JP4637394B2 - 食品の渋味評価方法及び渋味評価装置 - Google Patents

食品の渋味評価方法及び渋味評価装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品の渋味評価装置及び渋味評価方法に関するものであり、詳しくは、ビール、ワイン、緑茶などの食品の渋味を定量的に評価する上で有用な方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品の味は人間の味覚によって判断されるものであり、従来より食品の味を評価する際には官能評価試験がなされるのが一般的である。官能評価試験とは、心理学(精神物理学)の分野で知られているカテゴリースケール、マグニチュードスケール、ラベルドマグニチュードスケールなどの感覚尺度を用いて所定の評価項目について評価を行うものである(Green, B. et al., Chemical Senses, 18, 683(1993))。例えばビールの場合、試作した数種類のビールを被検者が試飲して、被検者の味覚に基づいて「苦味の強度や残存性」、「渋味の強度や残存性」、「濃醇さ(コク)」、「キレ」などの味覚項目毎にその味が評価される。
【0003】
上記の味覚項目のうち、「渋味」はビール、ワイン、緑茶などのおいしさにとって非常に重要なファクターであり、近年嗜好の多様化が著しいこれらの食品の開発において、それぞれの嗜好に対応した開発するためには渋味を定量的に評価することが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、官能評価試験における渋味の評価は被検者の味覚によってなされるものであり、渋味という言葉の解釈にも個人差がある。したがって、食品の渋味を定量的に評価する場合には、被検者数を増加させたり各被検者の試験回数を増加させるなど多くの時間と労力を要した。
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ビール、ワイン、緑茶などの食品の渋味を評価するに際して、渋味の定量的な評価を十分に精度よく且つ簡便に行うことが可能な方法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて複合体を生成させ、その複合体の生成量や、複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値を得、更に、予め得られている渋味の強度と生成量又は吸着量に対応する所定の測定値との相関に基づいて、得られた測定値から渋味の強度を求めることによって、渋味の定量的な評価を十分に精度よく且つ簡便に行うことが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の第1の方法は、食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて複合体を生成させる複合体生成工程と、
前記複合体の生成量に対応する所定の測定値を得る複合体の生成量の測定工程と、
予め得られている渋味の強度と所定の測定値との相関に基づいて、前記複合体の生成量の測定工程で得られた測定値から渋味の強度を求める渋味評価工程と
を含むことを特徴とする食品の渋味評価方法である。
【0008】
又、本発明の第2の方法は、食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて複合体を生成させる複合体生成工程と、
脂質膜センサーを用いて、前記複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値を得る複合体の吸着量測定工程と、
予め得られている渋味の強度と所定の測定値との相関に基づいて、前記複合体の吸着量測定工程で得られた測定値から渋味の強度を求める渋味評価工程と
を含むことを特徴とする食品の渋味評価方法である。
【0009】
更に、本発明の第1の装置は、食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて得られる複合体の生成量を測定するためのセンサーと、
前記センサーと電気的に接続されており、予め得られている渋味の強度と前記複合体の生成量との相関に基づいて、前記センサーにより得られた測定値から渋味の強度を求めるための情報処理手段と
を備えることを特徴とする食品の渋味評価装置である。
【0010】
更に又、本発明の第2の装置は、食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて得られる複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値を得るための脂質膜センサーと、
前記脂質膜センサーと電気的に接続されており、予め得られている渋味の強度と所定の測定値との相関に基づいて、前記脂質膜センサーにより得られた測定値から渋味の強度を求めるための情報処理手段と
を備えることを特徴とする食品の味評価装置である。
【0011】
