JP4638077B2 - 走査型広域被検面形状解析装置 - Google Patents

走査型広域被検面形状解析装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、干渉計を内蔵する計測手段で、被検面を走査し、被検面の面形状を算出する走査型広域被検面形状解析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
略平面形状を有する被検面の面形状を高精度に測定する方法として、干渉計により、光源からの光束を参照面、略平面形状をなす被検面にそれぞれ投射して参照面からの反射光と被検面からの反射光との光学的干渉縞像を発生させ、この光学的干渉縞像を用いて被検面の面形状を測定するものがある。この干渉計を用いた方法では、高精度な測定が可能である反面、被検面上の一観測領域内において上下方向に数μm以上のうねりがあると、観測領域内の干渉縞の本数が多くなり、測定が困難になる。
【0003】
一般に、被検面の面積が広くなるほど、被検面の上下方向のうねり量は大きくなる。上下方向にうねりが大きな広域の被検面の面形状を測定する際には、干渉計を被検面の観測領域と相対移動させる走査機構を設けた走査型装置を用いることが必要であるが、この走査型装置においても、同様に、上下方向のうねり量に関する制約がある。
【0004】
干渉計を用いて高精度な面形状の測定を行うためには、被検面に対する干渉計の姿勢を、干渉計の参照面と被検面とが平行または平行に近い姿勢に保持することが好ましい。換言すれば、取得された干渉縞像に含まれる干渉縞の本数が被検面に対する取得姿勢を表すので、この干渉縞の本数が、要求される測定精度に応じた本数以下であることが望まれる。
【0005】
そこで、干渉計を用いて広域被検面の面形状を測定する装置として、干渉計を被検面に対して相対移動させる走査機構と、参照面と被検面とが平行または平行に近い状態になるように被検面に対する干渉計の姿勢を可変する対被検面姿勢可変機構を設けた装置が考えられる。この装置では、広域被検面の面形状を計測する際には、所定本数以下の干渉縞を得るための予備計測を行い、この予備計測から得られた計測画像データの取得領域毎に、所定本数以下の干渉縞を得るための姿勢制御量を求め、この姿勢制御量を用いて干渉計の姿勢を制御しながら本計測を行うという測定サイクルを実行することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した装置では、同一の被検面に対して、所定本数以下の干渉縞を得るための予備計測と、この予備計測から得られた姿勢制御量を用いて干渉計の姿勢を制御しながら本計測とを行う必要があるので、被検面の面形状の測定に掛かる時間が倍増することになる。
【0007】
本発明の目的は、測定時間を大幅に短縮化することができる走査型広域被検面形状解析装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、光源からの光束を参照面、光学支持面に載置された被検査物の被検面にそれぞれ投射して前記参照面からの反射光と前記被検面からの反射光との光学的干渉縞像を発生させる干渉計を内蔵し、該干渉計により発生された光学的干渉縞像を計測画像データとして取得する計測手段と、前記計測手段における光束の光軸と前記参照面との交点を走査基準位置とし、前記走査基準位置が前記計測画像データを取得する際の各取得位置に順次到達するように前記計測手段を前記光学支持面と平行に移動させる走査手段と、前記走査基準位置を始点として前記光軸に沿って延ばした方向ベクトルを基準軸とし、該基準軸の傾き方向が前記被検面に対して変わるように前記計測手段の前記画像データを取得する際の取得姿勢を可変する姿勢可変手段と、前記取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに基づき前記取得位置および取得姿勢に対応する被検面の取得領域の面形状を解析、算出する面形状解析算出手段と、前記走査手段と前記姿勢可変手段とを駆動制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データを用いて次の取得位置を算出し、該算出された次の取得位置での取得姿勢を算出することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の走査型広域被検面形状解析装置において、前記制御手段は、前記現在の取得位置および取得姿勢での計測画像データから得られた被検面の取得領域の面形状に基づき、前記現在の取得位置から前記計測手段の走査方向へ向かう走査線上における該被検面の取得領域の端位置に対応する位置を求め、前記現在の取得位置から前記次の取得位置までの直線距離が前記現在の取得位置から前記求められた被検面の取得領域の端位置に対応する位置までの直線距離の2倍以内になるように前記次の取得位置を算出することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の走査型広域被検面形状解析装置において、前記制御手段は、前記算出された次の取得位置から前記現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する前記被検面の取得領域またはその延長上の領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での前記基準軸に平行な線と該取得領域またはその延長上の領域との交点位置での垂線ベクトルを求め、該求められた垂線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3の走査型広域被検面形状解析装置において、前記制御手段は、前記計測手段が前記次の取得位置に向けて移動された際に該計測手段が移動された位置が前記算出された次の取得位置と僅かに異なるときには、前記計測手段が移動された位置から前記現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する前記被検面の取得領域またはその延長上の領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での前記基準軸に平行な線と該取得領域またはその