JP4636948B2 - インクジェット記録用カートリッジの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクを収容するインクタンクとインクの吐出を行う記録素子基板とを一体に組み付けたインクジェット記録を行うインクジェット記録用カートリッジおよびその製造方法に関する。
近年、インクジェット記録装置においては高画質化により小液滴化が進む一方、高速化も求められており、その解決方法としてノズル数の増加が著しくなされている。ノズル数を増加する為には記録素子基板を大きくする必要があり、その内部はインクなどの記録液をノズルに導く為の流路で構成されているため中空部分が占める容積が増加している。また、発色性および耐光性の向上などインクの組成も年々進化している。
これらに伴い、記録素子基板をインク容器に組み付けて両者を一体化したインクジェット記録用カートリッジでは記録素子基板を高精度にマウントする為の精密成形可能な樹脂材料の開発、経時変化によりインク物性を変化させないためにより溶質物の少ない樹脂材料の開発、インク成分の蒸発を抑えるためにガラス繊維を入れるなどのバリア性の高い樹脂材料の開発等が行われている。
一方、インクジェット記録用カートリッジの製造工程には接着、熱カシメなどの結合方法が用いられてきており、中でも、アルミやチタンなどで作られたホーンと冶具で樹脂同士を圧接させた状態で、ホーンを超音波振動させることで、樹脂同士の接触面に摩擦熱を発生させ相溶かした時点で冷却して結合させる超音波溶着は短時間・高精度・高再現性、高気密性や溶着強度の高さから最も一般的に用いられている。このうち、外観形態が図1に示すようなインクジェット記録用カートリッジ1の製造において、蓋7と固定されたインクタンク4とを押圧接触させながら、その押圧方向に沿って蓋7に振動を加える(縦振動を加える)ことで両者を接合する方法が採られていた。これは、蓋7を押圧方向に沿って振動させるという方法が、蓋7を押圧方向とは異なる方向に振動させるよりも、製造装置との関係上、容易に行えるということによる。この場合、記録素子基板2は、インク吐出方向に沿った(平行な)方向に振動することになる。
なお、図13は、インクジェット記録用カートリッジ1(インクタンク4)の底面に設けられた記録素子基板2のインク吐出構造の概略を示すもので、符号51はインク供給口、符号52はインクを吐出するエネルギーを発生する素子であって発熱体、符号53はインク流路、符号54はインク吐出口、符号55はインク吐出口面を示す。このように、インク吐出口面55に沿った方向とインク吐出方向とは交差するものであり、設計上は直交するようになっている。
しかし、上述のようなバリア性の高い樹脂材料として、ノリル系樹脂にガラスフィラーを約25%コンパウンドした材料にて成形したインクタンクに記録素子基板を組み付けた後、インクタンクと蓋を結合させる製造工程において、これまでのような蓋7への押圧方向にそった振動を加えるべく超音波溶着を行うと、インクタンク4の蓋7に作用させた高周波の縦振動(20kHz)がダイレクタ9(図5参照)に伝達され、それを受けてフィラー入りの外周面に振動が伝達し、インクタンク4の底面が高周波振動する。振動は、さらにインクタンク4の底面に取り付けられた記録素子基板2に伝達し、記録素子基板2の表面に多数集積して構成された数十μm〜数百μmオーダーの構造である中空のインク流路53や極薄板状のインク吐出口面55といったインク吐出構造物を、インク吐出口面に直交する方向、つまりインク吐出方向(図13中の矢印方向)へ高周波振動させる。その為、それらの構造物や記録素子基板2そのものに致命的なクラックが生じるような破損が発生することがある。
記録素子基板は、インクジェット記録用カートリッジの構成部品において最も重要かつ高価な部品であり、カートリッジ製造工程最終段階におけるクラック等の欠陥の発生は、製品を安価にユーザーに提供することを困難にするものである。
上述のクラック発生への対策として、縦振動の周波数を40kHzに上げてホーン先端振幅を半分に抑えることで欠陥を軽減する方法がある。しかしながら、中空構造物を含むインク吐出構造物に加えられる重力加速度は縦振動の周波数が20kHzの時とは大差は無く、クラックの発生を完全に回避することは困難である。
