JP3651712B2 - 電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法及び検出装置 - Google Patents
電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法及び検出装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3651712B2 JP3651712B2 JP06720496A JP6720496A JP3651712B2 JP 3651712 B2 JP3651712 B2 JP 3651712B2 JP 06720496 A JP06720496 A JP 06720496A JP 6720496 A JP6720496 A JP 6720496A JP 3651712 B2 JP3651712 B2 JP 3651712B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- insulating material
- rolls
- defect
- voltage
- conductive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
- Testing Relating To Insulation (AREA)
- Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ用プラスチックフイルム、コンデンサ用ペーパー等の電気絶縁材料の絶縁欠陥と欠陥原因となる欠陥因子を検出する方法及び検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絶縁材料の欠陥因子の検出は、JIS−C−2318及び2319、EIAJ−RC−665等で電気絶縁材料の欠陥部を検出後、顕微鏡観察等で欠陥因子を特定するか、肉眼観察、又は偏光板観察等で絶縁材料の異常部を検出後顕微鏡観察等で欠陥因子を特定し、X線分析、蛍光X線分析、化学分析等で欠陥因子の物質を特定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、JIS−C−2319等の方法では、図3に示すように、直流電源21からの電圧を、上部電極22とアルミニウム箔10枚からなる下部電極23間に挟んだ試験片24に印加し、これを、金属製平板25上に固着したゴム板26上で測定するようにしている。この測定では欠陥部の破壊穴が大きくなるおそれがあり、絶縁材料の欠陥原因となる欠陥因子のうち、肉眼で検出可能な巨大欠陥因子は検出できるものの、肉眼で検出不可能な微小欠陥因子は飛散するか、落下して検出不可能になることがあるという問題がある。また、コンデンサに使用される絶縁材料においては、表面付着異物により、とくにプラスチックフイルムを用いたものにおいてはポリマーに覆われた欠陥因子等はコンデンサに巻き込まれることによってプレス工程で絶縁材料に傷を付けるためコンデンサとしては絶縁破壊不良となるが、上記方法にはプレス工程がないため欠陥因子が存在しても絶縁材料に傷を付けることがなく、したがってそのような絶縁材料は欠陥不良として検出されないこと、さらに該方法は測定面積が小さいため、大面積中に存在する欠陥及び欠陥因子を検出するためには長時間を要するなどの問題があった。
【0004】
本発明の課題は、これらの問題点を解決するために、確実にかつ短時間で電気絶縁材料の欠陥を検出可能な絶縁欠陥検出方法、及びそのための装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法は、少なくとも一方が導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールにて絶縁材料を0.1kg/cm以上のニップ圧力でニップし、該絶縁材料を走行させながら、該両ロールに高抵抗を直列に接続した高電圧電源より電圧を印加し、前記絶縁材料に欠陥が存在する場合、該欠陥部を通して流れる電流によって電圧の印加及び絶縁材料の走行を停止させることにより、該欠陥部に欠陥因子をとどめた状態で欠陥を検出することを特徴とする方法からなる。
【0006】
また、本発明に係る電気絶縁材料の欠陥検出装置は、少なくとも一方のロールが体積固有抵抗1×106 Ω・cm以下で、かつショア硬度65度以上、95度以下のゴム硬度を有する導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールを有し、該一対のロール間に流れる電流を0.1〜10mAまで自由に設定可能な装置であって、設定値以上の電流が流れた時にロールの駆動が停止する走行系と、該一対のロールに直列に接続された1MΩ以上の抵抗と、電流を0.1〜10mAまで自由に設定可能であって設定値以上の電流が流れた時に印加した電圧が切れる制御装置に接続された高電圧電源と、前記一対の導電性ロール間に0.1kg/cm以上の押さえ圧を加えるための圧力系とを有することを特徴とするものからなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