延長上の領域との交点位置での垂線ベクトルを求め、該求められた垂線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の走査型広域被検面形状解析装置において、前記制御手段は、前記算出された次の取得位置から前記現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する前記被検面の取得領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での前記基準軸に平行な線と該取得領域との交点位置を求め、該求められた交点位置およびその近傍の位置に基づき最小二乗近似平面を算出し、該算出された最小二乗近似平面の法線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1または2記載の走査型広域被検面形状解析装置において、前記制御手段は、前記計測手段の前記次の取得位置への位置決め後に、該次の取得位置で取得される計測画像データに基づき該計測画像データにより示される干渉縞の本数を算出し、該算出した干渉縞の本数が所定本数以下となる取得姿勢を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の走査型広域被検面形状解析装置において、前記面形状解析算出手段は、前記取得位置のそれぞれでの計測画像データに対応する面形状の取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を算出する中間領域面形状算出機能を有し、前記中間領域面形状算出機能は、前記互いに隣接する2つの取得領域の面形状を合成することにより前記領域部分の面形状を算出することを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の走査型広域被検面形状解析装置において、前記中間領域面形状算出機能により面形状が算出される領域部分は、前記互いに隣接する2つの取得領域の内の一方の取得領域における取得位置に対応する第1の位置と他方の取得領域における取得位置に対応する第2の位置との間に存在する領域部分であり、前記中間領域面形状算出機能は、前記一方の取得領域の第1の位置と前記他方の取得領域の第2の位置との間にある対象位置における面形状を算出する際には、前記一方の取得領域の第1の位置から前記対象位置までの距離と前記対象位置から前記他方の取得領域の第2の位置までの距離との比により規定される重み係数を用いて前記一方の取得領域の面形状と前記他方の取得領域の面形状とを合成することにより、前記対象位置における面形状を算出することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置の構成を模式的に示す斜視図、図2は図1の走査型広域被検面形状解析装置に搭載されている計測ヘッドの構成を示す透視図である。
【0018】
走査型広域被検面形状解析装置は、図1に示すように、上面に光学支持面が形成されている光学定盤6と、光学定盤6の光学支持面上に置かれた被検査物5の被検面5aの面形状を得るための計測画像データを取得する計測ヘッド1と、計測ヘッド1が被検査物5の被検面5aを走査するように計測ヘッド1を光学定盤6の光学支持面に平行に各取得位置に順次移動させる走査機構2と、計測ヘッド1が各取得位置で計測画像データを取得する際の該計測ヘッド1の取得姿勢を可変する対被検面姿勢可変機構3とを備える。
【0019】
計測ヘッド1は、図2に示すように、光源1aからの光束をレンズ1b、ビームスプリッタ1c、レンズ1dを介して参照面1e、略平面形状をなす被検面5a(図1に示す)にそれぞれ投射して参照面1eからの反射光と被検面5aからの反射光との光学的干渉縞像を発生させる干渉計と、該干渉計により発生された光学的干渉縞像を計測画像データとして取得するデータ取得手段7とを内蔵する。
【0020】
走査機構2は、図1に示すように、支持部4を有し、この支持部4は、光学定盤6に設けられたガイドレール2bに案内されながらy方向に自走可能に構成されている。支持部4には、上記y方向と直交するx方向に延びるガイドレール2aが設けられ、このガイドレール2aには、移動台2cが移動可能に支持されている。移動台2cは、駆動源(図示せず)を有し、この駆動源によりガイドレール2aに案内なされながらx方向に自走可能に構成されている。この走査機構2の支持部4の移動により計測ヘッド1を被検面5aに対してy方向に走査することができ、移動台2cの移動により計測ヘッド1を被検面5aに対してx方向に走査することができる。この走査により計測ヘッド1が対応する取得位置へ移動される際には、図2に示すように、計測ヘッド1の光軸Oaと参照面1eの交点位置R0が対応する取得位置に一致するように移動されることになる。
【0021】
移動台2cには、対被検面姿勢可変機構3が搭載されている。対被検面姿勢可変機構3は、計測ヘッド1を基準軸Raの始点R0を中心に揺動運動させることによって計測ヘッド1の取得姿勢を可変する。ここで、基準軸Raは、図2に示すように、計測ヘッド1における光源1aの光束の光軸Oaと参照面1eとの交点を始点R0として該光軸Oaに沿って延ばした方向ベクトルで表され、基準軸Raの光学定盤6の光学支持面に対する傾き方向が、計測ヘッド1が被検面5aに対して計測画像データを取得する際の取得姿勢を表すことになる。
【0022】
計測ヘッド1のデータ取得手段7により取得された計測画像データは、ケーブル8aを介して画像処理制御装置8に入力される。画像処理制御装置8は、CPU、メモリ、インタフェースを備える装置例えばコンピュータなどから構成される。画像処理制御部8は、入力された計測画像データを解析し、対応する被検面の取得領域の面形状を算出する面形状解析算出処理を行う。また、画像処理制御装置8は、計測ヘッド1の取得位置および取得姿勢を制御するための走査姿勢制御を行う。この走査姿勢制御では、具体的には、現在の取得位置および取得姿勢で得られた計測画像データまたは算出された面形状を用いて次の取得位置を算出し、計測ヘッド1における光軸Oaと参照面1eの交点位置R0が算出された次の取得位置に移動するように移動台2cを駆動制御するための取得位置制御信号を算出するとともに、現在の取得位置および取得姿勢で得られた計測画像データまたは算出された面形状を用いて次の取得位置での取得姿勢を算出し、計測ヘッド1における基準軸Raが算出された取得姿勢に一致するように対被検面姿勢可変機構3を駆動制御するための取得姿勢制御信号を算出する。取得位置制御信号は走査ドライバ9に入力され、取得姿勢制御信号は対被検面姿勢可変ドライバ10に入力される。画像処理制御装置8には、モニタ11が接続されており、このモニタ11には、設定された計測条件、計測画像データとして取得された光学的干渉縞像、算出された面形状などを選択的に表示することが可能である。
