JPH0623800A - 射出成形金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バリ及びウェルドラインを発生せず、ゴム状
樹脂を高精密に射出成形することができる射出成形金型
を提供する。 【構成】 注入圧を整圧し加温・流動化するために樹脂
注入部を２段ゲート構造とし、その２段目ゲート９はピ
ンゲートとすると共にその前方に樹脂溜り７を設ける。
前記整圧化及びウェルドライン発生防止のため、ウェル
ドライン発生位置にガスベント側ピンゲート１０を設
け、そのピンゲート１０とガスベント１２との間にガス
ベント側樹脂溜り１１を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シール材等ゴム状樹脂
を射出成形するための金型構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の射出用金型は、通常のゴム成形用
金型にゴム状樹脂を注入するためのノズル口を設けただ
けの構造であり、キャビティないし金型合わせ目等につ
いては余り多くの考慮が為されていない。従って、従来
の射出成形金型にゴム状樹脂を注入すると、樹脂充填に
伴って金型パーティング面より樹脂が洩れ、その結果パ
ーティング面に薄いバリが発生する。また、ノズルより
ゴム状樹脂を注入すると、樹脂はキャビティ内で左右に
分れ、キャビティ内の空気をパーティング面に排出しつ
つ注入口と対向する位置で合流するが、合流点の圧力、
硬化性能、空気排出要領等のバランスが取れていないた
め、この位置にウェルドラインが発生する。なお、一部
の金型ではコールドランナーと称し、ランナー又はスプ
ール部を含め予備加熱し硬化時間の短縮を図ったり、ラ
ンナー処理方法の改善を図ることが行われている。これ
らの改善策により、ウェルドラインの発生を一部防止で
きるが、バリ発生の問題や、キャビティ内の空気の排出
方法等については従来のままである。

【０００３】以上のような問題点を改善するため従来
は、金型をできるだけ高精度に作り、射出圧の適正化、
樹脂精度の適正化等を図って射出成形していた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基本的
には従来よりのゴム成型用金型をそのまま用いる従来よ
りの射出成形用金型にあっては、バリの発生をゼロには
できず、またウェルドラインの発生を皆無にすることが
できず、材料の無駄、自動化の困難、製品不良を発生す
る等の問題を発生するのみならず、製品によっては成形
不能の場合があった。例えば、ハイモールド成形におい
て、１次成形品としての内ねじの切られたキャップの内
部にゴム製シール材を精密に２次成形するとき、バリ取
り作業が大変ないし不可能である。またバリの取り残し
が絶対的に嫌われるような精密部品では射出成形そのも
のができなくなる。

【０００５】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み
て、ゴム状樹脂の射出成形において、バリ及びウェルド
ラインが発生せず、省資源的で、自動化、精密成形に適
した射出成形金型を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、特許請求の範囲に記載の通りの射出成形金型
を構成した。

【０００７】

【作用】本発明の射出成形金型では、２段ゲートの採用
により２次ゲート部の樹脂溜りに樹脂が充填される事で
初期の射出圧力がキャビティ内に付加されず、射出圧力
が緩和され注入圧が整圧される。２段ゲート部の樹脂溜
りは整圧作用と合わせ一時的な樹脂の滞溜により樹脂に
熱が付与され、キャビティ内温度と流入樹脂の温度差が
少なくなり、注入圧に対応した流動性が得られる。従っ
て、キャビティ内の空気を巻き込む事も無く、キャビテ
ィ内の空気をガスベント側に排出し、成形品のボイド発
生を防止し、ウェルドライン部の樹脂をガスベンド側に
排出できる。また、少量の樹脂でウェルドラインを解消
できる。

【０００８】さらに、キャビティ内の空気を排出するた
め、ゲート部と相対向する側に意図的にガスベンド用の
ピンゲートを設け、キャビティ内の空気の排出を容易に
したので、低い圧力で樹脂の注入ができ、ウェルドライ
ンの発生を防止できる。

【０００９】

【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例を
説明する。図１は、本発明の一実施例に係る射出成形金
型の一例を示す断面説明図、図２及び図３は樹脂注入部
におけるゲート部の部分拡大断面図を示す。図２はサイ
ドゲートによる場合、図３はコールドランナによる場合
の例である。

【００１０】図１に示すように、本例の射出成形金型
は、プラスチック製の１次成形品としてのキャップ１の
内側に、リング状のゴム製シール材２を射出成形するた
めに、下金型３と上金型４とで構成され、パーティング
ライン上に樹脂注入口５が設けられている。この注入口
５は、図２または図３に示すサイドゲート５Ａ又はコー
ルドランナ５Ｂに代えることができる。注入口５は１次
ゲートとしてのサブマリンゲート６に接続され、このゲ
ート６は樹脂溜り７に接続されている。この樹脂溜り７
には、この溜り部の硬化物を取り出すため、スプールロ
ックピン８Ａの先端突起部が挿入されている。樹脂溜り
７は２段目ピンゲート９と接続され、そのゲート９の先
端ピン部は、２次成形品としてのシール材２を形成する
ためのキャビティと接続されている。接続位置は、シー
ル材２のシール面と離れた位置である。因みに、本例の
シール材２は、図上方側からキャップ１のねじ部に螺合
される筒部（図示せず）と接触されるので、接続位置は
その上方シール面から外方に離れた位置とされている。

