JP4637183B2 - コリネフォルム細菌由来のproB遺伝子の突然変異体 - Google Patents

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Description

本発明は、γ−グルタミルキナーゼ活性を有する酵素に関する。より詳細には、本発明は、アミノ酸配列の149位または同等の位置でのグリシン以外のタンパク質構成アミノ酸を有する、これらの酵素を特徴付けるものである。
γ−グルタミルキナーゼ活性を有する酵素は、好ましくは、L−プロリンの発酵的製造方法において使用する。グルタメートから出発する、L−プロリン生合成経路は、反応式1に図示する。
Figure 0004637183
アミノ酸が、たとえばコリネフォルム細菌、特にコリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum)の菌株を発酵することによって、製造できることは知られている。重要性に依存して、連続的に、製造方法を改善する試みがされてきた。方法の改善は、発酵技術の手段に関するものであってもよく、たとえば、撹拌または酸素供給、あるいは、栄養媒体の組成、たとえ発酵中の糖濃度であるか、あるいは、製品形への後処理、たとえば、イオン交換クロマトグラフィーによるもの、であるか、あるいは、微生物自体の固有の性能特性に関する。
これら微生物の性能特性は、突然変異誘発、選択および突然変異体選択の方法を適用することにより改善される。これは、抗代謝物質に対して耐性であるか、あるいは、アミノ酸の調節および生産のために重要な代謝物質に対して栄養要求性の菌株を生じる。公知の抗代謝物質は、プロリン類似体3,4−デヒドロ−D,L−プロリン(DHP)である。
数年間に亘って、組み換えDNA法が同様に、L−アミノ酸生産コリネバクテリウム菌株を改善するために使用され、この場合、これは、個々のアミノ酸生合成遺伝子を増幅し、かつアミノ酸生産上の効果を調査することによるものである。
コリネバクテリウムグルタミクムゲノムのヌクレオチド配列は、特に EP-A-1108790中に記載されており、かつ National Center for Biotechnology Information (NCBI) database of the National Library of Medicine(Bethesda, MD,USA)において、NC_003450.2 およびBX927148.1〜BX927157.1の受け入れ番号で寄託されている。
Sleatorらは、proB−遺伝子のリステリアモノサイトゲネスproB-遺伝子の突然変異によって、プロリン生合成における過剰生産を生じさせる可能性について報告している (ApplEnviron. Microbiol . 2001 , 67 , 4560-5 )。ここに記載され、かつ成功するとして言及された突然変異は、以下の変異を有する、γ−グルタミルキナーゼをコードするproB遺伝子に関する:V121I、A144Vおよび E146K。さらに、これらの突然変異が生じる領域が、他の微生物中で、有利な突然変異に関する標的領域として同定されている領域が、極めて近似していることが挙げられている。
したがって本発明の課題は、γ−グルタミルキナーゼの、さらに突然変異され、かつ適切である場合には、改善されたタンパク質変異体を提供することであって、この場合、これは、L−プロリンの発酵的生産のための技術的方法において有利に使用することができる。
この課題および詳細には示されていないが、従来技術から明らかである他の課題は、請求項1のγ−グルタミルキナーゼから出発することにより達成される。請求項2は、この種類の好ましい酵素に関するものである。請求項3および4は、それぞれ、これらの酵素をコードするヌクレオチド配列に関し、その一方で、請求項5では、前記ヌクレオチド配列を有する、組み換え法により製造された運搬体に関する。請求項5は、最終的には、前記酵素を使用して、L−プロリンのための本発明による製造方法に関する。
アミノ酸149位またはこれと同等の位置で、グリシン以外のタンパク質構成アミノ酸を有する、γ−グルタミルキナーゼ(proB遺伝子の生成物)を提供することによって、前記課題は、特に驚くべきことに、にもかかわらず有利に達成された。野生型の酵素と比較して、適切な突然変異を有するγ−グルタミルキナーゼは、発酵的製造方法において、改善された方法で、L−プロリンの製造をサポートする。本発明による方法を使用した場合には、ホスト微生物の性能または発酵方法を、生成物濃度(体積に対する生成物)、生成物収率(消費された炭素源に対して形成された生成物)および生成物形成(体積および時間に対して形成された生成物)または他の工程パラメータおよびこれらの組合せから成る群から選択された、1種またはそれ以上のパラメータについて、出発菌株または親菌株または前記酵素を使用する発酵方法に対して、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも1.5%または少なくとも2%ずつ改善させることが可能である。
好ましくは、Lys、Asn、Arg、Ser、Thr、Ile、Met、GIu、Asp、Ala、Val、Gln、His、Pro、Leu、Tyr、Trp、CysまたはPheから成る群から選択されたアミノ酸、好ましくはL−アミノ酸が、本発明により定義されるアミノ酸位置またはこれと同等の位置で存在する、γ−グルタミルキナーゼを提供することである(前記アミノ酸は、この場合、グリシンを含み、この技術分野においてはタンパク質構成アミノ酸として呼称されるものである)。極めて好ましくは、前記酵素中で149位(G149D)で、グリシンをL−アスパラギン酸で置換する。最も好ましくは、本発明によるγ−グルタミルキナーゼに関し、この場合、これらは前記に示すように、369±40、好ましくは±20、より好ましくは±10および特に好ましくは±5のアミノ酸または±3のアミノ酸の長さである。ホストに対して内在性の酵素は、アミノペプチダーゼと呼称され、形成されたタンパク質のN−末端アミノ酸であるメチオニンを切断できることが知られている。さらに、タンパク質のC−末端から1個または2個または3個以下のアミノ酸の切断は、酵素活性を、あったとしても、ほぼごくわずかにのみ阻害する。しかしながら、酵素は、その長さにおいて、一定の融合蛋白質の付加により増加されてもよい(以下参照)。
さらに本発明は、配列番号2、好ましくは4のアミノ酸配列、または、これらと少なくとも90%の同一性を有する配列を包含し、その際、配列は、他のアミノ酸によるグリシンのアミノ酸置換を含み、特に、前記好ましいアミノ酸を、149位であるか、あるいは、同等の位置で置換する。したがって本願発明は、アミノ酸レベルにおいて、配列番号2、好ましくは4と比較して、前記度合いの同一性を有するこれらの酵素を包含するものである。同様に、これらの酵素は、天然源から生じるものであってもよい。二者択一的に、これらは、組み換えDNA技術により、当業者が、保持または本質的に保持すべき酵素活性を推測しうる程度に改善することができる(たとえば、Sambrook et al , "Molecular Cloning, A Laboratory Handbook" , 2nd edition 1989 , CSH Press , Cold Spring Harbor, Ausubel et al"Current Protocols in Molecular Biology" , John Wiley & Sons , NY 2001参照)。従って、活性部位に存在せず、かつその置換が「同種の」アミノ酸によるものであるアミノ酸は、本質的に変更された三次元構造が生じることは予測されず、「同種の」アミノ酸によって置換されてもよいことが明確である。これは、たとえば、非極性の側鎖を有する特定のアミノ酸(同種のアミノ酸)、たとえばイソロイシンを、バリンによって、本発明による酵素の生物学的または酵素的機能上、あるいは、酵素活性上の影響を生じることなく、置換することができることが予測されうる。当業者は、その専門知識に基づいて、その他の型のアミノ酸の置換(例えば、塩基性アミノ酸をその他の塩基性アミノ酸で、又は非荷電極性側鎖をその他のこの群からのアミノ酸で置換)に対しても相応する結論を導いてよい。