【0023】
走査ドライバ9は、入力された取得位置制御信号に基づき計測ヘッド1における光束の光軸Oaと参照面1eとの交点の位置が算出された次の取得位置に移動するように移動台2cを駆動するための駆動信号を生成し、この駆動信号は、信号ケーブル9aを介して走査機構2の移動台2cに出力される。
【0024】
対被検面姿勢可変ドライバ10は、入力された取得位置制御信号に基づき計測ヘッド1における基準軸Raが算出された取得姿勢に一致するように対被検面姿勢可変機構3を駆動するための駆動信号を生成し、この駆動信号は、信号ケーブル10aを介して対被検面姿勢可変機構3に入力される。
【0025】
次に、本実施の形態の走査型広域被検面形状解析装置における計測動作について図3ないし図9を参照しながら説明する。図3は図1の走査型広域被検面形状解析装置における走査姿勢制御の手順を示すフローチャート、図4は図1の走査型広域被検面形状解析装置における面形状算出処理の手順を示すフローチャート、図5(a)は図1の走査型広域被検面解析装置における計測ヘッドの取得位置および取得姿勢と被検面の関係を模式的に示す図、図5(b)は図1の走査型広域被検面解析装置における各取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を合成して算出する方法を模式的に示す図、図6は図1の走査型広域被検面形状解析装置における計測ヘッドの次の取得位置の算出方法を模式的に示す図、図7および図8は図1の走査型広域被検面形状解析装置における計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図、図9は図1の走査型広域被検面形状解析装置における互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を算出する方法を模式的に示す図である。
【0026】
本走査型広域被検面解析装置においては、図5(a)に示すように、予め光学定盤6の光学支持面をx−y平面とし、その高さ方向をz方向とする三次元座標(x,y,z)が規定され、移動台2cはx方向すなわち計測ヘッド1の計測走査方向ds(図中の矢印が示す方向)を主走査方向として光学定盤6の光学支持面に平行に移動される。また、副走査方向はy方向となり、副走査は支持部4をガイドレール2bに沿って移動することにより行われる。
【0027】
ここで、計測ヘッド1における基準軸Raの始点R0のz座標値がz0(=一定値)とすると、この始点R0の座標値z0は計測ヘッド1の走査によって変化しないので、計測ヘッド1の取得位置は座標値(x,y,z0)で一意に表される。すなわち、現在の取得位置Pの座標値を(x,y,z0)とすると、この取得位置Pの座標値に計測ヘッド1の始点R0の座標値が一致するように計測ヘッド1が位置決めされることになる。また、計測ヘッド1における基準軸Raの傾きが計測ヘッド1の取得姿勢を表し、現在の取得位置Pにおいては、計測ヘッド1における基準軸Raが始点R0を基準とし、対応した方向に傾けられることになる。
【0028】
現在の取得位置Pおよび取得姿勢で計測ヘッド1により計測画像データが取得されると、この計測画像データに基づき現在の取得位置Pおよび取得姿勢に対応する被検面5aの取得領域Sの面形状が算出される。次いで、取得領域Sの面形状に基づき次の取得位置P'が算出され、計測ヘッド1はその始点R0が次の取得位置P'に一致するように移動される。また、次の取得位置P'における取得姿勢に関しては、基準軸Raが現在の取得位置Pで得られた面形状を有する取得領域Sに対して略直交するように計測ヘッド1の次の取得姿勢が算出される。
【0029】
次の取得位置P'と次の取得姿勢が算出されると、算出された次の取得位置P'へ計測ヘッド1が移動されるとともに、その取得姿勢が算出された次の取得姿勢に変更され、次の取得位置P'で次の取得姿勢に保持された計測ヘッド1によって計測画像データの取得が行われる。そして、この次の取得位置P'で取得された計測画像データに基づき該次の取得位置Pおよび取得姿勢に対応する被検面5aの取得領域S'の面形状が算出される。このように、計測ヘッド1を各取得位置に順に移動し、また各取得位置毎に計測ヘッド1の取得姿勢(基準軸Ra)を可変しながら、各取得位置Pで対応する取得姿勢に保持された計測ヘッド1によって計測画像データの取得が行われることになる。
【0030】
被検面5aの走査が終了すると、各取得位置毎に対応する取得領域の面形状が得られ、各取得領域の面形状から被検面5aの全体の面形状が算出される。各取得領域の面形状から被検面5aの全体の面形状を算出する際には、例えば図5(b)に示すように、各取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分の面形状を合成して算出する。具体的には、互いに隣接する2つの取得領域の重なり合う部分Sm,S'mの面形状を合成することにより、互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分の面形状を算出する。そして、互いに隣接する2つの取得領域S,S'から成る領域の面形状Siを算出する。
【0031】
次に、次の取得位置P'の算出方法について図6を参照しながら説明する。本実施の形態では、図6に示すように、計測ヘッド1の現在の取得位置をPとし、この現在の取得位置Pで計測画像データを取得した被検面5a上の取得領域をSとすると、現在の取得位置Pに対応する取得領域S上の位置Rが求められ、この位置Rから計測走査方向dsに延ばした直線が取得領域Sの境界と交わる位置Rmが求められる。次いで、取得位置Pから計測走査方向dsに延ばした直線上における位置Rmに対応する参照面1e上の位置Qが求められ、取得位置Pから位置Qまでの直線距離│P−Q│が算出される。そして、次の取得位置をP'とすると、現在の取得位置Pから次の取得位置P'までの計測走査方向dsに沿った直線距離│P−P'│と直線距離│P−Q│との間に次の(1)式に示す関係を成立させる任意の取得位置が次の取得位置P'として求められる。
