JP4639489B2 - 絶縁性シートの異物検出装置および該シートの検査処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電気、電子部品の絶縁部材として使用される電気絶縁性シートの出荷検査等に好適に用いられる絶縁性シートの異物検出装置および該シートの検査処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電気、電子部品を絶縁するための電気絶縁性シートは、例えば樹脂フィルム、紙材料、不織布または織物シート等を用いて形成され、その材質としては、炭素繊維を除くガラス等の無機繊維材料、合成樹脂または天然繊維材料等が挙げられる。
【0003】
また、電子部品等を実装するために用いられる絶縁性基板は、例えばガラス繊維等からなる電気絶縁性シートにエポキシ樹脂を含浸させて熱プレス等を行うことにより形成されている。
【0004】
そして、このような絶縁性シートは、例えば製造工程の途中で金属粉、カーボン粒子、硫化ニッケル等の導電性を有する異物が混入すると、この異物により十分な電気絶縁性を確保するのが難しくなるため、製品シートの出荷に先立って異物の検査等を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来技術による異物検査方法は、絶縁性シート内に混入した導電性の異物等を目視により検査している場合が多い。
【0006】
しかし、最近の傾向として、電子部品の微細化、集積化に伴い、例えば0.1mm(100μm)以下というような小さな異物をも検出して除去しない限り、絶縁性シートに本来要求される機能を満たすことができなくなってきている。
【0007】
即ち、厚さが0.1mm前,後の絶縁性シートにあっては、例えば0.1mm以下の長さをもった導電性の異物が、シートの厚み方向に貫通した状態で混入している場合に、絶縁性シートとしての十分な電気的絶縁性を確保することが難しく、該シートを使用した電子部品の信頼性を向上することができないという問題がある。
【0008】
この場合、例えばサーチコイル方式の金属探知機等を用いてシート内に混入した導電性異物を探知する方法等が考えられる。しかし、このような金属探知機の場合は、最長で1mm程度の大きさをもった異物しか検出することができず、十分な感度を確保することができない。
【0009】
また、他の従来技術としてイメージセンサ、CCDカメラ等を用いた画像処理によるシート状物の欠陥検出方式も知られている。しかし、画像処理による方法では、通常の単純な汚れ等を検出することは可能であるものの、連続的に移送されるシート中から微小な導電性の異物を検出して処理しようとする場合に、実際には大規模な装置が必要となり、また、非導電性異物との区別が難しく、実現性が乏しいものである。
【0010】
また、別の従来技術として、例えば高感度磁気センサ、またはX線透過装置等を用いることも考えられる。しかし、磁気センサの場合には、鉄系の材料のような強磁性体からなる異物は検知できるものの、例えばステンレスの一部、銅、アルミニウム、カーボンのような磁性の弱い異物を検知することは困難である。また、異物の材質により検出感度に大きな差が生じることがあり、導電性の異物という一律の基準では、検出精度を維持することが難しいという問題がある。
【0011】
さらに、X線透過装置等を用いる場合では、静置状態にあり、かつ限られた大きさのシートに対しては適用できるものの、連続的に走行するシートから導電性の異物を検出するには実用性が乏しく、また大規模な設備が必要となる等の問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、検出対象となる導電性の異物を、絶縁性シートを連続的に移送しながら検出することができ、シートの品質安全性、信頼性を向上できるようにした絶縁性シートの異物検出装置および該シートの検査処理方法を提供することにある。
【0013】
また、本発明にあっては、適用対象となる電気絶縁性シートの厚みが、例えば0.1mm以下であっても、その中に混入した微小な異物の検出を連続的に行うことができ、少なくとも厚み方向での導通の可能性をなくすことができるようにした絶縁性シートの異物検出装置および該シートの検査処理方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明による絶縁性シートの異物検出装置は、ガラス繊維束を用いた織物からなる長尺な電気絶縁性シートを連続的に移送する移送手段と、該移送手段の途中に位置し前記絶縁性シートを厚さ方向両側から挟むように対向して配設された第1,第2の電極と、前記絶縁性シート内に混入した導電性の異物を検知するため該第1,第2の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、該電圧印加手段の電圧印加によって前記第1,第2の電極間に通電または放電が生じたか否かを検知する検知手段とを備え、前記第1の電極は前記絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成し、前記第2の電極は、前記導電性の異物が絶縁性シートのいずれの位置に混入しているかを識別するため前記絶縁性シートの幅方向に分離して設けられた複数枚の電極板により構成し、前記第2の電極を構成する前記各電極板は、可撓性の連結具で吊り下げた状態に保持されることにより、前記絶縁性シートを前記第1の電極との間で挟むように対向し、かつ前記絶縁性シートに対し互いに独立して配置され該絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触する構成としている。
【0015】
このように構成することにより、移送手段で移送されるガラス繊維束を用いた織物からなる電気絶縁性シートに対して第1,第2の電極、即ち回転するローラと電極板とを厚さ方向両側から挟むように対向して配設でき、移送(走行)途中の絶縁性シート内に導電性の異物が混入しているときには、第1,第2の電極間に印加した電圧によって電極間に通電または放電が生じるので、検知手段はこれを検知することにより異物の有,無を簡単に検出することができる。