図1および図2は、本発明の一実施態様に係る電気絶縁材料の欠陥検出装置の概略構成を示している。図において、ロール1、2が一対の導電性ロールで、該両ロール1、2間に絶縁材料9を挿入し、該両ロール1、2をニップすることで、たとえばコンデンサ作製時のプレス工程に準じた条件が得られる。そして、すでに発生している欠陥はもとより、従来法では検出不可能な欠陥因子、すなわち表面付着塵、プラスチックフイルムにおいてはポリマーに覆われた欠陥因子等、実際にコンデンサを作製しなくても絶縁材料における欠陥として検出可能になる。
【0008】
一対の導電性ロール1、2のニップ圧力は、コンプレッサ7と、エアシリンダ8によって任意に設定可能である。本発明では、このニップ圧力は0.1kg/cm以上で、好ましくは0.5kg/cm以上、1.5kg/cm以下である。
【0009】
しかし、該両ロール1、2が共に金属ロールのように硬い材質では、上記のように両ロール1、2間に高い圧力を加えると、ロール表面の突起、傷などで絶縁材料9の正常部に傷を付けることになるため、真の欠陥を検出することはできない。そこでこのような問題を解決するため、両ロール1、2の少なくとも一方のロールは弾性を有するものでなければならない。
【0010】
その弾性は、たとえば高分子計器社製C型ゴム硬度計で測定したとき、ロールの硬度が、65度ショア以上、95度ショア以下で、好ましくは75度ショア以上、90度ショア以下である。
【0011】
弾性ロールは、その表面材質をゴム又はカーボンシート、あるいはプラスチック、またはその他の材質を単体でも、2種類以上を併用してもよく、これらを金属ロール上に巻いてもよい。
【0012】
一対のロール1、2は、導電性を有する物でなければならない。上記の如く弾性を有し、かつ導電性を有する手段としては、体積固有抵抗が1×106 Ω・cm以下であればカーボン入りゴム、金属、銀粉、その他金属粉入りゴム、カーボンシート、導電性プラスチック等を使用することができる。
【0013】
図1の抵抗3は、欠陥部が破壊した時の破壊穴を小さくするために具備した高抵抗である。その値は1MΩ以上で、好ましくは50MΩ以上、200MΩ以下である。該抵抗3は、電気回路中に直列に接続したが、一対の導電性ロール1、2の少なくとも一方のロールの抵抗を前記抵抗範囲にすることによっても達成できる。
【0014】
高電圧発生装置(高電圧電源)4は、高電圧を発生させると共に一対の導電性ロール1、2間に流れる電流を0.1mA〜10mAの範囲で任意に設定可能であって、設定値以上の電流が流れた時に印加した電圧が切れる制御装置5に接続している。
【0015】
絶縁材料9の欠陥によって、回路に設定以上の電流が流れた時、印加した電圧が切れることによって連続して電流が流れることはなく、破壊穴を小さく抑えることができる。
【0016】
モータ6は、ロールを駆動させ絶縁材料9を走行させる系を構成し、一対の導電性ロール1、2間に流れる電流を0.1mA〜10mAの範囲で任意に設定可能な前記系に接続すれば、絶縁材料9の欠陥によって該ロール1、2間に設定値以上の電流が流れた時絶縁材料9の走行を停止することができる。
【0017】
導電性ロール1、2の抵抗値としては、100kΩ以下が好ましく、ロール1、2間に印加する電圧としては、絶縁材料9の厚さ1μmに対して100V以下とすることが好ましい。
【0018】
このような装置では、たとえば絶縁材料9を巻き出しリール10側から巻き取りリール11側に走行させることにより、大面積の調査も簡単に行うことが可能で、確実に欠陥部を特定できることから、大面積中に存在する欠陥因子も容易に検出することができる。従って、欠陥因子の検出に要する時間が著しく短縮される。
【0019】
検出された欠陥因子は、X線分析、蛍光X線分析、化学分析等で、物質を特定することができる。そして、物質が特定できれば、該物質が絶縁材料に付着、又は混入した場所が特定でき、該物質の除去および混入原因の除去が可能となり、従来法に比べ絶縁材料の欠陥検出を大幅に改善して検出の確実さ、作業性、検出後の原因除去等について効果的に改良することができる。
【0020】
【作用】
本発明では、少なくとも一方が導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールにて絶縁材料をニップすることにより、すでに発生している欠陥はもとより、コンデンサ作製時のプレス工程まで進まなければ発生しないような欠陥についても、コンデンサを実際に作製しなくても検出することがきるようになり、高電圧回路に高抵抗を直列に接続することにより、欠陥部の破壊穴を小さく抑えて欠陥部に欠陥因子を留めることができる。
【0021】
また、絶縁材料を走行させながら欠陥調査を行うことができることから、大面積に存在する欠陥も短時間で検出できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を具体的実施例に基づいて説明する。
