JP7445182B2 - フッ素樹脂フィルム、金属張積層体及び回路用基板 - Google Patents

フッ素樹脂フィルム、金属張積層体及び回路用基板 Download PDF

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Description

本開示は、フッ素樹脂フィルム、金属張積層体及び回路用基板に関する。
回路基板において、信号線の断線が生じにくい低伝送損失基板を得ることが求められている。そのために、フィルムが変形なく銅箔と貼り合わされることを望む一般的ニーズがあり、従来、表面に凹凸がなく、外観良好なフィルムが、いくつか提案されている(特許文献1~3)。
その中で、例えば、特許文献1では、両面の算術平均表面粗さが0.1μm以下であるロールフィルムであって、巻取り芯の軸方向に対する巻きずれが5mm以下である、ロールフィルムが提案されている。
また、特許文献4には、電線用途に使用する含フッ素共重合体の-CF基以外の末端基を炭素数10個当り50個以下にすることで、押出成形時の熱分解による発泡がなく、成形不良を低減することができ、また、フィッシュアイの原因となる押出成形時における含フッ素共重合体の分子同士の再結合(架橋)が起こらず、フィッシュアイの個数を低減することができることが記載されている。
特開2021-160856号公報 国際公開2017/022575号 特開2017-119741号公報 国際公開2008/047906号
本開示は、銅箔等の金属箔との張り合わせが良好なフッ素樹脂フィルム及びこれを使用した金属張積層体を得ることを目的とする。
本開示は、フッ素樹脂から構成されたフィルムであって、フィルムに存在する、フィルムの流れ方向の長さもしくは幅方向の長さが50μm以上の導電性異物の個数が60個/平方メートル未満であるフッ素樹脂フィルムである。
前記フッ素樹脂の不安定官能基数がフッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個あたり350個未満であることが好ましい。
前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)もしくはテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)であることが好ましい。
372℃、荷重49Nにおける、フッ素樹脂の溶融流れ速度が0.1~50g/10分であることが好ましい。
前記フィルムは、面積が1平方メートル以上であることが好ましい。
前記導電性異物は、ニッケル及び/又は炭化物を含むものである。
前記フィルムは、表面粗さRzが1.5μm以下の金属箔と接着した場合の接着強度が0.8N/mm以上であることが好ましい。
前記フィルムは、金属張積層板に用いられることが好ましい。
本開示は、金属箔及び上述したいずれかのフッ素樹脂フィルムを必須の層とする金属張積層体でもある。
前記金属張積層体は、更に、金属箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層を有し、
当該金属箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層は、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイド、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、及び、ポリブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記金属箔は、表面粗さRzが1.5μm以下であることが好ましい。
前記金蔵張積層板は、金属箔と、フッ素樹脂フィルムとの接着強度が0.8N/mm以上であることが好ましい。
本開示は、上述したいずれかに記載の金属張積層体を有することを特徴とする回路用基板でもある。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、外観不良及び金属箔への張り合わせ不良が低減し、金属箔との張り合わせが良好となるフィルムである。
以下に、本開示を詳細に説明する。
本開示は、フッ素樹脂から構成されたフィルムであって、フィルム表面に存在する、フィルムの流れ方向の長さもしくは幅方向の長さが50μm以上の導電性異物の個数が60個/平方メートル未満であるフィルムである。
本明細書において、上記フィルムの流れ方向とは、フィルム製造装置を用いてフィルムを成形加工する際にフィルムが流れていく方向のことを指す。上記幅方向はその流れ方向に対して垂直な方向を意味する。上記フィルムの成形加工は、押出成形等の溶融成形による方法、フッ素樹脂を含有する溶液又は分散液を調製した後、基材上に塗布・乾燥させることによるキャスト法による方法を含む。
本発明者らは、フッ素樹脂フィルム中には、導電性異物が存在しており、その異物近傍でフィルムの厚みのバラつきが大きくなり、回路基板用途に適用すると、外観不良、金属箔への張り合わせ不良につながるとの知見を得た。
更に、フィルム表面に存在する、フィルムの流れ方向の長さもしくは幅方向の長さが50μm以上である、上記導電性異物の個数が60個/平方メートル未満であるフィルムであれば、外観不良、金属箔への張り合わせ不良が抑制でき、また、伝送損失の少ない回路基板を提供できることを見出した。
また、本発明者らは、当該導電性異物は、ニッケル等の金属類や炭化物等であることを確認した。ニッケルについては、フィルム製造工程において使用する、フィルム溶融押出機等内のフィルターに由来するものが主であることから、超音波洗浄されたニッケル系金属焼結フィルターを用いることで、フィルム内のニッケル等の金属類を最大限減少させることを可能とした。
また、炭化物については、押出成形時のフッ素樹脂の不安定官能基の熱分解により生じるもの等であることが明らかとなった。そこで、フッ素樹脂の不安定官能基の数を減らし、炭化物の発生を抑制するようにした。
以下に、本開示について、更に具体的な説明を行う。
本開示は、フッ素樹脂から構成されるフィルムに関するものである。なお、フィルムは、フッ素樹脂以外のその他の樹脂、ゴム、添加剤、フィラーなどを含んでもよい。
さらに、フッ素樹脂は、カルボニル基含有基(たとえば、酸無水物基、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、など)、ヒドロキシ基、エポキシ基、アミド基、アミノ基およびイソシアネート基などから選択される少なくとも一種の官能基を含んでも良い。
上記官能基を導入する方法としては特に限定されないが、たとえば、フッ素樹脂を製造する際に導入することができる。この場合、官能基は製造時に用いた単量体、連載移動剤および重合開始剤からなる群から選択される少なくとも一種に由来する。上記単量体としては、例えば、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸等が挙げられる。連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、酢酸、無水酢酸、酢酸メチル、エチレングリコール、プロピレングリコール等に由来するもの、重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート等などが挙げられる。
フッ素樹脂は、溶融成形可能なフッ素樹脂であることがより好ましく、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)単位を有する共重合体(CTFE共重合体)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)及びポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン・ビニリデンフルオライド共重合体等が挙げられる。
これら溶融成形可能なフッ素樹脂の中でも、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましい。
上記溶融成形可能なフッ素樹脂を使用することで、溶融成形を行うことができるため、PTFEを使用する場合よりも加工面でコストを抑えることができる。更に、金属箔と接着させる際の接着性を向上することができる。