【0032】
│P−P'│≦2│P−Q│ …(1)
次に、次の取得姿勢の算出方法について図7および図8を参照しながら説明する。次の取得姿勢の算出においては、図7に示すように、計測ヘッド1の現在の取得位置をPとし、この取得位置Pで取得された計測画像データに基づき算出された面形状の取得領域をSとすると、上述した方法で求められた次の取得位置P'において、計測ヘッド1の基準軸Raが取得領域Sに対して直交するように次の取得姿勢を算出する。具体的には、図8に示すように、次の取得位置P'から現在の取得位置Pおよび取得姿勢で得られた計測画像データに対応する取得領域Sに向けて現在の取得位置Pからこの取得位置Pに対応する取得領域S上の位置Rに引かれた線に平行な線を下ろし、この線と取得領域Sとが交わる位置R'を求め、位置R'を始点とする垂線ベクトルV'を算出し、計測ヘッド1の基準軸Raが垂線ベクトルV'に一致するまたは平行になる取得姿勢を次の取得姿勢として算出する。ここでは、位置R'における接平面を算出し、この接平面における法線ベクトルを垂線ベクトルV'として求める。
【0033】
ここで、例えば図8に示すように、現在の取得位置Pから次の取得位置P'に向けて計測走査方向dsに沿ってx−z平面上を延びる計測走査経路を表す直線をlsとし、計測ヘッド1が次の取得位置P'を僅かに過ぎた計測走査経路ls上の位置P"に位置決めされたとすると、実際の取得位置が位置P"となるから、現在の取得位置Pおよび取得姿勢での計測画像データから求められた次の取得位置での取得姿勢を修正することが好ましい。これは、算出された次の取得位置P'での取得姿勢が取得位置P"での取得姿勢に適正でない場合があるからである。この取得姿勢の修正は、次の取得位置P'と位置P"とのずれ量に応じて行われる。このように、計測ヘッド1が次の取得位置P'から僅かに過ぎた位置P"に位置決めされた場合には、この位置P"から取得位置Pおよび取得姿勢で得られた計測画像データに対応する取得領域Sに向けて現在の取得位置Pからこの取得位置Pに対応する取得領域S上の位置Rに引かれた線に平行な線を下ろし、この線と取得領域Sとが交わる位置R"を求める。次いで、この位置R"における接平面が算出され、この接平面における法線ベクトルが垂線ベクトルV"として求められる。そして、計測ヘッド1の基準軸Raがこの垂線ベクトルV"の傾き方向に一致するまたは平行になるように取得位置P"での取得姿勢が修正される。
【0034】
次に、各取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分の面形状を算出する方法の具体例について図9を参照しながら説明する。互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分の面形状を算出する際には、上述したように、互いに隣接する2つの取得領域の面形状を後述する重み係数(A(x、y),B(x,y))を用いて合成することにより、互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分の面形状を算出する。
【0035】
本実施の形態では、図9に示すように、互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分として、取得領域Sにおける取得位置Pに対応する位置Rと取得領域S'における取得位置P'に対応する位置R'との間に存在する領域部分(図中の斜線部分)を求め、取得領域Sの位置Rから領域部分の対象位置までの距離とこの対象位置から他方の取得領域S'の位置R'までの距離との比に応じて互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分の面形状を算出する。ここで、対象位置とは、2つの取得領域S,S'が互いに重なり合う領域部分上の位置であって、この重なり合う領域部分の面形状を算出する際の候補位置である。取得領域Sにおける高さ(z座標)をA(x,y)の関数で表し、取得領域Sの位置Rのx−y座標値を(x1,y)とし、取得領域S'における高さ(z座標)をB(x,y)の関数で表し、取得領域S'の位置R'のx−y座標値を(x2,y)とすると、取得領域Sの位置Rと取得領域S'の位置R'との間に存在する領域部分(図中の斜線部分)の高さ(z座標)は、次の(2)式で表される関数H(x,y)により得られ、この関数H(x,y)により取得領域Sの位置Rと取得領域S'の位置R'との間に存在する領域部分(図中の斜線部分)の面形状が求められる。
【0036】
Figure 0004638077
このように、取得領域Sの位置Rから領域部分の対象位置までの距離とこの対象位置から他方の取得領域S'の位置R'までの距離との比に応じて互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分の面形状を算出するので、互いに隣接する2つの取得領域S,S'が重なり合う領域部分における不連続性が解消され、被検面5aに対する測定結果として、不連続性がない滑らかな面形状を得ることができる。
【0037】
次に、画像処理制御部8による走査姿勢制御および面形状算出処理の手順について図3および図4を参照しながら説明する。なお、ここでは、上述した取得姿勢の修正を省略して説明する。
【0038】
画像処理制御部8は、計測動作が開始されると、計測ヘッド1に対する走査姿勢制御タスクと、計測ヘッド1で取得された計測画像データに基づき被検面5aの面形状を算出するための面形状算出処理タスクとを並行して行う。
【0039】
走査姿勢制御タスクでは、図3に示すように、まずステップS11において初期化処理を行う。この初期化処理では、計測ヘッド1を初期取得位置に位置決めするための取得位置制御信号、計測ヘッド1を初期取得姿勢に保持するための取得姿勢制御信号を生成する。そして、ステップS12に進み、後述する面形状算出処理タスクにより生成された取得姿勢、取得姿勢の算出に必要なデータを取得する。ここで取得されるデータには、算出された面形状を示すデータが含まれる。また、面形状算出処理タスクから取得するデータには、走査が終了したことに伴い計測ヘッド1を初期取得位置、初期取得姿勢に戻すためのデータが含まれる。