本発明においては、食品の渋味成分とペプチドとを反応させたときに生成する複合体の生成量、或いはその複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値が、簡便に且つ容易に、更に高水準の再現性をもって得られる。更には、情報処理手段によって、予め得られている渋味の強度と複合体の生成量又は吸着量に対応する所定の測定値との相関に基づいて、得られた測定値から渋味の強度がオンラインで求められる。したがって、本発明の食品の渋味評価方法及び渋味評価装置によって、渋味の定量的な評価を十分に精度よく且つ簡便に行うことが可能となる。
【0012】
このように、本発明においては、食品の渋味成分とペプチドとの複合体の生成量又は当該複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値が用いられるが、これらの測定値を用いることによって食品の渋味を十分に精度よく定量的に評価できる理由について、本発明者らは以下のように推察する。
【0013】
すなわち、食品の渋味は、口腔内において渋味成分がペプチドと反応して複合体を形成し、その複合体が舌の脂質膜に吸着したときの触刺激によって感知されるものであり、味刺激によって感知される甘味や苦味などとはその感知機構が異なるものと考えられる。そして、本発明においては、上記の渋味の感知機構における触刺激と相関する複合体の生成量又は所定の測定値が十分に精度よく得られるので、食品の渋味を十分に精度よく定量的に評価できるものと本発明者らは推察する。
【0014】
本発明においては、前記食品が、ビール、ワイン及び緑茶からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
又、本発明においては、前記渋味成分が、タンニン酸、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、ケルセチン、アントシアニジン及びポリフェノン100からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
更に又、本発明においては、前記ペプチドが、マウス・プロリン・リッチ・ペプチド、ポリプロリン、ゼラチン及びアルブミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
先ず、本発明の第1の方法について説明する。
【0019】
本発明の第1の方法にかかる複合体生成工程は、食品の渋味成分とペプチドとの反応によって複合体を生成させるものである。
【0020】
本発明において用いられる食品としては特に制限されないが、おいしさを評価する上で渋味が重要なファクターであるビール、ワイン、緑茶などの食品について渋味を評価する上で、本発明の渋味評価方法は非常に有用である。
【0021】
又、上記の食品の渋味成分としては、例えばタンニン性渋味成分が挙げられる。かかるタンニン性渋味成分としては、具体的には、タンニン酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸類、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、ケルセチン、アントシアニジン、ポリフェノン100などポリフェノール類が挙げられる。
【0022】
更に、本発明にかかるペプチドとしては、上記の渋味成分と複合体を形成し得るものであれば特に制限されないが、下記配列表の配列番号1に示す配列を有するペプチド(以下、「プロリン・リッチ・ペプチド」という)などのプロリン含有ペプチド、ゼラチン、ポリ−L−プロリン又は牛血清アルブミンを用いると、後述する複合体の生成量の測定工程において、複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値をより高水準の精度をもって得ることができる傾向にあるので好ましい。又、本発明にかかるペプチドの分子量は特に制限されないが、ペプチドの重量平均分子量は数千〜数万の範囲内であることが好ましい。
【0023】
上記複合体生成工程において、食品の渋味成分とペプチドとを反応させる際の両者の使用量は特に制限されないが、ペプチドの使用量は食品の渋味成分100重量部に対して100〜15000重量部であることが好ましい。又、反応条件は渋味成分やペプチドの種類や使用量に応じて適宜選択されるが、反応温度としては20〜25℃が好ましく、反応時間としては0.5〜10分が好ましい。
【0024】
次に、複合体の生成量の測定工程において、センサーを用いて、上記複合体生成工程で生成した複合体の生成量が測定される。
【0025】
上記複合体の生成量の測定工程において用いられるセンサーとしては、複合体の生成量に対応する所定の測定値が得られるものであれば特に制限されないが、例えば水晶発振子の電極にペプチドが固定化されたセンサーを用いることができる。このようなセンサーを用いると、電極に固定化されたペプチドと食品の渋味成分とが反応して複合体を形成するときの、当該複合体の生成量に対応する振動数変化量が十分に高い精度で測定される。
【0026】