そして、前記第1の電極を、ガラス繊維束を用いた織物からなる絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成している。これにより、回転するローラは、絶縁性シートが電極間を滑らかに走行または移送されるのを保証できる。そして、回転するローラを電極ローラとして用いることにより、絶縁性シートの厚さ方向で導通トラブルを起こす可能性が高い導電性の異物がシート内に混入しているときに、電極間を移送される絶縁性シート内の異物に対して電極を接触状態またはそれに近い状態に保持することができる。
また、第2の電極を、導電性の異物が絶縁性シートのいずれの位置に混入しているかを識別するため前記絶縁性シートの幅方向に分離して設けた複数の電極板により構成している。これにより、検知手段は複数の電極板のうちいずれの電極板に対応する位置で通電または放電が発生したかを検知でき、絶縁性シートのいずれの位置に異物が混入、存在しているかを識別することができる。そして、検知した箇所をディスプレイ等の表示器で表示することにより、検査作業のオペレータに異物の検出箇所を知らせることができる。
しかも、第2の電極を構成する複数枚の電極板は、可撓性の連結具で吊り下げた状態に保持されることにより、絶縁性シートを第1の電極との間で挟むように対向し、かつ前記絶縁性シートに対し互いに独立して配置され該絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触する構成としている。これにより、絶縁性シートの幅方向に互いに分離して配置した各電極板を、該絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触させることができ、導電性の異物が電極板に接触または近接したときに、電極間に通電または放電が生じるのを即座に検知できる。
この場合、各電極板をシートの長さ方向に位相をずらして複数の組合せで設ける構成としてもよい。これにより、絶縁性シートの幅方向に離間した例えば2枚の電極板間で異物の検出漏れ等が発生するのを防止でき、シートの全面に亘って異物の混入の有,無を安定して検査することができる。
また、工業生産される絶縁性シートは、通常その幅寸法が1m以上のものが多く、1mを越えた長さに亘って第1,第2の電極間の間隔を均一なミクロン精度の間隔で維持することは極めて難しい。そこで、一方の電極を複数に分割された電極板により構成し、該各電極板を支持部材に対して3次元的に可動にする構成とすることにより、各電極板をシートの表面に軽く押圧することが可能となり、その電極間隔を絶縁性シートの厚さとほぼ等しくすることができる。
現行品として製造されている電気・電子部品用の絶縁性シートは、その厚さがミクロン単位の良好な精度で製造されているため、上述したような手段を用いることにより、第1,第2の電極は、シートの幅方向で均一な電極間隔を確保することができる。
【0016】
この場合、検知手段は電極間の通電を検知する構成としてもよい。しかし、通電のみを検知する構成とした場合には、例えば導電性の異物が電極と僅かに接触しないような状態で絶縁性シート中に混入しているときに、異物を検知することなく絶縁性シートが電極間を通過する可能性がある。そして、絶縁性シートの検査後に異物による通電トラブルを起こす虞れがある。このため、検知手段は電極間で放電が発生しているか否かも検知できる構成とするのが好ましい。
【0017】
また、電圧印加手段と検知手段とが一体となった装置を用いてもよく、それぞれ別体となった装置を用いてもよい。この場合、一体となった既存の装置としては、例えば火花放電を検知するスパークテスタ、コロナ放電を検知する部分放電測定機等が挙げられる。また、検知手段としては、電極間で通電または放電が発生したときに起きる電流、電圧または電荷の変化のいずれかを検知するもの、スパーク等に伴う音を検知するもの、電磁波を検知するもの等も使用可能である。その場合、検知手段は、必要に応じて予め決められた閾値を越えたか否かで検出または検知動作を行うものが望ましい。
【0018】
また、検査対象となる絶縁性シートが、例えば不織布またはクロス(織布)のような厚さ方向に連続した空気空間が存在するシートの場合には、電極間での電圧印加により、空気の絶縁破壊による火花放電が起こり易い。このため、スパークテスタ、部分放電測定機のいずれも使用可能ではあるが、検知対象放電量の大きいスパークテスタを用いる方が好ましい。また、樹脂フィルムのように、ピンホールがない限り絶縁破壊を起こしにくい材料に関しては、微量の電流しか流れないコロナ放電を検出できる感度を有した部分放電測定機を用いるのがよい。
【0019】
また、請求項2の発明によると、電圧印加手段による印加電圧は、絶縁性シート内に混入した導電性の異物が予め決められた基準値よりも大きいときに第1,第2の電極間で通電または放電が生じ、前記基準値よりも小さいときには通電または放電が生じない電圧レベルに設定してなる構成としている。
【0020】
これにより、絶縁性シート内に混入した導電性の異物が基準値よりも大きいときには、電極間で通電または放電が生じるので、これを検知手段で検知できる。しかし、導電性の異物が基準値よりも小さいときには、異物の大きさが無視できる程度に小さい場合、または絶縁性シート内で異物が無視可能な方向に混入している場合であり、この場合には電極間で通電または放電が生じることはなく、または検出感度以下の放電量であり、このように小さい異物に関しては必ずしも検知する必要はない。
【0021】
この場合、検出対象となる異物の寸法、形状等に応じて印加電圧の設定値を変えてもよい。また、電極間の距離(または絶縁性シートの厚さT)に対する異物の大きさが、厚さTに近い寸法、形状となるほど、異物を検知するときの検出精度を高めることができ、異物の混入を見逃してしまったり、小さな異物を過剰に検知したりするような検知誤差が発生する可能性を低減することができる。
【0029】
また、請求項3の発明は、電圧印加手段により第1,第2の電極間に印加する電圧を直流電圧とする構成にしている。この場合、印加電圧は交流でも原理的には検出可能である。しかし、検査対象が連続走行する絶縁性シートであるため、シートが電極間を通過する瞬間における電圧が絶えず変動する交流の場合には、安定した一定の基準で異物を検知することが難しい場合もある。このため、直流電圧を印加する構成とすることにより、異物の検出精度を高めることができる。
