フィルタ膜95aは、長手方向に関する流路ユニット9の端部と、当該端部に最も近いアクチュエータユニット21との間に取り付けられる。したがって、各アクチュエータユニット21のサイズを大型化することなく、比較的長尺のラインを構成することができる。
また、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、フィルタ膜95aが、流路ユニット9に設けられた貫通孔102、104、106のうち、流路ユニット9の平面視における長手方向の端部との間隔が最も大きい貫通孔106を覆っている。すなわち、アクチュエータユニット21に最も近接しており、インク吐出面9bに付着したインクが浸入し易い貫通孔106を塞ぐことができる。これにより、流路ユニット9とインク供給ブロック15との間におけるアクチュエータユニット21が配置される領域にインクが侵入するのを防ぐことができる。
また、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、フィルタ膜95aは、流路ユニット9の幅方向両端部近傍まで延びている。したがって、仮に、インク吐出面9bに付着したインクが貫通孔102、104を介して、支持面9aに到達したとしても、支持面9aにおいて幅方向両端部近傍まで伸延するフィルタ膜95aにより、インクがアクチュエータユニット21の配置領域にまで達することを防ぐことができる。
さらに、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、インク供給ブロック15が、インク吐出面9bと直交する方向に関してアクチュエータユニット21と対向するように、接着面90a〜90dと同じ方向を向きつつ支持面9aから離隔した対向面15bを有している。したがって、アクチュエータユニット21と対向する領域にもインク供給ブロック15を配置することができる。よって、インク供給ブロック15内のインク貯留量を多くできるので、流路ユニット9へのインク供給不足が起こりにくくなる。
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、インク供給ブロック15に形成された貫通孔84の下方開口、及び流路ユニット9に形成された貫通孔106の上方開口が、フィルタ膜95aの濾過領域96以外の領域によって覆われる場合について説明したが、これには限られない。すなわち、貫通孔84と貫通孔106とのいずれか一方のみがフィルタ膜95aによって覆われていてもよい。なお、貫通孔106のみがフィルタ膜95aで覆われ、貫通孔84はフィルタ膜95aで覆われない場合には、貫通孔84は、貫通孔106に対して貫通孔102、104とは反対側に設けられることが好ましい。これにより、仮に、インク吐出面9bに付着したインクが貫通孔102、104を介して支持面9aに到達した場合であっても、さらに貫通孔84に浸入し、インク注入面15aに到達することが難しくなる。
また、上述の実施の形態では、フィルタ膜95aにおける流入口101に対向する濾過領域96のみに、多数の濾過孔96aが形成されている場合について説明したが、フィルタ膜95a全体に濾過孔96aが形成されていてもよい。フィルタ膜95a全体に濾過孔96aが形成されている場合でも、フィルタ膜95aを流路ユニット9の支持面9aに固定する際、及びフィルタ膜95aをインク供給ブロック15の接着面90a〜90dに固定する際に接着剤を用いると、流入口101に対向する領域以外に形成された濾過孔96aは接着剤によって埋められるこことなる。したがって、フィルタ膜95aによって、貫通孔102、104、106と貫通孔84との連通を妨げることができる。
また、上述の実施の形態では、インク供給ブロック15に形成された貫通孔84が、流路ユニット9に形成された貫通孔104、106と平面視において異なる位置にある場合について説明したが、両者の間にフィルタ膜95aが配置されるのであれば、貫通孔84と貫通孔104又は貫通孔106とが、平面視において同一位置にあってもよい。
さらに、上述の実施の形態では、流路ユニット9及びインク供給ブロック15が、平面視において細長形状を有しており、貫通孔102、104、106、及び貫通孔84が、流路ユニット9及びインク供給ブロック15の平面視における長手方向両端部近傍に設けられている場合について説明したが、これには限られない。流路ユニット9及びインク供給ブロック15の形状は長細形状に限定されない。また、貫通孔102、104、106、及び貫通孔84の位置も、長手方向端部近傍でなくてもよい。
加えて、上述の実施の形態では、フィルタ膜95aが、流路ユニット9の幅方向両端部近傍まで延びている場合について説明したが、これには限定されない。