上記複合体の生成量の測定工程において、ペプチドが電極に固定化されたセンサーを用いる場合、センサーを食品にそのまま浸漬して測定を行ってもよく、予め食品の渋味成分を含有する溶液を調製して、その溶液にセンサーを浸漬して測定を行ってもよい。他方、ペプチドが電極に固定化されていないセンサーを用いる場合には、食品にペプチドを添加して、その混合物にセンサーを浸漬して測定を行ってもよく、予め食品の渋味成分とペプチドとを含有する溶液を調製して、その溶液にセンサーを浸漬して測定を行ってもよい。溶液を調製する際に用いられる溶媒としては、具体的には、水、緩衝液などが挙げられるが、中でも水又は緩衝液を用いることが好ましい。溶媒として水又は緩衝液を用いると、脂質膜センサーの寿命が長くなる傾向にある。又、これらの溶媒を用い、溶液のpHを所定の範囲内に設定することによって複合体の生成量又は複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値がより高精度で得られる傾向にある。
【0027】
上記複合体の生成量の測定工程における測定条件は特に制限されないが、温度条件を一定にして測定すると、渋味成分とペプチドとの複合体の脂質膜への吸着量の温度依存性による影響が排除される傾向にあるので好ましい。温度条件を一定に保つ方法としては、例えば、食品の渋味成分とペプチドとを含有する溶液を所定の容器に収容し、その容器を一定の温度に保持された水浴中に保持しながら、センサーを溶液に浸漬して測定を行う方法が挙げられる。
【0028】
そして、渋味評価工程において、予め得られている渋味の強度と所定の測定値との相関に基づいて、上記複合体の生成量の測定工程において得られた所定の測定値から食品の渋味の強度が求められる。
【0029】
ここで、渋味の強度と所定の測定値との相関は、例えば、食品の渋味について、心理学(精神物理学)の分野で広く用いられているカテゴリースケール、マグニチュードエスティメーション、ラベルドマグニチュードスケールなどの感覚尺度を用いて官能評価試験を行うことによって好適に得ることができる。中でも、感覚尺度としてマグニチュードエスティメーションを用いて官能評価試験を行うと、得られた結果をそのまま強度として統計的に処理することができる傾向にあるので好ましい。
【0030】
官能評価用マグニチュードエスティメーションの一例を図3に示す。図3に示すマグニチュードエスティメーションにおいては、最大の強度である「とても強い」が5.0、最小の強度である「全く感じない」が0、各強度の差が0.5となっている。このような感覚尺度を用い、複合体の生成量に対応する所定の測定値が既知の食品について被験者がその味覚に基づいて0〜5.0のいずれかの評点を与えることによって、食品の渋味と所定の測定値との相関が得られる。
【0031】
上記の構成を有する本発明の第1の方法は、後述する本発明の第1の装置を用いて好適に実施することができる。
【0032】
図1は本発明の第1の装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図1に示す装置はセンサー1及び情報処理手段2を備えている。センサー1は、表面にペプチドが固定化された電極3及び水晶板4により構成される水晶発振子5と、水晶発振子5と電気的に接続された振動数計測手段6とを備えており、容器7内に収容された溶液8に水晶発振子5が浸漬するように配置されている。そして、シリンダ10に収容された渋味成分を含有する溶液11を溶液8に添加したときに、振動数計測手段6から水晶発振子5に制御信号が送られると共に、水晶発振子5から振動数計測手段6に振動数変化に関するデータ信号が送られることによって、食品の渋味成分と電極3に固定化されたペプチドとの反応により生成する複合体の生成量に対応する振動数変化量を測定することが可能となっている。振動数計測手段6には情報処理手段2が電気的に接続されており、振動数計測手段6から情報処理手段2に振動数変化量に関するデータ信号が送られる。情報処理手段2には、予め得られている渋味の強度と振動数変化量との相関が記憶されており、その相関に基づいてセンサー1によって得られた測定値から渋味の強度を求めることが可能となっている。
【0033】
なお、上記の工程は、図1に示すように、恒温槽12中に容器7を配置することによって所望の温度条件下で行うことができる。また、容器7内に攪拌子13を配置し、渋味成分を含む溶液11を溶液8に添加するときに攪拌手段14により攪拌子を回転させることによって、溶液8と溶液11との混合溶液を十分に均一にすることができる。
【0034】
本発明の第1の装置に用いられるセンサーとしては、食品の渋味成分とペプチドとの複合体の生成量に対応する所定の測定値を得ることが可能であれば特に制限されないが、図1に示すセンサーのようにペプチドが電極に固定化された周波数発振子(より好ましくは水晶発振子)を備えるセンサーを用いると、複合体の生成量に対応する振動数変化量がより高い精度で測定される傾向にあるので好ましい。
【0035】
