JP4639438B2 - 苗植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、苗植機の苗植付嘴に関するもので、主として苗根元に床土部を有した野菜苗や、たばこ苗等の移植機として利用できる。
【0002】
【従来の技術】
開閉する苗植付嘴の外周に、土壌面に突き刺して植付穴を形成するとき、この土壌面に接当させて苗植付嘴の突刺し深さを規制する土押え板を形成する技術が知られている。又、苗植付深さを変更するために、植付嘴の昇降植付軌跡線を上下に移動させるように構成する技術が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
外周面に土押え板を形成した苗植付嘴では、この土押え板によって土壌面への突き刺しによって形成される植付穴の深さが一定される。現実には、苗の種類や植付時期等によって、苗の大きさが異なることが多い。このため、植付苗に応じた植付穴の深さを簡単に設定できるようにするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、前後一対のクランクアーム(25,26)を上下揺動する構成の苗植リンク機構(15)を設け、前記前後一対のクランクアーム(25,26)の後端に連結ピン(39,40)を介して連結リンク(31)を連結し、前記連結ピン(39,40)回りに回動する前後一対の取付ブラケット(32)を設け、該前後一対の取付ブラケット(32)に第一のボルト(34)を介して植付嘴(2)を取り付け、該植付嘴(2)は、取付ブラケット(32)の回動により前後に開閉し、苗(A)を収容して下降し土壌面(C)に植付穴(E)を形成しながら苗植付を行う構成とし、植付嘴(2)の外周部に取付板(5)を設け、該取付板(5)に第二のボルト(6)を介して複数枚の土押え板(1)を積み重ねて取り付けでき、土押え板(1)の積み重ね枚数を多くするか、少なくするか又は無くして植付嘴(2)の土壌面(C)に対する植付深さ(F)を調節可能に構成し、土押え板(1)の前後端縁には上側へ屈曲する屈曲面(4)を形成し、泥土の付着を少なくするシート(44,45)を、植付嘴(2)の下端縁部(46)で折返部(47)により内外に折り返して連続した一枚の形態で構成した苗植機とする。
【0005】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、植付嘴2の昇降作動によって、上部で苗Aを収容して下降し、下部で土壌面Cに植付穴Eを形成しながら、この植付穴Eで植付嘴2を開いてこの収容苗Aを穴底に落して植付ける。このとき、植付嘴2の土壌面Cへの突刺時には、外周面に設けられる土押え板1が植付穴Eの周部の土壌面に押圧されて、この植付穴Eの深さが一定に維持される。この植付穴Eを苗Aの大きさ等に応じて深くするときは、土押え板1の積み重ね枚数を多くし、浅くするときは、土押え板1の積み重ね枚数を少なくする。尚、土押え板1を無くせば、取付板5自体が土押え板の役目を果たす。このようにして、植付嘴2が一定の苗植付軌跡に作動されても、植付穴Eの上周面の土壌面の土押え圧を変えることによって、植付穴Eの深さを簡単、容易に調節することができ、安定した植付穴Eを成形することができる。
【0006】
また、植付嘴2が土壌面Cに突き刺されて、土押え板1が植付穴Eの上周縁を押圧した状態で、植付嘴2が開かれて収容苗Aをこの植付穴Eに植付けるとき、この土押え板1の前後の屈曲面4によって、外周の土壌部分を掬くったり、掻き乱すことがなく土押圧効果を高めることができる。
【0007】
特に、畝の土壌面Cにマルチフィルムを敷設した場合の、植付嘴2をこのマルチフィルム上面から土上面に突き刺して苗植付を行う作業形態では、植付嘴2が開かれるとき、該屈曲面4によって押圧されたマルチフィルムの掻き乱しや破損をなくすることができる。
【0008】
更に、泥土の付着を少なくするシート44,45を、植付嘴2の下端縁部46で折返部47により内外に折り返して連続した一枚の形態で構成したので、植付嘴2から剥離し難くなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明は、植付嘴2を有する苗植機として有効に実施できる。土壌面Cに植付嘴2によって一定深さの植付穴Eを形成しながら、この植付嘴2を開いて収容していた苗A植付穴Eに落し込んで苗植付を行うものである。この場合、苗Aの大きさや、植付形態等によって、植付深さを調節するときは、植付嘴2の外周面の土押え板1の位置を上下に移動調節することによって、植付穴Eの深さを調節するものである。
