JP4639064B2 - ゼオライトの製造方法 - Google Patents
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近年、この石炭灰や製紙スラッジ焼却灰などの焼却灰原料の、付加価値の高い用途への利用方法として、水酸化ナトリウムと反応させることにより、イオン交換剤、吸着剤、反応触媒などとして用いられるゼオライトを製造する方法が注目されるに至っている。
(1)まず、ホッパ31から石炭灰11を、水酸化ナトリウムタンク34から水酸化ナトリウム水溶液22を予備反応槽を兼ねる混合槽24に供給し、混合してスラリー23(23a)とするとともに、例えば、約90℃の温度に加熱して予備反応を行わせる。
(2)それから、混合槽(予備反応槽)24内のスラリー23(23a)を加圧反応槽25に連続的に供給し、例えば、0.8kg/cm2Gの加圧下で約120℃に加熱してスラリー中の石炭灰と水酸化ナトリウムを反応せしめ、石炭灰をゼオライト化する。このとき、加圧反応槽25内のスラリー23(23b)をその底部から抜き出し、循環ライン37を経て循環させながら反応を行わせる。
(3)そして、循環ライン37を循環するスラリー23(23b)の一部を、送液ライン40を経て熱交換器27aに導き、スラリー供給ライン36a,スラリー循環ライン36bを経て循環する混合槽24内のスラリー23(23a)と熱交換させるとともに、熱交換器27bにおいて、水酸化ナトリウムタンク34から混合槽24に供給される水酸化ナトリウム水溶液22と熱交換させた後、スラリータンク28に送液する。
(4)次いで、スラリータンク28内のスラリー23(23c)を脱水機29に送って脱水し、分離された固形物(ゼオライト)を水洗槽42で水洗した後、脱水機43で再脱水し、これを乾燥機30に送って乾燥することにより、製品であるゼオライトを得る。
(a)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液に接触させて、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させる工程と、
(b)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを、カルシウムイオンを含むカルシウム分含有水溶液に接触させて、焼却灰に由来するカルシウム分とは別に、カルシウム分をCaとして0.6〜10重量%となるような割合で含有させる工程と
を具備することを特徴としている。
(a)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを含むスラリーを、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液と混合した後、固液分離することにより、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させる工程と、
(b)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを含むスラリーを、カルシウムイオンを含むカルシウム分含有水溶液と混合した後、固液分離することにより、焼却灰に由来するカルシウム分とは別に、カルシウム分をCaとして0.6〜10重量%となるような割合で含有させる工程と
を具備することを特徴としている。
(a)焼却灰をアルカリと水熱反応させた後のゼオライトとアルカリを含有するスラリーを濾過して得たゼオライトケーキに、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液を通過させることにより、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させる工程と、
(b)焼却灰をアルカリと水熱反応させた後のゼオライトとアルカリを含有するスラリーを濾過して得たゼオライトケーキに、カルシウムイオンを含むカルシウム分含有水溶液を通過させることにより、焼却灰に由来するカルシウム分とは別に、カルシウム分をCaとして0.6〜10重量%となるような割合で含有させる工程と
を具備することを特徴としている。
なお、鉄分含有水溶液としては、塩化鉄、硫酸鉄などの鉄の鉱酸塩を鉄原料とし、これを水に溶解した水溶液などが用いられる。また、鉄分含有水溶液としては、良好な取扱性を確保しつつ、鉄分を効率よくゼオライトに含有させる見地から、Fe分濃度が1.0〜10.0重量%のものを用いることが望ましく、さらには、3.0〜8.0重量%のものを用いることが望ましい。
なお、ゼオライトに高い割合で鉄分を含有させることにより、例えば、土壌改良剤として用いた場合に、鉄分が栄養素となり植物の発育を促進することができるというような効果を得ることができる。