また、請求項4の発明によると、前記絶縁性シートは、前記第1の電極を構成する前記ローラにより方向転換して移送される構成としている。
【0030】
一方、請求項5の発明による絶縁性シートの検査処理方法は、ガラス繊維束を用いた織物からなる長尺な電気絶縁性シートを連続的に移送する移送手段と、該移送手段の途中に位置し前記絶縁性シートを厚さ方向両側から挟むように対向して配設された第1,第2の電極と、前記絶縁性シート内に混入した導電性の異物を検知するため該第1,第2の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、該電圧印加手段の電圧印加によって前記第1,第2の電極間に通電または放電が生じたか否かを検知する検知手段とを備え、前記第1の電極は前記絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成し、前記第2の電極は、前記導電性の異物が絶縁性シートのいずれの位置に混入しているかを識別するため前記絶縁性シートの幅方向に分離して設けられた複数枚の電極板により構成し、前記第2の電極を構成する前記各電極板は、可撓性の連結具で吊り下げた状態に保持されることにより、前記絶縁性シートを第1の電極との間で挟むように対向し、かつ前記絶縁性シートに対し互いに独立して配置され該絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触する構成としてなる異物検出装置を用いた検査処理方法であって、前記第1,第2の電極により、前記絶縁性シート内に導電性の異物が混入しているか否かを検知する異物検知工程を有している。
また、請求項6の発明は、前記異物検知工程により前記異物の混入を検知したときに前記移送手段による絶縁性シートの移送を止め前記絶縁性シートを予め決められた検査位置に停止させるシート停止工程と、前記検査位置で前記絶縁性シート内に混入した異物の除去処理を行う異物除去工程と、前記異物を除去した後に前記移送手段による絶縁性シートの移送を再開するシート移送再開工程とからなる絶縁性シートの検査処理方法を採用している。
【0031】
これにより、異物検知工程で異物の混入を検知したときには、シート停止工程において移送手段による絶縁性シートの移送を止め、該絶縁性シートを予め決められた検査位置に停止させつつ、この検査位置で絶縁性シート内に混入した導電性の異物を、例えば拡大鏡を覗きながらの手作業または適当な治具等を用いて取除くように除去処理を行うことができる。そして、異物を除去した後には移送手段による絶縁性シートの移送を再開でき、当該シートの全面に亘る検査処理を継続して行うことができる。
【0032】
このような異物の除去処理等は、絶縁性シートの製造工程全体の中で、例えば梱包・出荷直前の最終検査工程で行うことが好ましく、これにより、導電性の異物が混入していない高品質な絶縁性シートを客先に提供でき、信頼性を向上させることができる。
【0033】
また、検知された導電性の異物を作業者が取除くときには、絶縁性シートのいずれの箇所に異物が存在しているかを、高い精度で特定できる方が除去作業を容易に行うことができる。このため、絶縁性シートの長さ方向に関しても異物の位置を特定して検出でき、これを表示器等で表示できるようにするのがよい。また、異物を取除く方法は任意であるが、樹脂フィルムのように、異物が内部に埋もれる場合を除けば、特定された位置で拡大鏡を覗きつつ、手作業または適当な治具を用いて除去作業を簡単に行うことができる
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による絶縁性シートの異物検出装置および該シートの検査処理方法について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
ここで、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した検査対象の絶縁性シート(以下、シート1という)を示し、該シート1は、電気絶縁性を有するガラス材料の繊維束を用いた織物状の長尺シートとして形成されている。
【0036】
即ち、シート1は、図3に例示するようにガラス材料からなる微細な繊維を束ねたヤーンと呼ばれる繊維束1A,1A,…を、たて糸,よこ糸としてそれぞれ織込むことにより形成されている。そして、シート1の厚さTは、例えば0.03〜0.2mm程度であり、シート1の幅寸法は、例えば1m(メータ)以上に及ぶものである。
【0037】
2はシート1が巻回された巻出しロールで、該巻出しロール2は、ガラス繊維等の素材を織込むことにより前述の如く製造されたシート1を、例えば出荷前の検査工程に搬入するために用いられるものである。そして、シート1は、後述するドライバ20からの出力で巻出しロール2が回転されることにより、後述の巻取りロール3に向けて矢示A方向へと連続的に移送されるものである。
【0038】
3は巻出しロール2と共にシート1の移送手段を構成する巻取りロールで、該巻取りロール3は、巻出しロール2から大きく離間した位置に配設され、ドライバ20からの出力で回転駆動されることにより、巻出しロール2から巻出されたシート1を連続的に巻取る構成となっている。
【0039】
また、巻出しロール2と巻取りロール3との間には、シート1の移送方向を変えるための転換ローラ4,5,6が後述の電極ローラ7と共に配設され、これらの転換ローラ4〜6は、シート1の幅寸法よりも長いローラにより形成されている。そして、移送対象のシート1は、転換ローラ4,5、電極ローラ7および転換ローラ6の位置で、その移送方向がほぼ90度分だけ転換されつつ、巻取りロール3側に向けて移送されるものである。
【0040】
7は転換ローラ5,6間に配設された第1の電極を構成する電極ローラで、該電極ローラ7は、円柱形状または円筒形状をなす導電性の金属ローラ等により構成され、そのローラ長さはシート1の幅寸法よりも大きくなっている。そして、電極ローラ7は、後述の各電極板8に対向するアース側電極を構成し、その外周面(表面)はシート1の裏面側に広い面積で均一に接触するものである。
【0041】
また、電極ローラ7は、図2に示すように回転軸7Aを有し、これを中心として回転されることにより、転換ローラ5からほぼ水平方向に移送されてきたシート1を転換ローラ6側へと垂直方向に下向きに方向転換して滑らかに移送するものである。