絶縁材料としての、厚み4μmのポリフェニレンサルファイドフイルム(以下PPSフイルムと呼ぶ)を、金属ロールに0.5mm厚みのカーボン入りゴムを巻いた導電弾性ロールを+側ロールとして一対のロール間でニップし、エア圧を任意に設定可能なエアシリンダを使用してニップ圧力を調整した。
一対の導電ロール間に400VDC電圧を印加し、該両ロール間電流は1mAに設定した。
11.5mm幅のPPSフイルムを5m/minで20m走らせた時の結果を表1に示す。
【0023】
実施例1〜7は本発明に係る範囲内の例で、実施例1〜3は導電弾性ロールのゴム硬度を、実施例2と実施例4は一対の導電ロール間のニップ圧力を、実施例2と5、6は直列抵抗の値を変えたときの例で、実施例7は一対の両ロール共ゴムロールを用い他の条件は実施例2と同条件としたときの例で、いずれの条件でも欠陥部の破壊穴は小さく肉眼で確認できなかった。顕微鏡観察で破壊穴の確認と、欠陥部に欠陥因子が留まっていることを確認した。
【0024】
比較例1は、一対の両ロールが金属ロール、硬度は100度ショアでニップ圧力、直列抵抗は実施例2に合わせた例で、実施例2に対して欠陥個数は10倍に、欠陥部の破壊穴も大きく、欠陥部を顕微鏡観察したが欠陥因子は残ってはいなかった。
【0025】
また、破壊穴の両端に擦り傷状の傷が発見されたことから、一対のロール通過前後のフイルムの欠陥部を除いた箇所を顕微鏡観察し、該ロール通過後のフイルムに擦り傷状の傷が有ることを確認した。該ロール通過前、及び実施例2には傷は無かった。以上のことから傷は該ロールで発生したことは明らかである。
【0026】
以上のことから、本比較例で欠陥数が多かったのは、該ロールでフイルム面に付けた傷の一部が欠陥となったことは明らかで、一対の両ロールが高硬度ロールの組み合わせからなるときには、絶縁材料の正常部に傷を付け欠陥を発生させることから真の欠陥を検出できない。
【0027】
比較例2、3は、ゴムロールの硬度を低くしたときの例で、比較例2はニップ圧力0kg/cmの例で欠陥は発生しなかった。従って破壊穴の大きさ、欠陥部の欠点残存有無は測定できなかった。比較例3は、ニップ圧力1.0kg/cmの例で、この場合にはロールの回転不良でフイルムが切れ測定できなかった。
【0028】
比較例4は、実施例2でニップ圧力のみを0kg/cmにしたときの例で、欠陥は発生しなかった。したがって破壊穴の大きさ、欠陥部の欠陥因子残存有無は測定できなかった。
【0029】
比較例5は、実施例2で直列抵抗のみを0.9MΩにしたときの例で欠陥部の破壊穴が大きく、顕微鏡観察でも欠陥部に欠陥因子は残っていなかった。
【0030】
前述の図3に示した従来例では、JIS−C−2319法の400Vで破壊した欠陥部で、破壊穴は比較1、5よりさらに大きく、顕微鏡観察でも欠陥部に欠陥因子は残っていなかった。該方法は、400Vで破壊した欠陥部を1点検出するのに、実施例の50倍以上の時間を要した。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
上述した各実施例からも明らかな如く、本発明は肉眼で検出不可能な微小な欠陥因子の検出が可能で、該欠陥因子はX線、蛍光X線、化学分析等でその物質を特定することができ、該欠陥因子の物質が明確になることによって発生場所の特定が可能で、欠陥因子の除去が可能となる。
【0033】
欠陥因子を除去することで、欠陥が少なく、信頼性の高い絶縁材料の製造が可能となり、絶縁材料の欠陥が少なくなることから、欠陥による不良率の減少、欠陥因子の検出に要する時間の大幅短縮等、製造コストの低減も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る電気絶縁材料の絶縁欠陥検出装置の概略斜視図である。
【図2】図1の装置の概略機器系統図である。
【図3】従来法(JIS−C−2319法)の回路図である。
【符号の説明】
1 導電弾性ロール
2 金属ロール
3 高抵抗(箱)
4 高電圧電源
5 制御装置
6 モータ
7 コンプレッサ
8 エアシリンダ
9 絶縁材料
10 巻き出しリール
11 巻き取りロール
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ用プラスチックフイルム、コンデンサ用ペーパー等の電気絶縁材料の絶縁欠陥と欠陥原因となる欠陥因子を検出する方法及び検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