【００１１】また、前記注入側ピンゲート９と対向する
位置には、ガスベント側ピンゲート１０が設けられ、そ
の先端ピン部は前記シール材２を形成するためのキャビ
ティと接続されると共に、その後端は前記樹脂溜り７と
対応する樹脂溜り１１と接続されている。この樹脂溜り
１１は、パーティングライン上に設けられたガスベント
溝１２と接続されている。シール材２を形成するための
キャビティは、各ピンゲート９，１０と接続される細孔
部を除いて可能な限り密閉状態とされる。バリが出ない
こと、即ち樹脂注入により液洩れしないことが条件であ
る。

【００１２】以上の構成の射出成形金型において、射出
された樹脂はサブマリンゲート６より樹脂溜り７に流入
し、樹脂溜り７に樹脂が満たされるとピンゲート９を通
りキャビティ内に流入する。射出された樹脂は樹脂溜り
７があるため一旦整圧され、直接初期射出圧がキャビテ
ィ内に付加されないためピンゲート９よりキャビティ内
の空気を押し出しながら流入する。又ピンゲート９の相
対する位置にガスベント側ピンゲート１０があるため、
キャビティ内の空気はガスベント１２を通り型外へ排出
される。

【００１３】注入側ピンゲート９より左右に分流した樹
脂はガスベント側ピンゲート１０付近で合流し、ウェル
ドラインを形成しようとするが、合流部の樹脂はガスベ
ント側ピンゲート１０の孔部に流入し、実際にはウェル
ドラインは形成されない。少なくとも製品を不良として
しまうようなウェルドラインは形成されない。ガスベン
ト側ピンゲート１０に流入した樹脂は、射出された後、
時間の経過と共に硬化熱が充分に付与された状態で硬化
も進行しており、又流入圧力も１次、２次ゲート６，
９、ガスベント側ピンゲート１０と３段階に減圧されて
いるため、微少なガスベント溝１２にはほとんど浸入で
きず、ガスベント溝１２にはより大きなバリは発生しな
い。このため、射出された樹脂は十分加圧された状態で
硬化する。

【００１４】また、２段ゲート構造と、ガスベント側ピ
ンゲートとを設定したことにより、樹脂溜り７で射出圧
力がほどよく制御され、２次ピンゲート９よりキャビテ
ィに流入した樹脂は乱流を発生する事も無く、壁面に沿
った流れとなり、乱流によるキャビティ内の空気の巻き
込みもなくボイドの発生も防止できる。更に、ガスベン
ト側ピンゲート１０は注入側ピンゲート９の相対する位
置にあるため、樹脂の合流部が限定され、ウェルド部の
合流樹脂を少い材料でもって製品部より流出させる事が
できる。

【００１５】以上により、本例の射出成形金型では、樹
脂流入構造によりウェルドラインの解消とバリ無し成形
が可能となり、従来の金型技術と合わせゴム成形におけ
る製品のゲート処理、スプール、ランナーの自動取り出
しが可能になり、ゴム成形の自動化が図れる。

【００１６】また、付随的な効果としては、ウェルドラ
イン解消による流出樹脂の軽減及び均一化と、射出圧力
の軽減、樹脂硬化時間の短縮、安定化がなされ、ガスベ
ント不良によるボンドの発生が無くなる。

【００１７】以上の説明より理解されるように、本発明
の射出成形金型は、液体の洩れを防止するシール材の成
形に利用できる他、気体の洩れを防止するためのシール
材や、異種異材の一体成形等に利用できる。

【００１８】

【発明の効果】本発明の射出成形金型は、特許請求の範
囲に記載の通りの構造であるので、樹脂注入部の２段ゲ
ート構造によって樹脂に整圧化と流動化を与えることが
でき、またガスベント側ピンゲートによって充分な加圧
と空気排出を行うことができ、バリ及びウェルドライン
を形成することのない省資源的、効率的な射出成形を行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る射出成形金型の構造を
示す断面説明図。

【図２】サイドゲートの断面説明図。

【図３】コールドランナーの断面説明図。

【符号の説明】

６ サブマリンゲート ７ 注入側樹脂溜り ９ 注入側ピンゲート １０ ガスベント側ピンゲート １１ ガスベント側樹脂溜り １２ ガスベント溝

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型内に形成されたキャビティ内にゴム
   状樹脂を射出注入し、前記ゴム状樹脂の硬化を待って前
   記キャビティ形状で定まるゴム状成型品を得る射出成形
   金型において、 前記ゴム状樹脂の射出注入を行うための注入部を２段ゲ
   ート構造とすると共に、その中間部に樹脂溜り部を設け
   て２段目ゲートをピンゲートとし、 前記ピンゲートから前記キャビティ内に分かれて注入さ
   れた未硬化ゴム状樹脂が合流する位置の付近の、ガスベ
   ント部に接続されるピンゲートを設け、 前記キャビティを形成するための金型合わせ部は、前記
   各ピンゲートと接続される細孔を除いて樹脂洩れしない
   構造としたことを特徴とする射出成形金型。