同様に好ましくは、配列番号2、好ましくは4の相当する位置、あるいは同等の位置145〜154位、より好ましくは130〜169位および特に好ましくは110〜180位の、少なくともアミノ酸配列を有する、γ−グルタミルキナーゼであり、この場合、これは、γ−グルタミルキナーゼの長さに関して、前記数に相当するアミノ酸配列が可能である。
さらに好ましい実施態様において、本発明による酵素は、付加的に、少なくとも1種の異種アミノ酸部分を含有し、その際、前記ポリペプチドは、融合蛋白質として特徴付けられる。本発明による融合蛋白質の異種成分の例は、tag(たとえば、His tagまたはFlag tag)であり、この場合、これらは、本発明による融合蛋白質の精製中で使用することができる。他の実施態様において、前記異種成分は、異なる酵素活性を有してよい。このような場合には、前記の2個の酵素成分が、好ましくはリンカー、例えばフレキシブルなグリシンまたはグリシン−セリンリンカー、この場合、これは、6〜10個のアミノ酸の長さのもの、によって、前記成分の機能を確保するために結合されている。本願明細書中において「異種」の用語は、一方で、天然には、融合タンパク質の成分が共有結合の形で一緒に生じることがないこと、そして他方では、前記成分が、異なる種に由来することを意味してよい。融合タンパク質は、通常は組み換えDNA技術(Sambrook et al., loc. cit.参照)を使用して製造される。
他の実施態様において、本発明は、前記に示すように、本発明によるγ−グルタミルキナーゼをコードするヌクレオチド配列(核酸配列)に相当する。したがって、さらに本発明は、酵素γ−グルタミルキナーゼをコードする複製可能なヌクレオチド配列に関し、この場合、これらは、前記ヌクレオチド配列によりコードされる相当するアミノ酸配列が、任意のタンパク質構成アミノ酸、この場合、グリシンを除く、を、149位または同等の位置で有することを可能にする。
本発明のヌクレオチド配列は、好ましくは、γ−グルタミルキナーゼをコードし、その際、相当するコードされたアミノ酸配列は、Lys、Asn、Arg、Ser、Thr、Ile、Met、Glu、Asp、Ala、VaI、Gln、His、Pro、Leu、Tyr、Trp、CysまたはPheから成る群から選択されたアミノ酸を、149位または同等の位置で含む。γ−グルタミルキナーゼをコードするヌクレオチド配列、この場合、これは、L−アスパラギン酸を、149位または同等の位置で有するもの、は、特に好ましい。
同様に本発明は、γ−グルタミルキナーゼをコードする複製可能な核酸配列に関し、この場合、この配列は、本発明によるアミノ酸置換を、149位または同等の位置で有し、その際、前記配列は、
a)配列番号1、好ましくは配列番号3に対して少なくとも70%の同一性を有するか、あるいは、
b)本発明によるγ−グルタミルキナーゼをコードし、この場合、これは、369±40アミノ酸の長さであるか、あるいは、
c)本発明によるγ−グルタミルキナーゼをコードし、この場合、これは、配列番号2、好ましくは配列番号4のアミノ酸を、少なくともその位置または同等の位置145〜154位で有するか、あるいは、
d)本発明によるγ−グルタミルキナーゼをコードし、この場合、これは、配列番号2、好ましくは配列番号4のアミノ酸配列を、その位置または同等の位置145〜154位で有し、かつ、配列番号1または配列番号3に対して相補的なヌクレオチド配列に対して、ストリンジェントな試験条件下でハイブリダイズするか、あるいは、
f)本発明による酵素、γ−グルタミルキナーゼをコードし、かつその塩基配列が、配列番号3に示すように446位でアデニンを含む、複製可能なヌクレオチド配列である。
本発明の範囲は、同様に好ましくは、本発明によるγ−グルタミルキナーゼをコードする複製可能な核酸配列を含有し、この場合、これらは、369±20、より好ましくは±10および特に好ましくは±5または±3のアミノ酸残基の長さを有する。
さらに本発明は、配列番号1、好ましくは3に示されたヌクレオチド配列に関する。前記に示したように、さらに本発明は、ヌクレオチドレベルで、前記配列と少なくとも70%の同一性を有するこれらの配列を包含する。配列番号3に対して少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列の例は、配列番号5に示されている。配列番号6は、γ−グルタミルキナーゼのアミノ酸配列を示し、この場合、これは、配列番号5によりコードされている。
同様に本発明は、γ−グルタミルキナーゼをコードする複製可能な核酸配列に関し、この場合、これらは、好ましくは、130〜169位または同等の位置に相当するアミノ酸配列を包含し、かつ極めて特に好ましくは、配列番号2、好ましくは4の110〜189位であり、かつ、これらは、配列番号1または配列番号3に対して相補的なヌクレオチド配列と、ストリンジェントな試験条件下でハイブリダイズする。用語「相補的」とは、本発明によれば、相補性が、本発明による核酸分子の全領域にわたってギャップを生じることなく及ぶことを意味する。いいかえれば、本発明によれば、好ましくは、相補性は、本発明による配列の全領域の100%に及び、特に、示された5’末端から示された3’末端まで、特にコーディング領域(cds.)である。他の好ましい実施態様において、前記相補性は、少なくとも19個、好ましくは少なくとも21個の、好ましくは酵素活性の活性部位をコードしない連続したヌクレオチドの領域に及ぶ。
好ましくは、コリネフォルム細菌、好ましくはコリネバクテリウムグルタミクムから誘導された、これらの核酸配列である。遺伝子または対立遺伝子の核酸配列は、この場合、1の種の群において存在し、さらに、当該技術分野においては、内因性遺伝子または対立遺伝子と呼称される。
本発明はさらに、本発明によるヌクレオチド配列を有する組み換え(rec)運搬体に関する。適した運搬体は、当業者によるこの目的のために考慮される任意の態様であり、特にベクターまたはホスト微生物である。