上記フッ素樹脂フィルムを構成する樹脂は、ガラス転移温度が、40℃以上であることが好ましい。40℃以上であれば、たとえばロールフィルムを室温で保管する場合、環境温度での変形が起こりにくいという点で好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。上記上限は、特に限定されないが、接着性の観点で、200℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが更に好ましい。
上記PFAは、融点が180~340℃であることが好ましく、230~330℃であることがより好ましく、280~320℃であることが更に好ましい。上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位とPAVE単位とのモル比(TFE単位/PAVE単位)が70/30以上99.5/0.5未満である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は、70/30以上98.9/1.1以下であり、更に好ましいモル比は、80/20以上98.5/1.5以下である。TFE単位が少なすぎると機械物性が低下する傾向があり、多すぎると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
上記PFAは、TFE及びPAVEのみからなる共重合体であってもよいし、TFE及びPAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1~10モル%であり、TFE単位及びPAVE単位が合計で90~99.9モル%である共重合体であることも好ましい。TFE及びPAVEと共重合可能な単量体としては、HFP、CZ=CZ(CF(式中、Z、Z及びZは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Zは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは2~10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、及び、CF=CF-OCH-Rf(式中、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。その他の共重合可能な単量体としては、たとえば、酸無水物基を有する環状炭化水素単量体などであり、酸無水物系単量体としては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸などが挙げられる。酸無水物系単量体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
上記FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位とHFP単位とのモル比(TFE単位/HFP単位)が70/30以上99/1未満である共重合体が好ましい。より好ましいモル比は、70/30以上98.9/1.1以下であり、更に好ましいモル比は、80/20以上97/3以下である。TFE単位が少なすぎると機械物性が低下する傾向があり、多すぎると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。FEPは、TFE及びHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位が0.1~10モル%であり、TFE単位及びHFP単位が合計で90~99.9モル%である共重合体であることも好ましい。TFE及びHFPと共重合可能な単量体としては、アルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。その他の共重合可能な単量体としては、たとえば酸無水物基を有する環状炭化水素単量体などであり、酸無水物系単量体としては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸などが挙げられる。酸無水物系単量体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
上記FEPは、融点が150~320℃であることが好ましく、200~300℃であることがより好ましく、240~280℃であることが更に好ましい。上記融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
上記フッ素樹脂は、官能基が少ないほうがよく、特に不安定官能基数が少ないことが好適である。このようなフッ素樹脂は製造時(重合反応時)の条件調整によって作製する方法や、重合後のフッ素樹脂に対してフッ素ガス処理(フッ素化処理)、熱処理、超臨界ガス抽出処理等を行うことで不安定官能基数を低減化する方法などがある。処理効率に優れている点、不安定官能基の一部又は全部が-CFに変換され安定官能基となる点からフッ素ガス処理が好ましい。
このように不安定官能基数を低減したフッ素樹脂を使用すると、フィルム製造過程の押出成形時に、フッ素樹脂の不安定官能基の熱分解による導電性を持つ炭化物の生成が抑制できる。また、静電正接が低下し、電気信号の損失が低下するという点で好ましいものである。
上記不安定官能基数は、特に限定されるものではないが、フッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個あたり350個未満であることが好ましく、200個未満であることがより好ましく、20個未満であることが更に好ましく、10個未満であることが最も好ましい。
このような範囲とすることにより、フィルム製造時に炭化物が生じにくくなり、よって、フィルム中の導電性異物の数を抑制することができる。
不安定官能基としては、具体的に-COF、-COOH free(遊離のCOOH)、-COOH bonded(会合している-COOH)、水酸基(-CHOHなど)、-CONH、-COOR(R=CHなど)、-CFH、-OCOO-R(ノルマルプロピルカーボネートなど)等の官能基を挙げることができる。
不安定官能基数は、具体的には、以下の方法で測定する。まず。上記フッ素樹脂を溶融させて、圧縮成形することで、厚さ0.25~0.3mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、上記フッ素樹脂の赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、上記フッ素樹脂における主鎖炭素数1×10個あたりの不安定官能基数を算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、本明細書における不安定官能基について、吸収周波数、モル吸光係数及び補正係数を表1に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT-IR測定データから決定したものである。
上記フッ素化処理は、フッ素化処理されていないフッ素樹脂とフッ素含有化合物とを接触させることにより行うことができる。
上記フッ素含有化合物としては特に限定されないが、フッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源が挙げられる。上記フッ素ラジカル源としては、Fガス、CoF、AgF、UF、OF、N、CFOF、フッ化ハロゲン(例えばIF、ClF)等が挙げられる。
上記Fガス等のフッ素ラジカル源は、100%濃度のものであってもよいが、不活性ガスと混合し5~50質量%に希釈して使用することが好ましく、15~30質量%に希釈して使用することがより好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられるが、経済的な面より窒素ガスが好ましい。
上記フッ素化処理の条件は、特に限定されず、溶融させた状態のフッ素樹脂とフッ素含有化合物とを接触させてもよいが、通常、フッ素樹脂の融点以下、好ましくは20~220℃、より好ましくは100~200℃の温度下で行うことができる。上記フッ素化処理は、一般に1~30時間、好ましくは5~25時間行う。上記フッ素化処理は、フッ素化処理されていないフッ素樹脂をフッ素ガス(Fガス)と接触させるものが好ましい。
