JP4636370B2 - 型内被覆成形用金型 - Google Patents
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従来から行われている塗装方法は、金型内で射出成形した樹脂成形品を金型から取り出した後、取り出した樹脂成形品の表面にスプレー法や浸漬法等によって塗料の塗布を行うことが一般的である。塗布された塗料は、乾燥、硬化することによって、強固な被覆膜(塗膜と称することもある)となり成形品の表面を被覆して加飾するとともに保護する。
そのため、型内被覆成形方法について、近年、数多くの提案がなされており、又型内被覆成形方法に用いるに好適な金型として様々な構造の金型が提案されている。
この場合は、前述の型内被覆成形と異なり、成形の際に金型をわずかに開いた状態とする必要はない。
しかし、型内被覆成形に用いる塗料の硬化前の状態は、射出成形に用いる一般的な樹脂と比較して、極めて流動性が高く、そのため、金型を完全に型締めしても、キャビティから塗料が漏れ出すケースが多い。そのような場合に、塗料漏れを防止する手段として、キャビティの割面を食いきり構造にする場合が多い。
また、前述した従来の金型は、所望する製品の形状によって、その金型キャビティの割面をくいきり構造とすることが実質的に困難な場合もある。
例えば、後述する図1の金型で成形する樹脂成形品の形状は、側面に壁のついた所謂枡状となっているが、壁の中央付近に段差があって肉厚が異なっている。このような形状の樹脂成形品を成形する金型として食いきり構造の金型を用いると、樹脂成形品が金型内でアンダーカットの状態になってしまい取り出すことが難しくなる。このような場合は、通常、金型内に入れ子等を入れて対処するが、型内被覆成形方法においては、金型と入れ子の隙間に塗料が入り込んで問題を引き起こす可能性が高く連続運転の妨げになる。
そのため、型内被覆成形においては、キャビティから漏れ出した塗料を、すぐに除去して、金型クリーニングする必要があるが、この作業が、連続成形を行なう上での妨げとなっていた。
(1) 金型内で成形した樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用金型において、固定型と可動型の間に、型開閉方向に対して垂直な方向に延びる割面を組みあわせて形成されて、所望する形状の樹脂成形品を成形するための主キャビティと、該主キャビティを形成する固定型と可動型の割面に連なり該割面を囲むように形成した副キャビティと、を有して、該副キャビティを形成する部分のキャビティ面で、樹脂成形品を被覆する側のキャビティ面に、該副キャビティの形状に沿って該割面の全周を囲む複数個の溝部を近接した状態で並列させて配し、該溝部は、金型の開閉方向と同一な方向に延びる面を有して、成形の際に、該溝部の中で収縮した樹脂が、金型キャビティ部分を挟み込んで塗料の漏れを防止することを特徴とする型内被覆成形用金型。
図1〜図4は本発明の実施形態に係わり、図1は型内被覆成形用金型の構成を説明するため概略の構造を示した断面図であり、図2は図1の金型を開いた際における断面図と可動型側からみた固定型の概略図である。図3は本発明の他の実施形態に係る型内被覆成形用金型について概略の構造を示した断面図であり、図4は図3の金型を開いた際における断面図と可動型側からみた固定型の概略図である。
図5及び図6は本発明による型内被覆成形金型を用いた型内被覆成形方法の工程を説明するため金型挙動を概念的に示した図である。図7及び図8は、型内被覆成形方法の工程を説明するため工程の概略フローシートを示した図である。
図1に示すように、第1実施形態に用いる金型100は、可動型10、固定型20、及び塗料注入機50等を備えており、図示しない型締装置で可動型10と固定型20を型閉することにより、型開閉方向に対して垂直な方向に形成した可動型10と固定型20の割面で組みあわせて、金型100内に樹脂を充填するためのキャビティを形成する構造となっている。