これに関してあげられてもよいホスト微生物の例は、たとえばHansenula polymorpha、Pichia sp、Saccharomyces cerevisiae、原核生物、たとえばE.coli、バチルススブチリス(Bacillus subtilis)、コリネフォルム細菌、たとえばコリネバクテリウムグルタミクムまたは真核生物、たとえば哺乳動物細胞、昆虫細胞または植物細胞である。これらの微生物は、適切である場合には、本発明の手段より前に、L−プロリンをその細胞中に堆積させるか、あるいは、その周囲の発酵媒体中に堆積させる。したがって、好ましい実施態様において、本発明によるホストは、本発明による核酸配列で形質転換するか、あるいは、トランスフェクトされた組み換え細胞であるか、あるいは、本発明によるベクター(以下参照)であるか、あるいは、これらを接合により提供したものである(用語「形質転換」、「トランスフェクション」および「接合」は、本発明によれば同義語で使用される)。形質転換又はトランスフェクションは、それぞれ公知の方法、例えばリン酸カルシウム共沈、リポフェクション、エレクトロポレーション、粒子撃ち込みまたはウィルス感染により実施されてもよい。本発明による細胞は、組み換え核酸を、染色体外にまたは染色体に組み込まれた形で含有していてもよい。いいかえればトランスフェクション/形質転換は、安定又は一過性のものであってもよい。クローニングのための方法は、当業者に公知である((Sambrook, J .; Fritsch, E F . and Maniatis , T( 1989 ) , Molecular cloning: a laboratory manual , 2nd ed. , Cold Spring Harbor Laboratory Press , New York)。E.coli菌株は、組み換え製造および突然変異誘発法のために使用してもよく、この場合、これは、特にE. coli XLl Blue、NM 522、JMlOl、JM109、JM105、RRl、DH5α、TOPlO、HBlOl、BL21 codon plus、BL21 (DE3 ) codon plus、BL21、BL21 (DE3)、MM294である。本発明による核酸を有する遺伝子コンストラクトを宿主生物へとクローニングするために、特に使用されるプラスミドは、同様に当業者に公知である(PCT/EP03/07148も参照;以下参照)。コリネバクテリウム属のホストは、この場合、特に挙げられてもよく、当該技術分野において知られている種コリネバクテリウムグルタミクムである。コリネバクテリウム属の公知の野生型の例は以下のとおりである:
Figure 0004637183
細菌のこの群の菌株の分類学的クラスに関するインフォメーションは、特にKampferおよびKroppenstedt (Canadian Journal of Microbiology 42 , 989-1005 ( 1996 ) )およびUS-A-5250434で見出すことができる。ここ数年に亘って、Lieblら(International Journal of Systematic Bacteriology 41 ( 2 ) , 255-260 (1991))により、種名「Brevibacterium flavum」、「Brevibacterium lactofermentum」および 「Brevibacterium divaricatum」を含むコリネフォルム細菌は、コリネバクテリウムグルタミクムの種として分類されてきた。種名「Corynebacterium melassecola」を有するコリネフォルム細菌も同様に、種コリネバクテリウムグルタミクムに属するものである。
コリネフォルム細菌のL−プロリン生産菌株の例は、以下のとおりである:
Figure 0004637183
この場合、これらすべては、US 4224409および US 4444885中に記載されている。
本発明によるベクターにおいて、本発明による核酸配列は、好ましくは操作的に、発現調節配列に対して結合させることにより転写可能とし、かつ適切である場合には、適したホスト細胞中で翻訳する。発現制御配列は、通常はプロモーターと、適切であれば更なる調節配列、例えばオペレーター又はエンハンサーを含有する。さらに、翻訳開始配列が存在することも可能である。原核生物又は真核生物である宿主細胞のために適した発現制御配列は、当業者に公知である(参照、例えばSambrook et al.引用済)。本発明による組み換えベクターは更に、通常の要素、例えば複製開始点及び選択マーカー遺伝子を含んでもよい。適した組み換えベクターの例は、プラスミド、コスミド、ファージ又はウィルスである(参照、例えばSambrook et al.上記)。
適したプラスミドは、原則として、この目的のために当業者が使用可能な任意の実施態様である。このようなプラスミドは、たとえば、Studierおよび共同研究者による論文(Studier, W. F Rosenberg A. H Dunn J ;Dubendroff J. W.; (1990), Use of the T7 RNA polymerase to direct expression of cloned genes, Methods Enzymol. 185, 61-89)またはNovagen, Promega, New England Biolabs , Clontech or Gibco BRLからのパンフレットにおいて見出すことができる。さらに好ましいプラスミドおよびベクターは、Glover, DM. (1985 ) , DNA cloning : a practical approach, VolI-III , IRL Press Ltd. , Oxford; Rodriguez , R. L . and Denhardt, DT (eds ) ( 1988 ) , Vectors : a survey of molecular cloning vectors and their uses , 179-204 , Butterworth, Stoneham; Goeddel , D V. (1990), Systems for heterologous gene expression, Methods Enzymol. 185, 3-7; Sambrook, J ; Fritsch, E F . and Maniatis , T( 1989 ) , Molecular cloning: a laboratory manual , 2nd ed. , Cold Spring Harbor Laboratory Press , New Yorkにおいて見出すことができる。
特に好ましい方法で、ホスト微生物中に、検討すべき核酸配列を有する遺伝子コンストラクトをクローニングするために使用されてもよいプラスミドは、pUC18/19(Roche Biochemicals)、pKK-177-3H(Roche Biochemicals)、pBTac2(Roche Biochemicals)、pCR(Invitrogen)、pKK223-3(Amersham Pharmacia Biotech)、pKK−233−3(Stratagene)またはpET(Novagen)であるか、またはこれらをベースにしたものである。他の好ましいプラスミドはpBR322 (DSM3879)、pACYCl84 (DSM4439)およびpSClOl (DSM6202 )であり、この場合、これらは、DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Brunswick, Germanyから入手可能である。好ましいプロモーターの例は、T7プロモーター、lacプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーター、rhaプロモーターおよびaraプロモーターである。
好ましくは、本発明によるγ−グルタミルキナーゼまたはこれらをコードする核酸は、コリネフォルム細菌、好ましくはコリネバクテリウム属、特に好ましくはコリネネバクテリウムグルタミクム中で過剰発現される。
過剰発現とは、本発明によるγ−グルタミルキナーゼの細胞内濃度または活性の増加を意味する。