絶縁材料の欠陥因子の検出は、JIS−C−2318及び2319、EIAJ−RC−665等で電気絶縁材料の欠陥部を検出後、顕微鏡観察等で欠陥因子を特定するか、肉眼観察、又は偏光板観察等で絶縁材料の異常部を検出後顕微鏡観察等で欠陥因子を特定し、X線分析、蛍光X線分析、化学分析等で欠陥因子の物質を特定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、JIS−C−2319等の方法では、図3に示すように、直流電源21からの電圧を、上部電極22とアルミニウム箔10枚からなる下部電極23間に挟んだ試験片24に印加し、これを、金属製平板25上に固着したゴム板26上で測定するようにしている。この測定では欠陥部の破壊穴が大きくなるおそれがあり、絶縁材料の欠陥原因となる欠陥因子のうち、肉眼で検出可能な巨大欠陥因子は検出できるものの、肉眼で検出不可能な微小欠陥因子は飛散するか、落下して検出不可能になることがあるという問題がある。また、コンデンサに使用される絶縁材料においては、表面付着異物により、とくにプラスチックフイルムを用いたものにおいてはポリマーに覆われた欠陥因子等はコンデンサに巻き込まれることによってプレス工程で絶縁材料に傷を付けるためコンデンサとしては絶縁破壊不良となるが、上記方法にはプレス工程がないため欠陥因子が存在しても絶縁材料に傷を付けることがなく、したがってそのような絶縁材料は欠陥不良として検出されないこと、さらに該方法は測定面積が小さいため、大面積中に存在する欠陥及び欠陥因子を検出するためには長時間を要するなどの問題があった。
【0004】
本発明の課題は、これらの問題点を解決するために、確実にかつ短時間で電気絶縁材料の欠陥を検出可能な絶縁欠陥検出方法、及びそのための装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法は、少なくとも一方が導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールにて絶縁材料を0.1kg/cm以上のニップ圧力でニップし、該絶縁材料を走行させながら、該両ロールに高抵抗を直列に接続した高電圧電源より電圧を印加し、前記絶縁材料に欠陥が存在する場合、該欠陥部を通して流れる電流によって電圧の印加及び絶縁材料の走行を停止させることにより、該欠陥部に欠陥因子をとどめた状態で欠陥を検出することを特徴とする方法からなる。
【0006】
また、本発明に係る電気絶縁材料の欠陥検出装置は、少なくとも一方のロールが体積固有抵抗1×106 Ω・cm以下で、かつショア硬度65度以上、95度以下のゴム硬度を有する導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールを有し、該一対のロール間に流れる電流を0.1〜10mAまで自由に設定可能な装置であって、設定値以上の電流が流れた時にロールの駆動が停止する走行系と、該一対のロールに直列に接続された1MΩ以上の抵抗と、電流を0.1〜10mAまで自由に設定可能であって設定値以上の電流が流れた時に印加した電圧が切れる制御装置に接続された高電圧電源と、前記一対の導電性ロール間に0.1kg/cm以上の押さえ圧を加えるための圧力系とを有することを特徴とするものからなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
図1および図2は、本発明の一実施態様に係る電気絶縁材料の欠陥検出装置の概略構成を示している。図において、ロール1、2が一対の導電性ロールで、該両ロール1、2間に絶縁材料9を挿入し、該両ロール1、2をニップすることで、たとえばコンデンサ作製時のプレス工程に準じた条件が得られる。そして、すでに発生している欠陥はもとより、従来法では検出不可能な欠陥因子、すなわち表面付着塵、プラスチックフイルムにおいてはポリマーに覆われた欠陥因子等、実際にコンデンサを作製しなくても絶縁材料における欠陥として検出可能になる。
【0008】
一対の導電性ロール1、2のニップ圧力は、コンプレッサ7と、エアシリンダ8によって任意に設定可能である。本発明では、このニップ圧力は0.1kg/cm以上で、好ましくは0.5kg/cm以上、1.5kg/cm以下である。
【0009】
しかし、該両ロール1、2が共に金属ロールのように硬い材質では、上記のように両ロール1、2間に高い圧力を加えると、ロール表面の突起、傷などで絶縁材料9の正常部に傷を付けることになるため、真の欠陥を検出することはできない。そこでこのような問題を解決するため、両ロール1、2の少なくとも一方のロールは弾性を有するものでなければならない。
【0010】
その弾性は、たとえば高分子計器社製C型ゴム硬度計で測定したとき、ロールの硬度が、65度ショア以上、95度ショア以下で、好ましくは75度ショア以上、90度ショア以下である。
【0011】
弾性ロールは、その表面材質をゴム又はカーボンシート、あるいはプラスチック、またはその他の材質を単体でも、2種類以上を併用してもよく、これらを金属ロール上に巻いてもよい。
【0012】
一対のロール1、2は、導電性を有する物でなければならない。上記の如く弾性を有し、かつ導電性を有する手段としては、体積固有抵抗が1×106 Ω・cm以下であればカーボン入りゴム、金属、銀粉、その他金属粉入りゴム、カーボンシート、導電性プラスチック等を使用することができる。
【0013】