【0010】
そこで、請求項1に記載の発明は、開閉可能で苗Aを収容して下降し土壌面Cに植付穴Eを形成しながら苗植付を行う植付嘴2の外周に、この植付嘴2の土壌面Cに対する植付深さFを調節可能にして規制する土押え板1を設けたことを特徴とする苗植機の苗植付嘴の構成することによって、植付穴Eの上周面の土壌面の土押え圧を変えることによって、植付穴Eの深さを簡単、容易に調節することができ、安定した植付穴Eを成形できる。
【0011】
又、請求項2に記載の発明は、開閉可能で苗Aを収容して下降し土壌面Cに植付穴Eを形成しながら苗植付を行う植付嘴2の外周に、この植付嘴2の土壌面Cに対する植付深さFを規制すると共に、前後端縁を上側へ屈曲させる屈曲面4を形成の土押え板1を設けたことを特徴とする苗植機の苗植付嘴の構成として、植付嘴2が植付穴Eを形成して開くとき、土押え板1の前後の屈曲面4によってこの植付穴E周部の土壌面に対する摺動を円滑に行わせて、土壌面の掻き乱しをなくするものである。ここにおいて、この土押え板1は、単に植付嘴2に固定される形態とするものであってもよく、又上下に移動調節できる形態とするもよい。
【0012】
【実施例】
この発明の実施例を図面に基づいて更に詳細に説明する。
【0013】
車体7の左右両側には、アクスルハウジング8の回りに上下回動可能の車輪伝動ケース9に駆動車輪10を軸装し、この前方には補助輪11を配置している。車体7の前部に搭載のエンジン12によって駆動車輪10を伝動して走行できる。車体7の後方にはハンドル13を有し、上部には苗載台14、及び後端に植付嘴2を有して昇降する苗植リンク機構15等を設け、この後部に苗供給テーブル16を設けている。該苗植リンク機構15を前記エンジン12から伝動することによって、植付嘴2を昇降しながら、上部位置では該苗供給テーブル16からの苗を受けて、下部位置では土壌面Cに植付穴Eを形成して苗を植付ける。
【0014】
17は駆動車輪10を上下動するピッチングシリンダ、18は土壌面Cの高さを検出する接地センサで、該ピッチングシリンダ17の油圧回路の昇降制御弁を連動して車体7の土壌面C上の高さを一定に維持制御する。19はローリングシリンダで、車体7の左右の傾斜を検出する傾斜センサと連動して、車体7を左右水平状に制御する。
【0015】
前記苗供給テーブル16には多数の苗ホッパー21が配置されて、運転者が苗載台14から取出す野菜苗を苗ホッパー21に供給する。この苗供給テーブル16は、苗植リンク機構15の昇降作動毎に一定角度間欠的に旋回して、各苗ホッパー21を植付嘴2の苗受位置上へ対向させる。
【0016】
前記苗植リンク機構15は、車体7側の定位置に取付けられた伝動ケース22,23,24に、前後一対のクランクアーム25,26がそれぞれダブルクランク形態に上下揺動するように構成されて、このクランクアーム25,26の後端部間に亘って植付嘴2が取付けられる。前部のクランクアーム25は、クランク軸27の回転によって上下揺動される。この基部は揺動アーム28に連結される。また後部のクランクアーム26は、クランク軸29の回転によって上下揺動される。この基部は揺動アーム30に連結される。
【0017】
これら両クランクアーム25,26の後端間に前後水平状の連結リンク31が連結される。該クランク軸27,29が同位回転することによって、クランクアーム25,26が上下に揺動されて、連結リンク31が水平姿勢を維持して昇降される。
【0018】
該連結リンク31両端のクランクアーム25,26との連結ピン39,40回りに前後一対の取付ブラケット32が取付けられる。この取付ブラケット32は、前後中央部の長孔間に亘ってピン33を通して連結ピン39,40回りの回動を規制している。前記一対の植付嘴2はボルト穴35に挿通のボルト34で各取付ブラケット32に取付けられて、この取付ブラケット32の回動によって前後に開閉できる。
【0019】
この植付嘴2を開閉する機構は、前記クランク軸29と一体に回転されるカム36と、このカム36によって押されて前記クランクアーム26の揺動アーム30に対する連結部の回りに揺動される揺動リンク37と、この揺動リンク37及び前記取付ブラケット32の間を連結するリンク38と等によって構成される。前記クランクアーム25,26の昇降によって、上部ではカム36によって植付嘴2が閉鎖されて、苗Aを収容支持できる。また下部では土壌面Cに突入して植付穴Eを形成すると共に、前後に開いて、収容している苗Aをこの植付穴E内に落下させて植付ける。Dは植付嘴2下端部の作動軌跡を示す植付軌跡線である。
【0020】
