JP4636596B2 - 穀類系加工食品とその二次加工食品 - Google Patents
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Description
(1) 穀類から選択された一種以上の原料が焙煎され、この焙煎原料が原形サイズよりも小さく加工され、この小サイズ化原料がこれに加えられた熱湯で加熱加水処理され、この加熱加水処理済原料が発酵されていることを特徴とする穀類系加工食品。
(2) 上記(1)に記載の穀類系加工食品と飲料用液体とからなる二次加工食品。
(1) 穀類については糖質・タンパク質・脂質・ビタミン類など各種の栄養価が高いことや良質のエネルギ源であることがこれまでの食生活で知られている。一方、アレルギ疾患・自己免疫疾患・各種成人病・その他の難病は、加齢にともない体内で過剰産生されがちな活性酸素等(活性酸素や過酸化脂質)が原因とされている。この過剰な活性酸素等を消去し人体組織を破壊から防護するのが注目の酵素「SOD(Super Oxisid Dismutase)」である。大豆やゴマ(胡麻)をはじめとする各穀物にはこのSOD様物質(SOD様作用のある物質)が含まれている。また、穀類発酵の際、その穀類タンパク質からガンマアミノ酪酸(GABA)がつくられたりする。ガンマアミノ酪酸については多くの報告で明らかなように痴呆や精神不安定の改善に有意に作用するから、自律神経失調症・更年期障害・初老期精神障害などの治療に有効である。加えて、大豆で代表される穀類には苦み成分の一つであるイソフラボンが豊富に含まれている。イソフラボンの効能についてはすでに報告されているとおり、「ある種の癌の予防」「骨粗鬆症の予防」「血中の神経伝達物質セロトニンの分泌量増加=頭痛や不安感の緩和」「神経ニューロンの発達促進の可能性」などがあげられる。大豆にはさらに、整腸作用のあるオリゴ糖や血清コレステロールを下げる物質なども含まれている。ゆえにほとんどの穀類は高栄養かつ高機能の食品といえる。こうした穀類の一種以上を原料として焙煎・発酵させた本発明の穀類系加工食品は、その穀類由来の高栄養や高機能を有するから、有用で有益な栄養補助食品・体力増強食品等になる。したがってこれを摂取した場合に健康維持や健康増進につながる。
(2) 本発明の穀類系加工食品は、一種以上の原料(穀類)が先行の焙煎処理と後行の発酵処理とを受けたものである。すなわち原料(穀類)は焙煎で分子の結合が断ち切られて低分子化された上、発酵菌によっても低分子化される。これは消化吸収性がきわめてよいということであるから、当該食品を摂取したときに、器官から組織を経て細胞内に養分を効率よく取りこむことができる。したがって当該食品の高栄養や高機能に依存し、各種の疾病疾患を予防したり治療したりすることが可能になる。
(3) 穀類の種類にもよるが、穀類をそのまま発酵したり煮炊きしてから発酵したりしたとき、発酵後の食品に青臭さの残ることが多い。また、発酵後にオフフレーバ(不快または好ましくない香りや味)をともなうことがある。本発明の穀類系加工食品は、発酵前に原料(穀類)を焙煎している。この焙煎で原料(穀類)には芳しい香気性が発現し、その芳しい香りが発酵後も維持される。すなわち原料(穀類)の青臭さが焙煎で消失して芳しい香気があらわれるようになり、その香気性が発酵後の食品にも支配する。もちろんこうした食品にはオフフレーバがない。加えて発酵により原料(穀類)のデンプンが糖化されて甘味が生じるので味覚も良好に仕上がる。この芳しい香気とほのかな甘味が、他に類をみない斬新な嗜好性を満足させる。
(4) 本発明の穀類系加工食品で焙煎原料が小サイズ加工されているものは、上記と同様に有用かつ有益であるほか、発酵の際に均質な発酵が促進されるとともに摂取したときの消化吸収性が向上する。
(5) 本発明の穀類系加工食品で発酵のときの原料に水分が添加されているものは、上記と同様に有用かつ有益であるほか、液体と固形物との中間に位置した軟らかいものに仕上がるので、摂取したときの消化吸収性が向上する。
(6) 本発明の穀類系加工飲料は、上述した本発明穀類系加工食品の液体を主成分とするものであるから、上記と同様、高栄養・高機能・高度の消化吸収性・良好な味覚・芳しい香気・斬新な嗜好性などを満足させる。とくに当該飲料は、自明の液体であるから摂取がより簡単となり、高齢者や傷病者などに好適である。
(7) 上述した本発明穀類系加工食品から水分が除去された半固形状ないし固形状の穀類系加工食品も、既述のとおり有用かつ有益である。加えて当該食品は、半固形や固形など好みに応じたものに仕上げられるという自由度があり、嗜好性食品としての新味性を出すのが容易である。
(8) 本発明の二次加工食品は、本発明の穀類系加工食品と、飲料用液体・半固形食品・固形食品のうちから選択された一つ以上のものとからなる。この二次食品の場合は、上記穀類系加工食品にさらなる栄養分や機能性が付与されることになるから、栄養補助食品や体力増強食品にとどまらず、疾病や疾患に対する予防食品ないし治療食品になる。
(9) 本発明に係る穀類系加工食品は、焙煎工程と発酵工程とを主体にした少数工程で得られる。これに小サイズ加工工程や加熱処理工程を加えても、工程数は多くならない。したがって少ない工程で目的の食品を合理的に製造することができ、製造ための設備費も嵩まない。さらに原料を無駄なく全量使用するから高歩留りを確保することができ、廃棄物に起因した公害も回避することができる。