過剰発現の目安は、出発微生物中のタンパク質の活性または濃度に対して、通常、少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%または500%ずつ、最大1000%または2000%まで、相当するタンパク質の活性または濃度を増加させる。
過剰発現は、本発明による遺伝子または対立遺伝子のコピー数を、少なくとも1コピーずつ増加させることによってか、あるいは、プロモーター領域または調節領域、あるいは、構造遺伝子の上流に局在するリボソーム結合部位を突然変異させることによって、達成されてもよい。構造遺伝子の上流に挿入された発現カセットは、同様の方法で作用する。さらに、誘導可能なプロモーターは、発酵的L−プロリンの生産中における発現を増加させることを可能にする。mRNAの寿命を延長する手段は、同様に、発現を改善する。さらに酵素活性は、酵素タンパク質の分解を抑止することにより増強させる。遺伝子または遺伝子コンストラクトは、種々のコピー数でプラスミド中に存在するか、あるいは、一体化され、かつ増幅された形で染色体中に存在していてもよい。
二者択一的に、この遺伝子はさらに、媒体組成物および培養方法を変更することによって過剰発現させることができる。コリネフォルム細菌中で複製されるプラスミドは、本発明によるproB対立遺伝子のコピー数を増加させるために有用である。数多くの公知のプラスミドベクター、たとえばpZ1(Menkel et al,Applied and Environmental Microbiology (1989 ) 64 : 549-554 )、pEKExl (Eikmanns et al Gene 102 : 93 -98 (1991 ) )またはpHS2-l (Sonnen et al .Gene 107 : 69-74 ( 1991 ) ) は、潜在プラスミドpHMl519、pBLlまたはpGAlをベースとするものである。他のプラスミドベクター、たとえば、pCG4 (US-A 4 , 489 , 160)またはpNG2 ( Serwold-Davis et al, FEMS Microbiology Letters 66 119-124 ( 1990 ) )またはpAGl (US-A 5 , 158 , 891 )をベースとするものは、同様の方法で使用することができる。コリネバクテリウムグルタミクムプラスミドベクターの概略は、(Tauch et al, Journal of Biotechnology 104 (1-3 ), 27-40 (2003 )中で見出すことができる。
さらに、染色体遺伝子増幅の方法を適用させることにより、コピー数を増加することが可能であることが、たとえば、 Reinscheid et Applied and Environmental Microbiology 60 , 126-132 (1994 ))で記載のようにして可能であり、この場合、これは、homthrB-オペロンの重複および増幅を含む。この方法は、プラスミドベクター中への完全な遺伝子または対立遺伝子のクローニングを含み、この場合、これは、ホスト(典型的にはE . coli)中で複製することができるが、しかしながら、C . glutamicum中では複製することができない。適したベクターの例は、pSUP301 (Simon et al., Bio/Technology 1 , 784-791 (1983 ) )、pKl8mobまたはpKl9mob (Schafer et al Gene 145 , 69-73 (1994 ) )、pGEM-T (Promega Corporation, Madison, WI , USA)、pCR2.1-TOPO (Shuman, Journal of Biological Chemistry 269 : 32678-84 (1994 ); US-A 5 , 487 , 993 )、pCR(R)Blunt (Firma Invitrogen, Groningen, the Netherlands ; Bernard et al., Journal of Molecular Biology, 234 : 534-541 (1993 ) )、pEMl (Schrumpf et al Journal of Bacteriology 173 : 4510-4516 (1991 ) )またはpBGS8(Spratt et al, Gene 41 : 337-342 (1986 ) )である。増幅すべき遺伝子または対立遺伝子を含有するプラスミドベクターは、引き続いて、好ましいC.グルタミクム菌株に対して接合または形質転換することによって導入される。接合方法は、たとえばSchaferら(Applied and Environmental Microbiology 60 , 756-759 ( 1994 ) )による。形質転換方法は、たとえば、Thierbach ら(Applied Microbiology and Biotechnology 29 , 356-362 (1988 ) )、DunicanおよびShivnan (Bio/Technology 7 , 1067-1070 ( 1989 ) ) およびTauchら(FEMS Microbiological Letters 123 , 343-347 (1994) )により記載されている。「交差」による同種組み換えの後に、得られる菌株は、この遺伝子または対立遺伝子の少なくとも2個のコピーを含有する。コピー数を、少なくとも1、2または3個ずつ増加させるために、さらに、WO 03 /014330中に記載されたタンデム増幅方法を使用するか、あるいは、WO 03 /040373中に記載されているように、好ましい位置でのインテグレーションの方法による増幅方法を使用することが可能である。
従来技術において記載された突然変異誘発方法が、本発明によるγ−グルタミルキナーゼ(たとえば、配列番号2)中でのアミノ酸置換および本発明による他のproB突然変異を生じさせるために使用され、この場合、この方法は、149位でのアミノ酸置換により特徴付けられる。適した突然変異誘発方法は、この目的のために当業者に利用可能な任意の方法である。
突然変異物質、たとえばN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)または紫外線を使用する、古典的なin-vivo突然変異誘発方法を、突然変異誘発のために使用してもよい。突然変異された細胞は、適切である場合には、引き続いて、3,4−デヒドロ−DL−プロリンを含有する最小アガー培地に、約0.5〜1g/l、約1.2g/lまたは2〜3g/lの濃度で適用される。個々の突然変異体は単離され、かつproB遺伝子または対立遺伝子のヌクレオチド配列が、適切である場合には、従来のクローニング方法の後に決定される。