【0042】
8,8,…は電極ローラ7と共にシート1を厚さ方向両側から挟むように配設された第2の電極となる電極板で、これらの電極板8は、図2に示すように長方形状の薄い金属板により形成され、それぞれがシート1の幅方向に僅かに離間して配設された電極部材を構成している。
【0043】
また、各電極板8は、後述の連結具10によりシート1に対して互いに独立した動きが補償され、シート1の一側面となる表面にそれぞれ均一に接触するように配置されている。そして、各電極板8は電極ローラ7との間に後述の如く電圧が印加されることにより、シート1内に導電性の異物Sが混在するときには電極板8と電極ローラ7との間に電気的な流れが、通電または放電現象として生じるものである。
【0044】
9は電極板8を垂下状態で支持する支持部材としての支持バーで、該支持バー9は、図1、図2に示す如く電極ローラ7、電極板8の上方位置に設置され、電極ローラ7とほぼ平行にシート1の幅方向(左,右方向)へと延びるように配設されている。
【0045】
10,10,…は各電極板8を支持バー9に対して3次元に可動に連結した連結具で、これらの連結具10は、例えば絶縁性の樹脂材料等により可撓性の紐材として形成され、電極板8に対する紐状の吊り具を構成している。そして、連結具10は、支持バー9から電極板8を吊り下げた状態に保持し、電極板8がシート1に対してその厚さ方向、左,右方向等に自由に動くのを保証している。
【0046】
11は電極板8と支持バー9との間に配設された調節バーで、該調節バー11は、連結具10の途中位置に可動に当接し、これによってシート1に対する電極板8の接触角度を任意に調節するものである。そして、連結具10、調節バー11等を用いることにより、電極板8は、その自重によってシート1の表面側に均一に押付けられ、該シート1の表面に滑らかに接触し続けるものである。
【0047】
12は電極ローラ7と転換ローラ6との間に位置してシート1の途中部位に対向配設された除去ステーションで、該除去ステーション12は、照明装置13との間でシート1を挟むように配置され、シート1内に混入した異物Sを取除くための検査位置を構成している。この場合、照明装置13からの光は、シート1を明るく照らしつつ、その一部が除去ステーション12側に透過される。
【0048】
そして、除去ステーション12に予め待機した作業者は、照明装置13から照射された光の下で、シート1内に混入した異物Sを拡大鏡(図示せず)等を覗きつつ探査し、手作業または適宜な治具を用いて異物Sをシート1から慎重に取除く作業を行うものである。
【0049】
14は巻出しロール2側の転換ローラ4に設けた測長器で、該測長器14は、転換ローラ4に接触して回転することにより、シート1の長手方向位置を検出する位置検出手段を構成している。そして、後述の検知器16によりシート1内への異物Sの混入を検知したときには、測長器14からの検出信号によりシート1のいずれの位置(長手方向のいずれの位置)で異物Sが混入していたかを識別できるものである。
【0050】
15は電極板8と電極ローラ7との間に電圧を印加する電圧印加手段としての電源部で、該電源部15は、図6に示す如く各電極板8に対して並列接続され、後述するように予め設定された一定の直流電圧をそれぞれの電極板8と電極ローラ7との間に印加するものである。また、電源部15には電圧調整部(図示せず)が設けられ、後述する制御装置17からの調整信号により印加電圧の電圧レベルが適宜に調整される構成となっている。
【0051】
16,16,…は電源部15と各電極板8との間に設けられた検知手段としての検知器で、これらの検知器16は各電極板8毎に独立して配設され、いずれの電極板8と電極ローラ7との間で後述の如く通電または放電が発生したか否かを検知するものである。そして、このような通電または放電が発生したときには、検知器16の前,後に電気的な流れが生じるため、これを検知器16は検知し、検知信号を制御装置17に向けて出力する。
【0052】
17はマイクロコンピュータ等から構成される制御装置を示し、該制御装置17は、その入力側が測長器14、各検知器16および起動スイッチ18等に接続され、出力側は電源部15、ディスプレイ等の表示器19およびドライバ20等に接続されている。そして、制御装置17は、その記憶回路(図示せず)内に図7に示す如きシート検査処理手順等を格納し、シート1の異物検出処理および異物除去処理等を行うものである。
【0053】
ここで、表示器19は、シート1内に異物Sが混入しているのを検知したときに測長器14と各検知器16からの信号に基づき、異物Sの混入位置をシート1の長手方向と幅方向とで特定して表示する。この場合、表示器19は除去ステーション12の近傍位置に配置されるものである。
【0054】
また、ドライバ20は、巻出しロール2および巻取りロール3にそれぞれ設けられた電動モータ(図示せず)等を駆動する駆動回路を構成し、制御装置17から駆動信号が出力されると、巻出しロール2と巻取りロール3をほぼ同期して回転駆動し、駆動信号の出力が停止されたときには巻出しロール2、巻取りロール3をほぼ同時に停止させるものである。
【0055】
本実施の形態による絶縁性シートの異物検出装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、シート1の異物検出処理および異物除去処理等を含む検査処理方法について、図7を参照して説明する。
【0056】
まず、起動スイッチ18の投入により制御装置17による処理動作がスタートすると、ステップ1でドライバ20に駆動信号を出力することにより、巻出しロール2と巻取りロール3をほぼ同期して回転駆動する。そして、巻出しロール2と巻取りロール3は互いに回転することにより、長尺なシート1を図1中の矢示A方向に連続的に移送する。
【0057】
また、このときには、電源部15からの電圧印加が開始され、電源部15と複数の電極板8,8,…との間に並列に設けられた各検知器16を用いて、それぞれの電極板8と電極ローラ7との間で通電または放電が発生するか否かを個別に監視する。
【0058】