図1の抵抗3は、欠陥部が破壊した時の破壊穴を小さくするために具備した高抵抗である。その値は1MΩ以上で、好ましくは50MΩ以上、200MΩ以下である。該抵抗3は、電気回路中に直列に接続したが、一対の導電性ロール1、2の少なくとも一方のロールの抵抗を前記抵抗範囲にすることによっても達成できる。
【0014】
高電圧発生装置(高電圧電源)4は、高電圧を発生させると共に一対の導電性ロール1、2間に流れる電流を0.1mA〜10mAの範囲で任意に設定可能であって、設定値以上の電流が流れた時に印加した電圧が切れる制御装置5に接続している。
【0015】
絶縁材料9の欠陥によって、回路に設定以上の電流が流れた時、印加した電圧が切れることによって連続して電流が流れることはなく、破壊穴を小さく抑えることができる。
【0016】
モータ6は、ロールを駆動させ絶縁材料9を走行させる系を構成し、一対の導電性ロール1、2間に流れる電流を0.1mA〜10mAの範囲で任意に設定可能な前記系に接続すれば、絶縁材料9の欠陥によって該ロール1、2間に設定値以上の電流が流れた時絶縁材料9の走行を停止することができる。
【0017】
導電性ロール1、2の抵抗値としては、100kΩ以下が好ましく、ロール1、2間に印加する電圧としては、絶縁材料9の厚さ1μmに対して100V以下とすることが好ましい。
【0018】
このような装置では、たとえば絶縁材料9を巻き出しリール10側から巻き取りリール11側に走行させることにより、大面積の調査も簡単に行うことが可能で、確実に欠陥部を特定できることから、大面積中に存在する欠陥因子も容易に検出することができる。従って、欠陥因子の検出に要する時間が著しく短縮される。
【0019】
検出された欠陥因子は、X線分析、蛍光X線分析、化学分析等で、物質を特定することができる。そして、物質が特定できれば、該物質が絶縁材料に付着、又は混入した場所が特定でき、該物質の除去および混入原因の除去が可能となり、従来法に比べ絶縁材料の欠陥検出を大幅に改善して検出の確実さ、作業性、検出後の原因除去等について効果的に改良することができる。
【0020】
【作用】
本発明では、少なくとも一方が導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールにて絶縁材料をニップすることにより、すでに発生している欠陥はもとより、コンデンサ作製時のプレス工程まで進まなければ発生しないような欠陥についても、コンデンサを実際に作製しなくても検出することがきるようになり、高電圧回路に高抵抗を直列に接続することにより、欠陥部の破壊穴を小さく抑えて欠陥部に欠陥因子を留めることができる。
【0021】
また、絶縁材料を走行させながら欠陥調査を行うことができることから、大面積に存在する欠陥も短時間で検出できる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を具体的実施例に基づいて説明する。
絶縁材料としての、厚み4μmのポリフェニレンサルファイドフイルム(以下PPSフイルムと呼ぶ)を、金属ロールに0.5mm厚みのカーボン入りゴムを巻いた導電弾性ロールを+側ロールとして一対のロール間でニップし、エア圧を任意に設定可能なエアシリンダを使用してニップ圧力を調整した。
一対の導電ロール間に400VDC電圧を印加し、該両ロール間電流は1mAに設定した。
11.5mm幅のPPSフイルムを5m/minで20m走らせた時の結果を表1に示す。
【0023】
実施例1〜7は本発明に係る範囲内の例で、実施例1〜3は導電弾性ロールのゴム硬度を、実施例2と実施例4は一対の導電ロール間のニップ圧力を、実施例2と5、6は直列抵抗の値を変えたときの例で、実施例7は一対の両ロール共ゴムロールを用い他の条件は実施例2と同条件としたときの例で、いずれの条件でも欠陥部の破壊穴は小さく肉眼で確認できなかった。顕微鏡観察で破壊穴の確認と、欠陥部に欠陥因子が留まっていることを確認した。
【0024】
比較例1は、一対の両ロールが金属ロール、硬度は100度ショアでニップ圧力、直列抵抗は実施例2に合わせた例で、実施例2に対して欠陥個数は10倍に、欠陥部の破壊穴も大きく、欠陥部を顕微鏡観察したが欠陥因子は残ってはいなかった。
【0025】
また、破壊穴の両端に擦り傷状の傷が発見されたことから、一対のロール通過前後のフイルムの欠陥部を除いた箇所を顕微鏡観察し、該ロール通過後のフイルムに擦り傷状の傷が有ることを確認した。該ロール通過前、及び実施例2には傷は無かった。以上のことから傷は該ロールで発生したことは明らかである。
【0026】
以上のことから、本比較例で欠陥数が多かったのは、該ロールでフイルム面に付けた傷の一部が欠陥となったことは明らかで、一対の両ロールが高硬度ロールの組み合わせからなるときには、絶縁材料の正常部に傷を付け欠陥を発生させることから真の欠陥を検出できない。
【0027】
比較例2、3は、ゴムロールの硬度を低くしたときの例で、比較例2はニップ圧力0kg/cmの例で欠陥は発生しなかった。従って破壊穴の大きさ、欠陥部の欠点残存有無は測定できなかった。比較例3は、ニップ圧力1.0kg/cmの例で、この場合にはロールの回転不良でフイルムが切れ測定できなかった。