本明細書において、フッ素樹脂を構成する各単量体単位の含有量は、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
上記フッ素樹脂は、372℃、荷重49Nにおける溶融流れ速度(MFR)が0.1~50g/10分であることが好ましい。より好ましくは、0.5~40g/10分であり、更に好ましくは、1~30g/10分である。
なお、本明細書においてMFRは、ASTM D3307に準拠して、上記条件下で測定し得られる値である。
MFRを上記範囲とすることにより、不安定官能基量が350個未満となり、炭化物の生成が抑制され、導電性異物の低減を実現できる。
また、押出溶融成形によりフッ素樹脂フィルムを製造する場合には、溶融温度についても調整を行うことが好ましく、上述したMFR値が得られるような、温度範囲を選択することが好ましい。具体的には、樹脂種や樹脂の分子量等によって好適な溶融温度は変化するものであるが、340~370℃の範囲内で、樹脂のMFRが所定の範囲内のものとなるよう、調整して温度を設定することが好ましい。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、フッ素樹脂以外の成分を含有するものであってもよい。含有することができる成分としては特に限定されず、シリカ粒子、ガラス短繊維などのフィラー、フッ素を含まない熱硬化性樹脂・熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
本開示のフッ素樹脂を含む組成物は、球状シリカ粒子を含有するものであってもよい。これによって、樹脂の流動性が良好なものとなり、多量にシリカを配合した場合でも、成形が容易なものとなる。
上記球状シリカ粒子は、その粒子形状が真球に近いものを意味しており、具体的には、球形度が0.80以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましく、0.90以上がさらに好ましく、0.95以上が最も好ましい。球形度はSEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(球形度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(スペクトリス株式会社:FPIA-3000)を用いて100個の粒子について測定した算術平均値を採用する。
上記球状シリカ粒子は、粒径が小さい方から体積を積算したときにD90/D10が2以上(望ましくは2.3以上、2.5以上)、D50が10μm以下であることが好ましい。更に、D90/D50が1.5以上であることが好ましい(更に望ましくは1.6以上)。D50/D10が1.5以上であることが好ましい(更に望ましくは1.6以上)。粒径が大きな球状シリカ粒子の間隙に粒径が小さな球状シリカ粒子が入ることが可能になるため、充填性に優れ、且つ、流動性を高くすることができる。特に粒度分布としてはガウス曲線と比較して粒径が小さい側の頻度が大きいことが好ましい。粒径はレーザ回折散乱方式粒度分布測定装置により測定可能である。また、所定以上の粒径をもつ粗粒をフィルタなどで除去したものであることが好ましい。
上記球状シリカ粒子は、吸水性が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。吸水性は乾燥時のシリカ粒子の質量を基準とする。吸水性の測定は乾燥状態にある試料を40℃、80%RHに1時間放置し、カールフィッシャー水分測定装置で200℃加熱により生成する水分を測定し、算出する。
また上記球状シリカ粒子は、フッ素樹脂を含む組成物を600℃で30分間、大気雰囲気下で加熱することでフッ素樹脂を焼き飛ばし、球状シリカ粒子を取り出したのち、上述の方法を用いて上記各パラメータを測定することもできる。
本発明のシリカ粉末は、表面処理が施されたものであってもよい。表面処理を予め施すことで、シリカ粒子の凝集を抑制することができ、樹脂組成物中にシリカ粒子を良好に分散させることができる。
上記表面処理としては特に限定されるものではなく、公知の任意のものを使用することができる。具体的には例えば、反応性官能基を有するエポキシシラン、アミノシラン、ビニルシラン、アクリルシラン、疎水性のアルキルシラン、フェニルシラン、フッ素化アルキルシランなどのシランカップリング剤による処理、プラズマ処理、フッ素化処理等を挙げることができる。
上記シランカップリング剤として、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、アクリロキシトリメトキシシラン等のアクリルシラン等が例示される。
上記球状シリカは、市販のシリカ粒子で上述した性質を満たすものを使用するものであってもよい。市販のシリカ粒子としては、例えば、デンカ溶融シリカ FBグレード(デンカ株式会社製)、デンカ溶融シリカ SFPグレード(デンカ株式会社製)、エクセリカ(株式会社トクヤマ製)、高純度合成球状シリカ アドマファイン(株式会社アドマテックス製)、アドマナノ(株式会社アドマテックス製)、アドマフューズ(株式会社アドマテックス製)、等を挙げることができる。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、フィルムに存在する、フィルムの流れ方向の長さもしくは幅方向の長さが50μm以上の導電性異物の個数が60個/平方メートル未満であることが必要である。
上記導電性異物の数は、60個/平方メートル未満であることが好ましく、40個/平方メートル未満であることが好ましく、20個/平方メートル未満であることがより好ましく、10個/平方メートル未満であることが更に好ましい。
高周波基板の近接する信号線の間隔は50μm程度であり、この信号線間をまたぐ導電性異物の存在が、電圧印加時の電流の増加をまねき、絶縁抵抗値低下を招くと考えられる。よって、フィルムに存在する、フィルムの流れ方向の長さ、もしくは幅方向の長さが50μm以上の導電性異物の個数を減らすことで、高周波基板の絶縁不良を抑制することができ、伝送損失の少ない回線基板を得ることができる。
本開示において、導電性異物は、フィルム製造の過程で混入する、ニッケル、鉄、モリブデン、クロム、アルミニウム、銅等の金属類と、フッ素樹脂の不安定官能基が加熱分解されて生じる炭化物が挙げられる。上記したように、ニッケルは、フィルム製造時に使用するフィルターに由来するものを含み、その他の金属は、製造時に使用する容器や配管等に由来するものであると考えられる。
特に、導電性異物は、ニッケルと炭化物が主体であり、これらを減らすようにすることが好適である。フィルム表面に存在する、フィルムの流れ方向の長さもしくは幅方向の長さが50μm以上のニッケルと炭化物との合計の個数が40個/平方メートル未満であることが好ましく、20個/平方メートル未満であることがより好ましく、10個/平方メートル未満であることが更に好ましい。
上記導電性異物は、可視光から近赤外光までの波長帯域において、同等の反射率を持つ。この性質を利用して、可視光と近赤外光を照射したときの反射率が近いものを導電性異物として定義する。
本開示において、導電性異物の数は、以下の方法によって検出する。すなわち、シート検査装置(製品名等:スーパーNASP-λ、オムロン株式会社社製)を用い、フィルムの検査を行う。成形機に設置した上記シート検査装置の多波長カメラと、可視光と近赤外光を照射する照明との間にフィルムを通す。その際、異物に可視光と近赤外光を照射したときの反射率の比である金属度合が70以上のものを導電性異物とみなす。
なお、上記先行文献2~4に記載されている、フィッシュアイは、フィルム成形時には白色の不透明な部分又は突起として視認することができるものである。特に、フッ素樹脂においては、分子量が異常に大きい成分、TFE成分が多い成分、あるいは成形時の熱による再結合、架橋によって生じる成分等の、フッ素樹脂中に不純物として存在する樹脂成分であり、上記導電性異物には該当しない。