また、特許文献1に開示された発明のように、横振動の超音波振動を用いる方法もある。この方法は縦振動の超音波溶着に用いるホーン側面の振動を利用して横振動を取り出す方法である。図14に示すように、超音波溶着機のブースター61からの縦振動は、ホーン62の側面の横振動となって被工作物64へ伝達される。その際、先端63からホーン62の中央側へ近づくに従い、横振動65から横振動66へと減衰してしまう。そのため、実際に適用できる部品サイズ(溶着領域の長さ)は10mm程度である。つまり、この公報に記載されてあるような記録素子基板のような超小型部品の組み立てへの適用に限られるものである。そのため、インクタンクの製造に適用した場合には、溶着むらが生じる等のために十分な溶着強度が得られないものである。
特許文献2に開示された振動溶着方法は、大型の複雑形状のインクタンクに用いることを目的としており、特許文献3に開示されたインクタンクにおいても、インクタンク自体の変形防止等の記載はあるものの、記録素子基板のような電子部品を結合した構造物と溶着する目的ではなく、インクタンク筐体の外面への振動伝達等についても何ら開示されていない。
また、蓋が溶着されるインクタンク上面からフィラー入りの筐体外面を経由してインクタンク底面にある記録素子基板へ、振動が伝達しないように振動吸収部材等を筐体表面に巻く方法などもある。しかしながら、これも、伝達される振動を低減することは可能であるが、上述のようなクラックの発生防止の解決には不十分である。
その為、より振動が伝達しないように、ガラス繊維を減らす方法や、材料そのものの変更、蓋の結合後に記録素子基板を結合したり、記録素子基板をユニット化し、注入後に熱カシメを用いたり、接着剤にて固定する等の方法が用いられてきた。しかし、蓋の溶着後に記録素子基板を結合させる場合、記録素子基板の結合に用いる接着剤が限定される場合があり、記録素子基板をユニット化する場合はサイズが大きくなり、コストアップ要因となってしまう。
特開平10−16244号公報 特開平9−94973号公報 特開平10−16249号公報
本発明の目的は、上述した実状に鑑み、製造時に記録素子基板への損傷を与えず、記録素子基板が高精度に組み付けられ、バリア性が高く、また様々なインクの使用が可能となるインクジェット記録用カートリッジの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、インク吐出口面に直交した方向にインクを吐出する記録素子基板と、ガラス繊維を含む材料で構成されたインクタンクと、ガラス繊維を含む材料で構成された蓋と、を備え、前記記録素子基板が前記インクタンクの一側面に取り付けられ、該一側面と対面した他側面の前記インクタンクの開口部を前記蓋が覆って構成されるインクジェット記録用カートリッジの製造方法において
前記記録素子基板が取り付けられた前記インクタンクの前記開口部に対して前記蓋を溶着する工程を有しており、
この工程は、前記記録素子基板が固定された前記インクタンクの前記開口部が外に臨むように前記インクタンクが固定される凹部が設けられた受け冶具と、前記蓋の、前記インクタンクの開口部との接合面が外に臨むように前記蓋が固定される凹部が設けられた冶具と、を備えた振動溶着機が用いられて行われるもので、
前記受け冶具と前記冶具とを近接させて前記インクタンクの開口部と前記蓋とを圧接した状態で、互いに接触した全領域が同じ振幅で前記記録素子基板のインク吐出口面に沿った方向に前記冶具を前記受け冶具に対して振動させて溶着することを特徴とする。
本発明によれば、インクタンク開口部とこれを塞ぐ蓋とを振動溶着するとともに、その振動方向を、記録素子基板のインク吐出口面に沿った方向とすることにより、記録素子基板へ致命的な欠陥を及ぼすことなくインクジェット記録カートリッジの製造が可能となる。また、よりガスバリア性を向上させる為にフィラーの含有量を多くし、インク吐出構造物への振動が伝わりやすくなった場合においても、記録素子基板の損傷を回避することが可能となるインクジェット記録用カートリッジを提供することができる。