【0028】
比較例4は、実施例2でニップ圧力のみを0kg/cmにしたときの例で、欠陥は発生しなかった。したがって破壊穴の大きさ、欠陥部の欠陥因子残存有無は測定できなかった。
【0029】
比較例5は、実施例2で直列抵抗のみを0.9MΩにしたときの例で欠陥部の破壊穴が大きく、顕微鏡観察でも欠陥部に欠陥因子は残っていなかった。
【0030】
前述の図3に示した従来例では、JIS−C−2319法の400Vで破壊した欠陥部で、破壊穴は比較1、5よりさらに大きく、顕微鏡観察でも欠陥部に欠陥因子は残っていなかった。該方法は、400Vで破壊した欠陥部を1点検出するのに、実施例の50倍以上の時間を要した。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
上述した各実施例からも明らかな如く、本発明は肉眼で検出不可能な微小な欠陥因子の検出が可能で、該欠陥因子はX線、蛍光X線、化学分析等でその物質を特定することができ、該欠陥因子の物質が明確になることによって発生場所の特定が可能で、欠陥因子の除去が可能となる。
【0033】
欠陥因子を除去することで、欠陥が少なく、信頼性の高い絶縁材料の製造が可能となり、絶縁材料の欠陥が少なくなることから、欠陥による不良率の減少、欠陥因子の検出に要する時間の大幅短縮等、製造コストの低減も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る電気絶縁材料の絶縁欠陥検出装置の概略斜視図である。
【図2】図1の装置の概略機器系統図である。
【図3】従来法(JIS−C−2319法)の回路図である。
【符号の説明】
1 導電弾性ロール
2 金属ロール
3 高抵抗(箱)
4 高電圧電源
5 制御装置
6 モータ
7 コンプレッサ
8 エアシリンダ
9 絶縁材料
10 巻き出しリール
11 巻き取りロール
Claims (3)
- 少なくとも一方が導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールにて絶縁材料を0.1kg/cm以上のニップ圧力でニップし、該絶縁材料を走行させながら、該両ロールに高抵抗を直列に接続した高電圧電源より電圧を印加し、前記絶縁材料に欠陥が存在する場合、該欠陥部を通して流れる電流によって電圧の印加及び絶縁材料の走行を停止させることにより、該欠陥部に欠陥因子をとどめた状態で欠陥を検出することを特徴とする電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法。
- 高抵抗の抵抗値が1MΩ以上、導電弾性ロールの抵抗値が100kΩ以下、一対の導電性ロールに印加する電圧が絶縁材料の厚さ1μmに対して100V以下であり、かつ、欠陥部を流れる電流が10mA以下で電圧の印加及び絶縁材料の走行を停止させることを特徴とする、請求項1の電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法。
- 少なくとも一方のロールが体積固有抵抗1×106 Ω・cm以下で、かつショア硬度65度以上、95度以下のゴム硬度を有する導電弾性ロールからなる一対の導電性ロールを有し、該一対のロール間に流れる電流を0.1〜10mAまで自由に設定可能な装置であって、設定値以上の電流が流れた時にロールの駆動が停止する走行系と、該一対のロールに直列に接続された1MΩ以上の抵抗と、電流を0.1〜10mAまで自由に設定可能であって設置値以上の電流が流れた時に印加した電圧が切れる制御装置に接続された高電圧電源と、前記一対の導電性ロール間に0.1kg/cm以上の押さえ圧を加えるための圧力系とを有することを特徴とする電気絶縁材料の絶縁欠陥検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06720496A JP3651712B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法及び検出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06720496A JP3651712B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法及び検出装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09229907A JPH09229907A (ja) | 1997-09-05 |
JP3651712B2 true JP3651712B2 (ja) | 2005-05-25 |
Family