図2はセンサーの水晶発振子を構成する電極にペプチドを固定化する方法の一例を示す説明図である。図2においては、先ず、塩酸等を用いて、電極3の表面に水酸基が配置されるように電極6表面を活性化し、電極3表面の水酸基と3−アミノプロピルトリメトキシシランとを反応させて電極3表面にアミノ基を導入する。このようにしてアミノ基が導入された電極3表面にグルタルアルデヒドを含有するリン酸緩衝液(好ましくはpH6.5〜7.5、より好ましくはpH7.0)を配置し、更に加熱溶解したゼラチンをリン酸緩衝液に加える。その後、電極をパラフィルムなどで覆って密封し、所定の時間整地することによって、電極にゼラチンを固定化することができる。このようにして得られた電極をセンサーに装着することによって、電極にゼラチンが固定化されたセンサー(以下、「ゼラチン・センサー」という)を得ることができる。又、図2におけるゼラチンの代わりにL−ポリプロリンを用いることによって、電極にL−ポリプロリンが固定化されたセンサー(以下、「ポリプロリン・センサー」という)を得ることもできる。
【0036】
上記の構成を有する本発明の第1の方法及び第1の装置においては、食品の渋味成分とペプチドとの複合体の生成量に対応する所定の測定値が十分に精度よく得られる。そして、予め得られている食品の渋味強度と所定の測定値との相関に基づいて、得られた測定値から食品の渋味強度を情報処理手段によってオンラインで求めるようにすることによって、食品の渋味強度が迅速且つ簡便に、更に高水準の再現性をもって測定される。
【0037】
次に、本発明の第2の方法について説明する。
【0038】
本発明の第2の方法にかかる複合体生成工程は、上記第1の方法と同様に、食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて複合体を生成させるものである。本発明の第2の方法にかかる食品及びその渋味成分、並びにペプチドとしては、それぞれ上記第1の方法の説明において例示された食品、渋味成分、ペプチドが上げられる。
【0039】
次に、複合体の吸着量の測定工程において、脂質膜センサーを用いて、上記複合体生成工程で生成した複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値が得られる。
【0040】
上記複合体の吸着量の測定工程において用いられる脂質膜センサーとしては、複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値を得ることが可能であれば特に制限されず、脂質膜で被覆された水晶発振子などの周波数発振子を備えるセンサーなどを用いることができる。これらの脂質膜センサーの中でも、脂質膜で被覆された周波数発振子(より好ましくは水晶発振子)を備える脂質膜センサーを用いると、複合体の脂質膜への吸着又は脱離に伴う振動数変化量が測定されるので、水素イオンや水酸イオンなどの脂質膜に吸着しない物質の影響を受けずにより高い精度で複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値が得られる傾向にあるので好ましい。
【0041】
又、脂質膜センサーに用いられる脂質膜の種類についても特に制限されず、具体的には、脂肪酸類又はリン脂質類からなる脂質膜が挙げられるが、中でも、ジオクタデシルジメチルアンモニウムポリスチレンスルホン酸又はジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンからなる脂質膜を用いると、複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値が精度よく得られ、より高水準の再現性をもって食品の渋味を定量的に評価することができる傾向にあるので好ましい。
【0042】
上記複合体の吸着量の測定工程においては、複合体を含有する溶液に脂質膜センサーを食品又は食品を含有する溶液に浸漬して、複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値を得ることができる。ここで、食品を含有する溶液の溶媒としては、水、緩衝液などが挙げられるが、水又は緩衝液を用いることが好ましい。又、複合体を含有する溶液のpHが3.5〜5.0の範囲内であると、実際の食品のpHに近い状態を再現することができ、当該所定の測定値がより高い精度で得られる傾向にあるので好ましい。
【0043】
なお、本発明の第2の方法において溶媒を用いる場合、ペプチドと溶媒との組み合わせは食品又はその食品中に含まれる渋味成分に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、食品がビールである場合にはゼラチンと酢酸緩衝液との組み合わせ又はゼラチンと水との組み合わせが好ましく;
食品がワインである場合にはアルブミンと酢酸緩衝液との組み合わせが好ましく;
食品が緑茶である場合にはアルブミンと水又は酢酸緩衝液との組み合わせが好ましい。ペプチドと溶媒とを上記の組み合わせで用いると、食品の渋味強度がより高い精度で得られる傾向にある。
【0044】
上記複合体の吸着量の測定工程における測定条件は特に制限されないが、温度条件を一定にして測定すると、渋味成分とペプチドとの複合体の脂質膜への吸着量の温度依存性による影響が排除される傾向にあるので好ましい。温度条件を一定に保つ方法としては、例えば、食品の渋味成分とペプチドとを含有する溶液を所定の容器に収容し、その容器を一定の温度に保持された水浴中に保持しながら、脂質膜センサーを溶液に浸漬して測定を行う方法が挙げられる。
【0045】