そして、ステップ2では検知器16からの信号により導電性の異物Sが検知されたか否かを判定し(異物検知工程)、「NO」と判定する間はステップ1以降の処理を繰り返すようにする。また、ステップ2で「YES」と判定したときには、シート1内に導電性の異物Sが混在している場合であるから、ステップ3以降の処理に移る。
【0059】
この場合、電極板8は図4、図5に示すように厚さTのシート1を電極ローラ7との間で挟むように対向し、シート1は電極ローラ7と電極板8との間を連続的に走行するように移送される。そして、図4に例示する如くシート1内に導電性の異物Sが混入し、この異物Sがシート1の厚さ方向を貫通しているようなときには、該当する電極板8と電極ローラ7との間で通電または放電が発生する。
【0060】
即ち、図6に示す電源部15の印加電圧は、図4に示す如くシート1の厚さTの方向において異物Sの大きさが、基準値T1 (例えば、厚さTの4/5程度の大きさでよい)を越えたときに、電極板8と電極ローラ7との間で通電または放電が発生するように所定の電圧レベル(例えば、400V程度)に設定されている。
【0061】
なお、電源部15による印加電圧の大きさは、例えばシート1の厚さT等に応じて変えられるもので、400Vよりも低い電圧値としてもよく、逆に400Vよりも高い電圧値に設定してもよく、要は、基準値T1 との関係で決められるものである。
【0062】
また、シート1内に混入した導電性の異物Sが、図5に示すようにシート1の厚さTの方向において基準値T1 よりも小さい大きさのときには、電極板8と電極ローラ7との間で通電または放電が発生することはない。また、発生しても極めて微量の放電であり、検知されない。このため、検知器16はシート1内に異物が混在していないものとして非検知の信号を制御装置17に出力するものである。
【0063】
一方、図4に示すように導電性の異物Sがシート1の厚さ方向に貫通して存在し、電極板8と電極ローラ7との間で通電または放電が発生したときには、該当する検知器16がシート1の電極板8と対応する位置に異物Sが混在しているものとして検知信号を制御装置17に出力する。これにより、前記ステップ2では「YES」と判定し、次なるステップ3に移る。
【0064】
そして、ステップ3では異物Sが混入したシート1の位置を特定して表示器19により表示させる。この場合、シート1の長手方向でいずれの位置に異物Sが存在するかは、例えば電極板8と測長器14との間の距離を勘案して測長器14からの信号により求められる。
【0065】
また、シート1の幅方向でいずれの位置に異物Sが存在するかは、シート1の幅方向に隙間を介して並行に配設した電極板8,8,…のうち、いずれの電極板8で前記通電または放電が発生したかを、それぞれの検知器16で個別に検知することにより、各検知器16からの信号により特定されるものである。
【0066】
次に、ステップ4では異物Sの混入を検知した段階でドライバ20への駆動信号の出力を一旦止め、巻出しロール2と巻取りロール3によるシート1の移送を停止させる。そして、シート1の長手方向における異物Sの混入位置を識別した段階で、シート1の移送を手動または自動で再開する。
【0067】
そして、シート1の異物混入位置が図1中の除去ステーション12に対向する位置となるまでシート1を徐々に移送し、この除去ステーション12の位置でシート1を停止させる(シート停止工程)。
【0068】
次に、ステップ5では、除去ステーション12に予め待機した作業者が、表示器19による表示から異物Sの混入位置を判別しながら、照明装置13による照射光の下でシート1内に混入した異物Sを拡大鏡等を用いて探査する。そして、該当する異物Sを見つけると、手作業または適宜な治具を用いて異物Sをシート1から慎重に取除くようにして除去処理を行う(異物除去工程)。
【0069】
また、異物Sを除去した後には、次なるステップ6で起動スイッチ18を再び投入することにより、巻出しロール2と巻取りロール3を回転させてシート1を図1中の矢示A方向に移送する(シート移送再開工程)。そして、その後はステップ7でリターンし、再びステップ1以降の処理を繰返す。これにより、導電性の異物Sが混入していないシート1を、電子部品等の絶縁用シート部材として出荷することができる。
【0070】
かくして、本実施の形態によれば、巻出しロール2と巻取りロール3との間を連続的に移送されるシート1に対して電極ローラ7と各電極板8とを厚さ方向両側から挟むように配設し、これらの電極ローラ7とそれぞれの電極板8との間には予め決められた所定の直流電圧を印加する構成としている。
【0071】
このため、移送(走行)途中のシート1内に導電性の異物Sが混入しているときには、ローラ電極7と電極板8との間に通電または放電が生じ、これを複数の検知器16,16,…のうちいずれかの検知器16で検知することにより異物Sの有,無を簡単に検出することができる。
【0072】
この場合、検知器16は、シート1内の異物Sが厚さTの方向を貫通し、その両端が両電極7,8に接触するときには、両電極7,8間の通電として異物Sを検知することができる。しかし、導電性の異物Sが電極ローラ7、電極板8と直接に接触しないような状態でシート1内に混入しているような場合でも、シート1の検査後に客先等で異物Sによる通電トラブルを起こす虞れがある。
【0073】
そこで、電源部15から印加する直流電圧は、シート1内に混入した導電性の異物Sが予め決められた基準値T1 よりも大きいときに、両電極7,8間で通電または放電が生じ、基準値T1 よりも小さいときには通電または放電が生じない電圧レベルに設定している。
【0074】
これにより、検知器16は、シート1内に混入した異物Sを基準値T1 との比較結果、即ち電極7,8間で通電または放電が生じるか否かに従って異物Sを検知できる。そして、導電性の異物Sが基準値T1 よりも小さいときには、異物Sの大きさが無視できる程度に小さい場合、またはシート1内で異物Sが無視可能な方向に混入している場合と判断でき、この場合には客先等で通電トラブルが発生することはなく、絶縁性の高いシート1として出荷することができる。
【0075】
また、電極ローラ7に対して対向配置した複数の電極板8,8,…をシート1の幅方向に互いに分離して並行に延びるように設け、各電極板8に対応してそれぞれの検知器16を電源部15との間に並列に配設しているので、各検知器16によりいずれの電極板8と対応する位置で通電または放電が発生したかを検知でき、シート1の幅方向でいずれの位置に異物Sが混入、存在しているかを識別することができる。