なお、ゼオライトケーキに、鉄分含有水溶液を通過させる方法の場合、ゼオライトをスラリー化して取り扱う場合に比べて、水の使用量が少なくて済むとともに、排水量を減らすことが可能になり有意義である。
なお、ナトリウム分の含有率を低くすることにより、例えば、植生に対する有害性を軽減することが可能になり、有用性を向上させることが可能になる。
なお、ゼオライトケーキに、鉄分含有水溶液、カルシウム分含有水溶液を通過させる方法の場合、ゼオライトをスラリー化して取り扱う場合に比べて、水の使用量が少なくて済むとともに、排水量を減らすことが可能になり有意義である。
なお、カルシウムを含有する鉄分含有水溶液を用いて、ゼオライトに鉄分とカルシウム分を同時に含有させる工程とは別に、鉄分のみを含有させる工程を別に設けることも可能であり、また、ゼオライトに鉄分のみを含有させる工程と、カルシウム分のみを含有させる工程をさらに別に設けることも可能である。
また、鉄分が多いゼオライトは、土壌改良剤として用いた場合に、鉄分が栄養素となり植物の発育を促進する効果が得られることが知られており、上述のゼオライトにおいても、その効果が確認されている。
なお、本願発明において、ゼオライトのpHは、未乾燥で、含水率を予め測定した、粒径が10mm以下の試料(ゼオライト)を用意し、
(1)粒径が2mm以下のものは試料を30g、
(2)粒径が2mmを超え、かつ、5mm以下のものは試料を100g、
(3)粒径が5mmを超え、10mm以下のものは試料を150g
採取し、試料の乾燥質量1に対して、蒸留水を質量比が2.5(2〜3)になるように添加し、懸濁状態にした後、30分以上3時間以内静置したものを、pH計で測定した値である。
また、従来のナトリウム型のゼオライトなどに比べると、pHが低いことから、アンモニアガスの吸収などに優れた効果を奏するゼオライトを提供することが可能になる。
なお、濾過手段(濾過装置)5としては、遠心分離機やフィルタプレスなどを用いることも可能である。
また、洗浄手段6においては、洗浄水(洗浄液)の温度を50℃〜80℃として、洗浄効率の向上を図っている。
(1)まず、石炭灰と水酸化アルカリ水溶液(NaOH濃度:約6重量%)を混合槽1にて混合し、スラリーとする。なお、ここでは、スラリー濃度を約20重量%とする。
なお、水酸化アルカリとして水酸化カリウム(KOH)を用いる場合には、石炭灰と水酸化カリウム水溶液(KOH濃度:約16重量%)を混合槽1にて混合し、スラリー濃度を約20重量%のスラリーとする。
なお、水酸化アルカリ水溶液として水酸化カリウム水溶液(KOH濃度:約16重量%)を用いる場合には、スラリー濃度約20重量%のスラリーを2.6kg/cm2Gの加圧下で約140℃に加熱してスラリー中の石炭灰と水酸化カリウムを反応せしめる。
この反応機構部3では、予備反応後のスラリーが、上流側の第1の加圧反応槽3aに供給され、次に、下流側の第2の加圧反応槽3bに供給されることにより、スラリーのショートパスが抑制され、各加圧反応槽3a,3bにおいてゼオライト化反応が確実に進行することになる。
なお、上述の鉄分含有水溶液中の鉄分およびカルシウム分は、ゼオライトケーキと接触することにより、ほぼ全量がゼオライトに含有され、排水として系外に排出される鉄分およびカルシウム分はほとんどない。
なお、乾燥は、間接加熱の方法により加熱した空気(熱風)を用いた方法により行われるため、燃焼排ガス成分に由来する悪臭成分がゼオライトに付着することを防止して、品質の良好なゼオライトを効率よく製造することが可能になる。
なお、表1における鉄、カルシウム、ナトリウムの含有率の値は、原料に由来する鉄、カルシウム、ナトリウムを除いた、ゼオライトの製造工程で含有させた鉄、カルシウム、ナトリウムの含有率を示している。
(a)鉄分が多く、土壌に添加して用いた場合に植物の成長を促すことが可能になる、
(b)コンクリートに配合して、コンクリートブロックを形成し、このコンクリートブロックを藻場の形成材料として用いた場合に、藻や海洋植物などの成長を促すことが可能になり、良好な漁場を形成することが可能になる
というような効果を奏する。
また、本願発明の実施例にかかるゼオライトはpHが低いため、アンモニアガスなどのアルカリ性ガスの吸収などに優れた効果を奏する。
したがって、本願発明は、石炭灰(フライアッシュ)や製紙スラッジ焼却灰などの焼却灰原料からゼオライトを製造するゼオライトの製造に関する技術分野に広く適用することが可能である。
2 予備反応機構部
3 反応機構部
3a 第1の加圧反応槽
3b 第2の加圧反応槽
4 冷却手段
5 濾過手段(分離手段)
6 洗浄手段
6a,6b,6c,6d 洗浄段
7 鉄分供給処理手段
7a 鉄分供給段
8 最終洗浄手段
9 乾燥手段
10 フィルタ部材
11 ゼオライト受け取り部