そして、渋味評価工程において、予め得られている渋味の強度と所定の測定値との相関に基づいて、上記複合体の吸着量の測定工程において得られた所定の測定値から食品の渋味の強度が求められる。
【0046】
ここで、渋味の強度と所定の測定値との相関は、本発明の第1の方法と同様に、食品の渋味についてカテゴリースケール、マグニチュードエスティメーション、ラベルドマグニチュードスケールなどの感覚尺度を用いて官能評価試験を行うことによって好適に得ることができる。中でも、感覚尺度としてマグニチュードエスティメーションを用いて官能評価試験を行うと、得られた結果をそのまま強度として統計的に処理することができる傾向にあるので好ましい。
【0047】
上記の構成を有する本発明の第2の方法は、後述する本発明の第2の装置を用いて好適に実施することができる。
【0048】
図3は本発明の第2の装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図3に示す装置は、センサー1を構成する水晶発振子5の電極3が脂質膜9で被覆されている点で図1の装置と相違する。そして、容器7内に収容された食品の渋味成分とペプチドとを含有する溶液8’に水晶発振子5が浸漬するように配置されて、振動数計測手段6から水晶発振子5に制御信号が送られると共に、水晶発振子5から振動数計測手段6に振動数変化に関するデータ信号が送られることによって、食品の渋味成分とペプチドとの複合体の脂質膜9への吸着量に対応する振動数変化量を測定することが可能となっている。振動数計測手段6には情報処理手段2が電気的に接続されており、振動数計測手段6から情報処理手段2に振動数変化量に関するデータ信号が送られる。情報処理手段2には、予め得られている渋味の強度と振動数変化量との相関が記憶されており、その相関に基づいてセンサー1によって得られた測定値から渋味の強度を求めることが可能となっている。
【0049】
上記の構成を有する本発明の第2の方法及び第2の装置においては、食品の渋味成分とペプチドとの複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値が十分に精度よく得られる。そして、予め得られている食品の渋味強度と所定の測定値との相関に基づいて、得られた測定値から食品の渋味強度を情報処理手段によってオンラインで求めるようにすることによって、食品の渋味強度が迅速且つ簡便に、更に高水準の再現性をもって測定される。
【0050】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0051】
実施例1
(ゼラチンセンサーを備える渋味評価装置の作製)
先ず、水晶発振子を備えるセンサー(Fragrance Sensor SF-105、相互薬工製)の金電極(直径:5mm)を1.2N水酸化ナトリウム水溶液20mlに20分間浸漬した後、電極表面を蒸留水500mlで洗浄し、1.2N希塩酸に2分間浸漬した。電極表面を蒸留水で洗浄し、12N濃塩酸に5分間浸漬した後、電極を蒸留水で十分に洗浄し、100℃で20分乾燥させて電極表面に水酸基が配置された水晶発振子を得た。
【0052】
この水晶発振子を空冷した後、2%3−アミノプロピルトリエトキシシラン/アセトン溶液0.3mlに浸漬し、室温で20時間放置して電極表面にアミノ基を導入した。次いで、水晶発振子にアセトン20ml中で超音波洗浄処理を施し、70℃で90分乾燥させた。
【0053】
更に、アミノ基が導入された電極表面に2.5%グルタルアルデヒド/20mMリン酸緩衝液(pH7.0)30μlを配置して室温で2時間静置した。その電極表面を20mMリン酸緩衝液20ml、蒸留水20mlで順次洗浄した後、水相測定用センサーに装着した。
【0054】
そして、加熱溶解させたゼラチン(Aldrich Chemical Company, Inc.製)を含有する溶液(濃度:0.5mg/ml)50μlを電極表面に配置し、センサー素子測定部をパラフィルムで覆って密封し、室温で一夜間反応させた後、電極表面を蒸留水で洗浄して、ゼラチン2μgが電極に固定化されたゼラチン・センサーを得た。
【0055】
このようにして得られたゼラチン・センサーを用いて、図1に示す構成を有する渋味評価装置を作製した。
【0056】
(複合体の生成量と振動数変化量との相関)
得られた渋味評価装置を用いて、以下の手順に従ってカテキンとゼラチンとの複合体の生成量に対応する振動数変化量を測定した。
【0057】
先ず、ゼラチンセンサーのセンサー素子測定部を蒸留水100mlに30秒間浸漬して振動数が安定したことを確認した。次に、この蒸留水にカテキン/エタノール溶液0.1mlを添加し、添加4分後までの振動数変化量を測定した。上記の測定を、カテキン濃度の異なる2種類のカテキン/エタノール溶液を用いて行い、蒸留水への添加直後のカテキン濃度を2ppm又は6ppmとした。この測定により得られた、カテキン/エタノール溶液添加後の時間と振動数変化量との相関を図5に示す。
【0058】