さらに突然変異誘発のために、in-vitro方法、たとえば、ヒドロキシルアミン(Miller, J H. : A Short Course in Bacterial Genetics A Laboratory Manual and Handbook for Escherichia coli and Related Bacteria, Cold Spring Harbor Laboratory Press , Cold Spring Harbor, 1992 )または突然変異誘発性オル後ヌクレオチド(T. A. Brown: Gentechnologie fur Einsteiger [genetic engineering for beginners ] , Spektrum Akademischer Verlag, Heidelberg, 1993 ; textbook by Knippers ( ,,Molekulare Genetik" [molecular genetics ] , 6<th> edition, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, Germany, 1995 ) ; Winnacker ( ,,Gene und Klone" [genes and clones] , VCH Verlagsgesellschaft , Weinheim, Germany, 1990 ) ; Hagemann ( ,,Allgemeine Genetik" [general genetics ] , Gustav Fischer Verlag, Stuttgart , Germany, 1986 ) )での処理によってか、あるいは、NewtonおよびGrahamのマニュアルによる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(PCR, Spektrum Akademischer Verlag, Heidelberg, Germany, 1994 )を使用することができる。これらは、特に、飽和突然変異導入法、ランダム突然変異導入法、 in-vitro組み換え法および 部位指定突然変異導入方法を含む (Eigen, M. and Gardiner, W. (1984 ) , Evolutionary molecular engineering based on RNA replication, Pure ApplChem.56 , 967-978 ; Chen, K. and Arnold, F (1991), Enzyme engineering for nonaqueous solvents: random mutagenesis to enhance activity of subtilisin E in polar organic media. Bio/Technology 9 , 1073-1077 ; Horwitz , M. and Loeb, L(1986 ) , Promoters Selected From Random DNA-Sequences , Proc Natl Acad Sci USA 83 , 7405-7409 ; Dube, D. and L. Loeb (1989 ) , Mutants Generated By The Insertion Of Random Oligonucleotides Into The Active-Site Of The Beta-Lactamase Gene, Biochemistry 28 , 5703-5707 ; Stemmer, PC (1994) , Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling, Nature 370 , 389-391およびStemmer, PC (1994 )、DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolution. Proc Natl Acad Sci USA 91 , 10747-10751 )。
in-vitro方法の使用は、従来技術で記載されたproB遺伝子を、ポリメーラーゼ連鎖反応を用いて、野生型菌株から単離された全DNAから出発して増幅し、前記遺伝子、適切である場合には、適したプラスミドベクター中でクローニングし、その後に、このDNAを突然変異誘発工程に導くことを含む。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してのDNA配列の増幅に関する教示は、当業者であれば、特にGaitによるマニュアル: Oligonucleotide Synthesis : A Practical Approach (IRL Press , Oxford, UK, 1984)ならびにNewtonおよびGrahamによるマニュアル: PCR (Spektrum Akademischer Verlag, Heidelberg, Germany, 1994 )中で見出すことができる。同様の方法で、in-vitro突然変異誘発法、この場合、これは、たとえば、Sambrookらによる公知のマニュアルに記載されたようなもの、を使用することが可能である(Molecular Cloning, A Laboratory Manual , 2nd ed. , Cold Spring Harbor Laboratory Press , Cold Spring Harbor, New York, USA, 1989 )。相当する方法は、さらに市販の「キット」の形で入手可能であり、たとえばStratagene (La Jolla, USA)から、"QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit"(Papworthらによるもの、Strategies 9 (3 ) , 3-4 (1996 ) )である。適したproB突然変異体は、その後に選択され、かつ前記方法により試験される。
L−プロリンの製造のために、本発明によるγ−グルタミルキナーゼを使用するのに加えて、この場合、これは、過剰発現または増幅されていてもいなくてもよく、増幅、特に過剰発現のために、前記キナーゼの他に、同時にプロリン生合成の1種またはそれ以上の酵素を使用することも有利である。好ましくは、通常、内在遺伝子を使用する。
「内在遺伝子」または「内在ヌクレオチド配列」は、一つの種の群中に存在する遺伝子またはヌクレオチド配列および対立遺伝子を意味する。
これに関連して、用語「増幅」は、相当するDNAによりコードされる微生物中の1種またはそれ以上の酵素の細胞内活性または濃度を、たとえば、1個またはそれ以上の遺伝子のコピー数を、より強力なプロモーターを使用するか、あるいは、高い活性を有する相当する酵素または蛋白質をコードする遺伝子または対立遺伝子を使用して、かつ適切である場合にはこれら手段を組合せることによって、増加させることを示す。増幅、特に過剰発現の目安は、相当する酵素またはタンパク質の活性または濃度を、野生型タンパク質の活性または濃度に対してか、あるいは、出発微生物中のタンパク質の活性または濃度に対して、通常、少なくとも10%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%または500%ずつ、最大1000%または2000%まで、増加させる。
したがって、L−プロリンの製造のために、本発明によるproB遺伝子の突然変異体を使用するのに加えて、増幅、特に過剰発現のために、以下の群から選択された1種またはそれ以上の遺伝子を使用することができる。
●グルタメートデヒドロゲネース(EC 1.4.1.4 )をコードするgdh遺伝子
●γ−グルタミル−ホスフェートレダクターゼ(EC 1.2.1.41 )をコードするproA遺伝子
●プロリン−5−カルボキシレートレダクターゼ(EC 1.5.1.2 )をコードするproC遺伝子および
●オルニチンシクロデアミナーゼ(EC 4.3.1.12 )をコードするocd遺伝子
L−プロリンを製造するために、さらにproB遺伝子の本発明による突然変異体を使用するのに加えて、同時に減衰、特に発現を減少させるために、特に以下の群から選択された内在性遺伝子の1種またはそれ以上を使用することができる。