【0040】
次いで、ステップS13に進み、上記ステップS12において取得されたデータに基づき次の取得位置を算出し、計測ヘッド1における光束の光軸Oaと参照面1eとの交点の位置が算出された次の取得位置に移動するように移動台2cを駆動制御するための取得位置制御信号を生成する。続くステップS14では、上記ステップS12において取得されたデータに基づき次の取得位置での取得姿勢を算出し、計測ヘッド1における基準軸Raが算出された取得姿勢に一致するように対被検面姿勢可変機構3を駆動制御するための取得姿勢制御信号を生成する。
【0041】
次いで、ステップS15に進み、上記取得位置制御信号を走査ドライバ9に出力する。これにより、走査ドライバ9は、上記取得位置制御信号に基づき計測ヘッド1が次の取得位置に移動するように走査機構2の移動台2cを駆動する。続くステップS16では、上記取得姿勢制御信号を対被検面姿勢可変ドライバ10に出力する。これにより、対被検面姿勢可変ドライバ10は、上記取得姿勢制御信号に基づき計測ヘッド1における基準軸Raが算出された取得姿勢に一致するように対被検面姿勢可変機構3を駆動する。
【0042】
次いで、ステップS17に進み、上記ステップS12において面形状算出処理タスクから、走査が終了したことに伴い計測ヘッド1を初期取得位置、初期取得姿勢に戻すためのデータを取得したか否かに応じて走査が終了したか否かを判定し、走査が終了していないときには、上記ステップS12に進み、さらに次の取得位置および取得姿勢を算出するために必要なデータの取得を行う。走査が終了すると、本処理を終了する。
【0043】
面形状算出処理タスクでは、図4に示すように、まずステップS21において初期化処理を行う。この初期化処理では、計測画像データ、算出された面形状を保持するためのメモリのクリア、計測条件の入力、入力された計測条件に応じた計測ヘッド1の初期取得位置および初期取得姿勢の設定などの処理を行う。
【0044】
次いで、ステップS22に進み、計測ヘッド1により取得された計測画像データを入力し、続くステップS23で、取得された計測画像データを解析し、該計測画像データに対応する被検面5aの取得領域の面形状を算出する。この算出された面形状は、予め光学定盤6の光学支持面に規定された三次元座標値(x,y,z)で表され、この座標値(x,y,z)は、メモリに格納される。そして、ステップS24に進み、取得した計測画像データまたは算出された面形状に基づき次の取得位置、取得姿勢の算出に必要なデータを生成し、この生成したデータを走査制御タスクに渡す。ここで、上記ステップS22で取得された計測画像データが最終取得位置での計測画像データであるときには、走査が終了したことになるので、次の取得位置、取得姿勢の算出に必要なデータは、計測ヘッド1を初期取得位置、初期取得姿勢に戻すためのデータとなる。
【0045】
次いで、ステップS25に進み、上記ステップS22で取得された計測画像データが最終取得位置での計測画像データであるか否かに応じて被検面5aに対する走査が終了したか否かを判定し、被検面5aに対する走査が終了していないときには、上記ステップS22に戻り、次の取得位置での計測画像データの取得を行い、上記ステップS23からの処理を繰り返す。これに対し、被検面5aに対する走査が終了すると、ステップS26に進む。
【0046】
ステップS26では、取得位置のそれぞれの計測画像データから得られた面形状を有する各取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を算出する。具体的には、互いに隣接する2つの取得領域の面形状から該取得領域のそれぞれから上記領域部分に対応する面形状を合成することにより領域部分の面形状を算出する。続いてステップS27に進み、上記ステップS26で算出された領域部分の面形状を含む被検面5a全体の面形状をモニタ11またはプリンタなどに出力し、そして、本処理を終了する。
【0047】
このように、本実施の形態では、現在の取得位置および取得姿勢で得られた計測画像データから算出された面形状を用いて次の取得位置を算出し、計測ヘッド1における光束の光軸Oaと参照面1eの交点位置R0が算出された次の取得位置に移動するように移動台2cを駆動制御するとともに、現在の取得位置および取得姿勢で得られた面形状を用いて次の取得位置での取得姿勢を算出し、計測ヘッド1における基準軸Raが算出された取得姿勢に一致するように対被検面姿勢可変機構3を駆動制御するので、従来のように計測ヘッド1の姿勢制御量を得るための予備計測を行う必要がなく、被検面5aの面形状の測定に掛かる時間を大幅に短縮化することができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図10を参照しながら説明する。図10は本発明の第2の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置における計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図である。
【0049】
本実施の形態では、図10に示すように、次の取得位置P'から取得領域Sに向けて延ばした現在の取得位置Pからこの取得位置Pに対応する取得領域S上の位置Rに引かれた線に平行な線と取得領域Sとが交わる位置R'を求め、位置R'およびその周囲の近傍位置の三次元座標値に基づき最小二乗法により近似した平面Spを算出し、この近似された平面Spに対する法線ベクトルV'を算出し、計測ヘッド1の基準軸Raが法線ベクトルV'に一致するまたは平行になる取得姿勢を次の取得姿勢として算出する点で、上述の第1の実施の形態に対して異なる。なお、他の構成については上述の第1の実施の形態と同じであり、その説明は省略する。
【0050】
このように構成することにより、取得領域Sの高周波の凹凸成分に影響されることなく、計測ヘッド1の被検面5aに対する取得姿勢を表す法線ベクトルV'をより高精度に算出することができ、ひいては、次の取得位置P'において、計測ヘッド1の干渉計の参照面1eと対応する被検面の取得領域S'との平行度をさらに向上させることができる。