【0076】
また、シート1の長手方向に関しては測長器14を用いて異物Sの混入位置を自動的に検知することができる。そして、このように検知した異物Sの混入箇所をディスプレイ等の表示器19で表示することにより、除去ステーション12の位置で異物Sの除去作業等を実際に行うオペレータ(作業者)に報知することができる。
【0077】
また、電極板8は可撓性を有する紐等の連結具10を用いて支持バー9から垂下し、その自重によってシート1の表面側にそれぞれ均一に接触させる構成としたので、シート1の幅方向に互いに分離して配置した各電極板8を、該シート1の表面にそれぞれ独立させて均一に接触するのを保証でき、導電性の異物Sが電極板8に接触または近接したときに、電極7,8間に通電または放電が生じるのを即座に検知できる。
【0078】
一方、各電極板8と対向する電極ローラ7は、連続走行するシート1の裏面側に接触し、シート1の移送に追従して回転するため、検査対象のシート1が電極7,8間を滑らかに走行または移送されるのを保証できる。また、電源部15は直流電圧を印加することにより、比較的低い電圧で異物Sを検出でき、その検出精度を高めることができる。
【0079】
従って、本実施の形態によれば、検出対象となる導電性の異物Sを、シート1を連続的に移送しながら検出することができ、少なくともシート1の厚み方向での導通トラブル等が発生するのを良好に防止することができる。これによって、電子部品等の絶縁性を確保するためのシート1を、品質安全性を確保した状態で出荷でき、その信頼性を向上することができる。
【0080】
また、適用対象となる電気絶縁性のシート1が、例えば0.1mm以下の厚さであっても、その中に混入した粒径が0.1mm以下の微小な異物Sを連続的に検出でき、その処理作業を円滑に行うことができるので、シート1を出荷する前の検査工程等を効率化し、全体の作業性を確実に向上できる。
【0081】
次に、図8および図9は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、各電極板と電極ローラとを絶縁性シートの長さ方向に位相をずらして複数の組合せで設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0082】
図中、21,22はシート1の長手方向に離間して転換ローラ5,6間に配設され、第1の電極を構成する2組の電極ローラで、これらの電極ローラ21,22は、第1の実施の形態で述べた電極ローラ7と同様に構成されているものの、電極ローラ21,22間には他の転換ローラ23が追加して設けられている。
【0083】
そして、電極ローラ21は転換ローラ5,23間に配設され、回転軸21Aを中心として回転される。これにより、電極ローラ21は、転換ローラ5からほぼ水平方向に移送されてきたシート1を転換ローラ23側へと下向きに方向転換して滑らかに移送する。
【0084】
また、電極ローラ22は、転換ローラ23,6間に配設され、回転軸22Aを中心として回転される。これにより、電極ローラ22は、転換ローラ23側から上向きに移送されてきたシート1を転換ローラ6側へと下向きに方向転換して滑らかに移送するものである。
【0085】
24,24,…は電極ローラ21と共にシート1を厚さ方向両側から挟むように配設された第2の電極となる電極板で、これらの電極板24は、第1の実施の形態で述べた電極板8と同様に形成され、それぞれがシート1の幅方向に離間して配設された電極部材を構成している。
【0086】
25,25,…は電極ローラ22と共にシート1を厚さ方向両側から挟むように配設された第2の電極となる電極板で、これらの電極板25も前記電極板24と同様に形成されている。しかし、これらの電極板24,25は、図9に示すようにそれぞれがシート1の幅方向で互い違いとなる位置に配設されている。
【0087】
この結果、導電性の異物Sがシート1内で各電極板24間となる位置に混入しているときには、これよりも下流側に位置する各電極板25(これに対応する検知器16)により異物Sの検知が可能となり、これ以外の異物Sは上流側の各電極板24により検知することができる。
【0088】
26,27は各電極板24,25を垂下状態で支持する支持部材としての支持バーで、該支持バー26,27は、第1の実施の形態で述べた支持バー9と同様に構成されている。そして、支持バー26は電極ローラ21、電極板24の上方位置に設置され、支持バー27は電極ローラ22、電極板25の上方位置に設置されいる。
【0089】
28,29は各電極板24,25と支持バー26,27との間に配設された調節バーで、該調節バー28,29は第1の実施の形態で述べた調節バー11と同様に構成され、各連結具10の途中位置に可動に当接することにより、シート1に対する電極板24,25の接触角度を任意に調節するものである。
【0090】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。しかし、この場合には、2組の電極ローラ21,22と各電極板24,25の組合せを、互いに位相ずらせてシート1の途中位置に配設する構成としている。
【0091】
これにより、シート1の幅方向に離間した各電極板24または25間で異物Sの検出漏れ等が発生するのを防止でき、シート1の全面に亘って異物Sが混入しているか否かを、高い精度をもって検査することができる。
【0092】
なお、前記第1の実施の形態では、シート1の幅方向に分割して設けた各電極板8を可撓性の紐材からなる連結具10により支持バー9から垂下させ、その自重によって電極板8をシート1の表面側に軽く押付けるものとして述べたが、本発明はこれに限らず、例えば金属製またはプラスチック製の自在継手(ユニバーサルジョイント)等を用いて電極板8を支持バー9に個別に連結する構成としてもよい。
【0093】
そして、この場合でも、電極板8を3次元的に可動に支持でき、例えばスプリング等の付勢手段を用いて電極板8をシート1の表面に対して均一に接触し続けるように保持することができる。また、この点は第2の実施の形態についても同様である。
【0094】