ID=13338156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06720496A Expired - Fee Related JP3651712B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法及び検出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3651712B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008157928A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-07-10 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 耐電圧不良検出方法及び耐電圧不良検出装置 |
JP2008157929A (ja) * | 2006-11-28 | 2008-07-10 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 耐電圧不良検出方法及び耐電圧不良検出装置 |
CN110794031B (zh) * | 2019-11-13 | 2023-04-28 | 山东天海新材料工程有限公司 | 一种土工膜在线渗漏点检测装置 |
-
1996
- 1996-02-27 JP JP06720496A patent/JP3651712B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09229907A (ja) | 1997-09-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20150115976A1 (en) | Continuous web inline testing apparatus, defect mapping system and related methods | |
US3792458A (en) | Method and apparatus for detecting pinholes in sheet material | |
JP3651712B2 (ja) | 電気絶縁材料の絶縁欠陥検出方法及び検出装置 | |
JP2695436B2 (ja) | 静電チャックの劣化検出回路 | |
CN1323442C (zh) | 同轴柔性压电电缆的极化装置和极化方法 | |
JPH0310211B2 (ja) | ||
JP2009236887A (ja) | 絶縁不良検出用電極構造および絶縁不良検出方法 | |
US20200341069A1 (en) | Method for producing separator and apparatus for producing separator | |
JP4639489B2 (ja) | 絶縁性シートの異物検出装置および該シートの検査処理方法 | |
JP2007268405A (ja) | 誘電フィルタ及び誘電フィルタの使用方法 | |
CN111864160A (zh) | 隔膜的制造方法及隔膜的制造装置 | |
JP6863995B2 (ja) | コロナ処理システム | |
JP2016133325A (ja) | セパレータ用導電性異物検査装置 | |
KR100594499B1 (ko) | 동축상 가요성 압전체 케이블의 결함 검출 장치 및 결함검출 방법 | |
JP4992599B2 (ja) | 円筒型電極体の異物混入検査方法および装置 | |
JP2009111207A (ja) | アルミニウム電解コンデンサの検査方法およびその装置 | |
KR20200125512A (ko) | 슬릿 세퍼레이터의 제조 방법 및 슬릿 세퍼레이터의 제조 장치 | |
JPH0747732Y2 (ja) | 両面絶縁被膜鋼板の絶縁被膜欠陥検出装置 | |
JP3889503B2 (ja) | 印刷装置 | |
JP4655504B2 (ja) | 積層型圧電体素子の検査方法 | |
US4721917A (en) | Coating continuity detector | |
JPH03102255A (ja) | ゴム/樹脂複合ホースの欠陥検出方法 | |
JP2002252392A (ja) | 同軸状可撓性圧電体チューブの分極装置および分極方法 | |
JPH074594Y2 (ja) | 抵抗測定用プローブ | |
JPH11132396A (ja) | センサ及び安全装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041001 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041126 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050204 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050217 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |