JP5169780B2 - 型内被覆成形用金型 - Google Patents
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Description
型内被覆成形方法においては、最初の工程として、熱可塑性樹脂を基材とする樹脂成形品を金型内で成形した後、該金型をわずかに開いた状態(金型微開)とする。
前記工程で金型をわずかに開くと、金型内で成形した樹脂成形品と金型キャビティ面との間に隙間が生じるので、該隙間に塗料注入機を使用して塗料を注入する。
そして、塗料注入後に、金型を再度型締することにより樹脂成形品の表面に塗料を均一に拡張させて硬化させる。塗料が硬化した後に、金型を開いて塗料で被覆した樹脂成形品を金型より取り出す。
なお、前記型内被覆成形方法について、近年、数多くの提案がなされており、又型内被覆成形方法に用いるに好適な金型として様々な構造の金型が提案されている。
しかしながら、型内被覆成形を行う場合に成形品の形状によっては、金型をわずかに型開いても、或いは樹脂の収縮を利用しても、塗料を注入するための隙間が部分的に形成できないケースがあった。
例えば、図4に示すような形状の樹脂成形品を成形しようとした場合に、図3に示すような構造の型内被覆成形用金型を使用することになり、金型の開閉方向に延びた立ち面形成部を、該金型の中心に配した突起部T2を周りから囲むようにして形成しなければならない。
しかし、図4に示すような構造の金型キャビティ形状にした場合に、塗料を注入する前に成形した樹脂成形品が金型内で収縮して、突起部T2側に押しつけられることになる。
従って、立ち面を有する形状の樹脂成形品を成形するため突起部を配した型内被覆成形用金型においては、金型をわずかに開いても、或いは、樹脂が収縮しても、樹脂成形品と突起部の間に塗料を注入するための隙間を形成することができない。そのため、樹脂成形品の立ち面内側の表面を、金型内で塗料により被覆することができなかった。
また、金型の一方を成形時に丸ごとチェンジ(突起部分のサイズが違う金型に交換する)するという方法もあるが、成形時に金型をチェンジするための設備が必要になるし、成形時に金型をチェンジするという作業工程も必要になるので効率的でない。
(1) 金型の開閉方向に延びる立ち面形成部が該金型の突起部の一部を囲むようにして形成された金型キャビティを備えて、少なくとも該立ち面形成部で成形した樹脂成形品の突起部側の表面を、金型内に配した塗料注入機から供給した塗料によって金型内で被覆する型内被覆成形用金型において、該立ち面形成部に並列するリブ形成部を該突起部の反対方向側に設けた。
本発明によれば、立ち面内側を被覆するに際して、複雑な可動式入れ子構造の金型を使用する必要性はなく、また、金型チェンジなどと言った高価な設備、工程も必要ないといった優れた利点を有する。
図1、図2及び図5は本発明の実施形態に係わり、図1は型内被覆成形用金型の構造を概念的に説明するための要部断面図であり、図2はその金型で成形した型内被覆成形品の形状を示す図である。図5は本実施形態による型内被覆成形用金型内での樹脂の収縮の挙動を示す図である。
図3及び図4は、従来型の型内被覆成形用金型を説明するための図であり、図3は型内被覆成形用金型の構造を概念的に説明するための要部断面図であり、図4は、その金型で成形した型内被覆成形品の形状を示す図である。図6は従来技術による型内被覆成形用金型内での樹脂の収縮の挙動を示す図である。
本実施形態に用いる金型100は、図1に示すように、可動型10、固定型20、及び塗料注入機50等から構成されており、可動型10を雌型とし、固定型20を雄型としている。そして、金型100は、雄型である固定型20と、雌型である可動型10とがシェアエッジ構造の嵌合部で嵌め合わされ、該嵌め合わされた状態で、その内部に金型キャビティ15を形成する構造となっている。
なお、シェアエッジ構造とは、くいきり構造、或いはインロー構造等と呼ばれることもあり、金型分割面を形成する嵌合部の構造として一般的に知られた構造であって、金型開閉方向に伸びて、互いに摺動しながら挿脱することのできる嵌合部を、固定型と可動型の間に形成することによって金型キャビティ等から外に樹脂が漏れ出すのを防止することができる。
図1に示した金型100で成形される樹脂成形品は、その外形が矩形で、その中心が切り抜かれた、所謂、枠型の平板であって、その内周面側に金型型開方向に延びる立ち面部18が形成された形状となっている。
なお、本実施の形態においては、立ち面部18に並列するリブ17が、立ち面部18の外側方向を周りから囲むようにして形成されている。
金型100においては、立ち面形成部21が長方形に切り抜かれた部分を周りから囲むようにして配されており、さらに、その立ち面形成部21の周囲を周りから囲むようにしてリブ形成部23が配されている。
詳細は後述するが、リブ17は、立ち面部18に塗料を注入するための隙間を形成するために設けたものであり、リブ17が製品形状として必要ないという場合は、成形後に、適宜、バリ除去装置などで除去すれば良い。
金型100においては、塗料注入機50が、可動型10の内部に取り付けられて、可動型10の金型キャビティ面に配設された図示しない塗料注入口より金型キャビティ15内に塗料を注入することができるように構成されている。
なお、塗料注入口には図示しないバルブが取りつけられており、基材となる樹脂の射出成形時に、該バルブを閉じておくことによって金型キャビティ15内に射出した樹脂が塗料注入口より塗料注入機50内に進入することを防止している。
また、塗料注入機50は、図示しない駆動装置によって駆動されて、塗料注入機50の中に供給された塗料を、所望する量だけ正確に可動型10の金型キャビティ面より注入することができるよう構成されている。
また、リブ形成部23の深さ寸法d2は、概ね、d2≧2mmであることが好ましく、さらにはd2≧5mmであることが特に好ましい。また、図1に示した実施形態においては、リブ形成部23の深さ寸法d2を10mmとした。
なお、前述の寸法は、金型開閉方向の寸法を深さ寸法d2とし、金型開閉方向に直交する方向の寸法を幅寸法d1としている。
なお、射出充填する樹脂の量は、所望する樹脂成形品の寸法に相当する樹脂の容積に略樹脂の冷却収縮分の容積を多めに加えた量とした。
また、樹脂成形品が金型内で収縮したとしても、図6(2)に示すように、樹脂成形品の立ち面部が突起部T2に強く抱きつく形になり隙間が形成できない。
従って、このような構造では、樹脂成形品の立ち面部について突起部T2側になる表面部分を被覆することができない。
そのため、樹脂成形品が金型内で収縮した際に、図5(2)に示すように、リブ17を中心として収縮する形になり、樹脂成形品の立ち面部18が突起部Tの反対側に向かって収縮する形になるので、塗料を注入するための隙間を形成することが可能になる。
15 金型キャビティ
17 リブ
18 立ち面
20 固定型
21 立ち面形成部
23 リブ形成部
50 塗料注入機
T 突起部
T2 突起部
100 型内被覆成形用金型
200 型内被覆成形用金型(従来型)
Claims (2)
- 金型の開閉方向に延びる立ち面形成部が該金型の突起部の一部を囲むようにして形成された金型キャビティを備えて、少なくとも該立ち面形成部で成形した樹脂成形品の突起部側の表面を、金型内に配した塗料注入機から供給した塗料によって金型内で被覆する型内被覆成形用金型において、
該立ち面形成部に並列するリブ形成部を該突起部の反対方向側に設けたこと特徴とした型内被覆成形用金型。 - 前記金型キャビティで成形する樹脂成形品の形状が枠状で、該枠の内周部に金型の開閉方向に延びる立ち面部を形成した請求項1記載の型内被覆成形用金型。
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