【0051】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について図11(a),(b)を参照しながら説明する。図11(a)は本発明の第3の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置における算出された干渉縞の本数が所定本数以下である場合の計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図、図11(b)は本発明の第3の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置における算出された干渉縞の本数が所定本数を超えた場合の計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図である。
【0052】
本実施の形態では、上述の第1の実施の形態に対して、次の取得位置P'へ計測ヘッド1を移動した後に、計測ヘッド1の取得姿勢を求める点で異なる。本実施の形態では、上述の第1の実施の形態と異なる点について説明し、上述の第1の実施の形態と同じ構成についての説明は省略する。
【0053】
本実施の形態においては、図11(a)に示すように、計測ヘッド1が現在の取得位置Pから取得位置Pでの取得姿勢を保持した状態で次の取得位置P'へ移動されると、まず、取得位置P'に対応する被検面5aの取得領域に対する計測画像データが計測ヘッド1により取得され、この取得された計測画像データは、ケーブル8aを介して画像処理制御装置8に入力される。画像処理制御装置8は、入力された計測画像データが示す干渉縞像IGをモニタ11に表示するように制御するとともに、入力された計測画像データに含まれる干渉縞の本数を算出し、この算出された干渉縞の本数が所定本数(例えば3本)以下であるか否かの判定を行う。ここで、この算出された干渉縞の本数が所定本数以下であると、取得位置Pでの取得姿勢を取得位置P'での取得姿勢とする。そして、取得位置P'において取得位置Pでの取得姿勢に同じ取得姿勢で計測画像データが取得され、この計測画像データに基づき対応する取得領域S'の面形状が解析、算出される。
【0054】
これに対し、算出された干渉縞の本数が所定本数を超えるときには、図11(b)に示すように、取得位置P'において計測ヘッド1の基準軸Raの傾きおよびその方向を順次可変しながら計測画像データを取得し、計測ヘッド1の基準軸Raの傾きおよびその方向が変わる毎に取得された計測画像データに基づき干渉縞の本数を算出し、この算出された干渉縞の本数が所定本数(例えば3本)以下であるか否かの判定を行う。これらの一連の処理が干渉縞の本数が所定本数以下になるまで繰り返され、干渉縞の本数が所定本数以下になる基準軸Raの傾きおよび方向が得られると、この傾きおよび方向に基準軸Raが保持される。すなわち計測ヘッド1が干渉縞の本数が所定本数以下になる取得姿勢に保持される。そして、この取得姿勢での計測画像データが取得され、この計測画像データに基づき対応する取得領域S'の面形状が解析、算出される。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光源からの光束を参照面、光学支持面に載置された被検査物の被検面にそれぞれ投射して参照面からの反射光と被検面からの反射光との光学的干渉縞像を発生させる干渉計を内蔵し、該干渉計により発生された光学的干渉縞像を計測画像データとして取得する計測手段と、計測手段における光束の光軸と前記参照面との交点を走査基準位置とし、走査基準位置が計測画像データを取得する際の各取得位置に順次到達するように計測手段を光学支持面と平行に移動させる走査手段と、走査基準位置を始点として光軸に沿って延ばした方向ベクトルを基準軸とし、該基準軸の傾き方向が被検面に対して変わるように計測手段の画像データを取得する際の取得姿勢を可変する姿勢可変手段と、取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに基づき取得位置および取得姿勢に対応する被検面の取得領域の面形状を解析、算出する面形状解析算出手段と、走査手段と姿勢可変手段とを駆動制御する制御手段とを備え、制御手段は、現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データを用いて次の取得位置を算出し、該算出された次の取得位置での取得姿勢を算出するので、従来のように計測手段の姿勢制御量を得るための予備計測を行う必要がなく、被検面の面形状の測定に掛かる時間を大幅に短縮化することができる。
【0056】
また、制御手段により、現在の取得位置および取得姿勢での計測画像データから得られた被検面の取得領域の面形状に基づき、現在の取得位置から計測手段の走査方向へ向かう走査線上における該被検面の取得領域の端位置に対応する位置を求め、現在の取得位置から次の取得位置までの直線距離が現在の取得位置から求められた被検面の取得領域の端位置に対応する位置までの直線距離の2倍以内になるように次の取得位置を算出することによって、現在の取得位置に対応する取得領域と次の取得位置に対応する取得領域との間に重なり合う領域が確実に存在し、被検面において未測定領域が生じることをなくすことができる。
【0057】
さらに、制御手段により、算出された次の取得位置から現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する被検面の取得領域またはその延長上の領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での基準軸に平行な線と該取得領域またはその延長上の領域との交点位置での垂線ベクトルを求め、該求められた垂線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を次の取得位置での取得姿勢とすることによって、次の取得位置において、計測手段の干渉計の参照面と対応する被検査面の取得領域とが略平行になる取得姿勢に計測手段を保持することができる。
【0058】