また、前記第1の実施の形態では、平板状の電極板8を用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば導電性材料からなる丸棒、またはフリーローラ等からなる複数の電極部材を用いて第2の電極を構成してもよい。
【0095】
このように第1,第2の電極は、円形のローラ、丸棒、平板等、種々のものが考えられるが、検出対象となる導電性の異物に接触または近接したときに、これらの異物に比較して充分に滑らかな電極面を有することが必要である。そして、この場合には導電性の異物が接近したときに、電極間で安定した通電または放電が発生するのを保証することができる。
【0096】
また、前記第1の実施の形態では、図6に示すように電源部15、各検知器16および制御装置17等を別体として構成した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば電圧印加手段と検知手段とが一体となった装置を用いてもよい。この場合、一体となった既存の装置としては、例えば火花放電を検知するスパークテスタ、コロナ放電を検知する部分放電測定機等が挙げられる。
【0097】
また、検知手段としては、電極間で通電または放電が発生したときに起きる電流、電圧または電荷の変化のいずれかを検知するもの、スパーク等に伴う音を検知するもの、電磁波を検知するもの等も使用可能である。その場合、検知手段は、必要に応じて予め決められた閾値を越えたか否かで検出または検知動作を行うものが望ましい。
【0098】
また、検査対象となる絶縁性シートが、例えば不織布またはクロス(織布)のような厚さ方向に連続した空気空間が存在するシートの場合には、電極間での電圧印加により、空気の絶縁破壊による火花放電が起こり易い。このため、スパークテスタ、部分放電測定機のいずれも使用可能ではあるが、スパークテスタを用いる方が好ましい。
【0099】
また、樹脂フィルムのように、ピンホールがない限り絶縁破壊を起こしにくい材料に関しては、微量の電流しか流れないコロナ放電を検出できる感度を有した部分放電測定機を用いるのがよい。そして、上述した点については、第2の実施の形態についても同様である。
【0100】
【発明の効果】
以上詳述した如く、請求項1に記載の発明によれば、移送手段で連続的に移送されるガラス繊維束を用いた織物からなる電気絶縁性シートに対して第1,第2の電極を厚さ方向両側から挟むように対向して配設し、移送途中の絶縁性シート内に導電性の異物が混入しているときには、第1,第2の電極間に印加した電圧により電極間に通電または放電を生じさせ、検知手段によりこれを検知する構成とし、前記第1の電極は前記絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成し、前記第2の電極は、導電性の異物が絶縁性シートのいずれの位置に混入しているかを識別するため前記絶縁性シートの幅方向に分離して設けられた複数枚の電極板により構成し、前記第2の電極を構成する前記各電極板は、可撓性の連結具で吊り下げた状態に保持されることにより、前記絶縁性シートを第1の電極との間で挟むように対向し、かつ前記絶縁性シートに対し互いに独立して配置され該絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触する構成としたので、絶縁性シートを連続的に移送しながら検出対象である導電性の異物を簡単にシート内から検出でき、絶縁性シートの厚さ方向での導通トラブル等を確実に防止することができる。
また、前記第1の電極を、絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成しているので、このローラにより絶縁性シートが電極間を滑らかに走行または移送されるのを保証できる。そして、絶縁性シートの厚さ方向で導通トラブルを起こす可能性が高い導電性の異物がシート内に混入しているときには、絶縁性シート内の異物に対して電極ローラを接触状態またはそれに近い状態に保持することができる。
【0101】
また、第2の電極を、絶縁性シートの幅方向に分離して設けた複数の電極板により構成しているので、複数の電極板のうちいずれの電極板に対応する位置で通電または放電が発生したかを検知でき、絶縁性シートのいずれの位置に異物が混入、存在しているかを識別することができる。しかも、絶縁性シートの幅方向に互いに分離して配設される複数の電極板を、可撓性の連結具で吊り下げた状態に保持することにより、各電極板を絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触させることができ、導電性の異物が電極板に接触または近接したときの通電または放電を安定して検知することができる。
従って、電子部品等に用いるガラス繊維からなる絶縁性シートを、品質安全性を確保した状態で出荷でき、その信頼性を向上することができる。また、適用対象となる絶縁性シートが、例えば0.1mm以下の厚さであっても、その中に混入した微小な異物を連続的に検出でき、その処理作業を円滑に行うことができる。
【0102】
また、請求項2に記載の発明は、絶縁性シート内に混入した導電性の異物が基準値よりも大きいときには、電極間で通電または放電が生じるので、これを検知手段により検知でき、導電性の異物が基準値よりも小さいときには、異物の大きさが無視できる程度に小さいものとして判別し、異物の検出作業を円滑に行うことができる。これにより、異物の大きさが、絶縁性シートの厚さに近い寸法、形状となるほど、異物を検知するときの検出精度を高めることができ、異物の混入を見逃してしまったり、小さな異物を過剰に検知したりするような検知誤差の発生を低減することができる。
【0106】
また、請求項3に記載の発明によると、電圧印加手段は第1,第2の電極間に直流電圧を印加してなる構成としているため、交流電圧を印加する場合に比較して連続走行するシート内の異物を安定して検出でき、その検出精度を高めることができる。
また、請求項4の発明によると、前記絶縁性シートを、前記第1の電極を構成する前記ローラにより方向転換して移送することができる。
【0107】
一方、請求項5の発明による絶縁性シートの検査処理方法は、第1の電極を絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成し、第2の電極は複数枚の電極板により構成し、異物検知工程では、前記第1,第2の電極により、前記絶縁性シート内に導電性の異物が混入しているか否かを検知することができる。