●トレオニンデアミナーゼ(EC 4.2.1.16 )をコードするilvA遺伝子
●プロリンデヒドロゲナーゼ/プロリン−5−カルボキシレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.5.99.8 )をコードするputA遺伝子
●2−ケトグルタレートデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.4.2 )をコードするsucA遺伝子、
●ジヒドロリポアミドスクシニルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.61 )をコードするsucB遺伝子および
●アセチルオルニチンアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.11 )をコードするargD遺伝子
これに関連して、用語「減衰」は、微生物中で、相当するDNAによりコードされる1種またはそれ以上の酵素またはタンパク質の細胞内活性または濃度の減少または除去を示し、たとえば、これは、弱いプロモーターを使用するか、あるいは、低い活性を有する相当する酵素を硬度する遺伝子または対立遺伝子を使用するか、あるいは、相当する遺伝子または酵素またはタンパク質を不活性化することにより、かつ適切である場合には、これら手段を組合せることによりおこなう。
減衰は、遺伝子の発現、あるいは、酵素蛋白質の触媒特性または調整特性を、減少または除去することのいずれによっても達成されてもよい。双方の手段は、適切である場合に組合されてもよい。
遺伝子発現は、適した培養方法によってか、あるいは、遺伝子発現のシグナル構造の遺伝的改変(突然変異)によって減少されてもよい。遺伝子発現のシグナル構造の例は、リプレッサー遺伝子、アクチベーター遺伝子、オペレーター、プロモーター、アティニュエーター、リボソーム結合部位、開始コドンおよびターミネーターである。これに関する情報は、当業者であれば、たとえばWO 96/15246、BoydおよびMurphy(Journal of Bacteriology 170 : 5949-5952 (1988 )、VoskuilおよびChambliss (Nucleic Acids Research 26 : 3584-3590 (1998 )、Patekら(Microbiology 142 : 1297-309 (1996 ) and Journal of Biotechnology 104 : 311-323 ( 2003 ) )ならびに遺伝学および分子生物学の公知のテキストブック、たとえば、Knippersによるテキストブック(Molekulare Genetik , 6thedition, Auflage, Georg Thieme Verlag, Stuttgart , Germany, 1995 )またはWinnackerによるテキストブック(Gene und Klone, VCH Verlagsgesellschaft , Weinheim, Germany, 1990 )において見出すことができる。
遺伝子発現の特別な調整の例は、減衰すべき遺伝子のクローニングを、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)の計量供給された量を添加することにより、導入されるプロモーター、たとえばtrcプロモーターまたはtacプロモーターの調節下で生じさせる。ここで有用なベクターは、たとえば、エシェリキアコリ発現ベクターpXK99E (WO0226787 ;ブダペスト条約2001年7月31日にしたがって、DH5alpha/pXK99EをDSM14440として、Deutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zellkulturen (DSMZ , Brunswick Germany)に寄託した)またはpVWEx2 (Wendisch, PhD . thesis , Berichte des Forschungszentrums Juelich, Juel-3397 , ISSN 0994-2952 , Julich, Germany (1997 ) )であり、この場合、これらは、コリネバクテリウムグルタミクム中で、IPTG依存型の方法で、クローニングされた遺伝子を発現することを可能にする。
この方法は、たとえばWO02 /26787では、deaD遺伝子の調節された発現のために、ベクターpXK99EdeaDを、コリネバクテリウムグルタミクムゲノム中にインテグレーションすることにより使用され、かつSimicらによれば、(Applied and Environmental Microbiology 68 : 3321-3327 (2002 ) )、glyA遺伝子の発現を、ベクターpK18mobglyA'のコリネバクテリウムグルタミクム中へのインテグレーションによって調整することができる。
特別に減少した遺伝子発現に関する他の方法は、標的細胞中に、短いオルゴリボヌクレオチドまたはオリゴデオキシリボヌクレオチドまたはベクターを、より長いアンチセンスRNAを合成するために導入することを含む。ここで、アンチセンスRNAは、特定のmRNAsの相補的部分に結合してもよく、かつその安定性またがブロック翻訳能力を減少させる。この例は、当業者であれば、Srivastavaら(Applied Environmental Microbiology 2000 Oct ; 66 (10 ) : 4366 4371 )中で見出すことができる。
酵素タンパク質の触媒特性中の変更または減少を生じる突然変異は、従来公知であり、たとえば、QiuおよびGoodman(Journal of Biological Chemistry 272 : 8611-8617 (1997 ) )、Sugimotoら(Bioscience Biotechnology and Biochemistry 61 : 1760-1762 ( 1997 ) )および Moeckel (Ph. D. thesis, Berichte des Forschungszentrums Juelich, Juel-2906 , ISSN09442952 , Juelich, Germany (1994 ) )による研究中に挙げられている。概略については、遺伝子学および分子生物学に関する公知のテキストブック中で見出すことができ、たとえばHagemann(Allgemeine Genetik, Gustav Fischer Verlag, Stuttgart , Germany, 1986 )によるものである。
考えられる突然変異は、トランジション、トランスバージョン、挿入および欠失である。酵素活性上のアミノ酸置換の効果に依存して、ミスセンスまたはナンセンス突然変異が引用されてもよい。ナンセンス突然変異は、遺伝子のコーディング領域中に位置する少なくとも1個の終止コドンを導き、引き続いて、翻訳を早期に終結させるものである。遺伝子中の少なくとも1個の塩基対の挿入および削除は、フレームシフト突然変異を導き、その結果、正確ではないアミノ酸が導入されるか、あるいは、翻訳が早期に終結する。1個またはそれ以上のコドンの削除は、典型的には、酵素活性の全体的な喪失を導く。このような突然変異を生じさせるための教示は、従来技術に属するものであって、遺伝学および分子生物学的に関する公知のテキストブック、たとえばKnippers(Molekulare Genetik, 6th edition, Georg Thieme Verlag, Stuttgart , Germany, 1995)、Winnacker(Gene und Klone, VCH Verlagsgesellschaft , Weinheim, Germany, 1990 )またはHagemann (Allgemeine Genetik, Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1986 )によるテキストブック中で見出すことができる。