さらに、制御手段により、計測手段が次の取得位置に向けて移動された際に該計測手段が移動された位置が算出された次の取得位置と僅かに異なるときには、計測手段が移動された位置から現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する被検面の取得領域またはその延長上の領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での基準軸に平行な線と該取得領域またはその延長上の領域との交点位置での垂線ベクトルを求め、該求められた垂線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を次の取得位置での取得姿勢とすることによって、計測手段が算出された次の取得位置と僅かに異なる位置に移動された際には、計測手段の取得姿勢を修正することができる。
【0059】
さらに、制御手段により、算出された次の取得位置から現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する被検面の取得領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での基準軸に平行な線と該取得領域との交点位置を求め、該求められた交点位置およびその近傍の位置に基づき最小二乗近似平面を算出し、該算出された最小二乗近似平面の法線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を次の取得位置での取得姿勢とすることによって、取得領域の高周波の凹凸成分に影響されることなく、該取得領域内の面の垂直方向を表す法線ベクトルをより高精度に算出することができる。すなわち、計測手段の干渉計の参照面と対応する被検面の取得領域との平行度をさらに向上させることができる。
【0060】
さらに、制御手段により、計測手段の次の取得位置への位置決め後に、次の取得位置で取得される計測画像データに基づき該計測画像データにより示される干渉縞の本数を算出し、該算出した干渉縞の本数が所定本数以下となる取得姿勢を次の取得位置での取得姿勢とすることによって、次の取得位置における次の取得姿勢を適正にすることができる。
【0061】
さらに、面形状解析算出手段は、取得位置のそれぞれでの計測画像データに対応する面形状の取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を算出する中間領域面形状算出機能を有し、中間領域面形状算出機能は、前記互いに隣接する2つの取得領域の面形状を合成することにより前記領域部分の面形状を算出することによって、互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分における不連続性がない滑らかな面形状を得ることができる。
【0062】
さらに、中間領域面形状算出機能により面形状が算出される領域部分は、互いに隣接する2つの取得領域の内の一方の取得領域における取得位置に対応する第1の位置と他方の取得領域における取得位置に対応する第2の位置との間に存在する領域部分であり、中間領域面形状算出機能は、一方の取得領域の第1の位置と他方の取得領域の第2の位置との間にある対象位置における面形状を算出する際には、一方の取得領域の第1の位置から対象位置までの距離と対象位置から他方の取得領域の第2の位置までの距離との比により規定される重み係数を用いて一方の取得領域の面形状と他方の取得領域の面形状とを合成することにより、対象位置における面形状を算出することによって、互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分における面形状として、不連続性がない滑らかな面形状を得ることができるとともに、その面形状の算出を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1の走査型広域被検面形状解析装置に搭載されている計測ヘッドの構成を示す透視図である。
【図3】図1の走査型広域被検面形状解析装置における走査姿勢制御の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の走査型広域被検面形状解析装置における面形状算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】(a)は図1の走査型広域被検面解析装置における計測ヘッドの取得位置および取得姿勢と被検面の関係を模式的に示す図である。
(b)は図1の走査型広域被検面解析装置における各取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を合成して算出する方法を模式的に示す図である。
【図6】図1の走査型広域被検面形状解析装置における計測ヘッドの次の取得位置の算出方法を模式的に示す図である。
【図7】図1の走査型広域被検面形状解析装置における計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図である。
【図8】図1の走査型広域被検面形状解析装置における計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図である。
【図9】図1の走査型広域被検面形状解析装置における互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を算出する方法を模式的に示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置における計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図である。
【図11】(a)は本発明の第3の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置における算出された干渉縞の本数が所定本数以下である場合の計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図である。
(b)は本発明の第3の実施の形態に係る走査型広域被検面形状解析装置における算出された干渉縞の本数が所定本数を超えた場合の計測ヘッドの次の取得位置での取得姿勢の算出方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 計測ヘッド(計測手段)