また、請求項6に記載の発明は、第1,第2の電極を用いて異物検知工程でシート内の異物を検知したときに、シート停止工程において移送手段による絶縁性シートの移送を止め、該絶縁性シートを予め決められた検査位置に停止させつつ、この検査位置で絶縁性シート内に混入した導電性の異物を、例えば拡大鏡を覗きながらの手作業または適当な治具等を用いて取除くように除去処理を行うことができる。そして、異物を除去した後には移送手段による絶縁性シートの移送を再開でき、当該シートの全面に亘る検査処理を継続して行うことができる。これにより、導電性の異物が混入していない高品質な絶縁性シートを客先に提供でき、信頼性を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるシートの異物検出装置を示す全体構成図である。
【図2】電極ローラおよび各電極板等を図1中の矢示II−II方向からみた平面図である。
【図3】図1中のシートを拡大した織物構造を示す説明図である。
【図4】図1中のシートを電極ローラと電極板との間で挟んだ状態を拡大して示す要部断面図である。
【図5】シート内に混入した異物が無視可能に小さい場合を示す図4とほぼ同様の要部断面図である。
【図6】第1の実施の形態による異物検出装置の回路図である。
【図7】第1の実施の形態によるシート検査処理の手順を示す流れ図である。
【図8】第2の実施の形態によるシートの異物検出装置を示す全体構成図である。
【図9】電極ローラおよび各電極板等を図8中の矢示IX−IX方向からみた平面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性シート
2 巻出しロール(移送手段)
3 巻取りロール(移送手段)
4,5,6,23 転換ローラ
7,21,22 電極ローラ(第1の電極)
8,24,25 電極板(第2の電極)
10 連結具
12 除去ステーション(検査位置)
13 照明装置
14 測長器
15 電源部(電圧印加手段)
16 検知器(検知手段)
17 制御装置
18 起動スイッチ
19 表示器
20 ドライバ(駆動装置)
S 導電性の異物

Claims (6)

  1. ガラス繊維束を用いた織物からなる長尺な電気絶縁性シートを連続的に移送する移送手段と、
    該移送手段の途中に位置し前記絶縁性シートを厚さ方向両側から挟むように対向して配設された第1,第2の電極と、
    前記絶縁性シート内に混入した導電性の異物を検知するため該第1,第2の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    該電圧印加手段の電圧印加によって前記第1,第2の電極間に通電または放電が生じたか否かを検知する検知手段とを備え、
    前記第1の電極は前記絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成し、
    前記第2の電極は、前記導電性の異物が絶縁性シートのいずれの位置に混入しているかを識別するため前記絶縁性シートの幅方向に分離して設けられた複数枚の電極板により構成し、
    前記第2の電極を構成する前記各電極板は、可撓性の連結具で吊り下げた状態に保持されることにより、前記絶縁性シートを前記第1の電極との間で挟むように対向し、かつ前記絶縁性シートに対し互いに独立して配置され該絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触する構成としてなる絶縁性シートの異物検出装置。
  2. 前記電圧印加手段による印加電圧は、前記絶縁性シート内に混入した導電性の異物が予め決められた基準値よりも大きいときに前記第1,第2の電極間で通電または放電が生じ、前記基準値よりも小さいときには通電または放電が生じない電圧レベルに設定してなる請求項1に記載の絶縁性シートの異物検出装置。
  3. 前記電圧印加手段により第1,第2の電極間に印加する電圧は直流電圧である請求項1または2に記載の絶縁性シートの異物検出装置。
  4. 前記絶縁性シートは、前記第1の電極を構成する前記ローラにより方向転換して移送される構成としてなる請求項1,2または3に記載の絶縁性シートの異物検出装置。
  5. ガラス繊維束を用いた織物からなる長尺な電気絶縁性シートを連続的に移送する移送手段と、
    該移送手段の途中に位置し前記絶縁性シートを厚さ方向両側から挟むように対向して配設された第1,第2の電極と、
    前記絶縁性シート内に混入した導電性の異物を検知するため該第1,第2の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    該電圧印加手段の電圧印加によって前記第1,第2の電極間に通電または放電が生じたか否かを検知する検知手段とを備え、
    前記第1の電極は前記絶縁性シートに接触して回転するローラにより構成し、
    前記第2の電極は、前記導電性の異物が絶縁性シートのいずれの位置に混入しているかを識別するため前記絶縁性シートの幅方向に分離して設けられた複数枚の電極板により構成し、
    前記第2の電極を構成する前記各電極板は、可撓性の連結具で吊り下げた状態に保持されることにより、前記絶縁性シートを前記第1の電極との間で挟むように対向し、かつ前記絶縁性シートに対し互いに独立して配置され該絶縁性シートの一側面にそれぞれ均一に接触する構成としてなる異物検出装置を用いた検査処理方法であって、
    前記第1,第2の電極により、前記絶縁性シート内に導電性の異物が混入しているか否かを検知する異物検知工程を有してなる絶縁性シートの検査処理方法。
  6. 前記異物検知工程により前記異物の混入を検知したときに前記移送手段による絶縁性シートの移送を止め前記絶縁性シートを予め決められた検査位置に停止させるシート停止工程と、
    前記検査位置で前記絶縁性シート内に混入した異物の除去処理を行う異物除去工程と、
    前記異物を除去した後に前記移送手段による前記絶縁性シートの移送を再開するシート移送再開工程とを有してなる請求項5に記載の絶縁性シートの検査処理方法
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