減衰を達成するための手段を使用した結果、相当する蛋白質の活性または濃度は、通常は0〜75%、0〜50%、0〜25%、0〜10%、0〜5%または0〜1%の野生型蛋白質の活性または濃度または出発微生物中の蛋白質の活性または濃度を低下させる。
同様に本発明の対象である、本発明により製造された微生物は、連続的にまたは非連続的に、回分培養または流加培養(fed-batch)または反復流加培養工程で、L−プロリンを製造する目的のために培養することができる。公知培養方法に関する概略は、Chmielによるテキストブック(Bioprozesstechnik 1. Einfuehrung in die Bioverfahrenstechnik [Bioprocess Technology 1. Introduction to Bioprocess Technology] (Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991 ) )またはStorhasによるテキストブック(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen [Bioreactors and Peripheral Equipment] (Vieweg Verlag, Brunswick/Wiesbaden, 1994 ) )に記載されている。
使用すべき培地は、特別な菌株の要求を充足するのに適している。種々の微生物を培養するための培地の記載は、マニュアル「Manual of Methods for General Bacteriology」(発行American Society for Bacteriology (Washington D .C USA, 1981))に存在する。
使用された炭素源は、糖または炭水化物であってもよく、たとえばグルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、糖みつ、澱粉およびセルロース、油および脂肪、たとえば大豆油、ひまわり油、ピーナッツ油およびココナッツ油、脂肪酸、たとえばパルミチン酸、ステアリン酸およびリノール酸、アルコール、たとえばグリセロールおよびエタノール、糖アルコール、たとえばリビトールまたはマンニトールならびに有機酸、たとえば酢酸である。これらの物質は、別個にかまたは混合物として使用することができる。
使用された窒素源は、有機性の窒素含有化合物、たとえばペプトン、イーストエクストラクト、肉エキス、麦芽エキス、コーンスティープリカー、大豆粉および尿素であるか、あるいは、無機化合物、たとえば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムである。窒素源は、別個にかまたは混合物として使用することができる。
使用されたリン源は、リン酸、リン酸二水素カリウムまたはリン酸水素二カリウムまたは相当するナトリウム含有塩である。さらに培地は、金属塩を含有すべきであり、たとえば硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄であり、この場合、これらは成長のために必要不可欠である。最終的に、必須の成長物質、たとえばアミノ酸およびビタミンは、前記物質に加えて使用することができる。これに加えて、適した前駆物質を、培地に添加することができる。挙げられた添加すべき物質は、培養に一回かぎり混合物の形で添加するか、あるいは、適した方法で培養中に供給することができる。
塩基性化合物、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアまたはアンモニア水溶液であるか、あるいは、酸性化合物、たとえばリン酸または硫酸は、適した方法で、培養のpHを調節するために使用される。消泡剤、たとえば脂肪酸ポリグリコールエステルを、たとえば起泡抑制のために使用することが可能である。選択的に作用する、適した物質、たとえば抗生物質を、培地に添加し、プラスミドの安定性を維持することができる。好気性条件を維持するために、酸素または酸素含有ガス混合物、たとえば空気を培養中に通過させる。培養温度は、通常、20〜45℃、好ましくは25〜40℃である。培養を、L−プロリンの最大値が形成されるか、あるいは、収率または生産量が好ましいレベルに到達するまで継続する。この課題は、通常は10時間〜160時間内に達成される。
L−プロリンを測定するための方法は、従来技術に開示されている。分析は、たとえば、アニオン交換クロマトグラフィーを用いて実施してもよく、その後に、ニンヒドリン誘導および検出によって、適切な波長で、Spackmanら(Analytical Chemistry, 30 ( 1958 ) , 1190 )において記載されているようにして実施することができる。
したがって、本発明のもうひとつの実施態様は、
a)本発明による少なくとも1種のヌクレオチド配列を発現または過剰発現するホスト微生物を発酵し、かつ、
b)L−プロリンを単離または回収し、その際、適切である場合には、発酵ブロスおよび/またはバイオマスからの成分を含む、
ことにより、L−プロリンを連続的に製造することである。
好ましくは、L−プロリンを製造するための方法を使用することに関し、この場合、この方法は、以下の工程を含む:
a)本発明による少なくとも1種のヌクレオチド配列を発現または過剰発現するコリネフォルム細菌を発酵し、
b)コリネフォルム細菌の発酵ブロスまたは細胞中で、L−プロリンを濃縮し、
c)発酵ブロスからL−プロリンを単離または回収し、その際、適切である場合には、
d)発酵ブロスおよび/またはバイオマスからの成分(>0〜<100質量%のバイオマス、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%)を含む。
この方法で製造されたL−プロリンは、回収され、かつ単離され、適切である場合には、当業者に知られる方法で精製される。
本発明による方法は、L−プロリンの発酵的製造のために使用される。
用語「同等の位置」とは、本発明によれば、配列比較プログラム(BLAST, Altschul et alJ MoIBiol1990 , 215 , 403-10)を適用することにより、出発配列と比較配列とを比較することによって、比較すべき位置が±5以下、より好ましくは±4、さらに好ましくは±3、なおも好ましくは±2、特に好ましくは±1、および殊に0の位置で異なるアミノ酸の位置を提供する、位置を意味する。