2 走査機構(走査手段)
3 対被検面姿勢可変機構(姿勢可変手段)
5 被検査物
5a 被検面
6 光学定盤
7 データ取得手段
8 画像処理制御装置(面形状解析算出手段、制御手段)
9 走査ドライバ(走査手段)
10 対被検面姿勢可変ドライバ(姿勢可変手段)
11 モニタ

Claims (8)

  1. 光源からの光束を参照面、光学支持面に載置された被検査物の被検面にそれぞれ投射して前記参照面からの反射光と前記被検面からの反射光との光学的干渉縞像を発生させる干渉計を内蔵し、該干渉計により発生された光学的干渉縞像を計測画像データとして取得する計測手段と、前記計測手段における光束の光軸と前記参照面との交点を走査基準位置とし、前記走査基準位置が前記計測画像データを取得する際の各取得位置に順次到達するように前記計測手段を前記光学支持面と平行に移動させる走査手段と、前記走査基準位置を始点として前記光軸に沿って延ばした方向ベクトルを基準軸とし、該基準軸の傾き方向が前記被検面に対して変わるように前記計測手段の前記画像データを取得する際の取得姿勢を可変する姿勢可変手段と、前記取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに基づき前記取得位置および取得姿勢に対応する被検面の取得領域の面形状を解析、算出する面形状解析算出手段と、前記走査手段と前記姿勢可変手段とを駆動制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データを用いて次の取得位置を算出し、該算出された次の取得位置での取得姿勢を算出することを特徴とする走査型広域被検面形状解析装置。
  2. 前記制御手段は、前記現在の取得位置および取得姿勢での計測画像データから得られた被検面の取得領域の面形状に基づき、前記現在の取得位置から前記計測手段の走査方向へ向かう走査線上における該被検面の取得領域の端位置に対応する位置を求め、前記現在の取得位置から前記次の取得位置までの直線距離が前記現在の取得位置から前記求められた被検面の取得領域の端位置に対応する位置までの直線距離の2倍以内になるように前記次の取得位置を算出することを特徴とする請求項1記載の走査型広域被検面形状解析装置。
  3. 前記制御手段は、前記算出された次の取得位置から前記現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する前記被検面の取得領域またはその延長上の領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での前記基準軸に平行な線と該取得領域またはその延長上の領域との交点位置での垂線ベクトルを求め、該求められた垂線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする請求項1または2記載の走査型広域被検面形状解析装置。
  4. 前記制御手段は、前記計測手段が前記次の取得位置に向けて移動された際に該計測手段が移動された位置が前記算出された次の取得位置と僅かに異なるときには、前記計測手段が移動された位置から前記現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する前記被検面の取得領域またはその延長上の領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での前記基準軸に平行な線と該取得領域またはその延長上の領域との交点位置での垂線ベクトルを求め、該求められた垂線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする請求項3の走査型広域被検面形状解析装置。
  5. 前記制御手段は、前記算出された次の取得位置から前記現在の取得位置および取得姿勢で取得された計測画像データに対応する前記被検面の取得領域に向けて引かれた現在の取得位置および取得姿勢での前記基準軸に平行な線と該取得領域との交点位置を求め、該求められた交点位置およびその近傍の位置に基づき最小二乗近似平面を算出し、該算出された最小二乗近似平面の法線ベクトルに一致または平行となる基準軸の傾き方向を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする請求項1または2記載の走査型広域被検面形状解析装置。
  6. 前記制御手段は、前記計測手段の前記次の取得位置への位置決め後に、該次の取得位置で取得される計測画像データに基づき該計測画像データにより示される干渉縞の本数を算出し、該算出した干渉縞の本数が所定本数以下となる取得姿勢を前記次の取得位置での取得姿勢とすることを特徴とする請求項1または2記載の走査型広域被検面形状解析装置。
  7. 前記面形状解析算出手段は、前記取得位置のそれぞれでの計測画像データに対応する面形状の取得領域の内の互いに隣接する2つの取得領域が重なり合う領域部分の面形状を算出する中間領域面形状算出機能を有し、前記中間領域面形状算出機能は、前記互いに隣接する2つの取得領域の面形状を合成することにより前記領域部分の面形状を算出することを特徴とする請求項1記載の走査型広域被検面形状解析装置。
  8. 前記中間領域面形状算出機能により面形状が算出される領域部分は、前記互いに隣接する2つの取得領域の内の一方の取得領域における取得位置に対応する第1の位置と他方の取得領域における取得位置に対応する第2の位置との間に存在する領域部分であり、前記中間領域面形状算出機能は、前記一方の取得領域の第1の位置と前記他方の取得領域の第2の位置との間にある対象位置における面形状を算出する際には、前記一方の取得領域の第1の位置から前記対象位置までの距離と前記対象位置から前記他方の取得領域の第2の位置までの距離との比により規定される重み係数を用いて前記一方の取得領域の面形状と前記他方の取得領域の面形状とを合成することにより、前記対象位置における面形状を算出することを特徴とする請求項7記載の走査型広域被検面形状解析装置。
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