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下に述べるインクジェット記録用カートリッジは、図1に示されるように、インク成分の蒸発を抑えるためにガラス繊維を入れるなどのバリア性の高い樹脂材料を用いて形成された容器(インクタンク4)上面の開口部を閉じる蓋7と、その上面に対面する容器底面に組み付けられてインクを吐出させる為の記録素子基板2と、を備えたものである。さらにそのインクジェット記録用カートリッジは、記録素子基板2からのインクの吐出方向が、容器上面に蓋7を結合して開口部を蓋7で閉じる際の、蓋7の容器上面への押圧方向にほぼ平行な方向となっている。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジの外観斜視図である。
図1に示すように、インクジェット記録用カートリッジ1は、インク滴を吐出させて紙などの記録シートに記録を行うインク吐出機能を備える記録素子基板2と、液体インクを吸収して保持するためのインク吸収部材を収容するインクタンク4と、該インク吸収部材を収容した後にインクタンクの開口を閉じる蓋7と、を含んで構成される。
記録素子基板2は、インクタンク4の端面であって、上述のインクタンクの開口とは対向する側に、接着剤によって接着されている。インクタンク4内に挿入したインク吸収部材内部にはインクが注入されている。
なお、図1に矢印で「インクタンク長手方向」、「インクタンク短手方向」を図示しているが、インクタンクの長手方向とはインクタンクの上面または底面側から見てインクタンク形状が相対的に長くなっている方向をいい、これに対して短くなっている方向をインクタンクの短手方向と定義する。また、「インクタンク長手方向」、「インクタンク短手方向」ともに、インクタンクの上面に沿った方向であり、また、記録素子基板2のインク吐出口面にも沿った方向である。「インク吐出方向」は、インク吐出口面に対して直交する方向であり、「インクタンク長手方向」および「インクタンク短手方向」とのいずれとも異なる方向である。図1においては、「インク吐出方向」と「インクタンク長手方向」と「インクタンク短手方向」とは、互いに直交する方向となっている。
図2はインクジェット記録カートリッジ1を1個又は複数個搭載するインクジェット記録装置を示す概略斜視図である。図2に示すインクジェット記録装置6はインクジェット記録用カートリッジ1を着脱自在に搭載するキャリッジ21を備える。キャリッジ21は記録シートの搬送方向aと交差する方向、例えば直交する方向に走査される。
記録素子基板2は、その長手方向が記録シートの搬送方向aに沿った方向(例えば平行な方向)で且つ、キャリッジスキャン方向bに交差する方向(例えば直交する方向)になるようにインクタンク4に配置されている。
また、インクタンク4は記録素子基板2の長手方向と同一方向に長くなるように構成されている。記録素子基板2はノズル数の増加によって長くなることが一般的であり、インクタンク4は矩形の記録素子基板2が接着されるため、およびインクタンク4を搭載するキャリッジ21の走査方向の長さが大きくならないように、この記録素子基板2の長手方向と略同一方向に長くなる。
図3は、最大でA4サイズの用紙まで記録できるインクジェット記録装置6に、容積の等しいインクジェット記録用カートリッジ1を用いたときの概略図である。図3の(a1)、(a2)は、キャリッジスキャン方向bに平行な方向の筐体長さを長くしたときのインクタンクとそれを搭載する場合のインクジェット記録装置を示したものである。また、図3の(b1)、(b2)は、キャリッジスキャン方向bに直交する方向の長さを長くしたときのインクタンクとそれを搭載する場合のインクジェット記録装置を示したものである。さらに、図3の(c1)、(c2)は、キャリッジスキャン方向bに鉛直な方向(図の紙面に垂直な方向)の長さを長くしたときのインクタンクとそれを搭載する場合のインクジェット記録装置を示している。図3の(a1)、(a2)の場合は用紙の幅サイズであるA4幅に加え、キャリッジスキャン方向にインクジェット記録用カートリッジ1より広いスペースが必要となることから、装置幅を抑えるために、カートリッジ形状は、図3(b1)、(c1)のようにキャリッジスキャン方向に対して直交もしくは鉛直の方向に延びた形状となる。
インクタンク4の内部には、図4に示すように繊維束を積層したインク吸収部材3が記録素子基板2と対向する開口面から挿入されている。本実施形態においては、インクタンク4の高さが約40mm以上のため、繊維方向はインク吐出方向に平行な方向であり、積層方向はインクタンク長手方向に対し直交する方向で、挿入前のインク吸収部材3をインクタンク4の短手方向に圧縮して挿入している。