ハイブリダーゼーションに関する教示は、当業者であれば、特に「The DIG System Users Guide for Filter Hybridization」Boehringer Mannheim GmbH (Mannheim, Germany, 1993 )およびLieblら(International Journal of Systematic Bacteriology 41 : 255260 ( 1991 )において見出すことができる。ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下で実施され、すなわち、プローブ、たとえば、配列番号3と相補的なヌクレオチド配列および標的配列、すなわち、プローブにより処理されたポリヌクレオチドが、少なくとも70%の同一性を有する、バイブリッドのみが形成された。洗浄工程を含むハイブリダーゼーションのストリンジェンシーは、種々のバッファー組成、温度および塩濃度により影響されるか、あるいは、定められることが知られている。ハイブリダーゼーション反応は、一般には、洗浄工程と比較しての相対的に低いストリンジェンシーで実施する(Hybaid Hybridisation Guide, Hybaid Limited, Teddington, UK, 1996 )。
たとえば、5×SSCバッファーに相当するバッファーは、約50℃〜68℃の温度で、ハイブリダイゼーション反応のために使用することができる。この場合において、プローブは、プローブの配列に対して70%未満の同一性であるポリヌクレオチドとハイブリダイズする。このようなハイブリッドは、低い安定性を有し、かつストリンジェントな条件下での洗浄により排除される。これは、たとえば、2×SSCまでの塩濃度に低下させ、かつ適切である場合には、引き続いて0.5×SSCまでの塩濃度に(The DIG System User ' s Guide for Filter Hybridisation, Boehringer Mannheim, Mannheim, Germany, 1995 )低下させることにより達成されてもよく、その際、温度を約50〜68℃、約52〜68℃、約54℃〜68℃、約56℃〜68℃、約58℃〜68℃、約60〜68℃、約62℃〜68℃、約64℃〜68℃、約66℃〜68℃に設定する。好ましくは、洗浄工程を、約62℃〜68℃、特に好ましくは約64℃〜68℃または約66℃〜68℃の温度で実施する。適切である場合には、塩濃度を、0.2×SSCまたは0.1×SSCに相当する濃度まで低下させることが可能である。ハイブリダイゼーション温度を段階的に、50℃〜68℃から約1〜2℃増加させることによって、使用されたプローブの配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%〜95%または少なくとも96%〜98%、少なくとも99%の同一性を有する、ポリヌクレオチドフラグメントを単離することが可能である。他もハイブリダイゼーションに関する教示は、市販のキットの形で入手可能である(たとえば、DIG Easy Hyb from Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, Catalogue No 1603558 )。
本発明によれば、請求されたポリペプチド(アミノ酸配列)および核酸配列は、さらにホモロジー(アミノ酸レベルで)および、それぞれ、同一性(核酸レベルで、天然の縮重を除く)が、これらの任意の配列に対して、70%を上回り、好ましくは80%、より好ましくは85%(核酸配列に対する)または90%(さらにポリペプチドに対する)、好ましくは91%、92%、93%または94%、より好ましくは95%を上回るか、あるいは、96%および特に好ましくは97%、98%または99%を上回る(双方の配列に対して)が、この場合、このような配列の作用および目的が保持される場合に限る。ここで使用された用語「ホモロジー(または同一性)」は、等式H(%)=[1−V/X]×100により定義され、その際、Hはホモロジーであり、Xは同等の配列のヌクレオチド塩基/アミノ酸の全数であり、かつVは、考慮されるべき配列のヌクレオチド塩基/アミノ酸の種々の数であり、この場合、これは同等の配列に対するものである。任意の場合において、用語「ポリペプチドをコードする核酸配列」は、遺伝子暗号の縮重により可能な任意の配列を含む。
本明細書中において、配列番号で示されたアミノ酸配列に対する同一性のパーセンテージは、当業者であれば、従来公知の方法を用いて容易に定めることができる。本発明により使用されてもよい、適したプログラムは、BLASTP(Altschul et al , 1997. Gapped BLAST and PSI-BLAST : a new generation of protein database search programs Nucleic Acids Res25 (17 ) : 3389-3402. )である。本発明による核酸配列は、DNA分子又はRNA分子であってよい。DNA分子又はmRNA分子である核酸分子が好ましい。本発明によれば、前記DNA分子は更にゲノムDNA分子であるか、あるいは、単離されたDNA分子であってよい。さらに、本発明は、DNA分子がPNA分子又はDNA分子の他の誘導体である実施態様をも含む。
本願明細書中で挙げられる微生物は、この場合、DSMZ番号により示され、Deutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zellkulturen, Mascheroder Weg 4 , Brunswick (Germany)により入手することが可能である。

Claims (13)

  1. アミノ酸149位でL−アスパラギン酸を有する、配列番号2に記載の配列からなるポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド
  2. 配列番号4に記載の配列からなるポリペプチドをコードする、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド
  3. 配列番号3に記載の配列からなる、請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチド
  4. 配列番号4に記載の配列からなるポリペプチド
  5. 請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、組み換えベクター
  6. 請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、組み換えベクター
  7. 請求項3に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、組み換えベクター
  8. 請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、ホスト細胞
  9. 請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、ホスト細胞
  10. 請求項3に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、ホスト細胞
  11. コリネバクテリウムホスト細胞である、請求項8から10までのいずれか1項に記載のホスト細胞
  12. a)請求項1から3までのいずれか1項に記載のヌクレオチド配列を発現または過剰発現するホスト微生物を発酵させ、かつ、
    b)L−プロリンを、発酵ブロスおよび/またはバイオマスからの成分と一緒に単離することによる、L−プロリンの製造方法。
  13. L−プロリンを、発酵ブロスおよび/またはバイオマスからの成分と一緒に回収する、請求項12に記載の方法
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