(10)本発明に係る穀類系加工食品および穀類系加工飲料は、焙煎や発酵を終えた後、発酵物中の固形分と液体分とを分離する。すなわち、この固形分と液体分との分離で所期の食品と飲料とが同時に得られるから合理性のきわめて高い方法で得られる。もちろんこの方法で穀類系加工食品や穀類系加工飲料をつくるときも、原料の全量使用で高歩留りを確保し、廃棄物公害を回避することができる。
(2) 水洗乾燥後の原料を陶製鍋に入れる。この鍋は加熱したときに赤外線を発するものである。陶製鍋に入れた原料を80〜90℃で約20分間赤外線焙煎した。
(3) 焙煎後の原料をミキサに掛けてほぼ粉状になるまで粉砕した。
(4) 粉砕後の原料に1.38リットルの熱湯(約100℃)を加え、これをすばやく撹拌して軟らかいペースト状のものにした。ここで熱湯を加えたことにより原料は生の状態を脱している。ペースト状物の温度が60℃程度になったとき、これに市販の米麹275gを加え、均質に撹拌する。
(5) 麹を加えた原料を58〜60℃の暗所に24時間保持して発酵させた。この発酵を終えることで、焙煎粉砕発酵した穀類系加工食品が得られた。
(2) 水洗乾燥後の原料を電熱式のホットプレートで焙煎した。この際の焙煎温度180〜220で、焙煎時間は10〜15分である。
(3) 焙煎後の原料をミキサに掛けてほぼ粉状になるまで粉砕した。
(4) 粉砕後の原料に1.5リットルの熱湯(約100℃)を加え、実施例1と同じペースト状にした。ペースト状物の温度が60℃程度になったとき、これに市販の米麹300gを加え、均質に撹拌する。
(5) 麹を加えた原料を58〜60℃の暗所に24時間保持して発酵させた。この発酵を終えることで、焙煎粉砕発酵した穀類系加工食品が得られた。
(6) 穀類系加工食品に希釈水3リットルを加え、これを均質に撹拌して液状にした後、液状の穀類系加工食品を粗い網目フィルタ(目の大きさ0.5mm)で濾過した。この濾過は異物その他の固形分を取り除くためのものである。
(7) 濾過された液状の穀類系加工食品を瓶詰めした後、当該食品の発酵を止めるため、それを65℃の湯に浸けて30間殺菌した。この殺菌処理では麹菌以外の雑菌なども殺菌される。
(A) エネルギ=71kcal/100g
(B) タンパク質=5.5g/100g
(C) 脂質=2.7g/100g
(D) 糖質=5.1g/100g
(E) 食物繊維=2.1g/100g
(F) ナトリウム=2mg/100g
(G) カリウム=190mg/100g
(H) カルシウム=18mg/100g
(I) マグネシウム=30mg/100g
(J) リン=87mg/100g
(K) 鉄=0.9mg/100g
(L) 亜鉛=0.6mg/100g
(M) 銅=0.16mg/100g
(N) サイアミン(ビタミンB1)=0.01mg/100g
(O) リボフラビン(ビタミンB2)=0.05mg/100g
(P) ビタミンB6=60μg/100g
(Q) ビタミンE(α−トコフェロール当量)=0.4mg/100g
(R) α−トコフェロール=0.2mg/100g
(S) β−トコフェロール=不検出(検出限界0.1mg/100g)
(T) γ−トコフェロール=2.0mg/100g
(U) δ−トコフェロール=1.5mg/100g
(V) ナイアシン=0.49mg/100g
(W) 水分=84.0g/100g
(X) 灰分=0.6g/100g
(2) 上記のように混合した原料について、実施例2に準じた焙煎温度と実施例1に準じた焙煎時間で焙煎した。
(3) 焙煎後の原料をミキサに掛けてほぼ粉状になるまで粉砕した。
(4) 粉砕後の原料に1.75リットルの熱湯(約100℃)を加え、前例と同様にペースト状にした。ペースト状物の温度が60℃程度になったとき、これに市販の米麹200gを細かく砕いて加え、均質に撹拌する。
(5) 麹を加えた原料を50〜60℃の暗所に24時間保持して発酵させた。この発酵を終えることで、焙煎粉砕発酵した穀類系加工食品が得られた。
(6) 穀類系加工食品に希釈用の海洋深層水4リットルを加え、これを均質に撹拌して液状にした後、実施例2と同様に濾過した。
(7) 濾過された液状の穀類系加工食品を65℃程度で殺菌処理し、それを約半日ほど静穏状態に保持して液体分と固形分とを比重差分離した。この後、上澄み液を抽出することで液体分と固形分とを別々に取り出した。この段階で液体分は穀類系加工飲料になる。
(8) 固形分については、その一部に凝固剤(ニガリ)を加えてこれを凝固させ、他の一部はゼラチンを加えて固めた。この段階でそれぞれの固形分は二次加工食品になる。
(2) 実施例3の段階5で得られた穀類系加工食品にリンゴジュースを加えてこれをミキサで撹拌した。これもその後実施例2と同様に濾過した。この場合も上記とは別種の二次加工食品が得られた。
(3) 上記(2) のようにリンゴジュースを加えたものについては、ゼラチンで固めたプリン様もつくった。
(2) 上記の固形分には固形分:挽肉(加熱調味済の具材)を10:2の割合で加え、これをよく混ぜ合わせる。
(3) 上記のものについて、小麦粉やパン粉などを用いた周知のコロッケ調理法でコロッケに仕上げる。
Claims (2)
- 穀類から選択された一種以上の原料が焙煎され、この焙煎原料が原形サイズよりも小さく加工され、この小サイズ化原料がこれに加えられた熱湯で加熱加水処理され、この加熱加水処理済原料が発酵されていることを特徴とする穀類系加工食品。
- 請求項1に記載の穀類系加工食品と飲料用液体とからなる液体含有の二次加工食品。
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