インク吸収部材3の挿入後、インクタンク4内のインク吸収部材3の内部には所定のインクが注入されており、インクタンク4の開口面を閉鎖する為に振動溶着により蓋(図1の符号7の部品)を結合する。
この蓋はインクタンク4の開口面と略同一寸法で、図5に示すように、インクタンク4の内部を外気に連通する為の大気連通口8を備え、インクタンク4の開口面における外周と対向する面に、結合を行う際のエネルギーを伝える幅0.5mmでインク吐出方向と対向する方向に約0.3mm突出して長い略矩形状のダイレクタ9を備える。
(振動溶着)
図6(a)は本実施形態において用いた振動溶着機を示す側面図、図6(b)は図6(a)の溶着機に使用する治具の拡大模式図である。
図6(a)、(b)に示すように振動溶着機10の受け冶具10aの凹部(点線箇所)にインクタンク4を固定し、振動溶着機10の上側の冶具10bの凹部(点線箇所)にて蓋7を吸引して保持させた後、振動溶着を行う。
振動溶着においては、従来、振動させる部材(本実施形態においては蓋7)側に、冶具10bに設けた凸に対応する凹部を設けて略嵌合させることにより、冶具10bと蓋7とが振動時にズレるのを抑える必要があるが、本実施形態においては、このような嵌合手段を設けず、ノリル系樹脂にガラスフィラーをコンパウンドしたものを使用したことにより蓋7の外寸精度が高く、振動時の変形も抑えることが可能となり、上記の凹部を配置する領域もインクタンクのバッファ空間として構成した。
次に、本実施形態で用いた振動溶着について説明する。
まず、上述の従来技術としての縦振動の超音波振動をホーンの側面の横振動に換えて行う超音波溶着に対して、本実施形態で用いる振動溶着が優位な点は、振動する側の部材(本実施形態では蓋7)全体に対して横振動が均一に作用し、当該部材を相手側の部材(本実施形態ではインクタンク4)に対して同じ振幅の横振動運動(摺動)を行うことができることである。つまり、本実施形態の振動溶着は、蓋7とインクタンク4とを、両者の接触部位全域で同じ振幅で振動させて溶着する。これにより、上述の従来技術のような溶着むらを生じることなく一定以上の大きさの部材であっても、均一な溶着を得ることができる。
以下に、具体的な工程を図面を用いて説明する。
溶着は、インクタンク4側の冶具10aが上昇して蓋7に当接したときをトリガーとしてスタートする(図7(a)、(b))。
続いて、蓋7側の冶具10bが、インクタンク4に対し、ダイレクタ9の長手方向と平行な方向に摺動を開始する(図7(b)、(c)、(d))。このとき、蓋7は冶具10bに保持されて振動するので、ダイレクタ9の長手方向の部分とそれに接触する蓋7の部分とは、全域にわたって同じ振幅で振動する。つまり、蓋7とインクタンク4とのどの接触部位においても、インクタンク4に対する蓋7の摺動量は同じである。そのため、上述の横振動の超音波振動の際に生じるような溶着むらは、本実施形態の場合には生じない。このときのインクタンク4の上面とダイレクタ9との摩擦により、樹脂温度が上昇し相溶する。
蓋7とインクタンク4との振動方向に平行な方向の相対関係が所定の位置になるとともに、所定の溶着量になった時点で摺動を停止させ、樹脂の冷却を行う(図7(e))。
最後に、インクタンク4側の冶具10aが下降し(図7(f))、インクタンク4への蓋7の結合が終了する。
このようにして製造されたインクジェット記録用カートリッジ1は、製造時における記録素子基板2へ伝達する振動が、図8の矢印で示すように、記録素子基板2の長手方向(インク吐出口面)に沿った方向(平行な方向)のみである。そのため、記録素子基板2に構成されたインク吐出のための構造物に、記録素子基板2からのインク吐出方向に沿った方向の振動が伝達することで、その構造物等にクラックが発生する、といった事態を回避することができる。
(インク吸収部材圧接リブ)
蓋7の裏面(インクタンク4の内側に向いて、インクタンク内に収納されているインク吸収部材3と対向する面)には、インクタンク4内のインク吸収部材3を下方へ圧接するための突起(リブ)が設けられている。特開2003−25603号公報に開示されているインクタンクでは、インク吸収部材3として繊維吸収部材を用い、クロスリブ11にてインク吸収部材3を圧接した状態で縦振動の超音波溶着を行っている(図9の(a)、(b))。