よって、フィルム中のフィッシュアイの数を減らしても、特定の大きさの導電性異物を減らすことで得られる、伝送損失の少ない回線基板を得るという効果は期待できない。
本開示のフッ素樹脂樹脂フィルムは、10GHzにおける誘電正接が0.0015未満であることが好ましい。当該範囲内のものとすることで、回路中の電気信号の損失を低く抑えることができる点で好ましい。上記誘電正接は、0.0013未満であることがより好ましく、0.0010未満であることが更に好ましく、0.00050以下が最も好ましい。
また、より高周波での信号の伝送やアンテナの送受信が行われることを想定すると、40GHzにおける誘電正接が、0.0015未満であることが好ましく、0.0013未満であることがより好ましく、0.0010未満であることが更に好ましく、0.00050以下が最も好ましい。
誘電正接を上記範囲内のものとするためには、不安定官能基が少ない樹脂を使用することが好ましく、フッ素化処理を行ったフッ素樹脂を使用することがより好ましい。
上記フッ素樹脂フィルムは、表面粗さRzが1.5μm以下の金属箔と温度がフッ素樹脂の融点以上、融点+30℃以下、圧力が1.5~3.0MPa、時間が300~600秒の条件で真空ヒートプレスを用いて接着した場合の接着強度が0.8N/mm以上であることが好ましく、0.9N/mm以上であることがより好ましく、1.0N/mm以上であることが更に好ましい。ここでの、接着強度は、前記条件で接着を行った積層体について、実施例に記載した条件で測定した接着強度を意味する。
上記フッ素樹脂フィルムは、片面のみまたは両面において、フィルムの同一面内同士を200℃で貼り合わせたときの接着強度が30N/mより大きいことが好ましい。このような接着強度を有するものとすることで、フッ素樹脂フィルムを熱処理した後でも、その他の種々の基材と組み合わせて使用する場合の接着性に優れたものになり、上記接着強度は、50N/mより大きいことがより好ましく、100N/mより大きいことが更に好ましい。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、厚みが2.5~1000μmであることが好ましく、5~500μmがより好ましく、12.5~150μmが更に好ましい。当該厚みは、積層体の電気特性と線膨張係数等のバランスを考慮して選択することができる。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、面積が1平方メートル以上であることが好ましい。特に、100m以上の長尺フィルムであることが好ましい。
(フッ素樹脂フィルムの製造方法)
以下に、上述した本開示のフッ素樹脂フィルムの製造方法の例を詳述する。なお、本開示のフッ素樹脂フィルムは、以下の製造方法によって製造されたものに限定されない。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、フィルム状態とする際の成形方法を特に限定するものではないが、例えば、押出成形等の溶融成形による方法、フッ素樹脂を含有する溶液又は分散液を調製した後、基材上に塗布・乾燥させることによるキャスト法による方法等を挙げることができる。さらに、フィルムを一軸延伸又は二軸延伸の方法で延伸したものであってもよいし、未延伸のフィルムであってもよい。
上記溶融成形の場合、通常、フィルム製造において使用する溶融押出機等内のフィルターは、ニッケル金属や、ハステロイ、コルモノイ、モネルなどのニッケル合金からなる、ニッケル系の耐蝕性のフィルターが使用される。
本開示において、フィルターとしては、濾過精度、フィルターライフの点から焼結フィルターが好ましい。焼結フィルターを使用することでメッシュ間の目開きなく、上記フィルムの流れ方向の長さ、もしくは幅方向の長さが50μm程度の比較的小さい炭化物や、金属片等の小さい異物の除去が可能となる。
このようなフィルターには、例えば、ニッケル又はニッケル合金の平畳織金網等を複数枚積層し、焼結して一体化したものや、金属長繊維あるいは金属粉末を焼結し形成する焼結濾材等が挙げられる。
また、フィルターには、金属加工により金属粉、金網のバリ等のフィルターに付着した金属が存在する。例えば、焼結フィルターは、フィルター焼結時、金網にバリが生じることがある。このような金属粉やバリが、フィルム製造時に、フィルターから脱離し、フッ素樹脂に混入してしまう。
そこで、本開示においては、除塵、清浄化を行ったフィルターを使用することが好適である。フィルターの除塵、清浄化を行うために、洗浄液または純水を貯留した浸漬槽にフィルターを浸漬させて洗浄を行う浸漬洗浄や、金属フィルターに洗浄液または純水を高圧で噴射して洗浄を行うジェット洗浄、あるいは、これら浸漬洗浄とジェット洗浄を組み合わせた洗浄方式を行っても良い。また、フィルターを洗浄液または純水で超音波洗浄してもよい。これらの洗浄工程により、フィルム製造時に脱離してしまうニッケル等を減少させることができる。
本開示においては、超音波洗浄したフィルターを使用することが好適である。超音波洗浄の方法は、特に限定されるものではなく、常法により行えばよい。例えば、処理時間は、一般に5分~1時間程度で良い。
このような方法で得られたフッ素樹脂フィルムに対して、適切な条件で片面もしくは両面への表面処理及びアニール処理を行うことが好ましい。
表面処理及びアニール処理を行うことにより、180℃×3分間熱処理した後にその片面又は両面の表面状態をESCAによって測定した際の酸素元素比率が1.35atomic%以上であり、180℃×10分間の熱処理後に25℃まで冷却し測定した際、熱処理前後のMDおよびTDの寸法変化率の絶対値が2.0%以下である、フッ素樹脂フィルムを得ることができるので好ましい。
接着性を改善するためのフッ素樹脂フィルムの表面処理の効果は、加熱することによって低下する傾向がある。これは、表面の酸素原子が加熱することによって離脱し、表面の酸素原子量が低減することによるものと推測される。ラミネート工程において、生産性向上のために例えばガラス転移温度以上融点未満であらかじめ予熱してからラミネートすることがあり、このように、熱履歴を受けたフッ素フィルムが金属箔と張り合わされる時に充分な接着性を有するためには、フィルムを180℃×3分間熱処理した後にその金属箔と接着させる面を走査型X線光電子分光分析装置(XPS/ESCA)によって測定した際の酸素原子比率が1.35atomic%以上であることが好ましい。
上記表面改質の具体的な方法は特に限定されるものではなく、公知の任意の方法によって行うことができる。
フッ素樹脂フィルムの表面改質は、従来行なわれているコロナ放電処理やグロー放電処理、プラズマ放電処理、スパッタリング処理などによる放電処理が採用できる。例えば、放電雰囲気中に酸素ガス、窒素ガス、水素ガスなどを導入することで表面自由エネルギーをコントロールできる他、有機化合物を含む不活性ガスである有機化合物含有不活性ガスの雰囲気に改質すべき表面を曝し、電極間に高周波電圧をかけることにより放電を起こさせ、これにより表面に活性種を生成し、ついで有機化合物の官能基を導入もしくは重合性有機化合物をグラフト重合することによって表面改質を行うことができる。上記不活性ガスとしては、たとえば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられる。
前記有機化合物含有不活性ガス中の有機化合物としては酸素原子を含有する重合性又は非重合性有機化合物が挙げられ、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル類;グリシジルメタクリレートなどのアクリル酸エステル類;ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテル、グリシジルメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸、ギ酸などのカルボン酸類;メチルアルコール、エチルアルコール、フェノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、ギ酸エチルなどのカルボン酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類などである。これらのうち改質された表面が失活しにくい、すなわち、寿命が長い点、取扱いが容易な点から、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、ケトン類が好ましく、特に酢酸ビニル、グリシジルメタクリレートが好ましい。