前記植付嘴2は、上端口径を大きく下端側を小さくした円錐形状に形成し、下端開口部近くを扁平状の嘴形態に形成している。前記苗ホッパー21から落下される苗Aの苗床部Bを支持すると共に、土壌面Cへの刺込みを行い易くし、植付穴Eを形成し易い形態としている。
【0021】
苗案内筒3は、円筒乃至円錐形漏斗状でこの苗案内筒3の上部を取付けアーム20を介して前後の連結ピン39,40に支持させて、苗植付時において、苗Aの案内姿勢を維持する。この苗案内筒3は、苗ホッパー21から落下される苗Aを支持し、植付嘴2が開かれても苗床部Bが植付穴Eに落着するまでこの苗案内筒3によって、できるだけ長く苗Aを支持案内させるように設定している。
【0022】
前記植付嘴2の外周部には土押え板1が、ボルト6を介して取付板5に対して上下位置調節可能に取付けられる。植付嘴2の上部には取付板5が溶接等で一体構成されて、ボルト穴43が形成される。この植付嘴2の下部外周部に沿う土押え板1には上方に左右一対のボルト6が設定される。このボルト6部を該取付け板5のボルト穴43に下側から挿通させて、取付板5の上側からナット41を螺合して締め付け固定する。42はこのボルト6に嵌合するカラーで、取付板5と土押え板1との間に挾持させる。このカラー42の高さによって土押え板1の取付高さが異なり、調節する高さに応じて各種長さの異なるカラー42を用意することができる。
【0023】
植付穴Eの植付深さFを深くする場合F1は、土押え板1を取付板5に接近させて取付け、又、浅くする場合F2は、取付板5から下方へ離間させて取り付ける。
前記土押え板1の上下調節に代えて、図3、図4のように複数枚の土押え板1を積重する形態として、この土押え板1の重ね枚数を多くして植付深さFを浅くF2し、少なくするか、又は無くして取付板のみにすることによって深くF1することができる。この土押え板1を全て取り除いた場合は、取付板5自体が土押え板1の役目を果たすことができる。又、積重の土押え板1はボルト6を通して取付板5に取り付ける。
【0024】
図9に基づいて上例と異なる点を説明する。植付嘴2の土押え板1の前後端縁を上方へ屈曲させて屈曲面4を形成することによって、植付穴Eを形成する場合に、この植付穴Eの上端面の土壌面Cを掻き乱すことが少ない。又、土壌面Cがマルチフィルムで被覆されている場合の苗植付では、このマルチフィルムを土押え板1で引っ掻くことが少ない。
【0025】
図10に基づいて上例と異なる点を説明する。前記植付嘴2の内側面に渡ってテフロン(登録商標)44,45加工を施すことによって、泥土の付着を少なくするものである。しかもこのテフロン44,45の加工はシート形態として、植付嘴2の下端縁部46を内外に折り返して連続した一枚形態の折返部47を形成することによって、植付嘴2から剥離し難くする。
【図面の簡単な説明】
【図1】苗植付嘴部の作用を示す側面図。
【図2】その斜視図と、調節状態を示す側面図。
【図3】その一部別例を示す斜視図。
【図4】その作用を示す側面図。
【図5】その苗植嘴作動機構部の側面図。
【図6】その平面図。
【図7】その苗植機全体の側面図。
【図8】その平面図。
【図9】苗植付嘴部の側面図と、その一部の斜視図。
【図10】苗植付嘴部の正面図と、その側断面図。
【符号の説明】
1 土押え板
2 植付嘴
4 屈曲面
5 取付板
6 ボルト
Claims (1)
- 前後一対のクランクアーム(25,26)を上下揺動する構成の苗植リンク機構(15)を設け、前記前後一対のクランクアーム(25,26)の後端に連結ピン(39,40)を介して連結リンク(31)を連結し、前記連結ピン(39,40)回りに回動する前後一対の取付ブラケット(32)を設け、該前後一対の取付ブラケット(32)に第一のボルト(34)を介して植付嘴(2)を取り付け、該植付嘴(2)は、取付ブラケット(32)の回動により前後に開閉し、苗(A)を収容して下降し土壌面(C)に植付穴(E)を形成しながら苗植付を行う構成とし、植付嘴(2)の外周部に取付板(5)を設け、該取付板(5)に第二のボルト(6)を介して複数枚の土押え板(1)を積み重ねて取り付けでき、土押え板(1)の積み重ね枚数を多くするか、少なくするか又は無くして植付嘴(2)の土壌面(C)に対する植付深さ(F)を調節可能に構成し、土押え板(1)の前後端縁には上側へ屈曲する屈曲面(4)を形成し、泥土の付着を少なくするシート(44,45)を、植付嘴(2)の下端縁部(46)で折返部(47)により内外に折り返して連続した一枚の形態で構成した苗植機。
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