しかし、本実施形態のような横振動を伴う振動溶着を行う際、インク5を保持したインク吸収部材3には、図9(b)に示したように、ダイレクタ9を溶かし込む圧縮方向の力に加えて、クロスリブ11がインク吸収部材3に当接しながら摺動することにより、内部のインク5を押し出す力が作用することになる。押し出されたインク5は、溶着終了後の時間経過により、インク吸収部材3の毛管力により再びインク吸収部材3内部に引き込まれる。しかし、図9(c)に示すように、クロスリブ11の交差する角により、その角へ向かう毛管力が作用する為、押し出されたインク5を引き上げるように毛管力が作用する(図9(d))。引き上げられたインク5は、インク吸収部材3に引き込まれる前に、毛管力により蓋7内側、すなわち大気連通口8近傍に引き寄せられる恐れがある。
そのため、クロスリブ11の交点の角の形状を緩やかにすべく、その曲率半径をさらに大きくする等の対策が必要となるが、この場合、カートリッジ内の上部の空間(「バッファ空間」と呼ぶ。)が減少してしまう恐れがある。
そこで、本実施形態においては、図5に示すように、ダイレクタ9より内側に、リブとリブとが交差して形成する角の内方に大気連通口8が位置する従来構成とは異なった構成の圧接リブ12を設けている。具体的には、複数の圧接リブ12が、個々の圧接リブ12の延在方向に沿った側面で大気連通口8を囲むように配置されている。
以下に溶着終了までの過程を、図10を参照して説明する。
インクタンク4の受け冶具が上昇し、蓋7のダイレクタ9とインクタンク4とが当接する前に、インク吸収部材3と圧接リブ12の先端とが当接する(図10(a))。
当接によりインク吸収部材3内のインク5は、圧接リブ12が当接した部分の毛管力が高くなる為、圧接リブ12近傍に引き寄せられる。
次に、インクタンク4の受け冶具がさらに上昇し、蓋7のダイレクタ9とインクタンク4とが当接する。よって、インク吸収部材3内部のインク5は、さらにリブ圧接12近傍に引き寄せられる(図10(b))。
ダイレクタ9とインクタンク4との当接をトリガーとして、蓋7を保持する冶具をインクタンク4の長手方向と平行に摺動させる(図10(c))。
摺動により圧接リブ12の先端は、インク吸収部材3の上面にくい込む方向に力が作用する。これにより、インク吸収部材3の上面近傍は、くい込んだ圧接リブ12先端による摺動方向と同一方向に移動するように力が加わり、インク吸収部材3内部のインク5にはインク吸収部材3の毛管力以上の力が作用する為、インク5がインク吸収部材3の外部に押し出される。
押し出されたインク5は、圧接リブ12の側面の摺動時の移動により、振動方向と直交する方向に送り出される。
そして、摺動方向が反転すると、それまでの方向への摺動にて押し出されたインクは、再びインク吸収部材3内部の毛管力により保持される(図10(d))。
また、圧接リブ12の内側のインク5は、それまでの方向への摺動にて押し出されて複数の圧接リブ12で囲まれた領域から外へ送り出されている為、摺動方向の反転により押し出される量を少なくしているとともに、蓋7にインク5が付着するのを防止している。
インクタンク4と蓋7との溶着が完了するまで、圧接リブ12の動きに伴って以上のような工程が繰り返される。
なお、上述したように、個々の圧接リブ12は、その延在方向に沿った側面で大気連通口8を囲むように配置されている。そのため、複数の圧接リブ12で大気連通口8を囲むように形成された領域では、その領域の形状に倣ってインク5の表面張力が働き、その領域内にインク5が保持される。さらにその領域内のインク5の量が増した場合は、複数の圧接リブ12の相互間にある隙間によりメニスカスが破れ、インク5は下方向、すなわちインク吸収部材3の方向に移動し、インク吸収部材3に再度保持される。
(タンク壁規制リブ)
図11(a)、(b)は、本実施形態のインクジェット記録用カートリッジ1を構成するインクタンク4の斜視図であって、3種のインクを保持することができるものである。
図12は、図11のインクジェット記録用カートリッジ1の蓋7の裏面側の平面図である。
図11(b)に示すように、インクタンク4内部は、図12の蓋7のダイレクタ部分(ダイレクタ9および仕切りリブ15がダイレクタとして機能する。)に対応するように、仕切り壁42により、インク吸収部材3を収容する3つの部屋43a、43bおよび43cが形成されている。図12に示すように、仕切り壁42の上端に対応するように、蓋7に仕切りリブ15が設けられている。振動溶着を行う場合、仕切りリブ15もダイレクタ9として機能し、仕切り壁42の上端にも、ダイレクタとしての仕切りリブ15が摺動する。