前記有機化合物含有不活性ガス中の有機化合物の濃度は、その種類、表面改質されるフッ素樹脂の種類などによって異なるが、通常0.1~3.0容量%、好ましくは0.1~1.0容量%、より好ましくは0.15~1.0容量%、更に好ましくは0.30~1.0容量%である。放電条件は目的とする表面改質の度合い、フッ素樹脂の種類、有機化合物の種類や濃度などによって適宜選定すればよい。通常、放電量が50~1500W・min/m、好ましくは70W・min/m以上1400W・min/m以下の範囲で放電処理する。処理温度は0℃以上100℃以下の範囲の任意の温度で行なうことができる。フィルムの伸びや皺などの懸念から80℃以下であることが好ましい。表面改質の度合いは、後加工時の熱などによって表面の接着能が低下することを考慮すると、ESCAによって観察した際に酸素元素の存在比率が2.6%以上のものであり、2.8%以上が好ましく、3.0%以上がより好ましく、3.5%以上が更に好ましい。上限に関しては特に規定はしないが、生産性やその他の物性への影響を鑑みると、25.0%以下であることが好ましい。窒素元素の存在比率は特に規定されないが、0.1%以上あることが好ましい。またフッ素樹脂フィルム1枚の厚さは2.5~1000μmであることが好ましく、5~500μmがより好ましく、7~150μmが更に好ましい。
本開示のフッ素樹脂フィルムの製造においては、上記表面処理を行った後、アニール処理を行うことが好ましい。また、当該フィルムと金属箔などの他材をラミネートする工程において熱処理を行う場合がある。このため、これらの加熱処理を経ることによって、フッ素樹脂フィルムの表面の酸素量が低下することとなる。よって、実際にフッ素樹脂フィルムと金属箔などの他材が貼り合わされる時点において充分な表面酸素量を得るような条件で、表面改質を行うことが好ましい。
(アニール処理)
アニール処理は、熱処理によって行うことができる。当該熱処理は、例えば、ロールtoロールの方式で加熱炉の中を通すことによって行うことができる。
アニール処理温度は、ガラス転移温度-20℃以上融点未満であることが好ましく、ガラス転移温度以上融点-20℃以下であることがより好ましく、ガラス転移温度以上融点―60℃以下であることが更に好ましい。アニール処理時間は、特に限定されないが、たとえば0.5~60分の中で適宜調整すればよい。また、アニール炉を通ったフィルムが巻取り装置のロールに高温のまま接触すると、温度変化による熱収縮でフィルムに変形(波打ち)が発生しやすくなる。これを防ぐために、高温のアニールゾーンの後に冷却ゾーンを通すことで、フィルムを冷やしてから巻取り装置で巻き取ってもよい。冷却の方法としては特に限定はないが、冷風や冷却ロールなどで冷やすことができ、フィルム温度はガラス転移温度未満にすることが好ましい。
上記ロールtoロールの方式で加熱する場合、張力はフィルムの厚みや設定温度などによって適宜調整すればよいが、20N/m以下であることが好ましい。このような条件下で加熱することで、充分に内部応力を緩和することができ、寸法変化等も生じることがない点で好ましい。
上記表面処理及びアニール処理は、その順序を特に限定されるものではなく、それぞれの工程を行う回数も1回に限定されるものではなく、2回以上行うものであってもよい。表面処理工程で張力がかかるため、熱収縮率を制御する点で表面処理を行ってからアニール処理をしたほうが好ましい。また、これら処理の前または後に所定の幅・長さにスリットしてもよく、その際には、フィルムが伸びないように張力を調整することが好ましい。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、プリント配線基板用のシートとして、その他の基材と積層して使用することができる。
上記その他の基材としては、金属箔、フッ素樹脂以外の樹脂フィルム等が挙げられる。
本開示は、上述したフッ素樹脂フィルムの片面又は両面に金属箔を接着させたことを特徴とする金属張積層体でもある。上述したように、本開示のフッ素樹脂を含むフィルムは、基板への張り合わせ加工歩留まりが改善されており、また、接着性も良好である。
上記金属箔は、Rz1.5μm以下であることが好ましい。すなわち、本開示のフッ素樹脂フィルムは、Rz1.5μm以下という平滑性の高い金属箔への接着性も優れたものである。更に、金属箔は、少なくとも上述したフッ素樹脂フィルムと接着する面が1.5μm以下であればよく、他方の面は、Rz値を特に限定するものではない。
金属箔のRzはキーエンス社製 カラー3Dレーザ顕微鏡VK-9700を用いて、200μmの範囲の最大高さRzを測定した値である。
上記金属箔は、厚みは特に限定されないが、1~100μmの範囲であることが好ましく、5~50μmの範囲内であることがより好ましく、9~35μmがさらに好ましい。
上記金属箔は、銅箔であることが好ましい。
上記銅箔は特に限定されるものではなく、具体的には例えば、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
Rz1.5μm以下の銅箔としては特に限定されず、市販のものを使用することができる。市販のRz1.5μm以下の銅箔としては、例えば、電解銅箔CF-T9DA-SV-18(厚み18μm/Rz0.85μm)(福田金属箔粉工業株式会社製)等を挙げることができる。
上記金属箔は、本開示のフッ素樹脂フィルムとの接着強度を高めるために、表面処理を施したものであってもよい。
上記表面処理は特に限定されないが、シランカップリング処理、プラズマ処理、コロナ処理、UV処理、電子線処理などであり、シランカップリング剤の反応性官能基としては、特に限定されないが、樹脂基材に対する接着性の観点から、アミノ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、及びエポキシ基から選択される少なくとも1種を末端に有することが好ましい。また、加水分解性基としては、特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などが挙げられる。本開示で使用する金属箔は、防錆層(クロメート等の酸化物皮膜等)、耐熱層等が形成されたものであってもよい。
上記シラン化合物による表面処理層を金属箔表面上に有する表面処理金属箔は、シラン化合物を含む溶液を調製した後、この溶液を用いて金属箔を表面処理することによって製造することができる。
上記金属箔は、表面に、樹脂基材との接着性を高めるなどの観点から、粗化処理層を有するものであってもよい。
なお、粗化処理が本開示において要求される性能を低下させるおそれがある場合は、必要に応じて金属箔表面に電着させる粗化粒子を少なくしたり、粗化処理を行わない態様としたりすることもできる。
金属箔と表面処理層との間には、各種特性を向上させる観点から、耐熱処理層、防錆処理層及びクロメート処理層からなる群から選択される1種以上の層を設けてもよい。これらの層は、単層であっても、複数層であってもよい。
上記積層体は、金属箔とフッ素樹脂フィルムとの接着強度が、0.8N/mm以上であることが好ましい。上述したような方法を適用することで、このような接着強度を実現することができる。接着強度を0.9N/mm以上、さらに1.0N/mm以上とすることで、金属張積層板や回路用基板として好適に使用することができる。なお、ここでの接着強度は、実施例に記載した条件で測定した接着強度を意味するものである。また、片面のみに表面処理を行ったフッ素樹脂フィルムの表面処理面へ金属箔を接着させた積層体の場合、積層体と他材との接着性を向上させるために、表面処理がされていないフッ素樹脂フィルム面に別途表面改質を行ってもよい。
本開示は、金属箔層及び上述したフッ素樹脂フィルムおよび基材層を有することを特徴とする積層体でもある。基材層としては特に限定されないがガラス繊維からなる布帛層、樹脂フィルム層を有することが好ましい。
上記ガラス繊維からなる布帛層は、ガラスクロス、ガラス不織布等からなる層である。