又、カテキン/エタノール溶液の代わりにケルセチン/エタノール溶液、エピカテキン/エタノール溶液を用い、蒸留水への添加後の渋味成分の濃度が20μMとなるようにしたこと以外は上記と同様にして振動数変化量を測定した。更に、比較試験として、蒸留水、エタノール、カフェイン(苦味成分)/エタノール溶液、ショ糖(甘味成分)水溶液、NaCl(塩味成分)水溶液、グルタミン酸(酸味、旨味成分)水溶液のそれぞれを用いて同様の試験を行った。各溶液を添加して4分経過したときの振動数変化量を図6に示す。
【0059】
図5に示したように、ゼラチンセンサーを備える渋味評価装置を用いた場合、カテキン濃度の増加に伴い振動数変化量が大きくなり、カテキンとゼラチンとの複合体の生成量に対応する振動数変化量が十分に精度よく測定されていることが確認された。又、図5、6に示したように、カテキン、ケルセチン、エピカテキンなどの渋味成分を含有する溶液を用いた場合には振動数の顕著な変化が認められたが、渋味成分を含有しない溶液を用いた場合には振動数の変化は殆ど認められなかった。
【0060】
(ビールの渋味評価1)
次に、ゼラチン・センサーを備える渋味評価装置を用い、2種類のビールA、Bの各0.5mlを蒸留水100mlに添加したときの振動数変化量の測定を行った。得られた結果を図7に示す。
【0061】
他方、ビールA、Bについて官能評価試験を行ったところ、渋味の強度は強い順にA、Bであるという結果が得られ、図7に示す振動数変化量と渋味の強度とが十分に良好な相関を示すことが確認された。
【0062】
(ビールの渋味評価2)
更に、ゼラチン・センサーを備える渋味評価装置を用い、上記振動数変化量の測定1と同様にして、ビールC(ポリフェノール含有量:173mg/l、アントシアニジン含有量:65mg/l)と、ビールCにPVPP処理を施してアントシアニジンなどのポリフェノール類の含有量を低減したビールD(ポリフェノン100含有量:76mg/l、アントシアニジン含有量:14mg/l)について振動数変化量の測定を行った。得られた結果を図8に示す。なお、PVPP処理とは、ポリビニルポリピロリドンを用いてタンニン性渋味成分などのポリフェノール類を吸着除去する処理である。
【0063】
他方、ビールC、Dについて官能評価試験を行ったところ、渋味の強度は強い順にC、Dであるという結果が得られ、図8に示す振動数変化量と渋味の強度とが十分に良好な相関を示すことが確認された。)
実施例2
(脂質膜センサーを備える渋味評価装置の作製)
水晶発振子を備えるセンサー(Fragrance Sensor SF-105、相互薬工製)の電極をジオクタデシルアンモニウムポリスチレンスルホン酸からなる脂質膜で被覆して脂質膜センサーを得た。この脂質膜センサーを用いて、図4に示す構成を有する渋味評価装置を作製した。
【0064】
(複合体の脂質膜への吸着量と振動数変化量との相関)
得られた渋味評価装置を用いて、以下の手順に従ってプロリン・リッチ・ペプチドとタンニン酸との複合体の脂質膜への吸着量に対応する振動数変化量を測定した。
【0065】
先ず、マウス・プロリン・リッチ・ペプチド(サワデー・テクノロジー製)を50、100、150mg/lとなるように溶解させた25mM酢酸緩衝液(pH4.3)に脂質膜センサーのセンサー素子測定部を浸漬して振動数が安定したことを確認した。次に、このマウス・プロリン・リッチ・ペプチド/酢酸緩衝液にタンニン酸0.1mlを添加し、添加5分後までの振動数変化量を測定した。上記の測定において、タンニン酸添加直後の緩衝液中のタンニン酸濃度は8mg/lである。この測定により得られた、タンニン酸添加後の時間と振動数変化量との相関を図9に示す。
【0066】
又、マウス・プロリン・リッチ・ペプチドの代わりにゼラチン(Aldrich Chemical Company, Inc.製)又は牛血清アルブミン(和光純薬工業社製)を用い、タンニン酸(緩衝液への添加後の濃度:8mg/l、以下、単に「緩衝液中濃度」という)、ポリフェノン100(緩衝液中濃度:50mg/l)を用いたこと以外は上記と同様にして振動数変化量を測定した。更に、比較試験として、ショ糖(甘味成分、緩衝液中濃度:1.7mM)、キニーネ硫酸塩(苦味成分、緩衝液中濃度:0.27μM)、酒石酸(酸味成分、緩衝液中濃度:14μM)、NaCl(塩味成分、緩衝液中濃度:1.1mM)、グルタミン酸(酸味、旨味成分、緩衝液中濃度:30μM)を用いて同様の測定を行った。ゼラチンを用い、各成分を添加して4分経過したときの振動数変化量を図10に示す。又、牛血清アルブミンを用い、各成分を添加して4分経過したときの振動数変化量を図11に示す。
【0067】
図9に示したように、脂質膜センサーを備える渋味評価装置を用いた場合、タンニン酸濃度の増加に伴い振動数変化量が大きくなり、タンニン酸とマウス・プロリン・リッチ・ペプチドとの複合体の脂質膜への吸着量に対応する振動数変化量が十分に精度よく測定されていることが確認された。又、図9〜11に示したように、タンニン酸、ポリフェノン100などの渋味成分の場合には振動数の顕著な変化が認められたが、渋味成分を含有しない溶液を用いた場合には振動数の変化は殆ど認められなかった。
【0068】
(渋味成分の濃度と振動数変化量との相関)