ここで、振動方向に対して平行な方向に例えばイエロー、マゼンタ、シアンを保持する為のインク吸収部材3を並べて配置した場合、インクジェット記録用カートリッジ1のサイズが大きくなり、その結果、インクジェット記録装置6のサイズも大きくなってしまう。
本実施形態においては、特許第2887058号公報に記載のインクタンクと同様にインクタンク内を略T字に分割し、振動方向と直交する仕切り壁42の厚みを、振動方向に平行な方向の仕切り壁42より厚くすることにより、キャリッジスキャン方向のインクタンク4の幅は、超音波溶着を行う際とほぼ同一幅に収めることが可能となる。
また、本実施形態においては、図12に示すように、蓋7の裏面には、インク吸収部材3を圧接する圧接リブ12とは別に、規制リブ13が設けられている。この規制リブ13は、インクタンクの側壁41や仕切り壁42が、振動溶着の際に、本来の摺動方向とは異なる方向へ変位することを規制するための部材である。このような規制リブ13を設けるのは、インクタンク4と蓋7とが圧接した状態で、押圧方向に対してほぼ直交する方向に摺動する際に、側壁41や仕切り壁42が摺動方向とは交差する方向に変位することがあるためである。特に、肉厚の薄い仕切り壁42は変位し易く、摺動中のこのような変位は良好な溶着を阻害するおそれがある。そのため、摺動方向(振動方向)に沿って設けられている仕切り壁42の両側の位置に、摺動方向とは異なる方向への変位を規制するための規制リブ13を設けている。なお、規制リブ13と仕切り壁42とは、静止状態においては接触はしない位置に近接して設けられている。
(その他)
上述の実施形態では、インクタンク4の長手方向に沿って、その底面に記録素子基板2の長手方向が揃うように設けられたインクジェット記録用カートリッジ1に対して、インクタンク4の長手方向に沿って振動溶着を行っている。また、インクジェット記録用カートリッジ1は、その長手方向がキャリッジスキャン方向に直交するようにキャリッジ21に搭載されるものである。
しかしながら、インクタンク4の壁面の変形が少ないもしくは許容範囲内であれば、振動を加える方向は短手方向でもよい。このような短手方向に振動を加える場合に適した蓋7の裏面に設けられる圧接リブ12は、上述の長手方向に振動を加える場合と同様に大気連通口8を囲むように複数設けるとよい。また、規制リブ13は、振動方向に沿っているインクタンクの壁、つまり短手方向に沿った壁が長手方向に変位するのを規制すべく、短手方向の壁の側方に近接して設けるとよい。
また、インクタンク4の短手方向に沿った方向に記録素子基板1の長手方向が配置される構成のインクジェット記録用カートリッジでもよく、この場合でも、記録素子基板2にはインク吐出方向に沿った方向の振動(あるいは記録素子基板のインク吐出口面に垂直な方向の振動とも言える。)は伝達しないことから、クラックの発生を回避できることは明白である。
さらに、上述の実施形態では、カートリッジ筐体を構成する材料としてノリル系樹脂にガラスフィラー約25%をコンパウンドしたものを用いている。しかしながら、カートリッジ筐体の樹脂材料およびガラスフィラーのコンパウンド量には限定されることはなく、カートリッジ筐体の上面に加えられた振動がその底面に伝達され易い構造の場合には、本発明を適用することにより、記録素子基板2へのクラック等損傷を有効に抑えるという効果を奏することができる。
以上、説明したような実施形態によれば、インクタンク開口部とこれを塞ぐ蓋とを振動溶着するとともに、その振動方向を、記録素子基板のインク吐出口面に沿った方向とすることにより、記録素子基板へ致命的な欠陥を及ぼすことなくインクジェット記録カートリッジの製造が可能となる。