ガラスクロスとしては市販のものが使用でき、フッ素樹脂との親和性を高めるためにシランカップリング剤処理を施されたものが好ましい。ガラスクロスの材質としてはEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、低誘電率ガラスなどが挙げられるが、入手が容易である点からEガラス、Sガラス、NEガラスが好ましい。繊維の織り方としては平織でも綾織でも構わない。ガラスクロスの厚さは通常5~90μmであり、好ましくは10~75μmであるが、使用するフッ素樹脂フィルムよりは薄いものを用いることが好ましい。
上記積層体は、ガラス不織布をガラス繊維からなる布帛層として使用するものであってもよい。ガラス不織布とは、ガラスの短繊維を少量のバインダー化合物(樹脂あるいは無機物)で固着したもの、あるいはバインダー化合物を使用せずにガラス短繊維を絡ませることによってその形状を維持しているものであり、市販のものが使用できる。ガラス短繊維の直径は好ましくは0.5~30μmであり、繊維長は好ましくは5~30mmである。バインダー化合物の具体例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、セルロース、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂等の樹脂や、シリカ化合物等の無機物が挙げられる。バインダー化合物の使用量はガラス短繊維に対して通常3~15質量%である。ガラス短繊維の材質としてはEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、低誘電率ガラスなどが挙げられる。ガラス不織布の厚さは通常50μm乃至1000μmであり、100~900μmであることが好ましい。尚、本願におけるガラス不織布の厚さは、JIS P8118:1998に準じ、(株)小野測器製のデジタルゲージDG-925(荷重110グラム、面径10mm)を用いて測定した値を意味する。フッ素樹脂との親和性を高めるために、ガラス不織布にシランカップリング剤処理を施してもよい。
ガラス不織布の多くは空隙率が80%以上と非常に高いので、フッ素樹脂からなるシートより厚いものを使用し、圧力によって圧縮して用いることが好ましい。
上記ガラス繊維からなる布帛層は、ガラスクロスとガラス不織布とを積層した層であってもよい。これによって、相互の性質が組み合わせられて、好適な性質を得ることができる。
上記ガラス繊維からなる布帛層は、樹脂を含浸させたプリプレグの状態であってもよい。
上記積層体は、ガラス繊維からなる布帛層とフッ素樹脂フィルムが界面で接着していてもよく、ガラス繊維からなる布帛層にフッ素樹脂フィルムの一部もしくはすべてが含浸されていてもよい。
更に、ガラス繊維からなる布帛にフッ素樹脂組成物を含浸させてプリプレグを作成したものであってもよい。このようにして得られたプリプレグに対して、更に、本開示のフッ素樹フィルムを積層したものであってもよい。この場合、プリプレグを作成する際に使用するフッ素樹脂組成物としては特に限定されるものではなく、本開示のフッ素樹脂フィルムを使用することもできる。
上記基材層として用いる樹脂フィルムとしては、耐熱性樹脂フィルム、熱硬化性樹脂フィルムが好ましい。耐熱性樹脂フィルムとしては、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイド、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレンなどが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、ポリブタジエンなどを含むものが挙げられる。
耐熱性樹脂フィルムおよび熱硬化性樹脂フィルムは強化繊維を含んでいても良い。強化繊維としては特に限定されないが、例えばガラスクロス、とくに低誘電タイプのものが好ましい。
耐熱性樹脂フィルムおよび熱硬化性樹脂フィルムの誘電特性、線膨張係数、吸水率などの特性は特に限定されないが、たとえば、20GHzにおける誘電率は3.8以下が好ましく、3.4以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。20GHzにおける誘電正接は、0.0030以下が好ましく、0.0025以下がより好ましく、0.0020以下が更に好ましい。線膨張係数は100ppm/℃以下が好ましく、70ppm/℃以下がより好ましく、40ppm/℃以下が更に好ましく、20ppm/℃以下が最も好ましい。吸水率は1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、金属箔層、基材層、及び上述したフッ素樹脂フィルムを有する積層体において使用することができる。
金属箔、基材層、フッ素樹脂フィルムを積層する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の二つの方法が挙げられる。
(i)金属箔、基材層、あらかじめ成形されたフッ素樹脂フィルムを用いて、ロールtoロールプロセスやプレス機を用いて加熱下で圧力を加えて積層する方法。
(ii)フッ素樹脂フィルムを金属箔の片面に接着した積層体を製造し、これを基材層と加熱下で圧力を加えて積層する方法。
上記(i)の方法にて、金属箔、基材層、フッ素樹脂フィルムを積層する際、各々の層の密着性向上のために、金属箔、基材層、フッ素樹脂フィルムの少なくても一つの層の一表面以上に表面処理を行い、その他の層と接着してもよい。
更に、密着性を向上させるため、金属箔、基材層、もしくはフッ素樹脂フィルムの表面処理面の上に、更に、カップリング剤の処理等を施してもよい。
もしくは、事前の表面処理有無に関わらず、接着層をそれらの層の間に設けるようにしてもよい。
なお、金属箔の表面には、防錆層(例えば、クロメート等の酸化皮膜)や耐熱層が形成されていてもよい。
また、上記(ii)方法にて、フッ素樹脂フィルムを金属箔の片面に接着した積層体を製造する際、各々の層の密着性向上のため、金属箔、フッ素樹脂フィルムの少なくても一つの層の一表面以上に表面処理を行い、接着してもよい。
更に、密着性を向上させるため、金属箔、フッ素樹脂フィルムの表面処理面の上に、更に、カップリング剤の処理等を施してもよい。
もしくは、事前の表面処理の有無に関わらず、接着層をそれらの層の間に設けるようにしてもよい。
また、フッ素樹脂フィルムを金属箔の片面に接着した積層体を積層させる前、もしくは積層させた後に、フッ素樹脂フィルムに対して、基材層を積層させる面に表面処理を行い、フッ素樹脂フィルムと基材層との密着性を向上させるようにしてもよい。
また、同様な効果を得るために基材層に関して、表面処理を施しても構わない。
更に、密着性を向上させるため、フッ素樹脂フィルム、基材層の表面処理面の上に、更に、カップリング剤の処理等を施してもよい。
もしくは、事前の表面処理の有無に関わらず、接着層をそれらの層の間に設けるようにしてもよい。
なお、金属箔の表面には、防錆層(例えば、クロメート等の酸化皮膜)や耐熱層が形成されていてもよい。
これら方法において、フッ素樹脂フィルム及び金属箔を必須とする金属張積層体をガラス繊維からなる布帛層や樹脂フィルム層等の基材層と積層させる場合、金属張積層体のフッ素樹脂フィルム層側を基材層と接着させることで積層させることができる。この場合は、積層前に金属張積層体のフッ素樹脂フィルム層側に対して表面処理を施して、接着性能を高めたものを使用するものであってもよい。ここでの表面処理としては、特に限定されず、上述したプラズマ処理等を挙げることができる。
上記積層体において、金属箔層、基材層、及び上述したフッ素樹脂フィルムの積層順や製造方法は特に限定されるものではなく、目的に応じた層構成とすることができる。
上述した積層順として、具体的には、基材層/フッ素樹脂フィルム/金属箔層で構成されるもの、金属箔層/フッ素樹脂フィルム/基材層/フッ素樹脂フィルム/金属箔層、金属箔層/基材層/フッ素樹脂フィルム/基材層/金属箔層で構成されるもの等を挙げることができる。
また、必要に応じて、その他の層を有するものとすることもできる。
なお、上記の積層体における金属箔は、上述したフッ素樹脂フィルムとの積層体において詳述した金属箔と同一のものを使用することができる。