脂質膜センサーを備える渋味評価装置を用いた上記振動数変化量の測定1において、10mg/lゼラチン(Aldrich Chemical Company, Inc.製)/25mM酢酸緩衝液中のタンニン酸濃度を変化させたときの振動数変化量を測定して、タンニン酸濃度と振動数変化量との相関を求めた。得られた結果を図12に示す。図12に示したように、タンニン酸濃度と振動数変化量との間には十分に良好な相関が認められた。
【0069】
(緩衝液のpHと振動数変化量との相関)
又、ゼラチン(Aldrich Chemical Company, Inc.製)、ポリ−L−プロリン(SIGMA製、重量平均分子量:5000)、牛血清アルブミン(和光純薬工業社製)を用い、酢酸緩衝液のpHを変化させたこと以外は上記と同様にして振動数変化量を測定し、酢酸緩衝液のpHと振動数変化量との相関を求めた。ゼラチンを用いて得られた結果を図13、ポリ−L−プロリンを用いて得られた結果を図14、牛血清アルブミンを用いて得られた結果を図15にそれぞれ示す。なお、図13〜15にはペプチド非存在下でタンニン酸のみを吸着させたときの結果を併せて示した。
【0070】
図13〜15に示したように、ゼラチンを用いた場合にはpH4.0及びpH5.5〜6.5、ポリ−L−プロリンを用いた場合にはpH4.0〜4.5、牛血清アルブミンを用いた場合にはpH4.3〜5.0において非常に大きい振動数変化量が認められた。
【0071】
(ビールの渋味評価)
脂質膜センサーを備える渋味評価装置を用い、2種類のビールE、Fの各5mlを10mg/lゼラチン/25mM酢酸緩衝液(pH4.5)95mlに添加したときの振動数変化量の測定を行った。得られた結果を図16に示す。
【0072】
他方、ビールE、Fについて官能評価試験を行ったところ、渋味の強度は強い順にE、Fであるという結果が得られ、図16に示す振動数変化量と渋味の強度とが十分に良好な相関を示すことが確認された。
【0073】
又、ゼラチン/酢酸緩衝液の代わりに10mg/lゼラチン水溶液95mlを用いたこと以外が上記と同様にして、ビールE、Fをゼラチン水溶液に添加したときの振動数変化量の測定を行った。得られた結果を図17に示す。図17に示したように、ゼラチン水溶液を用いた場合にも、官能評価試験で得られた渋味の強度と振動数変化量とが十分に良好な相関を示した。
【0074】
(ワインの渋味評価)
脂質膜センサーを備える渋味評価装置を用い、2種類のワインG、Hの各0.1mlを10mg/l牛血清アルブミン水溶液100mlに添加したときの振動数変化量の測定を行った。得られた結果を図18に示す。
【0075】
他方、ワインG、Hについて官能評価試験を行ったところ、図19に示すように渋味の強度は強い順にG、Hであるという結果が得られ、図18に示す振動数変化量と渋味の強度とが十分に良好な相関を示すことが確認された。
【0076】
(緑茶の渋味評価)
脂質膜センサーを備える渋味評価装置を用い、2種類の緑茶I、Jの各5mlを10mg/l牛血清アルブミン/25mM酢酸緩衝液(pH4.5)95mlに添加したときの振動数変化量の測定を行った。得られた結果を図20に示す。
【0077】
他方、緑茶I、Jについて官能評価試験を行ったところ、図21渋味の強度は強い順にJ、Kであるという結果が得られ、図20に示す振動数変化量と渋味の強度とが十分に良好な相関を示すことが確認された。
【0078】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明においては、食品の渋味成分とペプチドとを反応させたときに生成する複合体の生成量、或いはその複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値が、簡便に且つ容易に、更に高水準の再現性をもって得られる。更には、情報処理手段によって、予め得られている渋味の強度と複合体の生成量又は吸着量に対応する所定の測定値との相関に基づいて、得られた測定値から渋味の強度がオンラインで求められる。したがって、本発明の食品の渋味評価方法及び渋味評価装置によって、渋味の定量的な評価を十分に精度よく且つ簡便に行うことが可能となる。
【0079】
【配列表】
Figure 0004637394

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】センサーの電極表面にペプチドを固定化する方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明にかかる官能評価試験に用いられるマグニチュードエスティメーションの一例を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。
【図5】実施例1で得られた、カテキン/エタノール溶液添加後の時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図6】実施例1で得られた、各味覚成分を添加したときの振動数変化量を示すグラフである。
【図7】実施例1で得られた、ビールA、B添加後の時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図8】実施例1で得られた、ビールC、D添加後の時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図9】実施例2で得られた、タンニン酸添加後の時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図10】実施例2で得られた、ゼラチンを用い、各味覚成分を添加して4分経過したときの振動数変化量を示すグラフである。