また、第1実施形態においては、さらに第1キャビティ15と第2キャビティ17との間に連結キャビティ16を設けることにより、図示しない射出装置のノズル102から、ゲート8を介して第1キャビティ15に射出した樹脂が、連結キャビティ16を通って、第2キャビティ17に流入する構造となっている。
しかし、例えば、第2キャビティ17にゲートを設けて、第2キャビティ17内にノズル102から直接樹脂が流れる構造にすれば、連結キャビティ16を設けなくても良い。
また、製品の形状により、第1キャビティ15の外周と第2キャビティ17の内周を直接連結した構造にするとことが可能であれば、連結キャビティ16を設けなくても良い。
また、他の方法として、連結キャビティ16に樹脂を射出して、第1キャビティ15及び第2キャビティ17に樹脂を充填する形態等であっても良い。
なお、図1に示した第1実施形態において、金型100の第1キャビティ15により成形される樹脂成形品Pは、略正方形の平板の四方に側面(側壁部)を形成した所謂枡状の成形品であるが、第1キャビティ15により成形する樹脂成形品Pの形状がこれに限るものでないことは説明するまでもない。
図2(2)に可動型10側(A−A方向)からみた固定型20の図を示しており、第1キャビティ15を形成する第1キャビティ面15A、第2キャビティ17を形成する第2キャビティ面17A、及び連結キャビティ16を形成する連結キャビティ面16Aが図示されるが、第1キャビティ面15Aから、第2キャビティ面17Aに向かって、連結キャビティ面15Aが伸びていることがわかる。
そして、本実施形態における溝部2及び溝部3は、塗料漏れの防止機能を高めることを目的として、図2に溝部3の形状を図示したように、断面長方形の溝部をそれぞれ2列並べて形成する構造として、該溝部が副キャビティの形状に沿って割面の全周を囲む構造とした。
また、溝部2についても溝部3と同様に、断面長方形の溝部をそれぞれ2列形成する構造として、該溝部が副キャビティの形状に沿って割面の全周を囲む構造とした。
本実施の形態における塗料注入機50は、可動型10に取りつけられて、可動型10側のキャビティ面に配設された塗料注入口より主キャビティ15内に塗料Tを注入することができるよう構成されている。ここで、塗料注入機50の塗料注入口には図示しないバルブが取りつけられており、基材の射出成形時においては、該バルブが閉じられていることによって、第1キャビティ15内に射出された樹脂が塗料注入口より塗料注入機50内に進入することを防止している。
なお、図3及び図4に示した第2実施形態において、第1実施形態と同様の構造及び機能を有する部分について、同一の符号を使用した。
そのため、第2キャビティ19Aにおいては、樹脂成形品Pの被覆面側になる可動型10のキャビティ面に対して第2キャビティ19Aの形状に沿って該割面の全周を囲む複数個の溝部2を設けているが、樹脂成形品Pを被覆しない固定型20側のキャビティ面に溝部を設けていない。
なお、以下に説明する実施例は樹脂の射出充填時に金型を開かない所謂通常の射出成形方法を利用したものであるが、本発明の金型に適応できる樹脂の射出充填時における成形方法はこれに限らず、射出プレス成形方法、又射出圧縮成形方法であっても良く、特に限定されることはない。
第1の工程で金型100を型締めした後、基材である熱可塑性樹脂を金型内に射出する。なお、実施例においては、基材としてABS樹脂(UMGABS社製:UT10B)を使用した。
なお、この際において、溝部2及び溝部3に充填された樹脂は、金型100により冷却されて収縮する。そのため、溝部2及び溝部3の中の樹脂は、溝部2及び溝部3の内側に隣接するそれぞれのキャビティ部分を強く挟み込んだ状態となる。
実施例1においては、前記隙間を生じさせた後、塗料注入機50によって塗料注入口から前記隙間に対して塗料Tを9ml(ミリリットル)注入した。