上述した積層体の構成を得るに際して、本開示のフッ素樹脂フィルムは、片面又は両面に金属箔を接着させて使用することとなる。上述したように、本開示のフッ素樹脂フィルムは、接着性に優れたものである。したがって、Rz1.5μm以下という平滑性の高い金属箔への接着性も優れたものである。金属箔とフッ素樹脂フィルムとの接着強度が、0.8N/mm以上であることが好ましく、接着強度を0.9N/mm以上、さらに1.0N/mm以上とすることで、金属張積層板や回路用基板として好適に使用することができる。なお、ここでの接着強度は、実施例に記載した条件で測定した接着強度を意味するものである。
回路用基板に使用される金属箔は、絶縁層との接着性を確保するために従来は表面に一定の凹凸を付与されている。しかし、高周波用途において金属箔の表面に凹凸が存在すると電気号のロスの原因となるため、好ましいものではない。上記の積層体は、平滑性の高い金属箔に対しても好適な接着性を得ることができるものであり、回路用基板として好適に使用することができる積層体となる。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、ラミネート時に不良を生じることが少なく、かつ、金属箔との良好な接着性も得ることができるという効果を奏するものであり、Rz1.5μm以下という平滑性の高い金属箔への接着性を有することから、金属張積層体や回路用基板、フラットケーブルやカバーレイなどに好適に使用できる積層体を提供することもできる。
本開示において高周波回路とは、単に高周波信号のみを伝送する回路からなるものだけでなく、高周波信号を低周波信号に変換して、生成された低周波信号を外部へ出力する伝送路や、高周波対応部品の駆動のために供給される電源を供給するための伝送路等、高周波信号ではない信号を伝送する伝送路も同一平面上に併設された回路も含まれる。また、アンテナ、フィルターなどの回路基板としても利用できる。
以下、本開示を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例において比率はモル比で表す。
[フッ素樹脂]
PFA1:TFE/PPVE共重合体、組成(モル比):TFE/PPVE=98.6/1.4、MFR15.2g/10分、融点309.5℃、ガラス転移温度93℃、製膜、表面処理後の不安定官能基数:フッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個あたり324個
[フッ素樹脂]
PFA2:TFE/PPVE共重合体、組成(モル比):TFE/PPVE=97.7/2.3、MFR14.6g/10分、融点300.9℃、ガラス転移温度93℃、製膜、表面処理後の不安定官能基数:フッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個あたり192個
[フッ素樹脂]
PFA3:フッ素化TFE/PPVE共重合体、組成(モル比):TFE/PPVE=97.7/2.3、MFR15.0g/10分、融点300.9℃、ガラス転移温度93℃、製膜、表面処理後の不安定官能基数:フッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個あたり8個
[フッ素樹脂]
PFA4:TFE/PPVE共重合体、組成(モル比):TFE/PPVE=97.2/2.8、MFR64g/10分、融点284℃、ガラス転移温度90℃、製膜、表面処理後の不安定官能基数:フッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個あたり507個
(重合体組成)
19F-NMR分析により測定した。
(融点)
DSC装置を用い、10℃/分の速度で昇温して測定したときの融解ピークから算出。
(ガラス転移温度)
固体動的粘弾性装置(DMA)を用い、周波数10Hz、歪み0.1%、5℃/分の速度で昇温して測定したときのtanδピークから算出。
(メルトフローレート(MFR)
ASTM D3307に準拠して、温度372℃、荷重5.0kgの条件下で測定した。
(フッ素樹脂フィルムの厚み)
マイクロメーターを用いて測定した。
(不安定官能基数)
FT-IR Spectrometer 1760X(Perkin-Elmer社製)を用いて分析を行った。
(フッ素樹脂フィルム表面のESCA分析)
走査型X線光電子分光分析装置(XPS/ESCA)PHI5000VersaProbeII(アルバック・ファイ株式会社製)を用いて測定した。
(銅箔の表面粗さ)
電解銅箔CF-T9DA-SV-18(厚み18μm/Rz0.85μm)(福田金属箔粉工業株式会社製)のカタログ値を採用した。
(銅箔とフッ素樹脂フィルム間の接着強度)
予熱なしまたはガラス転移温度以上融点未満で予熱したフッ素樹脂フィルムを用い、銅箔/フッ素樹脂フィルム/銅箔の順に重ね、真空ヒートプレスにて作製した積層体の片面に粘着テープでアルミ板を貼り付け、テンシロン万能試験機(株式会社島津製作所製)を用いて、毎分50mmの速度で、積層体の平面に対して90°の方向に10mm幅の銅箔を掴んで引っ張ることで銅箔の引きはがし強さを測定し、得られた値を接着強度とした。
(導電性異物数の測定)
導電性異物の個数の測定
導電性異物の数は、以下の方法によって検出した。すなわち、シート検査装置(製品名等:スーパーNASP-λ、オムロン株式会社社製)を用い、フィルムの検査を行った。成形機に設置した検査装置の多波長カメラと可視光と近赤外光を照射する照明の間にフィルムを通した。その際、異物に可視光と赤外光を照射したときの反射率の比である金属度合が70以上のものを導電性異物とみなした。
ニッケル :金属度合が88~92であるもの
炭化物 :金属度合が95~100であるもの
その他の導電性異物:金属度合が70以上かつ上記範囲外
フィルムの流れ方向の長さもしくは幅方向の長さが50μm以上の導電性異物の個数を検出した。
(外観検査)
1mのフィルム内の異物を目視で観察し、ルーペを用いて黒い異物個数を数えた。確認の結果、1mあたり10個未満のものを◎、10個以上60個未満のものを〇、60個以上のものを×とした。なお、この目視で確認できる黒い異物はニッケルや炭化物を含むすべての導電性異物とみなした。
(張り合わせの歩留まり評価)
予熱なしまたはガラス転移温度以上融点未満で予熱したフッ素樹脂フィルムを用い、25cm×40cmのサイズに切り出し、銅箔/フッ素樹脂フィルムの順に重ね、真空ヒートプレスにて作製した。その積層体の銅箔と張り合わせたフィルムについて目視判定し、確認できた異物をフィルム面側から微分干渉顕微鏡(製品名:LV100ND、ニコン製)で観察した。導電性異物として、異物付近が黒く見えたものを炭化物、金属状の光沢が確認されたものを金属異物とみなした。凹凸のみしか確認されないものは非導電性異物のフィッシュアイとみなした。
25cm×40cmの面積内に導電性異物由来の凸部が1個以下である場合を◎、2個以上6個以下である場合を○、7個以上である場合を×とした。
<実施例1>
[フィルムの製造方法]
PFA1のペレットをスクリューとダイの間に、#300以上のメッシュを複数枚重ねた超音波洗浄したニッケル製のフィルターを挿入した360℃の押出機に投入し、1700mm幅のTダイから押出して、金属冷却ロールに引き取り、さらに巻取り芯に巻取り1300mm幅、50μmの厚みのロールフィルムを製膜した。
この製膜時に導電性異物の検査を行った。
[フィルムの表面処理]
次いで、得られた長尺ロールフィルムの両面に表面処理(コロナ放電装置の放電電極とロール状接地電極の近傍に酢酸ビニルが0.50容量%含まれる窒素ガスを流しながら、フィルムをロール状接地電極に添わせて連続的に通過させ、放電量1324W・min/mでフィルムの両面をコロナ放電処理)を行いロール状に表面処理された長尺フィルムを巻き取った。
得られたフィルムの外観検査を行った。
[銅箔との貼り合わせ]
フッ素樹脂フィルムに表面処理を行った面と同じ面が、電解銅箔CF-T9DA-SV-18(厚み18μm/Rz0.85μm)(福田金属箔粉工業株式会社製)と接するように重ね、真空ヒートプレス機(型番:MKP-1000HVWH-S7/ミカドテクノス株式会社製)を用いて、プレス温度320℃、予熱時間60秒、加圧力1.5MPa、加圧時間300秒で熱プレスすることで接着させ、25cm×40cmのサイズの張り合わせ品を得た。
銅箔/フッ素樹脂フィルムの層構成で張り合わせたもので歩留まり評価を行った。また同様に銅箔/フッ素樹脂フィルム/銅箔の層構成で張り合わせたもので接着強度を測定した。
<実施例2>
実施例1と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例3>
実施例1と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例4>
PFA2を用いた以外は実施例1と同様の内容でフィルム厚みが50μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例5>
実施例4と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例6>
実施例4と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例7>
PFA3を用いた以外は実施例1と同様の内容でフィルム厚みが50μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例8>
実施例7と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例9>
実施例7と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例10>
PFA1のペレットをスクリューとダイの間に、#300以上のメッシュを複数枚重ねた焼結処理を施し超音波洗浄したニッケル製のフィルターを挿入した360℃の押出機に投入し、1700mm幅のTダイから押出して、金属冷却ロールに引き取り、さらに巻取り芯に巻取り1300mm幅、50μmの厚みのロールフィルムを製膜した。
実施例1と同様に、製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例11>
実施例10と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例12>
実施例10と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例13>
PFA2を用いた以外は実施例10と同様の内容でフィルム厚みが50μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例14>
実施例13と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例15>
実施例13と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例16>
PFA3を用いた以外は実施例10と同様の内容でフィルム厚みが50μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例17>
実施例16と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<実施例18>
実施例16と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<比較例1>
PFA4のペレットをスクリューとダイの間に#300以上の洗浄、焼結処理をしていないメッシュを複数枚重ねたニッケル製のフィルターを挿入した360℃の押出機に投入し、1700mm幅のTダイから押出して、金属冷却ロールに引き取り、さらに巻取り芯に巻取り1300mm幅、50μmの厚みのロールフィルムを製膜した。
実施例1と同様に、製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<比較例2>
比較例1と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<比較例3>
比較例1と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<比較例4>
PFA1のペレットをスクリューとダイの間に#300以上のメッシュを複数枚重ねた焼結処理を施したニッケル製のフィルターを挿入した360℃の押出機に投入し、1700mm幅のTダイから押出して、金属冷却ロールに引き取り、さらに巻取り芯に巻取り1300mm幅、50μmの厚みのロールフィルムを製膜した。
実施例1と同様に、製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<比較例5>
比較例4と同様の内容でフィルム厚みが25μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
<比較例6>
比較例4と同様の内容でフィルム厚みが12.5μmのものを製膜した。製膜時の導電性異物の検査、フィルムの外観検査、張り合わせ後の歩留まり評価、接着強度の測定を行った。
実施例1~18の結果を表2に示す。
比較例1~6の結果を表3に示す。
表2,3の結果から、本開示のフッ素樹脂フィルムは、1平方メートルあたりの導電性異物数を低減し、外観良好で金属箔との張り合わせ不良の少ない回路基板用材料として期待できる。
本開示のフッ素樹脂フィルムは、回路基板用の金属張積層板に好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. フッ素樹脂から構成されたフィルムであって、フィルムに存在する、フィルムの流れ方向の長さもしくは幅方向の長さが50μm以上の導電性異物の個数が60個/平方メートル未満であるフッ素樹脂フィルム。
  2. 前記フッ素樹脂の不安定官能基数が、フッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個あたり350個未満である請求項1に記載のフッ素樹脂フィルム。
  3. 前記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体もしくはテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求項1又は2に記載のフッ素樹脂フィルム。
  4. 372℃、荷重49Nにおける前記フッ素樹脂の溶融流れ速度が0.1~50g/10分である請求項1又は2に記載のフッ素樹脂フィルム。
  5. 面積が1平方メートル以上である請求項1又は2に記載のフッ素樹脂フィルム。
  6. 前記導電性異物が、ニッケル及び/又は炭化物を含むものである請求項1又は2に記載のフッ素樹脂フィルム。
  7. 表面粗さRzが1.5μm以下の金属箔と接着した場合の接着強度が0.8N/mm以上である請求項1又は2に記載のフッ素樹脂フィルム。
  8. 金属張積層板に用いられる請求項1又は2に記載のフッ素樹脂フィルム。
  9. 金属箔及び請求項1又は2に記載のフッ素樹脂フィルムを必須の層とする金属張積層体。
  10. 更に、金属箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層を有し、当該金属箔およびフッ素樹脂フィルム以外の層は、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルファイド、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ビスマレイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンエーテル、及び、ポリブタジエンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項9に記載の金属張積層体。
  11. 金属箔は、表面粗さRzが1.5μm以下である請求項9に記載の金属張積層体。
  12. 金属箔と、フッ素樹脂フィルムとの接着強度が0.8N/mm以上である請求項9に記載の金属張積層体。
  13. 請求項9に記載の金属張積層体を有することを特徴とする回路用基板。
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