また、よりガスバリア性を向上させる為にフィラーの含有量を多くし、インク吐出構造物への振動が伝わりやすくなった場合においても、記録素子基板の損傷を回避することが可能となり、より蒸発を抑えたインクジェット記録用カートリッジを提供することが可能となる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジの外観斜視図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジを搭載するインクジェット記録装置を示した模式図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジを適用する場合の記録装置のサイズを示す模式図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジ内に使用するインク吸収部材の繊維方向、積層方向を説明するための模式図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジの蓋の裏面側の模式図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジの蓋の接着に使用する振動溶着機の模式図である。 図6の振動溶着機による溶着過程を示した模式図である。 図6のように振動を加えられるインクタンクの内部を示した模式図である。 従来のリブを有するカートリッジ内部の状態を示した模式図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジにおける振動時のリブの状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録用カートリッジであって、3種のインクを保持するカラーカートリッジを示した模式図である。 図11のインクジェット記録用カートリッジに用いる蓋の裏面側の模式図である。 インクジェット記録用カートリッジの底面に設けられた記録素子基板のインク吐出構造を示す概略図である。 従来技術のホーンを用いた超音波溶着の概略図である。
符号の説明
1 インクジェット記録用カートリッジ
2 記録素子基板
4 インクタンク
7 蓋
8 大気連通口
12 圧接リブ
13 規制リブ

Claims (4)

  1. インク吐出口面に直交した方向にインクを吐出する記録素子基板と、ガラス繊維を含む材料で構成されたインクタンクと、ガラス繊維を含む材料で構成された蓋と、を備え、前記記録素子基板が前記インクタンクの一側面に取り付けられ、該一側面と対面した他側面の前記インクタンクの開口部を前記蓋が覆って構成されるインクジェット記録用カートリッジの製造方法において
    前記記録素子基板が取り付けられた前記インクタンクの前記開口部に対して前記蓋を溶着する工程を有しており、
    この工程は、前記記録素子基板が固定された前記インクタンクの前記開口部が外に臨むように前記インクタンクが固定される凹部が設けられた受け冶具と、前記蓋の、前記インクタンクの開口部との接合面が外に臨むように前記蓋が固定される凹部が設けられた冶具と、を備えた振動溶着機が用いられて行われるもので、
    前記受け冶具と前記冶具とを近接させて前記インクタンクの開口部と前記蓋とを圧接した状態で、互いに接触した全領域が同じ振幅で前記記録素子基板のインク吐出口面に沿った方向に前記冶具を前記受け冶具に対して振動させて溶着することを特徴とするインクジェット記録用カートリッジの製造方法。
  2. 前記蓋は、前記インク吸収部材に面した面に大気連通口を備えており、さらにこの大気連通口の周囲には振動溶着によってインク吸収部材内のインクが移動して前記大気連通口に到達しないように前記大気連通口を囲んで設けられた複数の突起を備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用カートリッジの製造方法。
  3. 前記蓋には、前記振動溶着の際に、前記インクタンクの壁が振動方向とは異なる方向へ変位することを規制する規制リブが設けられており、当該規制リブは前記インクタンクの壁に直交する方向であって、且つ前記インクタンクの壁から離間した位置に対応した前記蓋に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用カートリッジの製造方法。
  4. 前記インクタンクは仕切壁によって内部が分割されており、前記規制リブは前記仕切壁に対しても振動を規制するように前記仕切壁に対して直交する方向であって、且つ前記仕切壁から離間した位置に対応した前記蓋に備えられていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用カートリッジの製造方法。
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