【図11】実施例2で得られた、牛血清アルブミンを用い、各成分を添加して4分経過したときの振動数変化量示すグラフである。
【図12】実施例2で得られた、タンニン酸濃度と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図13】実施例2で得られた、ゼラチンを用いたときの酢酸緩衝液のpHと振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図14】実施例2で得られた、ポリ−L−プロリンを用いたときの酢酸緩衝液のpHと振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図15】実施例2で得られた、牛血清アルブミンを用いたときの酢酸緩衝液のpHと振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図16】実施例2で得られた、ビールE、Fをゼラチン/酢酸緩衝液に添加したときの時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図17】実施例2で得られた、ビールE、Fをゼラチン水溶液に添加したときの時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図18】実施例2で得られた、ワインG、Hを牛血清アルブミン水溶液に添加したときの時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図19】実施例2で得られた、ワインG、Hの渋味強度についての官能評価試験結果を表すグラフである。
【図20】実施例2で得られた、緑茶I、Jを牛血清アルブミン/酢酸緩衝液に添加したときの時間と振動数変化量との相関を示すグラフである。
【図21】実施例2で得られた、緑茶I、Jの渋味強度についての官能評価試験結果を表すグラフである。
【符号の説明】
1…センサー、2…情報処理手段、3…電極、4…水晶板、5…水晶発振子、6…振動数計測手段、7…容器、8、8’…溶液、9…脂質膜、10…シリンダ、11…渋味成分を含む溶液、12…恒温槽、13…攪拌子、14…攪拌手段。

Claims (6)

  1. 食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて複合体を生成させる複合体生成工程と、脂質膜センサーを用いて、前記複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値を得る複合体の吸着量の測定工程と、予め得られている渋味の強度と所定の測定値との相関に基づいて、前記複合体の吸着量の測定工程で得られた測定値から渋味の強度を求める渋味評価工程とを含み、
    前記ペプチドが、プロリン含有ペプチド、ポリプロリン、ゼラチン及びアルブミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする食品の渋味評価方法。
  2. 前記食品が、ビール、ワイン及び緑茶からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の食品の渋味評価方法。
  3. 前記渋味成分が、タンニン酸、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、ケルセチン、アントシアニジン及びポリフェノン100からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の食品の渋味評価方法。
  4. 食品の渋味成分とペプチドとを反応せしめて得られる複合体の脂質膜への吸着量に対応する所定の測定値を得るための脂質膜センサーと、
    前記脂質膜センサーと電気的に接続されており、予め得られている渋味の強度と所定の測定値との相関に基づいて、前記脂質膜センサーにより得られた測定値から渋味の強度を求めるための情報処理手段と
    を備え、
    前記ペプチドが、プロリン含有ペプチド、ポリプロリン、ゼラチン及びアルブミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする食品の渋味評価装置。
  5. 前記食品が、ビール、ワイン及び緑茶からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項に記載の食品の渋味評価装置。
  6. 前記渋味成分が、タンニン酸、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、ケルセチン、アントシアニジン及びポリフェノン100からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の食品の渋味評価装置。
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