また、実施例1で用いた金型で成形する成形品の被覆表面積は約900cm2であり、被覆膜の厚みは0.1mm程度となる。また、塗料Tは、プラグラス#8000:赤(大日本塗料株式会社製)である。
第1キャビティ15と第2キャビティ17の間にある塗料Tは、連結キャビティ16の長さを短くすることにより、第1キャビティ15内又は第2キャビティ17内で成形された樹脂に付着して製品取り出し時に樹脂成形品Pと一緒に金型100外に取り出される。従って、第1キャビティ15と第2キャビティ17を可能な限り近接させる構造は、漏れ出した塗料Tの掃除が容易であるというという点において好ましい形態である。
なお、この際に、溝部2に充填された樹脂は、金型200により冷却されて収縮することによって、溝部2及び溝部の中に形成されている並列した溝部2の間にあるキャビティ部分を強く挟み込んだ状態となる。
実施例2においては、前記隙間を生じさせた後、塗料注入機50によって塗料注入口から前記隙間に対して塗料Tを3ml(ミリリットル)注入した。
また、実施例1で用いた金型で成形する成形品の被覆表面積は約300cm2であり、被覆膜の厚みは0.1mm程度となる。
塗料Tの注入後、塗料Tを硬化させた後、金型200を開いて被覆した樹脂成形品Pを金型200から取り出すとともに、第1キャビティ15と連結キャビティ16との間を切りはなして所望する形状の型内被覆成形品を得る。
なお、第2実施例においては、第1キャビティ15と連結キャビティ18の境界を切り落としラインZ2として、成形後に除去することによって、型内被覆成形品の被覆部に明確な見切りラインを形成できる。
また、本発明の型内被覆成型用金型は、前述した実施例以外の型内被覆成形方法においても適応可能であり、例えば、樹脂の充填後に金型を開くことなく、樹脂の冷却収縮、あるいは塗料注入圧力を高圧にすることによって塗料を注入するハイプレッシャー法と呼ばれている公知の型内被覆成形方法にも適用可能である。
特に、ハイプレッシャー法と呼ばれている公知の型内被覆成形方法は、塗料注入圧力が高いために、金型から塗料が漏れ出しやすい方法であるが、本願発明であれば、副キャビティの溝部に入り込んだ樹脂が、冷却収縮することによって溝間の金型キャビティ部分を強く挟み込み、強固な塗料Tの漏れ止め効果を奏するので、漏れ止めが可能である。
3 溝部
8 ゲート
10 可動型
15 第1キャビティ(主キャビティ)
16 連結キャビティ
17 第2キャビティ(副キャビティ)
18 連結キャビティ
19 第2キャビティ(副キャビティ)
20 固定型
50 塗料注入機
100 型内被覆成形用金型
102 ノズル
200 型内被覆成形用金型
15A 第1キャビティ面
16A 連結キャビティ面
17A 第2キャビティ面
18A 連結キャビティ面
19A 第2キャビティ面
T 塗料(塗膜或は被覆)
P 樹脂成形品
Claims (2)
- 金型内で成形した樹脂成形品の表面に被覆を施すための塗料注入機を備えた型内被覆成形用金型において、
固定型と可動型の間に、型開閉方向に対して垂直な方向に延びる割面を組みあわせて形成されて、所望する形状の樹脂成形品を成形するための主キャビティと、該主キャビティを形成する固定型と可動型の割面に連なり該割面を囲むように形成した副キャビティと、を有して、
該副キャビティを形成する部分のキャビティ面で、樹脂成形品を被覆する側のキャビティ面に、該副キャビティの形状に沿って該割面の全周を囲む複数個の溝部を近接した状態で並列させて配し、該溝部は、金型の開閉方向と同一な方向に延びる面を有して、成形の際に、該溝部の中で収縮した樹脂が、金型キャビティ部分を挟み込んで塗料の漏れを防止することを特徴とする型内被覆成形用金型。 - 前記主キャビティと前記副キャビティを連通させる連結キャビティを、該主キャビティと該副キャビティの間に設けた請求項1記載の型内被覆成形用金型。
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