12 熱風供給部
13 サイクロン
14 ゼオライト貯蔵部
15 バグフィルタ
17 カルシウム分供給処理手段
17a,17b,17c カルシウム分供給段
Claims (9)
- 焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトと、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液とを接触させて、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させることを特徴とするゼオライトの製造方法。
- 焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを含むスラリーと、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液とを混合した後、固液分離することにより、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させることを特徴とするゼオライトの製造方法。
- 焼却灰をアルカリと水熱反応させた後のゼオライトとアルカリを含有するスラリーを濾過して得たゼオライトケーキに、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液を通過させることにより、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させることを特徴とするゼオライトの製造方法。
- (a)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液に接触させて、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させる工程と、
(b)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを、カルシウムイオンを含むカルシウム分含有水溶液に接触させて、焼却灰に由来するカルシウム分とは別に、カルシウム分をCaとして0.6〜10重量%となるような割合で含有させる工程と
を具備することを特徴とするゼオライトの製造方法。 - (a)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを含むスラリーを、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液と混合した後、固液分離することにより、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させる工程と、
(b)焼却灰をアルカリと水熱反応させることにより生成させたゼオライトを含むスラリーを、カルシウムイオンを含むカルシウム分含有水溶液と混合した後、固液分離することにより、焼却灰に由来するカルシウム分とは別に、カルシウム分をCaとして0.6〜10重量%となるような割合で含有させる工程と
を具備することを特徴とするゼオライトの製造方法。 - (a)焼却灰をアルカリと水熱反応させた後のゼオライトとアルカリを含有するスラリーを濾過して得たゼオライトケーキに、鉄イオンおよび/または水酸化鉄を含有するpH1.0〜6.5の鉄分含有水溶液を通過させることにより、焼却灰に由来する鉄分とは別に、鉄分をFeとして1.0〜20重量%となるような割合で、主に水酸化鉄として含有させる工程と、
(b)焼却灰をアルカリと水熱反応させた後のゼオライトとアルカリを含有するスラリーを濾過して得たゼオライトケーキに、カルシウムイオンを含むカルシウム分含有水溶液を通過させることにより、焼却灰に由来するカルシウム分とは別に、カルシウム分をCaとして0.6〜10重量%となるような割合で含有させる工程と
を具備することを特徴とするゼオライトの製造方法。 - 前記鉄分含有水溶液が、鉄の鉱酸塩と、アルカリ性物質を反応させることにより、鉱酸塩中の鉄分の少なくとも1部を水酸化鉄としたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゼオライトの製造方法。
- 前記鉄分含有水溶液が、鉄の鉱酸塩と、遊離の鉱酸を含有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゼオライトの製造方法。
- 請求項4〜8のいずれかに記載のゼオライトの製造方法であって、前記鉄分含有水溶液として、カルシウムを含有する鉄分含有水溶液を用いることにより、ゼオライトに鉄分とカルシウム分を同時に含有させる工程を具備していることを特徴とするゼオライトの製造方法。
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